JP4167440B2 - 研磨剤およびキャリア粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の機械的強度、回復率、数平均分子量を有するキャリア粒子、および該キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に関し、所定の特性を保持することで被研磨対象物との接触面積を向上させ研磨効率を向上させ得る研磨剤および研磨剤用のキャリア粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体基板や磁気ディスク基板のような先端電子機器部品やその基板の仕上げ工程では、種々の研磨布を使った遊離砥粒研磨が採用され、鏡面を実現するために織布、不織布、発泡体などの弾性のある研磨布が工具として使用されている。
【0003】
このような遊離砥粒研磨は、研磨布を研磨パッドとして定盤の上に載置し、研磨パッドと被研磨対象物との間に砥粒を追加しながら研磨する方法であり、被研磨対象物を加圧下に回転させることで砥粒との間で表面研磨を達成するものである。従って、研磨パッドは被研磨対象物と定盤とが直接接触してスクラッチを生ずることがないように載置されるものであるが、例えば織布は織り目が粗さやうねりに対して悪影響を与える場合があり、不織布でも密度にむらがあるなどの問題がある。加えて、研磨布に荷重がかかるため繰り返しの使用によって研磨布が次第に弾性を失って硬くなる。また、砥粒は研磨液に懸濁した状態で供給されるため、研磨布に切りくずや砥粒が堆積して研磨効率が低下したり、凝集粒子が発生してスクラッチの原因となる場合がある。このため、研磨布の表面を削り直す作業が必要となり、研磨工程の一時中止による生産効率の低下を招く。また、近年のシリコンウエハのように被研磨対象物のサイズの拡大に伴って研磨パッドのサイズの拡大も余儀なくされ、その定盤上への取り付け作業にも熟練が必要となっている。このため、最近の精密研磨における形状精度の高い加工要求性から、より硬質の研磨布が求められるようになり、硬質樹脂層と軟質樹脂層を重ね合わせた二層研磨布なども提案されている。
【0004】
一方、研磨パッドを使用せずに鏡面加工を行なう方法として、ハイドロプレーン現象を利用して定盤から工作物を浮上させて流体支持した状態で研磨するフロートポリシングがある。しかしながら、この流体支持研磨では従来の研磨布を用いる場合よりも研磨効率が低い。
【0005】
また、研磨パッドを使用しない研磨方法として、特開2001−300843号公報には、被研磨対象物の表面を研磨するための研磨剤であって、母粒子とその表面に保持される超微細砥粒とからなる研磨剤が開示されている。従来の研磨法では、定盤の上に載置された研磨パッドと被研磨対象物との間に砥粒を存在させて研磨していたが、上記公報記載の方法は母粒子の表面に超微細砥粒を保持させ、研磨パッドなしに研磨を行なうものである。研磨中に研磨剤内の母粒子に超微細砥粒が保持され、研磨中に研磨剤内の超微細砥粒が母粒子の表面の一部から剥離しても再び母粒子の剥離した部分に当該超微細砥粒が付着し、該超微細砥粒によって研磨する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2001−300843号公報に開示された母粒子を使用する方法は従来の研磨パッドを不要にするものであり、研磨パッドの張り替えや修正が必要ないためコスト的に有利である。
【0007】
しかしながら、このような研磨パッドに代えて砥粒を保持または付着させるキャリア粒子を用いる方法では、キャリア粒子は、定盤と被研磨対象物とが直接接触して被研磨対象物を傷つけることが無いように定盤と被研磨対象物との間隔を保持するように働き、かつ研磨スラリー中の砥粒を被研磨対象物の表面に擦り合わせるように作用する。このような研磨方法では、キャリア粒子の界面化学的な性質が砥粒の付着や保持性に関与し、加工特性に影響を及ぼすことが考えられる。また、定盤の荒さやうねりなどの表面形状がキャリア粒子の運動性に影響を与える場合もあり、より研磨効率を向上させるための加工特性に影響を及ぼす因子の解明が望まれる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
砥粒とキャリア粒子との2種の粒子を用いる研磨法を詳細に検討した結果、研磨液に分散されて供給されるキャリア粒子は、定盤と被研磨対象物との間で無数のミクロパッドの働きをすること、キャリア粒子の機械的特性を制御することで被研磨対象物に至適な研磨効率が得られることを見出した。特に、研磨効率に与える因子としてキャリア粒子の機械的強度が所定範囲の場合には、スクラッチが発生することなく、被研磨対象物への接触面積が大きくなり、研磨加工時の滞留時間が長くなって研磨効率が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、上記課題は、(1)被研磨対象物の表面を研磨する砥粒と、該砥粒を保持するキャリア粒子とを含む研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤であって、該キャリア粒子は、ウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の有機高分子化合物、カーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、およびメソカーボンビーズからなる群より選択される少なくとも1種の無機化合物、または前記有機高分子化合物と前記無機化合物との複合体であり、該砥粒は、コロイダルシリカ、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、酸化マンガン、およびダイアモンドからなる群より選択される少なくとも1種であり、該キャリア粒子の最短長さの平均から算出される平均粒径が1〜15μmであり、該キャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaであることを特徴とする研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤によって達成される。
【0010】
また、上記課題は、(2)該キャリア粒子の圧縮速度0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%であることを特徴とする上記(1)に記載の研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤によって達成される。この際、キャリア粒子は、その圧縮速度0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%であることが好ましい。
【0011】
また、上記課題は、(3)該キャリア粒子は、ガラス転移温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000の範囲の有機高分子化合物であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤によって達成される。この際、キャリア粒子は、そのガラス転移温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000の範囲の有機高分子化合物であることが好ましい。
【0012】
また、上記研磨剤を用いることで、研磨機に負担の少なく被研磨対象物の表面を研磨できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第一は、キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であって、該キャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaであることを特徴とする研磨剤、およびキャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用いるキャリア粒子であって、圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaである、キャリア粒子である。
【0014】
キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤は、キャリア粒子と砥粒とを溶媒中で混合および撹拌して調製された研磨剤であって、研磨剤中でキャリア粒子の表面に砥粒が保持され、定盤と被研磨対象物との間で該キャリア粒子が無数のミクロパッドとして作用する。表面に砥粒を保持したキャリア粒子は、加圧下に回転する被研磨対象物と砥粒とを接触させることで研磨に寄与するため、キャリア粒子が砥粒保持性に優れ、大量の砥粒を被研磨対象物と接触させることができれば研磨効率が向上する。そこで被研磨対象物とキャリア粒子との接触率向上の指標として単量体スチレンを単独重合させる際に架橋剤ジビニルベンゼンを添加して架橋密度の異なる3種のキャリア粒子を調製し、該粒子の機械的強度と研磨効率との関係をキャリア粒子の濃度を3質量%、砥粒としてのコロイダルシリカを5質量%の濃度に調整した研磨剤を用いて、シリコンウエハを研磨することにより調べたところ表1に示す関係が明確になった。なお、機械的強度は後記する方法により、研磨効率は単位時間あたりの研磨深で評価したものである。
【0015】
【表1】
Figure 0004167440
【0016】
架橋剤濃度が低い、すなわち機械的強度が弱い場合には加圧による変形が容易であり、該変形によって被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積が拡大し、研磨効率が指数的に増大する。そこで本発明では、圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaであるキャリア粒子を使用することにした。以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
研磨剤が研磨工程に連続的に供給される場合には、砥粒が研磨剤中に均一に存在することが好ましく、この均一性を確保するためにキャリア粒子自体が研磨剤中で優れた分散性を有することが望ましい。まず、本発明のキャリア粒子について説明する。
【0018】
本発明のキャリア粒子は、定盤と被研磨対象物との間に供給され、その表面に砥粒を付着させて被研磨対象物を研磨するものであれば、その形状やサイズに制限はない。従って、キャリア粒子は、有機高分子化合物であっても無機化合物であってもよい。
【0019】
有機高分子化合物としては、砥粒保持性や分散性などから、少なくとも一種類のウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスフフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのいずれか1種またはこれらの2種以上の混合物や組成物から形成することができる。本発明では、これらの中でも、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂を使用することが好ましい。
【0020】
無機化合物としては、少なくとも一種類のカーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、メソカーボンビーズなどのマイクロビーズの1種または2種以上を併用することができる。カーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、メソカーボンビーズなどのマイクロビーズは、大阪ガス株式会社、シミコン・コンポジット社等から市販されている。また、マイクロビーズは200〜1000Åの細孔を有していてもよい。
【0021】
更に、キャリア粒子は、有機高分子化合物と無機化合物との複合体であってもよい。例えば、上記有機高分子化合物を核にしてその表面に上記無機化合物を化学的または物理的に担持、吸着、化学的結合等によって付着させたもの、有機高分子化合物を無機化合物の存在下に合成し、有機高分子化合物中に無機化合物を包含させたもの、無機化合物を核として、その表面に有機高分子化合物の薄膜を被覆させたり、化学的な結合によってグラフト鎖等の形成によって表面を改質したものであってもよい。更に中空部を有する有機高分子化合物自体、該中空部に空気以外のガスや液体が封入されたもの等であってもよい。このような有機高分子化合物と無機化合物との複合体としては、例えば、上記有機高分子化合物その他の重合体の重合時に上記無機化合物その他の無機化合物を添加して、重合体である有機高分子化合物の表面または内部に無機化合物が含有されるようにしたキャリア粒子などが例示できる。
【0022】
本発明のキャリア粒子は、定盤と被研磨対象物との直接接触によるスクラッチを防止するためスペーサーとして機能し、かつ砥粒を保持し加工領域へ運搬するキャリアとして働き、かつ加工領域に均一に分散かつ研磨が持続するように一定時間滞留する必要がある。そのような各種特性を確保するには、キャリア粒子の平均粒径は、その形状が真球の場合には0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは1〜15μmである。一方、形状は真球状に限られず、フットボール状、三角柱や四角柱などの多角柱状、円柱状、円柱の中央部が端部よりも凹んだ杵状、円柱の中央部が端部よりも膨らんだ俵状、円盤の中央部が貫通しているドーナツ状、板状、表面に多数の突出部を有するコンペイトウ状その他の立体を構成し得る種々の形状が選択できる。また、これらの形状の粒子表面または内部に細孔を有していてもよく、または該粒子が高分子である場合には、その表面に有機高分子化合物鎖などからなる微小突起部を有していてもよい。なお、本発明において、キャリア粒子のスペーサーとしての機能を確保するために、不定形状の場合のキャリア粒子の平均サイズは、その最短長さの平均を平均粒子径として算出するものとする。
【0023】
本発明では、該キャリア粒子は微小圧縮試験機によって測定される圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が、1〜50MPaである点に特徴がある。該機械的強度は、より好ましくは1〜40MPa、特に好ましくは1〜30MPaである。50MPaを超えると研磨時の加圧条件下におけるキャリア粒子の変形が容易でなく、被研磨対象物との変形による接触面積の増大が生じず研磨効率を向上させることが困難となる場合がある。また、被研磨対象物の強度にもよるが、キャリア粒子との接触によるスクラッチを発生させる場合もある。その一方、1MPaを下回ると定盤と被研磨対象物との間隔を確保するミクロパッドとしての作用を奏することが困難となり、被研磨対象物にスクラッチを発生させる場合が発生し、好ましくない。
【0024】
このような機械的強度を有するキャリア粒子を得るには、上記有機高分子化合物の製造時、特に重合時に連鎖調整剤の適当量を配合したり、重合温度、重合時間を制御したり、または重合時に架橋剤を添加するなどの方法によって調整することができる。
【0025】
本発明において機械的強度は微小圧縮試験機による測定によるものとし、このような装置として島津微小圧縮試験機MCTM/MCTEシリーズがある。試料形状として粒子あるいは繊維を選択した場合、圧縮速度0.27g/secで変位させた際の強度を算出する。なお、圧縮速度の基準を0.27g/secとしたのは、研磨において被研磨対象物と研磨剤との接触や離脱がすばやく行われる圧縮速度の速い測定条件を選択したためである。その測定原理は、試料を該装置の上部加圧圧子(標準は50μm径の平面圧子)と下部加圧板との間に配置し、該試料の粒子一個に電磁力により一定の増加割合で押圧力を与え、このときの試料の変位量を測定することで下記式に従って算出するというものである。
【0026】
【数1】
Figure 0004167440
【0027】
繊維の場合には、
【0028】
【数2】
Figure 0004167440
【0029】
本発明では、圧縮速度0.27g/secで圧縮変位を測定し、粒子径の10%変位時の荷重から機械的強度を算出する。
【0030】
本発明の第一の研磨剤は、上記キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤である。砥粒のサイズは、キャリア粒子の1/10000〜1/5であり、好適には1/1000〜1/5、特に好ましくは1/1000〜1/10である。砥粒のサイズはキャリア粒子の平均粒径にも依存するが、一般には0.001〜3μm、より好ましくは0.005〜2μm、特に好ましくは0.01〜1μmである。3μmを超えるとスクラッチ発生の原因となり易く、一方、0.001μmを下回ると研磨効率が悪くなる場合がある。
【0031】
このような砥粒は、被研磨対象物の表面を研磨できればよく、例えば、少なくとも一種類のコロイダルシリカ、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、酸化マンガン、ダイアモンドおよびこれらの混合物を使用することができる。なお、砥粒は、被研磨対象物の表面を研磨するものであり、研磨加工中でキャリア粒子の表面に保持される必要がある。この場合、研磨中にキャリア粒子の表面の一部から砥粒が剥離したものが再びキャリア粒子に砥粒が付着してもよい。なお、キャリア粒子と砥粒との結合は、化学的結合であるか物理的結合であるかを問うものでなく、砥粒は被研磨対象物を研磨するのに適したものを適宜選択すればよい。好ましくは、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリアミド、ポリエチレンアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂をキャリア粒子とした場合に、コロイダルシリカ、セリアを砥粒とする場合がある。ただし、これらの組み合わせに限るものではない。
【0032】
キャリア粒子と砥粒との配合割合は、キャリア粒子100質量部に対して、砥粒10〜2000質量部、より好ましくは50〜1000質量部、特に好ましくは50〜500質量部を配合する。2000質量部を超えるとキャリア粒子に保持されない砥粒が増大し、研磨工程で過剰量の砥粒が無駄となる。その一方、10質量部を下回ると研磨効率が低下する。なお、コロイダルシリカ等のように砥粒が既に溶媒を含んでいる場合には、砥粒の配合量はコロイダルシリカ中のシリカ量を砥粒の配合量として算出する。
【0033】
本発明の研磨剤は、砥粒とキャリア粒子に加えて溶媒を含む。該溶媒はキャリア粒子と砥粒との結合を容易にするため、および研磨効率の向上等のために使用され、純水、イオン交換水、アルコール、エチレングリコール、鉱油、植物油、シリコーンオイル等の1種または2種以上を使用できる。水を含有する溶媒を用いる場合は、キャリア粒子と砥粒との結合を容易にするため両者の特性によって至適な水素イオン濃度に調整でき、または両者の分散性を向上させるために至適な粘度に調整することもできる。溶媒の使用量も特に制限はないが、好ましくはキャリア粒子と砥粒との合計量の2〜200質量倍、より好ましくは5〜50質量倍である。
【0034】
本発明における研磨剤はキャリア粒子と砥粒とが含まれ、研磨工程でキャリア粒子の表面に砥粒が保持されればよくその保持の形態は問わない。一方、キャリア粒子表面に砥粒が保持されていない場合には、砥粒よりもキャリア粒子の平均粒径が大きいため被研磨対象物を研磨することはできない。このため研磨剤中のキャリア粒子と砥粒とは、キャリア粒子の少なくとも表面に砥粒が保持された複合粒子として存在し、この際の結合力も、静電気力、イオン結合、ファンデルワールス力または物理的、機械的な力等によるものと考えられる。しかしながら、本発明の研磨剤においては、キャリア粒子と砥粒とが常に複合粒子として存在している必要はなく、研磨工程において実質的にキャリア粒子がスペーサーとして機能し、かつ砥粒を運搬するための媒体として機能すればよい。従って、研磨剤の保存中にはキャリア粒子と砥粒とが分離しているが、研磨工程に供給する際には撹拌などによってキャリア粒子と砥粒とが互いに接触して、また研磨工程では研磨剤の供給力や被研磨対象物の回転力などによってキャリア粒子と砥粒とが互いに接触してキャリア粒子の表面に砥粒が保持され、実質的に被研磨対象物の表面を研磨することができる場合であってもよい。
【0035】
本発明の研磨剤は、上記キャリア粒子と砥粒とを溶媒の存在下に混合し、必要に応じて撹拌等して製造することができる。この際、砥粒が分散する溶媒にキャリア粒子を添加し、撹拌することで製造してもよい。なお、該研磨剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、pH調整剤、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0036】
本発明の第二は、キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であって、該キャリア粒子の圧縮速度0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%であることを特徴とする研磨剤、およびキャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用いるキャリア粒子であって、圧縮速度0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%である、キャリア粒子である。上述のように、キャリア粒子は無数のミクロパッドとして作用するが、その際に回復率が0.1〜10%のキャリア粒子を使用すると研磨加工時の変形が保持され、スクラッチを発生することなく、変形による被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積の拡大を維持することができ、研磨効率が増大する。
【0037】
第二の発明で使用するキャリア粒子のサイズ、形状、材質などは第一の発明と同じものを使用することができる。その一方、第二の発明においては、該キャリア粒子は微小圧縮試験機によって測定される圧縮速度0.029g/secにおける圧縮試験による回復率が0.1〜10%である必要がある。該回復率は、特に好ましくは0.5〜8%である。回復率が10%を超えると研磨時の加圧条件下での変形が維持されず、砥粒と被研磨対象物との接触率が低下して研磨効率の向上が困難となる場合がある。その一方、回復率が0.1%を下回るとキャリア粒子と被研磨対象物との接触面積が増大しすぎて、スクラッチが発生しやすくなる。なお、研磨効率の増大は研磨時の加圧による変形にのみ依存するものでない。例えば、キャリア粒子が板状などの扁平状であれば接触面積が増大すると考えられるが、キャリア粒子は砥粒と共に研磨工程に供給され、しかもミクロパッドとして定盤と被研磨対象物との間で砥粒と共にその位置を変化させ、流動的に作用することで研磨効率の向上に寄与するものである。このため、この流動性を確保しつつ接触面積を増大させ得る特性として、回復率は上記特定の範囲内にあることが好ましいのである。
【0038】
本発明において、回復率は微小圧縮試験機による測定によるものとし、このような装置として島津微小圧縮試験機MCTM/MCTEシリーズがある。本発明における回復率(%)は、キャリア粒子に荷重0から圧縮速度0.029g/secで1g(反転荷重値)の荷重を掛けた場合の、荷重0から反転荷重値(1g)までの圧縮変位量(L)と、反転荷重の後に圧縮速度0.029g/secで徐負荷した場合の反転荷重値(1g)から原点荷重値(0.1g)までの除負荷変位量(M)の比から下記式に従って算出するものとする。
【0039】
【数3】
Figure 0004167440
【0040】
なお、圧縮速度0.029g/secでの測定とした理由は、研磨において被研磨対象物と研磨剤との接触や離脱がすばやく行われるため、測定可能な条件の内でより圧縮速度の速い条件を選択したからである。
【0041】
本願第二の発明のキャリア粒子の材質は特に制限はなく、上記第一の発明で記載した材質を同様に使用する事ができる。これらの中でも、少なくとも一種類のウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスフフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのいずれか1種またはこれらの2種以上の混合物や組成物から形成することができる。本発明では、これらの中でも、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂を使用することが好ましい。
【0042】
このような回復率を有するキャリア粒子を得るには、上記第一の発明と同様に、上記有機高分子化合物の製造時、特に重合時に連鎖調整剤を配合したり、重合温度、重合時間を制御したり、または重合時に架橋剤を添加するなどの方法によって調整することができる。
【0043】
また、本願第二のキャリア粒子において、第一の発明の特徴であるキャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaという特性を同時に有していてもよい。キャリア粒子の機械的強度が上記範囲にあれば、加圧による変形が容易なため、被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積を拡大させ、同時に回復率が0.1〜10%であれば、該変形が保持されるためキャリア粒子との接触面積の拡大を維持することができるため、より好ましいからである。
【0044】
第二の発明における研磨剤は、第一の発明のキャリア粒子にかえて第二の発明のキャリア粒子を使用することで得ることができる。
【0045】
本発明の第三は、キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であって、該キャリア粒子は、ガラス転移温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000の範囲の有機高分子化合物であることを特徴とする研磨剤、およびキャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用いるキャリア粒子であって、ガラス転移温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000の範囲の有機高分子化合物である、キャリア粒子である。上記のように、キャリア粒子が特定の機械的強度を有し、または特定の回復率を有するなど柔軟性がある場合には、被研磨対象物と砥粒との接触時間、接触面積などを上昇させて研磨効率を向上させることがきる。このような特性を有するキャリア粒子について詳細に検討したところ、有機高分子化合物の中でも非架橋粒子が特に研磨性に優れることが判明した。研磨性と有機高分子化合物の数平均分子量やガラス転移温度Tgとの関係を調べたことろ、数平均分子量が5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000、特に好ましくは10,000〜100,000であり、かつガラス転移温度が120℃以下、より好ましくは50〜115℃、特に好ましくは60〜110℃である場合に、研磨効率が向上する。数平均分子量が500,000を超えるとキャリア粒子の機械的強度が大きくなるため、キャリア粒子の変形が容易でなく被研磨対象物との変形による接触面積の増大が生じず研磨効率が低下する場合がある。その一方、数平均分子量が5,000を下回るとスペーサーとしての機能が低下して、スクラッチを発生しやすくなり、不利である。第三のキャリア粒子では、有機高分子化合物の数平均分子量が上記範囲にあれば、単独重合体でも、共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれであってもよい。なお、数平均分子量の測定はGPC法による。
【0046】
また、ガラス転移温度は対象物の分子量や強度と関連し、その値が高い方がより硬度が増す。該キャリア粒子のガラス転移温度が120℃を超えると柔軟性が低下して被研磨対象物との接触面積が低下して研磨効率が低下する場合があり不利である。その一方、50℃を下回ると、柔軟性が高くなり、スクラッチが発生する。
【0047】
このようなキャリア粒子としては、上記第一の発明で記載したキャリア粒子の素材のなかでも、少なくとも一種類のウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などのいずれか1種またはこれらの2種以上の混合物や組成物から形成することができる。本発明では、これらの中でも、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0048】
また、このようなキャリア粒子の平均粒径は特に制限されないが、スペーサーとしての機能を考慮して、上記第一の発明に記載した平均粒径であることが好ましい。
【0049】
なお、上記範囲の数平均分子量およびガラス転移温度を有するキャリア粒子を得るには、第一および第二の発明で記載したと同様に、有機高分子化合物の製造時、特に重合時に連鎖調整剤を配合したり、重合温度、重合時間を制御するなどの方法によって調整することができる。
【0050】
また、本願第三のキャリア粒子において、同時に第一の発明の特徴であるキャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaという特性、および/または第二の発明の特徴である回復率が0.1〜10%という特性を同時に有していてもよい。キャリア粒子の機械的強度が上記範囲にあれば、加圧による変形が容易なため、被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積を拡大させ、同時に数平均分子量が5,000〜500,000かつガラス転移温度が120℃以下であれば、キャリア粒子の単位質量あたりの砥粒付着率の低下を防止でき、かつスペーサーとしての機能に優れ、スクラッチを有効に防止できるからである。また、さらに、回復率が0.1〜10%であれば、該変形が保持されるためキャリア粒子との接触面積の拡大を維持することができるため、より好ましい。
【0051】
第三の発明における研磨剤は、第一の発明のキャリア粒子にかえて第三の発明のキャリア粒子を使用することで得ることができる。
【0052】
本発明の第四は、上記第一から第三の研磨剤を用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法である。
【0053】
該研磨方法は、研磨機に設けられた定盤と被研磨対象物との間に該研磨剤を所定の量で供給し、研磨剤に含まれる砥粒を被研磨対象物と接触させるため被研磨対象物を回転させれば砥粒と被研磨対象物との相対運動によってその表面が研磨される。
【0054】
研磨機としては、定盤を有し研磨剤の供給手段、被研磨対象物の回転手段が設けられていれば、定盤のサイズなどは被研磨対象物のサイズに応じて適宜選択することができる。
【0055】
定盤は銅や錫などの金属、ガラス、セラミックまたはプラスチックから製造される平面性の良好なものが好適である。該定盤の形状は平面に限定されず、曲面、球面または凹凸面などでもよい。このような定盤を使用することによって、従来のウレタン系のポリッシングパッドが不要となり、平面度や微小なうねりなどが改善される。
【0056】
被研磨対象物は、研磨剤上で回転しながら砥粒と接触するが、本発明においては通常公知の回転速度で回転させればよく、キャリア粒子や砥粒、被研磨対象物の材質等に応じて適宜選択することができる。
【0057】
また、被研磨対象物は、キャリア粒子や砥粒の種類やサイズに応じて適宜加工圧を選択することができるが、本発明においては5〜100KPaであることが好ましく、より好ましくは10〜70KPaである。
【0058】
また、研磨剤の供給量も定盤のサイズに応じて適宜選択することができ、研磨工程に供給する際の研磨剤の撹拌力も、使用するキャリア粒子や砥粒の種類および配合量などによって適宜選択することができる。
【0059】
具体的に、上記研磨剤の定盤上への供給における一定量とは1〜100ml/分であり、好適には10〜50ml/分である。また、該定盤を所定の回転速度で回転させながら、被研磨対象物をラップ加工する場合において、所定の回転速度とは10〜500rpmであり、好適には20〜200rpmである。
【0060】
本発明の研磨方法では、特にシリコンウエハ、水晶、ガラス、サファイヤ等を被研磨対象物とする場合に、その表面の鏡面研磨に優れる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0062】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコにイオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA−205」)4.0gを添加および溶解させた後、さらに、スチレン320gおよびベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名「ナイパーBW」、水25%含有品)12.8gからなる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、80℃で8時間重合した。得られた固形物を濾別し、十分に水洗し、水分を含有した重合粒子ケーキ440g(水含有量33%)を得た。
【0063】
得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーII型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均粒径は8.9μmであった。
【0064】
また、得られた樹脂粒子を乾燥および粉砕し、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所、MCTM−200)にて、圧縮速度0.27g/secで負荷をかけた場合の、10%変位時の機械的強度を測定した。また、同機によって圧縮速度0.029g/secで負荷をかけ、反転荷重値を1gとした場合の回復率を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
(比較例1)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコにイオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA−205」)4.0gを添加した後、さらに、工業用ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン55質量%)320gおよびベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名「ナイパーBW」、水25%含有)12.8gからなる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、80℃で8時間重合した。得られた固形物を濾別し、十分に水洗し、水分を含有した重合粒子ケーキ440g(水含有量33%)を得た。
【0066】
得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーII型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均粒径は9.2μmであった。
【0067】
また、得られた樹脂粒子を乾燥および粉砕し、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所、MCTM−200)にて、圧縮速度0.27g/secで負荷をかけた場合の、10%変位時の機械的強度を測定した。また、同機によって圧縮速度0.029g/secで負荷をかけ、反転荷重値を1gとした場合の回復率を測定した。結果を表2に示す。
【0068】
(実施例2)
攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコにイオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールPVA−205」)4.0gを添加および溶解させた後、さらに、スチレン145.5g、工業用ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン55質量%)174.5gおよびベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品名「ナイパーBW」、水25%含有品)12.8gからなる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、80℃で8時間重合した。得られた固形物を濾別し、十分に水洗し、水分を含有した重合粒子ケーキ440g(水含有量33%)を得た。
【0069】
得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーII型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均粒径は9.2μmであった。
【0070】
また、得られた樹脂粒子を乾燥および粉砕し、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所、MCTM−200)にて、圧縮速度0.27g/secで負荷をかけた場合の、10%変位時の機械的強度を測定した。また、同機によって圧縮速度0.029g/secで負荷をかけ、反転荷重値を1gとした場合の回復率を測定した。結果を表2に示す。
【0071】
(試験例1)
実施例1および比較例1で調整した樹脂をキャリア粒子として、砥粒としてコロイダルシリカ(日産化学製、商品名「スノーテックス30」)およびイオン交換水を溶媒として使用し、砥粒の濃度を5質量%とし、キャリア粒子を表2に示す濃度で混合および撹拌して研磨剤を調整した。なお、pHメーターで測定したところ、該研磨剤のpHはいずれも10.1であった。
【0072】
該研磨剤を、片面研磨機(株式会社岡本工作機械製作所製、商品名「SPL-15」)を用いて、4インチシリコンウェーハの研磨試験を行った。
【0073】
定盤には、表面粗さRa2.5μmのガラスを用いた。シリコンウェーハ及び定盤の回転数は60rpm、該研磨剤の供給量は25ml/分とし、20分間研磨加工した。
【0074】
研磨終了後に純水で洗浄し、研磨前後の重量の減少から研磨効率を算出し、及びスクラッチの有無を目視により評価した。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
Figure 0004167440
【0076】
【発明の効果】
キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤を用いると、新しいキャリア粒子および砥粒とが研磨剤として供給され、劣化した砥粒は排出されるため加工能率の低下がなく長期に亘って安定した研磨効率を維持することができる。この際、キャリア粒子が特定の機械的強度、回復率、数平均分子量、ガラス転移温度を有する場合には、被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積が増大するため、砥粒による被研磨対象物の研磨効率が更に向上し、形状精度に優れる研磨ができる。本発明の研磨剤によれば、スクラッチの発生が少なく、かつ研磨効率に優れる研磨が達成される。

Claims (9)

  1. 被研磨対象物の表面を研磨する砥粒と、該砥粒を保持するキャリア粒子とを含む研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤であって、該キャリア粒子は、ウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の有機高分子化合物、カーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、およびメソカーボンビーズからなる群より選択される少なくとも1種の無機化合物、または前記有機高分子化合物と前記無機化合物との複合体であり、該砥粒は、コロイダルシリカ、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素、酸化マンガン、およびダイアモンドからなる群より選択される少なくとも1種であり、該キャリア粒子の最短長さの平均から算出される平均粒径が1〜15μmであり、該キャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaであることを特徴とする研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤。
  2. キャリア粒子の圧縮速度0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%であることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤。
  3. キャリア粒子は、ガラス転移温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000の範囲の有機高分子化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤。
  4. 該砥粒と該キャリア粒子とのサイズの比が、1/10000〜1/5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨剤。
  5. 被研磨対象物の表面を研磨する砥粒と、該砥粒を保持するキャリア粒子とを含む研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤に用いるキャリア粒子であって、該キャリア粒子は、ウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルケトンからなる群より選択される少なくとも1種の有機高分子化合物、カーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、およびメソカーボンビーズからなる群より選択される少なくとも1種の無機化合物、または前記有機高分子化合物と前記無機化合物との複合体であり、最短長さの平均から算出される平均粒径が1〜15μmであり、圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaである、キャリア粒子。
  6. 縮速度0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%である、請求項5に記載のキャリア粒子。
  7. ラス転移温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000の範囲の有機高分子化合物である、請求項5または6に記載のキャリア粒子。
  8. 該砥粒と該キャリア粒子とのサイズの比が、1/10000〜1/5である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のキャリア粒子。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨パッドを用いない研磨方法に用いる研磨剤を用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法。
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