JP4160701B2 - 硬さ試験機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧子により形成された試料表面の圧痕に基づいて、試料の材料特性を評価する硬さ試験機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧子により試料表面に荷重を負荷して圧痕を形成させることに基づいて、試料の材料特性を評価する試験機として硬さ試験が知られている。
【0003】
この従来の硬さ試験機としては、例えば、図4に示したものが知られている。図4に示す硬さ試験機100は、デッドウェイト式の硬さ試験機といわれるもので、重錘101と、荷重アーム102と、圧子軸103と、圧子104などからなる圧痕形成機構110を備えている。
【0004】
この圧痕形成機構110によれば、所定の重錘101が前記荷重アーム102の先端に吊されることにより、荷重アーム102が下がる。そして、重錘101の荷重が、圧子軸103を介して圧子104に伝達され、この圧子104が下方に移動することにより、試料台105に載置された試料sに圧痕が形成されるようになっている。
【0005】
ところで、上記硬さ試験機は、荷重調整として、重錘のウェイト調整を行う必要があった。このウェイト調整とは、試料台上にループ検定機、或いはロードセルを載置して圧子にかかる負荷を精確に測定しながら、重錘を削ったり、重錘に重りを付加することによって、重錘を目的の荷重となるように調整することである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなウェイト調整には非常に手間がかかるため、硬さ試験機の出荷時においては相当数の工程を要していた。また、一般的な測定機器と同様に、硬さ試験機においても一定期間毎の校正が必要であるため、その校正作業毎に、手間のかかるウェイト調整が必要であった。
【0007】
また、上記硬さ試験機においては、重錘の種類によって、荷重が定まってしまうため、任意の力を発生させることは困難であり、さらに、機械定数は硬さ試験機によってそれぞれ微妙に異なるため、硬さ試験機と重錘とを対応づけて管理・使用する必要が生じていた。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、アクチュエータを用いて発生する力を制御し、かつ、簡便な調整機能を備えた硬さ試験機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1記載の発明は、
圧子により形成された試料表面の圧痕に基づいて、試料の材料特性を測定する硬さ試験機において、
前記圧子(例えば、図1の圧子3)に所定の荷重をかけるための押圧力を、前記圧子に伝達する力伝達手段(例えば、図1の荷重アーム4と板ばね7)と、
前記力伝達手段の変位を測定する測定手段(例えば、図2のばね変位量センサ64)と、
前記所定の荷重と、前記力伝達手段の変位とを対応づけて記憶する記憶手段(例えば、図2の比較演算回路65cに格納される図3のばね変位量テーブル66)と、
前記記憶手段から、前記所定の荷重に対応した前記力伝達手段の変位を読み出して、前記測定手段によって測定された前記力伝達手段の変位と比較する比較手段(例えば、図2の比較演算回路65c)と、
前記比較手段によって比較された結果に基づいて、前記力伝達手段の変位が、前記記憶手段に記憶された変位となるように、前記力伝達手段に力を付与する力付与手段(例えば、荷重アーム作動部6)と、
を備えたことを特徴としている。
【0010】
この請求項1記載の発明によれば、
圧子により形成された試料表面の圧痕に基づいて、試料の材料特性を測定する硬さ試験機において、力伝達手段は、前記圧子に所定の荷重をかけるための押圧力を、前記圧子に伝達し、測定手段は、前記力伝達手段の変位を測定し、記憶手段は、前記所定の荷重と、前記力伝達手段の変位とを対応づけて記憶し、比較手段は、前記記憶手段から、前記所定の荷重に対応した前記力伝達手段の変位を読み出して、前記測定手段によって測定された前記力伝達手段の変位と比較して、力付与手段は、前記比較手段によって比較された結果に基づいて、前記力伝達手段の変位が、前記記憶手段に記憶された変位となるように、前記力伝達手段に力を付与する。
【0011】
したがって、この請求項1記載の発明によって、随時計測される力伝達手段の変位量に基づいて、力付与手段が作動し、力伝達手段を介して圧子に所定の荷重が負荷されるため、自動的に力(荷重)を発生・制御することができる。また、所定の荷重と、力伝達手段の変位量とが対応づけて記憶手段に記憶されているため、この記憶値を変更することによって、精確な荷重を圧子にかけられるように、容易に硬さ試験機の荷重調整を行うことができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明のように、
請求項1記載の硬さ試験機において、
前記力伝達手段によって伝達される押圧力を測定する前記硬さ試験機とは別体の押圧力測定手段(例えば、図1のロードセルl)を備え、
前記比較手段は、前記押圧力測定手段によって測定された押圧力と、前記所定の荷重とを比較し、
前記比較手段により、前記押圧力測定手段によって測定された押圧力と、前記所定の荷重とが同一と判断された時に、前記記憶手段は、前記測定手段によって測定された前記力伝達手段の変位を、前記所定の荷重と対応づけて再記憶することにより記憶値を変更する記憶値変更手段(例えば、図2の比較演算回路65c)を備えるよう構成してもよい。
【0013】
この請求項2記載の発明によれば、前記硬さ試験機とは別体の押圧力測定手段により、力伝達手段によって伝達される押圧力が計測された後、所定荷重に対する力伝達手段の変位量が計測・記憶される。従って、硬さ試験機それぞれの装置による固有値や、経年変化による機械定数及び電気定数の変化を、容易かつ自動的に調整可能な硬さ試験機を提供することができる。
【0014】
また、請求項3記載の発明のように、
請求項2記載の硬さ試験機において、
前記押圧力測定手段によって測定された押圧力によって、前記圧子に前記所定の荷重がかかるように、前記記憶手段に記憶された前記力伝達手段の変位を調整する調整量を知覚可能に報知する報知手段とを備えるよう構成してもよい。
【0015】
この請求項3記載の発明によれば、ユーザは、調整された量を具体的かつ容易に認知することができる。さらに、ユーザは、次回の調整までの期間等を算出することができる。
【0016】
また、請求項4記載の発明のように、
請求項2また3記載の硬さ試験機において、
前記押圧力測定手段は、前記試料の代わりに、前記試料の載置位置に載置されることとしてもよい。
【0017】
この請求項4記載の発明によれば、押圧力測定手段として、例えばロードセルを用いた場合には、高価なロードセルを、硬さ試験機の数だけ用意する必要はなく、1つのロードセルによって、荷重調整を行うことができ、荷重調整の便宜に資するとともに、荷重調整に係るコストを低減させることができる。また、ロードセルの校正が行われていれば、硬さ試験機の校正をユーザ自身ですることができるため、硬さ試験機の校正に係る費用は、ロードセルの校正に係る費用で済む。さらに、試料の代わりに、試料の載置位置に載置されるため、荷重調整を精確に行うことができる。
【0018】
また、請求項5記載の発明のように、
請求項1〜4のいずれか記載の硬さ試験機において、
前記力伝達手段は、前記力付与手段から付与される力を伝達するばね(例えば、図1の板ばね7)を有し、このばねの変位が、前記測定手段により測定されるよう構成してもよい。
【0019】
この請求項5記載の発明によれば、力伝達手段がばねであるため、その変位量を容易に測定することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明に係る硬さ試験機の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る硬さ試験機1の要部構成を示す側面図である。
硬さ試験機1は、板ばね7を介して、荷重アーム作動部6によって荷重アーム4に荷重が負荷され、圧子3によって形成された試料表面の圧痕によって、当該試料の材料特性を評価する装置であり、荷重調整時には、ロードセルlがセットされ、このロードセルlによって、荷重アーム4に負荷される荷重が測定されて、精確な荷重をかけるように調整される。
【0021】
図1に示す硬さ試験機1は、試験機本体2と、試験機本体2に回動自在に支持され、自由端部に圧子3が取り付けられる荷重アーム4と、圧子3の下方の試験機本体2に設けられ、試料sを載置する試料台5と、荷重アーム4の下方に設けられ、荷重アーム4の自由端側を回動させ、試料表面に圧痕を形成させるための押圧力を作用させる力を付与する荷重アーム作動部6と、荷重アーム作動部6が作動した際に発生した力を荷重アーム4に伝達する板ばね7などを備えている。また、硬さ試験機1は、機械定数の設定等の荷重調整を行う際に、荷重アーム4にかかる回動力を測定する、硬さ試験機1とは別体のロードセルlを、試料台5上に着脱自在に備えている。また、図示しないが、板ばね7の変位を測定するばね変位量センサ64や、設定荷重を入力する荷重入力部も備えている。
【0022】
試験機本体2は、その内部に荷重アーム作動部6と、荷重アーム作動部6の駆動源となる電装部などを備えている。
荷重アーム4は、試験機本体2に十字ばね或いは転がり軸受等により回動自在に支持されるとともに、自由端部には圧子3が着脱自在に取り付けられている。また、この荷重アーム4は、板ばね7と一体化されている。
板ばね7と荷重アーム4との間には、長手方向に沿って溝部7aが設けられ、圧子3側のその先端は開口している。
【0023】
また、荷重アーム4は、板ばね7を介して荷重アーム作動部6によって図中下方向に回動されるが、荷重調整時においては、試料台5上にセットされるロードセルlによって、荷重アーム4の回動力、即ち力値が測定され、電気信号として出力される。このロードセルlがセットされるのは、後述する硬さ試験機1の荷重調整時のみであり、出力端は、荷重アーム作動制御部65の比較演算回路65cに接続される。試料台5上にロードセルlをセットすることとした理由は、試料sの代わりに試料台5上に載置することとすれば、荷重アーム4の荷重調整を精確に行うことができるためである。
【0024】
試料台5は、その下面に角ネジ51が設けられ、この角ネジ51によって試験機本体2に上下動可能に取り付けられている。更にオートブレーキ機構52も備えている。
【0025】
荷重アーム作動部6は、電気的作動手段としてのサーボモータ61と、ボールねじ62と、ボールねじ62の先端部に取り付けられ、板ばね7に固定されている固定治具63と、を備えている。従って、サーボモータ61が駆動してボールねじ62が上下動することにより、板ばね7と一体化された荷重アーム4が回動するようになっている。
固定治具63は、荷重アーム4と荷重アーム作動部6を接続するもので、荷重アーム4の回動運動と板ばね7の変形(以下、適宜「変位」と呼ぶ。)による板ばね7の軸と荷重アーム作動部6の軸のミスアラインメントを吸収する機能を有し、例えば、薄い板、ピアノ線等の線材、或いはナイフエッジと十字ばねの組み合わせ、ユニバーサルジョイント等を単独或いは併用して構成されている。
【0026】
この荷重アーム4の作動制御は、荷重アーム4と板ばね7とに取り付けられ、ばね変形量を測定するばね変位量センサ64と、このばね変位量センサ64により測定したばね変形量(変位量)を入力し、該ばね変形量に基づいてボールねじ62の作動制御を行う荷重アーム作動制御部65と、により行われる。
ばね変位量センサ64は、例えば、ガラススケールを光学的に読み取る変位センサユニット(リニアスケール)からなり、ボールねじ62の下方向への作動によって、板ばね7と荷重アーム4の溝部7aの開き量からばね変形量を測定する。
【0027】
次に、図2を参照して、荷重アーム4の作動制御について説明する。図2は、本発明の荷重アーム作動制御部65の要部構成を示すブロック図である。
【0028】
荷重アーム作動制御部65は、図2に示すように、増幅器65a、A/D変換器65b、比較演算回路65c、サーボモータ駆動回路65d、D/A変換器65eなどを具備している。また、比較演算回路65cは、図3に示すばね変位量テーブル66を内部に格納しており、荷重アーム4の回動力、即ち圧子3に負荷する荷重と、当該荷重に対応した板ばね7の変位量とを対応づけて記憶している。
【0029】
この荷重アーム4の作動制御は、通常使用時と、荷重調整時の2通りの方法がある。通常使用時は、ばね変位量センサ64により測定された板ばね7の変位量に基づいて、荷重アーム作動制御部65がボールねじ62の作動制御を行う方法であり、荷重調整時は、荷重調整用にセットされるロードセルlにより測定された荷重アーム4の回動力に基づいて、荷重アーム作動制御部65がボールねじ62の作動制御を行う方法である。
【0030】
まず、通常使用時について説明する。
増幅器65aは、ばね変位量センサ64により測定されたばね変位量信号を増幅しA/D変換器65bに出力する。A/D変換器65bは増幅されたばね変位量信号をA/D変換して比較演算回路65cに出力する。比較演算回路65cは、荷重入力部(不図示)から予め入力・設定された設定荷重に対応したばね変位量を、ばね変位量テーブル66から読み出して、A/D変換されたばね変位量信号と比較し、比較結果をサーボモータ駆動回路65dに出力する。
【0031】
サーボモータ駆動回路65dは、この比較結果に基づいて試料に作用する荷重が設定した値になるようにサーボモータ61の駆動を制御する駆動制御信号をD/A変換器65eに出力する。D/A変換器65eは、駆動制御信号をD/A変換してサーボモータ61に出力する。
【0032】
次に、荷重調整時について説明する。
通常使用時と同様に、増幅器65aは、ばね変位量センサ64から入力した板ばね7のばね変位量信号を増幅してA/D変換器65bに出力し、A/D変換器65bは増幅されたばね変位量信号をA/D変換して比較演算回路65cに出力する。また、荷重調整時には、試料台5上にロードセルlがセットされ、このロードセルlによって測定された荷重アーム4の回動力が、圧力値信号として比較演算回路65cに出力される。
【0033】
次いで、比較演算回路65cは、荷重入力部から予め入力・設定された設定荷重に対応した圧力値信号であるか否かを比較する。入力された負荷荷重と圧力値信号とが等しい場合には、A/D変換器65bから入力されたばね変位量信号の値を、当該負荷荷重と対応づけてばね変位量テーブル66に格納する。また、入力された負荷荷重と圧力値信号とが等しくない場合には、比較結果をサーボモータ駆動回路65dに出力する。
【0034】
以下、通常使用時と同様に、サーボモータ駆動回路65dは、この比較結果に基づいて試料に作用する荷重が設定した値になるようにサーボモータ61の駆動を制御する駆動制御信号をD/A変換器65eに出力し、D/A変換器65eは、駆動制御信号をD/A変換してサーボモータ61に出力する。
【0035】
尚、このような荷重調整によって、ばね変位量テーブル66の各値が適正値に変更されるが、変更される前後の値を表示する表示装置を設けたり、単に、変更したか否か、即ち各値が適正であったか否かをランプ表示するLEDを設けたり、変更される前後の値を音声出力する音声出力部を設ける等して、ユーザに報知することとしてもよい。その場合には、ユーザは、調整された量を具体的に知ることができる。
【0036】
次に、硬さ試験機1の通常使用時、即ち硬さ試験における動作と、荷重調整時における動作について説明する。
【0037】
まず、通常使用時である、硬さ試験における動作について説明する。
電源投入後、荷重入力部(図示省略)に設定荷重が入力される。すると、この設定荷重が、荷重アーム作動制御部65の比較演算回路65cを介して、サーボモータ駆動回路65dに出力される。
【0038】
次いで、サーボモータ駆動回路65dによって設定荷重に応じた駆動制御信号が、D/A変換器65eを介してサーボモータ61に出力され、この駆動制御信号に基づいてサーボモータ61が駆動する。そして、このサーボモータ61の駆動によりボールねじ62が回転し、下方に作動する。その際、ボールねじ62に取り付けられた板ばね7と、これと一体化された荷重アーム4が下方に軸回転し、荷重アーム4の自由端に取り付けられた圧子3が資料sと接触する。
このとき、板ばね7と荷重アーム4との間の溝部7aの開き量がばね変位量信号としてばね変位量センサ64によって計測され、この荷重信号が増幅されて、A/D変換器65bを介して比較演算回路65cに出力される。
【0039】
続いて、比較演算回路65cによって、設定荷重とばね変位量信号の示す値とが比較され、この比較結果に基づいて設定荷重に近づくように修正された駆動制御信号がサーボモータ61に出力される。サーボモータ61は、この修正された駆動制御信号に基づいて駆動する。このようなばね変位量センサ64の計測から、駆動制御信号の修正までの動作が閉ループとして繰り返し行われることにより、サーボモータ61の駆動制御がなされ、これにより、所定時間圧子3に作用する荷重が常に設定荷重に近い値に保たれる。
【0040】
次に、荷重調整時における硬さ試験機1の動作について説明する。
ロードセルlが試料台5上にセットされ、ロードセルlの出力端が比較演算回路65cに接続され、電源が投入された後、荷重入力部に設定荷重が入力される。すると、この設定荷重が、荷重アーム作動制御部65の比較演算回路65cを介して、サーボモータ駆動回路65dに出力される。
【0041】
次いで、サーボモータ駆動回路65dによって設定荷重に応じた荷重制御信号が、D/A変換器65eを介してサーボモータ61に出力され、この駆動制御信号に基づいてサーボモータ61が駆動する。そして、このサーボモータ61の駆動によりボールねじ62が回転し、下方に作動する。その際、ボールねじ62に取り付けられた板ばね7と、これと一体化された荷重アーム4が下方に軸回転することによって、荷重アーム4が回動し、この回動力によってロードセルlが押圧される。そして、ロードセルlによって計測された押圧力が、圧力値信号として、比較演算回路65cに出力される。
【0042】
また、このとき、板ばね7と荷重アーム4との溝部7aの開き量がばね変位量センサ64によって計測され、ばね変位量信号として、A/D変換器65b等を介して比較演算回路65cに出力される。
【0043】
次いで、比較演算回路65cによって、設定荷重と、圧力値信号の示す値とが比較されるが、設定荷重と圧力値信号の値とが同一であった場合には、その時のばね変位量信号の示す値と、設定荷重とを対応づけて、ばね変位量テーブル66に格納する。
【0044】
また、設定荷重と圧力値信号とが同一の値でなかった場合には、比較演算回路65cは、比較結果に基づいて設定荷重に近づくように修正された駆動制御信号をサーボモータ61に出力する。サーボモータ61は、この修正された駆動制御信号に基づいて駆動する。このようなロードセルlの計測から、駆動制御信号の修正までの動作が閉ループとして繰り返し行われることにより、サーボモータ61の駆動制御がなされ、かつ、ばね変位量センサ64の計測によって、設定荷重に対する精確な板ばね7の変位量が計測・記憶される。
【0045】
以上説明した本発明にかかる硬さ試験機1によれば、随時計測される板ばね7の変位量に基づいて、荷重アーム作動部6が作動し、板ばね7を介して荷重アーム4に荷重が負荷されるため、自動的に所望の力を発生・制御することができる。また、荷重調整時には、ロードセルlによって、荷重アーム4に負荷される荷重が計測され、所定荷重に対する板ばね7の変位量が計測・記憶される。従って、それぞれの装置の固有値や、経年変化による機械定数及び電気定数の変化を、容易かつ自動的に調整可能な硬さ試験機を提供することができる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、ばね変位量センサ64は、リニアスケールを用いることとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、コンデンサピック(電荷容量型変位センサ)や、LVDT(差動変圧器)、電気マイクロメータなどを使用してもよい。また、板ばね7は、弦巻ばね等の他のばねであってもよく、また、ゴムなどの弾性体でもよい。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、随時計測される力伝達手段の変位量に基づいて、力付与手段が作動し、力伝達手段を介して圧子に所定の荷重が負荷されるため、自動的に力(荷重)を発生・制御することができる。また、所定の荷重と、力伝達手段の変位量とが対応づけて記憶手段に記憶されているため、この記憶値を変更することによって、精確な荷重を圧子にかけられるように、容易に硬さ試験機の荷重調整を行うことができる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、押圧力測定手段により、力伝達手段によって伝達される押圧力が計測された後、所定荷重に対する力伝達手段の変位量が計測・記憶される。従って、硬さ試験機それぞれの装置による固有値や、経年変化による機械定数及び電気定数の変化を、容易かつ自動的に調整可能な硬さ試験機を提供することができる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、ユーザは、調整された量を具体的かつ容易に認知することができる。さらに、ユーザは、次回の調整までの期間等を算出することができる。
【0050】
請求項4記載の発明によれば、押圧力測定手段として、例えばロードセルを用いた場合には、高価なロードセルを、硬さ試験機の数だけ用意する必要はなく、1つのロードセルによって、荷重調整を行うことができ、荷重調整の便宜に資するとともに、荷重調整に係るコストを低減させることができる。また、ロードセルの校正が行われていれば、硬さ試験機の校正をユーザ自身ですることができるため、硬さ試験機の校正に係る費用は、ロードセルの校正に係る費用で済む。さらに、試料の代わりに、試料の載置位置に載置されるため、荷重調整を精確に行うことができる。
【0051】
請求項5記載の発明によれば、力伝達手段がばねであるため、その変位量を容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬さ試験機1の要部構成を示す側面図。
【図2】荷重アーム作動制御部65の要部構成を示すブロック図。
【図3】比較演算回路65c内に格納されるばね変位量テーブル66の一例を示す図。
【図4】従来のデッドウェイト式の硬さ試験機100の要部構成を示す側面図。
【符号の説明】
1 硬さ試験機
2 試験機本体
3 圧子
4 荷重アーム
5 試料台
s 試料
l ロードセル
6 荷重アーム作動部
61 サーボモータ
62 ボールねじ
64 ばね変位量センサ
65 荷重アーム作動制御部
65c 比較演算回路
7 板ばね

Claims (5)

  1. 圧子により形成された試料表面の圧痕に基づいて、試料の材料特性を測定する硬さ試験機において、
    前記圧子に所定の荷重をかけるための押圧力を、前記圧子に伝達する力伝達手段と、
    前記力伝達手段の変位を測定する測定手段と、
    前記所定の荷重と、前記力伝達手段の変位とを対応づけて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段から、前記所定の荷重に対応した前記力伝達手段の変位を読み出して、前記測定手段によって測定された前記力伝達手段の変位と比較する比較手段と、
    前記比較手段によって比較された結果に基づいて、前記力伝達手段の変位が、前記記憶手段に記憶された変位となるように、前記力伝達手段に力を付与する力付与手段と、
    を備えたことを特徴とする硬さ試験機。
  2. 前記力伝達手段によって伝達される押圧力を測定する前記硬さ試験機とは別体の押圧力測定手段を備え、
    前記比較手段は、前記押圧力測定手段によって測定された押圧力と、前記所定の荷重とを比較し、
    前記比較手段により、前記押圧力測定手段によって測定された押圧力と、前記所定の荷重とが同一と判断された時に、前記記憶手段は、前記測定手段によって測定された前記力伝達手段の変位を、前記所定の荷重と対応づけて再記憶することにより記憶値を変更する記憶値変更手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の硬さ試験機。
  3. 前記押圧力測定手段によって測定された押圧力によって、前記圧子に前記所定の荷重がかかるように、前記記憶手段に記憶された前記力伝達手段の変位を調整する調整量を知覚可能に報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の硬さ試験機。
  4. 前記押圧力測定手段は、前記試料の代わりに、前記試料の載置位置に載置されることを特徴とする請求項2また3記載の硬さ試験機。
  5. 前記力伝達手段は、前記力付与手段から付与される力を伝達するばねを有し、このばねの変位が、前記測定手段により測定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の硬さ試験機。
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