JP2001279766A - 水回り装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐水手段と、給水手段と吐水手段との間に配
設されタイマーによって作動が制御されるバルブ手段と
を備える水廻り装置であって、停電時でも作動が停止し
ない水回り装置を提供する。 【解決手段】 容積が変化するように付勢されると共
に、流入する流体の流量又は流出する流体の流量が規制
されることにより容積変化速度が規制される可変容積室
の容積変化により時を刻むタイマーと、給水手段と、吐
水手段と、給水手段と吐水手段との間に配設され前記タ
イマーによって作動が制御されるバルブ手段とを備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は給水手段と、吐水手
段と、給水手段と吐水手段との間に配設されタイマーに
よって作動が制御されるバルブ手段とを備える水廻り装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】水道配管から直接洗浄水が供給される水
道直圧型の水洗便器、局部洗浄装置、自動的に止水する
水栓等、給水手段と、吐水手段と、給水手段と吐水手段
との間に配設されタイマーによって作動が制御されるバ
ルブ手段とを備える水廻り装置においては、従来、一般
的にタイマーとして電気的タイマーが使用されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】電気的タイマーによっ
てバルブ手段の作動が制御される従来の水廻り装置に
は、停電時にバルブ制御が不可能になり作動が停止する
という問題があった。本発明は上記問題に鑑みてなされ
たものであり、吐水手段と、給水手段と吐水手段との間
に配設されタイマーによって作動が制御されるバルブ手
段とを備える水廻り装置であって、停電時でも作動が停
止しない水回り装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を解決するために、容積が変化するように付勢され
ると共に、流入する流体の流量又は流出する流体の流量
が規制されることにより容積変化速度が規制される可変
容積室の容積変化により時を刻むタイマーと、給水手段
と、吐水手段と、給水手段と吐水手段との間に配設され
前記タイマーによって作動が制御されるバルブ手段とを
備えることを特徴とする水廻り装置を提供する。本発明
に係る水廻り装置においては、可変容積室の容積変化に
より時を刻むタイマーによりバルブの作動を制御するの
で、停電時でもバルブ制御は不可能にならない。従っ
て、本発明に係る水廻り装置は、停電時でも作動が停止
しない。

【０００５】本発明の好ましい態様においては、タイマ
ーは、シリンダーと、シリンダー内を摺動可能なピスト
ンと、ピストンを所定方向へ付勢する付勢手段と、付勢
手段の付勢方向へのピストンの移動に応じてシリンダー
へ流入する流体の流量を規制し又は付勢手段の付勢方向
へのピストンの移動に応じてシリンダーから流出する流
体の流量を規制するオリフィスとを有する。シリンダー
と、シリンダー内を摺動可能なピストンと、ピストンを
所定方向へ付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢方向へ
のピストンの移動に応じてシリンダーへ流入する流体の
流量を規制し又は付勢手段の付勢方向へのピストンの移
動に応じてシリンダーから流出する流体の流量を規制す
るオリフィスとにより、可変容積室の容積変化により時
を刻むタイマーを構成することができる。シリンダーと
ピストンとにより構成するタイマーは、付勢体と歯車等
により構成されるタイマーに比べて構造が単純であり、
製造コストが低い。

【０００６】本発明の好ましい態様においては、タイマ
ーは、ピストンの変位を外部へ伝達する変位伝達手段を
有する。変位伝達手段を介してピストンの変位が外部に
伝達されることにより、バルブの作動が制御される。

【０００７】本発明の好ましい態様においては、タイマ
ーは、ピストンの変位に応じてピストンの変位速度を変
化させる変速手段を有する。ピストンの変位に応じてピ
ストンの変位速度を変化させることにより、バルブの制
御を多様化させることができ、ひいては水廻り装置の作
動を多様化させて水廻り装置の利便性を高めることがで
きる。

【０００８】本発明の好ましい態様においては、変速手
段は、ピストンの変位に応じてオリフィスの数を変化さ
せる。本発明の好ましい態様においては、変速手段は、
ピストンの変位に応じてオリフィス穴の断面積を変化さ
せる。本発明の好ましい態様においては、変速手段は、
ピストンの変位に応じてシリンダーの断面積を変化させ
る。本発明の好ましい態様においては、変速手段は、ピ
ストンの変位に応じてピストンに印加される抵抗力を変
化させる。本発明の好ましい態様においては、変速手段
は、ピストンの変位に応じて付勢手段の付勢力を変化さ
せる。ピストンの変位に応じてオリフィスの数を変化さ
せ、或いはオリフィス穴の断面積を変化させ、或いはシ
リンダーの断面積を変化させ、或いはピストンに印加さ
れる抵抗力を変化させ、或いは付勢手段の付勢力を変化
させることにより、ピストンの変位に応じてピストンの
変位速度を変化させることができる。

【０００９】本発明の好ましい態様においては、水廻り
装置は、付勢手段の付勢方向とは逆方向ヘピストンが移
動する際にピストンに印加される抵抗力を低減させる抵
抗力低減手段を備える。タイマーを始動させるために、
ピストンを付勢手段の付勢力とは反対方向へ押し込む必
要がある。付勢手段の付勢方向とは逆方向ヘピストンが
移動する際にピストンに印加される抵抗力が低減すれ
ば、僅かな力でピストンを押し込むことが可能となり、
タイマー始動操作が楽になる。

【００１０】本発明の好ましい態様においては、抵抗力
低減手段は、シリンダーへ流入する流体の流量を増加さ
せ又はシリンダーから流出する流体の流量を増加させ
る。本発明の好ましい態様においては、抵抗力低減手段
は、ピストンヘッドにより仕切られたシリンダーの一方
の区画から他方の区画への流体の移動を許容する。シリ
ンダーへ流入する流体の流量を増加させ又はシリンダー
から流出する流体の流量を増加させ、或いはピストンヘ
ッドにより仕切られたシリンダーの一方の区画から他方
の区画への流体の移動を許容することにより、付勢手段
の付勢方向とは逆方向ヘピストンが移動する際にピスト
ンに印加される抵抗力を低減させることができる。

【００１１】本発明の好ましい態様においては、タイマ
ーに使用される流体は空気である。粘性の温度依存性が
少ない空気を利用することにより、温度の如何に係わら
ず安定した機能を発揮するタイマーを得ることができ
る。

【００１２】本発明の好ましい態様においては、可変容
積室が大気開放されている。可変容積室を大気開放する
ことにより、気圧の変化による可変容積室の変形を防止
することができる。この結果、気圧の如何に係わらず安
定した機能を発揮するタイマーを得ることができる。

【００１３】本発明の好ましい態様においては、オリフ
ィスは金属製である。金属製のオリフィスを使用するこ
とにより、樹脂製のオリフィスに比べてオリフィス穴径
を小さくして可変容積室へ流入する流体の流量又は可変
容積室から流出する流体の流量を少なすることができ、
ひいては可変容積室の容積を小さくしてタイマーを小型
化することができる。

【００１４】本発明の好ましい態様においては、変位伝
達手段は、バルブの開度を調整する。変位伝達手段がバ
ルブの開度を調整すれば、水廻り装置の吐水流量を時間
制御することが可能となり、水廻り装置の利便性が向上
する。

【００１５】本発明の好ましい態様においては、水廻り
装置は、複数の吐水手段を備える。複数の吐水手段の吐
水時間を制御することにより、吐水の態様を多様化で
き、水廻り装置の利便性を向上させることができる。

【００１６】本発明の好ましい態様においては、水廻り
装置は、複数の給水手段を備える。複数の給水手段の給
水時間を制御することにより、吐水温度の態様を多様化
でき、水廻り装置の利便性を向上させることができる。

【００１７】本発明の好ましい態様においては、バルブ
手段は複数種類の流体の流れを制御する。バルブ手段が
複数種類の流体の流れを制御すれば、複数種類の流体の
混合が可能となり、水廻り装置の利便性が向上する。

【００１８】本発明の好ましい態様においては、タイマ
ーはバルブ機能を有する。タイマーがバルブ機能を有し
ていれは、バルブ手段を別途設ける必要がなくなり、水
廻り装置の構造が単純化され、製造費用、保守費用が低
減する。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の実施例に係る便器洗浄装
置を説明する。図１に示すように、家庭用水道配管に接
続された配管１の途上に、開閉弁２と、切替弁３とが配
設されている。開閉弁２は配管１内流路を開閉し、切替
弁３は、配管１から分岐する配管４の入口を開閉する。
配管１の下流端は、図示しない水洗便器のリム部に下方
へ差し向けて形成されたリム吐水穴に連通し、配管４の
下流端は、図示しない水洗便器のボウル部底部に排水ト
ラップへ差し向けて配設されたジェット吐水ノズルに連
通している。

【００２０】開閉弁２、切替弁３の作動を制御するタイ
マー５が配設されている。図２（ａ）に示すように、タ
イマー５は、シリンダー６を有している。シリンダー６
は周壁６ａと、端壁６ｂ、６ｃとを有している。端壁６
ｂには空気穴６ｄが穿設され、端壁６ｃには金属製のオ
リフィス７が取り付けられている。シリンダー６に、ピ
ストン８が挿通されている。ピストン８は、ピストンロ
ッド８ａとピストンヘッド８ｂとを有している。ピスト
ンロッド８ａはシリンダー６の端壁６ｂを摺動可能に貫
通している。ピストンヘッド８ｂは、シリンダーのの周
壁６ａの内面に摺動可能に当接している。当該当接部
は、Ｏリング９によりシールされている。Ｏリング９
は、ピストンヘッド８ｂの周面に形成された溝８ｂ₁ 内
に収容されている。シリンダー６の端壁６ｂに対峙する
側の溝８ｂ₁ の側壁の一部が適当な周長に亘って切り欠
かれている。ピストンヘッド８ｂと端壁６ｂとの間に室
Ａが形成され、ピストンヘッド８ｂと端壁６ｃとの間に
室Ｂが形成されている。室Ｂ内にコイルバネ１０が配設
されている。

【００２１】ピストンロッド８ａの自由端に、スピンド
ル１１の一端が当接している。スピンドル１１は案内部
材１２に形成された案内穴に挿通されている。スピンド
ル１１の一方の側面に、ピストンロッド８ａの自由端に
当接する一端の側から他端の側へ向けて拡径方向へ傾斜
する斜面１１ａ₁ と斜面の終端に接続する平坦面１１ａ
₂ とから成るカム面１１ａが形成されている。スピンド
ル１１の他方の側面に、凹部１１ｂが形成され、凹部１
１ｂ内にカム部材１３が配設されている。カム部材１３
は、一端がスピンドル１１から径方向外方へ突出する図
２（ａ）で実線で示す第１位置と、全体が凹部１１ｂ内
に収容される図２（ａ）で一点鎖線で示す第２位置との
間で揺動可能に、スピンドル１１に取り付けられてい
る。無負荷時には、カム部材１３は、図示しない弱い復
帰バネの付勢力を受けて、第１位置にある。スピンドル
１１のカム面１１ａに対峙して、スピンドル１１の延在
方向に直交するカムロッド１４が配設されている。カム
部材１３に対峙して、スピンドル１１の延在方向に直交
するカムロッド１５が配設されている。カムロッド１４
の変位が開閉弁２に伝達されて開閉弁２が開閉操作さ
れ、カムロッド１５の変位が切替弁３に伝達されて切替
弁３が開閉操作される。

【００２２】本実施例に係る便器洗浄装置の作動を説明
する。便器洗浄装置の停止時には、タイマー５は図２
（ａ）に示す初期状態にあり、開閉弁２は配管１内流路
を閉じ、切替弁３は配管４の入口を閉じている。スピン
ドル１１は原点位置にあり、案内部材１２から突出して
いる。カム部材１３は第１位置にある。カムロッド１４
はカム面１１ａとシリンダーの端壁６ｂとの間にあり、
カムロッド１５はカム部材１３とシリンダーの端壁６ｂ
との間にある。便器洗浄をする際には、便器利用者が、
スピンドル１１を手動で案内部材１２内へ押し込む。図
２（ａ）で白抜き矢印で示すように、スピンドル１１が
シリンダー６へ向けて移動し、ピストンヘッド８ｂがコ
イルバネ１０を押し縮めつつシリンダー６内を端壁６ｃ
へ向けて移動する。図２（ａ）で一点鎖線で示すよう
に、シリンダーの側壁６ａからの摩擦力を受けたＯリン
グ９の一部が、溝８ｂ₁ の側壁の切欠部を介して溝８ｂ
₁ から押し出され、Ｏリング９によるシールが破られ
る。容積が減少しつつある室Ｂ内の空気が、ピストンヘ
ッド８ｂとシリンダーの側壁６ａとの間の隙間を通っ
て、容積が増加しつつある室Ａへ移動する。シリンダー
６の端壁６ｂに穿設された空気穴６ｄを通って、容積が
増加しつつある室Ａへ空気が流入する。

【００２３】スピンドルのカム面１１ａがカムロッド１
４に当接し、カムロッド１４を、白抜き矢印で示すスピ
ンドル１１から遠ざかる方向へ押す。スピンドル１１か
ら遠ざかる方向へ移動するカムロッド１４により、配管
１内の水圧に抗して開閉弁２が開かれ、開閉弁２よりも
下流の配管１へ洗浄水が流入する。洗浄水は配管１を通
ってリム吐水穴へ導かれ、リム吐水穴から吐出して、ボ
ウル部上部内面を洗浄する。カム部材１３は、カムロッ
ド１５に当接すると、カムロッド１５から負荷を受け
て、第１位置から第２位置ヘ揺動し、カムロッド１５を
押さない。従って、カムロッド１５は動かず、切替弁３
は配管４の入口を閉じている。図２（ｂ）に示すよう
に、スピンドル１１の端部がシリンダー６の端壁６ｂに
当接して、スピンドル１１の押込み操作が終了する。押
込み操作終了時には、カム部材１３とカムロッド１５と
の当接は解除されており、カム部材１３は復帰バネの付
勢力を受けて第１位置に復帰している。

【００２４】便器利用者が、スピンドル１１から指を離
すと、コイルバネ１０の付勢力を受けて、図２（ｂ）で
白抜き矢印で示すように、ピストンヘッド８ｂがシリン
ダーの端壁６ｂへ向けて移動を開始する。シリンダーの
側壁６ａからの摩擦力を受けたＯリング９の一部が、溝
８ｂ₁ の側壁の切欠部を介して溝８ｂ₁ 内へ復帰し、Ｏ
リング９によるシールが復活する。容積が増加しつつあ
る室Ｂ内へオリフィス７を介して空気が流入し、容積が
減少しつつある室Ａから空気穴６ｄを介して空気が流出
する。室Ｂの容積増加速度、スピンドル１１の原点位置
へ向けての移動速度は、オリフィス７を通過する空気の
流量によって規制される。オリフィス７を通過する空気
の流量は、コイルバネ１０のバネ定数とオリフィス７の
穴径によって規制される。

【００２５】スピンドル１１が押込み操作終了位置から
原点位置へ向けて所定距離移動すると、すなわちスピン
ドル１１の押込み操作終了時点から所定時間が経過する
と、図２（ｃ）に示すように、カム部材１３がカムロッ
ド１５に当接する。カム部材１３はカムロッド１５から
負荷を受けるが、スピンドルの凹部１１ｂの側壁に押し
付けられるのみで揺動しない。この結果、カム部材１３
がカムロッド１５を、白抜き矢印で示すスピンドル１１
から遠ざかる方向へ押す。スピンドル１１から遠ざかる
方向へ移動するカムロッド１５により、配管１内の水圧
に抗して切替弁３が開かれ、洗浄水の一部が配管４へ流
入する。この結果、洗浄水の一部は配管１を通りリム吐
水穴から吐出してボウル部上部内面を洗浄し、他の一部
は配管４を通りジェット吐水ノズルから吐出して、排水
トラップ内にサイホン現象を誘起し、ボウル内の汚水を
外部排出管へ排出させる。

【００２６】図２（ｃ）の位置からスピンドル１１が原
点位置へ向けて更に移動すると、すなわち図２（ｃ）の
時点から更に所定時間が経過すると、図２（ｄ）に示す
ように、カム部材１３とカムロッド１５との当接が解除
される。カムロッド１５からの負荷が無くなった切替弁
３は配管１内の水圧により閉鎖し、切替弁３の閉鎖に伴
ってカムロッド１５はスピンドル１１に接近する方向へ
移動する。切替弁３が閉じることにより、配管４への洗
浄水の流入が停止し、ジェット吐水ノズルからの洗浄水
の吐出が停止する。カム面１１ａは未だカムロッド１４
に当接しており、開閉弁２は未だ開いている。配管１を
通ってリム吐水穴へ導かれた洗浄水が、リム吐水穴から
吐出してボウル部内に溜水を形成する。

【００２７】図２（ｄ）の時点から更に所定時間が経過
して、スピンドル１１が原点位置へ復帰すると、カム面
１１ａとカムロッド１４との当接が解除される。カムロ
ッド１４からの負荷が無くなった開閉弁２は配管１内の
水圧により閉鎖し、開閉弁２の閉鎖に伴ってカムロッド
１４はスピンドル１１に接近する方向へ移動し、タイマ
ー５は図２（ａ）に示す初期状態となる。開閉弁２が閉
じることにより、開閉弁２より下流の配管１への洗浄水
の流入が停止し、便器洗浄が終了する。

【００２８】上記説明から分かるように、本実施例に係
る便器洗浄装置においては、可変容積室である室Ｂの容
積変化により時を刻むタイマー５により開閉弁２、切替
弁３の作動を制御するので、停電時でも開閉弁２、切替
弁３の制御は不可能にならない。従って、本実施例に係
る便器洗浄装置は、停電時でも作動が停止しない。

【００２９】タイマー５は、シリンダー６とピストン８
とにより構成されており、付勢体と歯車等により構成さ
れるタイマーに比べて構造が単純であり、製造コストが
低い。

【００３０】タイマー５は、ピストン８の変位を外部へ
伝達するための、カム面１１ａ、カム部材１３を有して
いるので、カム面１１ａ、カム部材１３を介してピスト
ン８の変位をカムロッド１４、１５に伝達し、カムロッ
ド１４、１５の変位を開閉弁２、切替弁３に伝達して、
開閉弁２、切替弁３の作動を制御することができる。

【００３１】スピンドル１１を押し込む際に、Ｏリング
９によるシールが破られ、室Ｂから室Ａへの空気の移動
が許容されるので、室Ｂ内空気の圧縮によりピストン８
に印加される抵抗力が低減する。この結果、僅かな力で
スピンドル１１を押し込むことが可能となり、タイマー
５の始動操作が楽になる。

【００３２】タイマー５は、粘性の温度依存性が少ない
空気を利用しているので、温度の如何に係わらず安定し
た機能を発揮することができる。粘性の温度依存性が大
きい流体を使用すると、温度の変化に伴ってオリフィス
７の流動抵抗が大きく変動し、室Ｂの容積変化速度ひい
てはスピンドル１１の移動速度が大きく変動する。この
結果、タイマー５は、温度の如何に係わらず安定した機
能を発揮することができなくなる。

【００３３】可変容積室である室Ａ、Ｂは大気開放され
ているので、気圧が変化しても室Ａ、室Ｂは変形しな
い。この結果、気圧の如何に係わらずピストン８は安定
して移動することができ、タイマー５は安定した機能を
発揮することができる。

【００３４】金属製のオリフィス７を使用しているの
で、樹脂製のオリフィスを使用する場合に比べてオリフ
ィス穴径を小さくして室Ｂへ流入する空気の流量を少な
することができ、ひいては室Ｂの容積を小さくしてタイ
マー５を小型化することができる。

【００３５】本実施例に係る便器洗浄装置においては、
複数の吐水手段、即ちリム吐水穴とジェット吐水ノズル
とを配設し、リム吐水穴からの吐水時間とジェット吐水
ノズルからの吐水時間とをタイマー５を用いて制御する
ことにより、吐水の態様を多様化して、便器洗浄装置の
利便性を高めている。

【００３６】以上本発明の実施例を説明したが、本発明
は上記実施例に限定されない。押込み操作終了位置から
のスピンドル１１ひいてはピストン８の変位に応じてピ
ストン８の変位速度を変化させるように構成しても良
い。押込み操作終了位置からのスピンドル１１ひいては
ピストン８の変位に応じてピストン８の変位速度を変化
させることにより、開閉弁２、切替弁３の開弁タイミン
グ、開弁時間等の制御を多様化させることができ、ひい
ては便器洗浄装置の作動を多様化させて便器洗浄装置の
利便性を高めることができる。

【００３７】ピストン８の変速手段を以下に例示する。
図３（ａ）に示すように、シリンダーの側壁６ａに、長
手方向に互いに間隔を隔てて複数のオリフィス７ａ、７
ｂ、７ｃを取り付ける。ピストン８の変位に応じて、室
Ｂに連通するオリフィスの数が変化し、室Ｂへ流入する
空気の流量が変化し、ピストン８の変位速度が変化す
る。ピストン８の変位と変位速度との関係は、図４の折
線ａとなる。図３（ｂ）に示すように、端壁６ｂ近傍の
シリンダーの側壁６ａの内面に、長手方向に延在し、ピ
ストンヘッド８ｂと協働してオリフィスとして機能する
溝６ａ₁ を形成する。ピストン８の変位に応じて、室Ｂ
に連通するオリフィスの数が変化し、室Ｂへ流入する空
気の流量が変化し、ピストン８の変位速度が変化する。
ピストン８の変位と変位速度との関係は、図４の折線ｂ
となる。図３（ｃ）に示すように、ピストンヘッド８ｂ
からニードル８ｃを突出させ、ニードル８ｃをオリフィ
ス７に挿通させる。ピストン８の変位に応じて、オリフ
ィス穴の断面積が変化し、室Ｂへ流入する空気の流量が
変化し、ピストン８の変位速度が変化する。ピストン８
の変位と変位速度との関係は、図４の曲線ｃとなる。図
３（ｄ）に示すように、シリンダー６を端壁６ｂ側の大
径部６′と端壁６ｃ側の小径部６″とにより構成し、大
径部６′内を摺動する大径ピストンヘッド８ｂ′と小径
部６″内を摺動する小径ピストンヘッド８ｂ″とを配設
する。ピストン８の変位に応じて、シリンダー６の断面
積が変化し、ピストン８の単位変位当たりの室Ｂの容積
変化量が変化し、ピストン８の変位速度が変化する。ピ
ストン８の変位と変位速度との関係は、図４の折線ｄと
なる。図３（ｅ）に示すように、ピストンロッド８ａが
押込み操作終了位置から所定距離変位すると当接する抵
抗体１６を配設する。ピストンロッド８ａが抵抗体１６
に当接することによりピストン８に印加される抵抗力が
変化し、ピストン８の変位速度が変化する。ピストン８
の変位と変位速度との関係は、図４の折線ｄとなる。図
３（ｆ）に示すように、室Ｂ内に、長さの異なる複数の
コイルバネ１０を配設する。ピストンヘッド８ｂが押込
み操作終了位置から所定距離変位すると、ピストンヘッ
ド８ｂを付勢するコイルバネ１０の数が変化して付勢力
が変化し、ピストン８の変位速度が変化する。ピストン
８の変位と変位速度との関係は、図４の折線ｄとなる。

【００３８】スピンドル１１ひいてはピストン８の押込
み量を調整可能としても良い。タイマー５の設定時間が
調整可能になる。

【００３９】ピストンヘッド８ｂの溝８ｂ₁ の一部を切
り欠くのに代えて、図２（ａ）で一点鎖線で示すよう
に、ピストンヘッド８ｂに連通穴８ｂ₂ を形成し、ピス
トンヘッド８ｂの室Ａに臨む面に、連通穴８ｂ₂ を開閉
する弁板８ｂ₃ を取り付けても良い。スピンドル１１を
押し込む際に、弁板８ｂ₃ が撓んで連通穴８ｂ₂ が開
き、室Ｂから室Ａへの空気の移動が許容されるので、室
Ｂ内空気の圧縮によりピストン８に印加される抵抗力が
低減する。この結果、僅かな力でスピンドル１１を押し
込むことが可能となり、タイマー５の始動操作が楽にな
る。ピストンヘッド８ｂの溝８ｂ₁ の一部を切り欠くの
に代えて、図２（ａ）で一点鎖線で示すように、端壁６
ｃに空気穴６ｃ₁ を形成し、端壁６ｃの外面に空気穴６
ｃ₁ を開閉する弁板６ｃ₂ を取り付けても良い。スピン
ドル１１を押し込む際に、弁板６ｃ₂ が撓んで空気穴６
ｃ₁ が開き、室Ｂ内空気が外部へ排出されるので、室Ｂ
内空気の圧縮によりピストン８に印加される抵抗力が低
減する。この結果、僅かな力でスピンドル１１を押し込
むことが可能となり、タイマー５の始動操作が楽にな
る。

【００４０】図５に示すように、スピンドル１１に径方
向高さが異なる複数のカム面１１ａを形成し、押込み操
作終了位置からのスピンドル１１ひいてはピストン８の
変位に応じて、カムロッド１４の移動距離を変化させ
て、開閉弁２の開度を調整するように構成しても良い。
開閉弁２の開度を調整することにより、便器洗浄装置の
吐水流量を時間制御することが可能となり、便器洗浄装
置の利便性が向上する。

【００４１】図１で一点鎖線で示すように、上流端が図
示しない消毒薬貯留タンクに接続された配管１′を切替
弁３よりも下流の配管１に接続し、１′の途上に開閉弁
２′を配設し、開閉弁２′の開閉制御をタイマー５によ
って行うように構成しても良い。リム吐水穴から吐出す
る洗浄水に消毒薬を混合することにより、便器の衛生状
態が向上し、便器洗浄装置の利便性が向上する。混合す
る流体は、水と消毒薬とに限定されない。例えば、水と
湯でも良く、水と空気でも良く、水と洗剤でも良く、任
意の複数種類の流体でも良い。

【００４２】開閉弁２を配設する代わりに、タイマー５
に開閉弁２の機能を持たせても良い。図６に示すよう
に、ピストンヘッド８ｂに通水穴８ｂ₄ を形成し、シリ
ンダーの側壁６ａに通水穴６ａ₂ 、６ａ₃ を形成する。
通水穴６ａ₂ を開閉弁２の上流側に位置する配管１に接
続し、通水穴６ａ₃ を開閉弁２の下流側に位置する配管
１に接続する。端壁６ｃに通気穴６ｃ₃ を形成し、端壁
６ｃの外面に空気穴６ｃ₃ を開閉する弁板６ｃ₄ を取り
付ける。かかる構成によれば、押込み操作終了位置から
原点ヘ向けて移動するスピンドル１１ひいてはピストン
８の変位が所定範囲に在る時に、通水穴６ａ₂ 、６ａ₃
が通水穴８ｂ₄ を介して連通し、通水穴６ａ₂ に接続す
る配管１が、通水穴６ａ₃ に接続する配管１に連通す
る。この結果、配管１を洗浄水が流れる。タイマー５に
開閉弁２の機能を持たせることにより、開閉弁２を設け
る必要がなくなり、便器洗浄装置の構造が単純化され、
製造費用、保守費用が低減する。タイマー５に弁機能を
持たせる構成は、図６の構成に限らない。他の任意の構
成でも良い。

【００４３】コイルバネ１０に代えて、ゴム等の付勢手
段を用いても良い。室Ｂに流入する空気の流量をオリフ
ィス７を用いて規制する代わりに、室Ａから流出する空
気の流量をオリフィスを用いて規制するように構成して
も良い。

【００４４】本発明は便器洗浄装置に限らず、水栓、シ
ャワー装置等広く水廻り装置一般に適用可能である。水
栓、シャワー装置等に本発明を適用する場合には、例え
ば上水道から供給される水と給湯機から供給される湯を
混合する弁を、タイマー５を用いて時間制御するように
構成しても良い。吐水温度を時間制御することが可能と
なり、水栓、シャワー装置、局部洗浄装置等の利便性が
向上する。

【００４５】

【発明の効果】上記説明から分かるように、本発明に係
る水廻り装置においては、可変容積室の容積変化により
時を刻むタイマーによりバルブの作動を制御するので、
停電時でもバルブ制御は不可能にならない。従って、本
発明に係る水廻り装置は、停電時でも作動が停止しな
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る便器洗浄装置の機器構成
図である。

【図２】本発明の実施例に係る便器洗浄装置が備えるタ
イマーの断面図である。

【図３】本発明の実施例に係る便器洗浄装置が備えるタ
イマーの断面図である。

【図４】タイマーが有するピストンの変位と変位速度と
の関係を示す図である。

【図５】タイマーが有するスピンドルの変形例の断面図
である。

【図６】変形例に係るタイマーの断面図である。

【符号の説明】

１ 配管 ２ 開閉弁 ３ 切替弁 ４ 配管 ５ タイマー ６ シリンダー ７ オリフィス ８ ピストン ９ Ｏリング １０ コイルバネ １１ スピンドル １１ａ カム面 １２ 案内部材 １３ カム部材 １４、１５ カムロッド Ａ、Ｂ 室

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 一幸 福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１ 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 平河 智博 福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１ 号 東陶機器株式会社内 Ｆターム(参考） 2D038 GA02 JB05 2D039 FC00 3H063 BB32 DA08 DB50 GG06

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 容積が変化するように付勢されると共
   に、流入する流体の流量又は流出する流体の流量が規制
   されることにより容積変化速度が規制される可変容積室
   の容積変化により時を刻むタイマーと、給水手段と、吐
   水手段と、給水手段と吐水手段との間に配設され前記タ
   イマーによって作動が制御されるバルブ手段とを備える
   ことを特徴とする水廻り装置。
2. 【請求項２】 前記タイマーは、シリンダーと、シリン
   ダー内を摺動可能なピストンと、ピストンを所定方向へ
   付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢方向へのピストン
   の移動に応じてシリンダーへ流入する流体の流量を規制
   し又は付勢手段の付勢方向へのピストンの移動に応じて
   シリンダーから流出する流体の流量を規制するオリフィ
   スとを有することを特徴とする請求項１に記載の水廻り
   装置。
3. 【請求項３】 タイマーは、ピストンの変位を外部へ伝
   達する変位伝達手段を有することを特徴とする請求項２
   に記載の水廻り装置。
4. 【請求項４】 タイマーは、ピストンの変位に応じてピ
   ストンの変位速度を変化させる変速手段を有することを
   特徴とする請求項２又は３に記載の水廻り装置。
5. 【請求項５】 変速手段は、ピストンの変位に応じてオ
   リフィスの数を変化させることを特徴とする請求項４に
   記載の水廻り装置。
6. 【請求項６】 変速手段は、ピストンの変位に応じてオ
   リフィス穴の断面積を変化させることを特徴とする請求
   項４に記載の水廻り装置。
7. 【請求項７】 変速手段は、ピストンの変位に応じてシ
   リンダーの断面積を変化させることを特徴とする請求項
   ４に記載の水廻り装置。
8. 【請求項８】 変速手段は、ピストンの変位に応じてピ
   ストンに印加される抵抗力を変化させることを特徴とす
   る請求項４に記載の水廻り装置。
9. 【請求項９】 変速手段は、ピストンの変位に応じて付
   勢手段の付勢力を変化させることを特徴とする請求項４
   に記載の水廻り装置。
10. 【請求項１０】 付勢手段の付勢方向とは逆方向ヘピス
    トンが移動する際にピストンに印加される抵抗力を低減
    させる抵抗力低減手段を備えることを特徴とする請求項
    ２乃至９の何れか１項に記載の水廻り装置。
11. 【請求項１１】 抵抗力低減手段は、シリンダーへ流入
    する流体の流量を増加させ又はシリンダーから流出する
    流体の流量を増加させることを特徴とする請求項１０に
    記載の水廻り装置。
12. 【請求項１２】 抵抗力低減手段は、ピストンヘッドに
    より仕切られたシリンダーの一方の区画から他方の区画
    への流体の移動を許容することを特徴とする請求項１０
    に記載の水廻り装置。
13. 【請求項１３】 タイマーに使用される流体は空気であ
    ることを特徴とする請求項１乃至１２の何れか１項に記
    載の水廻り装置。
14. 【請求項１４】 可変容積室が大気開放されていること
    を特徴とする請求項１３に記載の水廻り装置。
15. 【請求項１５】 オリフィスは金属製であることを特徴
    とする請求項２に記載の水廻り装置。
16. 【請求項１６】 変位伝達手段は、バルブの開度を調整
    することを特徴とする請求項３に記載の水廻り装置。
17. 【請求項１７】 複数の吐水手段を備えることを特徴と
    する請求項１乃至１６の何れか１項に記載の水廻り装
    置。
18. 【請求項１８】 複数の給水手段を備えることを特徴と
    する請求項１乃至１７の何れか１項に記載の水廻り装
    置。
19. 【請求項１９】 バルブ手段は複数種類の流体の流れを
    制御することを特徴とする請求項１乃至１８の何れか１
    項に記載の水廻り装置。
20. 【請求項２０】 タイマーはバルブ機能を有することを
    特徴とする請求項１乃至１９の何れか１項に記載の水廻
    り装置。