JP4157257B2 - ガス絶縁電気機器の故障判定装置及びガス絶縁電気機器用監視装置 - Google Patents

ガス絶縁電気機器の故障判定装置及びガス絶縁電気機器用監視装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガス絶縁電気機器を構成するガス区分の異常を検出してそのガス区分の内部にある課電導体の地絡、短絡等の発生の有無を判定又は監視するガス絶縁電気機器の故障判定装置及びガス絶縁電気機器用監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガス絶縁電気機器は、円筒形状の金属容器の内部に、1相分の課電導体を納めたものと、3相分の課電導体を納めたものとがあり、前者では課電導体の金属容器への地絡、後者では各相の課電導体の金属容器への地絡と異相の課電導体との間の短絡とがあるが、この発明の対象となる現象としてはいずれも同じであるので便宜上前者の場合について説明する。
【0003】
従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置について図面を参照しながら説明する。図10は、従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置を示す構成図である。図10において、1は絶縁ガスを満たす円筒状の金属容器、2は金属容器1の内部に納めた課電導体、3a、3b及び3cは金属容器1をガス区画に仕切ると共に課電導体2を絶縁支持する絶縁スペーサである。
【0004】
また、同図において、11は金属容器1に取付けて連通配管4により一括管理するガス区分のガス圧に対応したガス圧信号を検出するガス圧力検出器、12は外部からの地絡電流検出信号の入力により所定時間後にガス圧力検出器11の出力するガス圧信号をサンプリングするサンプリング回路、13はサンプリング回路12でサンプリングしたガス圧信号と閾値を比較してサンプリングしたガス圧力の方が大きければ地絡の発生ありと判定する故障判定回路である。
【0005】
次に、前述した従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置の動作について図面を参照しながら説明する。図11は、従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置のガス圧力検出器で検出したガス圧信号を示す波形図である。金属容器1を絶縁スペーサ3aと3bで仕切ったガス区画を連通配管4で一括管理するガス区分で、課電導体2と金属容器1との間で地絡すると、そのガス区画ではアークの近傍で絶縁ガスの圧力が急激に上昇して圧力波を生じる。この圧力波による絶縁ガスの動圧に対応するガス動圧信号が、連通配管4でつながれた隣接するガス区画に満たした絶縁ガスの静圧に対応するガス静圧信号に重畳したガス圧信号として、ガス圧力検出器11で検出される。
【0006】
サンプリング回路12には、このガス圧信号と、地絡が発生してから所定時間後に外部から地絡電流検出信号とが入力されるので、サンプリング回路12は、この地絡電流検出信号の入力時点T1から所定時間tを経過した時点T2におけるガス圧信号P2をサンプリングする(図11参照)。
【0007】
故障判定回路13では、このサンプリングしたガス圧信号P2の方が閾値Ptに比較して大きければ、地絡の発生ありと判定する(図11ではガス圧信号P2の方が大きくなっている)。
なお、図10に示していないが、他のガス区分でも金属容器1にガス圧力検出器11を取付けてサンプリング回路、故障判定回路に接続し、地絡の発生の有無を判定するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置では、ガス圧力検出器11で検出するガス圧信号が大体、図11に示す形状になるものとして地絡電流検出信号の入力時点T1から所定時間tを経過した時点T2におけるガス圧信号P2をサンプリングし、所定の閾値Ptと比較してガス圧信号P2の方が大きければ、地絡の発生ありと判定しているが、絶縁スペーサ3aと3bの間にある金属容器1の大きさや地絡の際のアークエネルギー、地絡の継続時間などによりガス圧上昇は図11と異なることがあり、また、閾値も一義的に設定できないので、地絡の発生の有無を的確に判定することが出来ないという問題点があった。
【0009】
この発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、絶縁スペーサの間隔等の構造的な制約や地絡時のアークエネルギー、継続時間などの地絡時の条件に左右されることなく的確に地絡発生ガス区分を標定する為に、異種センサの組み合わせにより判定の確度を向上し、事故発生時の事故除去作業を短縮することができるガス絶縁電気機器の故障判定装置及びガス絶縁電気機器用監視装置を得ることを目的とする。さらに占有スペースを抑えることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わるガス絶縁電気機器の故障判定装置は、金属容器と、絶縁ガスが満たされた前記金属容器の内部に納められた課電導体と、この課電導体を前記金属容器から絶縁支持し前記金属容器の内部をガス区分に仕切る複数の絶縁スペーサとを有するガス絶縁電気機器の故障判定を行うものにおいて、前記ガス区分のガス圧を検出するガス圧力検出器と、このガス圧力検出器の出力が第1の閾値を超えると事故発生ガス区分と判定する第1の故障判定回路と、前記ガス区分の分解ガスを検出する分解ガス検出器と、この分解ガス検出器の出力が第2の閾値を超えると事故発生ガス区分と判定する第2の故障判定回路と、前記第1及び第2の故障判定回路の判定出力に基いて、前記第1の閾値を超えた圧力上昇が発生した前記ガス区分内に前記第2の閾値を超えた分解ガスが発生しているときには、前記金属容器の当該ガス区分に故障の発生ありと判定する演算制御回路とを備えるものであって、前記ガス区分から導出した同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロック、この検出器装着ブロックの分岐ガス配管それぞれ装着した前記ガス圧力検出器と前記分解ガス検出器、これらの検出器を被い前記検出器装着ブロックに固定したケースを備え、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器を装着するようにしたものである。
【0011】
また、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器,温度検出器を装着し、前記温度検出器は前記ガス区分の絶縁ガスの温度を検出するようにしたものである。
【0012】
また、この発明に係るガス絶縁電気機器用監視装置は、金属容器と、絶縁ガスが満たされた前記金属容器の内部に納められた課電導体と、この課電導体を前記金属容器から絶縁支持し前記金属容器の内部をガス区分に仕切る複数の絶縁スペーサとを有するガス絶縁電気機器の監視を行うものにおいて、前記ガス区分から導出した同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロック、この検出器装着ブロックの分岐ガス配管それぞれ装着したガス圧力検出器と分解ガス検出器、前記分岐ガス配管に連通した配管に設け内部ガスを放出し得る開閉バルブ、前記検出器を被い、前記検出器装着ブロックに固定したケースを備え、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器を装着するようにしたものである。
【0013】
また、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器,温度検出器を装着し、前記温度検出器は前記ガス区分の絶縁ガスの温度を検出するようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、ガス絶縁電気機器の故障判定装置の基礎技術を示す構成図である。なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0015】
図1において、1はガス絶縁電気機器の円筒状の金属容器、2は絶縁ガスが満たされた金属容器1の内部に納められた課電導体、3a〜3cは課電導体2を金属容器1から絶縁支持し金属容器1の内部をガス区分として仕切る絶縁スペーサ、14は地絡による高速な現象、例えば、ガス圧を検出するための高速現象用センサ、15は地絡による低速な現象、例えば、分解ガスを検出するための低速現象用センサ、13は故障判定回路、24は故障判定回路、25は2種類のセンサを用いた判定結果を使用して当該ガス区分での地絡の有無の判定を行う演算制御回路である。
【0016】
次に、このガス絶縁電気機器の故障判定装置の動作について図面を参照しながら説明する。図2は、このガス絶縁電気機器の故障判定装置の高速現象用センサと低速現象用センサの地絡発生後の出力信号の時間変化を概念的に示した図である。
【0017】
金属容器1を絶縁スペーサ3aと3bで仕切ったガス区分で課電導体2が金属容器1に地絡すると、各種の現象が異なる応答速度で発生する。その場合、高速現象用センサ14で高速な現象、例えば、ガス圧を検出して故障判定回路13で故障を判定する。
【0018】
同じく低速現象用センサ15を用いて低速な現象、例えば、分解ガスを検出して故障判定回路24で故障を判定し、最後に両方の判定結果に基いて、演算制御回路25で当該ガス区分における地絡の有無を判定する。すなわち、演算制御回路25は、図2(a)に示すように、地絡の故障にともなって、数100ms程度後に、高速現象用センサ14により検出したガス圧の上昇があって、故障判定回路13により故障であると判定した後、一定時間経過した後(例えば、数s)、低速現象用センサ15により検出した分解ガスが、故障判定回路24により所定濃度を超えたときに故障であると判定すると、測定ガス区分で地絡の発生が有ると判定する。
【0019】
このように2種類のセンサを用いて判定することにより信頼性を向上できるという効果がある。なお、センサとして高速現象用と低速現象用の2個を使用する場合について説明したが、3個以上使用して同様の効果を得ることが可能である。
【0020】
図3は、ガス絶縁電気機器の故障判定装置の基礎技術を示す他の構成図である。図3において、4はガス区画を連通するガス配管、11はガス圧力検出器、12はガス圧力検出器11の出力信号をサンプリングするサンプリング回路、13は故障判定回路、21a〜21cはガス区画毎に設置した分解ガス検出器、22は分解ガス検出器起動回路、23は分解ガス検出器21a〜21cの出力信号をサンプリングするサンプリング回路、24は分解ガス濃度により異状の有無を判定する故障判定回路、25はガス圧力検出器11と分解ガス検出器21a〜21cの情報を元に地絡の有無の判定などを行う演算制御回路である。
【0021】
次に、このガス絶縁電気機器の故障判定装置の動作について図面を参照しながら説明する。金属容器1を絶縁スペーサ3aと3bで仕切ったガス区分で課電導体2が金属容器1に地絡すると、地絡電流検出信号は時間遅れなく動作する。続いて、タンク内部では、アークの近傍で絶縁ガスの圧力が急激に上昇し圧力波となって、静圧側に流れ込む、更に、絶縁ガスは、アークエネルギーが発する高熱によって化学分解を起こしFイオンを中心とする分解ガスが発生する。
【0022】
演算制御回路25は、地絡電流検出信号により、故障発生を認識し、故障判定回路13にn秒間のサンプリングデータの取得を指示する。更に、分解ガス検出器起動回路22を起動させ、分解ガス検出器21a〜21cに電源供給を開始させる。
【0023】
ガス圧力検出器11が検出した信号は、サンプリング回路12で平均化処理を行った後、故障判定回路13に送られ、ガス圧力検出器11が管理するガス区分毎に閾値を超える圧力差の有無を判定する。閾値を超えたガス区分を検出すると事故発生ガス区分として演算制御回路25に出力する。
【0024】
分解ガス検出器21a〜21cが検出した信号は、サンプリング回路23で平均化処理を施した後、故障判定回路24に送られ、ガス区分毎に分解ガス濃度を閾値と比較して、閾値を超えたガス区分を検出すると事故発生ガス区分として演算制御回路25に出力する。
【0025】
演算制御回路25では、分解ガス検出器21a〜21cが標定したガス区画がガス圧力検出器11の標定したガス区分内にあるか否かを判断し、同じであれば地絡の発生ありと判定することによって、ガス絶縁電気機器の故障判定の確度を向上でき、故障部位の確認時間を短縮することができるという効果がある。
【0026】
すなわち、円筒状の金属容器1の内部に課電導体2を納めて金属容器1の両端を絶縁スペーサ3a〜3cで仕切ると共に、課電導体2を絶縁スペーサで金属容器から絶縁支持し、金属容器に絶縁ガスを満たしたガス区画を連結してガス区分とするガス絶縁電気機器で、各ガス区分にはガス圧の変化分を検出するガス圧力検出器11を取付け、各ガス区画には分解ガスをイオン化して検出する分解ガス検出器21a〜21cを取付け、地絡電流検出信号を取り込むと共に、ガス圧力検出器11からガス圧の変化分を取り出すサンプリング回路12と、変化分の圧力について閾値判定する故障判定回路13と、前記分解ガス検出器の電源を起動する分解ガス検出器起動回路22と、前記分解ガス検出器からガス濃度を検出するサンプリング回路23と、分解ガスの発生有無を判定する故障判定回路24と、閾値を超えた圧力上昇が発生したガス区分内のガス区画に閾値を超えた分解ガスが発生している時、地絡、短絡の発生ありと判定する演算制御回路25を備えた事を特徴とするガス絶縁電気機器の故障判定装置である。
【0027】
図1,図3では、ガス区分に対する検出器の取付け位置が、高速現象用センサ14と低速現象用センサ15、又はガス圧力検出器11と分解ガス検出器21で異なっている。すなわち、同一ガス区分に対して、各検出器がそれぞれ別個に金属容器1に取付けられている。そのため、内部のガス圧力,温度や組成の変化を金属容器の別々の個所で測定することになり、それぞれの検出器より得られた値を用いて故障判定の演算を行う場合、判定結果の信頼性が低くなるという問題点があった。また、ガス給排気口やガス給排気バルブが多く必要になり、加工コスト及び部品コストが高くなる。さらに検出部が多くのスペースを占有するという問題点があった。
【0028】
参考例1.
図4は参考例1に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。図4において、4は連通配管で、金属容器1のガス区分のガス給排気口5a,5bに連通して取付けられている。6はガス給排気バルブ7を介して連通配管4に接続されたガス配管で、これより分岐したガス配管8を有している。ガス圧力検出器11,分解ガス検出器21および温度検出器41は貫通孔を有する絶縁物9a,9b,9cを介してガス配管8にそれぞれ取付けられている。前記各検出器11,21,41の検出部は貫通孔を通して測定ガスに晒されている。このように、各検出器11,21,41は同一ガス配管系即ち同一ガス配管6を分岐したガス配管8にそれぞれ取付けられている。
【0029】
次に動作について説明する。常時としては、金属容器1のガス区分において、ガス圧に対応したガス圧信号をガス圧力検出器11によって検出し、ガス温度を温度検出器41によって検出することにより、ガス密度の常時監視を行う。異常時としては、金属容器1のガス区分において、課電導体2との間で地絡が発生すると、絶縁ガスの圧力が急激に上昇するので、その圧力上昇をガス圧力検出器11によって検出し、続いて、アークエネルギーの高熱によって発生するFイオンを中心とする分解ガスを分解ガス検出器21によって検出し、これらの二つの異なる機能により当該ガス区分における故障判定を行う。詳細動作は図1,図2,図3で説明したとおりである。
【0030】
図4の各検出器11,21,41は、特に同一ガス配管系即ち同一ガス配管6を分岐したガス配管8にそれぞれ取付けられている。このように検出器類を同一のガス配管系に取付けることにより、判定結果の信頼性が上がり、ガス給排気口5a,5b,ガス給排気バルブ7やガス配管の数を削減でき、金属容器1の加工コストや部品コストを抑えることができ、占有スペースを削減でき、ガス絶縁電気機器のレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0031】
参考例2.
図5は、参考例2に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。図において、5はガス給排気口でガス区分毎に一箇所設けている。図では、一ガス区分のみ取付け状態を示し、他のガス区分は図示していない。ガス給排気口5にガス給排気バルブ7を介してガス配管6が接続されている。このようにガス配管6をガス給排気口5に取付けることも可能で、参考例1と同様の作用効果を奏する。
【0032】
実施の形態1.
図6は、この発明の実施の形態1に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。図において、42は絶縁性検出器装着ブロックで、内部にガス配管6から分岐したガス配管8を形成している。絶縁性検出器装着ブロック42には、各検出器の検出部43がガスに晒されるように空間44を設けて、ガス配管8にそれぞれガス圧力検出器11,分解ガス検出器21および温度検出器41が装着されている。金属容器1と各検出器との間は電気的に絶縁が保たれている。
【0033】
45はケースで、各検出器を内部に収納し各検出器が一体となるように全体を被っている。ケース45はボルト(図示せず)で検出器装着ブロック42に固定されている。46は分岐したガス配管8と連通した配管の出口に設け内部ガスを放出し得るガス開閉バルブで、ガス給排気バルブ7を閉じた状態で、ガス開閉バルブ46を開放すると、各検出器およびガス配管6,8内のガスを外部に放出し得る。同一の絶縁性検出器装着ブロック42に装着された各検出器11,21,41は、ケース45内に収納されて、検出器部が一体となり、ガス配管6,ガス給排気バルブ7及びガス給排気口5を介して金属容器1のガス区分毎に取付けられている。なお、各故障判定回路と演算制御回路は、絶縁性検出器装着ブロック42とケース45の外部で近傍に一括して設けられている。
【0034】
次に動作について説明する。常時としては、金属容器1 のガス区画において、ガス圧に対応したガス圧信号をガス圧力検出器11によって検出し、ガス温度を温度検出器41によって検出することにより、ガス圧信号を25℃換算して、ガス密度の常時監視を行う。異常時としては、金属容器1のガス区分において、課電導体2 との間で地絡が発生すると、絶縁ガスの圧力が急激に上昇するので、その圧力上昇をガス圧力検出器11によって検出し、続いてアークエネルギーの高熱によって発生するFイオンを中心とする分解ガスを分解ガス検出器21によって検出し、これら二つの結果を演算処理することにより該当ガス区分における故障判定を行う。
【0035】
このように、同一の絶縁物製検出器装着ブロック42上に各検出器を配置することにより、各検出器の電気的絶縁が保てると同時に、金属容器1の一ヶ所において同一ガス配管系でガスの状態変化を測定することが可能となり、それぞれの検出器より得られた値を用いて演算処理を行う場合に、故障判定結果の信頼性が向上する。また、ガス給排気口5,ガス給排気バルブ7やガス配管の数を削減でき、金属容器1の加工コストや部品コストを抑えることができ、占有スペースを削減できる。また絶縁物製検出器装着ブロック42を用いることにより、金属容器1から各検出器までのガス通路長を短くすることができ、ガスの状態変化を最小限に抑えることができ、検出精度や故障判定結果の信頼性が向上する。
【0036】
また、空間44を設け、各検出器の検出部を検出器装着ブロック42に組み込めるように構成したことにより、検出器部の寸法が縮小され、ガス絶縁電気機器のレイアウトの自由度が向上する。またガス開閉バルブ46を設けると、ガス給排気バルブ5を閉じることにより、ガス絶縁電気機器側の絶縁ガスを出し入れすることなく、検出器の動作チェックを行うことができる。またケース45を設けることにより屋外環境や外部よりの衝撃から検出器部を保護することができ、検出器部を一体として取り扱うことができるので、取付けや取り外し、持ち運びの際の作業性も改善される。
【0037】
図6において、ガス絶縁電気機器の故障判定装置の具体的実例の大きさを示す。ガス配管6は内径が19mmφで、ガス絶縁電気機器用監視装置47は金属容器1の近傍に配置している。分岐ガス配管8はガス配管6より細く、空間44は内径がガス配管6より太い。検出器とガス開閉バルブを有する絶縁性検出器装着ブロック42とケース45の全体で、ガス絶縁電気機器用監視装置47を構成し、これは全体で、約長さ150mm,幅100mm,高さ120mmで、この高さの内、絶縁性検出器装着ブロック42は50mmである。
この具体的実例により、ガス圧力検出器11,分解ガス検出器21および温度検出器41で、金属容器1のガス区分の圧力,濃度及び温度の各データを測定することができ、事故判定を行うことができた。
【0038】
参考例3.
図7は、参考例3に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。ガス絶縁電気機器用監視装置47において、ガス圧力検出器11,分解ガス検出器21、および温度検出器41が同一の金属製検出器装着ブロック48上にそれぞれ絶縁物49a,49b,49cを介して配置される。金属製検出器装着ブロック48の内部には、ガス配管6から分岐したガス配管8を形成している。金属製検出器装着ブロック48には、各検出器の検出部43がガスに晒されるように空間44を設けて、ガス配管8に絶縁物49a,49b,49cを介して、それぞれガス圧力検出器11,分解ガス検出器21および温度検出器41が装着されている。金属容器1と各検出器との間は前記絶縁物で電気的に絶縁が保たれている。ガス開閉バルブ46も同様に設けられている。ケース45は、各検出器を収納しこれらを被って検出器装着ブロック48にボルト(図示せず)で固定されている。これらにより安価に検出器部を製造することができる。
【0039】
なお、絶縁物49a,49b,49cとして、これらを同一の絶縁性基板とすることもできる。
【0040】
参考例4.
図8は、参考例4に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。図において、50は絶縁物で、金属製検出器装着ブロック48とガス給排気口5との間、例えばガス配管6とガス給排気バルブ7との間に介在させ、両者を絶縁している。これにより、金属製検出器装着ブロック48と各検出器との間の絶縁物を省略でき、使用する絶縁物の個数が削減され、部品コストを抑えることができる。
【0041】
実施の形態2.
図9は、この発明の実施の形態2に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。図において、温度検出器を分解ガス検出器に組み込み、温度・分解ガス検出器51とし、この温度・分解ガス検出器51とガス圧力検出器11が同一の絶縁性検出器装着ブロック52上に配置される。検出器装着ブロック52の内部には、同様にガス配管6から分岐したガス配管53が形成され、各検出器の検出部がガスに晒される空間54が形成されている。46はガス開閉バルブである。ケース45で検出器を被っていることも同様である。
【0042】
これにより検出器の個数を削減でき検出器部コストが低減される。また検出器部の小形化が可能となり、取付けや取外し、持ち運びの際の作業性の改善、ガス絶縁電気機器のレイアウトの自由度のさらなる向上が達成される。
なお、ガス給排気バルブ7はガス給排気口5に直付けされてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のガス絶縁電気機器の故障判定装置によれば、金属容器と、絶縁ガスが満たされた前記金属容器の内部に納められた課電導体と、この課電導体を前記金属容器から絶縁支持し前記金属容器の内部をガス区分に仕切る複数の絶縁スペーサとを有するガス絶縁電気機器の故障判定を行うものにおいて、前記ガス区分のガス圧を検出するガス圧力検出器と、このガス圧力検出器の出力が第1の閾値を超えると事故発生ガス区分と判定する第1の故障判定回路と、前記ガス区分の分解ガスを検出する分解ガス検出器と、この分解ガス検出器の出力が第2の閾値を超えると事故発生ガス区分と判定する第2の故障判定回路と、前記第1及び第2の故障判定回路の判定出力に基いて、前記第1の閾値を超えた圧力上昇が発生した前記ガス区分内に前記第2の閾値を超えた分解ガスが発生しているときには、前記金属容器の当該ガス区分に故障の発生ありと判定する演算制御回路とを備えるものであって、前記ガス区分から導出した同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロック、この検出器装着ブロックの分岐ガス配管それぞれ装着した前記ガス圧力検出器と前記分解ガス検出器、これらの検出器を被い前記検出器装着ブロックに固定したケースを備え、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器を装着するようにしたので、異種センサの組み合わせにより判定の確度が向上できると共に、同一ガス配管系よりガスを採取するため、判定結果の信頼性が向上し、ガス給排気口やガス給排気バルブが少なくなり、加工コスト及び部品コストが低減し、さらに占有スペースを抑えることができる。加えて、同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロックを用いることにより、検出器を絶縁できると共に、金属容器から各検出器までのガス通路長を短くすることができ、ガスの状態変化を最小限に抑えることができ、検出精度や故障判定結果の信頼性が向上でき、さらに、検出器を被うケースを設けることにより屋外環境や外部よりの衝撃から検出器部を保護することができ、検出器部を一体として取り扱うことができるので、取付けや取り外し、持ち運びの際の作業性も改善される。
【0044】
また、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器,温度検出器を装着し、前記温度検出器は前記ガス区分の絶縁ガスの温度を検出するようにしたので、検出器部の寸法が縮小され、ガス絶縁電気機器のレイアウトの自由度が向上する。
【0045】
また、この発明のガス絶縁電気機器用監視装置によれば、金属容器と、絶縁ガスが満たされた前記金属容器の内部に納められた課電導体と、この課電導体を前記金属容器から絶縁支持し前記金属容器の内部をガス区分に仕切る複数の絶縁スペーサとを有するガス絶縁電気機器の監視を行うものにおいて、前記ガス区分から導出した同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロック、この検出器装着ブロックの分岐ガス配管それぞれ装着したガス圧力検出器と分解ガス検出器、前記分岐ガス配管に連通した配管に設け内部ガスを放出し得る開閉バルブ、前記検出器を被い、前記検出器装着ブロックに固定したケースを備え、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器を装着するようにしたので、異種センサの組み合わせにより監視の確度が向上できると共に、同一ガス配管系よりガスを採取する形式のため、監視結果の信頼性が向上し、ガス給排気口やガス給排気バルブが少なく、加工コスト及び部品コストの低減が期待でき、さらにコンパクト化できるため、占有スペースを抑えることができる。加えて、同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロックを用いることにより、検出器を絶縁できると共に、金属容器から各検出器までのガス通路長を短くすることができ、ガスの状態変化を最小限に抑えることができ、検出精度や監視の信頼性が向上でき、さらに、検出器を被うケースを設けることにより屋外環境や外部よりの衝撃から検出器部を保護することができ、検出器部を一体として取り扱うことができるので、取付けや取り外し、持ち運びの際の作業性も改善される。さらに、内部ガスを放出し得る開閉バルブを設けると、ガス区分側を閉じることにより、ガス区分の絶縁ガスを出し入れすることなく、検出器の動作チェックを行うことができる。
【0046】
さらに、前記絶縁物製の検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器,温度検出器を装着し、前記温度検出器は前記ガス区分の絶縁ガスの温度を検出するようにしたので、検出器部の寸法が縮小され、ガス絶縁電気機器のレイアウトの自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ガス絶縁電気機器の故障判定装置の基礎技術を示す構成図である。
【図2】 高速現象用センサと低速現象用センサの地絡発生後の出力信号の時間変化を示す波形図である。
【図3】 ガス絶縁電気機器の故障判定装置の基礎技術を示す他の構成図である。
【図4】 参考例1に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。
【図5】 参考例2に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態1に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。
【図7】 参考例3に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。
【図8】 参考例4に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態2に係るガス絶縁電気機器の故障判定装置における検出器の取付け配置を示す構成図である。
【図10】 従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置を示す構成図である。
【図11】 従来のガス絶縁電気機器の故障判定装置のガス圧力検出器で検出したガス圧信号を示す波形図である。
【符号の説明】
1 金属容器 2 課電導体
3 絶縁スペーサ 4 連通配管
5 ガス給排気口 6 ガス配管
7 給排気バルブ 8 ガス圧力検出器
21 分解ガス検出器 41 温度検出器
42 絶縁性検出器装着ブロック 43 検出部
44 空間 45 ケース
46 ガス開閉バルブ
47 ガス絶縁電気機器用監視装置
48 金属製検出器装着ブロック 49 絶縁物
50 絶縁物 51 温度・分解ガス検出器
52 絶縁性検出器装着ブロック。

Claims (4)

  1. 金属容器と、絶縁ガスが満たされた前記金属容器の内部に納められた課電導体と、この課電導体を前記金属容器から絶縁支持し前記金属容器の内部をガス区分に仕切る複数の絶縁スペーサとを有するガス絶縁電気機器の故障判定を行うものにおいて、
    前記ガス区分のガス圧を検出するガス圧力検出器と、
    このガス圧力検出器の出力が第1の閾値を超えると事故発生ガス区分と判定する第1の故障判定回路と、
    前記ガス区分の分解ガスを検出する分解ガス検出器と、
    この分解ガス検出器の出力が第2の閾値を超えると事故発生ガス区分と判定する第2の故障判定回路と、
    前記第1及び第2の故障判定回路の判定出力に基いて、前記第1の閾値を超えた圧力上昇が発生した前記ガス区分内に前記第2の閾値を超えた分解ガスが発生しているときには、前記金属容器の当該ガス区分に故障の発生ありと判定する演算制御回路とを備えるものであって、
    前記ガス区分から導出した同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロック、この検出器装着ブロックの分岐ガス配管それぞれ装着した前記ガス圧力検出器と前記分解ガス検出器、これらの検出器を被い前記検出器装着ブロックに固定したケースを備え、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器を装着するようにしたガス絶縁電気機器の故障判定装置。
  2. 前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器,温度検出器を装着し、前記温度検出器は前記ガス区分の絶縁ガスの温度を検出するようにした請求項1記載のガス絶縁電気機器の故障判定装置。
  3. 金属容器と、絶縁ガスが満たされた前記金属容器の内部に納められた課電導体と、この課電導体を前記金属容器から絶縁支持し前記金属容器の内部をガス区分に仕切る複数の絶縁スペーサとを有するガス絶縁電気機器の監視を行うものにおいて、前記ガス区分から導出した同一のガス配管から分岐したガス配管を内部に有する絶縁物製の検出器装着ブロック、この検出器装着ブロックの分岐ガス配管それぞれ装着したガス圧力検出器と分解ガス検出器、前記分岐ガス配管に連通した配管に設け内部ガスを放出し得る開閉バルブ、前記検出器を被い、前記検出器装着ブロックに固定したケースを備え、前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器を装着するようにしたガス絶縁電気機器用監視装置。
  4. 前記検出器装着ブロック内で分岐した各前記ガス配管に検出器の検出部がガスに晒されるように空間を設けて、それぞれ前記ガス圧力検出器,前記分解ガス検出器,温度検出器を装着し、前記温度検出器は前記ガス区分の絶縁ガスの温度を検出するようにした請求項3記載のガス絶縁電気機器用監視装置
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