JP4150772B2 - シクロデキストリンを含有するフェノール重合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シクロデキストリンを含有するフェノール重合物およびその製造方法に関するものである。詳しくは、機械部品材料、電気部品材料、電子部品材料、電子情報材料、酸化防止剤等に有用なシクロデキストリンを含有する一般式(1)で表されるフェノールの重合物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酵素触媒を用いて得られたフェノール重合物は、バイオインダストリー、vol.15、44、1998などに報告されている。しかしこれらに記載の重合物は、有機溶媒への溶解性が低いなどの点から、加工性において問題があった。また、シクロデキストリンを含有したフェノール重合物についての報告は、これまでになかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、加工性を向上したフェノール重合物を提供することである。また、本発明の他の課題は、シクロデキストリンを含有するフェノール重合物の製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、シクロデキストリンを含有するフェノール重合物を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(1):
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、R、Q、Sはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基である。)
で表されるフェノール化合物の1種以上をα−シクロデキストリン存在下、酸化重合して得られる重合物であって、該重合物のフェノール1ユニットに対して、α−シクロデキストリンを0.01〜1分子含有することを特徴とするフェノール重合物である。
【0007】
上記の重合物としては、例えば、一般式(1)において、R、Q、Sがそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基であるシクロデキストリンを含有するフェノール重合物を挙げることができる。
【0008】
更に、本発明にかかるα−シクロデキストリンを含有するフェノール重合物の製造方法は、一般式(1):
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、R、Q、Sはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基である。)で表されるフェノール化合物の1種以上のペルオキシダーゼまたはオキシダーゼからなる酸化還元酵素を触媒とした酸化剤を用いた酸化重合を、α−シクロデキストリン存在下、水中で行うことを特徴とする製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明について詳細に説明する。一般式(1)で表されるフェノールにおいて、R、Q、Sはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、アシル基または置換アミノ基を示す。
【0013】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を挙げることができる。
【0014】
また、炭素数1〜18のアルキル基には、直鎖状、分岐鎖状および環状のものが包含され、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基などを挙げることができる。これらのアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていても良く、ハロゲン置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基などを挙げることができる。
【0015】
炭素数2〜18のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基及びイソプロペニル基などを挙げることができる。
【0016】
炭素数2〜18のアルキニル基としては、例えば、エチニル基などを挙げることができる。
【0017】
アリール基は、ベンゼン系やナフタレン系などの単環、縮合多環のものが包含され、例えば、フェニル基、トルイル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基などを挙げることができる。
【0018】
アリールアルキル基としては、ベンジル基及びフェネチル基などを挙げることができる。
【0019】
エーテル基は、エーテル結合を有する基(−O−R’:R’は置換されていてもよいアルキル基及びアリール基などを表わす。なお、R’のアルキル基及びアリール基の置換基としては、フッ素などのハロゲン原子、フェニル基などのアリール基、メトキシ基などのアルコキシ基などを挙げることができる。)であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などのアルコキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基などの置換アルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基などの置換アリールオキシ基など挙げることができる。
【0020】
チオエーテル基は、チオエーテル結合を有する基(−S−R”:R”は置換されていてもよいアルキル基及びアリール基などを表わす。なお、R”のアルキル基及びアリール基の置換基としては、フッ素などのハロゲン原子、フェニル基などのアリール基、メトキシ基などのアルコキシ基などを挙げることができる。)であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などのアルキルチオ基、フェニルチオ基などのアリールチオ基を挙げることができる。
【0021】
エステル基、すなわちエステル結合を有する基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基及びブトキシカルボニル基などを挙げることができる。
【0022】
アシル基としては、ホルミル基及びアセチル基などを挙げることができる。
【0023】
置換アミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基などのモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジ置換アミノ基などを挙げることができる。
【0024】
重合物に含有されるシクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびこれらの修飾シクロデキストリンを挙げることができ、これらはその2種以上の組合せで用いることもできる。
【0025】
修飾シクロデキストリンとしては、2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン、2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリン、2,3,6−トリ−O−メチル−α−シクロデキストリン、2,3,6−トリ−O−メチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシルエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシルプロピル−β−シクロデキストリン、3−ヒドロキシルプロピル−β−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシルプロピル−β−シクロデキストリン、グリコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、2,6−ジ−O−エチル−β−シクロデキストリン、2,3,6−トリ−O−エチル−β−シクロデキストリン、2,3,6−トリ−O−アシル−β−シクロデキストリン、O−カルボキシルメチル−O−エチル−β−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンスルフェート及びβ−シクロデキストリンホスフェートなどを挙げることができる。
【0026】
本発明のシクロデキストリンを含有するフェノール重合物は、一般式(1)で表わされるフェノール化合物から得られるフェノール単位同士が結合した構造を少なくとも有し、それぞれのフェノール単位の結合は、ベンゼン環同士が直接結合した炭素−炭素結合と、ベンゼン環同士がフェノール由来の酸素原子1個を介して結合した炭素−酸素結合の両方を包含する。すなわち各フェノール単位は、水酸基を有するフェニレンユニット及び水酸基のないオキシフェニレンユニットのいずれかの形態で重合鎖中に組み込まれており、かつ、これらの両方の形態が重合物中に含有される。
【0027】
フェノールを用いた場合におけるフェノール単位の形態を下記式(2)に示す。
【0028】
【化5】
【0029】
本発明の重合物中に、これら2種類のユニットが両方とも存在することは、赤外吸収スペクトルや核磁気共鳴スペクトルなどの分光学的手法および水酸基価滴定などの方法によって確認できる。
【0030】
本発明の重合物は、一般式(1)で表わされるフェノール化合物の重合物とシクロデキストリンからなる包接化合物を形成している。包接化合物とは、分子錯体の一種であり、一方の分子がトンネル形構造をつくり、その隙間に他の分子が入り込んだ構造の化合物である。本発明の重合物では、シクロデキストリンの空洞に、一般式(1)で表わされるフェノール化合物の重合物が入り込んだ構造を有している。
【0031】
フェノール重合物中に含有されるシクロデキストリンは、核磁気共鳴スペクトルなどの分光学的手法などによって、確認および定量することが可能である。シクロデキストリンは、重合物中のフェノール単位あたり(1ユニットに対して)、0.01〜1分子、好ましくは、0.01〜0.5分子、より好ましくは、0.01〜0.3分子含有される。
【0032】
本発明の重合物の数平均分子量は、通常300〜5000程度であり、好ましくは500〜4000程度である。
【0033】
次に、本発明のシクロデキストリンを含有するフェノール重合物の製造方法について説明する。
【0034】
本発明のシクロデキストリンを含有するフェノール重合物は、酸化還元酵素を触媒とした酸化剤を用いる一般式(1)で表されるフェノール化合物の酸化重合を、シクロデキストリンの存在下、水中で行うことにより製造できる。酸化重合反応には、一般式(1)で表されるフェノール化合物から選択された1種を用いて、あるいはR、Q及びSの少なくとも1つが異なる2種以上のフェノール化合物を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明に用いる酸化還元酵素は、フェノールの酸化カップリング反応を起こすのに充分な酸化能を有するものであればよく、従来公知のもの、例えばペルオキシダーゼやオキシダーゼを使用することができる。
【0036】
本発明で使用されるペルオキシダーゼは、種々の起源のものが使用でき、特に制限はないが、例えば植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のペルオキシダーゼを挙げることができる。これらの中で、西洋わさびペルオキシダーゼおよび大豆ペルオキシダーゼは、酸化能が高く、しかも量産されて安価であり、好ましく使用することができる。
【0037】
本発明で使用されるオキシダ−ゼとしてはラッカーゼを挙げることができる。ラッカーゼは、種々の起源のものが使用でき、特に制限はないが、例えば植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のラッカーゼを挙げることができる。これらの例としては、うるしの木から得られるラッカーゼ、Pyricularia、Pleurotus、Pycnoporus、Polystictus、Coriolus、Bjerkandera、Mycelopthora、Neurospora属の微生物から得られるラッカーゼを挙げることができる。特にPyricularia oryzae、Pycnoporus coccineus、Coriolus vercicolor Pleurotus ostreates、Mycelopthora起源のラッカーゼを好ましく使用できる。
【0038】
なお、使用する酵素は、精製・未精製を問わない。酵素量は溶媒およびその活性によって異なるが、フェノール1gに対して0.001mg〜10g、好ましくは0.005mg〜5g、さらに好ましくは0.005mg〜3gである。
【0039】
前記酸化剤としては、酸化カップリングを生起させる酸化剤であればよく、一般的には過酸化物が用いられる。過酸化物は有機過酸化物および無機過酸化物のいずれでも良い。特に好ましいものとして、過酸化水素を挙げることができる。なお過酸化物の濃度は特に限定されない。過酸化物を使用する場合、その使用量は、フェノール化合物1モル当たり0.3〜10倍モルであり、好ましく0.5〜5倍モル、さらに好ましくは0.8〜2倍モルである。過酸化物は、反応混合物中に、一度に加えても良いが、酵素の活性を保持するために、分割して加える方が好ましい。
【0040】
ラッカーゼなどのオキシダーゼを酸化還元酵素として使用する時には、酸化剤として分子状酸素を用いることができる。この場合の酸素としては、純酸素のほか、空気あるいは酸素と不活性ガスとの混合物の形で用いることができる。これらは、反応混合物中に吹き込んでも良いが、単に重合雰囲気中に存在させるだけでも良い。
【0041】
重合反応に共存させるシクロデキストリンとしては、前に記載したシクロデキストリンを挙げることができる。シクロデキストリンの共存量は、フェノール化合物1モル当たり、0.001〜10倍モルであり、好ましく0.001〜5倍モル、さらに好ましくは0.005〜2倍モルである。シクロデキストリンの共存量を増加させるほど、重合物中に含有されるシクロデキストリン量を増加させることが可能である。
【0042】
重合溶媒の水としては、蒸留水や脱イオン水でもよいが、緩衝液でもよい。緩衝液を用いる場合にはそのpHは3から12の範囲が好ましい。緩衝液の種類としては、酢酸緩衝液、りん酸緩衝液、炭酸緩衝液等が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0043】
使用する水は任意の量を用いることができるが、フェノールの濃度としては、0.05〜500g/Lの範囲が好ましく、0.5〜200g/Lがより好ましい。
【0044】
本発明において、フェノールと酵素の反応には各種の方法を利用することができる。例えば、シクロデキストリンとフェノールの溶液(または懸濁液)および酵素溶液(または懸濁液)を個々に調製した後に同一容器内に注入しても良いし、シクロデキストリンとフェノールの溶液(または懸濁液)に酵素を添加しても良い。この他にも種々の組み合わせが可能であるが、酵素が失活(不活性化)するような方法でない限り、各種の方法を採用できる。
【0045】
反応温度は、酵素を不活性化しない温度が望ましい。好ましくは−10〜100℃の範囲であり、より好ましくは0〜80℃の範囲であり、特に好ましくは10〜50℃の範囲である。反応温度が高い場合、一般に酵素は失活するが、溶媒系によっては、酵素を安定化するので、その場合は高い反応温度も採用可能となる。
【0046】
シクロデキストリンを含有するフェノール重合物は、水に対する溶解度が低い場合、反応終了後、単に反応溶媒から共重合物を濾取もしくは遠心分離することによって単離できる。また水に溶解している場合は、水を減圧下にて除去するか、アルコールなどの有機溶媒およびそれらと水の混合溶媒を加えることにより容易に析出させることが可能であり、これを上記の方法で単離すれば良い。
【0047】
本発明のシクロデキストリンを含有するフェノール重合物は、有機溶媒に対する溶解性が高く、材料として成形する際の加工性に優れている。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
なお、以下において、目的物(重合物)の数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)と数平均分子量の比(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(0.4wt%塩化リチウム含有N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、ポリスチレンスタンダード)より算出した。またフェノール重合物中のシクロデキストリン含有量は、炭素−13(13C)核磁気共鳴スペクトル(NNEモード)における積分値から算出した。
【0050】
実施例1
フェノール0.4712gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン5.7083gをりん酸緩衝液(pH7)21mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ2mgをりん酸緩衝液(pH7)4mLに溶解した溶液を加えた。次に、5%過酸化水素を1.6mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.7850g、Mn:1000、Mw/Mn:3.2、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.077分子)。
【0051】
実施例2
フェノール0.0940gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン0.5707gをりん酸緩衝液(pH7)4.2mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ0.4mgをりん酸緩衝液(pH7)0.8mLに溶解した溶液を加えた。次に、5%過酸化水素を0.32mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.1444g、Mn:1100、Mw/Mn:2.8、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.071分子)。
【0052】
実施例3
フェノール0.0950gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン0.2283gをりん酸緩衝液(pH7)4.2mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ0.4mgをりん酸緩衝液(pH7)0.8mLに溶解した溶液を加えた。次に、5%過酸化水素を0.32mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.1288g、Mn:1100、Mw/Mn:3.3、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.063分子)。
【0053】
実施例4
フェノール0.0938gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン0.1145gをりん酸緩衝液(pH7)4.2mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ0.4mgをりん酸緩衝液(pH7)0.8mLに溶解した溶液を加えた。次に5%過酸化水素を0.32mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.1246g、Mn:1000、Mw/Mn:3.9、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.053分子)。
【0054】
実施例5
フェノール0.2839gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン0.1720gをりん酸緩衝液(pH7)12.6mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ1.2mgをりん酸緩衝液(pH7)2.4mLに溶解した溶液を加えた。次に5%過酸化水素を0.96mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.3867g、Mn:1000、Mw/Mn:2.3、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.030分子)。
【0055】
実施例6
フェノール0.2828gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン0.0863gをりん酸緩衝液(pH7)12.6mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ1.2mgをりん酸緩衝液(pH7)2.4mLに溶解した溶液を加えた。次に5%過酸化水素を0.96mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.2259g、Mn:1300、Mw/Mn:2.7、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.035分子)。
実施例7
フェノール0.2837gと2,6−ジ−O−メチル−α−シクロデキストリン0.0355gをりん酸緩衝液(pH7)12.6mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ1.2mgをりん酸緩衝液(pH7)2.4mLに溶解した溶液を加えた。次に5%過酸化水素を0.96mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これを水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.0874g、Mn:1400、Mw/Mn:2.3、シクロデキストリン含有量:重合物中のフェノール1ユニット当たり0.035分子)。
【0056】
参考例1
フェノール0.4717gをメタノール12.5mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ2.0mgをりん酸緩衝液(pH7)12.5mLに溶解した溶液を加えた。次に5%過酸化水素を1.6mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これをメタノール−水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.4574g、Mn:1600、Mw/Mn:4.2)。
【0057】
参考例2
フェノール0.4703gをりん酸緩衝液(pH7)21mLに溶解し、これに西洋わさびペルオキシダーゼ2.0mgをりん酸緩衝液(pH7)4mLに溶解した溶液を加えた。次に5%過酸化水素を1.6mL/hの速度で室温にて2時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌した。析出物を濾取後、これをメタノール−水で洗浄、乾燥することにより目的物を得た(収量:0.0092g、Mn:1400、Mw/Mn:11.1)。
【0058】
試験例1(有機溶媒に対する溶解性試験)
重合物および重合物とシクロデキストリンの混合物のアセトンおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1mLに対する溶解性を試験した。
【0059】
表1に示したように、本発明のシクロデキストリンを含有するフェノール重合物は、シクロデキストリンを含有しないフェノールの重合物と比べて、上記溶媒に対する溶解度が大幅に向上していた。なお、シクロデキストリンを含有しないフェノールの重合物にシクロデキストリンを添加しても、溶解性の向上は認められなかった。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明による方法により、シクロデキストリンを含有するフェノール重合物の製造が可能になった。また本発明の重合物は材料加工性が改良され、機械部品材料、電気部品材料、電子部品材料、電子情報材料、酸化防止剤などの用途として極めて有用である。
Claims (2)
- 上記一般式(1)で表されるフェノール化合物の1種以上を、ペルオキシダーゼまたはオキシダーゼからなる酸化還元酵素を触媒とした酸化剤により、α−シクロデキストリン存在下、水中で酸化重合させることで、α−シクロデキストリンを含有する上記一般式(1)で表されるフェノール化合物の重合物を得ることを特徴とする請求項1に記載のフェノール重合物の製造方法。
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