JP4160159B2 - 耐汚染性に優れた塗膜を形成できるクリヤ塗料組成物 - Google Patents

耐汚染性に優れた塗膜を形成できるクリヤ塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐汚染性及び鮮映性に優れた塗膜を形成可能なクリヤ塗料組成物及びこのクリア塗料を用いた金属板の塗装方法及び塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
家電製品、屋内外用建材等の塗装は、生産性や環境保全などの点から、加工された被塗物に塗料を塗装する、いわゆるポストコート塗装方式から、鋼板などのシート状の被塗物をコイルコーティングなどによって塗装した後に成形加工を行うプレコート塗装方式に移りつつあるが、プレコート塗装されたシート状の塗装物は、複雑な形状に加工されるため高い加工性が要求される。また冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ等の家電製品には硬度、耐汚染性、鮮映性なども要求される。
【0003】
現在、高分子ポリエステル樹脂とアミノ樹脂を主成分とするプレコート塗装用塗料により塗膜の硬度、加工性、耐汚染性に優れた塗膜を得ることができようになってきているが、これらの塗膜性能と塗膜の鮮映性とのバランスの取れた塗膜を得ることはできていない。
【0004】
また、従来、プレコート塗装金属板の分野では、連続的に移動する長尺の金属板上に上塗塗料を塗装して焼き付ける1コート1ベーク方式、金属板上にプライマー塗料を塗装し焼き付け、ついでプライマー塗膜の上に上塗塗料を塗装して焼き付ける2コート2ベーク方式が一般的に行われており、なかでも2コート2ベーク方式が大部分を占めている。また一部で、金属板上にプライマー塗料を塗装し焼き付け、ついでプライマー塗膜の上に中塗塗料を塗装して焼き付け、さらに上塗塗料を塗装して焼き付ける3コート3ベーク方式が行われている。
【0005】
塗膜を3層とすることによって総合塗膜として、一層や二層では達成できない塗膜性能や塗膜外観を達成することが可能となるが、上記3コート3ベーク方式では、2コート2ベーク方式に比べて塗装回数及び塗膜の焼付け回数がそれぞれ1回ずつ多く、設備面での負担が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、塗膜の硬度、加工性、耐汚染性などの塗膜性能を損なうことなく、大幅に鮮映性が向上した塗膜を形成できるクリヤ塗料を提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、連続的に移動する長尺の金属板上に2層の塗膜を一度に形成でき、しかも設備面での負担が小さい塗装方法であって、塗膜の硬度、加工性、耐汚染性などの塗膜性能を損なうことなく、大幅に鮮映性が向上した塗膜を形成できる金属板の塗装方法を提供することである。
【0008】
本発明者らは、モノマー成分としてスチレン量の多い特定のアクリル樹脂と高酸価のポリエステル樹脂とメラミン樹脂架橋剤とを組合せてなるクリヤ塗料組成物を用いることによって、塗膜の硬度、加工性、耐汚染性などの塗膜性能を損なうことなく、大幅に鮮映性が向上した塗膜を形成できることを見出し、また、金属板上に、プライマ塗料膜と上塗着色塗料膜とをウエットオンウエットで塗装し焼付けた後、上塗着色ベース塗膜上に特定のクリヤ塗料を塗装し焼付けることによって上記目的の金属板の塗装方法を提供できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(A)数平均分子量1,000〜30,000、ガラス転移温度−10〜70℃、溶解性パラメータ(sp値)9.5〜12.5、酸価50mgKOH/g未満の水酸基含有ポリエステル樹脂30〜80重量部、(B)数平均分子量1,000〜4,000、ガラス転移温度−10〜70℃、酸価50〜400mgKOH/gの高酸価ポリエステル10〜50重量部及び(C)メラミン樹脂硬化剤10〜40重量部からなる樹脂成分100重量部に対して、(D)酸触媒を酸量として、0.01〜5重量部含有することを特徴とするクリヤ塗料組成物を提供するものである。
【0010】
また本発明は、連続的に移動する長尺の金属板上に、プライマ塗料膜と上塗着色ベース塗料膜とをウエットオンウエットにて塗布し、該両塗料膜を同時に焼付けてプライマ硬化塗膜と上塗着色ベース硬化塗膜とを形成した後、該上塗着色ベース硬化塗膜上に上記クリヤ塗料組成物を塗装し焼付けることを特徴とする金属板の塗装方法を提供するものである。
【0011】
さらに本発明は、上記塗装方法によって塗装された塗装金属板を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクリヤ塗料組成物について詳細に説明する。
まず、本発明のクリヤ塗料組成物の各成分について説明する。
【0013】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)
本発明組成物における、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、水酸基を含有するポリエステル樹脂であり、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、また、これらの樹脂の変性物、例えばウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0014】
上記オイルフリーポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とのエステル化物からなるものである。多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸などから選ばれる1種以上の二塩基酸及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられ、必要に応じて安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸などの一塩基酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸などの3価以上の多塩基酸などが併用される。
【0015】
多価アルコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの二価アルコールが主に用いられ、さらに必要に応じてグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールを併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
両成分のエステル化又はエステル交換反応は、それ自体既知の方法によって行うことができる。酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が特に好ましい。また、酸成分としてのテレフタル酸、アルコール成分としてのエチレングリコールは、得られる樹脂自体の溶剤に対する溶解性を劣化させたり、他の樹脂との相溶性を低下させたりする傾向があり、得られる塗膜の鮮映性を低下させるので使用しないほうがよい。
【0017】
アルキド樹脂は、上記オイルフリーポリエステル樹脂の酸成分及びアルコール成分に加えて、油脂肪酸をそれ自体既知の方法で反応せしめたものであって、油脂肪酸としては、例えばヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸などを挙げることができる。アルキド樹脂の油長は30%以下、特に5〜20%程度のものが好ましい。
【0018】
ウレタン変性ポリエステル樹脂としては、上記オイルフリーポリエステル樹脂、又は上記オイルフリーポリエステル樹脂の製造の際に用いられる酸成分及びアルコール成分を反応させて得られる低分子量のオイルフリーポリエステル樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが挙げられる。また、ウレタン変性アルキド樹脂は、上記アルキド樹脂、又は上記アルキド樹脂製造の際に用いられる各成分を反応させて得られる低分子量のアルキド樹脂を、ポリイソシアネート化合物とそれ自体既知の方法で反応せしめたものが包含される。ウレタン変性ポリエステル樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂を製造する際に使用しうるポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエンなどが挙げられる。上記のウレタン変性樹脂は、一般に、ウレタン変性樹脂を形成するポリイソシアネート化合物の量がウレタン変性樹脂に対して30重量%以下の量となる変性度合のものを好適に使用することができる。
【0019】
以上に述べたポリエステル樹脂のうち、特に好適なものとしては、オイルフリーポリエステル樹脂が挙げられる。
【0020】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、硬化性、塗膜性能などの観点から、数平均分子量が1,000〜30,000、好ましくは5,000〜25,000、ガラス転移温度が−10〜70℃、好ましくは0〜40℃、溶解性パラメータ(sp値)が9.5〜12.5、好ましくは10.5〜12.0、酸価が50mgKOH/g未満、好ましくは3〜40mgKOH/gの範囲内にあるものであり、水酸基価が3〜140mgKOH/g、好ましくは5〜100mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
【0021】
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DTA)によるものであり、また数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものである。
【0022】
高酸価ポリエステル(B
本発明組成物において使用される高酸価ポリエステル(B)は、数平均分子量が、好ましくは1,000〜4,000、ガラス転移温度が−10〜70℃、好ましくは10〜50℃、酸価が50〜400mgKOH/g、好ましくは100〜300mgKOH/gの範囲内のポリエステルである。
【0023】
ポリエステル(B)としては、例えばカルボキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリオールと1,2−酸無水物との付加反応により生成する低分子量ハーフエステル(以下、「低分子量ハーフエステル」ということがある)等を挙げることができる。
【0024】
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールペンタン、3,3−ジメチロールヘキサン、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ペンタエリスリトール及びビス(ヒドロキシメチル)キシレンなどの多価アルコールと、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、多価カルボン酸無水物(例えば無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、無水マレイン酸及び無水トリメリット酸等)の多塩基酸及び必要に応じて安息香酸などの一塩基酸との反応によって得ることができる。
【0025】
上記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多塩基酸とを、例えば、水酸基に対してカルボキシル基が過剰となる条件で縮合反応させる一段反応によって得ることができるが、樹脂の分子量や水酸基量の制御の容易さなどの点から、上記多価アルコールと多塩基酸とを、例えば、カルボキシル基(酸無水基1個はカルボキシル基2個とする)に対して水酸基が過剰となる条件で縮合反応させた後、縮合反応によって得られたポリエステルプレポリマーの水酸基に上記酸無水物をハーフエステル化反応させる二段反応によって得ることが好ましい。
【0026】
上記ハーフエステル化反応は、酸無水物の開環反応が起こり、実質上、生成したカルボキシル基によるポリエステル化反応が起こらない条件下、例えば、窒素雰囲気下に、溶剤中で70〜150℃、好ましくは90〜120℃で通常、10分間〜24時間の反応時間にて行うことができる。ポリエステルプレポリマーと1,2−酸無水物との配合比は、酸無水基を単官能として計算して、水酸基:酸無水基の当量比が約0.8:1〜1.2:1の範囲が好適である。
【0027】
前記低分子量ハーフエステルは、ポリオールと1,2−酸無水物とを、酸無水物の開環反応が起こり、実質上、生成したカルボキシル基によるポリエステル化反応が起こらない条件下でハーフエステル化反応させることにより得られる。低分子量ハーフエステルの数平均分子量は、通常、400〜2,000の範囲内である。
【0028】
低分子量ハーフエステルの調製に用いられるポリオールとしては、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の製造に使用される多価アルコールの具体例として掲げたものを使用することができる。低分子量ハーフエステルの調製に用いられる1,2−酸無水物としては、炭素原子数約4〜32を有する1,2−酸無水物が好適であり、例えば、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂の製造に使用される多塩基酸のうちの多価カルボン酸無水物の具体例として掲げたものを好適に使用することができる。
【0029】
低分子量ハーフエステルは、上記ポリオールと1,2−酸無水物とを、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂調整のための二段反応におけるハーフエステル化反応と同様の反応条件、及び同様の水酸基と酸無水基との当量比にてハーフエステル化することによって得ることができる。
【0030】
メラミン樹脂硬化剤(C)
本発明において用いられるメラミン樹脂硬化剤(C)は、水酸基含有アクリル樹脂(A)中の水酸基やポリエステル樹脂(B)中の官能基と反応して硬化塗膜を形成するものである。
【0031】
メラミン樹脂硬化剤(C)は、メラミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化メラミン樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化メラミン樹脂を1種又は2種以上のアルコールによってエーテル化したものも使用でき、エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、なかでもメチロール化メラミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部をC1 4 の1価アルコールでエーテル化してなるメラミン樹脂が好適である。
【0032】
上記メラミン樹脂硬化剤(C)の市販品としては、例えばユーバン20SE−60、ユーバン225(以上、いずれも三井化学社製)、スーパーベッカミンG840、同G821(以上、いずれも大日本インキ化学工業社製)などのブチルエーテル化メラミン樹脂;スミマールM−100、同M−40S、同M−55(以上、いずれも住友化学社製)、サイメル303、同325、同327、同350、同370(以上、いずれも三井サイテック社製)、ニカラックMS17、同MS15(以上、いずれも三和ケミカル社製)、レジミン741(モンサント社製)等のメチルエーテル化メラミン樹脂;サイメル235、同202、同238、同254、同272、同1130(以上、いずれも三井サイテック社製)、スマミールM66B(住友化学社製)等のメチル化とイソブチル化との混合エーテル化メラミン樹脂;サイメルXV805(三井サイテック社製)、ニカラックMS95(三和ケミカル社製)等のメチル化とn−ブチル化との混合エーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0033】
酸触媒(D)
酸触媒(D)は、本発明組成物の硬化反応を促進するものであり、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、燐酸などの酸触媒又はこれらの酸のアミン中和物などを具体例として挙げることができる。なかでも上記スルホン酸化合物又はスルホン酸化合物のアミン中和物が好適である。酸触媒を配合することによって本発明組成物から得られるクリヤ塗膜の硬化性の向上に加えて鮮映性を向上させることもできる。硬化触媒を配合する場合には、その配合量は、得られる塗膜の物性などの点から、酸量(スルホン酸化合物のアミン中和物の場合は、この中和物からアミンを除去した残りのスルホン酸化合物量)として(A)、(B)及び(C)成分の固形分合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部の範囲内であることが好適である。
【0034】
本発明クリヤ塗料組成物は、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、高酸価ポリエステル樹脂(B)、メラミン樹脂硬化剤(C)及び酸触媒(D)を必須成分とするものであり、上記各成分の配合割合は、(A)、(B)及び(C)成分の合計100重量部に基いて以下の範囲内である。
【0035】
(A)成分:30〜80重量部、好ましくは40〜70重量部、
(B)成分:10〜50重量部、好ましくは15〜45重量部、
(C)成分:10〜40重量部、好ましくは15〜30重量部、
(D)成分:0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部。
【0036】
本発明クリヤ塗料組成物は、上記(A)、(B)、(C)及び(D)成分を必須成分とし、通常、有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて、有機樹脂微粒子、紫外線吸収剤、塗面調整剤、酸化防止剤、流動性調整剤、ワックス等の潤滑性付与剤などを適宜含有することができる。
【0037】
本発明クリヤ塗料組成物は、通常、有機溶剤型塗料組成物とされ、その場合の有機溶剤としては、塗料の各成分を溶解又は分散できるものが使用でき、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、 sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系;コスモ石油社製のスワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500等の芳香族石油系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。本発明クリヤ塗料組成物を着色ベース塗膜の上に塗装する場合には、上記有機溶剤は、着色ベース塗膜を溶解、膨潤などさせないものが好ましく、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族石油系溶剤等などを好適に使用することができ、塗料中の全溶剤の混合物である溶剤組成の溶解性パラメータ(sp値)が7.5〜9.5、好ましくは8.0〜9.0の範囲内にあることが好適である。
【0038】
本発明の塗料組成物は、耐汚染性及び鮮映性に優れたクリヤ塗膜を形成できるものであり、その効果を発揮するためには、被塗物上に、最上層塗膜として、塗装し焼付けてクリヤ塗膜形成することが好適である。
【0039】
本発明の塗料組成物は、鉄、アルミニウム、真鍮、銅板、ステンレス鋼板、ブリキ板、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Feなどの)めっき鋼板などの金属;これらの金属表面に燐酸塩処理、クロメート処理などの化成処理を施した表面処理鋼板等;プラスチック、木材、コンクリート、モルタル等の被塗物素材に、直接に又は該被塗物素材にプライマー及び/又は中塗及び/又は上塗着色ベースを施した塗膜形成被塗物の塗膜面に塗布でき、焼き付けることによって硬度、加工性、耐汚染性、鮮映性などの良好なクリヤ塗膜を形成することができる。
【0040】
本発明クリヤ塗料組成物において、その塗装膜厚は特に限定されるものではないが、通常、3〜50μm、好ましくは5〜30μm程度が好適であり、焼付け条件はクリヤ塗膜が硬化する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、雰囲気温度100〜300℃で20秒〜40分間の範囲内であることが好適である。
【0041】
本発明クリヤ塗料組成物は、例えば、建材や家電用などのプレコートメタルの上塗クリヤ塗装に使用する場合には、金属板上にプライマを塗装、焼付けし、次いでプライマ塗膜上に上塗着色ベース塗料を塗装、焼付けし、更に上塗着色ベース塗膜上に本発明クリヤ塗料組成物を塗装、焼付けする、いわゆる3コート3ベクによって3層の塗膜を形成することができるが、下記3コート2ベーク方式によっても金属板上にプライマ−上塗着色ベース塗膜−クリヤ塗膜からなる、塗膜の硬度、加工性、耐汚染性などの塗膜性能、及び鮮映性の優れた3層塗膜を形成することができる。
【0042】
上記3コート2ベーク方式は、例えば、連続的に移動する長尺の金属板上に、プライマ塗料膜と上塗着色ベース塗料膜とをウエットオンウエットにて塗布し、該両塗料膜を同時に焼付けてプライマ硬化塗膜と上塗着色ベース硬化塗膜とを形成した後、該上塗着色ベース硬化塗膜上に本発明のクリヤ塗料組成物を塗装し焼付けるものである。
【0043】
前記3コート3ベーク方式、3コート2ベーク方式などのプレコートメタルの塗装において、クリヤ塗料組成物の塗装は、例えば、コイルコート、カーテン塗装等の手段により行うことができ、クリヤ塗料塗膜の焼付けは、素材到達最高温度が150〜250℃程度となる条件で20秒間〜2分間程度加熱することによって行うことができる。
【0044】
上記3コート2ベーク方式において、プライマ塗料膜と上塗着色ベース塗料膜とが、ウエットオンウエットにて接するように塗布する方法としては、連続的に移動する長尺の金属板上にロールコータやカーテン塗装機などの塗装機によって形成されたプライマ塗料膜の上に、ローラーカーテン塗装機やスリット式カーテン塗装機により上塗着色ベース塗料膜をカーテン状にして形成する塗装方法、プライマ塗料層と上塗着色ベース塗料層とを2層に重ね合せてダイから吐出して、被塗物上にプライマ塗料層と上塗着色ベース塗料層との2層を同時に形成するダイコート法による塗装方法を挙げることができる。
【0045】
ここでローラーカーテン塗装による塗装方法は、回転するロール上に形成された塗料膜をドクターにて掻き取って、移動する被塗物上に塗料膜をカーテン状に落下させて塗装する方法である。ローラーカーテン塗装機としては、例えば特開平6−7724号公報、特開平6−134385号公報に記載された塗装機をしようすることができる。
【0046】
また、スリット式カーテン塗装による塗装方法は、細長いスリットから塗料を移動する被塗物上にカーテン状に落下させて塗装する方法である。
【0047】
また、上記ダイコート法による塗装方法に使用されるダイ塗装機としては、例えば特開昭4−100570号公報などに記載されたダイ塗装機を挙げることができる。ダイ塗装機におけるダイは、上刃、中刃及び下刃が重ね合わされた3枚の刃と、両側の側板とから構成されている。上刃と中刃との間隙が上層塗料用スロットを形成し、このスロットから上塗着色ベース塗料が押し出され、また下刃と中刃との間隙が下層塗料用スロットを形成し、このスロットからプライマ塗料が押し出され、各塗料層が各スロットから押し出されると滑らかに合流して重なった塗料層を形成するようになっている。この重なった塗料層が、ダイから押し出され重なった塗料層は、直接に連続的に移動する被塗物上に塗布してもよく、またいったん回転ロールに受け、ついで回転ロールから被塗物に塗布することもできる。
【0048】
上記3コート2ベーク方式によるプレコートメタルの塗装によって、3コート3ベーク方式と比較して、塗装工程における設備面での負担を小さくでき、焼付け工程の省エネルギー化ができる。
【0049】
【実施例】
以下、製造例、実施例及び比較例を掲げて本発明をより一層明らかにする。尚、特に断らない限り「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を意味する。
【0050】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の製造
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応槽に、下記の原料混合物を入れ、160℃から230℃まで3時間かけて昇温させ、生成した水を精留塔を通して留去した。230℃で1時間保持後、キシロールを添加し230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化反応を行った。
【0051】
1,4−ジメチロールシクロヘキサン 0.3モル
ネオペンチルグリコール 0.6モル
トリメチロールプロパン 0.1モル
イソフタル酸 0.9モル
酸価5になった時点で140℃まで冷却し2時間保持し、冷却後、スワゾール1500(コスモ石油(株)製、高沸点芳香族石油系溶剤)を加えて固形分50%のポリエステル樹脂(A−1)溶液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量3,000、ガラス転移温度32℃、sp値11.56、酸価5mgKOH/g、水酸基価72mgKOH/gを有していた。
【0052】
製造例2
製造例1において、反応槽に配合する原料混合物を下記のとおりとする以外は製造例1と同様に行い、固形分50%のポリエステル樹脂(A−2)溶液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量3,000、ガラス転移温度−5℃、sp値11.38、酸価5mgKOH/g、水酸基価72mgKOH/gを有していた。
1,4−ジメチロールシクロヘキサン 0.3モル
ネオペンチルグリコール 0.6モル
トリメチロールプロパン 0.1モル
イソフタル酸 0.6モル
アジピン酸 0.3モル
製造例3
東洋紡績(株)製の「バイロンKS1430V」(数平均分子量12,000、sp値11.30、酸価0.2mgKOH/g、ガラス転移温度1℃、水酸基価11mgKOH/gのポリエステル樹脂)50部をシクロヘキサノン/スワゾール1500=1/1(重量比)の混合溶剤50部に溶解させ、固形分50%のポリエステル樹脂(A−3)溶液を得た。
【0053】
製造例4 (比較用)
製造例1において、反応槽に配合する原料混合物を下記のとおりとする以外は製造例1と同様に行い、固形分50%のポリエステル樹脂(A−4)溶液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量3,000、ガラス転移温度32℃、sp値12.68、酸価5mgKOH/g、水酸基価77mgKOH/gを有していた。
エチレングリコール 0.6モル
1,4−ジメチロールシクロヘキサン 0.1モル
ネオペンチルグリコール 0.1モル
トリメチロールプロパン 0.2モル
イソフタル酸 0.85モル
アジピン酸 0.05モル
製造例5 (比較用)
製造例1において、反応槽に配合する原料混合物を下記のとおりとする以外は製造例1と同様に行い、固形分50%のポリエステル樹脂(A−5)溶液を得た。得られた樹脂は、数平均分子量3,000、ガラス転移温度−20℃、sp値11.42、酸価5mgKOH/g、水酸基価72mgKOH/gを有していた。
【0054】
エチレングリコール 0.6モル
1,4−ジメチロールシクロヘキサン 0.2モル
トリメチロールプロパン 0.2モル
イソフタル酸 0.45モル
アジピン酸 0.45モル
高酸価ポリエステル(B)の製造
製造例6
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わったアクリル樹脂反応槽に下記成分の混合物を入れて加熱し、160℃から230℃まで3時間かけて昇温し、230℃で1時間保持して生成した水を精留塔を通して留去した。ついでキシレンを少量添加し、230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化を行った。
【0055】
ヘキサヒドロ無水フタル酸 0.4モル
イソフタル酸 0.4モル
ネオペンチルグリコール 0.2モル
3,3−ジメチロールペンタン 0.2モル
トリメチロールプロパン 0.6モル
樹脂酸価が3以下になった時点で冷却し、140℃にてヘキサヒドロ無水フタル酸を0.8モル添加して140℃で2時間保持した後冷却した。冷却後、キシレンを加え固形分50%のポリエステル(B−1)溶液を得た。得られたポリエステルは、数平均分子量約2,500、樹脂酸価120mgKOH/g、水酸基価30mgKOH/g、ガラス転移温度30℃を有していた。
【0056】
製造例7
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わったアクリル樹脂反応槽に下記成分の混合物を入れて加熱し、160℃から230℃まで3時間かけて昇温し、230℃で1時間保持して生成した水を精留塔を通して留去した。ついでキシレンを少量添加し、230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化を行った。
【0057】
ヘキサヒドロ無水フタル酸 0.3モル
イソフタル酸 0.3モル
ネオペンチルグリコール 0.2モル
1,6−ヘキサンジオール 0.2モル
トリメチロールプロパン 0.7モル
樹脂酸価が3以下になった時点で冷却し、140℃にてヘキサヒドロ無水フタル酸を1.6モル添加して140℃で2時間保持した後冷却した。冷却後、キシレンを加え固形分50%のポリエステル(B−2)溶液を得た。得られたポリエステルは、数平均分子量約1,000、樹脂酸価220mgKOH/g、水酸基価15mgKOH/g、ガラス転移温度40℃を有していた。
【0058】
製造例8
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わったアクリル樹脂反応槽に下記成分の混合物を入れて加熱し、160℃から230℃まで3時間かけて昇温し、230℃で1時間保持して生成した水を精留塔を通して留去した。ついでキシレンを少量添加し、230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化を行った。
【0059】
ヘキサヒドロ無水フタル酸 0.62モル
イソフタル酸 0.22モル
ネオペンチルグリコール 0.20モル
3,3−ジメチロールペンタン 0.20モル
トリメチロールプロパン 0.60モル
樹脂酸価が3以下になった時点で冷却し、140℃にてヘキサヒドロ無水フタル酸を0.8モル添加して140℃で2時間保持した後冷却した。冷却後、キシレンを加え固形分50%のポリエステル(B−3)溶液を得た。得られたポリエステルは、数平均分子量約2,500、樹脂酸価120mgKOH/g、水酸基価20mgKOH/g、ガラス転移温度15℃を有していた。
【0060】
製造例9
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わったアクリル樹脂反応槽に下記成分の混合物を入れて加熱し、160℃から230℃まで3時間かけて昇温し、230℃で1時間保持して生成した水を精留塔を通して留去した。ついでキシレンを少量添加し、230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化を行った。
【0061】
ヘキサヒドロ無水フタル酸 0.43モル
イソフタル酸 0.43モル
ネオペンチルグリコール 0.45モル
トリメチロールプロパン 0.50モル
樹脂酸価が3以下になった時点で冷却し、140℃にてヘキサヒドロ無水フタル酸を0.3モル添加して140℃で2時間保持した後冷却した。冷却後、キシレンを加え固形分50%のポリエステル(B−4)溶液を得た。得られたポリエステルは、数平均分子量約2,500、樹脂酸価65mgKOH/g、水酸基価77mgKOH/g、ガラス転移温度30℃を有していた。
【0062】
製造例10 (比較用)
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わったアクリル樹脂反応槽に下記成分の混合物を入れて加熱し、160℃から230℃まで3時間かけて昇温し、230℃で1時間保持して生成した水を精留塔を通して留去した。ついでキシレンを少量添加し、230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化を行った。
【0063】
ヘキサヒドロ無水フタル酸 0.47モル
アジピン酸 0.48モル
1,4−ジメチロールシクロヘキサン 0.50モル
1,6−ヘキサンジオール 0.50モル
樹脂酸価が3以下になった時点で冷却し、140℃にてヘキサヒドロ無水フタル酸を0.07モル添加して140℃で2時間保持した後冷却した。冷却後、キシレンを加え固形分50%のポリエステル(B−5)溶液を得た。得られたポリエステルは、数平均分子量約5,500、樹脂酸価20mgKOH/g、水酸基価10mgKOH/g、ガラス転移温度−27℃を有していた。
【0064】
製造例11 (比較用)
撹拌機、温度計、還流冷却器等の備わったアクリル樹脂反応槽に下記成分の混合物を入れて加熱し、160℃から230℃まで3時間かけて昇温し、230℃で1時間保持して生成した水を精留塔を通して留去した。ついでキシレンを少量添加し、230℃でキシロールを還流させながら脱水しエステル化を行った。
【0065】
ヘキサヒドロ無水フタル酸 0.62モル
イソフタル酸 0.29モル
ネオペンチルグリコール 0.25モル
3,3−ジメチロールペンタン 0.25モル
トリメチロールプロパン 0.48モル
樹脂酸価が3以下になった時点で冷却し、140℃にてヘキサヒドロ無水フタル酸を0.68モル添加して140℃で2時間保持した後冷却した。冷却後、キシレンを加え固形分50%のポリエステル(B−6)溶液を得た。得られたポリエステルは、数平均分子量約4,500、樹脂酸価110mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、ガラス転移温度30℃を有していた。
【0066】
クリヤ塗料組成物の製造
実施例1
製造例1で得た50%水酸基含有ポリエステル樹脂(A−1)溶液140部(固形分量で70部)、製造例6で得た50%ポリエステル(B−1)溶液20部(固形分量で10部)、「サイメル303」(注1)20部及び「ネイキュア5225」(注2)0.4部(スルホン酸量で0.1部)を混合、撹拌してクリヤ塗料組成物を得た。
【0067】
(注1)サイメル303:三井サイテック(株)製、商品名、メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分約100%。
【0068】
(注2)ネイキュア5225:米国、キング インダストリイズ社製、商品名、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン中和溶液である硬化触媒、スルホン酸化合物の含有量約25%。
【0069】
実施例2〜11及び比較例1〜9
実施例1において、配合組成を後記表1に示す配合組成とする以外は実施例1と同様に行い、各クリヤ塗料組成物を得た。
【0070】
後記表1における各成分の配合量は、固形分又は有効成分の重量部によるものとする。表1において、ネイキュア5225の配合量はスルホン酸化合物の量にて表示した。表1中に実施例1〜11及び比較例1〜9で得られた塗料組成物における溶剤組成の溶解性パラメータ(sp値)を示す。
【0071】
後記表1における(註)は、下記の意味を有する。
【0072】
(*1)ニカラックMX500:三和ケミカル(株)製、メチルエーテル化メラミン樹脂。
【0073】
試験塗板の作成
クロメート処理を施した厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板上に、KPカラー8630プライマー(関西ペイント(株)製、プレコート鋼板用ポリエステル変性エポキシ樹脂系プライマー)と上塗着色ベース塗料としてのAT−2000グレー(関西ペイント(株)製、プレコート鋼板用上塗ポリエステル樹脂系塗料、グレー色)をダイコート塗装法により2層に重ねてダイから押出し、亜鉛メッキ鋼板にプライマ塗料膜が面するように塗装した。
【0074】
各塗料の塗装膜厚は、プライマー塗料塗膜が乾燥膜厚で約5μm、上塗着色ベース塗料層が乾燥膜厚で約14μmとした。またダイから押出す塗料の粘度は、プライマー塗料が90秒、上塗着色ベース塗料が100秒とした。塗装後、素材到達最高温度が220℃となるように70秒間焼付けて上塗着色ベース塗装鋼板を得た。
【0075】
ついで、焼付けられた各塗装鋼板の上塗着色ベース塗膜上に、前記実施例及び比較例で得た各上塗クリヤ塗料を粘度60秒に粘調して、ロールコータにて乾燥膜厚が約7μmとなるように塗装し、素材到達最高温度が235℃となるように50秒間焼付けて各試験塗板を得た。得られた各試験塗板に各種試験を行った。その試験結果を下記表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004160159
【0077】
【表2】
Figure 0004160159
【0078】
表1中における試験は下記試験方法に従って行った。
【0079】
試験方法
鮮映性:鮮映性測定器「PGD−IV型」(発売元 日本色彩研究所)を用いて、角度を55度に固定して、塗膜のPGD値を測定した。値が大きいほど鮮映性が良好である。
【0080】
密着性:JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目−テ−プ法に準じて、試験板の塗膜表面にカッターナイフで素地に到達するように、直交する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmのマス目を100個作成した。その表面にセロハン粘着テ−プを密着させ、テ−プを急激に剥離した際のマス目の剥れ程度を観察し下記基準で評価した。
◎:塗膜の剥離が全く認められない
○:塗膜がわずかに剥離したが、マス目は90個以上残存
△:塗膜が剥離し、マス目の残存数は50個以上で90個未満
×:塗膜が剥離し、マス目の残存数は50個未満。
【0081】
折曲げ加工性:20℃の室内において、塗面を外側にして試験板を180°折り曲げて、折曲げ部分にワレが発生しなくなるT数を目視にて評価し表示した。T数とは、折り曲げ部分の内側に何もはさまずに180°折り曲げを行った場合を0T、試験板と同じ厚さの板を1枚はさんで折り曲げた場合を1T、2枚の場合を2T、………8枚の場合を8Tとし、8枚挟んで折り曲げても折曲げ部分にワレが発生する場合は8T<と表示する。
【0082】
鉛筆硬度:塗装板の塗膜について、JIS K−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験を行い、塗膜の破れによる評価を行った。
【0083】
耐マジック汚染性:20℃の室内において、赤色の油性インキ(マジックインキ大型赤、登録商標)で塗面に線を引き、1時間放置後、n−ブタノールをしみこませたガーゼにて拭き取った。赤色の油性インキを拭き取った跡と元板との色差(ΔE)を測定する。色差が小さいほどは耐マジック汚染性良好である。
【0084】
耐タバコ汚染性:50×50mmの大きさに切断した試験板を、塗面が上になるように、20℃の室内に静置した容量約4リットルのデシケータ内に入れ、煙草(缶ピース)2本に火を付け、その煙りをデシケータ内に充満させて、24時間放置後、試験板表面を中性洗剤で洗浄して、試験していない元板との色差(ΔE)を測定する。色差が小さいほど耐煙草汚染性は良好である。
【0085】
耐溶剤性:20℃の室内において、メチルエチルケトンをしみ込ませたガーゼにて塗面に約1kg/cm2 の荷重をかけて、約5cmの長さの間を50回往復させた後の塗面状態を目視にて下記基準で評価した。
○:塗面に変化が認められない
△:塗面にキズが認められる
×:塗膜の白化又は膨潤が認められる。
【0086】
比較例4のクリヤ塗料を塗装した試験塗板は、硬化性が不良であり、耐溶剤性以外の試験は行わなかった。
【0087】
【発明の効果】
本発明のクリヤ塗料組成物は、特定のポリエステル樹脂と高酸価のポリエステルとメラミン樹脂架橋剤とを併用したものであり、本発明のクリヤ塗料組成物によって、これまで達成できなかった高度の耐汚染性と鮮映性の両者の性能を達成できるクリヤ塗膜を形成することができる。
【0088】
金属板上に、プライマ塗膜、上塗着色ベース塗膜及び最上層塗膜として本発明のクリヤ塗料組成物からの塗膜を形成した塗装鋼板は、塗膜硬度、加工性、耐汚染性などの塗膜性能を損なうことなく、大幅に鮮映性の優れたものとすることができる。

Claims (4)

  1. (A)数平均分子量1,000〜30,000、ガラス転移温度−10〜70℃、溶解性パラメータ(sp値)9.5〜12.5、酸価50mgKOH/g未満の水酸基含有ポリエステル樹脂30〜80重量部、
    (B)数平均分子量1,000〜4,000、ガラス転移温度−10〜70℃、酸価50〜400mgKOH/gの高酸価ポリエステル10〜50重量部及び
    (C)メラミン樹脂硬化剤10〜40重量部からなる樹脂成分100重量部に対して、
    (D)酸触媒を酸量として、0.01〜5重量部含有することを特徴とするクリヤ塗料組成物。
  2. クリヤ塗料組成物中の溶剤組成が、7.5〜9.5の溶解性パラメータ(sp値)を有するものであることを特徴とする請求項1記載のクリヤ塗料組成物。
  3. 連続的に移動する長尺の金属板上に、プライマ塗料膜と上塗着色ベース塗料膜とをウエットオンウエットにて塗布し、該両塗料膜を同時に焼付けてプライマ硬化塗膜と上塗着色ベース硬化塗膜とを形成した後、該上塗着色ベース硬化塗膜上に請求項1記載のクリヤ塗料組成物を塗装し焼付けることを特徴とする金属板の塗装方法。
  4. 請求項3記載の塗装方法によって塗装された塗装金属板。
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