JP2003282497A - 研磨剤およびキャリア粒子 - Google Patents

研磨剤およびキャリア粒子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨効率に優れる研磨剤および該研磨剤に使
用するキャリア粒子を提供する。 【解決手段】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であ
って、該キャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで
測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPa、
回復率が0.1〜10%、数平均分子量が5,000〜
500,000かつガラス転移温度が120℃以下であ
る研磨剤である。これらの特性の少なくともいずれか1
つによって、キャリア粒子が柔軟性を有し、または研磨
時のキャリア粒子の変形が維持されるため、被研磨対象
物との接触面積が増大し研磨効率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の機械的強
度、回復率、数平均分子量を有するキャリア粒子、およ
び該キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に関し、所定の
特性を保持することで被研磨対象物との接触面積を向上
させ研磨効率を向上させ得る研磨剤および研磨剤用のキ
ャリア粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、半導体基板や磁気ディスク基
板のような先端電子機器部品やその基板の仕上げ工程で
は、種々の研磨布を使った遊離砥粒研磨が採用され、鏡
面を実現するために織布、不織布、発泡体などの弾性の
ある研磨布が工具として使用されている。
【0003】このような遊離砥粒研磨は、研磨布を研磨
パッドとして定盤の上に載置し、研磨パッドと被研磨対
象物との間に砥粒を追加しながら研磨する方法であり、
被研磨対象物を加圧下に回転させることで砥粒との間で
表面研磨を達成するものである。従って、研磨パッドは
被研磨対象物と定盤とが直接接触してスクラッチを生ず
ることがないように載置されるものであるが、例えば織
布は織り目が粗さやうねりに対して悪影響を与える場合
があり、不織布でも密度にむらがあるなどの問題があ
る。加えて、研磨布に荷重がかかるため繰り返しの使用
によって研磨布が次第に弾性を失って硬くなる。また、
砥粒は研磨液に懸濁した状態で供給されるため、研磨布
に切りくずや砥粒が堆積して研磨効率が低下したり、凝
集粒子が発生してスクラッチの原因となる場合がある。
このため、研磨布の表面を削り直す作業が必要となり、
研磨工程の一時中止による生産効率の低下を招く。ま
た、近年のシリコンウエハのように被研磨対象物のサイ
ズの拡大に伴って研磨パッドのサイズの拡大も余儀なく
され、その定盤上への取り付け作業にも熟練が必要とな
っている。このため、最近の精密研磨における形状精度
の高い加工要求性から、より硬質の研磨布が求められる
ようになり、硬質樹脂層と軟質樹脂層を重ね合わせた二
層研磨布なども提案されている。
【0004】一方、研磨パッドを使用せずに鏡面加工を
行なう方法として、ハイドロプレーン現象を利用して定
盤から工作物を浮上させて流体支持した状態で研磨する
フロートポリシングがある。しかしながら、この流体支
持研磨では従来の研磨布を用いる場合よりも研磨効率が
低い。
【0005】また、研磨パッドを使用しない研磨方法と
して、特開2001−300843号公報には、被研磨
対象物の表面を研磨するための研磨剤であって、母粒子
とその表面に保持される超微細砥粒とからなる研磨剤が
開示されている。従来の研磨法では、定盤の上に載置さ
れた研磨パッドと被研磨対象物との間に砥粒を存在させ
て研磨していたが、上記公報記載の方法は母粒子の表面
に超微細砥粒を保持させ、研磨パッドなしに研磨を行な
うものである。研磨中に研磨剤内の母粒子に超微細砥粒
が保持され、研磨中に研磨剤内の超微細砥粒が母粒子の
表面の一部から剥離しても再び母粒子の剥離した部分に
当該超微細砥粒が付着し、該超微細砥粒によって研磨す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開2001−3
00843号公報に開示された母粒子を使用する方法は
従来の研磨パッドを不要にするものであり、研磨パッド
の張り替えや修正が必要ないためコスト的に有利であ
る。
【0007】しかしながら、このような研磨パッドに代
えて砥粒を保持または付着させるキャリア粒子を用いる
方法では、キャリア粒子は、定盤と被研磨対象物とが直
接接触して被研磨対象物を傷つけることが無いように定
盤と被研磨対象物との間隔を保持するように働き、かつ
研磨スラリー中の砥粒を被研磨対象物の表面に擦り合わ
せるように作用する。このような研磨方法では、キャリ
ア粒子の界面化学的な性質が砥粒の付着や保持性に関与
し、加工特性に影響を及ぼすことが考えられる。また、
定盤の荒さやうねりなどの表面形状がキャリア粒子の運
動性に影響を与える場合もあり、より研磨効率を向上さ
せるための加工特性に影響を及ぼす因子の解明が望まれ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】砥粒とキャリア粒子との
2種の粒子を用いる研磨法を詳細に検討した結果、研磨
液に分散されて供給されるキャリア粒子は、定盤と被研
磨対象物との間で無数のミクロパッドの働きをするこ
と、キャリア粒子の機械的特性を制御することで被研磨
対象物に至適な研磨効率が得られることを見出した。特
に、研磨効率に与える因子としてキャリア粒子の機械的
強度が所定範囲の場合には、スクラッチが発生すること
なく、被研磨対象物への接触面積が大きくなり、研磨加
工時の滞留時間が長くなって研磨効率が向上することを
見出し、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、上記課題は、キャリア粒子と砥
粒とを含む研磨剤であって、該キャリア粒子の圧縮速度
0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強
度が1〜50MPaであることを特徴とする研磨剤によ
って達成される。この際、キャリア粒子は、その圧縮速
度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的
強度が1〜50MPaであることが好ましい。
【0010】また、上記課題は、キャリア粒子と砥粒と
を含む研磨剤であって、該キャリア粒子の圧縮速度0.
029g/secで測定した圧縮試験による回復率が
0.1〜10%であることを特徴とする研磨剤によって
達成される。この際、キャリア粒子は、その圧縮速度
0.029g/secで測定した圧縮試験による回復率
が0.1〜10%であることが好ましい。
【0011】また、上記課題は、キャリア粒子と砥粒と
を含む研磨剤であって、該キャリア粒子は、ガラス転移
温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,0
00〜500,000の範囲の有機高分子化合物である
ことを特徴とする研磨剤によって達成される。この際、
キャリア粒子は、そのガラス転移温度が120℃以下で
あり、かつ数平均分子量が5,000〜500,000
の範囲の有機高分子化合物であることが好ましい。
【0012】また、上記研磨剤を用いることで、研磨機
に負担の少なく被研磨対象物の表面を研磨できる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第一は、キャリア粒子と
砥粒とを含む研磨剤であって、該キャリア粒子の圧縮速
度0.27g/secで測定した10%変位時の機械的
強度が1〜50MPaであることを特徴とする研磨剤、
およびキャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用いるキャ
リア粒子であって、圧縮速度0.27g/secで測定
した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaであ
る、キャリア粒子である。
【0014】キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤は、キ
ャリア粒子と砥粒とを溶媒中で混合および撹拌して調製
された研磨剤であって、研磨剤中でキャリア粒子の表面
に砥粒が保持され、定盤と被研磨対象物との間で該キャ
リア粒子が無数のミクロパッドとして作用する。表面に
砥粒を保持したキャリア粒子は、加圧下に回転する被研
磨対象物と砥粒とを接触させることで研磨に寄与するた
め、キャリア粒子が砥粒保持性に優れ、大量の砥粒を被
研磨対象物と接触させることができれば研磨効率が向上
する。そこで被研磨対象物とキャリア粒子との接触率向
上の指標として単量体スチレンを単独重合させる際に架
橋剤ジビニルベンゼンを添加して架橋密度の異なる3種
のキャリア粒子を調製し、該粒子の機械的強度と研磨効
率との関係をキャリア粒子の濃度を3質量%、砥粒とし
てのコロイダルシリカを5質量%の濃度に調整した研磨
剤を用いて、シリコンウエハを研磨することにより調べ
たところ表1に示す関係が明確になった。なお、機械的
強度は後記する方法により、研磨効率は単位時間あたり
の研磨深で評価したものである。
【0015】
【表1】
【0016】架橋剤濃度が低い、すなわち機械的強度が
弱い場合には加圧による変形が容易であり、該変形によ
って被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積が拡大
し、研磨効率が指数的に増大する。そこで本発明では、
圧縮速度0.27g/secで測定した10%変位時の
機械的強度が1〜50MPaであるキャリア粒子を使用
することにした。以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】研磨剤が研磨工程に連続的に供給される場
合には、砥粒が研磨剤中に均一に存在することが好まし
く、この均一性を確保するためにキャリア粒子自体が研
磨剤中で優れた分散性を有することが望ましい。まず、
本発明のキャリア粒子について説明する。
【0018】本発明のキャリア粒子は、定盤と被研磨対
象物との間に供給され、その表面に砥粒を付着させて被
研磨対象物を研磨するものであれば、その形状やサイズ
に制限はない。従って、キャリア粒子は、有機高分子化
合物であっても無機化合物であってもよい。
【0019】有機高分子化合物としては、砥粒保持性や
分散性などから、少なくとも一種類のウレタン、ポリア
ミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ
スチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチ
レン・AS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェ
ノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、シリコーン樹脂、
エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ベンゾグアナミン
樹脂、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポ
リフェニレンスフフィド、ポリスルホン、ポリアリレー
ト、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリ
エーテルケトンなどのいずれか1種またはこれらの2種
以上の混合物や組成物から形成することができる。本発
明では、これらの中でも、ポリアミド、ポリエチレン、
ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ベンゾ
グアナミン樹脂を使用することが好ましい。
【0020】無機化合物としては、少なくとも一種類の
カーボンマイクロビーズ、ガラスビーズ、メソカーボン
ビーズなどのマイクロビーズの1種または2種以上を併
用することができる。カーボンマイクロビーズ、ガラス
ビーズ、メソカーボンビーズなどのマイクロビーズは、
大阪ガス株式会社、シミコン・コンポジット社等から市
販されている。また、マイクロビーズは200〜100
0Åの細孔を有していてもよい。
【0021】更に、キャリア粒子は、有機高分子化合物
と無機化合物との複合体であってもよい。例えば、上記
有機高分子化合物を核にしてその表面に上記無機化合物
を化学的または物理的に担持、吸着、化学的結合等によ
って付着させたもの、有機高分子化合物を無機化合物の
存在下に合成し、有機高分子化合物中に無機化合物を包
含させたもの、無機化合物を核として、その表面に有機
高分子化合物の薄膜を被覆させたり、化学的な結合によ
ってグラフト鎖等の形成によって表面を改質したもので
あってもよい。更に中空部を有する有機高分子化合物自
体、該中空部に空気以外のガスや液体が封入されたもの
等であってもよい。このような有機高分子化合物と無機
化合物との複合体としては、例えば、上記有機高分子化
合物その他の重合体の重合時に上記無機化合物その他の
無機化合物を添加して、重合体である有機高分子化合物
の表面または内部に無機化合物が含有されるようにした
キャリア粒子などが例示できる。
【0022】本発明のキャリア粒子は、定盤と被研磨対
象物との直接接触によるスクラッチを防止するためスペ
ーサーとして機能し、かつ砥粒を保持し加工領域へ運搬
するキャリアとして働き、かつ加工領域に均一に分散か
つ研磨が持続するように一定時間滞留する必要がある。
そのような各種特性を確保するには、キャリア粒子の平
均粒径は、その形状が真球の場合には0.1〜30μ
m、より好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは
1〜15μmである。一方、形状は真球状に限られず、
フットボール状、三角柱や四角柱などの多角柱状、円柱
状、円柱の中央部が端部よりも凹んだ杵状、円柱の中央
部が端部よりも膨らんだ俵状、円盤の中央部が貫通して
いるドーナツ状、板状、表面に多数の突出部を有するコ
ンペイトウ状その他の立体を構成し得る種々の形状が選
択できる。また、これらの形状の粒子表面または内部に
細孔を有していてもよく、または該粒子が高分子である
場合には、その表面に有機高分子化合物鎖などからなる
微小突起部を有していてもよい。なお、本発明におい
て、キャリア粒子のスペーサーとしての機能を確保する
ために、不定形状の場合のキャリア粒子の平均サイズ
は、その最短長さの平均を平均粒子径として算出するも
のとする。
【0023】本発明では、該キャリア粒子は微小圧縮試
験機によって測定される圧縮速度0.27g/secで
測定した10%変位時の機械的強度が、1〜50MPa
である点に特徴がある。該機械的強度は、より好ましく
は1〜40MPa、特に好ましくは1〜30MPaであ
る。50MPaを超えると研磨時の加圧条件下における
キャリア粒子の変形が容易でなく、被研磨対象物との変
形による接触面積の増大が生じず研磨効率を向上させる
ことが困難となる場合がある。また、被研磨対象物の強
度にもよるが、キャリア粒子との接触によるスクラッチ
を発生させる場合もある。その一方、1MPaを下回る
と定盤と被研磨対象物との間隔を確保するミクロパッド
としての作用を奏することが困難となり、被研磨対象物
にスクラッチを発生させる場合が発生し、好ましくな
い。
【0024】このような機械的強度を有するキャリア粒
子を得るには、上記有機高分子化合物の製造時、特に重
合時に連鎖調整剤の適当量を配合したり、重合温度、重
合時間を制御したり、または重合時に架橋剤を添加する
などの方法によって調整することができる。
【0025】本発明において機械的強度は微小圧縮試験
機による測定によるものとし、このような装置として島
津微小圧縮試験機MCTM/MCTEシリーズがある。
試料形状として粒子あるいは繊維を選択した場合、圧縮
速度0.27g/secで変位させた際の強度を算出す
る。なお、圧縮速度の基準を0.27g/secとした
のは、研磨において被研磨対象物と研磨剤との接触や離
脱がすばやく行われる圧縮速度の速い測定条件を選択し
たためである。その測定原理は、試料を該装置の上部加
圧圧子(標準は50μm径の平面圧子)と下部加圧板と
の間に配置し、該試料の粒子一個に電磁力により一定の
増加割合で押圧力を与え、このときの試料の変位量を測
定することで下記式に従って算出するというものであ
る。
【0026】
【数1】
【0027】繊維の場合には、
【0028】
【数2】
【0029】本発明では、圧縮速度0.27g/sec
で圧縮変位を測定し、粒子径の10%変位時の荷重から
機械的強度を算出する。
【0030】本発明の第一の研磨剤は、上記キャリア粒
子と砥粒とを含む研磨剤である。砥粒のサイズは、キャ
リア粒子の1/10000〜1/5であり、好適には1
/1000〜1/5、特に好ましくは1/1000〜1
/10である。砥粒のサイズはキャリア粒子の平均粒径
にも依存するが、一般には0.001〜3μm、より好
ましくは0.005〜2μm、特に好ましくは0.01
〜1μmである。3μmを超えるとスクラッチ発生の原
因となり易く、一方、0.001μmを下回ると研磨効
率が悪くなる場合がある。
【0031】このような砥粒は、被研磨対象物の表面を
研磨できればよく、例えば、少なくとも一種類のコロイ
ダルシリカ、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジ
ルコニア、窒化珪素、炭化珪素、酸化マンガン、ダイア
モンドおよびこれらの混合物を使用することができる。
なお、砥粒は、被研磨対象物の表面を研磨するものであ
り、研磨加工中でキャリア粒子の表面に保持される必要
がある。この場合、研磨中にキャリア粒子の表面の一部
から砥粒が剥離したものが再びキャリア粒子に砥粒が付
着してもよい。なお、キャリア粒子と砥粒との結合は、
化学的結合であるか物理的結合であるかを問うものでな
く、砥粒は被研磨対象物を研磨するのに適したものを適
宜選択すればよい。好ましくは、ポリスチレン、架橋ポ
リスチレン、ポリアミド、ポリエチレンアクリル樹脂、
メタクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂をキャリア粒子
とした場合に、コロイダルシリカ、セリアを砥粒とする
場合がある。ただし、これらの組み合わせに限るもので
はない。
【0032】キャリア粒子と砥粒との配合割合は、キャ
リア粒子100質量部に対して、砥粒10〜2000質
量部、より好ましくは50〜1000質量部、特に好ま
しくは50〜500質量部を配合する。2000質量部
を超えるとキャリア粒子に保持されない砥粒が増大し、
研磨工程で過剰量の砥粒が無駄となる。その一方、10
質量部を下回ると研磨効率が低下する。なお、コロイダ
ルシリカ等のように砥粒が既に溶媒を含んでいる場合に
は、砥粒の配合量はコロイダルシリカ中のシリカ量を砥
粒の配合量として算出する。
【0033】本発明の研磨剤は、砥粒とキャリア粒子に
加えて溶媒を含む。該溶媒はキャリア粒子と砥粒との結
合を容易にするため、および研磨効率の向上等のために
使用され、純水、イオン交換水、アルコール、エチレン
グリコール、鉱油、植物油、シリコーンオイル等の1種
または2種以上を使用できる。水を含有する溶媒を用い
る場合は、キャリア粒子と砥粒との結合を容易にするた
め両者の特性によって至適な水素イオン濃度に調整で
き、または両者の分散性を向上させるために至適な粘度
に調整することもできる。溶媒の使用量も特に制限はな
いが、好ましくはキャリア粒子と砥粒との合計量の2〜
200質量倍、より好ましくは5〜50質量倍である。
【0034】本発明における研磨剤はキャリア粒子と砥
粒とが含まれ、研磨工程でキャリア粒子の表面に砥粒が
保持されればよくその保持の形態は問わない。一方、キ
ャリア粒子表面に砥粒が保持されていない場合には、砥
粒よりもキャリア粒子の平均粒径が大きいため被研磨対
象物を研磨することはできない。このため研磨剤中のキ
ャリア粒子と砥粒とは、キャリア粒子の少なくとも表面
に砥粒が保持された複合粒子として存在し、この際の結
合力も、静電気力、イオン結合、ファンデルワールス力
または物理的、機械的な力等によるものと考えられる。
しかしながら、本発明の研磨剤においては、キャリア粒
子と砥粒とが常に複合粒子として存在している必要はな
く、研磨工程において実質的にキャリア粒子がスペーサ
ーとして機能し、かつ砥粒を運搬するための媒体として
機能すればよい。従って、研磨剤の保存中にはキャリア
粒子と砥粒とが分離しているが、研磨工程に供給する際
には撹拌などによってキャリア粒子と砥粒とが互いに接
触して、また研磨工程では研磨剤の供給力や被研磨対象
物の回転力などによってキャリア粒子と砥粒とが互いに
接触してキャリア粒子の表面に砥粒が保持され、実質的
に被研磨対象物の表面を研磨することができる場合であ
ってもよい。
【0035】本発明の研磨剤は、上記キャリア粒子と砥
粒とを溶媒の存在下に混合し、必要に応じて撹拌等して
製造することができる。この際、砥粒が分散する溶媒に
キャリア粒子を添加し、撹拌することで製造してもよ
い。なお、該研磨剤には、本発明の効果を損なわない範
囲で、pH調整剤、粘度調整剤、分散剤、凝集剤、界面
活性剤を含んでいてもよい。
【0036】本発明の第二は、キャリア粒子と砥粒とを
含む研磨剤であって、該キャリア粒子の圧縮速度0.0
29g/secで測定した圧縮試験による回復率が0.
1〜10%であることを特徴とする研磨剤、およびキャ
リア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用いるキャリア粒子で
あって、圧縮速度0.029g/secで測定した圧縮
試験による回復率が0.1〜10%である、キャリア粒
子である。上述のように、キャリア粒子は無数のミクロ
パッドとして作用するが、その際に回復率が0.1〜1
0%のキャリア粒子を使用すると研磨加工時の変形が保
持され、スクラッチを発生することなく、変形による被
研磨対象物とキャリア粒子との接触面積の拡大を維持す
ることができ、研磨効率が増大する。
【0037】第二の発明で使用するキャリア粒子のサイ
ズ、形状、材質などは第一の発明と同じものを使用する
ことができる。その一方、第二の発明においては、該キ
ャリア粒子は微小圧縮試験機によって測定される圧縮速
度0.029g/secにおける圧縮試験による回復率
が0.1〜10%である必要がある。該回復率は、特に
好ましくは0.5〜8%である。回復率が10%を超え
ると研磨時の加圧条件下での変形が維持されず、砥粒と
被研磨対象物との接触率が低下して研磨効率の向上が困
難となる場合がある。その一方、回復率が0.1%を下
回るとキャリア粒子と被研磨対象物との接触面積が増大
しすぎて、スクラッチが発生しやすくなる。なお、研磨
効率の増大は研磨時の加圧による変形にのみ依存するも
のでない。例えば、キャリア粒子が板状などの扁平状で
あれば接触面積が増大すると考えられるが、キャリア粒
子は砥粒と共に研磨工程に供給され、しかもミクロパッ
ドとして定盤と被研磨対象物との間で砥粒と共にその位
置を変化させ、流動的に作用することで研磨効率の向上
に寄与するものである。このため、この流動性を確保し
つつ接触面積を増大させ得る特性として、回復率は上記
特定の範囲内にあることが好ましいのである。
【0038】本発明において、回復率は微小圧縮試験機
による測定によるものとし、このような装置として島津
微小圧縮試験機MCTM/MCTEシリーズがある。本
発明における回復率(%)は、キャリア粒子に荷重0か
ら圧縮速度0.029g/secで1g(反転荷重値)
の荷重を掛けた場合の、荷重0から反転荷重値(1g)
までの圧縮変位量(L)と、反転荷重の後に圧縮速度
0.029g/secで徐負荷した場合の反転荷重値
(1g)から原点荷重値(0.1g)までの除負荷変位
量(M)の比から下記式に従って算出するものとする。
【0039】
【数3】
【0040】なお、圧縮速度0.029g/secでの
測定とした理由は、研磨において被研磨対象物と研磨剤
との接触や離脱がすばやく行われるため、測定可能な条
件の内でより圧縮速度の速い条件を選択したからであ
る。
【0041】本願第二の発明のキャリア粒子の材質は特
に制限はなく、上記第一の発明で記載した材質を同様に
使用する事ができる。これらの中でも、少なくとも一種
類のウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS樹脂、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミ
ン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセター
ル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリカーボネート、ポ
リフェニレンエーテル、ポリフェニレンスフフィド、ポ
リスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポ
リエーテルスルホン、ポリエーテルケトンなどのいずれ
か1種またはこれらの2種以上の混合物や組成物から形
成することができる。本発明では、これらの中でも、ポ
リアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹
脂、メタクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂を使用する
ことが好ましい。
【0042】このような回復率を有するキャリア粒子を
得るには、上記第一の発明と同様に、上記有機高分子化
合物の製造時、特に重合時に連鎖調整剤を配合したり、
重合温度、重合時間を制御したり、または重合時に架橋
剤を添加するなどの方法によって調整することができ
る。
【0043】また、本願第二のキャリア粒子において、
第一の発明の特徴であるキャリア粒子の圧縮速度0.2
7g/secで測定した10%変位時の機械的強度が1
〜50MPaという特性を同時に有していてもよい。キ
ャリア粒子の機械的強度が上記範囲にあれば、加圧によ
る変形が容易なため、被研磨対象物とキャリア粒子との
接触面積を拡大させ、同時に回復率が0.1〜10%で
あれば、該変形が保持されるためキャリア粒子との接触
面積の拡大を維持することができるため、より好ましい
からである。
【0044】第二の発明における研磨剤は、第一の発明
のキャリア粒子にかえて第二の発明のキャリア粒子を使
用することで得ることができる。
【0045】本発明の第三は、キャリア粒子と砥粒とを
含む研磨剤であって、該キャリア粒子は、ガラス転移温
度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,00
0〜500,000の範囲の有機高分子化合物であるこ
とを特徴とする研磨剤、およびキャリア粒子と砥粒とを
含む研磨剤に用いるキャリア粒子であって、ガラス転移
温度が120℃以下であり、かつ数平均分子量が5,0
00〜500,000の範囲の有機高分子化合物であ
る、キャリア粒子である。上記のように、キャリア粒子
が特定の機械的強度を有し、または特定の回復率を有す
るなど柔軟性がある場合には、被研磨対象物と砥粒との
接触時間、接触面積などを上昇させて研磨効率を向上さ
せることがきる。このような特性を有するキャリア粒子
について詳細に検討したところ、有機高分子化合物の中
でも非架橋粒子が特に研磨性に優れることが判明した。
研磨性と有機高分子化合物の数平均分子量やガラス転移
温度Tgとの関係を調べたことろ、数平均分子量が5,
000〜500,000、より好ましくは10,000
〜200,000、特に好ましくは10,000〜10
0,000であり、かつガラス転移温度が120℃以
下、より好ましくは50〜115℃、特に好ましくは6
0〜110℃である場合に、研磨効率が向上する。数平
均分子量が500,000を超えるとキャリア粒子の機
械的強度が大きくなるため、キャリア粒子の変形が容易
でなく被研磨対象物との変形による接触面積の増大が生
じず研磨効率が低下する場合がある。その一方、数平均
分子量が5,000を下回るとスペーサーとしての機能
が低下して、スクラッチを発生しやすくなり、不利であ
る。第三のキャリア粒子では、有機高分子化合物の数平
均分子量が上記範囲にあれば、単独重合体でも、共重合
体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれ
であってもよい。なお、数平均分子量の測定はGPC法
による。
【0046】また、ガラス転移温度は対象物の分子量や
強度と関連し、その値が高い方がより硬度が増す。該キ
ャリア粒子のガラス転移温度が120℃を超えると柔軟
性が低下して被研磨対象物との接触面積が低下して研磨
効率が低下する場合があり不利である。その一方、50
℃を下回ると、柔軟性が高くなり、スクラッチが発生す
る。
【0047】このようなキャリア粒子としては、上記第
一の発明で記載したキャリア粒子の素材のなかでも、少
なくとも一種類のウレタン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン・AS
樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂
などのいずれか1種またはこれらの2種以上の混合物や
組成物から形成することができる。本発明では、これら
の中でも、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0048】また、このようなキャリア粒子の平均粒径
は特に制限されないが、スペーサーとしての機能を考慮
して、上記第一の発明に記載した平均粒径であることが
好ましい。
【0049】なお、上記範囲の数平均分子量およびガラ
ス転移温度を有するキャリア粒子を得るには、第一およ
び第二の発明で記載したと同様に、有機高分子化合物の
製造時、特に重合時に連鎖調整剤を配合したり、重合温
度、重合時間を制御するなどの方法によって調整するこ
とができる。
【0050】また、本願第三のキャリア粒子において、
同時に第一の発明の特徴であるキャリア粒子の圧縮速度
0.27g/secで測定した10%変位時の機械的強
度が1〜50MPaという特性、および/または第二の
発明の特徴である回復率が0.1〜10%という特性を
同時に有していてもよい。キャリア粒子の機械的強度が
上記範囲にあれば、加圧による変形が容易なため、被研
磨対象物とキャリア粒子との接触面積を拡大させ、同時
に数平均分子量が5,000〜500,000かつガラ
ス転移温度が120℃以下であれば、キャリア粒子の単
位質量あたりの砥粒付着率の低下を防止でき、かつスペ
ーサーとしての機能に優れ、スクラッチを有効に防止で
きるからである。また、さらに、回復率が0.1〜10
%であれば、該変形が保持されるためキャリア粒子との
接触面積の拡大を維持することができるため、より好ま
しい。
【0051】第三の発明における研磨剤は、第一の発明
のキャリア粒子にかえて第三の発明のキャリア粒子を使
用することで得ることができる。
【0052】本発明の第四は、上記第一から第三の研磨
剤を用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法であ
る。
【0053】該研磨方法は、研磨機に設けられた定盤と
被研磨対象物との間に該研磨剤を所定の量で供給し、研
磨剤に含まれる砥粒を被研磨対象物と接触させるため被
研磨対象物を回転させれば砥粒と被研磨対象物との相対
運動によってその表面が研磨される。
【0054】研磨機としては、定盤を有し研磨剤の供給
手段、被研磨対象物の回転手段が設けられていれば、定
盤のサイズなどは被研磨対象物のサイズに応じて適宜選
択することができる。
【0055】定盤は銅や錫などの金属、ガラス、セラミ
ックまたはプラスチックから製造される平面性の良好な
ものが好適である。該定盤の形状は平面に限定されず、
曲面、球面または凹凸面などでもよい。このような定盤
を使用することによって、従来のウレタン系のポリッシ
ングパッドが不要となり、平面度や微小なうねりなどが
改善される。
【0056】被研磨対象物は、研磨剤上で回転しながら
砥粒と接触するが、本発明においては通常公知の回転速
度で回転させればよく、キャリア粒子や砥粒、被研磨対
象物の材質等に応じて適宜選択することができる。
【0057】また、被研磨対象物は、キャリア粒子や砥
粒の種類やサイズに応じて適宜加工圧を選択することが
できるが、本発明においては5〜100KPaであるこ
とが好ましく、より好ましくは10〜70KPaであ
る。
【0058】また、研磨剤の供給量も定盤のサイズに応
じて適宜選択することができ、研磨工程に供給する際の
研磨剤の撹拌力も、使用するキャリア粒子や砥粒の種類
および配合量などによって適宜選択することができる。
【0059】具体的に、上記研磨剤の定盤上への供給に
おける一定量とは1〜100ml/分であり、好適には
10〜50ml/分である。また、該定盤を所定の回転
速度で回転させながら、被研磨対象物をラップ加工する
場合において、所定の回転速度とは10〜500rpm
であり、好適には20〜200rpmである。
【0060】本発明の研磨方法では、特にシリコンウエ
ハ、水晶、ガラス、サファイヤ等を被研磨対象物とする
場合に、その表面の鏡面研磨に優れる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0062】(実施例1)攪拌機、還流冷却器および温
度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコに
イオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアル
コール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールP
VA−205」)4.0gを添加および溶解させた後、
さらに、スチレン320gおよびベンゾイルパーオキサ
イド(日本油脂株式会社製、商品名「ナイパーBW」、
水25%含有品)12.8gからなる混合物を加えた。
その後、5000rpmの攪拌速度でフラスコ内の内容
物を分散させた後、80℃で8時間重合した。得られた
固形物を濾別し、十分に水洗し、水分を含有した重合粒
子ケーキ440g(水含有量33%)を得た。
【0063】得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布
測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーI
I型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均
粒径は8.9μmであった。
【0064】また、得られた樹脂粒子を乾燥および粉砕
し、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所、MCTM−
200)にて、圧縮速度0.27g/secで負荷をか
けた場合の、10%変位時の機械的強度を測定した。ま
た、同機によって圧縮速度0.029g/secで負荷
をかけ、反転荷重値を1gとした場合の回復率を測定し
た。結果を表2に示す。
【0065】(比較例1)攪拌機、還流冷却器および温
度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコに
イオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアル
コール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールP
VA−205」)4.0gを添加した後、さらに、工業
用ジビニルベンゼン(ジビニルベンゼン55質量%)3
20gおよびベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式
会社製、商品名「ナイパーBW」、水25%含有)1
2.8gからなる混合物を加えた。その後、5000r
pmの攪拌速度でフラスコ内の内容物を分散させた後、
80℃で8時間重合した。得られた固形物を濾別し、十
分に水洗し、水分を含有した重合粒子ケーキ440g
(水含有量33%)を得た。
【0066】得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布
測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーI
I型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均
粒径は9.2μmであった。
【0067】また、得られた樹脂粒子を乾燥および粉砕
し、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所、MCTM−
200)にて、圧縮速度0.27g/secで負荷をか
けた場合の、10%変位時の機械的強度を測定した。ま
た、同機によって圧縮速度0.029g/secで負荷
をかけ、反転荷重値を1gとした場合の回復率を測定し
た。結果を表2に示す。
【0068】(実施例2)攪拌機、還流冷却器および温
度計を備えた3リットルの4ツ口セパラブルフラスコに
イオン交換水1.2リットルを仕込み、ポリビニルアル
コール(株式会社クラレ製、商品名「クラレポバールP
VA−205」)4.0gを添加および溶解させた後、
さらに、スチレン145.5g、工業用ジビニルベンゼ
ン(ジビニルベンゼン55質量%)174.5gおよび
ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製、商品
名「ナイパーBW」、水25%含有品)12.8gから
なる混合物を加えた。その後、5000rpmの攪拌速
度でフラスコ内の内容物を分散させた後、80℃で8時
間重合した。得られた固形物を濾別し、十分に水洗し、
水分を含有した重合粒子ケーキ440g(水含有量33
%)を得た。
【0069】得られた樹脂粒子の平均粒子径を粒度分布
測定装置(コールター・カウンター,マルチサイザーI
I型(Beckman Coulter, Inc.)で測定した結果、平均
粒径は9.2μmであった。
【0070】また、得られた樹脂粒子を乾燥および粉砕
し、微小圧縮試験器(株式会社島津製作所、MCTM−
200)にて、圧縮速度0.27g/secで負荷をか
けた場合の、10%変位時の機械的強度を測定した。ま
た、同機によって圧縮速度0.029g/secで負荷
をかけ、反転荷重値を1gとした場合の回復率を測定し
た。結果を表2に示す。
【0071】(試験例1)実施例1および比較例1で調
整した樹脂をキャリア粒子として、砥粒としてコロイダ
ルシリカ(日産化学製、商品名「スノーテックス3
0」)およびイオン交換水を溶媒として使用し、砥粒の
濃度を5質量%とし、キャリア粒子を表2に示す濃度で
混合および撹拌して研磨剤を調整した。なお、pHメー
ターで測定したところ、該研磨剤のpHはいずれも1
0.1であった。
【0072】該研磨剤を、片面研磨機(株式会社岡本工
作機械製作所製、商品名「SPL-15」)を用いて、4イン
チシリコンウェーハの研磨試験を行った。
【0073】定盤には、表面粗さRa2.5μmのガラ
スを用いた。シリコンウェーハ及び定盤の回転数は60
rpm、該研磨剤の供給量は25ml/分とし、20分
間研磨加工した。
【0074】研磨終了後に純水で洗浄し、研磨前後の重
量の減少から研磨効率を算出し、及びスクラッチの有無
を目視により評価した。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】
【発明の効果】キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤を用
いると、新しいキャリア粒子および砥粒とが研磨剤とし
て供給され、劣化した砥粒は排出されるため加工能率の
低下がなく長期に亘って安定した研磨効率を維持するこ
とができる。この際、キャリア粒子が特定の機械的強
度、回復率、数平均分子量、ガラス転移温度を有する場
合には、被研磨対象物とキャリア粒子との接触面積が増
大するため、砥粒による被研磨対象物の研磨効率が更に
向上し、形状精度に優れる研磨ができる。本発明の研磨
剤によれば、スクラッチの発生が少なく、かつ研磨効率
に優れる研磨が達成される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相澤 龍司 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12号 株式会社日本触媒内 (72)発明者 谷 泰弘 東京都目黒区駒場4丁目6番1号 東京大 学生産技術研究所内 (72)発明者 河田 研治 東京都目黒区駒場4丁目6番1号 東京大 学生産技術研究所内 (72)発明者 榎本 俊之 東京都目黒区駒場4丁目6番1号 東京大 学生産技術研究所内 (72)発明者 礪波 時夫 東京都昭島市武蔵野3丁目4番1号 日本 ミクロコーティング株式会社内 Fターム(参考) 3C058 AA07 CB02 CB03 DA02 DA17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であ
    って、該キャリア粒子の圧縮速度0.27g/secで
    測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MPaで
    あることを特徴とする研磨剤。
  2. 【請求項2】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用
    いるキャリア粒子であって、圧縮速度0.27g/se
    cで測定した10%変位時の機械的強度が1〜50MP
    aである、キャリア粒子。
  3. 【請求項3】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であ
    って、該キャリア粒子の圧縮速度0.029g/sec
    で測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%であ
    ることを特徴とする研磨剤。
  4. 【請求項4】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用
    いるキャリア粒子であって、圧縮速度0.029g/s
    ecで測定した圧縮試験による回復率が0.1〜10%
    である、キャリア粒子。
  5. 【請求項5】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤であ
    って、該キャリア粒子は、ガラス転移温度が120℃以
    下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,0
    00の範囲の有機高分子化合物であることを特徴とする
    研磨剤。
  6. 【請求項6】 キャリア粒子と砥粒とを含む研磨剤に用
    いるキャリア粒子であって、ガラス転移温度が120℃
    以下であり、かつ数平均分子量が5,000〜500,
    000の範囲の有機高分子化合物である、キャリア粒
    子。
  7. 【請求項7】 請求項1、3または5に記載の研磨剤を
    用いる、被研磨対象物の表面を研磨する方法。
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JP2012056073A (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 Kumamoto Prefecture 研磨材

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