JP4002592B2 - 吐水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は吐水装置に関し、詳しくは吐止水操作部及び流調操作部を手元操作部として備えた吐水装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、キッチン水栓装置(吐水装置)として吐水管の先端部をシャワーヘッドとして構成し、これをシャワーホースとともに引き出して吐水口から吐水可能となしたものが用いられるようになって来ている。
或いはまた、洗面化粧室に備えられる洗髪シャワー水栓においても同様の形態のものが用いられている。
【0003】
一方浴室においては、従来より水栓本体からシャワーホースを延び出させてその先端にシャワーヘッドを接続し、水栓本体から供給した水をシャワーヘッドよりシャワー吐水するようになしたものが広く用いられている。
【0004】
ところでこれらの吐水装置の場合、シャワーヘッドを自在に目的の位置に持ち来して吐水することができ、吐水位置がほぼ固定の他の従来一般の吐水装置に比べて利便性が高いものの、反面において吐水口からの吐水・止水(吐止水)を行うための吐止水操作部及び吐水口からの吐水流量調節のための流調操作部がシャワーヘッドから遠い位置にあるため、それらの操作がし辛いといった問題があった。
【0005】
そこで例えば浴室の吐水装置において、シャワーヘッドに手元操作部として吐止水操作部を設けるといったことが行われている。
図14はその一例を示したものである。同図において300はシャワーヘッド、302は継手管で、それらに対し所定長さの可撓性のシャワーホース304の各端部が接続されている。
継手管302は接続口306を有していて、その接続口306において水栓本体に接続され、水栓本体からの水がシャワーホース304内部の主水路308及びシャワーヘッド300内部の主水路308を通じてシャワーヘッド300の吐水口へと供給される。
【0006】
シャワーヘッド300には手元操作部として吐止水操作部310が設けられており、その吐止水操作部310の操作によって主水路308を開閉する主弁312が開閉動作するようになっている。
【0007】
詳しくは、シャワーホース304及びシャワーヘッド300の内部には可撓性のチューブ314が挿通されていてその内部にパイロット水路316が形成されており、吐止水操作部310を図14に示す状態から右向きに押込操作すると、軸318の右向きの移動及びこれに伴うボール320の下向きの押出しによってパイロット弁322が弁座324から離れて開弁し、パイロット水路316内部の水をシャワーヘッド300内部の主水路308に流出させる。
【0008】
すると主弁312の背面側に形成された背圧室326(この背圧室326はパイロット水路316に連通している)内部の圧力が低下し、主弁312が給水圧により図中上向きに開弁動作する。
ここにおいてシャワーホース304内の主水路308に水栓本体側からの水が供給される。供給された水はシャワーヘッド300内部の主水路308を流通した後、先端の吐水口から吐水される。
【0009】
一方吐止水操作部310を左向きに押込操作して図14に示す状態に戻すと、ここにおいてパイロット弁322が閉弁し、これによって背圧室326内部の圧力が漸次高まって最終的に主弁312が閉弁し、吐水口への水の供給が停止する。
【0010】
この図14に示す吐水装置にあっては、シャワーヘッド300を手に持った状態で吐止水操作部310を手元操作することにより吐水口からの吐止水を行うことができ、しかもその吐止水操作部310はパイロット水路316を開閉するものであるため、小さい力で楽に操作でき、この点で利便性の高いものであるが、この吐水装置にあっては、吐水口からの流量を調節する場合にはシャワーヘッド300から遠く離れた水栓本体の流調操作部を操作しなければならず、利便性の点で未だ十分とは言えないものである。
【0011】
図15は別の従来例を示したもので、この例のものはシャワーヘッド300に設けた吐止水操作部328の操作摘み330を回転操作することで弁体332を軸方向に移動させ、そしてこれを弁座334に当接させ或いは離間させることによって主水路308を開閉し、吐水口336からの吐水及び止水を行うようになしたものである。
尚この例の吐水装置の場合、弁体332を閉弁させるとシャワーホース304の上流部に配設してある主弁312も閉弁する。
【0012】
この例の吐水装置にあっても、シャワーヘッド300を手に持ちながら手元操作により吐止水を行うことができる。
しかしながらこの吐水装置の場合、手元操作部としての吐止水操作部328が、大流量で水を流通させる主水路308を直接開閉するものであることから操作が重くなる問題があり、更にまた吐止水操作部328の操作によって弁体332を閉弁させると、それより上流側のシャワーヘッド300内部及びシャワーホース304内部に一定の圧力が篭った状態となってしまう問題があり、更に吐水口336近くまで水が溜まったまま止水状態に保持されることとなるため、その滞留水内部で雑菌が発生・繁殖する恐れがあるといった不都合がある。
【0013】
この図15に示す吐水装置の場合、吐止水操作部328における操作摘み330の回転量を調節することで、吐水口336からの吐水流量の調節も併せて行うことが可能である。
しかしながらこの場合、1つの操作部及び1つの弁にて吐止水と流量調節との両方を行う関係上、吐止水を行う度にその都度流量調節も行わなければならず、操作が面倒である問題がある。
即ち折角適正流量となるように弁332の位置を調節したとしても、その後止水を行うと必然的に弁の位置が移動してしまうため、次に吐水を行うとき再び適正流量となるように操作しなければならないといった面倒がある。
【0014】
以上シャワーヘッドを有する吐水装置を例として説明したが、このようなシャワーヘッドを有しない通常の長い吐水管の先端の吐水口から吐水を行う一般のキッチン水栓装置(吐水装置)においても大なり小なり同様の問題が内在する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の吐水装置はこのような課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、吐水口を有するシャワーヘッド又は吐水管から成る吐水部に、該吐水口からの吐水と止水を行うための吐止水操作部と吐水流量の調節を行うための流調操作部とをそれぞれ独立して操作可能に別々に手元操作部として設け、且つそれら各操作部に対応した吐止水弁と流調弁とを別々に設けるとともに、該吐止水弁を該流調弁の上流側に配置して成る吐水装置において、前記吐止水弁が、主水路を開閉する主弁と該主弁の動作を制御するパイロット弁とを有していて、該パイロット弁及び前記流調弁が前記吐水部の内部に組み込んであり、且つ該パイロット弁は、前記主弁の背面側に配置されて小孔により前記主水路の該主弁よりも上流側に連通した背圧室から延び、該背圧室に対して連通したパイロット水路を前記吐止水操作部の操作により開閉することで前記主弁を該背圧室の圧力の増減により開閉させる弁と成してあることを特徴とする。
【0016】
請求項のものは、請求項に記載の吐水装置において、前記吐止水操作部と流調操作部とが同軸に配置してあることを特徴とする。
【0017】
請求項のものは、請求項に記載の吐水装置において、前記吐止水操作部が内側に、前記流調操作部が外側に配置されているとともに、前記吐水部の内部には、中心部に前記パイロット弁と該パイロット弁により開閉される前記パイロット水路が形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項のものは、請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記吐止水操作部が押ボタン式の操作部であることを特徴とする。
【0019】
請求項のものは、請求項に記載の吐水装置において、前記吐止水操作部が、操作力の入力部である操作部材と、該操作部材を押し込むごとに前記パイロット弁を閉弁位置と開弁位置とに交互に保持するロック機構を有していることを特徴とする。
【0020】
請求項のものは、請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記流調操作部が回転運動を行うダイヤル式のものであることを特徴とする。
【0021】
請求項のものは、請求項に記載の吐水装置において、前記流調弁が周方向に開口を有する円筒形状の弁から成っていることを特徴とする。
【0022】
請求項のものは、請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記シャワーヘッド又は吐水管に接続されたシャワーホース又は通水路より上流部の前記主水路内に前記主弁が組み込んであり、該主弁の配設部位から前記パイロット弁の配設部位まで該シャワーホース又は通水路内部を細管が延び出していて、該細管内に前記パイロット水路が形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項のものは、請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記シャワーヘッド又は吐水管に接続されたシャワーホース又は通水路より上流部の前記主水路内に前記主弁が組み込んであり、該主弁の配設部位から前記パイロット弁の配設部位まで該シャワーホース又は通水路内部を細管が延び出していて、該細管内に前記パイロット水路が形成されているとともに、該シャワーホース又は通水路より上流部の主水路内に且つ前記主弁より上流側に、下流部分を給水圧に対し減圧状態とする減圧弁が組み込んであることを特徴とする。
【0024】
請求項10のものは、請求項に記載の吐水装置において、前記減圧弁が前記主弁とともに継手管の内部に組み込んであることを特徴とする。
【0025】
【作用及び発明の効果】
上記のように請求項1の吐水装置は、シャワーヘッド又は吐水管から成る吐水部に吐止水操作部と流調操作部とを共に且つ独立して操作可能に別々に設けたもので、この吐水装置の場合、吐水口からの吐止水のみならず流量調節をも手元操作することができ、吐水装置の利便性を飛躍的に高めることができる。
【0026】
しかもこの吐水装置の場合、吐止水操作部と流調操作部及びそれらに対応する吐止水弁と流調弁とが別々に設けてあるため、吐止水操作を行う度に流量調節をその都度行わなければならないといった面倒がない利点を有する。
【0027】
この吐水装置にあっては、吐水口からの吐水流量が所望水量となるように流調操作部を操作したとき、その状態を維持したままで吐止水操作部によって止水操作を行うことができ、従ってその後再び吐水を行ったとき自動的に吐水口から所望流量で吐水を行わせることができる。
【0028】
この請求項1の吐水装置は、上記吐止水弁として主水路を開閉する主弁とその動作を制御するパイロット弁とを設け、そしてそのパイロット弁及び流調弁を吐水部の内部に組み込んでおり、従ってこの吐水装置にあっては、小さな操作力で軽やかに吐水口からの吐止水操作を行うことができる。
またそのパイロット弁及び流調弁が吐水部の内部に組み込んであるため、吐止水操作部及び流調操作部の近くに各対応する弁が位置することとなり、操作部及び弁の構造を簡単な構造となすことができ、併せて組付け性も良好となすことができる。
【0029】
ここで上記吐止水操作部と流調操作部とは同軸に配置しておくことができる(請求項)。
このようにした場合操作部が集中しているので、使い勝手が良く、またコンパクトになる。
この場合において吐止水操作部を内側に、流調操作部を外側に配置するとともに、吐水部の内部には中心部にパイロット弁とこれにより開閉されるパイロット水路を形成しておくことができる(請求項)。
【0030】
本発明においては、上記吐止水操作部を押ボタン式となすことができる(請求項)。
吐止水操作部は単に吐水操作と止水操作とを行うだけのものであるため、即ちオン・オフ操作するだけのものであるため、これを押ボタン式とすることが容易であって、しかもそのようにしたとき吐止水操作をワンタッチで簡単に行うことができる。
【0031】
この場合において吐止水操作部は、操作力の入力部である操作部材と、これを押し込むごとにパイロット弁を閉弁位置と開弁位置とに交互に保持するロック機構を有するように構成しておくことができる(請求項)。
このようにすれば、押込力を加え続けなくても吐水状態と止水状態とを維持することができ、操作が簡単となる。
【0032】
一方流調操作部は、これを回転運動を行うダイヤル式のものとなしておくことができる(請求項)。
更にこの流調弁は、流調操作部の回転に伴って回転運動を行う、周方向に開口を有する円筒形状の弁にて構成することができる(請求項)。
【0033】
請求項の吐水装置では、主弁の配設部位からパイロット弁の配設部位まで細管を延び出させてパイロット水路を形成し、パイロット弁によりそのパイロット水路を閉鎖することで主弁を閉鎖するため、止水状態においてシャワーホース又は通水路内の主水路を大気開放状態とすることができ、従ってシャワーホース又は通水路の主水路内に圧力が篭ったり水が滞留してしまうといったことを良好に回避することができる。
【0034】
請求項のものは、シャワーホース又は通水路より上流部の主水路内に且つ上記主弁より上流側に、下流部分を給水圧に対し減圧状態とする減圧弁を組み込んだもので、この吐水装置にあっては、主弁を開いた状態のままで流調操作部の操作により流量調節弁を操作したとき、詳しくは流量を少なく絞り込んだときに、給水圧によりシャワーホース等の内部の圧力が過大となってシャワーホース部分が硬くなってしまうのを防ぐことができる。
流量を絞ることによって下流部分が圧力上昇すると減圧弁が主水路を絞り又は閉弁して下流部分の主水路の圧力を給水圧に対し減圧状態に保持するからである。
従って主弁を開いた状態の下で流量を絞った場合においても、下流部分に大きな圧力が篭ってしまうのを良好に回避することができる。
【0035】
請求項10のものは、上記主弁と減圧弁とを継手管の内部に組み込んだもので、このようにしておけば従来の水栓本体を何ら改変する必要がなく、また吐水装置の組付性も良好となる。
【0036】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1,図2は本発明の吐水装置の一例としてのキッチンの水栓装置を示したものである。
図中10はキッチンカウンターで、12はシンクである。
14はキッチンカウンター10から起立する状態で設けられた吐水管で、その先端部がシャワーヘッド16として構成されている。
【0037】
このシャワーヘッド16には、吐水口18からの吐水をシャワー吐水から整流吐水に若しくはその逆に切替操作する切替操作部20が備えられている。
更にまたこのシャワーヘッド16には、吐水口18からの吐水と止水を行うための吐止水操作部22及び吐水口18からの吐水流量を調節する流調操作部24が備えられている。
【0038】
26はキッチンカウンター10に取り付けられた湯水の混合部(水栓本体)で、水と湯の供給管28が接続されており、それらを通じて水及び湯が内部に供給されるようになっている。
この混合部26には水と湯の混合比率を調節する温調操作部30が設けられており、この温調操作部30がキッチンカウンター10の上面に露出している。
【0039】
上記シャワーヘッド16にはシャワーホース32が接続されており、このシャワーホース32がキッチンカウンター10の下側において上記混合部26に接続されている。
尚、図2に示しているようにシャワーホース32の端部には継手管34が接続されており、この継手管34が混合部26の接続口に差込状態で連結されている。
【0040】
シャワーヘッド16及びシャワーホース32の内部には、図3に示しているように大流量で水を流通させる主水路36が形成されており、その主水路36に沿ってその中心部に可撓性のチューブ38が挿入配置されている。
チューブ38は、その一端部が継手管34内部に組み込まれたピストン式の主弁42にパイプ40を介して接続されている。
【0041】
主弁42はその内部に水路を有しており、この主弁42,パイプ40及びチューブ38内部の水路によって、主弁42の背面側に形成された背圧室44に連通するパイロット水路46が形成されている。
ここで背圧室44は小孔47を介して主水路36の上流部、詳しくは背圧室44の上流部に連通している。
【0042】
主弁42はピストン部48を有していて、そのピストン部48が円筒形の摺動面50に摺動可能に嵌合されており、そして先端側の当接部52が継手管34に形成された弁座54に当接し又はこれから離間することによって、主水路36を閉鎖し又は開放する。
【0043】
継手管34の内部にはまた、主弁42より上流側、詳しくは主弁42による主水路36の開閉部位よりも上流側にピストン式の減圧弁56が組み込まれている。
減圧弁56は大径のピストン部58を有しており、そのピストン部58が円筒形の摺動面60に摺動可能に嵌合されている。
【0044】
この減圧弁56はその下流部分、詳しくは主水路36における減圧弁56の配設部位よりも下流部分の圧力が上昇して一定圧に達したとき、上流部と下流部とに対する受圧面積の差によって図中下向きに押動され、図8に拡大して示しているようにその当接部66を弁座62に接近又は当接させることによって、主水路36を絞り又は主弁42の上流側で閉鎖する。
【0045】
即ち減圧弁56は、主水路36を絞り又は閉鎖することによって、これより下流側の主水路36内の圧力をその上流側(一次側)の給水圧よりも低い圧力状態(減圧状態)に保つ働きをする。
尚この減圧弁56は、スプリング64により常時開弁方向に付勢されている。
また継手管34の端部にはねじ式の接続口68が設けられている。
【0046】
シャワーヘッド16には、円筒形状の弁から成る流量調節弁70が、流調操作部24と一体回転する状態で組み込まれている。
この流量調節弁70は主水路36の水の流量を調節するもので、周方向に略楔状をなす開口72、即ち周方向に進むにつれて開口幅が漸次変化する開口72を有している。
一方シャワーヘッド16(厳密にはシャワーヘッド16における本体側)には、主水路36と吐水口18とを連通させる円形の開口74が形成されている。
【0047】
本例において、主水路36からの水はそれら開口72,74を経て吐水口18へと流れ出す。
従って図11及び図12に示しているように流量調節弁70が流調操作部24とともに回転して開口72の位置が変化することで、吐水口18からの吐水流量が大→小へ若しくはその逆に変化せしめられる。
【0048】
上記吐止水操作部22は、この例では押ボタン式のもので図4にも示しているように逆カップ状をなす操作部材76と、操作部材76を押し込むごとにパイロット水路46を開閉するためのパイロット弁78を閉弁位置と開弁位置とに交互に保持するロック機構80とを有している。
【0049】
尚、パイロット弁78は軸状の当接部82を有しており、その当接部82がチューブ38端部の装着部材84(図10参照)の弁座86に当接することによってパイロット水路46を閉鎖し(図4(A)参照)、また弁座86から離間することによってパイロット水路46を開放する(図4(B)参照)。
【0050】
本例において、ロック機構80はスラストロック式のもので外筒88と、その内周面に突出する状態で形成された円筒形状のガイド部90(図9参照)とを有している。
ガイド部90は、上端面に沿って周方向に鋸刃状の係合歯92を有しており、更に周方向に沿って所定間隔ごとに複数の溝94を有している。
【0051】
一方、パイロット弁78には大径の固定リング96と回転リング98とが設けられている。
回転リング98は軸部100の周りに回転可能とされており、更に軸部100に設けられたストッパ部102と固定リング96との間で微小ストローク上下に相対移動可能とされている。
【0052】
固定リング96の外周面には周方向に一定間隔で突起104が設けられており、その上端に係合歯106が形成されている。
他方、回転リング98にも周方向に沿って一定間隔ごとに突起108が設けられており、そしてそれら突起108を含む回転リング98下端部に、周方向に沿って鋸刃状の係合歯110が形成されている。
【0053】
尚、図3,図4に示しているようにパイロット弁78は回転リング98の上面においてスプリング112により常時下向きに付勢されており、またロック機構80の外筒88はスプリング114により常時上向きに付勢されている。
【0054】
この例のスラストロック式のロック機構80は次のように作用する。
図9(B)(I)はパイロット弁78がチューブ38端部の装着部材84の弁座86に当接した状態、即ちパイロット水路46を閉鎖した状態を示している。
【0055】
この状態において操作部材76及びロック機構80の外筒88をスプリング112及び114の付勢力に抗して下向きに押し込むと、図9(B)(II)に示しているようにパイロット弁78の回転リング98がガイド部90の溝94から外れた状態となり、ここにおいて回転リング98が、固定リング96側の突起104の係合歯106と回転リング98側の係合歯110のカム面の作用で微小角度反時計方向に回転させられる。
【0056】
その後押込力を除くと、スプリング114の付勢力でガイド部90が外筒88とともに上昇運動し、このときガイド部90の上端の係合歯92と回転リング98の係合歯110とが一部噛み合った状態となる。
【0057】
更にガイド部90が上向きに押し上げられると、回転リング98が固定リング96から浮き上がるとともにそれら係合歯92,110のカム面の作用で回転リング98が更に微小角度反時計方向に回転させられてガイド部90の係合歯92と回転リング98の係合歯110とが完全に噛み合った状態となり(図9(B)(III)参照)、これとともに回転リング98とストッパ部102との当接作用で回転リング98,固定リング96を含むパイロット弁78全体が上昇端まで上昇させられてその上昇端に保持される。即ちパイロット弁78が開弁位置に保持される。
ここにおいてパイロット水路46が開放状態とされてピストン式の主弁42が開かれ、主水路36内を水が流通する。
【0058】
さて再び操作部材76を押込操作すると、これとともにロック機構80の外筒88及びガイド部90が下向きに移動し、ここにおいて回転リング98の係合歯110とガイド部90の係合歯92との噛合いが外れるとともに、スプリング112の付勢力でパイロット弁78における固定リング96の係合歯106と回転リング98の係合歯110とが接触し(図9(B)(IV),(V)参照)、更にガイド部90が下降して回転リング98が自由回転状態になると、固定リング96及び回転リング98の各係合歯106,110のカム面の作用により回転リング98が微小角度反時計方向に回転させられ、そしてそれら係合歯106及び110が完全に噛み合ったところで回転リング98の回転が停止する(図9(B)(VI)参照)。
【0059】
その後操作力を除くことによって、(VII)に示しているようにガイド部90がスプリング114の付勢力で上向きに移動すると、回転リング98が浮き上った後、ガイド部90の係合歯92と回転リング98の係合歯110とのカム面の作用で回転リング98が微小角度回転した上で、回転リング98の突起108が固定リング96の突起104とともにガイド部90の溝94に嵌り合い、続いてスプリング112及び114の付勢力でそれら突起104,108が外筒88の上昇運動を伴って溝94の底部まで落ち込む(図9(B)(VIII)参照)。ここにおいてパイロット弁78が再びパイロット水路46を閉鎖した状態となる。
尚このロック機構自体は従来公知であるのでここでは更に詳しい説明は省略する。
【0060】
尚、図4に示しているようにパイロット弁78と主水路36との間のシールは、主水路36の端部に設けられたプラグ116(図10参照)内周面のパッキンによって行われている。
【0061】
本例の吐水装置の場合、吐止水操作部22を押込操作すると、パイロット弁78が図3に示す閉弁状態から図5に示すように開弁動作し、ここにおいてパイロット水路46が開かれ、続いて主弁42が開弁動作する。
これによりシャワーヘッド16の先端部まで水が主水路36を通じて供給され、続いて流量調節弁70,シャワーヘッド16の開口72,74を通じた後、吐水口18から吐水される。
図6はこのときの状態を示している。
【0062】
尚、図6の状態では流量調節弁70がいっぱいまで開かれており、吐水口18からは最大流量で水が吐水される。
さてこの状態で流調操作部24を回転操作し開口72を漸次狭めて行くと、これに伴って吐水口18からの吐水流量が減少変化する(図7(I)参照)。
【0063】
図7(II)は吐水口18からの吐水流量を最も絞った状態を表している。
このような状態の下では、上記減圧弁56を設けておかないとシャワーヘッド16先端部まで、詳しくは主水路36の先端部まで一次給水圧が導かれてシャワーホース32内に大きな圧力が篭った状態となってしまい、またこれに伴ってシャワーホース32が硬くなってしまい、自由に曲り難くなる。
【0064】
しかるに本例の吐水装置においては主弁42の上流側に減圧弁56が設けられており、その減圧弁56の配設部位よりも下流部分の主水路36内部の圧力が高まって来ると、即ちシャワーホース32内部の圧力が上昇してくるとその減圧弁56が閉弁方向に動作し、主水路36を絞り又は減圧弁56の上流部と下流部とで遮断する。
【0065】
これにより減圧弁56よりも下流側の主水路36内部の圧力が給水圧に対し一定圧低い減圧状態に保たれ、従って主弁42を開いた状態の下で流量を絞った場合においても、シャワーホース32内部に過大な圧力が篭ってシャワーホース32が硬くなってしまうのが有効に防止される。
【0066】
また本例の吐水装置では主弁42がシャワーホース32よりも上流部に配設してあるため、更には吐止水操作部22の止水操作によりパイロット水路46を閉鎖することでその主弁42を閉弁させ、これにより吐水口18からの吐水を止めるようにしているため、止水状態においてその主弁42よりも下流側の主水路36内部全体を大気開放状態とすることができ、シャワーホース32及びシャワーヘッド16内の主水路36内に圧力が篭ったり水が滞留したりするのを防ぐことができる。
【0067】
更に本例のものは主弁42と減圧弁56とをシャワーホース32に接続された継手管34の内部に組み込んでいるため、従来の水栓本体(混合部26)を何ら改変する必要がなく、また吐水装置の組付性も良好となる。
【0068】
本例の吐水装置によれば、吐水口18からの吐止水のみならず流量調節をも手元操作することができ、吐水装置の利便性を飛躍的に高めることができる。
【0069】
しかもこの吐水装置の場合、吐止水操作部22と流調操作部24及びそれらに対応するパイロット弁78と流量調節弁70とが別々に設けてあるため、吐止水操作を行う度に流量調節をその都度行わなければならないといった面倒がない利点を有する。
【0070】
この吐水装置にあっては、吐水口18からの吐水量が所望水量となるように流調操作部24を操作したとき、その状態を維持したままで吐止水操作部22によって止水操作を行うことができ、従ってその後再び吐水を行ったとき自動的に吐水口18から所望流量で吐水を行わせることができる。
【0071】
また本例の吐水装置は、主弁42の動作を制御するパイロット弁78を閉弁動作させて止水を行うようにしているため、小さな操作力で軽やかに吐水口18からの吐止水操作を行うことができるとともに、パイロット弁78及び流量調節弁70が吐水部の内部且つ吐止水操作部22及び流調操作部24近くに配設してあるため、各操作部と対応する弁とを直接作動的に連結することができそれら操作部及び弁の構造を簡単な構造と成すことができ併せて組付け性も良好となすことができる。
【0072】
更に本例では吐止水操作部22を押ボタン式となしているため、吐止水操作をワンタッチで極めて簡単に行うことができる。
【0073】
以上は大流量で水を流通させる主水路36と、主水路36を開閉する主弁42の動作制御用のパイロット水路46及びパイロット弁72を設けた場合の例であるが、主水路36のみを設けておき、その主水路36を吐止水弁によって吐止水し、また主水路内の流量を流量調節弁で調節するようになすことも可能である。
【0074】
図13はその一例(本発明の参考例)を示している。
同図において、136は弁座138に当接し又はこれから離間することによって主水路36を開閉する吐止水弁で、手元操作部としての吐止水操作部(図示省略)によって開閉操作されるようになっている。
140は流量調節弁で、手元操作部としての流調操作部(図示省略)により軸方向(図中上下方向)に移動操作されることで、主水路36を流通する水流量を調節する。
【0075】
この例において(I)は止水状態を示しており、吐止水弁136は弁座138に当接した状態にあり、主水路36は閉じられている。
この状態において(II)に示しているように吐止水弁136を吐水操作部にて開弁させると、主水路36が開かれて主水路36内を水が流通し、吐水口からの吐水が行われる。
このとき図13(II),(III)に示しているように、吐止水弁136を開いた状態の下で流量調節弁140を軸方向に移動操作することで、主水路36内を流通する水の流量を調節することができる。即ち吐水口18からの吐水流量を調節することができる。
【0076】
本例の吐水装置においても、吐水操作部と流調操作部及びそれらに対応する吐止水弁136と流量調節弁140とが別々に設けてあるため、吐止水操作を行う度に流量調節をその都度行わなければならないといった面倒がない利点を有する。
【0077】
上例ではキッチン水栓装置の吐水管の先端部をシャワーヘッドとして構成し、そのシャワーヘッドに吐止水操作部,流調操作部及びパイロット弁,流量調節弁を設けた場合の例であるが、本発明は他の様々な形態のシャワーヘッドを有する吐水装置、例えば浴室内に設置されるシャワーヘッドを備えた吐水装置にも勿論適用可能なものであるし、或いは洗髪シャワー水栓装置から成る吐水装置にも適用可能である。
【0078】
また本発明はそのようなシャワーヘッドを有しない通常の吐水管及び水栓本体を備えた吐水装置に対しても適用可能であるなど、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である吐水装置の概略全体構成を示す図である。
【図2】 図1の吐水装置の要部を示す図である。
【図3】 同じ実施例の吐水装置におけるシャワーヘッドと継手管内部の構成を示す断面図である。
【図4】 図3に示すシャワーヘッドの要部を拡大して示す図である。
【図5】 図3に示す各部の一作用状態を示す図である。
【図6】 図3に示す各部の図5とは異なる一作用状態を示す図である。
【図7】 図3に示すシャワーヘッド内部の図5及び図6とは異なる一作用状態を示す図である。
【図8】 図3における継手管内部の主弁及び減圧弁の一作用状態を示す図である。
【図9】 図3のシャワーヘッドに組み込んだ吐止水操作部におけるロック機構の作用説明図である。
【図10】 図3のシャワーヘッド内部のパイロット弁と周辺部の要部分解図である。
【図11】 図3の流量調節弁の要部を示す図である。
【図12】 図11の流量調節弁の作用説明図である。
【図13】 本発明の参考例の要部の作用説明図である。
【図14】 従来の吐水装置の一例の要部を示す図である。
【図15】 従来の吐水装置の図14とは異なる一例の要部を示す図である。
【符号の説明】
14 吐水管
16 シャワーヘッド
18 吐水口
22 吐止水操作部
24 流調操作部
32 シャワーホース
34 継手管
36 主水路
38 チューブ
40 パイプ
42 主弁
46 パイロット水路
56 減圧弁
70,140 流量調節弁
76 操作部材
78 パイロット弁
80 ロック機構
136 吐止水弁

Claims (10)

  1. 吐水口を有するシャワーヘッド又は吐水管から成る吐水部に、該吐水口からの吐水と止水を行うための吐止水操作部と吐水流量の調節を行うための流調操作部とをそれぞれ独立して操作可能に別々に手元操作部として設け、且つそれら各操作部に対応した吐止水弁と流調弁とを別々に設けるとともに、該吐止水弁を該流調弁の上流側に配置して成る吐水装置において、
    記吐止水弁が、主水路を開閉する主弁と該主弁の動作を制御するパイロット弁とを有していて、該パイロット弁及び前記流調弁が前記吐水部の内部に組み込んであり、
    且つ該パイロット弁は、前記主弁の背面側に配置されて小孔により前記主水路の該主弁よりも上流側に連通した背圧室から延び、該背圧室に対して連通したパイロット水路を前記吐止水操作部の操作により開閉することで前記主弁を該背圧室の圧力の増減により開閉させる弁と成してあることを特徴とする吐水装置。
  2. 請求項に記載の吐水装置において、前記吐止水操作部と流調操作部とが同軸に配置してあることを特徴とする吐水装置。
  3. 請求項に記載の吐水装置において、前記吐止水操作部が内側に、前記流調操作部が外側に配置されているとともに、前記吐水部の内部には、中心部に前記パイロット弁と該パイロット弁により開閉される前記パイロット水路が形成されていることを特徴とする吐水装置。
  4. 請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記吐止水操作部が押ボタン式の操作部であることを特徴とする吐水装置。
  5. 請求項に記載の吐水装置において、前記吐止水操作部が、操作力の入力部である操作部材と、該操作部材を押し込むごとに前記パイロット弁を閉弁位置と開弁位置とに交互に保持するロック機構を有していることを特徴とする吐水装置。
  6. 請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記流調操作部が回転運動を行うダイヤル式のものであることを特徴とする吐水装置。
  7. 請求項に記載の吐水装置において、前記流調弁が周方向に開口を有する円筒形状の弁から成っていることを特徴とする吐水装置。
  8. 請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記シャワーヘッド又は吐水管に接続されたシャワーホース又は通水路より上流部の前記主水路内に前記主弁が組み込んであり、該主弁の配設部位から前記パイロット弁の配設部位まで該シャワーホース又は通水路内部を細管が延び出していて、該細管内に前記パイロット水路が形成されていることを特徴とする吐水装置。
  9. 請求項1〜の何れかに記載の吐水装置において、前記シャワーヘッド又は吐水管に接続されたシャワーホース又は通水路より上流部の前記主水路内に前記主弁が組み込んであり、該主弁の配設部位から前記パイロット弁の配設部位まで該シャワーホース又は通水路内部を細管が延び出していて、該細管内に前記パイロット水路が形成されているとともに、該シャワーホース又は通水路より上流部の主水路内に且つ前記主弁より上流側に、下流部分を給水圧に対し減圧状態とする減圧弁が組み込んであることを特徴とする吐水装置。
  10. 請求項に記載の吐水装置において、前記減圧弁が前記主弁とともに継手管の内部に組み込んであることを特徴とする吐水装置。
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