JP4154630B2 - 金属箔張積層板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的信頼性試験を適用可能な金属箔張積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板等に使用される金属箔張積層板は、表面の金属箔層と裏面の金属箔層との間で絶縁性を確保していることを確認する為に、耐電圧試験を実施している。該耐電圧試験は、図4に示すように、表面の金属箔層1と裏面の金属箔層2の両方に電極3を接触させ、試験装置4にて測定を行うというものである。
【0003】
ところで、金属箔張積層板の製造においては、基材に対して熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱乾燥して得たプリプレグを複数枚重ねて構成品となし、該構成品の両面に金属箔を載置して加熱加圧するものであるが、前記加熱加圧時に、プリプレグの樹脂が溶融して流出するので、前記金属箔の大きさを構成品の大きさよりも、縦横共に大きくして、溶融した樹脂が製造設備に付着しないようにしている。
【0004】
従って、加熱加圧後の金属箔張積層板は、図5に示すように、プリプレグを複数枚重ねた構成品5の外周部にて、表面の金属箔層1と裏面の金属箔層2とが接触(導通)してしまい、このままでは、前述した耐電圧試験を行えなくなってしまう。そこで、耐電圧試験を行う際には、金属箔張積層板の4辺を裁断して、表面の金属箔層1と裏面の金属箔層2との接触(導通)部分を排除し、耐電圧試験を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年製造される金属箔張積層板は、薄型化(0.03mm〜0.1mm)又は大型化(縦1m、横1m)が進んでおり、前述したような4辺を裁断しての耐電圧試験を行いにくいとの課題を有している。即ち、薄型の金属箔張積層板は、4辺の裁断時に発生する金属箔の切屑が僅かにでも切断面に付着すると、板厚が薄いために表面の金属箔層1と裏面の金属箔層2とが導通してしまう。また、大型の金属箔張積層板は、板厚が厚い為に切屑による導通はないものの、裁断作業が行いにくく、専用の裁断機を準備する必要がある。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、薄型又は大型であっても、裁断機等を用いることなく、確実に耐電圧試験を行うことが可能な金属箔張積層板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、図1に示すように、少なくとも1枚以上のプリプレグ6の両面に金属箔(銅箔7、7)を重ね合わせ加熱加圧成形する金属箔張積層板8において、前記金属箔(銅箔7、7)の大きさをプリプレグ6の大きさよりも縦横共に大きくし、前記プリプレグ6と金属箔(銅箔7、7)との間であり、且つ、前記プリプレグ6の4辺近傍に切取部材(ポリイミドテープ9)を埋設することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2は、前述した切取部材が糸又はテープであることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる金属箔は、電気の導通があるものであれば、特に限定されるものではなく、適宜材料を選択することが可能であるが、電気抵抗及び信頼性から銅箔を用いることが好ましい。
【0010】
本発明に用いるプリプレグは、従来公知のものが適宜使用可能であり、具体的には、基材として、紙、ガラス織布、ガラス不織布等を使用可能であり、前記基材に含浸させる樹脂として、エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、トリアジン樹脂系、フェノール樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、メラミン樹脂系及びこれら樹脂の変性系樹脂を好適に用いることができ、前記各種樹脂を2種類以上併用しても、必要に応じて従来公知である各種硬化剤、硬化促進剤を使用しても良い。
【0011】
本発明に用いる切取部材は、金属箔張積層板を製造する際の加熱加圧によって、劣化又は溶融のないものであれば適宜使用可能であるが、具体的には、糸又はテープを使用可能であり、糸としては、ヤーン径70μm以下のアラミド繊維を好適に使用可能であり、テープとしては、ポリイミドテープ、ガラス繊維テープ、フッ素コートテープ等を好適に使用することができる。
【0012】
本発明で述べるプリプレグ6の4辺近傍とは、図2に示すように、プリプレグ6の4辺に近い部分を意味するものであり、より具体的には、金属箔張積層板として使用することない周辺部分を意味する。尚、プリプレグは、1枚でも複数枚を重ねた構成品であっても良く、糸又はテープは、プリプレグ6の片面のみでも両面に貼付ても良い。
【0013】
本発明の金属箔張積層板の耐電圧試験を行う際には、図3に示すように、プリプレグ6と銅箔7との間に埋設した糸又はテープを銅箔7と共に引き剥がすことにより絶縁部10を形成することで実施することができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例
エポキシ当量480のブロム化エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、YDB−400(商品名)を使用)100重量部と、ジシアンジアミド3重量部と、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.17重量部とを、エチレングリコールモノメチルエーテル25重量部とN,Nジメチルホルムアミド25重量部からなる溶剤に溶解し、エポキシ樹脂ワニスを得た。
【0015】
前記エポキシ樹脂ワニスを、厚さ0.05mm、坪量48g/m2のガラス織布(日東紡績株式会社製、IPC#1080(商品名)を使用)に含浸して加熱乾燥させ、樹脂の付着量が58重量%となるプリプレグを得た。
【0016】
前記プリプレグを縦1m、横1mに裁断し、片面の4辺にポリイミドテープを張り付け、その後プリプレグの両面に厚さ18μmの銅箔を載置して、摂氏175度、圧力3MPaにて1時間加熱加圧し、両面銅張積層板を得た。
【0017】
比較例
ポリイミドテープを貼り付けない以外は、実施例と同様にして両面銅張積層板を得た。
【0018】
前述した実施例及び比較例にて得られた両面銅張積層板の耐電圧試験を行った結果を、下記の表1に記載する。尚、実施例にて得た両面銅張積層板は、図3に示すように、耐電圧試験を行う前にプリプレグ6と銅箔7との間に埋設したポリイミドテープ9を、銅箔7と共に剥がして使用している。
【0019】
【表1】
Figure 0004154630
【0020】
表1に示すように、本発明の実施例である両面銅張積層板は、ポリイミドテープ9を銅箔7と共に剥がすことにより、絶縁部10を形成することが可能であり、端部を切断することなく、耐電圧試験を行うことができる。一方、比較例に用いた両面銅張積層板では、両面の銅箔同士が接触しており、耐電圧を測定することが不可能であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、プリプレグと金属箔との間であり、且つ、前記プリプレグの4辺近傍に切取部材を埋設し、耐電圧試験の際には、前記切取部材を銅箔と共に引き剥がすことによって、容易に絶縁部を形成することが可能であり、薄型又は大型の金属箔張積層板であっても、裁断機等を用いることなく、確実に耐電圧試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である、金属箔張積層板の断面図。
【図2】図1に示す金属箔張積層板の透視平面図。
【図3】図1に示す金属箔張積層板からポリイミドテープを剥がした状態の断面図。
【図4】耐電圧試験の状態を示す模式図。
【図5】従来の金属箔張積層板を示す断面図。
【符号の説明】
1.表面の金属箔層 2.裏面の金属箔層
3.電極 4.試験装置
5.構成品 6.プリプレグ
7.銅箔 8.金属箔張積層板
9.ポリイミドテープ 10.絶縁部

Claims (2)

  1. 少なくとも1枚以上のプリプレグの両面に金属箔を重ね合わせ加熱加圧成形する金属箔張積層板において、前記金属箔の大きさをプリプレグの大きさよりも縦横共に大きくし、前記プリプレグと金属箔との間であり、且つ、前記プリプレグの4辺近傍に切取部材を埋設することを特徴とする金属箔張積層板。
  2. 切取部材が、糸又はテープであることを特徴とする請求項1に記載の金属箔張積層板。
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