JP4149076B2 - 積層剥離中空成形品のブロー成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保形性を有する外層内に変形自在な内層が剥離自在に積層されている積層剥離中空成形品のブロー成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図7に示すような、保形性を有する外層102内に変形自在な内層103が剥離自在に積層されており、キャップ106が螺合組付けされる口筒部104の上端に、内層103が上面になるように内方から外方に湾曲反転した反転フランジ105を一体に形成した合成樹脂製壜体が提案されている。
【0003】
この合成樹脂製壜体は、外層パリスンと内層パリスンとが剥離自在に積層された積層パリスンからブロー成形する際に、口筒部104の上端に一体に連設されたバリを前記内層103が上面になるように内方から外方に湾曲反転させて反転フランジ105を形成している(特開平8−143080号公報参照)。
【0004】
この従来の方法では、口筒部104に内層103が上面になるように内方から外方に湾曲反転した反転フランジ105を形成するための複雑な構造の金型を用いなければならず、製造コスト高を招く。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、金型の構造が簡単な図8の(a)に示すような、型閉じされた金型205,206に挟持された積層パリスン204に対して側面から吹込ノズル207を突き刺して加圧流体を導入するいわゆる横吹き方法を用いると、図8の(b)に示すように、吹込ノズル207を積層パリスン204に突き刺したときに、内層パリスン203が外層パリスン202から剥離して突出部203aが形成されてしまい、吹込ノズル207の吐出口207aから吐出される加圧流体が内層パリスン203と外層パリスン202間に導入されて成形不良が発生する。
【0006】
本発明は上記従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、金型の構造が簡単ないわゆる横吹きによるブロー成形ができる、積層剥離中空成形品のブロー成形方法を実現することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の積層剥離中空成形品のブロー成形方法は、型開きされた分割形式の金型間に、外層パリスンと内層パリスンとが剥離自在に積層された積層パリスンを配置したのち型閉じし、ついで、前記積層パリスンの側面に吹込ノズルを突き刺して加圧流体を導入し、保形性を有する外層と変形自在な内層とが剥離自在に積層された積層剥離中空成形品をブロー成形する方法において、前記金型のキャビティに前記積層剥離中空成形品の開口部となる部分に連設された吹込部を形成するための吹込部形成部を設けるとともに、合わせ面と前記吹込部形成部との境界のうちの一方の側辺に吹込ノズルの外周面との間に環状の間隙が生じる断面形状の吹込ノズル挿入口を有する吹込部ピンチオフ部を設けておき、前記吹込部形成部に位置する前記積層パリスンの側面における前記吹込ノズル挿入口の開口部に対向する部分を環状にとり囲むように前記積層パリスンをピンチオフして前記吹込ノズル挿入口内に充満した前記積層パリスンを圧縮溶着した吹込ノズル突き刺し部を形成し、前記吹込ノズル突き刺し部に前記吹込ノズルを突き刺すことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、吹込部ピンチオフ部は、少なくとも合わせ面と吹込部形成部との境界のうちの一方の側辺を画定するエッジ部を有し、前記エッジ部にて積層パリスンの外層パリスンおよび内層パリスンを挟持した状態で吹込ノズルを突き刺すようにする。
【0010】
加えて、吹込部ピンチオフ部は、少なくとも合わせ面と吹込ノズル挿入口の内周面との境界を画定する環状エッジ部を有し、前記環状エッジ部にて積層パリスンの外層パリスンおよび内層パリスンを挟持した状態で吹込ノズルを突き刺すようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る積層剥離中空成形品のブロー成形方法によって製造された積層剥離成形品の一例を示す説明図である。
【0013】
この積層剥離中空容器1は、保形性を有する外層2内に変形自在な内層3が剥離自在に積層された胴部4と、胴部4に連設された外周面にねじ部5aをもつ口部5を備えており、口部5にはねじ部5aに螺合されたキャップ7を介してポンプ6が取付けられている。以下、本発明に係る積層剥離成形品のブロー成形方法の一実施の形態について、図1に示した積層剥離中空容器1を製造する場合を例に挙げて説明する。
【0014】
(1) 二分割された分割形式の金型10(図2および図3参照)を型開きしておき、押出機の押出ヘッド20より外層パリスン22内に内層パリスン23が剥離自在に積層された積層パリスン21を押し出して配置する。
【0015】
金型10は、図1に示した積層剥離中空容器1を形成するための胴部形成部12および口部形成部13と、口部5の開口部となる部分に連設された吹込部を形成するための吹込部形成部14からなるキャビティ11を有する。そして、キャビティ11と合わせ面10aとの境界のうち、上辺と下辺にはそれぞれ上部ピンチオフエッジ17および下部ピンチオフエッジ18が設けられており、合わせ面10aと吹込部形成部14との境界のうちの一方の側辺に、次に説明するような吹込部ピンチオフ部15が設けられている。
【0016】
本実施の形態における吹込部ピンチオフ部15は、吹込ノズル挿入口16aが、挿入される吹込ノズル19の外周面との間に環状の間隙が生じる断面形状を有し、吹込部形成部14に一端側が開口するとともに他端側が合わせ面10aに形成された吹込ノズル案内孔16cに連通されている。
【0017】
また、吹込部形成部14と合わせ面10aとの境界のうちの一方の側辺を画定するエッジ部15aと、吹込ノズル挿入口16aの内周面と合わせ面10aとの境界を画定する環状エッジ部15bとを有しており、エッジ部15aおよび環状エッジ部15bに隣接する合わせ面10aにはバリ用凹部16bが設けられている。
【0018】
(2) 上記(1)ののち、図3および図4に示すように、型閉じを行ない、積層パリスン21を挟持する。
【0019】
この型閉じにより、積層パリスン21の上端と下端は、それぞれ上部ピンチオフエッジ17と下部ピンチオフエッジ18によって挟圧されて閉鎖され、これと同時に吹込部ピンチオフ部15によって、積層パリスン21の吹込部形成部14に位置する部分の一方の側部がピンチオフされるとともに、バリ21aがバリ用凹部16bにはみ出す。
【0020】
また、積層パリスン21の外層パリスン22および内層パリスン23がエッジ部15aと環状エッジ部15bとによって挟持されると同時に、吹込ノズル挿入口16a内にはみ出した積層パリスン21のはみ出し部分は圧縮溶着され、対向壁面が溶着された内層パリスン23およびこれをとり囲む外層パリスン22からなる吹込ノズル突き刺し部25が形成される。
【0021】
(3) 上記(2)ののち、吹込ノズル案内孔16cを介して吹込ノズル突き刺し部25へ吹込ノズル19を突き刺して積層パリスン21内へ加圧流体を導入し、キャビティ11に沿って膨張させる。
【0022】
本工程において、吹込ノズル突き刺し部25は、樹脂が充満したいわゆる肉溜り状で樹脂温度が降下しておらず樹脂が比較的柔らかい状態で吹込ノズル19を突き刺すので、安定した突き刺しおよび加圧流体の導入が行なえる。また、積層パリスン21の外層パリスン22のみならず内層パリスン23も含めたすべてを各エッジ部15a,15bにて確実に挟持して固定することができるので、内層パリスン23の突き刺し不良の発生を確実にに防止することができる。
【0023】
(4) 上記(3)ののち、金型で冷却後、型開きして吹込部が連設された積層剥離容器を取り出し、積層剥離中空容器1から吹込部を切断する。
【0024】
本発明において、積層剥離中空成形品としては、上述した図1に示した積層剥離中空容器に限らず、ブロー成形可能なものであればどのようなもの(形状や用途等は問わない)でもよい。また、吹込ノズルを突き刺すための吹込部は後加工等で切除されるものである。したがって、積層剥離中空成形品の形状等に対応して適宜部位に設けられる開口部に対して吹込部を連設すればよい。
【0025】
外層と内層は互いに接着性を有しない樹脂が選択され、従来より公知の積層剥離構成に使用される樹脂が選択できる。例えば外層がポリプロピレンの場合、内層には低密度ポリエチレンまたエチレン−酢酸ビニル共重合体が選択可能であり、外層が高密度ポリエチレンの場合、内層にはエチレン−プロピレン共重合体またエチレン−酢酸ビニル共重合体が選択可能である。また、耐熱性、装飾性、ガスバリヤー性などの特性を向上するため、それらの要求特性を満たす公知の樹脂の層を付加使用して、外層自体を多層構成としたり、内層自体を多層構成とすることもできる。
【0026】
ところで、ボトルなどのブロー成形においては、パリスンの上部開口端より吹込みプラグを挿入してブロー成形する、いわゆる上吹込み方法が簡単なことから多用されている。しかし、本発明のような積層剥離中空成形品を成形する場合、パリスンの上部開口端において吹込みプラグを挿入した際、積層パリスンの境界面において剥離を生じ成形不良をきたすおそれがある。また、吹込み位置が特定されてしまうので多種多様な形状の中空成形品に対応できる成形方法としては問題がある。
【0027】
本発明では、いわゆる横吹き方法を基本手段とし、積層剥離中空成形品を横吹き方法にて成形する際の問題点を解決するものである。よって、ロータリーブロー成形や一面多数個取りブロー成形など大量生産に最適な成形に利用することができる。
【0028】
また、吹込部の連設される積層剥離中空成形品の開口部は、成形品の上部に位置が特定されることなく、成形後にバリを除去する部位であればどこでもよい。
【0029】
なお、吹込部ピンチオフ部は、上記実施の形態に示したものに限らず、吹込部形成部と合わせ面との境界のうちの一方の側辺を画定するエッジ部のみを有するもの、あるいは吹込ノズルに挿入口の内周面と合わせ面との境界を画定する環状エッジ部のみを有するものでもよいことはいうまでもない。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上述のとおり構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
【0031】
外層パリスンと内層パリスンが剥離自在に積層された積層パリスンに吹込ノズルを突き刺す際に、いわゆる肉溜り状で樹脂温度が降下しておらず樹脂が比較的柔らかい状態の吹込ノズル突き刺し部に吹込ノズルを突き刺すので、さらに安定した突き刺しおよび加圧流体の導入が行える。そのため、前記吹込ノズルの先端側を前記積層パリスン内に確実に突き入れることができ、上述した従来例のような成形不良が発生するおそれがない。
【0032】
また、ブロー成形された積層剥離中空成形品から切除される吹込部に吹込ノズルを突き刺して加圧流体を導入するため、積層パリスンにおける積層剥離中空成形品を形成する部分全体を前記加圧流体による内圧によって膨張させることができる。その結果、簡単な構造の金型であるにもかかわらず、各種形状の積層剥離中空成形品を製造することができる。
【0034】
請求項または記載の発明では、積層パリスンの外層パリスンのみならず内層パリスンも含めた全てを確実に挟持して固定することができるので、内層パリスンの突き刺し不良の発生をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層剥離成形品のブロー成形方法によって製造された積層剥離中空成形品の一例を示す説明図である。
【図2】一実施の形態による積層剥離中空成形品のブロー成形方法の一工程を示す説明図である。
【図3】図2のA−A線に沿う模式部分断面図である。
【図4】型閉じした状態を示す図3と同様の模式部分断面図である。
【図5】図4のB−B線に沿う模式部分断面図である。
【図6】吹込ノズルを突き刺した状態を示す図5と同様の模式部分断面図である。
【図7】従来の積層剥離中空容器の一例を示す説明図である。
【図8】従来の横吹き方法を示す積層剥離中空容器のブロー成形に用いた場合の説明図である。
【符号の説明】
1 積層剥離中空容器
2 外層
3 内層
4 胴部
5 口部
5a ねじ部
6 ポンプ
7 キャップ
10 金型
11 キャビティ
12 胴部形成部
13 口部形成部
14 吹込部形成部
15 吹込部ピンチオフ部
15a エッジ部
15b 環状エッジ部
16a 吹込ノズル挿入口
16b バリ用凹部
16c 吹込ノズル案内孔
17 上部ピンチオフエッジ
18 下部ピンチオフエッジ
19 吹込ノズル
19a 吐出口
20 押出ヘッド
21 積層パリスン
22 外層パリスン
23 内層パリスン
25 吹込ノズル突き刺し部

Claims (3)

  1. 型開きされた分割形式の金型間に、外層パリスンと内層パリスンとが剥離自在に積層された積層パリスンを配置したのち型閉じし、ついで、前記積層パリスンの側面に吹込ノズルを突き刺して加圧流体を導入し、保形性を有する外層と変形自在な内層とが剥離自在に積層された積層剥離中空成形品をブロー成形する方法において、
    前記金型のキャビティに前記積層剥離中空成形品の開口部となる部分に連設された吹込部を形成するための吹込部形成部を設けるとともに、合わせ面と前記吹込部形成部との境界のうちの一方の側辺に吹込ノズルの外周面との間に環状の間隙が生じる断面形状の吹込ノズル挿入口を有する吹込部ピンチオフ部を設けておき、前記吹込部形成部に位置する前記積層パリスンの側面における前記吹込ノズル挿入口の開口部に対向する部分を環状にとり囲むように前記積層パリスンをピンチオフして前記吹込ノズル挿入口内に充満した前記積層パリスンを圧縮溶着した吹込ノズル突き刺し部を形成し、前記吹込ノズル突き刺し部に前記吹込ノズルを突き刺すことを特徴とする積層剥離中空成形品のブロー成形方法。
  2. 吹込部ピンチオフ部は、少なくとも合わせ面と吹込部形成部との境界のうちの一方の側辺を画定するエッジ部を有し、前記エッジ部にて積層パリスンの外層パリスンおよび内層パリスンを挟持した状態で吹込ノズルを突き刺すことを特徴とする請求項記載の積層剥離中空成形品のブロー成形方法。
  3. 吹込部ピンチオフ部は、少なくとも合わせ面と吹込ノズル挿入口の内周面との境界を画定する環状エッジ部を有し、前記環状エッジ部にて積層パリスンの外層パリスンおよび内層パリスンを挟持した状態で吹込ノズルを突き刺すことを特徴とする請求項1または2項記載の積層剥離中空成形品のブロー成形方法。
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