JP4149082B2 - ごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法に関し、特に、従来クレーン運転手により手動運転で行われていた清掃工場のごみ投入クレーンによる反搬入ゲート側の積み上げと、搬入ゲート側の溝掘り下げを、自動で行うことができるようにしたごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、1日の処理量が100〜200t前後の小規模清掃工場においては、収集車によるごみの収集は早朝から行われるため、清掃工場への搬入を午前8時頃から午後4時頃の間に行われている。また、焼却炉の運転は、現在1日当たり8〜16時間の運転であるが、ダイオキシンの排出量削減のためには、24時間の連続運転が望ましい。
ところで、この焼却炉運転に際してクレーンの運転は、手動運転が主で、昼間は搬入されたごみの移動、ごみの均質化のための撹拌、焼却炉ホッパヘの投入等の作業をクレーン運転手による手動運転で行い、ごみ収集車によるごみの搬入がない夜間の時間帯に、クレーン運転手は、ごみの均質化のための撹拌、焼却炉ホッパヘの投入を行いつつ、これら攪拌、投入作業をしていない時間帯の空いているクレーンを用いて、翌日のごみ収集車によるごみの搬入に備え、搬入ゲート前下方位置のごみをピットの反ゲート側に移動し、かつゲート前を掘り下げ、溝を形成する作業を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のクレーンによるごみピット内の溝掘り作業運転は、ごみ収集車によるごみ搬入のない夜間に行う必要があり、クレーンの運転手が、自分の目で、クレーンの運転状況、詳しくはごみの堆積状況、固化状況、グラブバケットの傾転状況、グラブバケットでのごみの掴み量等を確認して手動で運転を行なわねばならないため、この夜間のクレーン運転手の確保とその人件費がかかるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来のクレーンによるごみピット内の溝掘り運転の有する問題点を解決し、クレーンによる夜間の溝掘り運転を、既設クレーンを用いて、自動で運転することができるごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法は、焼却炉にごみを投入するクレーンを使用し、ごみ収集車から搬入されたごみピット内の搬入ゲート側のごみを、反搬入ゲート側に積み上げるよう搬入ゲート側を掘り下げて溝掘りを行う作業において、搬入ゲート側のごみを掴んで吊り上げたグラブバケットを、積み上げる場所のごみ上へ吊り降ろし着床にて突き固めを繰り返した後、グラブバケットを開放してごみを積み上げ、これをグラブバケットの幅毎に順次自動的に繰り返して行うようにするに際して、グラブバケットの巻上げ位置を記憶しておき、ごみの堆積している高さまでバケット先端を下げ、バケット先端がごみに接している状態でグラブバケットを開放してごみを積み上げることを特徴とする。
【0006】
上記の構成からなる本発明のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法は、反搬入ゲート側のごみを積み上げる位置で、グラブバケットの自重を利用して突き固めを行った後、グラブバケットの巻上げ位置を記憶しておき、ごみの堆積している高さまでバケット先端を下げ、バケット先端がごみに接している状態でグラブバケットを開放してごみを積み上げるようにしているので、積み上げごみが崩落することなく、反搬入ゲート側の積み上げと、搬入ゲート側の溝掘り下げを、自動で、かつ確実に行うことができる。
【0007】
この場合において、ごみを掴んだグラブバケットのごみ上への着床検知を、巻上げ用モータの電力遷移点から一定時間経過したこと、又は一定角度以上のグラブバケット傾斜で検知してモータを停止することができる。
【0008】
これにより、グラブバケットのごみ上への着床を確実に検知することができるとともに、グラブバケットが傾転することがなく、ごみの突き固めと積み上げが自動的に、かつ確実に行える。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1に、本発明のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法に用いるクレーンの制御装置の一例を示す。
一般に、清掃工場におけるごみ投入用クレーンは、クレーンの制御装置1を、地上の電気室に設置し、この電気室と別に配設した運転室からクレーン運転手が遠隔操作にて操作するようにしている。
ごみ投入用クレーンは、ごみピット上方を走行するガーダ2に、走行用モータ21を設置するとともに、ガーダ2上に横行用モータ31、巻上げモータ32により駆動されるドラム(図示省略)を設置したクラブ3を配設する。
ドラムにはワイヤーロープを介して巻上げ下げするグラブバケット4を吊垂支持するとともに、グラブバケット4には、油圧機構により開閉し、その駆動源としての開閉用モータ41と、グラブバケットの傾斜角度を検出するバケットの傾斜検出器42とを設置する。
【0011】
また、地上の電気室からごみ投入用クレーンまでの配線は、カーテンケーブルC等により行い、動力用電源の供給と、リミットスイッチ等のセンサ信号を伝達するように構成する。
【0012】
制御装置1は、図1に示すようにクレーン全体の受電部分である共通の保護回路10に、走行モータ駆動回路11、横行モータ駆動回路12、巻上げモータ駆動回路13、開閉モータ駆動回路14を接続して構成し、各回路11〜14にて各モータ21,31,32,41と接続してこれらを駆動する。
また、巻上げモータ駆動回路13の3相の出力電圧のうち、2相にカーレントトランス(CT)15a,15bを配設して、2相の出力電流を検出し、この検出出力電流値と、2相の出力電圧を電力検出回路16を介して、巻上げモータ32の正転、逆転運転の力行電力、回生電力を自動制御装置17に入力する。
自動制御装置17は、マイクロコンピュータあるいはプログラマブルコントローラで構成し、各モータ21,31,32の駆動を指令する。
【0013】
ごみを掴み、積み替え、焼却炉ホッパへの投入を行うグラブバケット4には、バケットをごみ上に着床させた時、グラブバケット4の傾斜角を検出するバケットの傾斜検出器42を設けているが、これはグラブバケット4がクレーンで懸垂されている鉛直方向を基準として、一定角度以上傾斜した場合に信号を出力するようにするものである。
なお、従来手動で運転しているクレーンを、自動運転に切り替えるためには、巻上げモータ駆動回路の2相に、この2相の出力電流を検出するカーレントトランス(CT)15a,15bを配設するともに、この検出信号と、グラブバケット4に取り付けるバケットの傾斜検出器22と、前記カーレントトランス(CT)15a,15bと、カーレントトランス(CT)15a,15bの検出した2相の電流と、その2相電圧とを入力する電力検出回路17を、クレーン制御回路に追加するものとする。
【0014】
次に、本発明のごみ投入用クレーンの運転制御方法について、図2に基づいて説明する。
図2は、ごみピット5を側面から見た状態で、グラブバケット4の操作にてごみピット5内にて溝掘り作業を行う動作順序を示す。
まず、ごみを貯留するごみピット5内に、ごみ6が貯留、堆積している状態を図2(1)に示す。
ごみはごみ収集車により搬入ゲート51からごみピット5内に投入される。
昼間の作業が終わり、夜間の自動運転が始まるまでは、ごみ投入用クレーンをクレーン運転手による手動運転することにより、ごみピット5内のごみを焼却炉内に投入、積み替えが行われる。
この場合、グラブバケット4で掴んだごみを搬入ゲート51の反対側に移動し、焼却炉ホッパから投入要求が発生すれば、反搬入ゲート側に移動されたごみを掴んでホッパに投入するようにする。
なお、搬入ゲートから投入されたごみは均質化がなされていないため、これを直接焼却炉ホッパに投入することはなく、積み替えによるごみの均質化を行ったものを投入するようにしている。
【0015】
次に、搬入ゲート51の直下位置でごみを掴んだ後、グラブバケット4を吊り上げ、ごみピット中央の溝掘りの土手の上になる部分61まで移動し、低速で巻下げる。この状態を図2(2)に示す。
この場合、グラブバケット4を閉じたまま巻下げてごみ上にグラブバケット4を着床させて、グラブバケット4の自重とごみの重量でグラブバケット4下のごみを押し固める。この場合の巻上げモータ32の回転と、モータの消費電力の関係は、図3に示すようになる。
巻上げモータ32を正転し、グラブバケット4を巻上げている場合には、モータの消費電力はモータで消費する力行運転となり、また、巻下げ運転ではモータは回生運転となり、一定速度で巻下げ中の消費電力は負の一定値を示す。
グラブバケット4の先端がごみ上に着床して、グラブバケット4の荷重が徐々にごみにかかるにつれ消費電力は減少し、すべての荷重が堆積しているごみにかかった時点では、モータの負荷は駆動系の軸受、減速機の損失、バケットを吊り上げるワイヤーロープの自重を支持するのみとなり、通常のごみクレーンでは、定格負荷電力の数%の値を示すものとなる。
【0016】
ごみを押し固める初回の巻下げ運転では、巻上げモータ32の停止条件はモータの消費電力の微分値を監視し、微分係数の平均値がゼロから正に転じる電力遷移点がバケット先端がごみに接した着床点と見なし、電力遷移点から一定時間の経過後モータを停止する。
また、バケットに設置した傾斜検出器の出力信号を監視し、バケットが一定以上の角度に傾斜した時点でモータを停止する。
この2条件の論理和を停止条件とする。
電力遷移点から一定時間経過したこと、又は一定角度以上のバケット傾斜でモータを停止することにより、ワイヤーロープの弛みの発生、グラブバケットの転倒、斜面の崩落等を起こすことなくグラブバケット4をごみ上におろし、グラブバケット4下のごみを押し固めることができる。
【0017】
さらに、図2(3)に示すように、グラブバケット4の着床後に巻上げ、再度巻下げ運転を行ってごみの圧密化を行う。2回目以降の巻下げ運転では初回の巻下げ停止条件に加え、巻上げ開始点まで到達した時点でモータを停止する条件を付加する。
この操作を行った時の巻上げ位置を記憶しておき、ごみの堆積している高さまでバケット先端を下げ、バケット先端がごみに接している状態でバケットを開くようにする。
グラブバケット4は前回の巻上げ開始点よりも低速からの減速距離以上に下がることはなく、斜面の崩落に対し、グラブバケット4の傾転をより効果的に防止できる。
この動作を溝掘りを行う走行の区間に対し、数回繰り返し、グラブバケット4にて掴んでいるごみを反搬入ゲート側に置く。
【0018】
搬入ゲート側から掴んだごみを、前工程でグラブバケット4で押し固めた線に沿って置く。この状態を図2(4)に示す。
グラブバケット4を開く高さは、巻上げ上限のように高い位置から開き、ごみを落とすとごみが飛散するのを未然に防止するため、グラブバケット4にて掴むごみを予め押し固めておくものとする。
【0019】
次に、図2(5)に示すようにグラブバケット4でごみを押し固めた部分より、僅かに搬入ゲート側になるようにして、開いたグラブバケット4の先端が来るようにクラブ3を横行移動し、その位置でクラブを停止して、グラブバケット4を吊り下ろす。これによりグラブバケット4は開いているので、ごみ上に着床することによりごみ内に開いたグラブバケット4の先端は侵入するようになり、次いでグラブバケット4を閉じると、グラブバケット4にてごみを掴むことになる。この時、ごみは押し固められた部分を境界としてグラブバケット4による掴み作業が行われても、ごみ山は崩落せずに急斜面にて溝が形成される。
【0020】
グラブバケット4を、ごみを掴んだ状態で、前工程でごみを押し固めた位置61の上にグラブバケット4を下ろす。この状態を図2(6)に示す。
【0021】
次いで、このグラブバケット4は閉じたまま、少し吊り上げた後ごみの上に吊り降ろす。このグラブバケット4を同一場所で吊り上げ吊り降ろしの操作を、2乃至3回行って、ごみの押し固めを行う。この状態を図2(7)に示す。
【0022】
そして、ごみを十分に押し固めた場所にて、グラブバケット4を開いて掴んでいたごみを置く。
このときの巻上げの高さは、図2(4)に示したと同様にバケット先端がごみ山の頂面に接する位置まで巻下げ、バケットを開くものとする。
この図2(4)から図2(8)に示す操作を繰り返して行うが、この場合、グラブバケット4の幅だけグラブバケット4を走行位置にて位置をずらす。
このグラブバケット4の吊り上げ吊り降ろしの動作と、グラブバケット4の位置をずらす操作とを組み合わせて繰り返し、図2(7)に示すようにピット内のごみ搬入ゲート51の下方位置に溝62を掘り進む。
【0023】
なお、この溝62を深くする場合は、走行方向に溝掘りを行う範囲を一旦掘り、浅く広く掘る操作を繰り返して行う。これは、一度に深く掘り下げるとバケット傾転が発生するためである。また、ごみを下に掘り下げるにつれ、ごみが固化しているため、一度にごみを掴むつかみ効率が低下する。翌日の搬入に備え一ヵ所だけを掘り下げるよりも、全体を均一に掘り下げる方が、自動運転の規範とする手動運転の運用方法に近いものとなる。
なお、夜間の自動運転中に、焼却炉内にごみの投入要求が発生した場合には、溝掘り作業中のごみをホッパに投入せず、すでに反搬入ゲート側に積まれている均質化したごみを掴み、ホッパに投入して行う。
【0024】
本実施例では搬入は昼間に行われ、夜間作業を自動運転で行う例を説明したが、本方法は夜間運転に限定するものではなく、ごみ収集車によるごみ搬入が行われていない時間帯であれば昼夜を問わず、いかなる時間帯でも実施可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法によれば、反搬入ゲート側のごみを積み上げる位置で、グラブバケットの自重を利用して突き固めを行った後、グラブバケットの巻上げ位置を記憶しておき、ごみの堆積している高さまでバケット先端を下げ、バケット先端がごみに接している状態でグラブバケットを開放してごみを積み上げるようにしているので、積み上げごみが崩落することなく、反搬入ゲート側の積み上げと、搬入ゲート側の溝掘り下げを、自動で、かつ確実に行うことができる。
【0026】
また、ごみを掴んだグラブバケットのごみ上への着床を、巻上げ用モータの電力遷移点から一定時間経過したこと、又は一定角度以上のグラブバケット傾斜で検知してモータを停止するようにしているので、グラブバケットのごみ上への着床を確実に検知することができるとともに、グラブバケットが傾転することがなく、これにより、グラブバケットが傾転し、ワイヤーロープが緩んだ状態で巻き上げが行われることにより、ワイヤーロープがシーブから外れたり、損傷を受けることを防止することができ、ごみの突き固めと積み上げを、安全に、かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法に用いるクレーンの制御装置の一例を示す構成図である。
【図2】 本発明のごみピット内の溝掘り作業における自動クレーンの運転方法の説明図である。
【図3】 巻上げモータの回転数と消費電力の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 制御装置
10 保護回路
11 走行モータ駆動回路
12 横行モータ駆動回路
13 巻上げモータ駆動回路
14 開閉モータ駆動回路
15a カーレントトランス(CT)
15b カーレントトランス(CT)
16 電力検出回路
17 自動制御装置
2 ガーダ
21 走行用モータ
3 クラブ
31 横行用モータ
32 巻上げモータ
4 グラブバケット
41 開閉用モータ
42 バケットの傾斜検出器
5 ごみピット
51 搬入ゲート
6 ごみ
61 ごみ山の頂面
62 溝
Claims (2)
- 焼却炉にごみを投入するクレーンを使用し、ごみ収集車から搬入されたごみピット内の搬入ゲート側のごみを、反搬入ゲート側に積み上げるよう搬入ゲート側を掘り下げて溝掘りを行う作業において、搬入ゲート側のごみを掴んで吊り上げたグラブバケットを、積み上げる場所のごみ上へ吊り降ろし着床にて突き固めを繰り返した後、グラブバケットを開放してごみを積み上げ、これをグラブバケットの幅毎に順次自動的に繰り返して行うようにするに際して、グラブバケットの巻上げ位置を記憶しておき、ごみの堆積している高さまでバケット先端を下げ、バケット先端がごみに接している状態でグラブバケットを開放してごみを積み上げることを特徴とするごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法。
- ごみを掴んだグラブバケットのごみ上への着床検知を、巻上げ用モータの電力遷移点から一定時間経過したこと、又は一定角度以上のグラブバケット傾斜で検知してモータを停止するようにすることを特徴とする請求項1記載のごみピット内の溝掘り作業におけるクレーンの自動運転方法。
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