JP4157925B2 - 脂肪酸アミド水分散液および顔料塗被紙用塗被組成物 - Google Patents
脂肪酸アミド水分散液および顔料塗被紙用塗被組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料塗被紙に関する。さらに詳しくは、印刷時または製本時等における印刷部分のインキが白紙部分に転移して白紙部分を汚してしまう問題の少ない顔料塗被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷性の向上を目的に原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物が塗被された顔料塗被紙の需要が増えつつある。中でも、マットコート紙、ダルコート紙等のいわゆる艶消し塗被紙は高級美術印刷、カタログ、パンフレット、カレンダーや商業出版用本文用紙等に幅広く使用されており、通常、重質または軽質の炭酸カルシウムを大量に配合することによって、白紙光沢の低下、白色度の向上やインキ受理性の向上が図られている。ところがこれらの顔料塗被紙には、印刷時または印刷後の製本工程等において印刷部分と白紙部分が接触することにより、印刷したインキが転移して白紙部分を汚してしまう問題(以下、こすれ汚れと呼ぶ)があった。特に前述の艶消し塗被紙においてこのこすれ汚れの問題が大きかった。
【0003】
本発明を解決するための方法として、塗被組成物中の全顔料成分に対し累積平均粒子径が0.4〜1.0μmのデラミネーテッドクレーを20〜80質量%含有せしめる方法(特開平5−5297号公報)、累積平均粒子径が0.5〜1.5μmの炭酸カルシウムを50〜80質量%及びカオリンを20〜50質量%を含有する塗被組成物を原紙に塗被した後、さらに100℃以上で高温ソフトカレンダー処理する方法(特開平5−117995号公報)、顔料100質量部に対して累積平均粒子径が3μm以下の炭酸カルシウムを20質量部以上含有した下塗り塗被液を塗被し、さらに顔料100質量部に対してクレーを60質量部以上含有した上塗り塗被液を塗被する方法(特開平5−214699号公報)、インキ転移防止剤として脂肪酸塩分散液を顔料100質量部に対して1.2〜2.0質量部含有せしめた塗被組成物を塗被する方法(特開平6−158594号公報)および顔料塗被層中に累積平均粒子径が8〜30μmであるポリオレフィン樹脂粒子が顔料に対し、固形分で0.2〜3質量%含有せしめた塗被組成物を塗被する方法(特公平11−2973853号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−5297号公報、特開平5−117995号公報および特開平5−214699号公報記載の方法ではこすれ汚れ防止効果は不十分である。また、特開平6−158594号公報では、実施例で累積平均粒子径5μm以下の脂肪酸塩分散液の使用が開示されており、特公平11−2973853号公報では、実施例で累積平均粒子径が27.5μmであるポリオレフィン樹脂粒子の使用が開示されているが、これらを用いたものではこすれ汚れ防止効果が不十分であった。以上のごとく、従来の方法ではこすれ汚れ防止効果は不十分であり、より優れたこすれ汚れ防止効果を持つ顔料塗被紙の開発が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者はこのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被、乾燥して得られる顔料塗被紙において、最上層の塗被組成物中に必須成分として用いられる、炭素数が2〜50かつ累積平均粒子径が6〜80μmの脂肪酸アミドを水中に分散して得られる水分散液(請求項1)、最上層の塗被組成物中に、全顔料100質量部に対し前記脂肪酸アミド水分散液を固形分換算で0.2〜10質量部、(A)累積平均粒子径が0.1〜3μmの重質および/または軽質炭酸カルシウムを40〜100質量部、ならびに(B)接着剤成分を5〜30質量部含有することを特徴とする顔料塗被紙用塗被組成物(請求項2)、および該組成物を塗被、乾燥して得られる顔料塗被紙(請求項3)である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の顔料塗被紙に使用し得る脂肪酸アミドは、実質的に水不溶性の脂肪酸アミドを意味する。
【0007】
炭素数が2〜50である脂肪酸アミドとしては、脂肪酸アミド、N−置換脂肪酸アミド等が挙げられる。
例えば脂肪酸アミドとしては、酢酸アミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、吉草酸アミド、イソ吉草酸アミド、カプロン酸アミド、エナント酸アミド、カプリル酸アミド、ペラルゴン酸アミド、カプリン酸アミド、ウンデカン酸アミド、ラウリン酸アミド、トリデカン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ペンタデカン酸アミド、パルミチン酸アミド、マーガリン酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、セロチン酸アミド、モンタン酸アミド、メリシン酸アミド、オクテン酸アミド、トウハク酸アミド、リンデル酸アミド、ラウロレイン酸アミド、ツズ酸アミド、フィセトレイン酸アミド、ミリストレイン酸アミド、ゾーマリン酸アミド、ペトロセリン酸アミド、オレイン酸アミド、バクセン酸アミド、カドレン酸アミド、エルカ酸アミド、セラコレイン酸アミド、リノール酸アミド、エレオステアリン酸アミド、リノレン酸アミド、パリナリン酸アミド、アラキドン酸アミド、フェニル酢酸アミド、β−フェニルプロピオン酸アミド、γ−フェニル酪酸アミド、δ−フェニル吉草酸アミド、ε−フェニルカプロン酸アミド、ζ−フェニルエナント酸アミド、η−フェニルカプリル酸アミド、θ−フェニルペラルゴン酸アミド、ι−フェニルカプリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドおよびリシノール酸アミド等が挙げられる。N−置換アミドとしては、N,N’−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−キシリレンビスステアリン酸アミド、酢酸酸モノメチロールアミド、カプリン酸モノメチロールアミド、ステアリン酸モノメチロールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、酢酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−メチルラウリン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、メチロールステアリン酸アミドおよびメチロールベヘン酸アミド等が挙げられる。
【0008】
脂肪酸アミドの累積平均粒子径(レーザー回折式粒度分布測定装置による50%体積平均粒子径)は、通常6〜80μm、好ましくは6〜60μm、さらに好ましくは10〜40μmである。累積平均粒子径が6μmより小さい脂肪酸アミドでは効果が低下し、80μmより大きいと塗被紙表面の白紙光沢、平滑性の低下、ストリークの発生等の問題が生じる。
【0009】
本発明の脂肪酸アミドは、酸無水物、酸塩化物、エステルとアンモニア、アルキルアミンの反応、ニトリルの加水分解、カルボン酸のアンモニウム塩の加熱分解、ケトオキシムに五塩化リンを作用させる方法、芳香族ケトンを多硫化アンモニウム水溶液とともに加熱する方法等で得られる。このようにして得られた脂肪酸アミドは、取り扱い上水分散液にして用いるのが好ましい。
【0010】
脂肪酸アミドの水分散液は、▲1▼あらかじめ粉砕して乳化分散剤存在下、攪拌混合機または分散機により水に分散させるか、▲2▼水、脂肪酸アミド、乳化分散剤を反応容器に入れ、脂肪酸アミドの融点以上に加熱し攪拌混合機または分散機により乳化分散後冷却すること等で得られるが、これらに限定されるものではなく、任意の乳化および分散方法を利用し、水分散液を得ても良い。該水性分散液の乳化分散に用いられる乳化分散剤としては、脂肪酸アミドを水中に分散あるいは乳化分散できるものであれば特に限定されず、界面活性剤および/または水溶性高分子が使用できる。
【0011】
界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ポリエーテル変成シリコーン、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・スルホコハク酸部分エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレン第2級トリデシルエーテル等)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールラウリン酸エステルおよびポリエチレングリコールオレイン酸エステル等)、脂肪酸アルカノールアミド(ラウリン酸ジエタノールアミドおよびステアリン酸モノエタノールアミド等)等が挙げられる。なお、塩としては、アンモニア、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミンおよびトリエチルアミン等)およびアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等)等のアミン化合物、周期律表第1族金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)および周期律表第2族金属(マグネシウム、カルシウムおよび亜鉛等)等が挙げられ、完全に、あるいは部分的に塩となっていても良い。
【0012】
水溶性高分子としては、セルロース、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、カードラン、寒天、デンプン、ヒアルロン酸、スクレログルカン、シゾフィラン、レンチナン、パラミロン、カロース、ラミナラン、グルコマンナン、アラビノガラクタン、キサンタンガム、ウェランガム、ラムザンガム、トラガントガム、キャロブガム、ローカストビーンガム、ペクチン、クインスシード、アルゲコロイド、グリチルリチン酸、デキストラン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、アガロース、グリコーゲン、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリオキシエチレンプロピレン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、アクリルアミドおよびアクリル酸の共重合物、アクリルアミドおよびメタクリル酸塩の共重合物、メタクリルアミドおよびアクリルアミドの共重合物、メタクリルアミドおよびメタクリル酸の共重合物、メタクリルアミドおよびメタクリル酸塩等が挙げられる。なお、塩としては、アンモニア、アルキルアミン(モノエチルアミン、モノブチルアミンおよびトリエチルアミン等)およびアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等)等のアミン化合物、周期律表第1族金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)および周期律表第2族金属(マグネシウム、カルシウムおよび亜鉛等)等が挙げられ、完全に、あるいは部分的に塩となっていても良い。
【0013】
乳化分散剤の使用割合は、脂肪酸アミド100質量部に対して、0.3〜50質量部、好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。乳化分散剤が0.3質量部より少ないと安定な水性分散液が得られず、50質量部を超えると耐水性や印刷適性(インキ受理性、ピック強度等)等の塗被紙物性が低下する。
【0014】
攪拌混合機としては、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダーおよびラインミキサー等が使用できる。
【0015】
分散機としては、プロペラ型攪拌機、ピストン型高圧乳化機、ホモミキサー、超音波式乳化分散機、加圧ノズル式乳化機、高速回転高せん断型攪拌分散機、コロイドミル、ガラスビーズおよびスチールボール等種々の媒体を使用して粉砕分散させるメディア型分散機、例えばサンドグラインダー、アジテーターミル、ボールミルおよびアトライター等が使用でき、これらの2種以上の設備を組み合わせて使用することもでき、攪拌混合機を組み合わせて使用することもできる。
【0016】
本発明において脂肪酸アミドの含有量は、塗被組成物中の全顔料100質量部に対して、固形分換算で通常0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜7質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。0.2質量部未満の含有量ではこすれ汚れ防止効果が十分でなく、10質量部を超える含有量では、塗被紙の平滑性やインキ着肉性に悪影響を与える。
【0017】
本発明において脂肪酸アミドの分散液には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐水化剤、防腐防黴剤、殺菌剤、消泡剤、香料、染料、顔料を含有または混合させても良い。
【0018】
本発明の顔料塗被紙としては、アート紙、上質コート紙、中質コート紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、キャストコート紙、エンボス紙、アートポスト紙、ファンシーコーテッド紙、純白ロールコート、ダルコート紙、マットコート紙、微塗工上質紙、微塗工印刷紙1、微塗工印刷紙2、微塗工印刷紙3等が挙げられる。但し感熱紙は含まないものとし、好ましくはダルコート紙、マットコート紙等の艶消し塗被紙である。
【0019】
本発明に用いられる原紙としては、広葉樹、針葉樹等の木材繊維を原料とした木材パルプ(砕木パルプ、レファイナー砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等の機械パルプ。クラフトパルプ、亜硫酸パルプ等の化学パルプ。ケミグランドパルプ、中性亜硫酸セミケミカルパルプ等のセミケミカルパルプ等)、新聞、雑誌、情報用紙、印刷紙等を原料とした古紙再生パルプ(離解パルプ、脱インキパルプ等)、木材以外の繊維を原料とした非木材パルプ(パガス、ケナフ、アシ、ワラ、麻、リンター等の非木材繊維を原料としたパルプ、ナイロン、ビニロン、テトロン、アクリル、レーヨン、ポリオレフィン等の合成繊維をパルプ状にした合成パルプ等)から製造される一般の上質系あるいは中質系の印刷用紙等が挙げられる。
【0020】
本発明の顔料塗被紙の顔料成分としては、平均粒子径が0.1〜3μmの重質および/または軽質炭酸カルシウムが40〜100質量部以上含有することが必要である。さらに好ましくは平均粒子径0.1〜3μmの重質および/または軽質炭酸カルシウムを65〜100質量部以上含有することが必要であり、その他0〜40質量部未満含有する顔料成分としては、平均粒子径が3μmを越える重質炭酸カルシウム、平均粒子径が3μmを越える軽質炭酸カルシウム、カオリンクレー、デラミネーテッドクレー、焼成クレー、酸化チタン、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、シリカ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、活性白土、珪藻土、レーキおよびプラスチックピグメント等の1種または2種以上が適宜選択して使用される。重質および/または軽質炭酸カルシウムの平均粒子径が3μmを超えると、塗被紙の平滑性やインキ着肉性が低下し、40質量部未満の配合量では白色度やインキ受理性が低下する。
【0021】
本発明の接着剤成分としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、酢酸ビニル、アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、メチルメタクリレート・ブタジエン系、ブチルアクリレート系等の共重合体ラテックス、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成系接着剤、酸化澱粉、エステル化澱粉、酵素変成澱粉、冷水可溶性澱粉、リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カゼインおよび大豆蛋白等の天然系接着剤等の一般の顔料塗被紙用接着剤が単独あるいは併用して用いられる。なお、これらの接着剤は顔料100質量部あたり通常5〜30質量部、好ましくは6〜25質量部程度の範囲で使用される。5質量部未満の配合量では塗被層強度が十分でなく、30質量部を超える配合量ではインキ受理性、着肉性等の印刷適性が低下する。また本発明の顔料塗被紙には、分散剤、耐水化剤、保水剤、流動性改良剤、消泡剤、潤滑剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤および防腐剤等、通常の塗被組成物に配合される各種助剤を必要に応じて適宜使用することができる。
【0022】
本発明においての塗被組成物の固形分濃度は、塗被装置および所望する塗被量によって異なるが、通常30〜70質量%、好ましくは40〜65質量%である。このようにして調整された塗被組成物は、通常の顔料塗被紙製造に用いられるブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、ロッドコーター、グラビアコーターおよびサイズプレスコーター等の塗被装置を備えたオンマシンあるいはオフマシンコーターによって原紙上に片面または両面に、単層または二層以上塗被される。原紙としては、一般の顔料塗被紙製造に用いられる坪量40〜300g/m2 のパルプ繊維を主体とする原紙または合成紙が使用できる。塗被組成物の塗被量は、片面あたり乾燥質量で通常5〜40g/m2 、白紙品質や印刷適性の面から10〜25g/m2 の範囲で塗被されるのが好ましい。さらに本発明の顔料塗被紙には、白紙光沢の調整や印刷適性向上のためスーパーカレンダー、マットカレンダー、ソフトニップカレンダーおよびマシンカレンダー等の表面処理装置を使用することもできる。本発明の顔料塗被紙は、顔料塗被紙表面間の動摩擦係数を低減させ、高光沢紙に比べ艶消し塗被紙に対するこすれ汚れ防止効果が高く、JIS.P8142法による75度白紙光沢が10〜40%程度の範囲で特にこすれ汚れ防止効果が高い。さらに、白紙光沢が低くなるに従いこすれ汚れの問題が大きくなることから、白紙光沢は好ましくは10〜35%、特に好ましくは15〜30%である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で得られた顔料塗被紙の白紙光沢、表面平滑性、滑り性、こすれ汚れ防止効果の評価ならびに実施例および比較例で用いた顔料および脂肪酸アミドの平均粒子径測定方法を以下に示す。なお、実施例、測定方法等における部は質量部を意味する。
【0024】
白紙光沢:JIS.P8142法に準じ、日本電色(株)製光沢度計を用い、75度光沢を測定した。数字が大きいほど白紙光沢は高い。
【0025】
表面平滑性:王研式平滑度計を用いて平滑度を測定した。数字が大きいほど平滑性は高い。
【0026】
滑り性:JIS.P8147法に準じ、テンシロンUTIII型(東洋ボールドウィン社製)を用い、顔料塗被紙表面間の動摩擦係数(動いている紙の動きを阻止しようとする摩擦力と垂直の力の比)を測定した。数字が小さいほど動摩擦係数は小さいために、滑り性は優れる。
【0027】
こすれ汚れ防止効果:実施例および比較例で得られた顔料塗被紙の表面にRI−1型印刷試験機を用い、大日本インキ(株)製オフセット印刷用インキ(グラフ−G墨)0.5ccを使用して印刷を行い、一昼夜放置した。テスター産業(株)製摩擦係数測定装置を用い、印刷した試験紙と白紙とを接触させ荷重1000g、速度200mm/分で4回摩擦を行い、印刷した紙から白紙に転移したインキの濃度を目視で判定し、こすれ汚れ防止効果を評価した。インキの転移が少ないほど、こすれ汚れ防止効果が高い。
◎インキの転移がほとんど無いもの
○わずかにインキが転移するもの
△インキの転移が多いもの
×インキの転移が非常に多いもの
粒子径測定:レーザー光回折・散乱法式粒度分布測定装置(MICROTRACHRA、Leeds&Northrup製)を用いて、以下の条件で測定した。
累積平均粒子径は、体積百分率が50%になるときの粒子径。
サンプル固形分濃度:2.5%
流量:40ml/秒
計測時間:30秒
【0028】
実施例1〜22、比較例1〜13
平均粒子径1.2μmの重質炭酸カルシウム(三共製粉(株)製、エスカロン#2000)70質量部、デラミネーテッドクレー(ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社製、NUCLAY)30質量部を分散剤(サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040)0.2質量部を用いて水に分散させ、スチレン−ブタジエンラテックス(ジェイエスアール(株)製、JSR0696)12質量部、酸化澱粉(日本食品加工(株)製、MS−3600)3質量部を加え、さらに表1に示した脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜W(実施例1〜22、比較例1〜12)を表2に示した添加量をそれぞれ加えて固形分濃度64%の塗被組成物を得た。この塗被組成物を坪量64g/m2 の上質紙原紙に塗被量が15g/m2 になるようにブレードコーターを用いて塗布した後、乾燥して顔料塗被紙を得た。比較のため、脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜Wを含まない塗被組成物を作成し、同様に塗布後、乾燥した顔料塗被紙を作成した(比較例13)。
【0029】
比較例14
比較例13の塗被組成物中の重質炭酸カルシウムを30質量部、デラミネーテッドクレーを70質量部とした以外は比較例13と同様にして脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜Wを含まない塗被組成物を作成し、同様に塗布後、乾燥した顔料塗被紙を作成した(比較例14)。
【0030】
実施例1〜22、比較例1〜14で得られた顔料塗被紙の白紙光沢、表面平滑性、滑り性および印刷後のこすれ汚れの評価結果を表2に示す。
【0031】
実施例23〜44、比較例15〜27
平均粒子径1.2μmの重質炭酸カルシウム(三共製粉(株)製、エスカロン#2000)45質量部、平均粒子径0.8μmの軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製、タマパールTP−222H)45質量部、カオリン(ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社製、ウルトラホワイト90)10質量部を分散剤(サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040)0.2質量部を用いて水に分散させ、スチレン−ブタジエンラテックス(ジェイエスアール(株)製、JSR0696)12質量部、酸化澱粉(日本食品加工(株)製、MS−3600)3質量部を加え、さらに表1に示した脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜W(実施例23〜44、比較例15〜26)を表3に示した添加量をそれぞれ加えて固形分濃度64%の塗被組成物を得た。この塗被組成物を坪量64g/m2 の上質紙原紙に塗被量が15g/m2 になるようにブレードコーターを用いて塗布した後、乾燥して顔料塗被紙を得た。比較のため、脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜Wを含まない塗被組成物を作成し、同様に塗布後、乾燥した顔料塗被紙を作成した(比較例27)。
【0032】
さらに実施例23〜44、比較例15〜27で得られた顔料塗被紙を、温度30℃、ニップ圧50kg/cmの条件にてスーパーカレンダー処理を行い、得られた顔料塗被紙の白紙光沢、表面平滑性、および印刷後のこすれ汚れの評価結果を表3に示す。
【0033】
実施例45〜66、比較例28〜40
平均粒子径0.8μmの軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製、タマパールTP−222H)70質量部、カオリン(ENGELHARD MINERAL&CHEMICALS社製、ウルトラホワイト90)30質量部を分散剤(サンノプコ(株)製、SNディスパーサント5040)0.2質量部を用いて水に分散させ、スチレン−ブタジエンラテックス(ジェイエスアール(株)製、JSR0696)25質量部、酸化澱粉(日本食品加工(株)製、MS−3600)2質量部を加え、さらに表1に示した脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜W(実施例45〜66、比較例28〜39)を表4に示した添加量をそれぞれ加えて固形分濃度64%の塗被組成物を得た。この塗被組成物を坪量64g/m2 の上質紙原紙に塗被量が15g/m2 になるようにブレードコーターを用いて塗布した後、乾燥して顔料塗被紙を得た。比較のため、脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜Wを含まない塗被組成物を作成し、同様に塗布後、乾燥した顔料塗被紙を作成した(比較例40)。
【0034】
比較例41
比較例40の塗被組成物中の軽質炭酸カルシウムを30質量部、カオリンを70質量部とした以外は比較例40と同様にして脂肪酸アミドおよびポリオレフィン樹脂分散物A〜Wを含まない塗被組成物を作成し、同様に塗布後、乾燥した顔料塗被紙を作成した(比較例41)。
【0035】
実施例45〜66、比較例28〜41で得られた顔料塗被紙の白紙光沢、表面平滑性、および印刷後のこすれ汚れの評価結果を表4に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【発明の効果】
表2、表3、表4から明らかなように、本発明の顔料塗被紙は印刷部分と白紙部分が接触することにより、印刷したインキが転移して白紙部分を汚してしまう問題を防止する効果の高いものであり、実用上極めて有用である。
Claims (3)
- 原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被、乾燥して得られる顔料塗被紙において、最上層の塗被組成物中に必須成分として用いられる、炭素数が2〜50かつ累積平均粒子径が6〜80μmの脂肪酸アミドを水中に分散して得られる水分散液。
- 原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被、乾燥して得られる顔料塗被紙において、最上層の塗被組成物中に、全顔料100質量部に対し請求項1記載の脂肪酸アミド水分散液を固形分換算で0.2〜10質量部、(A)累積平均粒子径が0.1〜3μmの重質および/または軽質炭酸カルシウムを40〜100質量部、ならびに(B)接着剤成分を5〜30質量部含有することを特徴とする顔料塗被紙用塗被組成物。
- 請求項2記載の顔料塗被紙用塗被組成物を塗被、乾燥して得られる顔料塗被紙。
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