JP4148894B2 - 手持ち式ピペット - Google Patents

Description

関連出願

（優先権情報）
本出願は、２００１年１０月１６日提出の米国仮特許出願第６０／３２９，７０４号および第６０／３２９，７０６号の優先権を請求するものである。

試験管、微小板、および他の液体容器の間などのある位置から別の位置まで、比較的少ない所定量の液体を取り出したり、分けたりするのに、ピペット・システムが研究所や病院内で広く利用されている。携帯用または手持ち式ピペットはピペット・システムの一種である。手持ち式ピペットは一般に、ハウジングと、２つの端部を含むシリンダと、ピストンと、そのピストンを駆動するプランジャとを含む。シリンダは一方の端部がピペット先端ホルダを形成するようにハウジング内に位置決めされ、もう一方の端部がハウジングから延びている。ピストンはシリンダ内で移動し、供給容器から液体を引き入れ、その液体を受け入れ容器に分配するためのものである。ピペットの常置部ではないが、普通は、運ばれる液体を維持するために、使い捨てピペット先端が先端ホルダの端部に取り付けられている。この先端を、先端ホルダから取り除くことができ、処分することができ、また新しい先端と交換することができる。このような手持ち式ピペットは、ピペットの自動または手動の動作によって液体を運ぶように構成されている。自動的に動作する手持ち式ピペットは、ピペット・シリンダ内でピストンを移動させ、液体を運ぶようにプランジャを作動させるモータを含む。手動で動作させる手持ち式ピペットは、ピペットの使用者がピストンを作動させるため、普通は親指または他の指でプランジャ・ヘッドへ力を加える必要がある。

所定液体量のみを引き入れ、分配する定量ピペットとして、または使用者が分配させる所望の量を所与の量範囲内で設定することができる可変量ピペットとして手持ち式ピペットを設計することができる。ピペット内に配置される止め機構により、ストロークとして知られる、ピストンが移動する距離が決まる。ストロークは、引き入れられ、分配される液体の量に対応している。普通、手持ち式ピペットはストロークの限界を決める２つの止めを含む。上述の目的で、これらの２つの止めは、前部止めと後部止めと称する。本明細書中では、前部止めは、先端ホルダに最も近い止めであり、後部止めはプランジャ・ヘッド、または手動式ピペットではピペットの使用者によって手動で作動されるプランジャの端部に最も近い止めである。定量ピペットでは、止めは固定されており、ピストンはプランジャの各終了作動中に、同じストロークを移動する。可変量ピペットでは、止めの少なくとも１つが、ピストンのストローク長さ、したがって、引き入れられ、分配される量を調節するように移動可能である。

１つの適用で運ばれる液体の量を頻繁に変える手動ピペットの例では、ピペットの使用者は、ピペットの量設定を頻繁に変更しなければならず、それによってピペットに疲労が発生したり、量設定が不正確になることがある。

本発明の一実施態様では、手持ち式ピペットは、前部止めと後部止めを含むハウジングと、シリンダと、液体を引き入れ、これを放出するためにシリンダ内で移動するピストンと、ピストンを移動させるプランジャとを備え、後部止めをモータによって移動可能とし、ピペットによって吸引され、分配される液体の量を調節できるようにした。

本発明の別の実施態様では、ピペットは、量設定に対する言葉による命令を、後部止めを移動させるモータを制御する電子信号に翻訳するように、中央演算処理装置と共同する音声認識システムを含んでいる。

別の実施態様では、特定の液体量を分配する手持ち式ピペットが、使い捨てピペット先端を受ける、先端ホルダとなる一端部を有するシリンダと、液体を引き入れ、分配するようにシリンダ内を移動するピストンと、少なくとも１つの抵抗点にピストンを移動させる手動プランジャとを備えており、ハウジングは、特定の液体量を分配した後に、ピペット先端内の残留液体を手動で容易に放出させる触覚噴出機構を含んでいる。残留液体をピペット先端から放出するために、噴出機構は、ピペットの使用者が第１の抵抗点を通って、第２の抵抗点までプランジャに力を加える必要がある。

別の実施態様では、ピペット塗布用の手持ち式ピペットは、使い捨てピペット先端を受け入れるように構成され、配置された端部を有するシリンダと、液体を引き入れ、分配するようにシリンダ内を移動するピストンと、ピペット塗布の後に処分するため、ピペット先端を取り除くように構成され、配置された手動で調節可能な先端エジェクタを備える。

本発明のこれらおよび他の特徴および利点を次に、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。

本発明によるピペットは全体的に図１に１０で示されている。ピペットは、軸方向に突出しているシリンダ１４を備えるハウジング１２を含む。シリンダ１４は、ピペット先端ホルダ１６となるテーパ状遠位端を有する。ピペット先端１８は、摩擦によって先端ホルダ１６に取外し可能に固定される。シリンダの反対端部は、内部棚２２を備える大きなヘッド２０を有し、開口したシール２６を支持するＯリング２４が棚の上にある。スリーブ２８の開口した下端部３０がシリンダ・ヘッド２０内に受けられている。スリーブ２８は、中間の内部ショルダ３２と内側にねじを切った開口上端部３４を有する。前部止めカラー３６は、ばね３８によって内部ショルダ３２に対して上方向に押されている。

シリンダ・ヘッド２０内のピストン４０はシール２６を通って下向きに突出している。このピストンは、主ばね４４によってプランジャ４２の下端部に対して上方向に押されている。プランジャ４２は、スリーブ２８の開口した下端部３０と、前部止めカラー３６と、筒状の外側にねじを切ったねじ４６とを通して上向きに延びており、その上端部はハウジング１２の上部から、軸方向に押下げ可能なキャップ４８内に突出している。

プランジャ４２の大きな中間部５８が上部、下部ショルダ５２、５４を形成している。ショルダ５２は、主ばね４４の力をピストン４０に作用させることにより、ねじ４６の下端部に対して押しつけられている。したがって、ねじ下端部は後部止めとして働く。

図２をさらに参照するとよく分かるように、ねじ４６の上端部は、回転可能な駆動カラー６０の内部溝５７に摺動可能に受けられる外側リブ５６を備えている。駆動カラー６０外部歯車６２は、モータ６６の出力シャフト上の駆動ピニオン６４と噛み合っている。

モータ６６を作動させると、駆動カラー６０が回転させられ、リブ５６と溝５７が機械的に相互係合することにより、それに対応する回転がねじ４６に加えられる。固定したスリーブ２８の上端部３４にねじ４６をねじ係合させると、ねじが軸方向に移動し、ねじの下端部を所望の位置に設定し、主ばね４４によってねじの下端部に押し付けられているプランジャ４２とピストン４０に後部止めが形成される。

後部止めを設定すると、ピストン４０をシリンダ１４の筒状部から引き出すことができる範囲が限られ、したがって吸引中にピペット先端１８内に引き入れることができる液体の量が制御される。

主ばね４４の押圧力に抗してプランジャ４２とピストン４０を前進させるようにキャップ４８を手動で押し下げることにより、吸引された液体がピペット先端から分配される。大きな中間部５８の下部ショルダ５４が、前部止め３６に係合して、吸引した液体のほとんどを分配したことを示す第１の抵抗点を作り出すまで、プランジャは前進し続ける。ばね３８の抵抗を越えるように、プランジャ４２に追加の力を手動で加えることにより、ピストンはさらに前進して、あらゆる残留液体を確実にピペット先端１８から外に噴出させることができる。

本発明の別の態様では、ピペットは、ピペット先端ホルダ１６からピペット先端１８を取り除く、全体的に６８で示される先端エジェクタ・アセンブリを含む。図１と３を合わせて参照するとよく分かるように、先端エジェクタ・アセンブリ６８は、先端エジェクタ・アクチュエータ７０と、先端エジェクタ・シャフト７２と、先端エジェクタ・シャフトと共に移動可能な先端エジェクタ・スリーブ７３と、ロックカラー７４とを含む。ロックカラーにより、図３の矢印Ａの方向に先端エジェクタ・シャフト７２とスリーブ７３が一方向に移動することが可能になるが、図示するように、ロックカラーがロック位置に向けられている場合、反対の矢印Ｂの方向に、これらの部品は移動することはできない。したがって、使い捨て先端１８が先端ホルダ１６上で上向きに楔止めされると、先端エジェクタ・スリーブ７３は矢印Ａの方向に上向きに押される。同時に、先端エジェクタ・シャフト７２は、その間の固定連結による先端エジェクタ・スリーブによって移動した距離に等しい距離だけ上に移動する。ロックカラー７４により、抵抗運動なく先端エジェクタ・シャフト７２が矢印Ａの方向に移動することが可能である。しかし、先端エジェクタ・シャフト７２は、ロックカラー７４のロック動作によって使い捨て先端１８に向かって方向Ｂに移動するのが防止される。

ばね７６は、角度付けした位置すなわちロック位置にロックカラーを押しつけるような位置にある。ばね７６は、先端エジェクタ・シャフト７２をロックカラー７４によってロックさせておき、それによって先端エジェクタ・シャフトとエジェクタ・スリーブ７３が矢印Ｂの方向に移動して、ピペット先端１８が取り除かれ、取り外されるのを防ぐ。

先端エジェクタ・アクチュエータ７０を矢印Ｃの方向に押し下げると、テーパ状の下端部７８をが斜楔８０の噛合い傾斜表面と共同する。それによって傾斜楔がロックカラーの方向に移動し、角度付けされたロック位置から高い非ロック位置までロックカラーを持ち上げる力が作り出される。ロックカラーのロックが外れると、先端エジェクタ・シャフトが解放されて、ばね８２の力を受けて矢印Ｂの方向にロックカラーを通って移動する。先端エジェクタ・スリーブ７３がそれにしたがって移動して、ピペット先端１８は、ピペット先端ホルダ１６の端部から取り除かれ、取り外される。

本発明の別の実施形態において、先端エジェクタ・シャフト７２の上端部に形成されたピストン８４を含む緩衝機構が設けられている。ピストンは、Ｏリング・シールによって取り囲まれており、一方向逆止め弁８８によって大気に通気したチャンバ８６内に収容されている。方向Ａに先端エジェクタ・シャフトが移動すると、空気が逆止め弁を介してチャンバ８６から放出される一方、方向Ｂへの移動は、空気がより小さな抽気穴９０を介してチャンバに再び入るのでその速度だけ遅らされる。方向Ｂへの移動速度が遅くなったことにより有利には、ピペット先端が取り外される速度が遅くなる。

本発明の別の実施形態では、図２、４を参照するとよく分かるように、調節駆動カラー６０は、調節駆動カラーと共に回転し、エンコーダ・アセンブリ９４の部品を備えるエンコーダ・ホイール９２によって囲まれている。ピペットは、量設定に対する言葉による命令９６を翻訳し、その結果９８を中央演算処理装置ＣＰＵに出力する音声認識システムＶＲＳを含む。ＣＰＵは、モータ６６を制御する電子信号９９を生成し、任意選択で、エンコーダ・アセンブリ９４から入力１００を受けて、調節可能な止めの位置を示すことができる。ピペットの調節機構はしたがって、音声入力設定に対応する位置に自動的に移動される。

前述のことを考慮して、本発明を手動ピストンを有するピペットを参照して説明したが、モータ駆動止め調節機構、音声認識システム、先端取出機構を含む本発明の特定の態様を、モータ駆動ピストンを有するピペットに適用可能であることが当業者には理解されよう。本発明の範囲内の変更および改良は、当業者には明らかだろう。上記説明は、単に図示することを意図したものであり、本発明の限定を規定するものではない。

本発明による、手動手持ち式ピペットの縦断面図である。 図１の線２−２に沿った、拡大横断面図である。 図１の一部分の拡大図である。 音声認識システムの略図である。

Claims (6)

1. シリンダの一端部に受けられるピストンと、
   前記シリンダの反対側の端部に取外し可能に固定されたピペット先端と、
   前記ピペット先端内に流体を吸引し、ピペット先端からこのようにして吸引された流体を放出するように、ストロークを選択して前記ピストンを往復動させる手動駆動手段と、
   前記ストロークの範囲を決めるように、手動駆動手段に動作可能に結合される互いに間隔を置いて配置された止め部材と、
   言葉による命令を解読して、その結果を中央演算処理装置に出力し、それによって電子駆動信号を生成する音声認識システムと、
   前記電子駆動信号に応じて動作可能であり、前記止め部材の一方に機械的に結合された駆動モータを備えていて、前記止め部材間の間隙を変更し、それによって前記ピペット先端内に吸引され、ピペット先端から放出される流体の量を変更するモータ駆動手段と
   を備える手持ち式ピペット。
2. 前記駆動モータに結合され、前記中央演算処理装置にフィードバック信号を生成して、前記一方の止め部材の位置を示すように動作可能であるエンコーダを備える請求項１に記載の手持ち式ピペット。
3. 前記シリンダを取り囲み軸方向に移動可能なスリーブをさらに備え、そのスリーブが、前記シリンダの反対側の端部に取り外し可能に取り付けられるピペット先端によって引き込まれる位置に一方向に押されており、かつ前記シリンダからピペット先端を取り外すとき反対方向に移動させられる請求項１記載の手持ち式ピペット。
4. 反対方向に前記スリーブを弾性的に移動させるばね手段をさらに備える請求項３記載の手持ち式ピペット。
5. さらに、前記一方向の前記スリーブの移動に対応し、前記反対方向の前記スリーブの移動を防ぐロック手段と、前記反対方向の前記スリーブの弾性的移動に対応するように前記ロック手段を解放する手動動作可能な手段とを備える請求項４に記載の手持ち式ピペット。
6. さらに、反対方向の前記スリーブの移動速度を遅らせる空気圧手段を備える請求項４または５に記載の手持ち式ピペット。

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