JP4153839B2 - 着物ドレス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされた着物ドレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、日本における伝統的な服装である着物は、祝い事やフォーマルな場所で着用されている。しかし着付けが難しく、気軽には着用できないことなどもあって、なかなか着用しにくいのが現状である。
そのため、たとえば実用新案登録第3077993号「簡易式着物」や、特開平11−302901「襦袢」、特開2002−242006「重ね着型着物」などにおいては、ファスナーや面ファスナーなどを利用して、簡易に着物の着付けをしたり、袖などの着脱が自在に行えるものが考案され、模索されている。
これらは、従来の着物を着やすくするために、ファスナーや面ファスナーなどを利用してその構成と着用方法を簡略化したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の着物は、着付けの大変さや、着る機会の減少などによって、今日では特に若い年齢層の人には洋装が定着し、着る機会が少ないものであるが、成人式、卒業式などで着られるほか、たとえば花火大会や夏祭りのように、カジュアルな場面で浴衣などの和服を着たいという希望も多く、実際にこのような機会には着用しているものである。またこうした和装ファッションも見直され、現代的なデザインや絵柄のものも多く見られる。このようなカジュアル感覚で和装をする場合には、フォーマルな和装とは異なり、和装の雰囲気や、普段とは異なったファッション感覚を楽しむといった面が多分にあり、簡単に着られることが望まれるばかりではなく、たとえば花火大会や夏祭りから帰ってきて街中に戻ってきた場面や、家に帰ってきた場面など、ちょっとファッションを変えたい場合には、簡単に着られた和装をさらに簡単に洋装に変えるなど、気軽に変化を楽しめれば利用方法も様々に応用でき、着用したい場面も多くなる。
【0004】
特開平11−247008「和洋服」においては、伝統的な和服が有する長所を生かしつつ、洋服の感覚で簡易に着用することができ、しかも比較的安価な和洋服を提供することを目的として和洋服が提案されている。
下衣、上衣及び最上衣からなり、下衣の前面側を除く腰部を伸縮自在とし、上衣の衿部分内側には別衿を着脱自在に配するとともに両脇の内側を伸縮自在とし、さらに最上衣を袖無しとし、下衣の腰部前面部に帯状部を用途に応じて着脱自在に取り付け可能としたものである。
しかしながら、この出願は、図面を参照して明らかなように、下衣は洋服のズボンと同じ構成であり、袖部分が変更できる程度のものであり、とても和装といえるデザインにはなっていない。
【0005】
また、特開平9−296309「和洋服変換着」においては、必要になった時に、和服(着物)から洋服へまたその反対に洋服から和服へ簡単に変換できる和洋服変換着が提案されている。
和服を上下に切り離した上衣の袖と衿を着脱自在にて胴囲部にダーツを設けて洋装着のウエストにまた下衣は胴囲部に胴締見返し折りとダーツやギャザーなどを設けて洋装用のスカートにしたもので、和服にしても洋服にしても、体にフィットさせた和洋服変換着である。
しかしながら、この出願は、図面を参照して明らかなように、下衣は胴囲部に胴締見返し折りとダーツやギャザーなどを設けて洋装用のスカートにしたために、下衣はある程度洋装に近く見えるものの、それをそのまま和装時にも使用するため、和装としての使用時にも和装本来の雰囲気を損なっている。一方、洋装としての使用時には、ダーツやギャザーなどが設けられたスカート部分以外の、袖部分などは和装そのままであるために、洋装とは言いがたい外観である。
【0006】
そこで本発明においては、上記の様々な課題を解決し、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされており、しかも着付けや、和装と洋装との変更が簡易にできるとともに、さらに和装としても洋装としても見た目が中途半端ではなくファッション性に優れた着物ドレスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明においては、
上前身ごろ及び下前身ごろのそれぞれが上半部と下半部に分離された前身ごろ部と、前身ごろ部が備える上下それぞれの丈を足した丈に対応する丈を有する後ろ身ごろ部と、を備える身ごろ部と、
前記の身ごろ部に連結された左右一対の袖部と、
前記の身ごろ部に連結された襟部とを備え、
前身ごろ部の下半部には、先に下半部を着用するための腰紐が設けられ、
前記の後ろ身ごろ部には、次いで全体を着用するための腰紐が固着されて設けられ、
前身ごろ部の下半部に設けられた腰紐貫通部に腰紐を通した状態で、下前身ごろに通された腰紐を上前身ごろの下半部に設けられた腰紐穴に通した後、前記の腰紐穴を通し後ろ身ごろに廻して周回させた腰紐と、上前身ごろの腰紐貫通部に通された腰紐とを結ぶことにより先に下半部を着用し、
次いで、後ろ身ごろ部に設けられた前記の腰紐が全体を着用するように構成されているとともに、
前記の袖部には、ドレス用袖部と、着脱可能な着物用袖部とが設けられ、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされ、
前記の身ごろ部の脇部には、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材が、脇の遊びを調節可能なように内側に設けられた着物ドレスであることを特徴としている。
【0008】
また、上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明においては、
請求項1に記載の発明において、
前記のドレス用袖部は、前身ごろ部及び後ろ身ごろ部とは異なる材質または色彩の布からなる複数種類が用意され、着脱式にして交換可能にする着物ドレスであることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1から図3は、本発明の着物の基本的な構成の好ましい一例を示す図である。
各図において、符号1は前身ごろ部、10は下前身ごろ部、11は上前身ごろ部を示している。また特に、10aは下前身ごろ部の上半部、10bは下前身ごろ部の下半部、11aは上前身ごろの上半部、11bは上前身ごろの下半部を示す。
また符号2は後ろ身ごろ部、3は左右一対の袖部、30はドレス用袖部、31は着物用袖部、32は小袖用交換袖部を示している。また符号4は襟部、5は腰紐であって5aは後ろ身ごろ部に設けられた腰紐、5bは前身ごろ下半部に設けられた腰紐を示している。符号50は腰紐貫通部、51は腰紐穴を示している。
図1は着物用袖部を装着した着物ドレスの正面図、図2は着物用ドレスの背面図である。
図3は、ドレス用袖部を装着した着物ドレスの正面図である。
図4は、上前身ごろ及び下前身ごろのそれぞれが上半部と下半部に分離され、上前身ごろ及び下前身ごろそれぞれの下半部を開いた状態を示しており、作図上、左右一対の袖部は省略している。
【0016】
本発明の着物ドレスは、上前身ごろ及び下前身ごろのそれぞれが上半部と下半部に分離された前身ごろ部と、前身ごろ部が備える上下それぞれの丈を足した丈に対応する丈を有する後ろ身ごろ部と、を備える身ごろ部を備えている。
前身ごろ部1は、上半部と下半部に胸下位置近辺で分離されており、後ろ身ごろ部2は特に分離されていないため、着物を羽織った後に、上半部と下半部をそれぞれ別個にセットすることができ、簡易に着用することができる。
【0017】
次に着物ドレスは、前記の身ごろ部に連結された左右一対の袖部を備えている。身ごろ部と左右一対の着物袖部とは、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材を用いて着脱可能にされており、複数の袖部3を交換可能にされている。
袖部3には、ドレス用袖部30と、着脱可能な着物用袖部31とが設けられ、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされている。
着物用袖部31を外した際には、その内側にあるドレス用袖部30が露出し、そのままドレスとして使用する際の袖として機能する。
また、ドレス用袖部30、あるいは着物用袖部31を複数種類用意するとともに、着脱式にして交換可能にすることにより、デザイン、模様、機能や用途などに応じて使い分けるようにすることもできる。
【0018】
本発明の着物ドレスは、1着で着物とドレスの両用で使用でき、着物用袖部31を外した際に露出するドレス用袖部30は、前身ごろ部及び後ろ身ごろ部とは異なる材質または色彩の布からなるものとすることができ、デザインや着心地などの面からも好ましい例である。たとえば、オーガンジー素材の袖などを採用した場合において、着物用袖部30を装着し、着物として使用する際には、そのままドレス用袖部31が襦袢としての機能を有する。
【0019】
次に着物ドレスは、身ごろ部に連結された襟部4を備えている。
本発明の着物ドレスは、1着で着物とドレスを使い分けるため、襟部4は、着物としての使用時とドレスとしての使用時とでは異なる襟部4を利用する。着物用の襟部4を、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材を用いて着脱可能にされていることが好ましい。
また、襟部4には、襟の内側から襟芯を挿入する襟芯収容部が備えることができる。前身ごろ部の襟部には、襟芯を挿入する襟芯収容部60(たとえば襟芯を挿入するスリット上の穴やポケット等)が備えられる。襟芯を襟芯収容部に入れて装着すれば、着物としての使用時にびしっとした襟しまつにすることができる。
【0020】
次に、本発明の着物ドレスにおいては、着物前身ごろ部の下半部には、先に下半部を着用するための腰紐5bが設けられ、さらに後ろ身ごろ部に設けられた前記の腰紐5aは、次いで全体を着用するために設けられている。
図2に示されるように、後ろ身ごろ部には、腰紐5aが固着されて設けられている。
【0021】
前身ごろ部の下半部に設けられた腰紐5bの好ましい形態は、図4に一例を示すように、腰紐5bを通す腰紐貫通部50が設けられ、さらに下前身ごろに通された腰紐5bを上前身ごろの下半部に通す腰紐穴51が設けられた着物ドレスとしたものである。
前身ごろ部の下半部に設けられた腰紐貫通部50に腰紐5bを通した状態で、下前身ごろに通された腰紐5bを上前身ごろの下半部に設けられた腰紐穴51に通し、次いで前記の腰紐穴51を通し後ろ身ごろに廻して周回させた腰紐5bと、上前身ごろの腰紐貫通部50に通された腰紐5bとを結ぶことにより先に下半部を着用する。
次いで、後ろ身ごろ部に設けられた腰紐5aがを左右から前に廻して、体の前面で結ぶことにより、上半部を着用して全体を着用するように構成されている。
【0022】
次に、身ごろ部の脇部には、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材が、脇の遊びを調節可能なように内側に設けられ手いることが好ましい。ドレスとして着用する際には、着物ドレスの脇の下部分において、ドレス着用時には、肩のラインが浮かないように両脇内側にホックなどの着脱部材をつけることにより、着物ドレスの余分な太さを短縮することができる。
図5から図13は、本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図であって、図13においては、、身ごろ部の脇部には、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材が、脇の遊びを調節可能なように設けられた一例を示している。
【0023】
次に、図5から図13を参照して、本発明の着物ドレスの着用手順について説明する。
まず、図5を参照すると、袖部3に腕を通して着物をはおり、下半部は、上前の端(紐の位置)が腰骨あたりにくるように上前幅を決める。
巻きスカートの要領で下半部を着用する。巻きスカートのように裾さばきがしやすいように、下半部は袷になっている。
図6を参照すると、下前見ごろの下半部の端についた腰紐5bを上前身ごろの下半部の前記の腰紐穴51に通す。上前幅の位置がずれないように保つ。
【0024】
次に図7に示すように、腰紐5bを左右から後ろ側にもっていき、後ろで交差させて周回させ、体の前側で結ぶ。これにより、まず、下半部の着用が完成する。
次いで図8に示すように、襟を合わせ、襟先に着いている紐を左右それぞれの脇で結んで襟の袷を固定する。襟元の空きが左右対称になるようにし、おはしょりを整える。
【0025】
次に図9に示すように、後ろ身ごろの背中側に固着されている腰紐5aを周回させ、体の前側で結ぶ。これにより、上半部の着用が完成する。さらに結んだ腰紐5aの上から伊達締めを巻けば着崩れがしにくくなる。
次に図10に示すようにおはしょりの背中の中心を持って、衣紋を抜いて調整し、襟の中心を決める。おはしょりは綺麗に折り返して整え、図11に示すように着物として使用する際の着付けが完成する。
【0026】
次に、前述したように、袖部3には、ドレス用袖部30と、着脱可能な着物用袖部31とが設けられ、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされており、着物用袖部31を外した際には、その内側にあるドレス用袖部30が露出し、そのままドレスとして使用する際の袖として機能する。
図12は、着物用袖部31を外し、ドレス用袖部30が露出し、そのままドレスとして着用する形態を示している。
図13に示すように、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材を利用して身ごろ部の脇部の遊びを調節し、肩のラインが浮いたりだぶついたりしないようにすることが好ましい。
【0027】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされており、しかも着付けや、和装と洋装との変更が簡易にできるとともに、さらに和装としても洋装としても見た目が中途半端ではなくファッション性に優れた着物ドレスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】着物用袖部を着用した着物ドレスの正面図である。
【図2】着物用ドレスの背面図である。
【図3】ドレス用袖部を装着した着物ドレスの正面図である。
【図4】上前身ごろ及び下前身ごろのそれぞれが上半部と下半部に分離され、上前身ごろ及び下前身ごろそれぞれの下半部を開いた状態を示す図である。
【図5】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図6】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図7】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図8】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図9】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図10】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図11】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図12】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
【図13】本発明の着物ドレスの着用の好ましい形態を示す図である。
Claims (2)
- 上前身ごろ及び下前身ごろのそれぞれが上半部と下半部に分離された前身ごろ部と、前身ごろ部が備える上下それぞれの丈を足した丈に対応する丈を有する後ろ身ごろ部と、を備える身ごろ部と、
前記の身ごろ部に連結された左右一対の袖部と、
前記の身ごろ部に連結された襟部とを備え、
前身ごろ部の下半部には、先に下半部を着用するための腰紐が設けられ、
前記の後ろ身ごろ部には、次いで全体を着用するための腰紐が固着されて設けられ、
前身ごろ部の下半部に設けられた腰紐貫通部に腰紐を通した状態で、下前身ごろに通された腰紐を上前身ごろの下半部に設けられた腰紐穴に通した後、前記の腰紐穴を通し後ろ身ごろに廻して周回させた腰紐と、上前身ごろの腰紐貫通部に通された腰紐とを結ぶことにより先に下半部を着用し、
次いで、後ろ身ごろ部に設けられた前記の腰紐が全体を着用するように構成されているとともに、
前記の袖部には、ドレス用袖部と、着脱可能な着物用袖部とが設けられ、ドレスと着物とに使い分けることが可能にされ、
前記の身ごろ部の脇部には、ファスナー、面ファスナー、スナップ、ボタン、ホックのいずれかの着脱部材が、脇の遊びを調節可能なように内側に設けられたことを特徴とする着物ドレス。 - 請求項1に記載の発明において、
前記のドレス用袖部は、前身ごろ部及び後ろ身ごろ部とは異なる材質または色彩の布からなる複数種類が用意され、着脱式にして交換可能にすることを特徴とする着物ドレス。
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