JP4151179B2 - 複合粒子の製造方法及びこの方法により製造される複合粒子並びに複合粒子を含有する化学機械研磨用水系分散体 - Google Patents

複合粒子の製造方法及びこの方法により製造される複合粒子並びに複合粒子を含有する化学機械研磨用水系分散体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合粒子の製造方法及びこの方法により製造される複合粒子並びに複合粒子を含有する化学機械研磨用水系分散体に関する。本発明の方法により製造される複合粒子は、十分な強度及び硬度を有し、耐熱性に優れ、特に、この複合粒子を水に分散させた水系分散体は、半導体装置の被加工膜等の化学機械研磨(以下、「CMP」ということもある。)において有用である。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置における素子表面及び層間絶縁膜等のCMPに用いられる研磨剤として、従来より、コロイダルシリカ及びコロイダルアルミナ等の無機粒子を含む水系分散体が多用されている。しかし、この無機粒子を含む水系分散体は、分散安定性が低く、凝集し易いため、凝集塊によって被研磨面に欠陥(以下、「スクラッチ」という。)が発生し、これが歩留まり低下の原因になっている。この問題を解決するため、〔1〕水系分散体に界面活性剤を配合する、〔2〕ホモジナイザ等により均一に分散させる、及び〔3〕フィルタによって凝集塊を除去する等、各種の方法が提案されている。しかし、これらは研磨剤そのものの改良ではないうえ、研磨速度の低下、金属イオンによる被研磨面の汚損等、新たな問題が生ずることもある。
【0003】
また、近年、超LSIの性能向上を目的とした層間絶縁膜の低誘電率化が注目されている。この低誘電率化のため、誘電率の高いSiO膜に代わるものとして、フッ素添加SiO(誘電率;約3.3〜3.5)、ポリイミド系樹脂(誘電率;約2.4〜3.6、日立化成工業株式会社製、商品名「PIQ」、Allied Signal 社製、商品名「FLARE」等)、ベンゾシクロブテン(誘電率;約2.7、Dow Chemical社製、商品名「BCB」等)、水素含有SOG(誘電率;約2.5〜3.5)及び有機SOG(誘電率;約2.9、日立化成工業株式会社製、商品名「HSGR7」等)などからなる層間絶縁膜が開発されている。しかし、これらの絶縁膜はSiO膜に比べて機械的強度が小さく、柔らかくて脆いため、従来の無機粒子を含有する水系分散体では、スクラッチの発生等により配線の断線が生じ、更なる歩留まりの低下を招くことがある。
【0004】
更に、特開平7−86216号公報には、無機粒子ではなく、有機高分子化合物等を主成分とする研磨粒子を含む研磨剤により半導体装置の被加工膜を研磨する方法が開示されている。この方法によれば、研磨後、被研磨面に残留する研磨粒子を燃焼させ、除去することができ、残留する粒子による半導体装置等、製品の不良の発生を抑えることができる。しかし、有機高分子化合物からなる粒子は、シリカ、アルミナ等の無機粒子に比べて硬度が低いため、研磨速度を十分に大きくすることができないとの問題がある。
【0005】
また、特公平6−40951号公報には、ゼータ電位が逆符号である粒子を混合することにより複合粒子を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では、各粒子は静電的な力のみで付着しているため、複合粒子に大きな剪断応力が加わった場合など、粒子が分離してしまう可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、その表面が十分な強度及び硬度を有し、耐熱性に優れ、且つ適度に柔軟であり、複合化された無機粒子の離脱がない複合粒子の製造方法及びこの方法により製造される複合粒子を提供することを目的とする。また、この複合粒子を含有し、研磨速度を大きくすることができるとともに、特に、層間絶縁膜が強度の小さいものであっても、スクラッチ及び断線等の発生が抑えられる化学機械研磨用水系分散体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の複合粒子の製造方法は、重合体粒子と、1種以上の無機粒子を静電力に より付着させて予備粒子を形成し、その後、該予備粒子の存在下、下記の一般式(1)で表される化合物を重縮合させることを特徴とする複合粒子の製造方法である。
(R 1 n Si(OR 2 4-n (1)
(式中、R は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。nは0〜2を示し、nが2である場合、R は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、(4−n)が2以上である場合、R は同一であっても、異なっていてもよい。)
請求項2記載の複合粒子の製造方法は、重合体粒子と、1種以上の無機粒子とを、エポキシ基を有するシランカップリング剤を介して結合して予備粒子を形成し、その後、該予備粒子の存在下、下記の一般式(1)で表される化合物を重縮合させることを特徴とする複合粒子の製造方法である。
(R 1 n Si(OR 2 4-n (1)
(式中、R は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。nは0〜2を示し、nが2である場合、R は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、(4−n)が2以上である場合、R は同一であっても、異なっていてもよい。)
尚、請求項1記載の方法により製造される複合粒子をCMP等における研磨剤として用いる場合に、その研磨性能に特に影響があるのは重合体粒子の表面に付着した無機粒子である。
【0008】
上記「重合体粒子」としては、(1)ポリスチレン及びスチレン系共重合体、(2)ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂及びアクリル系共重合体、(3)ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、並びに(4)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィン及びオレフィン系共重合体などの熱可塑性樹脂からなる重合体粒子を使用することができる。
【0009】
更に、この重合体粒子として、スチレン、メチルメタクリレート等と、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等とを共重合させて得られる、架橋構造を有する重合体からなるものを使用することもできる。この架橋の程度によって重合体粒子の硬度を調整することができる。また、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなる重合体粒子を用いることもできる。
【0010】
重合体粒子としては、各種の重合体にアルコキシシラン及び金属アルコキシドを重縮合させて得られる変性重合体からなるものを使用することもできる。このアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等を使用することができる。
これら重合体粒子は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0011】
これら複合粒子の形成に用いられる重合体粒子の形状は球状であることが好ましい。この球状とは、鋭角部分を有さない略球形のものをも意味し、必ずしも真球に近いものである必要はない。球状の重合体粒子を用いることにより、形成される複合粒子も球状となり、十分な速度で研磨することができるとともに、被研磨面におけるスクラッチ及び断線等の発生も抑えられる。
【0012】
上記「無機粒子」としては、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、ジルコニア、酸化鉄及び酸化マンガン等、ケイ素或いは金属元素の酸化物からなる無機粒子を使用することができる。
これら無機粒子は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0013】
本発明では、下記の一般式(1)で表される化合物が用いられる。
(R 1 n Si(OR 2 4-n (1)
(式中、R は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。nは0〜2を示し、nが2である場合、R は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、(4−n)が2以上である場合、R は同一であっても、異なっていてもよい。)
【0014】
としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、及びn−ペンチル基等のアルキル基、フェニル基、ビニル基、並びにグリシドプロピル基などの1価の有機基が挙げられる。また、Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びiso−プロピル基等のアルキル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、及びカプロイル基等のアシル基、並びにフェニル基及びトリル基等のアリール基などを挙げることができる。
【0015】
上記の一般式(1)で表される化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシアルキルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエトキシアルキルシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン及びジエチルジメトキシシラン等を使用することができる。
【0016】
これらの有機ケイ素化合物のうちでは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、及びジエチルジメトキシシラン等が好ましい。
これらの化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0017】
本発明の方法により製造される複合粒子は、重合体粒子の表面に無機粒子が付着してなる予備粒子が分散する水分散体において、上記の各種の化合物を重縮合させることにより製造することができる。
化合物の重縮合は、水分散体のpHを2〜10、好ましくは3〜9.5、より好ましくは3〜9に調整し、化合物を添加した後、30℃以上、好ましくは30〜90℃、より好ましくは40〜80℃に昇温させ、0.1〜10時間攪拌することにより行うことができる。化合物の添加量は、予備粒子100重量部(以下、「部」と略記する。)に対して0.5〜100部、好ましくは1〜60部とすることができる。
【0018】
この重縮合は、前記一般式(1)においてRで示される基の加水分解、それに続く脱水縮合により進行するため、重縮合系には水が存在することが必要である。従って、水分散体に用いられている貧溶媒が水以外の場合は、溶媒の種類にもよるが、重縮合系に水が1重量%以上、好ましくは10重量%以上存在するように水を添加する必要がある。
【0019】
重縮合反応が、重合体粒子が有するヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基、或いは無機粒子が有するヒドロキシル基等の官能基を起点として開始される場合は、生成する重縮合体は、重合体粒子或いは無機粒子に化学的に結合され、上記「複合粒子」が形成される。また、この重縮合体は必ずしも重合体粒子等に化学的に結合される必要はなく、特に、三次元的に成長した重縮合体が、重合体粒子等の表面に物理的に付着している状態であってもよい。
【0020】
請求項2記載の発明は、エポキシ基を有するシランカップリング剤を介して重合体粒子に無機粒子を付着乃至結合させることを特徴とする。
このシランカップリング剤としては、下記の(ロ)等が挙げられる。
【0021】
(イ)ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等、
(ロ)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等、
(ハ)N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等。
【0022】
これらのうちでも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0023】
これらの各種カップリング剤はそれぞれ1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。また、異なった種類のカップリング剤を併用することもできる。
【0024】
重合体粒子と無機粒子との間に介在するカップリング剤の使用量は、重合体粒子が有する、或いはこの粒子に導入される官能基1モルに対して、好ましくは0.1〜50モルである。この使用量は特に0.5〜30モル、更には1.0〜20モルとすることがより好ましい。このカップリング剤の使用量が0.1モル未満であると、無機粒子が重合体粒子に十分に強固に結合されず、研磨時、重合体粒子から脱落し易くなるため好ましくない。また、使用量が50モルを越えると、カップリング剤分子の縮合反応が進行し、重合体粒子を構成する分子との反応以外に新たな重合体が生成し、無機粒子の重合体粒子への結合が妨げられることがある。尚、このカップリング剤を重合体粒子に化学結合させる際に、反応を促進するため酸及び塩基等の触媒を用いることもできる。また、反応系を昇温させて反応を促進させることもできる。
【0025】
カップリング剤を用いて予備粒子を生成させる反応は、水或いはアルコール等の各種の有機溶媒を分散媒とする分散系において行うことができる。先ず、分散媒に重合体粒子及びカップリング剤を分散させ、温度を20〜90℃、特に30〜80℃とし、0.1〜6時間攪拌することにより、カップリング剤を重合体粒子に結合させる。その後、分散系に無機粒子を配合し、攪拌することにより、シロキサン結合或いはメタロキサン結合等により無機粒子を化学的に結合させることができる。反応後、アルコール等の有機溶媒は、エバポレータ等により除去することが好ましい。
【0026】
以下、重合体粒子と無機粒子のゼータ電位の違いによる静電力により、重合体粒子に無機粒子を付着させ、予備粒子を形成する方法について詳述する。
重合体粒子のゼータ電位は、全pH域、或いは低pH域を除く広範な領域に渡って負であることが多いが、特定の官能基を有する重合体粒子とすることによって、より確実に負のゼータ電位を有する重合体粒子とすることができる。また、官能基の種類によっては、特定のpH域において正のゼータ電位を有する重合体粒子とすることもできる。更に、重合体粒子に、イオン性の界面活性剤或いは水溶性高分子を吸着させることによっても、そのゼータ電位を制御することができる。
【0027】
一方、無機粒子のゼータ電位はpH依存性が高く、この電位が0となる等電点を有し、その前後のpH域でゼータ電位の符号が逆転する。
従って、特定の重合体粒子と無機粒子とを組み合わせ、それらのゼータ電位が逆符号となるpH域で混合することによって、静電力により重合体粒子に無機粒子を付着させることができる。また、混合時、ゼータ電位が同符号であっても、その後、pHを変化させ、ゼータ電位を逆符号とすることによって、重合体粒子に無機粒子を付着させることができる。
【0028】
請求項記載の発明では、無機粒子として、アルミナ粒子、チタニア粒子及びセリア粒子のうちの少なくとも1種が用いられる。また、請求項記載の発明では、特定の官能基又はその陰イオンによって、ゼータ電位がほぼ全pH域において負となるように調整された重合体粒子が使用される。そして、これらの無機粒子と重合体粒子により予備粒子を容易に形成させることができる。
【0029】
ゼータ電位がほぼ全pH域において負になるように調整された重合体粒子としては、分子鎖に、カルボキシル基、その陰イオン、スルホン酸基及びその陰イオンのうちの少なくとも1種が導入された重合体からなるものを使用することができる。これらの官能基及び陰イオンは、全単量体を100部とした場合に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びマレイン酸等の単量体を0.01〜50部、好ましくは0.1〜30部使用することにより重合体に導入することができる。また、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の重合開始剤を、単量体100部に対し、0.01〜30部、好ましくは0.1〜20部用いることにより導入することもできる。
【0030】
これらの重合体粒子と無機粒子とを含有する水分散体は、無機粒子のゼータ電位が正となるpH域、即ち、等電点より酸性側の領域に調整して使用される。この水分散体のpHは等電点未満の、より低い領域とすることが好ましく、このような低pH域であれば、無機粒子のゼータ電位が高くなり、重合体粒子に無機粒子がより強固に付着し、研磨時、複合粒子に相当に大きな剪断応力が加わった場合にも、これら粒子が容易に分離することがない。無機粒子の等電点より塩基性側の領域で使用すると、無機粒子のゼータ電位が負となり、本発明の目的である重合体粒子と無機粒子との付着が弱まり、これら粒子が、有機ケイ素化合物等を重縮合させ、結合させる前に分離してしまったり、結合させた後も、大きな剪断応力が加わった場合に分離してしまうことがある。
【0031】
一方、ゼータ電位がより確実に負となるように調整された重合体粒子は、pHの低下とともにゼータ電位が高くなる(負の側で絶対値が小さくなる。)。そのため、あまりにpHが低い領域は好ましくなく、pHは2以上、更には3以上であることが好ましい。
以上のような観点から、この水分散体のpHは、無機粒子としてアルミナ粒子、セリア粒子を使用する場合は2〜9、特に3〜8、更には3〜7であることがより好ましい。また、無機粒子としてチタニアを使用する場合は2〜6、特に3〜5であることがより好ましい。
【0032】
請求項記載の発明では、陰性界面活性剤及び陰性水溶性高分子のうちの少なくとも一方が吸着又は化学結合し、そのゼータ電位が負となるように調整された重合体粒子が使用される。これらの重合体粒子を用いて予備粒子を容易に形成させることができる。
【0033】
陰性界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩及びポリオキシエチレンアルキル(又はアルキルフェニルエーテル)の硫酸エステル塩等の他、反応性乳化剤などを使用することができる。
【0034】
また、陰性水溶性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシル基などの酸性基を有する飽和又は不飽和ポリカルボン酸、並びにリン酸基及びスルホン酸基等を有する水溶性高分子などが挙げられる。これらの陰性水溶性高分子の分子量は10〜100000、特に100〜50000であることが好ましい。
陰性界面活性剤及び/又は陰性水溶性高分子の配合量は、重合体粒子に対して0.01〜50重量%、特に0.05〜40重量%、更には0.1〜30重量%とすることが好ましい。
【0035】
陰性界面活性剤及び陰性水溶性高分子は、これらを重合体粒子の調製時に使用し、予め吸着又は化学結合させてもよいし、重合体粒子を調製した後、この重合体粒子と、陰性界面活性剤及び/又は陰性水溶性高分子とを混合し、攪拌することにより吸着又は化学結合させてもよい。
この予備粒子を含む水分散体の調製は請求項乃至第記載の発明の場合と同様にして行うことができる。
【0036】
請求項記載の発明では、無機粒子として、シリカ粒子及びジルコニア粒子のうちの少なくとも一方が用いられる。また、請求項記載の発明では、特定の官能基又はその陽イオンによって、特定のpH域においてゼータ電位が正となるように調整された重合体粒子が使用される。そして、これらの無機粒子と重合体粒子により予備粒子を容易に形成させることができる。
【0037】
このゼータ電位が正に調整された重合体粒子としては、分子鎖に、アミノ基及びその陽イオンのうちの少なくとも一方が導入された重合体からなるものを使用することができる。これらの官能基及び陽イオンは、全単量体を100部とした場合に、(メタ)アクリルジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルジエチルアミノエチル等の単量体を0.01〜50部、好ましくは0.1〜30部使用することにより重合体に導入することができる。また、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等の重合開始剤を、単量体100部に対し、0.01〜30部、好ましくは0.1〜20部用いることにより導入することもできる。
【0038】
これらの重合体粒子と無機粒子とを含有する水分散体は、無機粒子のゼータ電位が負となるpH域、即ち、等電点より塩基性側の領域に調整して使用される。この水分散体のpHは等電点を越える、より高い領域とすることが好ましく、このような高pH域であれば、無機粒子のゼータ電位が低くなり(負の側で絶対値が大きくなる。)、重合体粒子に無機粒子がより強固に付着し、研磨時、複合粒子に相当に大きな剪断応力が加わった場合にも、これら粒子が容易に分離することがない。無機粒子の等電点より酸性側の領域で使用すると、無機粒子のゼータ電位が正となり、本発明の目的である重合体粒子と無機粒子との付着が弱まり、これら粒子が、有機ケイ素化合物等を重縮合させ、結合させる前に分離してしまったり、結合させた後も、大きな剪断応力が加わった場合に分離してしまうことがある。
【0039】
一方、特定の官能基によりゼータ電位が正になるように調整された重合体粒子は、pHが高くなるとともにゼータ電位が低くなる(正の側で絶対値が小さくなる。)。そのため、あまりにpHが高い領域は好ましくなく、pHは8以下、更には7以下であることが好ましい。
以上のような観点から、この水分散体のpHは、無機粒子としてシリカ粒子を使用する場合は3〜10、特に3〜8であることがより好ましい。また、無機粒子としてジルコニアを使用する場合は4〜10、特に5〜8であることがより好ましい。
【0040】
請求項記載の発明では、陽性界面活性剤及び陽性水溶性高分子のうちの少なくとも一方が吸着し、そのゼータ電位が正となるように調製された重合体粒子が使用される。これらの重合体粒子を用いて予備粒子を容易に形成させることができる。
【0041】
陽性界面活性剤としては、アルキルピリジニルクロライド及びアルキルアンモニウムクロライド等を使用することができる。
また、陽性水溶性高分子としては、アミノ基、アミド基、イミド基の他、ビニルピリジン、ピペリジン及びピペラジン誘導体等の窒素含有塩基性基を有する水溶性高分子を用いることができる。これらの陽性水溶性高分子の分子量は10〜100000、特に100〜50000であることが好ましい。
更に、陽性界面活性剤及び/又は陽性水溶性高分子の配合量は、重合体粒子に対して0.01〜50重量%、特に0.05〜40重量%、更には0.1〜30重量%とすることが好ましい。
【0042】
重合体粒子への陽性界面活性剤及び陽性水溶性高分子の吸着又は化学結合は、請求項記載の発明の場合と同様にして行うことができる。また、この予備粒子を含む水分散体の調製は請求項乃至記載の発明の場合と同様にして行うことができる。
【0043】
請求項記載の発明は、重合体粒子の表面に複数の、特に相当に多数の無機粒子が付着していることを規定するものである。
重合体粒子及び無機粒子の平均粒子径は、0.005〜5μm、特に0.01〜3μm、更には0.01〜1μmであることが好ましい。また、複合粒子を効率よく形成させるためには、重合体粒子の平均粒子径が無機粒子の平均粒子径より大きく、重合体粒子の平均粒子径(Sp)と無機粒子の平均粒子径(Si)との比、Sp/Siが1〜200、特に1.5〜150、更には2〜100であることが好ましい。
【0044】
このように、平均粒子径の大きい重合体粒子と平均粒子径の小さい無機粒子とを組み合わせることによって、より多くの無機粒子が重合体粒子の表面に付着した予備粒子を容易に形成することができる。Sp/Siが1未満であると、ほとんど無機粒子のみが被研磨面に接触することになり、スクラッチ及び断線等を生ずることがある。一方、Sp/Siが200を越えると、研磨速度が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0045】
また、複合粒子の平均粒子径は0.02〜20μm、特に0.02〜10μm、更には0.02〜5μm、就中0.02〜2μmであることが好ましい。この平均粒子径が0.02μm未満であると、研磨速度の低下等、所要特性が得られないことがあり好ましくない。一方、平均粒子径が20μmを越える場合は、複合粒子が沈降し易く、安定な水系分散体とすることが容易ではない。
尚、これらの平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により各粒子を観察することにより測定することができる。
【0046】
更に、複合粒子における重合体粒子と無機粒子との重量比は特に限定されないが、重合体粒子の重量(Wp)と無機粒子の重量(Wi)との比、Wp/Wiが0.1〜200、特に0.2〜100、更には0.5〜70であることが好ましい。重合体粒子と無機粒子との重量比がこの範囲であれば、十分な速度で効率的に研磨がなされるとともに、被研磨面におけるスクラッチ及び断線等の発生も抑えられる。このWp/Wiが0.1未満であると、スクラッチ等が発生することがあり、200を越えると、研磨速度が低下する傾向にあり、好ましくない。
【0047】
請求項10記載の発明は、無機粒子が付着する重合体粒子の表面の面積割合を規定したものである。
この特定の複合粒子を含有するCMP用水系分散体では、スクラッチ及び断線等の発生がより確実に抑えられる。
無機粒子が付着している面積は重合体粒子の表面積の5%以上、特に10%以上であることが好ましく、20%以上とすることもできる。このような特定の複合粒子は、特に、Sp/Siが前記の好ましい範囲内にある場合に容易に形成させることができる。この表面積又は面積は、重合体粒子の表面の凹凸等は含まず、表面に外接する平滑面の面積であるものとする。
【0048】
重合体粒子の表面積のうち無機粒子が付着している面積の割合は、走査型電子顕微鏡等により複合粒子を観察し、写真撮影を行い、無機粒子が付着している面積を測定し、[付着面積/(付着面積+非付着面積)]×100等の式によって算出することができる。
尚、重合体粒子の表面の無機粒子が付着している面積が5%未満である場合は、十分な研磨速度が得られないことがある。
【0049】
請求項11記載の発明は、複合粒子の平均粒子径及び粒径分布を規定したものである。
この特定の複合粒子を含有するCMP用水系分散体は、特に、機械的強度が小さい低誘電絶縁膜の場合に、スクラッチ及び断線等の発生が十分に抑えられ、歩留まりの低下が少なく有用である。
【0050】
複合粒子の平均粒子径は0.05〜0.5μmであり、特に0.05〜0.4μm、更には0.07〜0.35μmであることが好ましい。この平均粒子径が0.05μm未満であると、研磨速度の低下等、所要特性が得られないことがあり好ましくない。一方、平均粒子径が0.5μmを越える場合は、スクラッチ及び断線等を生じ易い。
【0051】
更に、複合粒子の粒子径は、平均粒子径の±30%以内、特に±20%以内に、全粒子の80%以上、特に90%以上が分布していることが好ましい。このように、粒径分布が狭い複合粒子を含有するCMP用水系分散体であれば、十分な研磨速度が安定して得られ、スクラッチ及び断線等の発生が更に確実に抑えられる。
尚、粒子径は、複合粒子を透過型電子顕微鏡によって観察することにより測定することができ、平均粒子径は複数の複合粒子を観察し、累積粒子径と粒子の個数とから算出することができる。
【0052】
請求項12記載の複合粒子は、請求項1乃至11の方法により製造されることを特徴とする。
この複合粒子では、大きな剪断応力が加わっても重合体粒子に付着した無機粒子が離脱することがなく、研磨剤として用いた場合に、半導体装置の素子表面及び層間絶縁膜等を十分な速度で研磨することができる。
尚、請求項12記載の複合粒子をCMP等における研磨剤として用いる場合に、その研磨性能に特に影響があるのは重合体粒子の表面に付着した無機粒子である。
【0053】
請求項13記載の化学機械研磨用水系分散体は、請求項1乃至11記載の方法により製造される複合粒子を含有することを特徴とする。
また、請求項14記載の化学機械研磨用水系分散体は、請求項12記載の複合粒子を含有することを特徴とする。
複合粒子の含有量は、CMP用水系分散体を100部とした場合に、0.05〜50部とすることができ、特に0.1〜40部、更には0.1〜30部とすることが好ましい。複合粒子の含有量が0.05部未満である場合は、十分な研磨速度を有する水系分散体とすることができず、好ましくない。一方、この含有量が50部を越える場合は、流動性が低下し、安定な水系分散体とすることが容易ではない。
【0054】
このCMP用水系分散体は、半導体装置の被加工膜等の研磨において特に有用である。
半導体装置の被加工膜としては、超LSI等の半導体装置の製造過程において半導体基板上に設けられるシリコン酸化膜、アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜、シリコン窒化膜、純タングステン膜、純アルミニウム膜、或いは純銅膜等の他、タングステン、アルミニウム、銅等と他の金属との合金からなる膜などが挙げられる。また、タンタル、チタン等の金属の酸化物、窒化物などからなるバリアメタル層も被加工膜として挙げることができる。
【0055】
このCMPにおいて、複合粒子を構成する重合体粒子の硬度は被加工膜の硬度によって適宜選択することが好ましい。例えば、硬度の低いアルミニウム等からなる被加工膜の場合は、比較的硬度が低い重合体粒子と無機粒子とを用いてなる複合粒子を含有するCMP用水系分散体を使用することが好ましい。一方、タングステンなどのように硬度の高い被加工膜の場合は、高度に架橋された比較的硬度の高い重合体粒子と無機粒子とを用いてなる複合粒子を含有する水系分散体を使用することが好ましい。
【0056】
更に、半導体装置の被加工膜において、被研磨面が金属である場合は、水系分散体に酸化剤を配合することにより、研磨速度を大幅に向上させることができる。この酸化剤としては、被加工面の電気化学的性質等により、例えば、Pourbaix線図により適宜のものを選択して使用することができる。
【0057】
酸化剤としては、過酸化水素、過酢酸、過安息香酸、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸化合物、重クロム酸カリウム等の重クロム酸化合物、ヨウ素酸カリウム等のハロゲン酸化合物、硝酸及び硝酸鉄等の硝酸化合物、過塩素酸等の過ハロゲン酸化合物、フェリシアン化カリウム等の遷移金属塩、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、並びにへテロポリ酸等が拳げられる。これらの酸化剤のうちでは、金属元素を含有せず、分解生成物が無害である過酸化水素及び有機過酸化物が特に好ましい。これらの酸化剤を含有させることにより、研磨速度をより大きく向上させることができる。
【0058】
酸化剤の含有量は、水系分散体を100部とした場合に、15部以下とすることができ、特に0.1〜10部、更には0.1〜8部とすることが好ましい。この酸化剤は、15部含有させれば研磨速度を十分に向上させることができ、15部を超えて多量に含有させる必要はない。
【0059】
また、この水系分散体には、前記の酸化剤の他、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。それによって分散状態の安定性を更に向上させたり、研磨速度を高めたり、2種以上の被加工膜等、硬度の異なる被研磨膜の研磨に用いた場合の研磨速度の差異を調整したりすることができる。具体的には、有機酸若しくは無機酸を配合することによって、より安定性の高い水系分散体とすることができる。有機酸としてはギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸及び安息香酸等を使用することができる。無機酸としては硝酸、硫酸及びリン酸等を用いることができる。この安定性を高めるために使用する酸としては、特に、有機酸が好ましい。尚、これらの酸は研磨速度を高める作用をも併せ有する。
【0060】
これらの酸或いはアルカリ金属の水酸化物及びアンモニア等を配合し、pHを調整することによっても、水系分散体の分散性及び安定性を向上させることができる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等を使用することができる。水系分散体のpHを調整することにより、研磨速度を高めることもでき、被加工面の電気化学的性質、重合体粒子の分散性、安定性、並びに研磨速度を勘案しつつ、複合粒子が安定して存在し得る範囲内で適宜pHを設定することが好ましい。
【0061】
更に、錯化剤を配合することにより研磨速度を高めることもできる。この錯化剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、チオ尿素、ベンズイミダゾール、ベンゾフロキサン、2,1,3−ベンゾチアジアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアジアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、7−ヒドロキシ−5−メチル−1,3,4−トリアザインダゾリン及びメラミン等の複素環化合物を使用することができる。また、サリチルアルドキシム、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、カテコール及びo−アミノフェノール等を用いることもできる。これらの錯化剤の含有量は、水系分散体を100部とした場合に、0.001〜2部とすることができ、0.01〜1部、特に0.02〜0.5部とすることが好ましい。
【0062】
また、酸化剤の機能を促進する作用を有し、研磨速度をより向上させることができる多価金属イオンを含有させることもできる。
この多価金属イオンとしては、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、錫、アンチモン、タンタル、タングステン、鉛及びセリウム等の金属のイオンが挙げられる。これらは1種のみであってもよいし、2種以上の多価金属イオンが併存していてもよい。
多価金属イオンの含有量は、水系分散体に対して3〜3000ppm、特に10〜2000ppmとすることができる。
【0063】
この多価金属イオンは、多価金属元素を含む硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩或いは錯体を水系媒体に添加して生成させることができ、多価金属元素の酸化物を添加して生成させることもできる。更に、水系媒体に添加され、1価の金属イオンが生成する化合物であっても、このイオンが酸化剤により多価金属イオンになるものを使用することもできる。
【0064】
この水系分散体には、重合体粒子に吸着させる界面活性剤の他に、複合粒子を均一に分散させるための界面活性剤を配合することもできる。しかし、この界面活性剤は研磨性能の面からは少量であることが好ましい。界面活性剤の含有量は、水系分散体を100部とした場合に、0.1部以下、特に0.01部以下、更には0.001部以下であることが好ましく、まったく含有されていないことがより好ましい。また、この界面活性剤は、複合粒子を100部とした場合に、0.05部以下、特に0.025部以下であることが好ましく、まったく含有されていないことがより好ましい。尚、界面活性剤の種類は特に限定されず、水系分散体等の調製において一般に使用されるものを用いることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。
(1)重合体粒子を含む水分散体の調製
合成例1[重合体粒子(a)を含む水分散体の調製]
スチレン92部、メタクリル酸4部、ヒドロキシエチルアクリレート4部、ラウリル硫酸アンモニウム0.1部、過硫酸アンモニウム0.5部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させた。これによりカルボキシル基及びヒドロキシル基を有し、平均粒子径0.24μmのカルボキシ変性ポリスチレン粒子[重合体粒子(a)]を含む水分散体を得た。尚、重合収率は95%であり、電導度滴定法により測定したカルボキシル基の分布は、粒子内部が40%、粒子表面が50%、水相部が10%であった。
【0066】
合成例2[重合体粒子(b)を含む水分散体の調製]
メチルメタクリレ−ト94.5部、メタクリル酸4部、ジビニルベンゼン(純度;55%)1部、メタクリルアミド0.5部、ラウリル硫酸アンモニウム0.03部、過硫酸アンモニウム0.6部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させた。これによりカルボキシル基及びアミド基を有し、平均粒子径0.17μmの架橋ポリメチルメタクリレート系粒子[重合体粒子(b)]を含む水分散体を得た。尚、重合収率は95%であり、電導度滴定法により測定したカルボキシル基の分布は、粒子内部が15%、粒子表面が70%、水相部が15%であった。
【0067】
合成例3[重合体粒子(c)を含む水分散体の調製]
メチルメタクリレ−ト90部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、商品名「NKエステルM−90G」、#400)5部、4−ビニルピリジン5部、アゾ系重合開始剤(和光純薬株式会社製、商品名「V50」)2部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させた。これによりアミノ基の陽イオン及びポリエチレングリコール鎖を有する官能基を有し、平均粒子径0.15μmのポリメチルメタクリレート系粒子[重合体粒子(c)]を含む水系分散体を得た。尚、重合収率は95%であった。
【0068】
合成例4[重合体粒子(d)を含む水分散体の調製]
メチルメタクリレ−ト94部、メタクリル酸1部、ヒドロキシメチルメタクリレート5部、ラウリル硫酸アンモニウム0.03部、過硫酸アンモニウム0.6部、及びイオン交換水400部を、容量2リットルのフラスコに投入し、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃に昇温し、6時間重合させた。これによりカルボキシル基及びヒドロキシル基を有し、平均粒子径0.17μmのポリメチルタメクリレート系粒子[重合体粒子(d)]を含む水分散体を得た。尚、重合収率は95%であり、電導度滴定法により測定したカルボキシル基の分布は、粒子内部が15%、粒子表面が70%、水相部が15%であった。
【0069】
このようにして得られた重合体粒子(a)〜(d)を含む水分散体を、0.1規定の塩化カリウム水溶液100部に、各々の重合体粒子の含有量が0.1部となるように配合して分散させ、この水分散体のpHを塩酸又は水酸化カリウムによって2.1、5.5及び12に調整し、それぞれのpHにおけるゼータ電位をレーザードップラー電気泳動光散乱法ゼータ電位測定器(COULTER社製、型式「DELSA 440」)により測定した。また、以下の実施例において使用する無機粒子を0.1規定の塩化カリウム水溶液100部に0.1部配合して分散させ、同様にしてそれぞれのゼータ電位を測定した。結果を表1に記載し、併せて図1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 0004151179
【0071】
(2)複合粒子を含有する水系分散体の調製
実施例1[複合粒子(A)を含む水系分散体の調製]
重合体粒子(a)を10重量%含む水分散体のpHを水酸化カリウムにより10に調整して水分散体〔1〕を得た。また、コロイダルアルミナ(シーアイ化成株式会社製、商品名「ナノテックAl」)を10重量%含む水分散体のpHを同様に10に調整して水分散体〔2〕を得た。水分散体〔1〕に含まれる重合体粒子(a)のゼータ電位は−38mV、水分散体〔2〕に含まれるアルミナ粒子のゼータ電位は−8mVであった。
【0072】
その後、容量2リットルのフラスコに、水分散体〔1〕100部と水分散体〔2〕100部とを混合し、硝酸によりpHを7に調整し、2時間攪拌して重合体粒子(a)にアルミナ粒子が付着した予備粒子を含む水分散体を得た。次いで、この水分散体にテトラエトキシシラン(TEOS)3部を添加し、25℃で1時間攪拌した後、40℃に昇温し、更に3時間攪拌し、冷却することにより、複合粒子(A)を含む水系分散体を得た。この複合粒子(A)の平均粒子径は280nmであり、280nm±50nmに全複合粒子(A)の約85%が分布していた。また、複合粒子(A)のゼータ電位は+20mVであり、重合体粒子(a)の表面の95%にアルミナ粒子が付着していた。
【0073】
実施例2[複合粒子(B)を含む水系分散体の調製]
重合体粒子(b)を10重量%含む水分散体のpHを水酸化カリウムにより8に調整して水分散体〔3〕を得た。この水分散体〔3〕100部を、容量2リットルのフラスコに投入し、攪拌しながら60℃に昇温させた。その後、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)1部を2時間かけて連続的に添加し、60℃で2時間反応させた。次いで、コロイダルアルミナ(シーアイ化成株式会社製、商品名「ナノテックAl」)を10重量%含む水分散体〔4〕50部を投入し、攪拌を3時間継続して、アルミナ粒子がGPTSを介して重合体粒子(b)に結合された予備粒子を含む水分散体を得た。
【0074】
その後、この水分散体にTEOS2部を添加し、25℃で1時間攪拌した後、60℃に昇温し、更に2時間攪拌し、冷却することにより、複合粒子(B)を含む水系分散体を得た。この複合粒子(B)の平均粒子径は230nmであり、230nm±50nmに全複合粒子(B)の約80%が分布していた。また、複合粒子(B)のゼータ電位は+10mVであり、重合体粒子(b)の表面の58%にアルミナ粒子が付着していた。
【0075】
実施例3[複合粒子(C)を含む水系分散体の調製]
重合体粒子(c)を10重量%含む水分散体100部を、容量2リットルのフラスコに投入し、メチルトリメトキシシラン1部を添加し、40℃で2時間攪拌した。その後、硝酸によりpHを2に調整して水分散体〔5〕を得た。また、コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名「スノーテックスO」)を10重量%含む水分散体のpHを水酸化カリウムにより8に調整し、水分散体〔6〕を得た。水分散体〔5〕に含まれる重合体粒子(c)のゼータ電位は+17mV、水分散体〔6〕に含まれるシリカ粒子のゼータ電位は−40mVであった。
【0076】
その後、水分散体〔5〕100部に水分散体〔6〕50部を2時間かけて徐々に添加、混合し、2時間攪拌して、重合体粒子(c)にシリカ粒子が付着した予備粒子を含む水分散体を得た。次いで、この水分散体に、ビニルトリエトキシシラン2部を添加し、1時間攪拌した後、TEOS1部を添加し、60℃に昇温し、3時間攪拌を継続した後、冷却することにより、複合粒子(C)を含む水系分散体を得た。複合粒子(C)の平均粒子径は180nmであり、180nm±30nmに全複合粒子(C)の約85%が分布していた。また、複合粒子(C)のゼータ電位は−30mVであり、重合体粒子(c)の表面の100%にシリカ粒子が付着していた。
【0077】
実施例4[複合粒子(D)を含む水系分散体の調製]
重合体粒子(d)に対して1重量%のポリカルボン酸アンモニウム塩(平均分子量;約2000)を添加し、30分間攪拌し、吸着させた。その後、この重合体粒子(d)を10重量%含む水分散体のpHを水酸化カリウムにより8に調整して水分散体〔7〕を得た。また、コロイダルチタニア(シーアイ化成株式会社製、商品名「ナノテックTiO」)を10重量%含む水分散体のpHを同様に8に調整して水分散体〔8〕を得た。水分散体〔7〕に含まれる重合体粒子(d)のゼータ電位は−25mV、水分散体〔8〕に含まれるチタニア粒子のゼータ電位は−12mVであった。
【0078】
次いで、容量2リットルのフラスコに、水分散体〔7〕100部と水分散体〔8〕80部とを投入し、硝酸によりpHを4に調整し、2時間攪拌して重合体粒子(d)にチタニア粒子が付着した予備粒子を含む水分散体を得た。その後、この水分散体にジメチルジエトキシシラン4部を添加し、2.5時間攪拌した後、50℃に昇温し、更に4時間攪拌し、冷却することにより、複合粒子(D)を含む水系分散体を得た。この複合粒子(D)の平均粒子径は215nmであり、215nm±50nmに全複合粒子(D)の約80%が分布していた。また、複合粒子(D)のゼータ電位は+15mVであり、重合体粒子(d)の表面積の85%にチタニア粒子が付着していた。
【0079】
尚、実施例1〜4において、平均粒子径及び粒径分布並びに付着面積割合は以下のようにして測定した。
平均粒子径及び粒径分布;透過型電子顕微鏡により50個の粒子について粒子径を測定し、それに基づいて算出した。
付着面積割合;複合粒子を走査型電子顕微鏡により観察し、写真撮影し、倍率100000倍の写真において、複合粒子1個当たりの無機粒子の付着面積を測定し、それに基づいて[付着面積/(付着面積+非付着面積)]×100により算出した。
【0080】
(3)CMP用水系分散体の調製及びそれを用いたCMP試験
実施例6[複合粒子(A)を含有するCMP用水系分散体の調製及びそれを用いた銅膜のCMP試験]
イオン交換水に、複合粒子(A)を含む水系分散体、過酸化水素、サリチルアルドキシム、及び乳酸アンモニウムを、複合粒子(A)、過酸化水素、サリチルアルドキシム、及び乳酸アンモニウムの濃度が、それぞれ3重量%、1重量%、0.3重量%及び1重量%になるように配合した後、水酸化カリウムによってpHを6に調整してCMP用水系分散体を得た。
【0081】
このCMP用水系分散体を使用し、8インチ熱酸化膜付きシリコンウェハ上の銅膜(膜厚;15000Å)を、CMP装置(ラップマスターSFT社製、型式「LPG510」)にセットし、多孔質ポリウレタン製の研磨パッド(ロデール・ニッタ社製、品番「IC1000」)を用い、加重300g/cmになるようにして1分間研磨を行った。研磨後の銅膜の厚さを電気伝導式膜厚測定器によって測定し、研磨速度を算出した結果、5500Å/分であった。また、シリコン基板上に形成されたシリカ製の膜を同一条件で研磨し、洗浄し、乾燥した後、KLA(KLAテンコール社製、型式「サーフスキャンSP−1」)により確認したところ被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0082】
実施例7[複合粒子(B)を含有するCMP用水系分散体の調製及びそれを用いたアルミニウム膜のCMP試験]
イオン交換水に、複合粒子(B)を含む水系分散体及び過硫酸アンモニウムを、複合粒子(B)及び過硫酸アンモニウムの濃度が、それぞれ5重量%及び1重量%になるように配合した後、硝酸によってpHを4に調整してCMP用水系分散体を得た。
このCMP用水系分散体を使用し、8インチ熱酸化膜付きシリコンウェハ上のアルミニウム膜(膜厚;5000Å、1%の銅を含有する。)を、実施例6と同様にして研磨した。その後、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認した。その結果、研磨速度は4300Å/分であり、被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0083】
実施例8[複合粒子(C)を含有するCMP用水系分散体の調製及びそれを用いた銅膜のCMP試験]
イオン交換水に、複合粒子(C)を含む水系分散体、過酸化水素、7−ヒドロキシ−5−メチル−1,3,4−トリアザインダゾリン、及び乳酸アンモニウムを、複合粒子(C)、過酸化水素、7−ヒドロキシ−5−メチル−1,3,4−トリアザインダゾリン、及び乳酸アンモニウムの濃度が、それぞれ3.5重量%、1重量%、0.3重量%及び0.5重量%になるように配合した後、アンモニアによってpHを7.2に調整してCMP用水系分散体を得た。
このCMP用水系分散体を使用し、実施例6と同様にして銅膜を研磨した。その後、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認した。その結果、研磨速度は5700Å/分であり、被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0084】
実施例9[複合粒子(D)を含有するCMP用水系分散体の調製及びそれを用いたタングステン膜のCMP試験]
イオン交換水に、複合粒子(D)を含む水系分散体、硝酸鉄、及びマロン酸を、複合粒子(D)、硝酸鉄、及びマロン酸の濃度が、それぞれ3重量%、0.1重量%及び1重量%になるように配合した後、硝酸によってpHを2に調整してCMP用水系分散体を得た。
このCMP用水系分散体を使用し、8インチ熱酸化膜付きシリコンウェハ上のタングステン膜(膜厚;5000Å)を、実施例6と同様にして研磨した。その後、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認した。その結果、研磨速度は3500Å/分であり、被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0085】
比較例1(複合粒子を含まない水系分散体の調製及びそれを用いた銅膜の研磨試験)
実施例6において、複合粒子(A)に代えて重合体粒子(a)を用いた他は同様にして水系分散体を調製した。この水系分散体を使用し、実施例6と同様の装置、操作で銅膜を研磨し、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認したところ、研磨速度は1500Å/分と小さかった。
【0086】
比較例2(複合粒子を含まない水系分散体の調製及びそれを用いた銅膜の研磨試験)
実施例8において、複合粒子(C)に代えてヒュームド法アルミナ粒子(デグサ社製、商品名「Alminium Oxide C」)をイオン交換水に分散させ、超音波処理を行った10重量%濃度の水分散体を配合した他は同様にして水系分散体を調製した。
この水系分散体を使用し、実施例6と同様の装置、操作で銅膜を研磨し、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認したところ、研磨速度は6000Å/分と十分であったが、多数のスクラッチが観察された。
【0087】
(4)低誘電絶縁膜のCMP試験
〔1〕低誘電絶縁材の合成
セパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン170.7g、テトラメトキシシラン42.7g、ジイソプロポキシチタンビスエチルアセチルアセテート1.0g、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル417gを投入し、攪拌後、60℃に昇温した。次いで、イオン交換水176gとプロピレングリコールモノプロピルエーテル206gとの混合溶液を、温度を60℃に保持したまま、2時間かけて添加した後、60℃で更に8時間反応させた。次いで、アセチルアセトンを51g添加し、減圧下、40℃でメタノールを含む溶剤500gを除去することにより、低誘電絶縁材を含む水溶液を得た。
【0088】
〔2〕低誘電絶縁材を含む塗膜及び低誘電絶縁材からなる皮膜の作製
8インチシリコンウェハの表面に、〔1〕で得られた水溶液を、スピンコーターにより塗布した。回転数は2500rpmとし、31秒間で塗布した。その後、この水溶液が塗布されたウェハを、80℃に調温されたホットプレート上で5分間加熱し、有機溶媒を除去した。次いで、このウェハを200℃に調温されたホットプレート上で5分間加熱した後、450℃に調温された窒素雰囲気のオーブンによって更に60分間加熱し、ウェハ表面の塗膜を硬化させ、皮膜を形成した。
【0089】
〔3〕皮膜の誘電率の評価
〔2〕で得られた皮膜にアルミニウムを蒸着し、周波数1MHzで誘電率を測定したところ2.65と低かった。この誘電率は、横河・ヒューレットパッカード社製HP16451B電極及びHP4284AプレシジョンLCRメータを用いて測定した。
【0090】
実施例10[複合粒子(C)を含有するCMP用水系分散体の調製及びそれを用いた低誘電絶縁膜のCMP試験]
イオン交換水に、複合粒子(C)を含む水系分散体及びベンゾトリアゾールを、複合粒子(C)とベンゾトリアゾールの濃度が、それぞれ3重量%、0.05重量%になるように配合した後、水酸化カリウムによってpHを7.5に調整してCMP用水系分散体を得た。
このCMP用水系分散体を使用し、(4)、〔2〕と同様にして形成した低誘電絶縁材からなる皮膜を、実施例6と同様にして研磨した。また、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認した。その結果、研磨速度は50Å/分であり、被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0091】
実施例11[複合粒子(C)を含有するCMP用水系分散体の製造及びそれを用いた低誘電絶縁膜のCMP試験]
実施例10と同様にしてCMP用水系分散体を製造した。低誘電絶縁膜として、(4)、〔2〕と同様にして形成した皮膜に代えて、Allied Signal 社製、商品名「FLARE」(誘電率;約2.7)を用いた他は、実施例10と同様にして研磨した。また、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認した。その結果、研磨速度は55Å/分であり、被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0092】
実施例12[複合粒子(C)を含有するCMP用水系分散体の製造及びそれを用いた低誘電絶縁膜のCMP試験]
Allied Signal 社製、商品名「FLARE」に代えてDow Chemical社製、商品名「BCB」(誘電率;約2.7)を用いた他は、実施例11と同様にして研磨した。また、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認した。その結果、研磨速度は65Å/分であり、被研磨面のスクラッチは30個以下であった。
【0093】
比較例3[複合粒子を含まないCMP用水系分散体の調製及びそれを用いた低誘電絶縁膜のCMP試験]
実施例10において、複合粒子(C)を含む水系分散体に代えて比較例2のヒュームド法アルミナ粒子を含む水分散体を配合した他は同様にしてCMP用水系分散体を得た。
このCMP用水系分散体を使用し、(4)、〔2〕と同様にして形成した低誘電絶縁材からなる皮膜を、実施例6と同様にして研磨した。また、実施例6と同様にして研磨速度を算出し、スクラッチの有無を確認したところ、研磨速度は70Å/分であったが、被研磨面には多数のスクラッチが観察された。
【0094】
【発明の効果】
請求項1乃至1記載の発明によれば、重合体粒子の表面の少なくとも一部に、複数の、特に多数の無機粒子が付着した、請求項1記載の複合粒子を製造することができる。また、請求項1乃至1記載の発明によれば、半導体装置の被加工膜等のCMPにおいて有用な、優れた研磨性能を有するCMP用水系分散体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 重合体粒子又は無機粒子を配合し、分散させた水分散体におけるpHとゼータ電位との相関を表わすグラフである。

Claims (14)

  1. 重合体粒子、1種以上の無機粒子を静電力により付着させて予備粒子を形成し、その後、該予備粒子の存在下、下記の一般式(1)で表される化合物を重縮合させることを特徴とする複合粒子の製造方法。
    (R 1 n Si(OR 2 4-n (1)
    (式中、R は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。nは0〜2を示し、nが2である場合、R は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、(4−n)が2以上である場合、R は同一であっても、異なっていてもよい。)
  2. 重合体粒子、1種以上の無機粒子とを、エポキシ基を有するシランカップリング剤を介して結合して予備粒子を形成し、その後、該予備粒子の存在下、下記の一般式(1)で表される化合物を重縮合させることを特徴とする複合粒子の製造方法。
    (R 1 n Si(OR 2 4-n (1)
    (式中、R は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す。nは0〜2を示し、nが2である場合、R は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、(4−n)が2以上である場合、R は同一であっても、異なっていてもよい。)
  3. 上記無機粒子がアルミナ、チタニア及びセリアのうちの少なくとも1種である請求項1又は記載の複合粒子の製造方法。
  4. 上記重合体粒子が、カルボキシル基、その陰イオン、スルホン酸基及びその陰イオンのうちの少なくとも1種を有する請求項記載の複合粒子の製造方法。
  5. 上記重合体粒子に、陰性界面活性剤及び陰性水溶性高分子のうちの少なくとも一方の少なくとも1種が吸着又は化学結合している請求項記載の複合粒子の製造方法。
  6. 上記無機粒子がシリカ及びジルコニアのうちの少なくとも一方である請求項1又は記載の複合粒子の製造方法。
  7. 上記重合体粒子が、アミノ基及びその陽イオンのうちの少なくとも一方を有する請求項記載の複合粒子の製造方法。
  8. 上記重合体粒子に、陽性界面活性剤及び陽性水溶性高分子のうちの少なくとも一方の少なくとも1種が吸着又は化学結合している請求項記載の複合粒子の製造方法。
  9. 上記重合体粒子の表面に複数の上記無機粒子が付着し、形成されている請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法。
  10. 上記重合体粒子の表面の少なくとも5%に上記無機粒子が付着し、形成されている請求項1乃至のうちのいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法。
  11. 上記複合粒子の平均粒子径が0.05〜0.5μmであり、該複合粒子の少なくとも80%が上記平均粒子径の±30%以内の粒子径を有する請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法。
  12. 請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の方法により製造されることを特徴とする複合粒子。
  13. 請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の方法により製造される複合粒子を含有することを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。
  14. 請求項12記載の複合粒子を含有することを特徴とする化学機械研磨用水系分散体。
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