JP4296863B2 - 流量調整弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、狭い空間でも管路内の流量調整が可能な流量調節弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の配管途中での流量調節には、玉形弁、仕切弁、蝶形弁、ボール弁等が良く用いられる。これらの弁は、流体の流れに対し、S字型の流路を作り、その中間に可動弁を置き、動作させることにより、流路を開閉したり、流量を調節する手段と、流路はほとんど変えずに、流路を仕切る障害物を入れ、その障害物を動作させることによる、流路の開閉と流量の調節する手段である。このような手段は、配管の途中に弁部品を挿入し、該部品から突出した、弁の方向もしくは位置を変える部分を操作することにより、弁の開閉、流量調節が行われる。この位置を変える部分には、レバーを用いて弁の角度を90度変える開閉と開度調整する方法や、ハンドルの回転による弁座と弁の位置間隔調整をする方法などがある。このような手段は、流量調節においてごく普通に用いられる。
【0003】
しかし、周囲にスペースの限られた配管では、こうしたレバーやハンドルを配管に対して直角に立ち上げることは難しい場合がでてくる。このような場合に良く用いられる方法は、レバーやハンドルは常時はずしておき、必要な時にレバーやハンドルを装着して用いる使用方法もある。しかし、使用時に該レバーやハンドルが操作できるスペースを必要とする。
【0004】
上記のような形態を有する弁の他に、配管の外周を動作し、流量を調整する手段がある。例えば消防用放水ノズルのように、消防手が該ノズルの先端を回転させるだけで、棒状放水や拡散状放水が可能である(特許文献1参照)。
また、浴室に使用されるシャワーの放水口と、該放水口に続くホースの蛇口位置に外周を回転することにより流量を調整することができる手段を持つものがある(特許文献2)。これらの手段は、前記のレバーやハンドルのような大きなスペースを必要としない。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−285561号公報(0037−0038)
【特許文献2】
特開2001−137145号公報(0008−0013)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
スペースを取らない弁の手段としては、環状の螺合弁を用いる手段が考えられる。しかし、先に記載した2つの例では、流体の流れが一方向に限定され、双方向の流量調節は考えられていない。消防ノズルでは、一方向からの水圧を考慮し、その水圧を利用した弁構造をとる。シャワーの放水口でも、シャワー部の押しボタンにより、流路を遮断すると、蛇口付近の螺合弁が逆圧により遮断される構造となっている。
これらの一方向型弁ではなく、双方向からの流れに対し、開閉可能であり、流量調節出来るコンパクトな弁を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、先端部に流路遮断用パッキンを有する管状部材と、該管状部材を囲繞し、且つ該パッキンを受け止める底部に流路を有するケース部材、及び該ケース部材と螺合する調節部材からなる管路内の流量を調整する弁であり、前記管状部材には、前記パッキン近傍の管状部材に通じる流路用孔と、前記ケース部材との隙間遮断用Oリングと位置調整用突起部を有し、前記調節部材のねじにより該突起部を軸方向に位置調整し、前記パッキンと前記ケース部材の底部間に間隙を与えることにより、流路を形成し、
前記管状部材の先端部と管状部が2つの部品からなり、これらをノックピンで固定し、
前記管状部材の先端部を延長し、該先端部付近の外周にOリングを有し、該Oリングと内面で接する円筒流路部材を設け、該円筒流路部材の外周面と前記調節部材の内面とが螺合していることを特徴とする流量調整弁である。
本発明の構造を取れば、所要スペースは最小限となり、且つ双方向の流れに対し開閉動作と流量調整が可能である。また、管状部材の先端部と管状部が2つの部品からなり、これらをノックピンで固定しているので、各部品を作製しやすい。さらに、前記管状部材の先端部を延長し、該先端部付近の外周にOリングを有し、該Oリングと内面で接する円筒流路部材を設け、該円筒流路部材の外周面と前記調節部材の内面とが螺合しているので、螺合による弁の流路方向における長さ変化を吸収できる。
【0009】
さらに、前記管状部材の先端部が円錐状をなし、該先端部のパッキンを受けるケース部材の底部内面も該円錐状に合わせた形状とし、且つ円錐状パッキンの裾方向に続く円錐部に管状部材内に通じる流路用孔を設けてあると流路が滑らかになり、高粘性体向きである。
前記ケース部材のパッキンを受ける部分の一部が環状に突起していると弁を閉としたときの遮蔽性が良く好ましい。
前記ケース部材の底部には、その中心を外して1個以上の外部に通じる流路用孔を設け、前記管状部材には、該底部に設けた孔に対応する環状のパッキンと中央部に管状部材内に通じる流路用孔を設けていると、双方向の流れに対し弁抵抗がほぼ近似するので好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の構成を、図にて説明する。図1は本発明の基本的構成を示す例である。図1では図の左右に流路がある場合である。流路は上下に置いても特に支障はない。部品の構成は、管状部材1とケース部材2及び調節部材3から成り立っている。管状部材1は円筒の片方に底のある管状体であり、該底の外側に相当する部分に円盤状のパッキン4が装着される。管状部材1を囲繞すし、パッキン4に対向する底を有する、ケース部材2には、その底の中央部にパッキン4の径より小なる径の外部に通じる流路孔を有する。ケース部材2の底部はパッキン4の外周に環状に当接し、弁部となる。管状部材1の先端部(底の部分)よりやや離れて管状流路内に通じる流路用孔5が形成される。この流路用孔5は、管状部材1の管面であれば一箇所でも複数箇所配置しても構わないが、流路を通過する流体の粘度に合わせて種々設定できる。流体の粘度が大きい場合は、流路用孔5は2個程度とし、孔径を大きくするのが良い。
【0011】
管状部材1の流路孔5を挟んで先端部の反対側にOリング6を装備する溝が管状部材の外周に設けられる。このOリング6により、管状部材1の外周とケース部材2の内周が閉塞され、外部に流体が漏れない。なお、該Oリングは、複数用いても構わない。
ケース部材2と管状部材1との軸方向の位置をずらす機能は、調節部材3が行う。調節部材3は、ケース部材2の一端の外周に有する螺合部7で螺合される。一方、調節部材3は、管状部材1を図の左右に動かす機能を必要とするため、管状部材1の外周には突起8を装備する。この突起8は、調節部材3の内側突起により管状部材1を図の左には動かすことが出来るが、図の右には動作しない。そこで図中右にも管状部材を動かすことが出来るように、突起9を螺合により管状部材1に追加する。突起9を螺合する場合は、位置を決めた時点で固定するか、螺合の方向を逆ねじにすると、調節部材3による調整時に調節部材3の回転に起因する回転により位置ずれを起こさない。
以上の構成により、管状部材1の流路(開放端)10とケース部材2の底部の中央部に設けられた流路間に弁を設けることが出来る。この弁は、図の左右どちらからでも流体を調整できる。また、本発明の流量調整弁の最大径は、調節部材3の径であり、ハンドルやレバー等の取り付けが不要であるため、スペースのない部分においても、操作が可能である。
【0012】
図2に本発明の別の例を示す。図2の例における特徴は、図1で示した管状部材1の先端部を別部品に分けたものである。図2では管状部材1と管路先端部12に分けている。管状部材の先端部を分けることにより、図1の例で説明した突起9は予め管状部材に設けられているので、あとから取り付けせずに製作が可能になる。図1の例で示した突起8に相当する突起は、図2において管路先端部12の端面を使うことにより、構成される。管状部材1と管路先端部12は両者を係合した後、ノックピン13を用いて固定する。固定できれば他の手段を用いても構わない。このような構成にすると、図1で用いる管状部材1と、図2で用いる管状部材1では、図における左右の長さを異にする。即ち図2の例では、管路先端部12を使用することにより、管状部材1を短くでき、製作上有利になると共に、弁の長さ方向においてもスペースを減少させることが可能である。
【0013】
以上の2例においては、調節部材3を回転することにより、弁構造は長さが変化するので、弁の前後の配管において、少なくとも一方はフレキシブルな配管とするか、伸縮性のある配管とする必要がある場合もある。本発明はフレキシブルな、または伸縮性のある配管を必要としない、さらなる別の例で実現できる。図3は、弁の両方にフランジを有する流量調整弁である。特にフランジを必要とするものでもないが、弁の両方を固定しても弁の使用に差し支えないことを示すものである。
その構成は、調節部材3を管状部材1の流路(開放端)10側に延長し、内側に螺合18を付与する。螺合18の対象は、円筒流路部材16である。該円筒流路部材16は、管状部材1とOリング17で接続し、流路と外部を遮断する。このように構成すると、調節部材3を回転した際に、管状部材1は管路先端部12と共に突起9の移動により図の左右に移動するが、Oリング17と螺合18により円筒流路部材16は位置を変えず、流量調整弁全体の長さは変わらない。なお、ここで円筒流路部材16を初期設定する場合は、調節部材3の端部と円筒流路部材16の螺合用ねじ部の面を合わせれば簡単に調整できる。
【0014】
本発明における流量調整弁は、弁の形状を種々取り替えられる。図4の例は、本発明の弁部の部分図であるが、図1から図3の例では、弁部は平坦な円形としている。これに対し、図4では弁の部分を円錐状とする。対応するケース部材2の底部の内面も円錐状に加工する。そして、円錐状の先端部近傍にパッキン4を装着し、該パッキン4にかからない円錐状裾部に管状部材内に通じる流路用孔5を配置する。該流路用孔5は単数でも複数であっても構わない。好ましくは対称位置に2個乃至4個を配置するのが良い。この弁形状の特徴は、流路が鈍角に曲がるため、流体抵抗が減少する。特に粘性が大きい流体には好適な結果を得られる。
【0015】
図5の例は、ケース部材2のパッキン4が当接する底部の内側の外部に通じる通路用孔の周囲を凸状にする。この突起部19によりパッキン4の周囲部分とケース部材2の底部内面とが強固に当接するため、弁の閉塞が確実に行える特徴がある。該突起部19は環状に形成されている。この突起部19は、図4の円錐状パッキンにも、後述する図6のケース部材2の底部中央にも応用できる。
【0016】
図6は、ケース部材2の底部中心を閉塞し、中心をはずした部分に流路20を設けたものである。流路20は、単数でも良いが、同一円周上に複数設けておくのが良い。流路の断面を大きくする場合は、4乃至8程度の流路とすれば良い。この流路20に対応して、管状部材1の先端部には環状のパッキン4が配置される。この環状のパッキン4の中央部は、管状部材内に通じる流路21が設けられる。流路21の径が大きいほど流路の断面積を大きくすることが出来るが、対応する流路20との面の取り合いとなるため、使用する流体を考慮して流路20の面積と、流路21の面積との比率を調整するとよい。図6の場合は、流路がケース部材2の底部の流路20を対称に図の左右どちらかからも同じように流体が流れる構造をとれるため、流体の方向が一方向でない場合には好適な弁となる。
本発明の具体例を以上のように示したが、本発明は具体例により限定されるものではない。
【0017】
【発明の効果】
本発明になる流量調整弁は、周囲のスペースに限りがある配管部分においても設置できる流量調整弁であり、一方向でなく、双方向の流れに対し用いることが出来る。また、簡単な部品構成で流量調整できる簡易性をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流量調整弁の一例を示す半截断面図である。
【図2】本発明の流量調整弁における他の例を示す半截断面図である。
【図3】本発明の流量調整弁におけるさらなる他の例を示す半截断面図である。
【図4】本発明の流量調整弁での弁付近の構成例を示す部分図である。
【図5】本発明の流量調整弁での弁付近の他の構成例を示す部分図である。
【図6】本発明の流量調整弁での弁付近のさらなる他の構成例を示す部分図である。
【符号の説明】
1.管状部材
2.ケース部材
3.調節部材
4.パッキン
5.流路用孔
6.Oリング
7.螺合部
8,9.突起
10.流路(開放端)
11.調整部材のギザ
12.管路先端部
13.ノックピン
14.Oリング
15.フランジ
16.円筒流路部材
17.Oリング
18.螺合部
19.突起部
20.流路
21.流路
Claims (4)
- 先端部に流路遮断用パッキンを有する管状部材と、該管状部材を囲繞し、且つ該パッキンを受け止める底部に流路を有するケース部材、及び該ケース部材と螺合する調節部材からなる管路内の流量を調整する弁であり、前記管状部材には、前記パッキン近傍の管状部材に通じる流路用孔と、前記ケース部材との隙間遮断用Oリングと位置調整用突起部を有し、前記調節部材のねじにより該突起部を軸方向に位置調整し、前記パッキンと前記ケース部材の底部間に間隙を与えることにより、流路を形成し、
前記管状部材の先端部と管状部が2つの部品からなり、これらをノックピンで固定し、
前記管状部材の先端部を延長し、該先端部付近の外周にOリングを有し、該Oリングと内面で接する円筒流路部材を設け、該円筒流路部材の外周面と前記調節部材の内面とが螺合していることを特徴とする流量調整弁。 - 前記管状部材の先端部が円錐状をなし、該先端部のパッキンを受けるケース部材の底部内面も該円錐状に合わせた形状とし、且つ円錐状パッキンの裾方向に続く円錐部に管状部材内に通じる流路用孔を設けてある請求項1に記載の流量調整弁。
- 前記ケース部材の底部内におけるパッキンを受ける部分の一部が環状に突起している請求項1に記載の流量調整弁。
- 前記ケース部材の底部には、その中心を外して1個以上の外部に通じる流路用孔を設け、前記管状部材には、該底部に設けた孔に対応する環状のパッキンと中央部に管状部材内に通じる流路用孔を設けている請求項1に記載の流量調整弁。
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