JP4147380B2 - 弁開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弁開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、国際公開WO01/75238号において、始点と終点との間で往復回転可能な回転軸と、回転軸が始点から終点へ向けて回転することにより巻き上げられると共に巻き戻る際に回転軸を終点から始点へ向けて回転駆動するバネと、回転軸により回転駆動されるカムと、カムにより駆動されるカムロッドと、回転軸が終点から始点へ向けて回転すると回転軸と噛合する1方向クラッチと、1方向クラッチを介して回転軸により駆動される発電装置と、発電装置に接続可能な第1負荷と第2負荷と、ON/OFF操作されON時に第1負荷又は第2負荷の何れか一方を発電装置に接続しOFF時に他方を発電装置に接続するスイッチと、回転軸を始点から終点へ向けて回転駆動する操作部材とを備え、カムロッドにより弁を開閉する弁開閉装置であって、操作部材の操作量に応じてスイッチをON/OFF操作し、発電装置に接続する負荷を変えて終点から始点へ向かう回転軸の回転速度を可変制御し、カムロッドによる弁の開閉時間を可変制御する弁開閉装置を提案した。
国際公開WO01/75238号の弁開閉装置においては、回転軸が終点から始点へ戻る間に、弁が開閉制御される。回転軸が終点から始点へ向けて回転する際の回転速度が発電装置により減速され、カムの回転速度ひいてはカムロッドの運動速度が減速され、弁が長時間に亘って開閉制御される。操作部材の操作量に応じて、弁の開閉時間が可変制御され、弁を介して吐出する流体の吐出量が可変制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
国際公開WO01/75238号の弁開閉装置には、操作部材の操作量を間違え易く、流体の吐出量が必要値以上になり易いという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、弁の開閉時間を可変制御でき且つ操作ミスを起こし難い弁開閉装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、始点と終点との間で往復回転可能な回転軸と、回転軸が始点から終点へ向けて回転することにより巻き上げられると共に巻き戻る際に回転軸を終点から始点へ向けて回転駆動するバネと、回転軸により回転駆動されるカムと、カムにより駆動されて弁を開閉するカムロッドと、回転軸が終点から始点へ向けて回転すると回転軸と噛合する1方向クラッチと、1方向クラッチを介して回転軸により駆動される発電装置と、発電装置に接続可能な第1負荷と第2負荷と、ON/OFF操作されON時に第1負荷又は第2負荷の何れか一方を発電装置に接続しOFF時に他方を発電装置に接続するスイッチと、回転軸を始点から終点へ向けて回転駆動する第1操作部材と、第1操作部材に係合可能で第1操作部材を駆動可能な第2操作部材と、第2操作部材が操作されると第2操作部材により第1方向へ駆動され且つ終点から始点へ向けて回転する回転軸により第1方向とは逆の第2方向へ駆動されてスイッチをON/OFF操作し、第1操作部材が操作されると第1操作部材と回転軸の何れによっても駆動されずスイッチをON/OFF操作しないスイッチ操作用カムとを備えることを特徴とする弁開閉装置を提供する。
本発明に係る弁開閉装置においては、第1操作部材又は第2操作部材の何れが択一的に操作されることによって、スイッチの状態がON又はOFFの何れかに設定され、発電装置に接続される負荷が第1負荷又は第2負荷の何れかに設定され、終点から始点へ向けて回転する回転軸の回転速度が第1速度又は第2速度の何れかに設定され、カムロッドによる弁開閉時間が第1時間又は第2時間の何れかに可変制御される。第2操作部材を操作してスイッチをON又はOFF操作した場合には、終点から始点へ向けて回転する回転軸によりスイッチが逆操作されて、スイッチは初期状態に戻される。第1操作部材と第2操作部材とは別部材なので、操作対象を間違える可能性は低い。従って、本発明に係る弁開閉装置は弁の開閉時間を可変制御でき且つ操作ミスを起こし難い。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、スイッチ操作用カムは、第2操作部材の操作時に第2操作部材により第1方向へ揺動駆動されると共に、回転軸の終点から始点へ向かう回転時に回転軸により第1方向とは逆の第2方向へ揺動駆動される揺動カムであり、更に、スイッチ操作用カムの揺動位置が所定位置よりも第1方向側に在る時はスイッチ操作用カムを第1方向へ付勢し、スイッチ操作用カムの揺動位置が所定位置よりも第2方向側に在る時はスイッチ操作用カムを第2方向へ付勢する付勢部材を備える。
スイッチ操作用カムを揺動カムとして構成することができる。スイッチ操作用カムの揺動位置が所定位置よりも第1方向側に在る時はスイッチ操作用カムを第1方向へ付勢し、スイッチ操作用カムの揺動位置が所定位置よりも第2方向側に在る時はスイッチ操作用カムを第2方向へ付勢する付勢部材を配設することにより、スイッチとスイッチ操作用カムとの相対位置のばらつきによるスイッチのON/OFFの切換タイミングのばらつき、ひいては終点から始点へ向けて回転する回転軸によるスイッチの逆操作のタイミングのばらつきが抑制され、カムロッドによる弁の開閉時間のばらつきが抑制され、弁を介して吐出する流体の吐出量のばらつきが抑制される。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、付勢部材はバネである。
バネを使用することにより、スイッチ操作用カムやスイッチの状態のばらつきによるスイッチのON/OFFの切換タイミングのばらつき、ひいては終点から始点へ向けて回転する回転軸によるスイッチの逆操作のタイミングのばらつきが抑制され、カムロッドによる弁の開閉時間のばらつきが抑制され、弁を介して吐出する流体の吐出量のばらつきが抑制される。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、弁開閉装置は、複数対の第2操作部材とスイッチ操作用カムとを備え、スイッチ操作用カムの形状は対毎に異なる。
複数の第2操作部中の何れの第2操作部を操作するかによって、終点から始点へ向けて回転する回転軸によるスイッチの逆操作のタイミングが変わり、カムロッドによる弁の開閉時間が変わる。この結果、弁の開閉時間のバリエーションが増える。
【0008】
本発明においては、上記弁開閉装置と、カムロッドにより開閉されるパイロット弁とを備えることを特徴とするパイロット作動式弁装置を提供する。
パイロット作動式弁装置のパイロット弁の開閉制御に本発明に係る弁開閉装置を使用すれば、出力の小さな小型の弁開閉装置で大流量の通水、止水を行うことができる。
【0009】
本発明においては、上記弁開閉装置を備える便器洗浄装置を提供する。
本発明に係る弁開閉装置は、便器洗浄装置等が有する弁装置の開閉制御に使用可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例に係る弁開閉装置を説明する。
図1、2に示すように、弁開閉装置Aは、操作部1を介して回転駆動される操作軸2と、増速ギヤ列3を介して操作軸2に係合する第1回転軸4とを備えている。
第1回転軸4の一端に係合爪5が固定されている。第1回転軸4の一端近傍部に可動爪6aが摺動回転可能に外嵌合している。可動爪6aは、第1回転軸4の後述する始点から終点へ向かう回転方向に関して係合爪5の後方に配設されている。第1回転軸4の始点から終点へ向かう回転方向に関して可動爪6aの後方に固定爪6bが配設されている。固定爪6bは弁開閉装置Aの図示しないケーシングに固定されている。係合爪5は可動爪6aの周方向の一端6a′に当接しており、可動爪6aの周方向の他端6a″の径方向先端部が固定爪6bに当接している。
第1回転軸4の他端近傍部に一端が固定されたゼンマイバネ7が配設されている。
【0011】
図3〜5に示すように、増速ギヤ列3の第1回転軸4側の最終ギヤ3aと一体形成され、第1回転軸4と一体的に回転する係合片8a、8bが配設されている。係合片8a、8bは周方向に互いに180度間隔を隔てて配設されている。
係合片8a、8bと係合可能な2個の係合突起9a、9bが形成された第1カム9が第1回転軸4に摺動回転可能に外嵌合している。係合突起9a、9bは周方向に互いに180度間隔を隔てて配設されている。第1カム9は、螺旋状に径が拡大する第1カム面9cと、第1カム面9cの最大径部に滑らかに接続する円弧状の第2カム面9dとを有している。第2カム面9dの終端は第1カム面9cの始端へ向けて略垂直に落ち込んでいる。
【0012】
図3〜6に示すように、1方向クラッチ10の第1部分10aが、第1回転軸4に対して長手方向に相対移動可能に且つ第1回転軸4に対して相対回転不能に、第1回転軸4に外嵌合している。図3、6に示すように、第1部分10aの端面に係合爪10a′が形成されている。係合爪10a′は、周方向に延在すると共に上に凸の滑らかな曲線を描いて第1部分10aの端面から盛り上がる斜面10a′と、斜面10a′の最高点から第1部分10aの端面へ向けて垂直に落ち込む端面10a′とを有している。
図3〜6に示すように、1方向クラッチ10の第2部分10bが、第1部分10aに隣接して配設されている。第2部分10bは、第1回転軸4に対して長手方向に相対移動不能に且つ第1回転軸4に対して相対回転可能に、第1回転軸4に外嵌合している。図5、6に示すように、第2部分10bの第1部分10aに向かい合う端面に、係合爪10a′に噛合可能な係合爪10b′が形成されている。係合爪10b′は螺旋状に第2部分10bの端面から盛り上がる斜面10b′と、斜面10b′の最高点から第2部分10bの端面へ向けて垂直に落ち込む端面10b′とを有している。
図3〜6に示すように、第1部分10aを第2部分10bへ向けて付勢するバネ11が、第1回転軸4に外嵌合している。バネ11の付勢力の下に、図4に示すように、第1部分10aは第2部分10bに押し付けられている。
【0013】
第2カム12が、1方向クラッチ10の第2部分10bと一体形成されている。第2カム12は、円弧状のカム面12aと、カム面12aを横断してカム面12aに形成された横溝12bとを有している。カム面12aの径は、第1カム9の第1カム面9cの第2カム面9dに近接する部位の径と同一値に設定されている。
第1カム9と第2カム12とに対峙して、第1カムロッド13が配設されている。第1カムロッド13の一端に、第1カム9の第1カム面9c、第2カム面9dに当接可能な第1脚部13aと、第2カム12のカム面12aに当接可能で且つ横溝12bに嵌合可能な第2脚部13bとが形成されている。第1カムロッド13の他端は図示しない弁装置の第1弁に当接している。第1カムロッド13は図示しないバネにより第1カム9と第2カム12とへ向けへ付勢されている。
【0014】
1方向クラッチ10の第2部分10bは外歯車14を形成している。図1、2に示すように、外歯車14に噛合する外歯車15に、回転軸16が挿通固定されている。回転軸16に第3カム17が固定されている。図2に示すように、第3カム17は、螺旋状に径が拡大するカム面17aを有している。略180度に亘って延在するカム面17aの終端はカム面17aの始端へ向けて略垂直に落ち込んでいる。
図1、2に示すように、第3カム17に対峙して、第2カムロッド18が配設されている。第2カムロッド18の一端は第3カム17のカム面17aに当接可能であり、他端は図示しない弁装置の第2弁に当接している。第2カムロッド18は図示しないバネにより第3カム17へ向けて付勢されている。
【0015】
外歯車15に噛合する増速ギヤ列19に、発電装置20が接続されている。図7に示すように、発電装置20に可変抵抗器r0が接続されている。スイッチ20aを介して可変抵抗器r0に並列に接続可能に可変抵抗器r1が配設されている。スイッチ20aがON/OFF操作されることにより、発電装置20に接続される負荷が択一的に選択される。スイッチ20aがOFFされると第1負荷r0が発電装置20に接続され、スイッチ20aがONされると第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)が発電装置20に接続される。スイッチ20aは初期状態ではOFFされている。
【0016】
図1、8に示すように、操作部1は、操作レバー101aと錘101bとを有し、図示しない1方向クラッチを介して操作軸2に係合可能な第1操作部材101を備えている。錘101bは操作レバー101aに固定されている。操作レバー101aの図1、8で白抜き矢印で示す第1方向への回転は図示しない1方向クラッチを介して操作軸2へ伝達されるが、反対の第2方向への回転は操作軸2へ伝達されない。操作部1は、操作レバー101aに係合可能な操作レバー102aと操作レバー102aに固定された錘102bとレバー102cとを有する第2操作部材102を備えている。操作レバー102aを図1、8で白抜き矢印で示す第1方向へ回転操作すると、操作レバー102aが操作レバー101aに係合し、操作レバー101aを第1方向へ回転駆動する。操作レバー101aを第1方向へ回転操作しても、操作レバー102aは回転駆動されない。図8に示すように、操作軸2にレバー103が固定されている。
【0017】
レバー102c、103に隣接して、揺動カム104が配設されている。揺動カム104は、レバー102cに係合可能なレバー104aと、レバー103に係合可能なレバー104bと、錘104cと、スイッチ20aのレバー20a′に当接可能なカム面104dとを有している。
【0018】
図9〜13を参照しつつ、弁開閉装置Aの作動を説明する。
操作部1が操作されていない時は、操作部1を構成する諸部材と揺動カムとは図1、8に示す初期位置にあり、操作レバー102aは操作レバー101aに当接している。レバー104aはレバー102cに接近する方向へ差し向けられているがレバー102cから離れており、レバー104bはレバー103から遠ざかる方向へ差し向けられてレバー103から離れており、カム面104dはレバー20a′から離れている。スイッチ20aは初期状態にあってOFFされており、第1負荷r0が発電装置20に接続されている。錘104cは揺動カム104を図1、8で白抜き矢印で示す第1方向へ付勢しており、揺動カム104は図示しないストッパーに当接して図1、8に示す初期位置に保持されている。
第1回転軸4は始点に在る。ゼンマイバネ7は弁開閉装置Aの組み立て時に予め所定量巻き上げられており、ゼンマイバネ7により、第1回転軸4は、係合爪5が可動爪6aの周方向の一端6a′に当接する方向へ回転付勢されている。図1、2に示すように、係合爪5が可動爪6aの周方向の一端6a′に当接し、可動爪6aの周方向の他端6a″の径方向先端部が固定爪6bに当接することにより、第1回転軸4は始点に保持されている。
1方向クラッチ10の係合爪10a′の端面10a′は係合爪10b′の端面10b′に当接しており、係合爪10a′は係合爪10b′と噛合している。図9(a)に示すように、第1回転軸4と一体的に回転する係合片8a、8bが第1カム9の係合突起9a、9bに係合している。第1カム9は第1位置に在り、第1カムロッド13の脚部13aは、第1カム9の第1カム面9cの始端部に僅かな隙間を隔てて対峙している。第2カム12は図10(a)に示す位置に在り、第1カムロッド13の脚部13bは、第2カム12の横溝12bへ落ち込んでいる。この状態で、第1カムロッド13のリフト量は図11に示すように零であり、第1カムロッド13が係合する図示しない弁装置の第1弁のリフト量も零であり、第1弁は閉じている。
【0019】
図12に示すように、第1操作部材101の操作レバー101aが初期位置から第1方向へ最終位置まで回転操作されると、錘101b、レバー103も初期位置から最終位置まで回転する。レバー103はレバー104bに係合せず、揺動カム104は初期位置に保持される。スイッチ20aのOFF状態が維持され第1負荷r0が発電装置20に接続された状態が維持される。第2操作部材102の操作レバー102aと第1操作部材101の操作レバー101aとの係合は解除され、第2操作部材102の操作レバー102a、錘102b、レバー102cは初期位置に保持される。
操作レバー101aの回転操作量が増速ギヤ列3を介して増幅されて第1回転軸4へ伝達され、第1回転軸4が、始点から終点へ向けて、図1、2で白抜き矢印で示す方向へ回転を開始し、係合爪5が可動爪6aの周方向の一端6a′から離れる。第1回転軸4が始点から終点へ向け回転することにより、ゼンマイバネ7が巻き上げられる。第1回転軸4が始点から終点へ向けて回転する際には、1方向クラッチ10の第1部分10aは、図6で白抜き矢印で示す方向へ回転するので、第1部分10aの係合爪10a′は第2部分の係合爪10b′に噛合しない。この結果、第2カム12は図10(a)に示す位置に保持される。
【0020】
第1回転軸4が90度回転すると、図9(b)に示すように、係合片8aが第1カム9の係合突起9bに係合し、係合片8bが第1カム9の係合突起9aに係合する。第1回転軸4が更に回転すると、第1カム9が、係合片8a、8bを介して第1回転軸4により回転駆動され、回転を開始する。第1回転軸4が約160度回転すると、脚部13aが第1カム9の第1カム面9cに当接する。第1回転軸4が更に回転するのに伴って、図示しないバネを押し縮めつつ、図11に示すように、第1カムロッド13ひいては第1弁のリフト量が零から漸増する。
【0021】
第1回転軸4が220度回転すると、図11に示すように、第1カムロッド13ひいては第1弁のリフト量が1.5mmになり、図示しない弁装置の第1弁が開弁する。第1回転軸4が更に回転すると、図11に示すように、第1カムロッド13ひいては第1弁のリフト量が1.5mmを超え、図10(b)に示すように、第1カムロッド13の脚部13bは、第2カム12の横溝12bから離脱する。
【0022】
第1回転軸4が270度回転すると、図9(c)に示すように、第1カムロッド13の脚部13aは、第1カム9の第2カム面9dに当接し、図11に示すように、第1カムロッド13ひいては第1弁のリフト量は2mmになる。第1回転軸4が更に回転しても、第1カムロッド13ひいては第1弁のリフト量は2mmに維持される。
【0023】
第1回転軸4が略360度回転すると、係合爪5が、固定爪6bに当接することなく、可動爪6aの周方向の他端6a″の径方向基部に当接し、可動爪6aを回転駆動する。従って、第1回転軸4は360度を超えて回転することができる。
【0024】
第1回転軸4が410度回転すると、第1カム9は図9(d)に示す第2位置に到達し、第1カム9に形成された突起9eが第1カムロッド13の脚部13aに係合し、第1回転軸4は終点に到達して回転を停止する。
第1回転軸4の始点から終点までの回転は、瞬時に行われる。
【0025】
第1回転軸4が終点に到達した直後に操作レバー101aに印加されていた力が解除されると、操作レバー101aは錘101bの付勢力を受けて直ちに初期位置へ復帰する。揺動カム104は初期位置に保持されており、発電装置20に第1負荷r0が接続された状態は維持されている。ゼンマイバネ7に蓄積された歪エネルギーが開放され、第1回転軸4は終点から始点へ向けて回転を開始する。発電装置20は停止しており、第1回転軸4には有為な制動トルクは印加されないので、第1回転軸4は高速で回転する。
【0026】
第1回転軸4が終点から始点へ向けて50度回転し、始点からの回転角度が360度の位置まで戻ると、1方向クラッチ10の係合爪10a′の端面10a′が係合爪10b′の端面10b′に当接し、係合爪10a′が係合爪10b′と噛合する。この結果、第1回転軸4の回転が1方向クラッチ10の第2部分10bに伝達される。図10(a)、(b)に示す位置に在った第2カム12が、図10(b)で矢印で示す方向へ、回転を開始する。1方向クラッチ10の第2部分10bが形成する外歯車14に噛合する外歯車15が回転を開始し、第3カム17が回転を開始する。増速ギヤ列19を介して外歯車15に係合する発電装置20が始動して発電を開始する。発生した電力が第1負荷r0で消費される。発電のためのトルクが第1回転軸4の回転に対する制動トルクとなり、第1回転軸4の回転速度が減速する。図7(b)に示すように、第1回転軸4は角速度ω1で回転する。操作レバー101aが回転操作された時点から第1回転軸4の終点から始点へ向かう回転の角速度がω1になる迄の時間は瞬時であり、第1弁の開閉制御は実質的に第1回転軸4の終点から始点へ向かう回転の角速度がω1になった時点から開始される。
【0027】
第1回転軸4が終点から始点へ向けて90度回転し、始点からの回転角度が320度の位置まで戻ると、図9(e)に示すように、係合片8bが第1カム9の係合突起9bに係合し、係合片8aが第1カム9の係合突起9aに係合する。第1回転軸4が更に回転すると、第1カム9が、係合片8a、8bを介して第1回転軸4により回転駆動され、第2位置から第1位置へ向けて回転を開始する。
【0028】
第1回転軸4が終点から始点へ向けて230度回転し、始点からの回転角度が180度の位置まで戻ると、図9(f)に示すように、脚部13aが第1カム9の第1カム面9cに当接する。第1回転軸4が更に回転するのに伴って、図示しないバネの付勢力の下に、図11に示すように、第1カムロッド13ひいては第1弁のリフト量が漸減する。
【0029】
第1回転軸4が終点から始点へ向けて280度回転し、始点からの回転角度が130度の位置まで戻ると、図10(c)に示すように、脚部13bが第2カム12のカム面12aに当接する。第1回転軸4が更に回転すると、脚部13bと第2カム12のカム面12aとの当接状態は維持されるが、脚部13aは第1カム9の第1カム面9cから浮き上がり、脚部13aと第1カム9の第1カム面9cとの当接状態は解除される。脚部13bと第2カム12のカム面12aとの当接状態が維持されることにより、図11に示すように、第1カムロッド13ひいては図示しない弁装置の第1弁のリフト量は1.5mmに維持され、第1弁の開弁状態は維持される。
【0030】
第1回転軸4が終点から始点へ向けて402度回転し、始点からの回転角度が8度の位置まで戻ると、図10(d)に示すように、第1カムロッド13の脚部13bが第2カム12の横溝12bへ落ち込み、図11に示すように、第1カムロッド13のリフト量ひいては第1弁のリフト量が瞬時に零になる。第1弁のリフト量が瞬時に零になることにより、図示しない弁装置の第1弁が瞬時に閉じる。第1カムロッド13の脚部13aが僅かの隙間を隔てて第1カム9の第1カム面9cの始端近傍部に対峙する。
【0031】
第1回転軸4が終点から始点へ向けて410度回転し、始点まで戻ると、第1カム9は図9(a)に示す第1位置に戻り、第2カム12は図10(a)に示す位置に戻る。第1カムロッド13は、脚部13aが僅かな隙間を隔てて第1カム9の第1カム面9cの始端部に対峙し、脚部13bが第2カム12の横溝12bへ落ち込んだ状態に戻る。係合爪5が可動爪6aの周方向の一端6a′に当接し、可動爪6aの周方向の他端6a″の径方向先端部が固定爪6bに当接して、第1回転軸4は始点位置で停止する。
第1回転軸4が終点から始点へ向かって回転するのに伴って、操作軸2も回転し、レバー103も初期位置へ向けて回転する。レバー103から遠ざかる方向へ差し向けられた揺動カム104のレバー104bにレバー103は係合せず、揺動カム104は初期位置に保持され、スイッチ20aのOFF状態は維持され、発電装置20に第1負荷r0が接続された状態は維持される。この結果、第1弁の開閉制御中、第1回転軸4の角速度は、図7(b)に示すように、ω1に維持される。
【0032】
第2カム12が回転するのに同期して、第3カム17が回転する。第3カム17が1回転する間に、第2カムロッド18のリフト量ひいては図示しない弁装置の第2弁のリフト量が零から所定値まで漸増し、所定値から瞬時に零になる。この結果、図示しない弁装置の第2弁が開き、所定時間後に瞬時に閉じる。
【0033】
図13に示すように、第2操作部材102の操作レバー102aが初期位置から第1方向へ最終位置まで回転操作されると、錘102b、レバー102cも初期位置から最終位置まで回転する。操作レバー102aが係合する第1操作部材101の操作レバー101aも、操作レバー102aに駆動されて初期位置から第1方向へ最終位置まで回転し、錘101b、レバー103も初期位置から最終位置まで回転する。
レバー102cがレバー104aに係合して、揺動カム104を図示しないストッパーから離脱させ、初期位置から図13に示す最終位置へ揺動させる。レバー104bがレバー103に接近する方向へ差し向けられるが、レバー104bはレバー103に係合しない。カム面104dがレバー20a′に当接してレバー20a′を押し下げ、スイッチ20aをONする。第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)が発電装置20に接続される。錘104cが揺動カム104を図13で白抜き矢印で示す第2方向へ付勢し、カム面104dがレバー20a′に当接してレバー20a′を押し下げた状態で、揺動カム104は図13に示す最終位置に保持される。
【0034】
前述の如く第1回転軸4が始点から終点へ回転し、ゼンマイバネ7が巻き上げられる。
第1回転軸4が終点に到達した直後に操作レバー102aに印加されていた力が解除されると、操作レバー102aは錘102bの付勢力を受けて直ちに初期位置へ復帰し、操作レバー101aも錘101bの付勢力を受けて直ちに初期位置へ復帰する。錘104cからの付勢力の下に、揺動カム104は最終位置に保持されており、発電装置20に第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)が接続された状態が維持される。ゼンマイバネ7に蓄積された歪エネルギーが開放され、第1回転軸4は終点から始点へ向けて回転を開始する。
前述の如く、1方向クラッチ10が始動し、発電装置20が始動して発電を開始し、発生した電力が第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)で消費され、発電のためのトルクが第1回転軸4の回転に対する制動トルクとなって、高速で回転していた第1回転軸4の回転速度が減速し、図7(c)に示すように、第1回転軸4は角速度ω0で回転する。第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)で消費される電力は第1負荷r0で消費される電力よりも小さく、発電装置20が第1回転軸4に印加する制動トルクは発電装置20に第1負荷r0が接続された場合よりも大きいので、角速度ω0は角速度ω1よりも小さい。操作レバー102aが回転操作された時点から第1回転軸4の終点から始点へ向かう回転の角速度がω0になる迄の時間は瞬時であり、第1弁の開閉制御は実質的に第1回転軸4の終点から始点へ向かう回転の角速度がω0になった時点から開始される。
【0035】
第1回転軸4が終点から始点へ向かって回転するのに伴って、操作軸2も回転し、レバー103も初期位置へ向けて回転する。レバー103に接近する方向へ差し向けられた揺動カム104のレバー104bにレバー103が係合し、揺動カム104を図13に示す最終位置から図1、8に示す初期位置へ戻す。カム面104dがレバー20a′から離れ、スイッチ20aはOFFされ、第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)に代えて第1負荷r0が発電装置20に接続される。この結果、第1弁の開閉制御中に、第1回転軸4の角速度は、図7(c)に示すようにω0からω1に変更される。第1弁の開閉制御の終了まで第1回転軸4の角速度はω1に維持される。
【0036】
第1弁の開閉制御の途中まで、第1回転軸4の角速度がω1よりも小さなω0に設定されることにより、第1弁、第2弁の開閉制御時間が、第1操作部材101の操作レバー101aを回転操作した場合に比べて長くなる。
【0037】
上記説明から分かるように、弁開閉装置Aにおいては、第1回転軸4が終点から始点へ向けて回転する際の回転速度が発電装置20により減速され、カム9、12、17の回転速度ひいてはカムロッド13、18の運動速度が減速され、第1弁、第2弁が長時間に亘って開閉制御される。
弁開閉装置Aにおいては、第1操作部材101又は第2操作部材102の何れかが択一的に操作されることによって、スイッチ20aの状態がOFF又はONの何れかに設定され、発電装置20に接続される負荷が第1負荷r0又は第2負荷(r0×r1)/(r0+r1)の何れかに設定され、終点から始点へ向けて回転する回転軸の角速度が第1速度ω1又は第1速度よりも小さな第2速度ω0に設定される。この結果、カムロッド13、18による第1弁、第2弁の開閉時間が長短いずれかに制御される。第1操作部材101と第2操作部材102とは別部材なので、操作対象を間違える可能性は低い。従って、弁開閉装置Aは第1弁、第2弁の開閉時間を可変制御でき且つ操作ミスを起こし難い。
【0038】
揺動カム104の錘104cは、揺動カム104が初期位置と最終位置との間の所定揺動位置、より具体的には、錘104cの重心が揺動カム104の回転中心の鉛直上方に在る位置、よりも初期位置側に在る時は揺動カム104を初期位置へ向けて付勢し、揺動カム104が前記所定揺動位置よりも最終位置側に在るときは揺動カム104を最終位置へ向けて付勢する。従って、レバー102cに押されて揺動カム104が初期位置から最終位置へ向けて回転する際には、揺動カム104が前記所定揺動位置を越えると、錘104cの付勢力を受けて揺動カム104は瞬時に最終位置まで回転する。レバー103に押されて揺動カム104が最終位置から初期位置へ向けて回転する際には、揺動カム104が前記所定揺動位置を越えると、錘104cの付勢力を受けて揺動カム104は瞬時に初期位置まで回転する。この結果、スイッチ20aと揺動カム104との相対位置に多少のばらつきがあっても、スイッチ20aのON/OFFの切換タイミングのばらつき、ひいては終点から始点へ向けて回転する第1回転軸4によるスイッチ20aの逆操作のタイミングのばらつきが抑制され、図7(c)の角速度ω0がω1に切り替わるタイミングのばらつきが抑制され、第1弁、第2弁の開閉時間のばらつきが抑制され、第1弁、第2弁を介して吐出する流体の吐出量のばらつきが抑制される。
【0039】
以上本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されない。
錘104cを用いて揺動カム104を付勢するのに代えて、図14に示すように、バネ104eを用いて揺動カム104を付勢しても良い。
バネ104eは、揺動カム104が図14(a)で示す初期位置と図14(c)で示す最終位置との間の所定揺動位置、より具体的には、図14(b)で示す、バネ104eの固定点と揺動カム104への取付け点と揺動カムの回転中心とが直線上に並ぶ位置、よりも初期位置側に在る時は揺動カム104を初期位置へ向けて付勢し、揺動カム104が前記所定揺動位置よりも最終位置側に在るときは揺動カム104を最終位置へ向けて付勢する。従って、レバー102cに押されて揺動カム104が初期位置から最終位置へ向けて回転する際には、揺動カムが前記所定揺動位置を越えると、バネ104eの付勢力を受けて揺動カム104は瞬時に最終位置まで回転する。レバー103に押されて揺動カム104が最終位置から初期位置へ向けて回転する際には、揺動カムが前記所定揺動位置を越えると、バネ104eの付勢力を受けて揺動カム104は瞬時に初期位置まで回転する。この結果、スイッチ20aと揺動カム104との相対位置に多少のばらつきがあっても、スイッチ20aのON/OFFの切換タイミングのばらつき、ひいては終点から始点へ向けて回転する第1回転軸4によるスイッチ20aの逆操作のタイミングのばらつきが抑制され、図7(c)の角速度ω0がω1に切り替わるタイミングのばらつきが抑制され、第1弁、第2弁の開閉時間のばらつきが抑制され、第1弁、第2弁を介して吐出する流体の吐出量のばらつきが抑制される。バネ104eを使用することにより、錘104dを使用する場合に発生する可能性のある揺動カム104の回転抵抗やレバー20a′回転抵抗等のばらつきによるスイッチのON/OFFの切換タイミングのばらつき、ひいては終点から始点へ向けて回転する第1回転軸4によるスイッチ20aの逆操作のタイミングのばらつきが抑制され、図7(c)の角速度ω0がω1に切り替わるタイミングのばらつきが抑制され、第1弁、第2弁の開閉時間のばらつきが抑制され、第1弁、第2弁を介して吐出する流体の吐出量のばらつきが抑制される。
【0040】
複数対の第2操作部材102と揺動カム104とを配設し、揺動カム104のカム面104dの形状を対毎に異ならしめても良い。
複数の第2操作部材102中の何れの第2操作部材102を操作するかによって、終点から始点へ向けて回転する第1回転軸4によるスイッチ20aの逆操作のタイミングが変わり、図7(c)の角速度ω0がω1に切り替わるタイミングが変わり、第1弁、第2弁の開閉時間が変わる。この結果、第1弁、第2弁の開閉時間のバリエーションが増え、第1弁、第2弁を介して吐出する流体の流量のバリエーションが増える。
【0041】
回転式の第1操作部材101、第2操作部材102に代えて、図15に示す直動式の第1操作部材101′、第2操作部材102′を配設しても良い。第1操作部材101′と操作軸2とはラックピニオンを形成しており、第1操作部材101′を初期位置から最終位置へ直動操作すると操作軸2が回転駆動される。第2操作部材102′は第1操作部材101′によって駆動されない。第2操作部材102′を初期位置から最終位置へ直動操作すると第1操作部材101′が第2操作部材102′によって駆動されて直動し、操作軸2が回転駆動される。第2操作部材102′に形成されたレバー102a′が揺動カム104′のレバー104a′に係合し、揺動カム104′を初期位置から最終位置へ回転駆動して、スイッチ20a′をONする。錘104c、バネ104eと同様の錘やバネにより揺動カム104′は最終位置に保持され、スイッチ20a′のON状態が維持される。第1回転軸4が終点から始点へ向けて回転する際に、操作軸2の回転により第1操作部材101′が最終位置から初期位置へ駆動され、第1操作部材101′により第2操作部材102′が最終位置から初期位置へ駆動される。第2操作部材102′に形成されたレバー102a′が揺動カム104′のレバー104b′に係合し、揺動カム104′を最終位置から初期位置へ回転駆動して、スイッチ20a′をOFFする。錘104c、バネ104eと同様の錘やバネとストッパーとにより揺動カム104′は初期位置に保持される。
【0042】
弁開閉装置Aの第1カムロッド13、第2カムロッド18により、パイロット作動式弁装置のパイロット弁を開閉しても良い。出力の小さな小型の弁開閉装置Aで大流量の通水、止水を行うことができる。パイロット作動式弁装置の一例を詳述する。
図16に示すように、便器洗浄装置に使用されるパイロット作動式弁装置21は、洗浄水流入口22と、封水面よりも上方の便器内側面を洗浄するためのリム洗浄用の洗浄水流出口23と、便器から汚物を排出するためのジェット洗浄用の洗浄水流出口24と、開閉弁機構25と、流路切替弁機構26とを備えている。図17に示すように、洗浄水流入口22は家庭用水道配管に接続されている。洗浄水流出口23は、配管を介して便器300のリム部に形成されたリム吐水穴301に接続されている。洗浄水流出口24は、配管を介して便器300の底部に配設されたジェット吐水ノズル302に接続されている。
【0043】
開閉弁機構25は、ダイヤフラム251と弁座252と付勢バネ253とにより構成されるダイヤフラム弁254と、ダイヤフラム弁254により開閉される洗浄水流路255とを有している。ダイヤフラム弁254よりも上流側の洗浄水流路255は定流量弁27を介して洗浄水流入口22に連通している。ダイヤフラム弁254よりも下流側の洗浄水流路255は室28に連通している。
開閉弁機構25は、ダイヤフラム251を囲壁の一部とする圧力室256を有している。ダイヤフラム251に、圧力室256に連通するパイロット流入路257が形成されている。圧力室256からパイロット流出路258が延びている。パイロット流出路258を開閉するパイロット弁259が配設されている。パイロット弁259は図示しない弁体と、弁体を閉方向ヘ付勢する図示しないコイルバネとを有している。パイロット弁259の弁体に弁開閉装置Aの第1カムロッド13の他端が当接している。
【0044】
流路切替弁機構26は、ダイヤフラム261と弁座262と付勢バネ263とにより構成されるダイヤフラム弁264と、ダイヤフラム弁264により開閉される洗浄水流路265とを有している。ダイヤフラム弁264よりも上流側の洗浄水流路265は室28に連通している。ダイヤフラム弁264よりも下流側の洗浄水流路265は洗浄水流出口24に連通している。
流路切替弁機構26は、ダイヤフラム261を囲壁の一部とする圧力室266を有している。ダイヤフラム261に、圧力室266に連通するパイロット流入路267が形成されている。圧力室266からパイロット流出路268が延びている。パイロット流出路268を開閉するパイロット弁269が配設されている。パイロット弁269は図示しない弁体と、弁体を閉方向ヘ付勢する図示しないコイルバネとを有している。パイロット弁269の弁体に第2カムロッド18の他端が当接している。
【0045】
室28と洗浄水流出口23との間にダイヤフラム弁29が配設されている。ダイヤフラム弁29はダイヤフラム291と弁座292と付勢バネ293とにより構成されている。ダイヤフラム291を囲壁の一部とする圧力室294が配設されている。圧力室294は連通穴295を介してダイヤフラム弁264よりも下流側の洗浄水流路265と洗浄水流出口24との間の連通路に連通している。
【0046】
パイロット作動式弁装置21の作動を説明する。
弁開閉装置Aの操作部1が操作される前は、パイロット弁259の弁体がコイルバネにより閉方向へ付勢され、パイロット弁259はパイロット流出路258を閉じている。この結果、圧力室256への洗浄水の流入は阻止されている。パイロット流入路257により、ダイヤフラム弁254の一次側圧力と圧力室256の圧力は略同一となっている。ダイヤフラム弁254の二次側圧力はダイヤフラム弁254の一次側圧力よりも低いので、ダイヤフラム251に加わる圧力室256の内圧による力は、洗浄水流路255の内圧による力よりも大きい。ダイヤフラム251には付勢バネ253の付勢力が印加されている。この結果、ダイヤフラム251は弁座252に押し付けられており、ダイヤフラム弁254、ひいては開閉弁機構25は洗浄水流路255を閉じている。従って、便器300のリム吐水穴301とジェット吐水ノズル302とからは、洗浄水は吐出しない。弁開閉装置Aの操作部1が操作される前は、パイロット弁269の弁体がコイルバネにより閉方向へ付勢され、パイロット弁269はパイロット流出路268を閉じており、圧力室266への洗浄水の流入は阻止されている。ダイヤフラム弁264、ひいては流路切替弁機構26は、開閉弁機構25と同様に、洗浄水流路265を閉じている。
弁開閉装置Aの操作部1が操作される前は、付勢バネ293の付勢力を受けてダイヤフラム291が弁座292に当接しており、ダイヤフラム弁29は室28と洗浄水流出口23との連通を遮断している。
【0047】
便器利用者が弁開閉装置Aの操作部1を操作して便器洗浄を開始する。弁開閉装置Aの第1カム9が第1位置から第2位置へ向けて回転し、第1カムロッド13のリフト量が1.5mm以上になり、第1カムロッド13に当接する弁機構25のパイロット弁259の弁体が開方向へ移動し、図18に示すように、パイロット流出路258を開く。パイロット流出路258が開くと、パイロット流入路257を介して圧力室256ヘ洗浄水が流入し、パイロット流出路258を介して圧力室256から洗浄水が流出する。洗浄水がパイロット流入路257を通過する際の圧力損失により、圧力室256の圧力がダイヤフラム弁254の一次側圧力よりも低くなる。ダイヤフラム251に加わる力のバランスが崩れ、ダイヤフラム251は弁座252を離れて圧力室256側ヘ移動する。この結果、ダイヤフラム弁254、ひいては開閉弁機構25は洗浄水流路255を開く。
洗浄水流入口22から流入し、定流量弁27を通って所定流量Qに調整された洗浄水が、洗浄水流路255を通って室28ヘ流入する。室28の圧力が上昇し、ダイヤフラム291に加わる力のバランスが崩れ、ダイヤフラム291は弁座292を離れて圧力室294側ヘ移動する。この結果ダイヤフラム弁29は室28を洗浄水流出口23に連通させる。
室28が洗浄水流出口23に連通した結果、洗浄水流出口23から洗浄水が吐出する。洗浄水流出口23から吐出した流量Qの洗浄水が、配管を通って便器300のリム吐水穴301から吐出し、図19に示すように初期リム洗浄が行われる。
弁開閉装置Aの第3カム17は停止しており、第2カムロッド18のリフト量は零なので、パイロット弁269はパイロット流出路268を閉じており、流路切替弁機構26のダイヤフラム弁264は洗浄水流路265を閉じている。従って、室28と洗浄水流出口24とは連通しない。従って、ジェット吐水ノズル302からは洗浄水は吐出しない。
【0048】
便器利用者が弁開閉装置Aの操作部1から手を離すと、弁開閉装置Aの第1カム9が第2位置から第1位置へ向けて回転し、第3カム17が回転する。第2カムロッド18のリフト量が増加し、第2カムロッド18に当接する流路切替弁機構26のパイロット弁269の弁体が、コイルバネの付勢力に逆らって開方向へ移動する。この結果、図18に示すように、パイロット弁269はパイロット流出路268を開く。パイロット流出路268が開くと、パイロット流入路267を介して圧力室266ヘ洗浄水が流入し、パイロット流出路268を介して圧力室266から洗浄水が流出する。洗浄水がパイロット流入路267を通過する際の圧力損失により、圧力室266の圧力がダイヤフラム弁264の一次側圧力よりも低くなる。ダイヤフラム261に加わる力のバランスが崩れ、ダイヤフラム261は弁座262を離れて圧力室266側ヘ移動する。この結果、ダイヤフラム弁264、ひいては流路切替弁機構26は洗浄水流路265を開く。
洗浄水が室28から洗浄水流路265へ流入し、洗浄水流出口24から吐出する。洗浄水流出口24から吐出した流量Qの洗浄水が、配管を通って便器300のジェット吐水ノズル302から吐出し、図19に示すようにジェット洗浄が行われる。便器300のトラップ排水路303にサイホン現象が惹起され、便器300から汚物が排出される。
洗浄水流路265と洗浄水流出口24との間の連通路を洗浄水が流れることにより、圧力室294の圧力が上昇し、ダイヤフラム291に加わる力のバランスが崩れ、ダイヤフラム291は弁座292に押し付けられる。この結果、ダイヤフラム弁29は室28と洗浄水流出口23との連通を遮断する。従って、洗浄水は便器300のリム吐水穴301からは吐出せず、リム洗浄は行われない。
【0049】
第3カム17が更に回転すると第2カムロッド18のリフト量が急減して零になり、パイロット弁269の弁体がコイルバネの付勢力の下に閉方向へ移動する。この結果、図18に示すように、パイロット弁269はパイロット流出路268を閉じる。ダイヤフラム弁264、ひいては流路切替弁機構26は洗浄水流路265を閉じる。第1カムロッド13のリフト量は、第1カムロッド13が第1カム9から第2カム12へ乗り換えることにより、1.5mm以上に維持されている。従って、パイロット弁259はパイロット流路258を開いており、ダイヤフラム弁254、ひいては開閉弁機構25は洗浄水流路255を開いている。洗浄水流出口24からの洗浄水の吐出が停止し、ジェット吐水ノズル302からの洗浄水の吐出が停止し、ジェット洗浄が終了する。洗浄水流路265と洗浄水流出口24との間の連通路を洗浄水が流れなくなることにより、圧力室294の圧力が低下し、ダイヤフラム291に加わる力のバランスが崩れ、ダイヤフラム291は弁座292から離れて圧力室294側ヘ移動し、ダイヤフラム弁29は室28を洗浄水流出口23に連通させる。洗浄水流出口23から洗浄水が吐出する。洗浄水流出口23ひいてはリム吐水穴301から吐出した流量Qの洗浄水により、図19に示すように封水リム洗浄が行われ、便器300に封水が形成される。
【0050】
第1カム9が始点に接近すると、第1カムロッド13の脚部13bが第2カム12の横溝12bに落ち込み、第1カムロッド13のリフト量が零になる。パイロット弁259の弁体がコイルバネの付勢力の下に閉弁方向ヘ移動し、パイロット弁259はパイロット流出路258を閉じる。ダイヤフラム弁254、ひいては開閉弁機構25は洗浄水流路255を閉じる。この結果、パイロット作動式弁装置21からの洗浄水の吐出が停止し、図19に示すように封水リム洗浄が終了し、便器洗浄が終了する。
【0051】
パイロット作動式弁装置21においては、パイロット弁259、269を開閉操作することにより、開閉弁機構25、流路切替弁機構26が、洗浄水流路を開閉し、洗浄水流路を切替える。パイロット流出路258、268は小径でも機能を果たすので、パイロット弁259、269には小型で、駆動力の小さな弁を使用することができる。従って、第1カムロッド13、第2カムロッド18に印加する力を低減でき、弁開閉装置Aを小型化することができる。また操作部1の操作力も低減できる。パイロット作動式弁装置21に弁開閉装置Aを使用することにより、出力の小さな小型の弁開閉装置Aで大流量の通水、止水を行うことができる。
【0052】
弁開閉装置Aは、水栓装置、便器洗浄装置等の弁の開閉制御に広く使用することができる。
【0053】
【発明の効果】
上記説明から分かるように、本発明に係る弁開閉装置においては、第1操作部材又は第2操作部材の何れが択一的に操作されることによって、スイッチの状態がON又はOFFの何れかに設定され、発電装置に接続される負荷が第1負荷又は第2負荷の何れかに設定され、終点から始点へ向けて回転する回転軸の回転速度が第1速度又は第2速度の何れかに設定され、カムロッドによる弁開閉時間が第1時間又は第2時間の何れかに設定される。第2操作部材を操作してスイッチをON又はOFF操作した場合には、終点から始点へ向けて回転する回転軸によりスイッチが逆操作されて、スイッチは初期状態に戻される。第1操作部材と第2操作部材とは別部材なので、操作対象を間違える可能性は低い。従って、本発明に係る弁開閉装置は弁の開閉時間を可変制御でき且つ操作ミスを起こし難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る弁開閉装置の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る弁開閉装置の全体斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分分解斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分分解斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係る弁開閉装置が備える発電装置に接続される負荷の回路図である。
【図8】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分斜視図である。
【図9】本発明の実施例に係る弁開閉装置の作動時の第1カムと第1カムロッドの正面図である。
【図10】本発明の実施例に係る弁開閉装置の作動時の第2カムと第1カムロッドの正面図である。
【図11】本発明の実施例に係る弁開閉装置の作動時の第1弁のリフト量の経時変化を示す線図である。
【図12】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分斜視図である。
【図13】本発明の実施例に係る弁開閉装置の部分斜視図である。
【図14】本発明の他の実施例に係る弁開閉装置が備える揺動カムの正面図である。
【図15】本発明の他の実施例に係る弁開閉装置が備える第1操作部材と第2操作部材の正面図である。
【図16】本発明の実施例に係る弁開閉装置により開閉制御されるパイロット作動式弁装置の断面図である。
【図17】パイロット作動式弁装置を備える便器洗浄装置の構成図である。
【図18】本発明の実施例に係る弁開閉装置により開閉制御されるパイロット作動式弁装置のパイロット弁の作動のタイムチャートである。
【図19】本発明の実施例に係る弁開閉装置により開閉制御されるパイロット作動式弁装置を使用する便器洗浄工程のタイムチャートである。
【符号の説明】
A 弁開閉装置
1 操作部
2 操作軸
3、19 増速ギヤ列
4 第1回転軸
5 係合爪
6a 可動爪
6b 固定爪
7 ゼンマイバネ
8a、8b 係合片
9 第1カム
10 1方向クラッチ
11 バネ
12 第2カム
13 第1カムロッド
17 第3カム
18 第2カムロッド
20 発電装置
20a、20a′ スイッチ
21 パイロット作動式弁装置
101 第1操作部材
102 第2操作部材
104、104′ 揺動カム
300 便器

Claims (6)

  1. 始点と終点との間で往復回転可能な回転軸と、回転軸が始点から終点へ向けて回転することにより巻き上げられると共に巻き戻る際に回転軸を終点から始点へ向けて回転駆動するバネと、回転軸により回転駆動されるカムと、カムにより駆動されて弁を開閉するカムロッドと、回転軸が終点から始点へ向けて回転すると回転軸と噛合する1方向クラッチと、1方向クラッチを介して回転軸により駆動される発電装置と、発電装置に接続可能な第1負荷と第2負荷と、ON/OFF操作されON時に第1負荷又は第2負荷の何れか一方を発電装置に接続しOFF時に他方を発電装置に接続するスイッチと、回転軸を始点から終点へ向けて回転駆動する第1操作部材と、第1操作部材に係合可能で第1操作部材を駆動可能な第2操作部材と、第2操作部材が操作されると第2操作部材により第1方向へ駆動され且つ終点から始点へ向けて回転する回転軸により第1方向とは逆の第2方向へ駆動されてスイッチをON/OFF操作し、第1操作部材が操作されると第1操作部材と回転軸の何れによっても駆動されずスイッチをON/OFF操作しないスイッチ操作用カムとを備えることを特徴とする弁開閉装置。
  2. スイッチ操作用カムは、第2操作部材により第1方向へ揺動駆動され、終点から始点へ向けて回転する回転軸により第1方向とは逆の第2方向へ揺動駆動される揺動カムであり、更に、スイッチ操作用カムの揺動位置が所定位置よりも第1方向側に在る時はスイッチ操作用カムを第1方向へ付勢し、スイッチ操作用カムの揺動位置が所定位置よりも第2方向側に在る時はスイッチ操作用カムを第2方向へ付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の弁開閉装置。
  3. 付勢部材はバネであることを特徴とする請求項2に記載の弁開閉装置。
  4. 複数対の第2操作部材とスイッチ操作用カムとを備え、スイッチ操作用カムの形状は対毎に異なることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の弁開閉装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に係る弁開閉装置と、カムロッドにより開閉されるパイロット弁とを備えることを特徴とするパイロット作動式弁装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に係る弁開閉装置を備えることを特徴とする便器洗浄装置。
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