JP4153083B2 - 雌ネジ付き部材とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばターンバックルのような長さ調整部材、或いはOA床の床下支柱のような高さ調整部材の部品として使用されるナット付き部材とその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のナット付き部材は、図10、11に示すように、まず、パイプ20の端部21を絞り加工してその内径を減じ、続いてその細径端部21の内周面に雌ネジ22を螺設して、雌ネジ付き部材としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
処が、要求されるパイプ20の直径と雌ネジ22の呼び径とは常に一定の関係を持って規定されておらず、需要者の要求に合わせてその都度前述のような絞り加工を施し、その内周に雌ネジ22を螺設するという作業を行っていた。
【0004】
この絞り部分21に雌ネジ22を螺設しようとすると、絞り部分21の内径をJIS規格に合わせて正確に絞り込まねばならず、その上でネジ加工を施す事になるので高い絞り加工精度が必要になるという問題点や、パイプ端部21の絞り加工は、特に直径の減少率が大きい場合(換言すれば太いパイプ20を使用しているにも拘わらず雌ネジ22の呼び径が小さい場合)には、複数工程を必要とするため加工に手間を要してコスト高になるという問題があり、最近では特にコスト競争の観点から新たな構造の雌ネジ付き部材とその製造方法が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の雌ネジ付き部材は、「パイプ1と、パイプ1の端部7に装着されたナット2とで構成される雌ネジ付き部材であって、ナット2は、パイプ1内に挿入されたナット本体3と、ナット本体3の外周面から突設された外鍔4とを有しており、外鍔4は、その先端部を折り返して形成された折り返し変形部分を備えており、パイプ1の端部7は、ナット本体3と、外鍔4の折り返し変形部分とで内外から挟持されている」事を特徴とする。
【0006】
これによれば、外鍔4の折り返し変形部分と、パイプ1内に挿入されているナット本体3とでパイプ1の端部7を内外から挟持しているだけであるから、前述のような絞り加工などは必要なくなり作業効率が改善される事になる。なお、ナット2は、パイプ1の一端だけに装着してもよいし、両端に装着する事も勿論可能である。用途によって選択自由である。また、ナット2の長さや形状、或いはパイプ1の長さや形状も自由に選定する事が出来るので、顧客の多彩な要求に瞬時に対応する事が出来る。請求項2は、請求項1の雌ネジ付き部材の改良であって、「外鍔4の折り返し変形部分に対向するナット本体3のパイプ挿入部分の外周面に凹設された凹部6に、パイプ1の端部7の少なくともその一部が嵌まり込んでいる」事を特徴とする。
【0007】
これによれば、凹部6に、パイプ1の端部7の少なくともその一部が嵌まり込んでいるので、前記端部7が絞り込まれたような形状に変形して前記外鍔4の折り返し変形部分とナット本体3内外から挟持されることになり、ナット2のパイプ1への固定がより強固に行われ、ナット2の脱落が防止される。
【0008】
請求項3は、請求項2に記載の雌ネジ付き部材の更なる改良に関し「凹部6内或いは外鍔4の折り返し挟持面に凸部10が形成されており、パイプ1の端部7に前記凸部10が食い込んでいる」事を特徴とする。
【0009】
これによれば、外鍔4の折り返し変形部分とナット本体3とによるパイプ1の端部7の挟持力が不十分であったとしても、凸部10の食い込みにより、ナット2に回転方向の力が加わった場合にナット2の回転を阻止する事が出来る。
【0010】
請求項4は、本発明のパイプ1の端部7にナット2を装着した雌ネジ付き部材の基本的な製造方法であって、「その外周面に外鍔4が突設された、ナット2のナット本体3をパイプ1内に挿入し、続いて、ナット2側からパイプ1を金型8の成形凹所9に圧入して前記外鍔4の先端部をパイプ1側に折り返すことによって折り返し変形部分を形成し、当該折り返し変形部分とナット本体3とでパイプ1の端部7を挟持するようにした」事を特徴とする。
【0011】
これによれば、ナット2のナット本体3をパイプ1に挿入し、外鍔4をパイプ1側に変形させるだけで、ナット2をパイプ1に固定する事が出来、従来例のように精密な絞り加工やネジ加工が不要となり、ネジ付きパイプの製造が極めて簡単になる。
【0012】
請求項5は、請求項4に記載の雌ネジ付き部材の製造方法の改良であって、「外鍔4の折り返し変形部分に対向するナット本体3のパイプ挿入部分の外周面に凹設された凹部6に、パイプ1の端部7の少なくともその一部を圧入した」事を特徴とする。請求項6は、請求項5に記載の雌ネジ付き部材の製造方法の更なる改良であって、「凹部6内或いは外鍔4の折り返し挟持面に凸部10が形成されており、パイプ1の端部7に前記凸部10を食い込ませている」事を特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。本発明における雌ネジ付き部材の構成部材は、外鍔4付きのナット2と、パイプ1である。パイプ1としては、断面円形、断面正方形或いは長方形など矩形のもの、或いは6角形など各種のものがある。全長、直径、肉厚、材質或いは前記断面形状は需要者の要求に合わせて自由に選定する事が出来る。
【0014】
ナット2は、各種のものがあり、図4はその第1実施例(基本型)の外観斜視図であり、ナット本体3の外周面から外鍔4が突設され、ナット本体3の中心部分には雌ネジ5が螺設されている。この点は、本発明のナット2全体に共通する。ナット本体3及び外鍔4の外形は、図では円形であるが勿論これに限定されず、パイプ1と同様、断面円形、断面正方形或いは長方形など矩形或いは6角形など各種の形状のものを自由に選定する事が出来る。外鍔4の直径は、後述するようにパイプ1の端部7を挟持しなければならない関係から、パイプ1の外径より大なる形状となっている。また、外鍔4はナット本体3の一端に形成されているが、勿論これに限られず、ナット本体3の中央部分或いはその他の部分のいずれに形成してもよい。
【0015】
図5は本発明の第2実施例で、ナット本体3のパイプ1挿入側の外周面に凹部6が全周にわたって形成されている。図の実施例では外鍔4に沿って形成されているが、勿論、これに限られず、外鍔4から外れた位置に形成する事も可能であれば、複数条平行に形成してもよい。これらは本発明の第1実施例を除き全体を通じていえる事である。
【0016】
図6は、本発明の第3実施例で、凹部6内に凸部10が形成されている例である。凸部10の形状は図の場合、断面3角形で、その頂部がナット2の軸方向に一致して突設されているが、勿論これに限られず、単なる突起でもよいし、図示していないがローレットのようなものでもよい。なお、ローレットのようなものの場合は、図4の実施例において、パイプ1に挿入される側のナット本体3の外周面全体に設けてもよいし、図5以下の実施例にあっては、凹部6内のみならず、前述同様パイプ1に挿入される側のナット本体3の外周面全体に設けてもよい。
【0017】
図7は、本発明の第4実施例で、前述とは逆に外鍔4の、パイプ1に挿入される側の面に凸部10が形成されている例である。また、図8は、本発明の第5実施例で、外鍔4の、パイプ1に挿入される側の面の外周全周にリング状の凸部10が形成されている例である。
【0018】
次に、図1〜3に従って本発明の第2実施例の製造方法に付いて説明する。図1に示すように所定の寸法に切断されたバイブ1の一端にナット本体3を外鍔4に当接するところまで挿入する。次に、パイプ1の外径にほぼ一致した成形凹所9を有する金型8を用意し、ナット2側からパイプ1を成形凹所9に圧入する。
【0019】
外鍔4は、成形凹所9のテーパ部分8aを滑って変形し、パイプ1側に強制的に屈曲させられる。この時、ナット2には凹部6が形成されているので、この凹部6に一致するパイプ1の端部7および外鍔4は、凹部6内に絞り加工にて押し込まれ、端部7が内側に絞り込まれて屈曲した状態で外鍔4と、パイプ1内に挿入されているナット本体3とでパイプ1の端部7を挟持される事になる。この時、凹部6の深さを調節しておけば、変形した外鍔4の外径とパイプ1の外径とはほぼ等しくなり、図3のように段差が小さくなり、外観がよくなる。
【0020】
図4に示すような凹部6のないナット2を使用する場合では、前述と異なり外鍔4の折り返し変形部分が入り込む部分がないので、パイプ1より太くなる。
【0021】
図6のナット2を使用する場合でも同様であるが、この場合は、凸部10が折り返し変形された外鍔4の折り返し挟持面に食い込むため、これが回り止めの働きをなし、例えばボルト11をナット2に螺入し、別体のナット12でナット掛けを行うようような場合にナット2に発生する回転方向の力に耐える事が出来、抜け止め及び顕著な回転止め作用を呈する。
【0022】
図7の場合も同様、回転止め作用を奏するものであるが、この場合は外鍔4側の折り返し挟持面に凸部10が突設された例である。
【0023】
これに対して、図8は、外鍔4の折り曲げ側の挟持面の外周部分全周に凸部10を形成しているので、外鍔4を折り返した場合、凹部6でパイプ1の端部7が屈曲させられると同時に、外側から凸部10で押え込まれる事になり、より強固な抜け止め作用が期待できる。このようにしてパイプ1の一端7にナット2を装着するのであるが、必要があれば、パイプ1の他端にもナット2を固着する。
【0024】
次に、本発明に係る雌ネジ付き部材の使用例に付いて説明する。ターバックル用部材として使用する場合、両側にネジの刻設方向が互いに逆の左右ナット2をそれぞれ装着したものを使用し、例えば隣接する柱(図示せず)と、梁(図示せず)及び床(図示せず)とで構成される壁面空間に、対角線状に一対のロッド(図示せず)を張り、該ロッドの端部両側の左右ナット2にそれぞれ螺着する。この状態で本発明の雌ネジ付き部材を締め付けていくと、ロッドの螺着部分は次第に雌ネジ付き部材内に螺入していき、ターンバックルが次第に張られていく。
【0025】
また、OA床用の支持部材などに用いる場合、OA床構成部材(図示せず)に装着されているロッド(図示せず)と、スラブ(図示せず)に立設される脚部(図示せず)とを本発明の雌ネジ付き部材に螺入し、脚部とロッドの雌ネジ付き部材への螺入量を調整する事でOA床構成部材の高さ調整が可能となる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、パイプ側に屈曲した外鍔と、パイプ内に挿入されているナット本体とでパイプの端部を挟持しているだけであるから、従来例のような絞り加工などは必要なくなり作業効率が改善される事になる。また、ナットの長さや形状、或いはパイプの長さや形状も自由に選定する事が出来るので、顧客の多彩な要求に瞬時に対応する事が出来る。
【0027】
加えて、凹部をナット本体に形成した場合、外鍔を屈曲変形させた場合、パイプの端部の少なくともその一部と、屈曲した外鍔の少なくともその一部とが凹部に嵌まり込む事になるので、前記端部が絞り込まれたような形状に変形して前記外鍔とナット本体に挟持されることになり、ナット2のパイプへの固定がより強固に行われ、ナットの脱落が防止される。
【0028】
また凹部内に凸部を形成した場合には、パイプの端部に前記凸部が食い込み、ナットの回転止め作用を発揮する事になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る外鍔付きナットとパイプとの接合前の断面図
【図2】本発明に係る外鍔付きナットとパイプとを金型によって外鍔を変形させてパイプの端部を挟持した時の断面図
【図3】本発明に係る外鍔付き部材の外観正面図
【図4】本発明に係る外鍔付きナットの第1実施例の斜視図
【図5】本発明に係る外鍔付きナットの第2実施例の斜視図
【図6】本発明に係る外鍔付きナットの第4実施例の斜視図
【図7】本発明に係る外鍔付きナットの第5実施例の斜視図
【図8】本発明に係る外鍔付きナットの第6実施例の斜視図
【図9】本発明或いは従来例に使用されるパイプの断面図
【図10】従来例の絞り加工されたパイプの断面図
【図11】従来例の絞り加工部分にナット加工が施されパイプの断面図
【符号の説明】
1パイプ
2ナット
3ナット本体
4外鍔
5雌ネジ部
6凹部
7端部
8金型
9成形凹所
10凸部

Claims (6)

  1. パイプと、前記パイプの端部に装着されたナットとで構成される雌ネジ付き部材であって、
    前記ナットは、前記パイプ内に挿入されたナット本体と、前記ナット本体の外周面から突設された外鍔とを有しており、
    前記外鍔は、その先端部を折り返して形成された折り返し変形部分を備えており、
    前記パイプの端部は、前記ナット本体と、前記外鍔の折り返し変形部分とで内外から挟持されている事を特徴とする雌ネジ付き部材。
  2. 請求項1に記載の雌ネジ付き部材であって、前記外鍔の折り返し変形部分に対向する前記ナット本体のパイプ挿入部分の外周面に凹設された凹部に、前記パイプの端部の少なくともその一部が嵌まり込んでいる事を特徴とする雌ネジ付き部材。
  3. 請求項2に記載の雌ネジ付き部材であって、前記凹部内或いは前記外鍔の折り返し挟持面に凸部が形成されており、前記パイプの端部に前記凸部が食い込んでいる事を特徴とする雌ネジ付き部材。
  4. パイプの端部にナットを装着した雌ネジ付き部材の製造方法であって、
    その外周面に外鍔が突設された、前記ナットのナット本体を前記パイプ内に挿入し、
    続いて、前記ナット側から前記パイプを金型の成形凹所に圧入して前記外鍔の先端部前記パイプ側に折り返すことによって折り返し変形部分を形成し、当該折り返し変形部分前記ナット本体とで前記パイプの端部を内外で挟持するようにした事を特徴とする雌ネジ付き部材の製造方法。
  5. 請求項4に記載の雌ネジ付き部材の製造方法であって、
    前記外鍔の折り返し変形部分に対向する前記ナット本体のパイプ挿入部分の外周面に凹設された凹部に、前記パイプの端部の少なくともその一部を圧入した事を特徴とする雌ネジ付き部材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の雌ネジ付き部材の製造方法であって、
    前記凹部内或いは前記外鍔の折り返し挟持面に凸部が形成されており、前記パイプの端部に前記凸部を食い込ませている事を特徴とする雌ネジ付き部材の製造方法。
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