JP2696795B2 - 艶消し塗被紙の製造方法 - Google Patents

艶消し塗被紙の製造方法

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JP2696795B2
JP2696795B2 JP8551589A JP8551589A JP2696795B2 JP 2696795 B2 JP2696795 B2 JP 2696795B2 JP 8551589 A JP8551589 A JP 8551589A JP 8551589 A JP8551589 A JP 8551589A JP 2696795 B2 JP2696795 B2 JP 2696795B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、艶消し塗被紙、特に低白紙光沢で低インキ
光沢を発現し、上品で印刷モトルが発生せず、且つ印刷
適性の優れた艶消し塗被紙を製造する方法に関する。
「従来の技術」 艶消し塗被紙は高光沢を有する一般の印刷用塗被紙に
比較して上品で深みのあるトーンを醸し出すために高級
イメージ感が強く、例えば各種書籍や雑誌等の表紙、高
級ポスター、カタログ等から本文用紙に至るまで幅広く
利用され、汎用価値の高い塗被加工紙の一つである。
従来、艶消し塗被紙としては2種類が有り、その1つ
はマット−グロス型と呼ばれ、白紙光沢は低いが高いイ
ンキ光沢を有する艶消し塗被紙であり、他の1つはマッ
ト−マット型と呼ばれ、白紙光沢もインキ光沢も共に低
い艶消し塗被紙である。
即ち、前者のマット−グロス型塗被紙の製造方法は、
印刷インキの吸収を抑えて、インキ光沢を出す必要性か
ら、緻密な塗被層面を作る必要があるインキ光沢の出や
すい顔料、例えば平均粒子径が約0.5〜1.5μmの比較的
微粒子の顔料を使用した塗被組成物を塗被し、例えば特
公昭59−53956号に記載されているように塗被層表面を
粗面化金属ロールを有するキャレンダーで艶消し仕上げ
をする低白紙光沢−高インキ光沢の艶消し塗被紙であ
り、白紙光沢(JIS P8142法)も25〜40%と比較的高く
なっている。又、後者のマット−マット型塗被紙の製造
方法は、通常の印刷塗被紙の製造に用いられる塗被紙用
顔料のうち、平均粒子径が1〜2μm程度の比較的粗い
顔料を主成分とする塗被液を原紙に塗被乾燥後、キャレ
ンダー等によって平滑化仕上げをせずにそのまま仕上げ
るか、或いは非常に軽くキャレンダー処理をして仕上げ
られるもので、白紙光沢度も5〜30%と低い低白紙光沢
−低インキ光沢タイプの艶消し塗被紙である。一般にこ
のような艶消し塗被紙は平滑度が著しく劣り、且つ印刷
適性も悪いものである。従って、良好な平滑性を得る為
にはやはり、キャレンダー等による表面加圧処理が必要
であるが、粒子径の細かい、例えばカオリン等を高率配
合したような塗被組成物を用いると、容易に白紙光沢や
インキ光沢が出やすくなり、一方顔料に炭酸カルシウム
のような粒子形状が不定形の顔料を主顔料として使用す
れば、白紙光沢により低く抑えることができるが、塗被
層表面のミクロポーラス性(微細孔)がキャレンダー処
理により減少するためにインキ光沢がででしまい、結果
としてマット−グロス型塗被紙になってしまう。特にオ
フセット印刷による多色刷りのベタ部では、インキ光沢
が斑になり非常に醜い印刷仕上がりとなる。尚、塗被組
成物を塗被後ブレードで掻きおとして、計量と平滑化を
行うような場合も塗被層が緻密化されるために、結果と
してインキ光沢が発現されてしまう。上記の如き事情か
ら、良好な平滑性を有するマット−マット型の艶消し塗
被紙が得られていないのが現状である。
「発明が解決しようとする課題」 本発明の方法は、高い平滑性と印刷モトルのない優れ
た印刷適性を有するマット−マット型の艶消し塗被紙を
得る方法を提供するものである。
「課題を解決するための手段」 本発明は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性
塗被組成物を塗被乾燥後、キャレンダー仕上げする艶消
し塗被紙の製造方法において、原紙の動的濡れ値が−0.
32〜0.20gであり、顔料として平均粒子径が2〜15μm
の炭酸カルシウムを50〜100重量部、サチンホワイトを
0.1〜5.0重量部含有させたことを特徴とする艶消し塗被
紙の製造方法である。
「作用」 本発明者等は、前述の如くマット−マット型タイプの
艶消し塗被紙を得る方法において、塗被層を平滑化する
とインキ光沢が高くなり、その上に印刷インキモトルが
発現し、又インキ光沢を低くする対策を取ると逆に平滑
度を落とさなければならないという矛盾した問題につい
て鋭意検討、研究を重ねた結果、主顔料として平均粒子
径が2〜15μmである粗粒子炭酸カルシウム、補助顔料
として特定量のサチンホワイトを含有する水性塗被組成
物を、特定の動的濡れ値を有する原紙上に塗被すること
によって、印刷インキモトルの発生がなく、しかも印刷
適性の極めて優れたマット−マット型タイプの艶消し塗
被紙が得られることを見出し、遂に本発明を完成するに
至った。
先ず、本発明の方法における原紙特性、即ち動的濡れ
値について述べる。
原紙の動的濡れ値としては−0.32〜0.20gに特定され
るものであるが、該濡れ値が−0.32g未満の場合は塗被
液の原紙への浸透が非常に遅くなり、塗被液の不動化時
間が長くなり、バインダーのマイグレーションが起こり
易く、均一なバインダーの分布が損なわれるために、印
刷後に印刷インキモトルが発生し易くなる。一方0.20g
を越えると原紙内への塗被液の浸透が速く、本発明の塗
被液を原紙上に塗被した場合,平均粒子径が2〜15μm
の重質炭酸カルシウムを主顔料とする保水性の悪い塗被
組成物は加速度的に原紙内への浸透が促進され、結果と
して原紙面上に留まる塗被組成物が少なくなり、原紙面
の被覆が十分に行われないために、所望とする面平滑を
得ることができない。
ここに、動的濡れ値とは動的濡れ性試験器(WET−300
0/(株)レスカ製)を用いて、原紙の水に対する濡れ易
さ(付着力)を時間的に測定した値である。具体的には
上記試験器を用い、2×5cm試験片を16mm/秒の速さで、
水中12mmの深さに10秒間浸漬した時の経時的濡れの大き
さ(付着力)を測定するものであるが、本発明者等は濡
れ値について、さらに検討を加えた結果、試験スタート
から2秒後の濡れ値がインキモトルと平滑性に極めて大
きな相関関係を有することが判った。よって、本発明で
はこの2秒後の測定値を動的濡れ値とするものである。
そして、動的濡れ値は値が小さい程、水濡れが悪く、値
が大きくなる程水濡れがよくなることを示すものであ
る。
なお、原紙の動的濡れ値の調整は、パルプ組成、叩解
条件、填料の種類と添加量、紙力剤、内添サイズ剤、p
H、表面サイズ剤、表面処理剤、乾燥条件等を個々の抄
紙機及び抄紙条件により適宜調整して決定されるもので
あり、一概に特定できるものではない。また、本発明の
方法で特定した原紙の動的濡れ値と印刷インキモトルと
の間に見られた明瞭な相関関係は、従来の吸水性適性と
して紙試験等に適用されているコブ吸水度、ステキヒト
サイズ度等の値との間には見出せ無かった。
因みに、原紙の動的濡れ値が0.20gを越えると(原紙
の濡れ値が大きいと)原紙内への水性系組成物の浸透が
速く、本発明の塗被液を原紙上に塗被した場合、平均粒
子径が2〜15μmの重質炭酸カルシウムを主顔料とする
保水性の悪い塗被組成の為、相乗効果的に水性系組成物
の原紙内への浸透が速くなり、原紙上に溜る水性系塗被
組成物の量が減少し、結果として原紙面の被覆が充分行
われず、所望とする面平滑を得ることが出来ない。一
方、動的濡れ値が−0.32g未満(濡れ不足)になると、
原紙内への水性塗被組成物の浸透が非常に遅くなり、塗
被液の不動化時間が長くなり、バインダーのマイグレー
ションが起こり易くなり、均一なバインダーの分布が損
なわれ、結果として、印刷後、印刷インキモトルが発生
する。
次いで、塗被組成物の顔料特性について述べる。即
ち、一般の印刷塗被紙用塗被組成物の主顔料として使用
される顔料としては、例えばカオリン、タルク、水酸化
アルミニウム等があるが、これら平板状の顔料を使用す
ると、その平均粒子径が2〜15μmを満たしていても、
これらの顔料は塗被層面に平行に配向し、塗被層が緻密
に仕上がり、インキ吸収性が遅くなるために、結果とし
てインキ光沢が発現される。従って、本発明の方法で
は、主顔料として粒子形状が不定形であり、且つ塗被工
程或いはカレンダー処理によっても原則的に並行に配向
化しない粗粒の重質炭酸カルシウムが特に好ましい。ま
た、二次凝集により粗粒子化した比表面積の大きい軽質
炭酸カルシウムを用いても、低いインキ光沢を維持しな
がら面平滑性の良い艶消し塗被紙を得ることも可能であ
る。
本発明における塗被組成物の主成分として使用される
炭酸カルシウムは比較的粗大粒子径のものを使用するこ
とを特徴とし、具体的にはその平均粒子径を2〜15μ
m、より好ましくは3〜10μmに特定するものである。
因みに、2μm未満ではインキ光沢が高くなり過ぎ、15
μmを越えると塗被層表面のミクロ平滑性が低下して印
刷適性が劣るようになり、いずれも不適当である。な
お、全顔料中に占める上記特定の炭酸カルシウムの量は
50〜100重量部が好ましく、50重量部未満の場合は所望
の効果を得ることが難しくなる。また、一方では主顔料
として粗大粒子径の炭酸カルシウムを用いるため、塗被
液の固状化点(紙パ技協誌39巻第7号621頁参照)が高
くなり、結果として乾燥工程において接着剤のマイグレ
ーションが起こり印刷インキモトルを改良するには至ら
なかった。
従って、本発明者等は上記の如きインキモトルを改善
する方法として、塗被組成物の固状化点を下げてやるこ
とが極めて重要な要件であることを突き止め、種々検
討、研究を重ねた結果、塗被組成物中に補助顔料とし
て、少量のサチンホワイトを添加してやると、塗被組成
物の固状化点が極めて効果的に下がることを見出した。
即ち、サチンホワイトとして全顔料中に0.1〜5.0重量
部、より好ましくは0.5〜3.0重量部の範囲で適用すると
好ましい結果を得ることができた。
理由については必ずしも明らかではないが、少量のサ
チンホワイトを使用すると、本発明における粗大粒子径
の炭酸カルシウムを用いて場合に見られる、塗被液の固
状化点の上昇を顕著に低下させる作用効果を示すことで
ある。因みに、0.1重量部未満では固状化点の低下効果
が見られず、一方5.0重量部を越えると、塗被紙の白紙
光沢及びインキ光沢が高くなり所望のマット−マット型
の塗被紙を得ることができない。なお、本発明で使用さ
れるサチンホワイトの平均粒子径としては1.2μm以下
のものが好ましい。1.2μmを越えると、塗被組成物を
ブレード塗工する場合にストラクタイト、スクラッチ及
びストリーク等が発生し易くなるので望ましくない。
また、サチンホワイトの平均粒子径は以下の如き測定
方法によって定めた値である。
即ち、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムをサチ
ンホワイト(固形分)に対し5重量%添加し、固形分濃
度2〜3重量%のサチンホワイトの分散液を調製し、30
〜35℃で超音波分散器により5分間分散させて、重力沈
降法(測定器/セディグラフ5000−01:島津製作所製)
により粒度重量分布を測定し、得られた粒度重量分布で
50%時の球相当直径をサチンホワイト(比重;1.77とし
た)の平均粒子径とした。サチンホワイトの結晶形は針
状或いは棒状であるが、本発明の所望の効果を得るに
は、この平均粒子径測定法を用いて考察するのが最も有
効な方法であった。
なお、本発明の方法において調製される塗被組成物と
しては、塗被層のミクロ平滑性を改良する為に、顔料と
して炭酸カルシウム以外に塗被紙用顔料として汎用され
ているカオリン、クレー、酸化チタン、タルク、焼成ク
レー等の顔料が本発明の目的を損なわない範囲で適宜使
用される(全顔料に対し50重量%未満)。しかしなが
ら、これ等の顔料は通常平均粒子径が2μ以下のものが
多いから、本発明の効果が損なわれない程度に調節する
ことが必要である。
上記の如く、本発明で使用する顔料は各種のものが用
いられるが、顔料の種類によって比重が異なることもあ
って、混合顔料の平均粒子径を直接測定することが難し
く、本発明では島津製作所(株)製の粒度分布測定器
(SA−CP3)により、予め用いる個々の顔料について単
独の平均粒子径を測定しておき、そのときの顔料配合に
応じて、計算により全顔料の平均粒子径を算出した。
塗被組成物中に使用される接着剤としては、例えばカ
ゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類とスチレン・
ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエ
ン共重合体等の共役ジエン系重合他ラテックス、アクリ
ル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体
又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテック
ス、或いはこれら各種重合体ラテックスをカルボキシル
基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ溶解性或い
はアルカリ非溶解性の重合体ラテックス;ポリビニルア
ルコール、オレフィン・無水マレイン酸樹脂、メラミン
樹脂等の合成樹脂系接着剤陽性澱粉、酸化澱粉等の澱粉
類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース等のセルロース誘導体の如き通常の塗被紙用接
着剤の1種又は2種以上が適宜選択して使用される。
尚、一般に接着剤は顔料100に対して5〜30重量%、よ
り好ましくは10〜20重量%程度の範囲で配合される。ま
た、塗被組成物中には必要に応じて消泡剤、着色剤、離
型剤、流動変性剤等の各種助剤が適宜配合されるが、塗
被層の固化を促進する助剤として、例えばアミン、アミ
ド、ポリアクリルアミド等や亜鉛、アルミニウム、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム等の多価金属塩を顔料
100に対して0.1〜10重量%程度添加することも可能であ
る。
かくして、得られた水性塗被組成物は一般公知の、例
えばブレードコーター、エヤーナイフコーター、ロール
コーター、リバースロールコター、バーコーター、カー
テンコーター、ダイスロットコーター、グラビヤコータ
ー、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター
等の塗被装置を設けたオンマシン或いはオフマシンコー
ターによって原紙上に一層或いは多層に分けて塗被され
るが、特に、本発明の場合最上層の塗被層はブレードコ
ーターによって形成されることが重要である。
本発明における塗被組成液はベント型或いはベベル型
のブレードコーターで塗被する場合には、エアーナイフ
コーター、ロールコーター、ロッドコーター等のコータ
ーで塗被した場合に比較して、より優れた平滑な塗被層
面が得られる。しかし、このようにブレード塗工を行う
場合は、前述した如く塗被液中に配合されるサチンホワ
イトの平均粒子径を1.2μm以下にしておくことが重要
である。
さらに、本発明者等は塗被組成液を原紙に塗工した後
の乾燥についても検討を加えた結果、乾燥条件もバイン
ダーのマイグレーションの動向に大きく関与しているこ
とが判った。特に、本発明の方法のように、粗粒子炭酸
カルシウムを主顔料に用いた場合には、原紙に塗被液を
塗被した後で従来の如き蒸気加熱、ガスヒーター加熱、
熱風加熱、ドラム加熱等によって乾燥すると、塗被層の
表面部分のみの乾燥が先行し、塗被層全体にわたる均一
な乾燥(特にZ軸方向の乾燥)が行われず、結果的に乾
燥ムラやバインダーのマイグレーションが起こり、印刷
インキのモトル発生が助長される傾向のあることが判明
した。
かかる知見に基づき、さらに乾燥に関して鋭意研究を
重ねた結果、湿潤塗被層の乾燥手段として、近赤外線を
使用すると塗被層の乾燥が全体的(Z軸方向にわたり)
に均一となり、本発明の所望の効果を得るために、極め
て有効な手段であることが判った。
赤外線乾燥は従来からよく知られている乾燥方式の1
つであるが、赤外線は通常、その波長が0.75〜2.5μm
の近赤外域、2.5〜25μmの中間赤外域、25〜2000μm
の遠赤外域の赤外線に大別されるものであり(機器分析
のてびき−化学同人/1979年4月20日発行参照)、一般
には波長が2.5μm以上の中間赤外線や遠赤外線が専ら
使用されているものであるが、本発明の方法で使用する
近赤外線による乾燥は比較的新しい乾燥方式である。
即ち、本発明の方法では、この近赤外域の赤外線を選
択的に利用するものであり、波長が0.75〜2.5μm、よ
り好ましくは1.0〜2.0μmの近赤外線を利用するもので
ある。因みに、波長が0.75μm未満であるとコート層の
乾燥及び固化のための水分蒸発に対する効果が極めて少
なくなり、一方2.5μmを越えると、通常の水分の蒸
発、乾燥には有効であるが、本発明の所望の効果を得る
ことができない。
このように、近赤外線乾燥が印刷インキのモトル発生
の防止に効果があるのは、必ずしも明らかではないが、
近赤外線は塗被層に対する透過力が強く、且つエネルギ
ー密度も高いため、本発明で特定された原紙に特定のサ
チンホワイトを含有した湿潤塗被組成物を乾燥する場
合、塗被層が瞬時に且つ均一に固化、乾燥が進行するた
めにバインダーのマイグレーションが効果的に抑制され
る結果によるものとおもわれる。このために、塗被層中
のバインダーの均一な分布が損なわれないので印刷イン
キモトルの発生しない、所望とする艶消し塗被紙が得ら
れものと推定される。
以上述べたように、特定の顔料配合から成る塗被組成
物を特定の動的濡れ値を有する原紙に塗被乾燥して仕上
げると両者の相乗効果によって、極めて効果的にインキ
モトルが解消され、然も優れた平滑性を有する艶消し塗
被紙を得ることができる。
なお、本発明において使用される原紙の米坪としては
30〜400g/m2程度のものが目的に応じて適宜使用され
る。
また、原紙への塗被量は、通常乾燥重量で片面当り3
〜50g/m2程度であるが、得られる塗被紙の白紙品質、印
刷適性等を考慮すると8〜30g/m2程度の範囲で調節する
のが望ましく、又、乾燥後の塗被紙の水分は通常3〜10
%の範囲に調節される。
かくして、得られた乾燥塗被紙はオン或いはオフのス
ーパーキャレンダー、マットキャレンダー、粗面化ロー
ルキャレンダーやソフトキャレンダー等で加圧仕上げさ
れるが、本発明の方法では白紙光沢(JIS P 8142法に準
じた測定に基づく)が25%以下、より好ましくは20%以
下となるように軽度の加圧仕上げが行われる。この場
合、本発明の所望とするバランスの取れた白紙光沢と平
滑性を得る為には、艶消し塗被紙の密度として1.00〜1.
18g/m3程度の範囲になるように仕上げるのが望ましい。
上記の如き特定の原紙、塗料、塗工方法及び乾燥方法
により得られる本発明の艶消し塗被紙は、白紙光沢及び
印刷インキ光沢が低く、且つ面平滑並びに印刷後の印刷
モトルの改良されたマット−マット型の塗被紙を提供す
るものである。
「実施例」 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する
が、勿論これらに限定されるものではない。なお、特に
断らない限り、例中の「部」及び「%」はそれぞれ「重
量部」及び「重量%」を示す。
実施例1 (原紙の調製) LBKP(フリーネス450ml)90部とNBKP(フリーネス500
ml)10部を配合したパルプスラリーにタルクを20部添加
し、さらにロジンサイズを1.2部、硫酸バンドを3部添
加し、白水で希釈してpH4.9、固形分濃度0.6%の紙料を
得た。この紙料をツインワイヤー抄紙機を用いて抄紙
し、乾燥して原紙を得た。次に、予め蒸着して得た酸化
澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社製)を希
釈し濃度5%の澱粉水溶液を調製した。この澱粉水溶液
を使用して、前記の原紙上に乾燥重量で2.5g/m2となる
ようにサイズプレス処理を施し、乾燥後マシンキャレン
ダーで処理し、米坪74g/m2、動的濡れ値が−0.20gの原
紙を得た。
(塗被紙の調製) 平均粒子径が8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:B
F−100/備北粉化工業社製)99部、平均粒子径が0.8μm
のサチンホワイト(商品名:SW−B/白石工業社製)1
部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部をコーレ
ス分散機を用いて水中に分散し、固形分濃度70%の顔料
スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商
品名:エースA/王子コーンスターチ社製)7部およびス
チレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN−3
07/住友ノーガタック社製)12部(それぞれ固形分)を
加え、さらに水を加えて固形分濃度60%の塗被液を調製
した。
このようにして得た塗被紙を前記の動的濡れ値が−0.
20gの原紙上に、乾燥重量が片面当たり25g/m2となるよ
うにブレードコーターで両面に塗被し、熱風乾燥機で乾
燥後、塗被紙の密度が1.05g/cm3となるようにスーパー
キャレンダー掛けを行って艶消し塗被紙を得た。得られ
た艶消し塗被紙について下記に示す品質評価を行い、そ
の結果を表−1に示した。
〔品質評価項目と評価方法〕
全顔料平均粒子径;粒度分布測定器SA−CP3(島津製
作所製)を用いて各顔料の平均粒子径(μm)をそれぞ
れ測定し、計算により求めた。
白紙光沢;JIS P 8141に準じ角度75゜で測定した。
白紙平滑度;スムースター平滑度計(東英電子社製)
を用いて測定した。値が小さい程、平滑性が良い。
印刷モトル;RI印刷機(明製作所製)を使用して印刷
を行い、藍インキの印刷ムラ状態を目視判定により評価
した。
実施例2 実施例1において、重質炭酸カルシウム99部の代わり
に、平均粒子径が14μmの重質炭酸カルシウム(商品
名:BF−300/備北粉化工業社製)50部、平均粒子径が4
μmの軽質炭酸カルシウム(商品名:TNC−C30/東洋電化
工業社製)49部を用いた以外は、同様にして艶消し塗被
紙を得た。得られた艶消し塗被紙について実施例1と同
様にして品質評価を行い、その結果を表−1に示した。
実施例3 実施例1において、重質炭酸カルシウム99部の代わり
に、平均粒子径が3μmの重質炭酸カルシウム(商品
名:ソフトン1500/備北粉化工業社製)99部を用いた以
外は、同様にして艶消し塗被紙を得た。得られた艶消し
塗被紙について実施例1と同様にして品質評価を行い、
その結果を表−1に示した。
実施例4 顔料として、実施例1で用いた平均粒子径が8μmの
重質炭酸カルシウム96部、平均粒子径が0.8μmのサチ
ンホワイト4部を用いた以外は実施例1と同様にして艶
消し塗被紙を得た。得られた艶消し塗被紙について実施
例1と同様に品質評価を行い、その結果を表−1に示し
た。
実施例5〜6 (原紙の調製) LBKP(フリーネス400ml)85部とNBKP(フリーネス460
ml)15部を配合したパルプスラリーに、填料として重質
炭酸カルシウム(商品名:ソフトン−1200/備北粉化工
業社製)20部を撹拌しながら添加し、硫酸バンドを0.5
部、カチオン性タピオカ澱粉(商品名:アミロファック
スT−2200/松谷化学工業社製)0.5部およびアルキルケ
テンダイマー(商品名:SPK−902/荒川化学工業社製)0.
2部を撹拌しながら添加した。次いで、このパルプスラ
リーを白水で希釈した後、アニオン性ポリアクリルアミ
ド(商品名:パーコール155/アライドコロイド社製)0.
02部をよく撹拌しながら添加してpH8.0、濃度0.7%の試
料を得た。かくして得た試料を長網抄紙機を用いて抄紙
し、乾燥シートを得た。
次に、実施例1と同様に蒸着して得た酸化澱粉にアク
リル系表面サイズ剤(商品名:AK−400/ミサワセラミッ
クケミカル社製)を100(澱粉):3(サイズ剤)の比率
で混合し、調製して得た濃度5%の澱粉水溶液をサイズ
プレス装置を用いて、先に調製した原紙シートに乾燥重
量で2g/m2となるようにサイズプレスコーティングを行
い、マシンキャレンダーに通紙し、米坪が74g/m2、動的
濡れ値が−0.25gの原紙(実施例5)を得た。また、サ
イズプレスコーティング用塗液の調製において、アクリ
ル系表面サイズ剤を添加しなかったこと以外は、同様に
して米坪が74g/m2、動的濡れ値が0.15gである原紙(実
施例6)を得た。
(塗被紙の調製) 上記動的濡れ値がそれぞれ−0.25g、0.15gである原紙
を用いた以外は、実施例1と同様にして艶消し塗被紙を
得た。得られた艶消し塗被紙について実施例1と同様に
品質評価を行い、その結果を表−1に示した。
顔料として平均粒子径が14μmの重質炭酸カルシウム
(商品名:BF−300/備北粉化工業社製)89部、カオリン
(商品名:HT/エンゲルハード社製)10部、平均粒子径が
0.8μmのサチンホワイト(商品名:SW−B/白石工業社
製)1部を用い塗被液を調製し、この塗被液を実施例1
と同様の原紙に塗被した直後に1.2μm波長の近赤外線
を照射し、さらに熱風乾燥機で乾燥した以外は、実施例
1と同様にして艶消し塗被紙を得た。得られた艶消し塗
被紙について実施例1と同様に品質評価を行い、その結
果を表−1に示した。
実施例8〜10 乾燥方法として、実施例7に準じた方法を用いたが、
この場合に赤外線照射における赤外線の波長をそれぞれ
1.2、1.7、0.7μmとした以外は、実施例1と同様にし
て艶消し塗被紙を得た。得られた艶消し塗被紙につい
て、実施例1と同様にして品質評価を行い、その結果を
表−1に示した。
比較例1〜2 実施例1の塗被液において、顔料として平均粒子径が
8μmの重質炭酸カルシウムの代わりに、平均粒子径が
それぞれ1.0μm(商品名:ソフトン2200/備北粉化工業
社製…比較例1)、17.0μm(一般重質炭酸カルシウム
2級品/竹原化学工業社製…比較例2)の重質炭酸カル
シウムを用いた以外は、実施例1と同様にして艶消し塗
被紙を得た。得られた艶消し塗被紙について実施例1と
同様に品質評価を行い、その結果を表−1に示した。
比較例3 実施例1において、塗被組成物用顔料である平均粒子
径が8μmの重質炭酸カルシウム99部の代わりに、平均
粒子径が8μmの重質炭酸カルシウム30部及びカオリン
(商品名:HT/エンゲルハード社製)69部を用いた以外
は、実施例1と同様にして艶消し塗被紙を得た。得られ
た艶消し塗被紙について実施例1と同様に品質評価を行
い、その結果を表−1に示した。
比較例4 実施例1において、顔料として平均粒子径が8μmの
重質炭酸カルシウム94部、平均粒子径が3μmのサチン
ホワイト(自製)6部を用いた以外は、実施例1と同様
にして艶消し塗被紙を得た。得られた艶消し塗被紙につ
いて実施例1と同様に品質評価を行い、その結果を表−
1に示した。しかしながら、この場合はブレード塗工時
にストラクタイト、スクラッチの発生がみられブレード
塗工適性が不適であった。
比較例5 顔料として平均粒子径が8μmの重質炭酸カルシウム
99.95部、平均粒子径が0.8μmのサチンホワイト0.05部
を用いた以外は、実施例1と同様にして艶消し塗被紙を
得た。得られた艶消し塗被紙について実施例1と同様に
品質評価を行い、その結果を表−1に示した。
比較例6〜7 (原紙の調製) 実施例5の紙料の調製において、アルキルケテンダイ
マー0.2部添加を0.25部添加に変更した以外は実施例5
と同様にして試料を調製し、乾燥シートを得た。次に、
酸化澱粉とアクリル系表面サイズ剤との混合比を変更し
て100:10とし、調製して得た澱粉水溶液を用いて乾燥後
の重量が2g/m2となるようにサイズプレスコーティング
を施し、米坪74g/m2、動的濡れ値が−0.34gの原紙を得
た。
また、実施例5の試料の調製において、アルキルケテ
ンダイマー0.2部添加を0.01部とし、さらにアクリル系
表面サイズ剤を含まない澱粉水溶液を用いて乾燥後の重
量が2g/m2となるようにサイズプレスコーティングを施
し、米坪74g/m2、動的濡れ値が0.22gの原紙を得た。
(塗被紙の調製) 上記の動的濡れ値が−0.34g(比較例6)、0.22g(比
較例7)である原紙を用いた以外は、実施例1と同様に
して艶消し塗被紙を得た。得られた艶消し塗被紙につい
て実施例1と同様に品質評価を行いその結果を表−1に
示した。
尚、実施例7〜10で使用した赤外線照射装置の光源は
フィラメント、集光板、対向反射板より構成されてお
り、フィラメントにはタングステンを使用し、これを16
00〜3800゜Kに電気加熱することにより近赤外線を得
た。そして得られた近赤外線を金コーティングした集光
板(フィラメント上部に配置)により集光し紙に放射し
た。又、紙を通過した近赤外線は紙の裏側に配置された
アルミニウム板で反射され、紙に再放射されるように成
っており塗被層がより一層均一に乾燥さるように工夫さ
れている。
「効果」 表−1の結果から明らかなように、本発明の実施例で
得られた塗被紙は、所望とする光沢及び平滑性を有し、
且つ印刷モトルの発生しない、優れたマット−マット型
の艶消し塗被紙であった。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性
    塗被組成物を塗被乾燥後、キャレンダー仕上げする艶消
    し塗被紙の製造方法において、原紙の動的濡れ値が−0.
    32〜0.20gであり、顔料として平均粒子径が2〜15μm
    の炭酸カルシウムを50〜100重量部、サチンホワイトを
    0.1〜5.0重量部含有させたことを特徴とする艶消し塗被
    紙の製造方法。
  2. 【請求項2】原紙の動的濡れ値が−0.25〜0.10gである
    請求項(1)記載の艶消し塗被紙の製造方法。
  3. 【請求項3】炭酸カルシウムが重質炭酸カルシウムであ
    る請求項(1)記載の艶消し塗被紙の製造方法。
  4. 【請求項4】艶消し塗被紙の白紙光沢度がJIS P8142法
    に準じた測定で25%以下である請求項(1)記載の艶消
    し塗被紙の製造方法。
  5. 【請求項5】平均粒子径が1.2μm以下のサチンホワイ
    トを含む水性塗被組成物をブレード塗工し、且つキャレ
    ンダー仕上げ後のスムースター平滑度が60cmHg以下であ
    る請求項(1)記載の艶消し塗被紙の製造方法。
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