JP4688397B2 - キャリア粒子の取扱い方法および研磨剤 - Google Patents

キャリア粒子の取扱い方法および研磨剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤におけるキャリア粒子の取り扱い方法、該キャリア粒子を用いた研磨剤の製造方法、および該研磨剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体基板や磁気ディスク基板のような先端電子機器部品やその基板の仕上げ工程では、種々の研磨布を使った遊離砥粒研磨が採用され、鏡面を実現するために織布、不織布、発泡体などの弾性のある研磨布が工具として使用されている。
【0003】
このような遊離砥粒研磨は、研磨布を研磨パッドとして定盤の上に載置し、研磨パッドと被研磨対象物との間に砥粒を追加しながら研磨する方法であり、被研磨対象物を加圧下に回転させることで砥粒との間で表面研磨を達成するものである。従って、研磨パッドは被研磨対象物と定盤とが直接接触してスクラッチを生ずることがないように載置されるものであるが、例えば織布は織り目が粗さやうねりに対して悪影響を与える場合があり、不織布でも密度にむらがあるなどの問題がある。加えて、研磨布に荷重がかかるため繰り返しの使用によって研磨布が次第に弾性を失って硬くなる。また、砥粒は研磨液に懸濁した状態で供給されるため、研磨布に切りくずや砥粒が堆積して研磨効率が低下したり、凝集粒子が発生してスクラッチの原因となる場合がある。このため、研磨布の表面を削り直す作業が必要となり、研磨工程の一時中止による生産効率の低下を招く。また、近年のシリコンウエハのように被研磨対象物のサイズの拡大に伴って研磨パッドのサイズの拡大も余儀なくされ、その定盤上への取り付け作業にも熟練が必要となっている。このため、最近の精密研磨における形状精度の高い加工要求性から、より硬質の研磨布が求められるようになり、硬質樹脂層と軟質樹脂層を重ね合わせた二層研磨布なども提案されている。
【0004】
一方、研磨パッドを使用せずに鏡面加工を行なう方法として、ハイドロプレーン現象を利用して定盤から工作物を浮上させて流体支持した状態で研磨するフロートポリシングがある。しかしながら、この流体支持研磨では従来の研磨布を用いる場合よりも研磨効率が低い。
【0005】
また、研磨パッドを使用しない研磨方法として、特開2001−300843号公報には、被研磨対象物の表面を研磨するための研磨剤であって、母粒子とその表面に保持される超微細砥粒とからなる研磨剤が開示されている。従来の研磨法では、定盤の上に載置された研磨パッドと被研磨対象物との間に砥粒を存在させて研磨していたが、上記公報記載の方法は母粒子の表面に超微細砥粒を保持させ、研磨パッドなしに研磨を行なうものである。研磨中に研磨剤内の母粒子に超微細砥粒が保持され、研磨中に研磨剤内の超微細砥粒が母粒子の表面の一部から剥離しても再び母粒子の剥離した部分に当該超微細砥粒が付着し、該超微細砥粒によって研磨する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2001−300843号公報に開示された母粒子を使用する方法は従来の研磨パッドを不要にするものであり、研磨パッドの張り替えや修正が必要ないためコスト的に有利である。
【0007】
しかしながら、このような研磨パッドに代えて砥粒を保持または付着させるキャリア粒子を用いる方法では、キャリア粒子は、定盤と被研磨対象物とが直接接触して被研磨対象物を傷つけることが無いように定盤と被研磨対象物との間隔を保持するように働き、かつ研磨スラリー中の砥粒を被研磨対象物の表面に擦り合わせるように作用している。このような研磨方法では、キャリア粒子の界面化学的な性質が砥粒の付着や保持性に関与し、加工特性に影響を及ぼすことが考えられる。また、定盤の荒さやうねりなどの表面形状がキャリア粒子の運動性に影響を与える場合もあり、より研磨効率を向上させるための加工特性に影響を及ぼす因子の解明が望まれる。研磨剤は消耗品であるため、少ない使用量で効果的な研磨効率が得られることが好ましいが、未だ十分な研磨剤は存在しない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、砥粒とキャリア粒子との2種の粒子を用いる研磨法を詳細に検討した結果、研磨剤に使用するキャリア粒子は重合性単量体の重合によって得られ、重合用溶媒に含まれるキャリア粒子を重合用溶媒から単離後に乾燥することなく取り扱うと該キャリア粒子の研磨剤液中における分散性に優れ、研磨効率を向上させうることを見出し本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子と該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒とを含む研磨剤における該キャリア粒子の取り扱い方法であって、該キャリア粒子を溶媒の共存下に取り扱うことを特徴とするキャリア粒子の取り扱い方法を提供するものである。
【0010】
該溶媒の共存下とは、キャリア粒子の湿潤度を5質量%以上に維持することである、上記記載の取り扱い方法を提供するものである。
【0011】
該キャリア粒子が、重合性単量体を重合用溶媒中で重合して得られた粒子である、上記記載のキャリア粒子の取り扱い方法を提供するものである。
【0012】
キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤の製造方法であって、重合性単量体を重合用溶媒中で重合して該キャリア粒子を得て、該粒子を該重合用溶媒から単離後に乾燥させることなく前記砥粒を混合することを特徴とする研磨剤の製造方法を提供するものである。
【0013】
該キャリア粒子の湿潤度が5質量%以上であることを特徴とする、上記記載の研磨剤の製造方法を提供するものである。
【0014】
重合性単量体を溶媒中で重合して得たキャリア粒子を重合用溶媒から単離後に乾燥させることなく砥粒と混合して調製される、キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤を提供するものである。
【0015】
また、上記研磨剤を用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法を提供するものである。上記研磨剤は溶媒中のキャリア粒子の分散性に優れるため、砥粒と被研磨対象物との接触効率が高く、研磨効率に優れる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子と該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒とを含む研磨剤における該キャリア粒子の取り扱い方法であって、該キャリア粒子を溶媒の共存下に取り扱うことを特徴とするキャリア粒子の取り扱い方法である。
【0017】
キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤とは、キャリア粒子と砥粒とを溶媒中で混合および撹拌して調製された研磨剤であり、研磨剤中でキャリア粒子の表面に砥粒が保持され、定盤と被研磨対象物との間で該キャリア粒子が無数のミクロパッドとして作用する。砥粒はキャリア粒子によって被研磨対象物と接触するため、キャリア粒子が研磨剤中に分散されない場合には研磨効率が低下する。この分散性は研磨剤溶媒の水素イオン濃度、粘度などの各種特性によって変化するが、キャリア粒子と研磨剤溶媒との親和性に強く依存し、特に研磨剤溶媒に分散する際のキャリア粒子の湿潤度が分散性に与える影響が強いことが判明した。すなわち、重合して得たキャリア粒子の湿潤度が低いとこれを分散媒、例えば溶媒へ投入しても分散性に劣るため、キャリア粒子の湿潤度を維持するために溶媒の共存下に取り扱うことにした。以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明において「キャリア粒子を溶媒の共存下に取り扱う」とは、キャリア粒子が溶媒中に浸漬する場合であっても、溶媒蒸気中に保存する場合、キャリア粒子粉体中に溶媒が含有されている場合、その他のいずれであってもよい。少なくともキャリア粒子が溶媒の共存下にあれば、その表面および内部に溶媒が存在するため、溶媒中に混合してもキャリア粒子の溶媒に対する分散性に優れるからである。
【0019】
より具体的には、溶媒の共存下とは、キャリア粒子の湿潤度を5質量%以上に維持することである。より好ましくは10〜1000質量%、特に好ましくは20〜500質量%である。5質量%を下回ると、キャリア粒子の表面および内部に気体が多く存在するためこれを研磨剤用の溶媒に投入しても分散性が低下するからである。また、湿潤度が5質量%を下回ると、キャリア粒子同士が合着したり凝集が生じる場合があり、このような凝集物を溶媒中に仕込んでも分散性が回復しない場合があり好ましくない。特に、キャリア粒子を一旦乾燥させると、キャリア粒子の乾燥時に粒子同士の合着や凝集が生じる場合があり、これを粉砕してもキャリア粒子の内部および表面のいずれにも空気が多量に含まれるため、研磨用溶媒に対する分散性が低下する。このため、本発明における「取扱い方法」とは、キャリア粒子を調製後、乾燥させることなく該研磨剤調製時まで溶媒共存下におくことを意味し、好ましくはキャリア粒子の調整後にこれを乾燥させることなく常にその湿潤度を5質量%以上に維持することである。なお、本願における「湿潤度」とは、キャリア粒子に含まれる溶媒含有質量(%)であり、溶媒が2種以上の混合液である場合にはその総量で換算する。従来は、キャリア粒子の湿潤度と分散性との関係が不明であったため、キャリア粒子として、保存性、輸送効率、保存効率などに優れる乾燥品が使用され、研磨剤調整時にキャリア粒子と砥粒とを研磨剤溶媒に投入、混合、撹拌していた。このため、キャリア粒子の分散性が優れず、被研磨対象物への砥粒の搬送性などのミクロパッドとしての機能が十分発揮されないため、研磨効率が低かった。しかしながら、本発明によればキャリア粒子を溶媒と共存下に取り扱うことで溶媒に対する高い分散性を確保でき、これによって研磨効率を向上させることができる。
【0020】
本発明の取扱い方法では、キャリア粒子が溶媒の共存下に取り扱われればよく、該キャリア粒子の表面や内部にも溶媒が含まれると分散性を容易に向上できるため特に好ましい。このような粒子内部にも溶媒が含まれ得るキャリア粒子としては、重合性単量体を重合性溶媒中で重合して得られた粒子がある。上記方法で取り扱われるキャリア粒子は、溶媒中で砥粒と混合して研磨剤として調製されるものであり、キャリア粒子が有機高分子化合物、特に重合性単量体を溶媒中で重合させて得たものである場合には、得られる重合体の表面や内部にも重合用溶媒が含まれる。このため、その後に研磨剤用の溶媒に仕込んだ場合にもキャリア粒子が、該溶媒との親和性や分散性に優れるのである。この場合には、キャリア粒子は、溶媒と共存下に取り扱われれば溶媒の種類は問わない。従って、例えば湿潤度5質量%以上を維持できれば、重合用溶媒と研磨剤用溶媒との種類を変更してもよい。例えば、重合用溶媒中に重合開始剤、連鎖調整剤その他の添加、残存重合性単量体等が存在し、これらが研磨剤中にあると研磨効率を低下したり、被研磨対象物に悪影響を与える場合には、重合用溶媒に代えて他の溶媒を共存させてもよい。このような他の溶媒としては、重合用溶媒を除去および置換するための洗浄用溶媒、キャリア粒子の保存用溶媒、研磨剤用溶媒などが例示できる。具体的には、重合用溶媒に含まれるキャリア粒子を単離して他の洗浄用溶媒で洗浄し、次いで保存用溶媒で共洗いして保存する場合、洗浄用溶媒による洗浄後に研磨剤用溶媒にキャリア粒子を浸漬する場合などがある。なお、キャリア粒子の湿潤度が溶媒の種類によって異なる場合があり、異なる溶媒で洗浄する際には、いずれの溶媒においても常に湿潤度5質量%を維持することが好ましい。
【0021】
なお、研磨剤用溶媒は、本発明の対象となる研磨剤において砥粒とキャリア粒子との結合を容易にするため、または研磨効率の向上等のために使用される。このような研磨剤用の溶媒としては、親水性溶媒でも疎水性溶媒でもよく、被研磨対象物の特性、使用するキャリア粒子の種類、砥粒の種類等に応じて適宜選択することができる。親水性溶媒としては、純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、t−ブタノール等の炭素数1〜12の分岐を有していてもよいアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類がある。また、疎水性溶媒としては、鉱物油、植物油、シリコーンオイル等の油類等がある。本発明ではこれらの溶媒の1種または2種以上を併用してもよい。この溶媒は、キャリア粒子と砥粒との結合を容易にするため両者の特性によって至適な水素イオン濃度に調整でき、または両者の分散性を向上させるために至適な粘度に調整することもできる。
【0022】
本発明の方法では、キャリア粒子が溶媒の共存下にあればよく、具体的には湿潤度が5質量%以上であればよいが、研磨剤を調製する際の溶媒の使用量は上記キャリア粒子の取扱い時の溶媒量に制限されることなく、研磨剤として至適な量を選択することができる。研磨剤用溶媒の使用量としては、キャリア粒子の種類などによって至適範囲が異なるが、一般には、キャリア粒子と砥粒との合計量の2〜200質量倍、より好ましくは5〜50質量倍である。2質量倍を下回ると、研磨液中のキャリア粒子濃度が高すぎて摩擦係数が高くなり好ましくない場合がある。一方、200質量倍を上回ると、キャリア粒子および砥粒の含有量が少ないため、研磨効率が低下する場合がある。
【0023】
次に、本発明で使用するキャリア粒子について説明する。該キャリア粒子は、定盤と被研磨対象物との間に供給され、その表面に砥粒を付着させて被研磨対象物を研磨するものであれば、その形状やサイズに制限はない。従って、原則として、キャリア粒子は有機高分子化合物であっても無機化合物であってもよい。しかしながら、ミクロパッドとしての砥粒の搬送性や研磨効率に優れる点で有機高分子化合物であることが好ましい。この際、該キャリア粒子としては重合性単量体を溶媒中で重合して得たものであれば、単量体の種類や使用する溶媒の種類については問わず、使用する重合性単量体の重合に至適な重合用溶媒を使用する事ができる。上記したように、重合用溶媒が研磨剤用溶媒として好ましくない場合には、重合後に重合用溶媒に代えて他の溶媒で取り扱えるからである。また、重合方法についても特に制限はない。このため、付加の繰返しによる付加重合、縮合の繰返しによる縮合重合、環状構造をもつ単量体が環を開きながら行なう開環重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合、配位重合、光重合、放射線重合、プラズマ重合、プラズマ開始重合、グループトランスファー重合などのいずれでもよく、反応機構としても、ラジカル重合、陽イオン重合、陰イオン重合のいずれでもよく、さらに単独重合体でも、共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれであってもよく、更に該高分子が分子内架橋を有していてもよい。
【0024】
有機高分子化合物としては、砥粒保持性や分散性などから、少なくとも一種類のウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスフフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのいずれか1種またはこれらの2種以上の混合物や組成物から形成することができる。
【0025】
更に、キャリア粒子は、有機高分子化合物と無機化合物との複合体であってもよい。例えば、上記有機高分子化合物を核にしてその表面に上記無機化合物を化学的または物理的に担持、吸着、化学的結合等によって付着させたもの、有機高分子化合物を無機化合物の存在下に合成し、有機高分子化合物中に無機化合物を包含させたもの、無機化合物を核として、その表面に有機高分子化合物の薄膜を被覆させたり、化学的な結合によってグラフト鎖等の形成によって表面を改質したものであってもよい。更に中空部を有する有機高分子化合物自体、該中空部に空気以外のガスや液体が封入されたもの等であってもよい。このような複合体として使用される無機化合物としては、少なくとも一種類のカーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、メソカーボンビーズなどのマイクロビーズの1種または2種以上を併用することができる。カーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、メソカーボンビーズなどのマイクロビーズは、大阪ガス株式会社、シミコン・コンポジット社等から市販されている。
【0026】
また、キャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaである。キャリア粒子の機械的強度が弱い場合には加圧による変形が容易であり、該変形によって被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積が拡大し、研磨効率が指数的に増大するからである。機械的強度は、より好ましくは1〜40MPa、特に好ましくは1〜30MPaである。50MPaを超えると研磨時の加圧条件下におけるキャリア粒子の変形が容易でなく、被研磨対象物との変形による接触面積の増大が生じず研磨効率を向上させることが困難となる場合がある。また、被研磨対象物の強度にもよるが、キャリア粒子との接触によるスクラッチを発生させる場合もある。その一方、1MPaを下回ると定盤と被研磨対象物との間隔を確保するミクロパッドとしての作用を奏することが困難となり、被研磨対象物にスクラッチを発生させる場合が発生する場合があり、好ましくない。
【0027】
なお、本発明において機械的強度は微小圧縮試験機による測定によるものとし、このような装置として島津微小圧縮試験機MCTM/MCTEシリーズがある。試料形状として粒子あるいは繊維を選択した場合、圧縮速度0.27g/secで変位させた際の強度を算出する。圧縮速度0.27g/secとしたのは、研磨において、被研磨対象物への研磨剤の接触がすばやく行われるため、比較的圧縮速度の速い条件を選択したことによる。その測定原理は、試料を該装置の上部加圧圧子(標準は50μm径の平面圧子)と下部加圧板との間に配置し、該試料の粒子一個に電磁力により一定の増加割合で押圧力を与え、このときの試料の変位量を測定することで下記式に従って算出するというものである。
【0028】
【数1】
Figure 0004688397
【0029】
繊維の場合には、
【0030】
【数2】
Figure 0004688397
【0031】
より具体的なキャリア粒子としては、以下のものがある。例えば、ポリビニルアルコールを含む親水性溶媒に、スチレンなどの芳香族単量体をベンゾイルパーオキサイドを開始剤として、4000〜10000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、温度60〜100℃で5〜24時間反応させ、得られた固形物を濾別し十分に水洗した重合粒子がある。
【0032】
また、ポリビニルアルコールを含む親水性溶媒に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルをラウロイルパーオキサイドを開始剤として、4000〜10000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、温度50〜100℃で5〜24時間重合反応させ、得られた固形物を濾別し十分に水洗した重合粒子が例示できる。
【0033】
また、有機高分子化合物と無機化合物との複合体としては、例えば、未硬化ベンゾグアナミン系樹脂の乳化物100質量部(樹脂固形分換算)に対して、BET法による比表面積が50〜400m2/gの細孔を有するシリカ1〜15質量部と硬化触媒0.01〜5質量部を添加し、微粒子状シリカおよび硬化触媒の共存した乳化状態で樹脂の硬化反応を進め、硬化物を水媒体から得た有機高分子微粒子がある。乳化状態で硬化させ、ろ過や遠心分離によって水媒体から分離した樹脂は塊状であるが、僅かの力でほぐれて微粉末となる。また、シリカと硬化触媒の共存下で重合したため粗大粒子が含まれず分散性に優れる。
【0034】
また、ベンゾグアナミン、またはベンゾグアナミン100〜50質量部とメラミン0〜50質量部からなる混合物とホルムアルデヒドとを、ベンゾグアナミン若しくは該混合物1モルに対して1.2〜3.5モルの割合で、pH5〜10の範囲で反応させ、メタノール混和度0〜150%の範囲の可溶可融性樹脂とした後、撹拌状態下にある保護コロイド水溶液に投入し、可溶可融性樹脂を加えて40〜60℃の範囲の温度で少なくとも1時間保持した後、常圧または加圧下で60〜200℃の範囲の温度で硬化させて得た硬化物を使用することもできる。このような方法で得られた硬化物は、均一な微粒子径を有し、砥粒との結合・保持特性にも優れる点で好ましい。なお、メタノール混和度とは、ベンゾグアナミン、またはベンゾグアナミンとメラミンとの混合物とホルムアルデヒドとの反応生成物2gをメタノール5gに溶解し、25℃に保ちながら水を滴下し、白濁を生じさせるのに要した水の質量と反応生成物の質量の比に100を乗じた数値である。また、保護コロイドとしては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリム、ポリアクリル酸、水溶性ポリアクリル酸塩などがある。また、可溶可融性樹脂としては、水溶性モノアゾ染料、金属含有アゾ染料、アントラキノン酸性染料などがある。
【0035】
本発明で使用するキャリア粒子は、定盤と被研磨対象物との直接接触によるスクラッチを防止するためスペーサーとして機能し、かつ砥粒を保持し加工領域へ運搬するキャリアとして働き、かつ加工領域に均一に分散かつ研磨が持続するように一定時間滞留する必要がある。そのような各種特性を確保するには、キャリア粒子の平均粒径は、その形状が真球の場合には0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは1〜15μmである。このような範囲の重合体を得るには、重合開始剤の配合量や温度などを適宜選択することで調製可能である。該粒子が高分子である場合には、その表面に有機高分子鎖などからなる微小突起部を有していてもよい。なお、本発明において、キャリア粒子のスペーサーとしての機能を確保するために、不定形状の場合のキャリア粒子の平均サイズは、その最短長さの平均を平均粒子径として算出するものとする。なお、重合体の分子量は、キャリア粒子が上記範囲にあれば特に制限されるものではない。
【0036】
本発明では、キャリア粒子を溶媒の共存下に取り扱う点に特徴があるが、好ましいキャリア粒子は重合性単量体を溶媒中で重合して得られた粒子であるため、キャリア粒子が親水性か疎水性かによって研磨剤用溶媒と至適な組み合わせがある。すなわち一般的に、キャリア粒子が疎水性の場合には疎水性分散媒には分散しやすいが親水性分散媒には分散が困難である。特に、一旦湿潤度が5質量%を下回る条件におかれたキャリア粒子は、上記のように再度分散媒に投入しても分散が困難であり、この困難さは特に親水性溶媒に分散する場合に顕著である。従って本発明は、キャリア粒子が疎水性であって研磨剤用溶媒が親水性溶媒である場合に特に有効である。例えば、キャリア粒子がポリスチレン、架橋ポリスチレン、未架橋体メタクリル樹脂、架橋体メタクリル樹脂、未架橋体アクリル樹脂、架橋体アクリル樹脂、ポリエチレン等の疎水性有機高分子化合物の場合には、研磨剤用の溶媒として純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、t−ブタノール等の炭素数1〜12の分岐を有していてもよいアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類等の親水性溶媒の場合である。
【0037】
このことは、キャリア粒子が親水性の場合にも同様であり、このようなキャリア粒子は、親水性溶媒には分散しやすいが疎水性溶媒には分散が困難である。このため本発明は、キャリア粒子が親水性であって研磨剤用溶媒が疎水性溶媒である場合にも特に有効となる。例えば、キャリア粒子がウレタン、ポリアミド等の場合に、鉱物油、植物油、シリコーンオイル等の疎水性溶媒を研磨剤用溶媒として使用する場合である。
【0038】
本発明の取り扱い方法で使用する砥粒は、被研磨対象物の表面を研磨できればよく、例えば、少なくとも一種類のコロイダルシリカ、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、酸化マンガンおよびこれらの混合物を使用することができる。
【0039】
砥粒のサイズは、キャリア粒子の平均粒径にも依存するが、一般に0.001〜3μm、より好ましくは0.005〜2μm、特に好ましくは0.01〜1μmである。3μmを超えるとスクラッチ発生の原因となり、一方、0.001μmを下回ると研磨効率が悪くなる。キャリア粒子との粒子径の比は、1/3000〜1/5、より1/2000〜1/5、さらに1/1000〜1/10が好ましい。
【0040】
なお、砥粒は、被研磨対象物の表面を研磨するものであり、研磨加工中でキャリア粒子の表面に保持される必要がある。この場合、研磨中にキャリア粒子の表面の一部から砥粒が剥離したものが再びキャリア粒子の剥離した部分に砥粒が付着してもよい。なお、キャリア粒子と砥粒との結合は、化学的結合であるか物理的結合であるかを問うものでなく、砥粒は用いるキャリア粒子との結合に適したものを適宜選択すればよい。好ましくは、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂をキャリア粒子とした場合に、コロイダルシリカ、シリカ、セリア、アルミナを砥粒とする場合がある。
【0041】
キャリア粒子と砥粒との配合割合は、キャリア粒子100質量部に対して、砥粒10〜2000質量部、より好ましくは50〜1000質量部、特に好ましくは50〜500質量部を配合する。2000質量部を超えるとキャリア粒子に保持されない砥粒が増大し、研磨工程で過剰量の砥粒が沈殿して無駄である。その一方、10質量部を下回ると研磨効率が低下する。なお、コロイダルシリカ等のように砥粒が既に溶媒を含んでいる場合には、砥粒の配合量はコロイダルシリカ中のシリカ量を砥粒の配合量として算出する。
【0042】
本発明の第二は、平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子と該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒とを含む研磨剤の製造方法であって、重合性単量体を重合用溶媒中で重合して該キャリア粒子を得て、該粒子を該重合用溶媒から単離後に乾燥させることなく前記砥粒に混合することを特徴とする研磨剤の製造方法である。上記したように、重合用溶媒中で重合して得たキャリア粒子はその表面に重合用溶媒が付着するのみならず、キャリア粒子の内部にも重合用溶媒が含まれているため、これを重合用溶媒から単離した後に乾燥させることなく砥粒と混合すると研磨剤溶媒中におけるキャリア粒子の親和性が良好で研磨特性に優れる研磨剤が得られる。
【0043】
この際、該キャリア粒子としては重合性単量体を溶媒中で重合して得たものであれば、単量体の種類や使用する溶媒の種類については問わず、使用する重合性単量体の重合に至適な重合用溶媒を使用する事ができる。上記したように、重合用溶媒が研磨剤用溶媒として好ましくない場合には、重合後に重合用溶媒に代えて他の溶媒で取り扱えるからである。また、重合方法についても特に制限はない。このため、付加重合、縮合重合、開環重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合、配位重合、光重合、放射線重合、プラズマ重合、プラズマ開始重合、グループトランスファー重合などのいずれでもよく、反応機構としても、ラジカル重合、陽イオン重合、陰イオン重合のいずれでもよく、さらに単独重合体でも、共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれであってもよく、更に該高分子が分子内架橋を有していてもよい。たとえば、少なくとも一種類のウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスフフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのいずれか1種またはこれらの2種以上の混合物や組成物から形成することができる。
【0044】
しかしながら、その表面に砥粒を保持し、溶媒に対する分散性、ミクロパッドとしての柔軟性、機械的強度などから、重合性単量体としては、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、架橋メタクリル樹脂であることが好ましく、その重合の際の溶媒としては純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、t−ブタノール等の炭素数1〜12の分岐を有していてもよいアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類等の親水性溶媒、重合反応としては懸濁重合、乳化重合、分散重合、重合開始剤としてはラジカル重合であることが好ましい。上記溶媒や重合反応によってキャリア粒子が反応液中で重合する場合には、得られた重合体は反応溶液中に析出または沈殿するため該重合用溶媒に溶解することがない。しかも、該重合体の内部にも該重合用溶液が含まれるためキャリア粒子が常に溶媒共存下に取り扱われるからである。
【0045】
より具体的には、上記第一の発明で記載したポリビニルアルコールを含む親水性溶媒に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルや、スチレンなどの芳香族性単量体を重合開始剤の存在下に反応液を4000〜10000rpmの攪拌速度で攪拌、分散させた後、温度50〜1000℃で5〜24時間重合反応させて得られた粒子がある。また、有機高分子化合物と無機化合物との複合体としては、未硬化ベンゾグアナミン系樹脂の乳化物に所定の細孔を有するシリカと硬化触媒とを添加し、微粒子状シリカおよび硬化触媒の共存した乳化状態で樹脂の硬化反応を進めて得た硬化物を水媒体から単離して有機高分子微粒子がある。また、ベンゾグアナミン、またはベンゾグアナミンとメラミンからなる混合物とホルムアルデヒドとをpH5〜10の範囲で反応させて得た可溶可融性樹脂を撹拌状態下の保護コロイド水溶液に投入して硬化させて得た硬化物を使用することもできる。
【0046】
本発明の対象となる研磨剤は、キャリア粒子と砥粒とが含まれ、研磨工程でキャリア粒子の表面に砥粒が保持されればよくその保持の形態は問わない。一方、キャリア粒子表面に砥粒が保持されていない場合には、砥粒よりもキャリア粒子の平均粒径が大きいため被研磨対象物を研磨することはできない。このため研磨剤中のキャリア粒子と砥粒とは、キャリア粒子の少なくとも表面に砥粒が保持された複合粒子として存在し、この際の結合力も、静電気力、イオン結合、ファンデルワールス力または物理的、機械的な力等によるものと考えられる。しかしながら、本発明の対象となる研磨剤においては、キャリア粒子と砥粒とが常に複合粒子として存在している必要はなく、研磨工程において実質的にキャリア粒子がスペーサーとして機能し、かつ砥粒を運搬するための媒体として機能すればよい。従って、研磨剤の保存中にはキャリア粒子と砥粒とが分離しているが、研磨工程に供給する際には撹拌などによってキャリア粒子と砥粒とが互いに接触して、また研磨工程では研磨剤の供給力や被研磨対象物の回転力などによってキャリア粒子と砥粒とが互いに接触してキャリア粒子の表面に砥粒が保持され、実質的に被研磨対象物の表面を研磨することができる場合であってもよい。
【0047】
このような状態の研磨剤を得るための本発明の特徴は、重合性単量体を重合用溶媒中で重合して得たキャリア粒子を、該重合用溶媒から単離後に乾燥させることなく砥粒に保持させる点にある。第一の発明で記載したように一旦乾燥させると重合体の表面や内部に気体が含まれたり、粒子同士の合着や凝集が生じるる結果、その後に他の溶媒中に混合しても溶媒との親和性、分散性が低下する場合があるからである。従って、乾燥させることなく、キャリア粒子の湿潤度を5質量%以上に維持することが好ましく、より好ましくは10〜1000質量%、特に好ましくは20〜500質量%に維持する。5質量%を下回ると、キャリア粒子の表面および内部に気体が多く存在して分散性が低下する場合がある。なお、キャリア粒子の湿潤度が5質量%以上であれば、重合用溶媒から単離した後に他の溶媒でキャリア粒子を洗浄することは一向に構わない。
【0048】
本発明の研磨剤の製造方法は、砥粒を上記キャリア粒子に保持するものであり、キャリア粒子と砥粒とを溶媒の存在下に混合し、必要に応じて撹拌等すれば製造することができる。この際、砥粒が分散する溶媒にキャリア粒子を添加し、撹拌することで製造してもよく、特にホモジナイザー、超音波分散機を使用することが好ましい。なお、該研磨剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、pH調整剤、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
【0049】
本発明の第三は、重合性単量体を溶媒中で重合して得た平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子を重合用溶媒から単離後に乾燥させることなく該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒と混合して調製される、キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤である。上記、第一、第二の発明で記載したように、キャリア粒子を乾燥させることなく、好ましくは湿潤度を5質量%以上とすれば、研磨剤溶媒中でのキャリア粒子の分散性に優れるからである。好ましいキャリア粒子の種類や調製方法、砥粒の種類、使用量、使用する溶媒の種類などは、第二の研磨剤の製造方法で記載したと同様である。
【0050】
本発明の第四は、上記研磨剤を用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法である。
【0051】
該研磨方法は、研磨機に設けられた定盤と被研磨対象物との間に該研磨剤を所定の量で供給し、研磨剤に含まれる砥粒を被研磨対象物と接触させるため被研磨対象物を回転させれば砥粒と被研磨対象物との相対運動によってその表面が研磨される。
【0052】
研磨機としては、定盤を有し研磨剤の供給手段、被研磨対象物の回転手段が設けられていれば、定盤のサイズなどは被研磨対象物のサイズに応じて適宜選択することができる。
【0053】
定盤は銅や錫などの金属、ガラス、セラミックまたはプラスチックから製造される平面性の良好なものが好適である。該定盤の形状は平面に限定されず、曲面、球面または凹凸面などでもよい。このような定盤を使用することによって、従来のウレタン系のポリッシングパッドが不要となり、平面度や微小なうねりなどが改善される。
【0054】
被研磨対象物は、研磨剤上で回転しながら砥粒と接触するが、本発明においては通常公知の回転速度で回転させればよく、キャリア粒子や砥粒、被研磨対象物の材質等に応じて適宜選択することができる。
【0055】
また、被研磨対象物は、キャリア粒子や砥粒の種類やサイズに応じて適宜加工圧を選択することができるが、本発明においては5〜100KPaであることが好ましく、より好ましくは10〜70KPaである。
【0056】
また、研磨剤の供給量も定盤のサイズに応じて適宜選択することができ、研磨工程に供給する際の研磨剤の撹拌力も、使用するキャリア粒子や砥粒の種類および配合量などによって適宜選択することができる。
【0057】
具体的に、上記研磨剤の定盤上への供給における一定量とは1〜100ml/分であり、好適には10〜50ml/分である。また、該定盤を所定の回転速度で回転させながら、被研磨対象物1をラップ加工する場合において、所定の回転速度とは10〜500rpmであり、好適には20〜200rpmである。
【0058】
本発明の研磨方法では、特にシリコンウエハ、水晶、ガラス、サファイヤ等を被研磨対象物とする場合に、その表面の鏡面研磨に優れる。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0060】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコにイオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA−205」)4.0gを添加および溶解させた後、さらに、スチレン320gおよびベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名「ナイパーBW」、水25%含有品)12.8gからなる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、80℃で8時間重合した。得られた固形物を濾別し、十分に水洗し、水分を含有した重合粒子ケーキ440g(湿潤度33%)を得た。
【0061】
得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーII型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均粒径は8.9μmであった。
【0062】
(実施例2)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコにイオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA−205」)4.0gを添加および溶解させた後、さらに、メチルメタクリレート320gおよびラウロイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名「パーロイルL」)15gからなる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、70℃で8時間重合した。得られた固形物を濾別し、十分に水洗し、水分を含有した重合粒子ケーキ440g(湿潤度33%)を得た。
【0063】
得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーII型(Beckman Coulter, Inc.)を用いて測定した結果平均粒径は7.5μmであった。
【0064】
(比較例1)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコにイオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA−205」)4.0gを添加およびせた後、さらに、メチルメタクリレート320gおよびラウロイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名「パーロイルL」、水25%含有)15gからなる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、70℃で8時間重合した。
【0065】
得られた固形物を濾別し、十分に水洗した後、乾燥機にて60℃で12時間乾燥した。重合後に粉砕器にて粉砕した。湿潤度は、0.7%であった。
【0066】
重合体粒子310gを得て、該樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーII型(Beckman Coulter, Inc.)を用いて測定した結果8.1μmであった。
【0067】
(試験例1)
実施例1または2および比較例1で調整した樹脂をキャリア粒子とし、砥粒としてコロイダルシリカ(日産化学製、商品名「スノーテックス30」)およびイオン交換水を溶媒として使用し、砥粒の濃度を5質量%とし、キャリア粒子を表1に示す濃度で混合および撹拌して研磨剤を調整した。なお、pHメーターで測定したところ、該研磨剤のpHはいずれも10.1であった。
【0068】
該研磨剤を、片面研磨機(株式会社岡本工作機械製作所製、商品名「SPL−15」)を用いて、4インチシリコンウェーハの研磨試験を行った。
【0069】
工具プレートは、表面粗さRa(算術平均粗さ)2.5μmのガラスを用いた。シリコンウェーハ及び定盤の回転数は60rpm、該研磨剤の供給量は25ml/分とし、20分間研磨加工した。
【0070】
研磨終了後に純水で洗浄し、研磨前後の質量の増減を除去量として計測して研磨効率として評価し、及びスクラッチの有無を目視により評価した。また、機械的強度を島津微小圧縮試験機MCTM/MCTEシリーズにより測定した。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0004688397
【0072】
【発明の効果】
キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤は、新しいキャリア粒子および砥粒とが研磨剤と共に供給されるため、長期に亘って安定した研磨効率を維持することができる。この際、キャリア粒子が研磨液中で分散性に優れると被研磨対象物と砥粒との接触効率を向上させることができ、研磨効率が向上する。このキャリア粒子は、重合性単量体を重合して得たものを乾燥させることなく研磨剤に使用することで分散性を確保することができる。本発明の研磨剤によれば、スクラッチの発生が少なく、かつ研磨効率に優れる研磨が達成される。

Claims (10)

  1. 平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子と該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒とを含む研磨剤における該キャリア粒子の取り扱い方法であって、
    重合性単量体を重合用溶媒中で重合して該キャリア粒子を得て、該キャリア粒子を該重合用溶媒から単離後に研磨剤調製時まで湿潤度を5質量%以上に維持する、キャリア粒子の取り扱い方法。
  2. 前記重合性単量体がメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびスチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、請求項1に記載のキャリア粒子の取り扱い方法。
  3. 前記キャリア粒子がポリスチレン、架橋ポリスチレン、未架橋体メタクリル樹脂、架橋体メタクリル樹脂、未架橋体アクリル樹脂、架橋体アクリル樹脂、およびポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種の疎水性有機高分子化合物であり、前記重合用溶媒が、純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の親水性溶媒である、請求項1に記載のキャリア粒子の取り扱い方法。
  4. 平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子と該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒とを含む研磨剤の製造方法であって、重合性単量体を重合用溶媒中で重合して該キャリア粒子を得て、該キャリア粒子を該重合用溶媒から単離後に湿潤度を5質量%以上に維持して前記砥粒を混合することを特徴とする研磨剤の製造方法。
  5. 前記重合性単量体がメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびスチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、請求項4に記載の研磨剤の製造方法。
  6. 前記キャリア粒子がポリスチレン、架橋ポリスチレン、未架橋体メタクリル樹脂、架橋体メタクリル樹脂、未架橋体アクリル樹脂、架橋体アクリル樹脂、およびポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種の疎水性有機高分子化合物であり、前記重合用溶媒が、純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の親水性溶媒である、請求項4に記載の研磨剤の製造方法。
  7. 重合性単量体を重合用溶媒中で重合して得た平均粒径が1〜15μmであるキャリア粒子を重合用溶媒から単離後に湿潤度を5質量%以上に維持して、該キャリア粒子に対する粒子径の比が1/3000〜1/5である砥粒と混合して調製される、キャリア粒子と砥粒と重合用溶媒とを含む研磨剤。
  8. 前記重合性単量体がメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、およびスチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むものである、請求項7に記載の研磨剤。
  9. 前記キャリア粒子がポリスチレン、架橋ポリスチレン、未架橋体メタクリル樹脂、架橋体メタクリル樹脂、未架橋体アクリル樹脂、架橋体アクリル樹脂、およびポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種の疎水性有機高分子化合物であり、前記重合用溶媒が、純水、イオン交換水、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の親水性溶媒である、請求項7に記載の研磨剤。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の研磨剤を用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法。
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