JPH0965527A

JPH0965527A - 故障点標定システム

Info

Publication number: JPH0965527A
Application number: JP7214360A
Authority: JP
Inventors: Migaku Saito; 琢斉藤; Takaaki Sakakibara; 高明榊原; Seiji Wakabayashi; 誠二若林
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1995-08-23
Filing date: 1995-08-23
Publication date: 1997-03-07

Abstract

(57)【要約】【課題】温度に影響されることなく、センサ１個でガ
ス絶縁開閉装置の常時監視機能と故障点標定機能を有す
るガス監視装置を提供すること。【解決手段】ガス区画毎にガスの密度を測定するガス
密度センサを設置し、このセンサ出力を検出する検出部
とその検出信号を処理する受信部とを有し、ガス密度の
時間変化を監視する機能を有するとともに、受信したガ
ス密度値をも一定周期毎に監視する機能を有することを
特徴とする故障点標定システム。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電力機器がコンパ
クトに収納されたガス絶縁開閉装置において、各収納機
器の信頼度確認と監視に適用される予防保全システムと
して用いられる故障点標定システムに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、都市部における電力供給量は増大
する傾向にある。また、地価の高騰により変電設備の用
地確保は益々困難となっている。このような状況下、変
電設備の増強化を図る上で、耐環境性およびコンパクト
化に優れたガス絶縁開閉装置は欠かすことのできない装
置となっている。

【０００３】このガス絶縁開閉装置は、絶縁性および消
弧性に優れたＳＦ₆ ガスなどの絶縁ガスを用いて、断路
器、遮断器などの変電機器を密閉された接地金属容器内
に収納配置した装置である。ここで、代表的なガス絶縁
開閉装置の一例を、図４に示す配置図を参照して具体的
に説明する。

【０００４】図４において、１は接地電位とされた耐圧
力性の金属製の容器であり、一般的に接地金属容器と呼
ばれる。この接地金属容器１内には、課電部として、避
雷器２、変成器３、接地開閉器４、断路器５、変流器
６、遮断器７、および母線８が収納配置されている。ま
た、接地金属容器１内には、ＳＦ₆ などの絶縁ガス９が
封入されており、接地金属容器１と課電部とは、この絶
縁ガス９によって電気的に絶縁されている。

【０００５】一方、接地金属容器１内には、母線８を支
持するための絶縁スペーサ10ａ〜10ｄが適当な間隔をお
いて設けられており、これらの絶縁スペーサ10ａ〜10ｄ
により母線８の機械的強度と絶縁耐力とが保持されてい
る。また、絶縁スペーサ10ａ〜10ｄは、保守上の切離し
や配置構成上の必要性から、接地金属容器１内の空間を
気密に区分するように配設されている。すなわち、接地
金属容器１内の空間は、絶縁スペーサ10ａ〜10ｄによっ
て複数のガス区画に分割され、各ガス区画毎に絶縁ガス
９が封入されている。なお、図中11はガスボンベであ
り、このガスボンベ11からガスキュービクル12およびバ
ルブ13を介して、接地金属容器１内の各ガス区画にガス
が充填される。このうち、ガスキュービクル12は、各ガ
ス区画の圧力を検出する機能も有している。

【０００６】さらに、図４において、主回路は、断路器
５、遮断器７を経由し、ブッシング14を介して変圧器19
に接続されている。なお、図３において、１回線受電主
回路を示しているが、この受電主回路の右側の受電主回
路（図示せず）より、断路器５を介して、変圧器19に電
力を供給する場合もある。

【０００７】また、図中15は配電盤であり、操作キュー
ビクル16を介して開閉器類（断路器５、遮断器７、接地
開閉器４）の各操作器17に付勢信号を与え、開閉器類の
主回路切換えや遮断操作を制御する機能を有している。
さらに、図中18は開閉器類の駆動源となるコンプレッサ
設備である。このコンプレッサ設備18によって得られた
所定の圧力（たとえば、15kg／cm² が一般的）が、操作
キュービクル16を介して各操作器17に供給され、開閉器
類の操作が行われる。

【０００８】上記の構成を有するガス絶縁開閉装置に
は、以下のような利点がある。すなわち、絶縁ガス９の
優れた特性によって、収納機器の小型化が可能となり、
装置全体としてのコンパクト化が実現できる。つまり、
ＫＶ・Ａ当たりの占有体積が小さくなり、設置用地の有
効な活用が可能となる。と同時に、ガス母線を用いて２
段乃至３段の積み重ね構成が可能となり、ブロック積立
てとなるので、小さな面積で大きな体積の構成が可能と
なる。

【０００９】また、接地金属容器１が接地されているた
め、課電中に接近しても感電の心配はない。さらに、課
電部が接地金属容器１に収納されているので、塩害・風
雨などに直接さらされることがない。そのため、外因に
よる劣化の恐れがなく、耐環境性が高い。しかも、各種
の開閉器類は、消弧能力の高いＳＦ₆ ガス中でアーク処
理されるため、１主接点当たりの遮断容量の大幅な向上
が可能となる。

【００１０】ところが、図４に示すようなガス絶縁開閉
装置には、上記のような利点がある反面、以下に述べる
ような欠点もある。すなわち、ガス絶縁開閉装置全体を
コンパクト化した結果、収納機器の保守・点検時におい
て、回転作業あるいは再組立て作業の寸法が小さく制限
されてしまう。したがって、収納機器の保守・点検作業
に長時間を要し、作業効率が著しく低下してしまう。

【００１１】また、接地金属容器１内部に封入される絶
縁ガス９が高価であるため、外部へのガス漏れ防止上の
製作技術が高級となると共に、絶縁性の良さからkv／mm
が大きく、ガス圧低下が絶縁裕度に極めて敏感に反応す
るため、ガス漏れに対する緊急修復体制の完備が要求さ
れる。さらに、各種開閉機器の主接点の消耗に伴う交換
作業においては、絶縁ガスの回収・再充填作業に多大な
時間を要するため、ガス絶縁開閉装置の停止時間が長く
なり、電力の安定供給に支障をきたすという欠点もあ
る。

【００１２】以上説明したように、ガス絶縁開閉装置に
は、利点ばかりでなく、いくつかの欠点もある。しか
し、ガス絶縁開閉装置の性能的な利点は、欠点を補って
も十分に余りあるため、最近におけるガス絶縁開閉装置
の普及は目覚ましく、その設置箇所も増え、量産体制が
とられるようになっている。その結果、ガス絶縁開閉装
置には一層の信頼性が要求されており、装置の保守や緊
急修復体制の準備と品質のばらつきは無視できない問題
となってきている。

【００１３】以上のようなガス絶縁開閉装置における問
題点に対する対策として、稼働運転状態が正常であるこ
との信頼度確認と、異常発生時の早期検出監視が可能な
予防保全システムの確立が切望されている。この予防保
全システムの導入により、ガス絶縁開閉装置の事故を未
然に防止して電力の安定供給を図ると同時に、事故に起
因する経済的損失を最低限にとどめることが期待されて
いる。

【００１４】このような予防保全システムの一例とし
て、従来より故障点標定システムが提案されている。故
障点標定システムとは、ガス圧力センサを利用して故障
点の標定を行うシステムである。すなわち、ガス絶縁開
閉装置のガス区画に事故が発生した場合、内部アークエ
ネルギーによりガス圧力変動が起きる。これに対して、
ガス絶縁開閉装置のガス区画にガス圧力センサを配設す
ることにより、このガス圧力センサによってガス区画内
のガス圧力変動を検出し、ガス圧力信号を出力する。ま
た、ガス圧力センサに検出器を接続し、さらに検出器に
受信器を接続することにより、ガス圧力センサからのガ
ス圧力信号を検出器に送り、ここで処理して検出信号と
して受信器に出力する。

【００１５】このような故障点標定システムによれば、
目視に頼ることなしに、密封された接地金属容器内の故
障点を正確且つ迅速に標定することができる。これによ
り、事故対応を早め、早期復旧に貢献することができ
る。しかも、事故時における変電所の適用を効率的に行
うことが可能となる。そのため、事故の波及範囲を最小
限にとどめることができる。

【００１６】また、ガス圧力センサにより、ガス区画の
事故点を以下のようにして検出することが出来る。すな
わちまず事故時に接地金属容器内に発生するアークによ
る準定常的なガス圧力上昇値は次式（２）でほぼ評価さ
れる。

【００１７】

【数２】ΔＰ＝（Ｃ・Ｉ・ｔ）／Ｖ …（２）ただし、ΔＰ：圧力上昇値（kg／cm² ）Ｃ：係数（ 0.2〜 0.35 ）Ｉ：アーク電流（ＫＡ）ｔ：アーク継続時間（ms）Ｖ：容器容積（Ｉ）また、アーク電流Ｉは、ガス絶縁開閉装置が設置される
変電所の電力系統上の位置により、ほぼ決定される。そ
してまた、アーク継続時間ｔは、保護リレーの動作時間
と遮断器の電流遮断時間とにより、ほぼ決定される。こ
のため、各ガス区画の容積Ｖが決まれば、各ガス区画に
おける事故時のガス圧力上昇値ΔＰを求めることができ
る。例えば、非有効接地系の一線地絡事故の場合、Ｉ＝
0.1ＫＡ，ｔ＝134ms ，Ｖ＝ 100〜 21001と設定する
と、上記の式（２）より、ガス圧力上昇値ΔＰは、ΔＰ
＝ 0.04 〜 0.02 kg／cm² となる。

【００１８】ところで、図５は、ガス絶縁開閉装置の接
地金属容器内において、地絡事故が発生した場合のガス
圧変動の測定例を示したものである。この図５に示すよ
うに、事故発生時にはガス圧力は振動波形となる。ま
た、ガス絶縁開閉装置が設置される変電所あるいは開閉
所などでは、送電線からのノイズ、機器動作時に発生す
るサージ電圧によるノイズ、地絡発生時の接地電位変動
（すなわち地絡サージ）によるノイズなどが存在する。
ガス圧力センサが出力する信号はこれらのノイズから多
大な影響を受ける。

【００１９】そのため、ガス圧力センサを適用する場
合、図５に示すような振動波形から高周波成分を除去す
ることにより、ガス圧力変動を検出し、事故時に予想さ
れる予め設定されたガス圧力上昇値ΔＰと比較判定する
処理が必要となる。このように圧力信号からノイズの影
響を除去する方法としては、一定周期Δｔで圧力データ
をサンプリングし、複数回の平均値を算出して、それを
圧力信号とする方法などがある。また従来では、上記の
ような高周波成分の除去および外部ノイズの除去は、受
信器側に接続される処理装置により行われている。な
お、このような故障点標定システムは、例えば、実開平
3-39313号公報や、特開平3-287798号公報や特願平5-20
3106号公報に示されている。

【００２０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のガス圧力センサを用いた、ガス絶縁開閉
装置の常時監視機能を有する故障点標定システムにおい
ては、以下に述べる欠点がある。すなわちガス圧力セン
サを用いてガス絶縁開閉装置のガス漏れを常時監視する
場合、タンク内のガス圧力値は、ガス中の温度に依存す
る。例えば、ＳＦ₆ （六フッ化硫黄）ガスでは、圧力は
次式（３）のBeattie-Bridgeman の式でほぼ表される

【００２１】

【数３】Ａ：15.78 （１− 0.1062 Ｖ^-1）Ｂ： 0.366（１− 0.1236 Ｖ^-1）Ｐ：圧力（atm 、abs ）Ｖ：モル容量（ｌ／mol ）Ｔ：温度（゜Ｋ）Ｒ： 0.08207（ｌ−atm ／mol ゜Ｋ）このように、圧力センサを用いてガス圧力を計測する場
合、温度によって補正する必要がある。このため温度を
計測するセンサを別途用意する必要があり、さらに温度
を計測する場所により、外界からの影響（日照，雨，雪
など）を受けるため、正しいガス温度を計測することは
困難であるため、ガス圧力センサを用いた場合のガス圧
力値には精度の上で問題がある。

【００２２】本発明は、以上のような欠点を解消するた
めに提案されたものであり、その目的は温度に影響され
ることなく、かつセンサ１個でガス絶縁開閉装置の常
時、監視機能と故障点標定機能を有するガス監視装置を
提供することにある。

【００２３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のガス故障点標定システムは、絶縁ガスを封
入した接地金属容器内に高電圧導体を収納したガス絶縁
開閉装置が複数のガス区画に分割され、各ガス区画に、
対応するガス区画内のガス密度を測定してガス密度信号
を出力するガス密度センサが配設され、このガス密度セ
ンサに、このガス密度センサからのガス密度信号を処理
して検出信号を出力する検出部が接続され、この検出部
に、この検出器からの検出信号を処理する受信部が接続
された故障点標定システムである。

【００２４】また、ガス絶縁開閉装置の故障点標定をす
る場合の標定時間は地絡によって上昇したガス絶縁開閉
装置のガス圧力値が変動する時の時定数により決定され
る。このときのガス圧力変動を示す式は次式（１）で示
される。

【００２５】

【数４】 ΔＰ：変動値Ｐ_o ：初期値 α，β：定数以上のような構成を有する本発明においては、ガス密度
を直接、測定するガス密度センサを用いる事により、圧
力センサを温度センサを用いる場合よりも、簡易に精度
良く、故障点標定機能とガス絶縁開閉装置の常時監視機
能を実現することができる。

【００２６】

【発明の実施の形態】以下本発明の故障点標定システム
の実施形態について、図面を用いて説明する。図１に示
すとおり、本実施形態の故障点標定システムはガス絶縁
開閉装置のガス区画毎に一個のガス密度センサを設置
し、このガス密度センサからのガス密度信号を検出する
検出部と、検出した信号を演算処理する受信部と、受信
した信号を外部に出力する信号出力部から構成されてい
る。これによって、ガス絶縁開閉装置内で地絡が発生し
たときに各ガス区画に取り付けられたガス密度センサか
らのガス密度信号は前述した監視部で一定時間以内にガ
ス密度変動値が計測され、即座に故障点を標定すること
が出来る。この時の標定時間は変動したガス圧力値を示
す式（１）の時定数によって決定される。また、同様に
ガス密度信号を一定周期毎に検出することによって、ガ
ス絶縁開閉装置のガス漏れを監視する常時監視機能を実
施することが出来る。

【００２７】次に図２においてガス絶縁開閉装置の各ガ
ス区画をガス配管で連結し、これにガス密度センサを取
り付け、これを図１と同様にして監視することで、複数
のガス区画を同時に監視できる。

【００２８】次に図３において、ガス絶縁開閉装置の各
ガス区画毎に設置したガス密度センサを複数個、監視部
に入力することで監視部を統一することが可能となる。
ここで、ガス密度センサからのガス密度信号を例えば４
mＡ〜20 mＡのアナログ信号にすることが出来ると同時
にディジタル信号にすることも出来る。

【００２９】更に、かかるガス密度信号は使用条件に応
じて周波数信号あるいは光信号にすることも出来る。次
に図１において、ガス密度センサと監視部とを一体型に
することで、非常に小型で安価な故障点標定システムを
実施することが出来る。

【００３０】次に図１において、監視部がガス密度セン
サからのガス密度信号のみでなく他種のセンサ信号（例
えば、温度信号、圧力信号等）を同時に監視部に入力
し、処理することが出来る。なお、故障点標定を行う時
間を、（１）式の時定数により決定される時間内に行う
事で、故障点標定を効率的に行うことができる。

【００３１】

【数５】 ΔＰ：ガス圧力変動値Ｐ_o ：初期ガス圧力 α，β：定数Ｐ(t) ：ｔ時におけるガス圧力

【００３２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の故障点標定
システムでは直接ガス密度センサを用いるため、低廉で
精度の良い故障点標定機能とガス絶縁開閉装置の常時監
視機能を有する故障点標定システムを提供することが出
来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態の故障点標定システムの概略
構成図。

【図２】本発明の他の実施形態の、共通ガス配管を用い
た故障点標定システムの概略構成図。

【図３】本発明の他の実施形態の、監視部を統一した故
障点標定システムの概略構成図。

【図４】従来の一般的なガス絶縁開閉装置の概略構成
図。

【図５】ガス絶縁開閉装置内において地絡事故が発生し
た場合のガス圧変動の波形を示す測定図。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】絶縁ガスを封入した接地金属容器内に高
電圧導体を収納したガス絶縁開閉装置の単位ガス区画毎
にガス密度を測定してガス密度信号を出力するガス密度
センサを設置し、このセンサ出力を検出する検出部とそ
の検出信号を処理する受信部とを有し、受信したガス密
度値の一定時間以内の変動値を監視することにより、地
絡によるガス密度変化を検出し、ガス絶縁開閉装置の故
障点標定を行う機能を有するとともに、受信したガス密
度値を一定周期毎に検出し、ガス絶縁開閉装置のガス漏
れを監視する状態監視機能を有することを特徴とする故
障点標定システム。
【請求項２】請求項１に記載の故障点標定システムに
おいて、複数のガス区画毎にガス密度センサを設置する
ことを特徴とする故障点標定システム。
【請求項３】請求項１、２に記載の故障点標定システ
ムにおいて、各ガス区画を連結する共通ガス配管にガス
密度センサを設置することを特徴とする故障点標定シス
テム。
【請求項４】請求項１に記載の故障点標定システムに
おいて、監視部に入力かるガス密度センサを複数個入力
することを特徴とする故障点標定システム。
【請求項５】請求項１、２、３、４に記載のガス密度
センサにおいて、そのガス密度信号がアナログ信号であ
ることを特徴とする故障点標定システム。
【請求項６】請求項１、２、３、４に記載のガス密度
センサにおいて、そのガス密度信号がディジタル信号で
あることを特徴とする故障点標定システム。
【請求項７】請求項１、２、３、４に記載のガス密度
センサにおいて、そのガス密度信号が周波数信号である
ことを特徴とする故障点標定システム。
【請求項８】請求項１、２、３、４に記載のガス密度
センサにおいて、そのガス密度信号が光信号であること
を特徴とする故障点標定システム。
【請求項９】請求項１〜８に記載の故障点標定システ
ムにおいて、ガス密度センサと監視部が一体型の構造で
あることを特徴とする故障点標定システム。
【請求項１０】請求項１〜８に記載の故障点標定シス
テムにおいて、監視部がガス密度信号のみでなく他種の
センサ信号を同時に入力し、処理することを特徴とする
故障点標定システム。
【請求項１１】請求項１〜９に記載の故障点標定シス
テムにおいて、故障点標定に要する標定時間はガス密度
変動を示す次式（１）の時定数で決定されることを特徴
とする故障点標定システム。【数１】 ΔＰ：変動値Ｐ_o ：初期ガス圧力 α，β：定数Ｐ(t) ：ｔ時におけるガス圧力