JP3707295B2 - 自閉水栓装置を用いた便器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、出水要求に基づいて所定量の水を吐出し、自動的に閉弁する自閉弁を備える自閉水栓装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自閉水栓装置としては、便器洗浄用のフラッシュバルブや浴室に備え付けられる定量止水バルブがある。これらの自閉水栓装置は、出水要求として操作者がレバーなどを操作すると、その下流側にある便器やカランなどの水使用機器に要求される適量の水を吐出し、水圧などを利用して自動的に閉弁するように構成されている。このため、下流側にある便器やカランに不要な水を供給することが無く、節水性に優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の自閉水栓装置は、水使用機器の高機能化に対応することができない。現在、市場に提供される水使用機器は、節水、消音などの機能が高度化すると共に使用感を向上させるために各種の改良がなされている。たとえば、便器はいっそうの節水を図るために、リム・ジェットなどの複数の洗浄水吐出系を備えるようになっている。また、浴室用の水栓でも、カランばかりでなくシャワーなどの吐出形態が異なる器具を備えて使用感を高めている。
【0004】
ところで、このような水使用機器では、例えば便器ではリム洗浄用の洗浄水吐出とジェット洗浄用の洗浄水吐出とを同時に行っても、便器洗浄能力の向上や節水は期待できず、リム洗浄とジェット洗浄を順次行うことが必要である。また、水栓にあってもカラン吐出とシャワー吐出が順次行われて使用感の向上に資することができる。
【0005】
このような水使用機器に対して従来の自閉水栓装置を単純に用いるならば、この種の自閉水栓装置は管路の開閉を介した自閉しか行わないので、例えば便器のリム・ジェットは常に同時に行われてしまう。あるいは、このリム・ジェット洗浄が同等の水圧による洗浄水の供給でしか行われない。そのため、従来の高機能の便器は、リム導水路やジェット導水路に堰を設けてその実施タイミングや水圧を調節したり、各導水路ごとに自閉水栓装置を設けたりしている。また、カランとシャワーとが1体となった高機能の水栓では、カランとシャワーの給水管にそれぞれ従来の自閉水栓装置を取り付けている。
【0006】
本発明は、これらの課題を解決するためになされ、水使用機器の高機能化に対応した新たな自閉水栓装置を提供することにあり、水使用機器の機能を最大限に引き出すことをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の便器は以下の構成を採った。即ち、
洗浄水によりボール部を洗浄する便器であって、
ボール部洗浄を実施するために洗浄水を吐出する複数の洗浄水吐出手段と、
洗浄水供給源と接続され、洗浄水の供給を受ける自閉水栓装置と、
該自閉水栓装置から前記複数の洗浄水吐出手段に至るまで配管され、前記自閉水栓装置からの分配流路となる吐出手段別流路と、
ボール部洗浄の際に操作され、前記自閉水栓装置に出水要求を出力する出力手段とを備え、
前記自閉水栓装置は、
前記出水要求に基づいて開弁駆動し、前記所定量の洗浄水を吐出すると自動的に閉弁駆動する自閉弁体を有する自閉弁機構部と、
前記自閉弁機構部の下流側に設けられ、前記吐出される水を前記吐出手段別流路に分配するよう駆動する分配部材を有する分配弁機構部と、
分配のための前記分配部材の駆動動作を引き起こす駆動部材と、
該駆動部材を前記出水要求を受けて駆動する駆動手段と、
前記駆動手段による前記駆動部材の駆動動作に同期して、前記自閉弁体の開弁動作を開始する自閉弁開弁開始部とを有することを特徴とする。
【0008】
この本発明の便器によれば、ボール部洗浄に際して出水要求が出されると、洗浄水の供給先を複数の洗浄水吐出手段、例えばリム洗浄用の吐出手段とジェット洗浄用の吐出手段に順次切り換えて、各吐出手段に所定量の洗浄水を分配供給できる。よって、従来と同様に出力手段から出水要求を出すだけで、最適な量の洗浄水で複数の洗浄水吐出手段によりボール部洗浄を実行でき、便器洗浄性能を最大限に発揮することができる。
【0009】
この便器の有する自閉弁機構部と自閉弁開弁開始部について以下の態様を採ることができ、自閉弁開弁開始部は、前記駆動手段による前記駆動部材の駆動動作に同期して前記自閉弁体と接触することで、前記自閉弁体の開弁動作を開始し、自閉弁機構部は、前記自閉弁開弁開始部と接触する間に亘って開弁し、前記自閉弁開弁開始部との接触が解かれると閉弁動作を行う。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、実施例の自閉水栓装置JVを大便器85と共に概略的に表した概略構成図、図2は、この自閉水栓装置JVの縦断面図、図3は、図2におけるA−A’線断面図、図4は、図3におけるB−B’線断面図である。
【0015】
図1に示すように、大便器85は、ボール部上縁のリム85aから洗浄水を吐出してボール部85bを洗浄するリム洗浄と、ボール部85b底部の吐出ノズル85cから洗浄水をトラップ配管85dに直接吐出して汚物搬送とボール部洗浄を行うジェット洗浄とを実行するよう構成されている。そして、この大便器85は、リム洗浄とジェット洗浄とを順次実行すべく自閉水栓装置JVを備え、この自閉水栓装置JVの外部出力ポート15aからは、リム85aに至るリム吐水配管86を、外部出力ポート16aからは、吐出ノズル85cに至るジェット吐水配管87をそれぞれ接続して備える。この場合、リム85aと吐出ノズル85cに洗浄水を導くリム吐水配管86とジェット吐水配管87への洗浄水の分配供給は、以下にその構成を詳述する自閉水栓装置JVによってなされ、こうした分配吐水により、洗浄吐水量、瞬間流量共に効率のよい便器洗浄を行うようにされている。
【0016】
図1ないし図4に示すように、自閉水栓装置JVは、給水源(水道)からの一次側給水管3が配管接続され自閉機能を有する自閉弁機構部2と、洗浄水の分配供給を行うための分配弁機構部1とを積層集約して備え、分配弁機構部1の上端は、上記の各出力ポートを有する出力ポート部4とされている。自閉水栓装置JVは、図示しないリモコン等から便器洗浄指令が発せられると、当該指令を洗浄要求(出水要求)として駆動する後述のアクチュエータ8を有し、通常は、このアクチュエータ8により、自閉作動並びにこれと同期した分配作動を行うよう構成されている。また、停電時での便器洗浄使用を可能とすべく、アクチュエータ8によらないで自閉作動並びに分配作動を行うための後述の手動レバー7をも有する。
【0017】
自閉弁機構部2は、一次側と二次側の差圧を利用して自閉作動を行うよう、以下の構成を備える。この自閉弁機構部2は、一次側給水管3が接続される管金具2aからメインケース2bに至る一次側給水路3aと、メインケース2b内の二次側通水路11aとを備え、この給水路と通水路の間に、ダイヤフラム弁10とパイロット弁14とを有する。
【0018】
一次側給水路3aは、メインケース2bにおいて、当該ケースの内壁部分を環状に下方に隆起させて形成した給水弁座10aを取り囲むよう形成されている。よって、一次側給水路3aから流れ込んだ一次側洗浄水は、給水弁座10aの周囲において、ダイヤフラム弁10に下方向きに一次側圧力をかける。なお、一次側給水路3aには、管金具2aの下流において後述の定流量弁80が組み込まれているので、給水弁座10a周囲には、定流量で一次側洗浄水が流れ込むことになる。
【0019】
ダイヤフラム弁10は、メインケース2bの下端開口部に亘ってこのメインケース2bと下部ケース2cとで挟持され、上記した一次側圧力を受けるダイヤフラム10bを有する。このダイヤフラム10bは、下部ケース2c内部の背圧室10cの側に上下動自在に上記したように挟持組み込みされており、ケース内部にあっては、背面のダイヤフラムサポート12と上面のリテーナ13で挟持・補強されている。このダイヤフラムサポート12は、リテーナ13とリベットにて固定されている。また、ダイヤフラム10bは、1次側と2次側の圧力バランスにより付勢力が働き、その上面の平坦部を弁体として給水弁座10aに通常は当接着座させている。これにより、ダイヤフラム弁10は、一次側給水路3aを給水弁座10aにてダイヤフラム10bにより常時閉鎖させている。この状態が、ダイヤフラム弁10の閉弁状態(止水状態)であり、自閉水栓装置JVは、通常この状態を採っている。なお、上下動ガイド10dは、ダイヤフラムサポート12にその下端で係合して一体とされており、ダイヤフラム10bと共に上下動するようにされている。
【0020】
ダイヤフラムサポート12はその下端側にスカート部を有し、このスカート部と上下動ガイド10dの下端シャフト部は、背圧室10cの内周壁や下端有底孔周壁と所定のクリアランスをもって形成されているものの、ダイヤフラム10bの上下動時の案内となる。よって、このスカート部と下端シャフト部により、ダイヤフラム10bの左右方向のずれや不用意な振動あるいはいわゆる片上がりが防止されるので、ダイヤフラム10bの上下動は安定し、ダイヤフラム弁10の開閉弁動作の安定性と信頼性を向上させることができる。また、このダイヤフラムサポート12と上下動ガイド10dを、カーボンあるいはフッ素を含有した樹脂、ポリオレフィン系の樹脂、テフロン樹脂、含油性の樹脂の成型品とすれば、背圧室10c内周壁や下端有底孔周壁に対して高摺動性を発揮できる。よって、ダイヤフラム弁10の弁動作のより一層の安定化と信頼性の向上を図ることができる。更に、背圧室10cの下端有底孔内にある上下動ガイド10dの先端部は、その周縁に亘って円弧状に面取りされている。よって、上下動ガイド10dの先端部での下端有底孔内異物の噛み込みを防止でき、この点からも、ダイヤフラム弁10の弁動作のより一層の安定化と信頼性の向上を図ることができる。なお、上記したカーボンあるいはフッ素を含有した樹脂やポリオレフィン系の樹脂等を、説明の便宜上、高摺動性発揮樹脂と呼ぶこととする。また、ダイヤフラム弁10の弁動作については詳細に後述する。
【0021】
図5は、ダイヤフラム10bの組み付けの様子を示す説明図であり、この図面を用いて、ダイヤフラム10bの組み付けの様子を説明する。なお、ダイヤフラムサポート12とリテーナ13については図示を省略した。
【0022】
図中に実線で示すように、弁の組み付け完成状態では、ダイヤフラム10bは、1次側と2次側の圧力バランスによる付勢力を受けて給水弁座10aに当接着座している。しかし、ダイヤフラム10bをダイヤフラムサポート12と共に組み付け圧力バランスによる付勢力が作用していない状態、即ち、自重のみしか作用していない自然状態では、図中に二点鎖線で示すように、ダイヤフラム10bは、給水弁座10aに接近する側に撓んだ状態とされている。つまり、ダイヤフラム10bは、給水弁座10aの側に復帰するような復元力を自身で発揮した状態で、給水弁座10aに当接着座している。よって、ダイヤフラム10bが給水弁座10aに当接着座した状態では、ダイヤフラム10bにこの状態を維持するよう、自身の復元力が圧力バランスによる付勢力に加わって作用するので、ダイヤフラム弁10の止水性を向上できる。しかも、背圧室10cが洗浄水で満たされた状態では、ダイヤフラムサポート12の浮力も給水弁座10aの側にダイヤフラム10bに対して作用するので、より止水性が向上する。
【0023】
ダイヤフラム弁10は、上記のように閉弁状態にあるときにでも一次側給水路3aと背圧室10cとの圧力均衡を図るべく、ダイヤフラム10bに一次側給水路3aと背圧室10cとを連通するブリード穴18を有する。このブリード穴18は、ダイヤフラム10bばかりでなくダイヤフラムサポート12とリテーナ13をも貫通して形成されており、一次側給水路3aの側から背圧室10cに常時、洗浄水を通過させる。この場合、このブリード穴18は、その穴径も小さく、内部には、後述のクリーニングピン19も配設されているので、一次側給水路3aの洗浄水は、背圧室10cに僅かずつしかブリード穴18を通って流入しない。そして、クリーニングピン19との関係において実質的に洗浄水の通過面積を決定するブリード穴18は、図3の要部拡大図に示すように、クリーニングピン19が常時穴内に存在する最下端部分であり、ダイヤフラムサポート12に開けられたブリード穴18aである。このダイヤフラムサポート12は、樹脂製あるいは金属製であることから、このブリード穴18aの穴径を各ダイヤフラムサポートで均一にできるので、自閉水栓装置JVごとのダイヤフラム弁動作の安定化と信頼性の向上を図ることができる。もっとも、クリーニングピン19がメインケース2bにその上端側で固定されていれば、当該ピンが常時穴内に存在する樹脂製あるいは金属製のリテーナ13におけるブリード穴部分が実質的な洗浄水の通過面積を決定することになる。
【0024】
このダイヤフラムサポート12は、樹脂製あるいは金属製のいずれであってもよいが、上記した高摺動性発揮樹脂の成型品とすれば、クリーニングピン19に対して高摺動性を発揮できる。よって、このようなダイヤフラムサポート12とすれば、クリーニングピン19の接触によるブリード穴18aの穴形状の摩耗変形を抑制できるので、ダイヤフラム弁10の弁動作の安定化並びに信頼性の向上を図ることができる。
【0025】
パイロット弁14は、上記のダイヤフラム弁10の開弁動作を起こさせるものであり、スプリング17の付勢力を上向きに直接受けるパイロット弁体14bと、ダイヤフラムサポート12の中央貫通孔の周囲を隆起させて形成されたパイロット弁座14aとを有する。パイロット弁体14bは、上記の付勢力によりパイロット弁座14aと当接状態(着座状態)とされているので、パイロット弁14は、二次側通水路11aと背圧室10cとの間を閉鎖させている。この状態が、パイロット弁14の閉弁状態(止水状態)であり、自閉水栓装置JVは、通常この状態を採っている。なお、パイロット弁座14aの内部、即ちダイヤフラムサポート12の中央貫通孔がパイロット流路11bとされており、このパイロット流路は、二次側通水路11aよりも小径とされている。
【0026】
本実施例では、パイロット弁座14aへのパイロット弁体14bの当接着座箇所に環状のゴムシートを嵌合装着して当該ゴムシートを溶着し、パイロット弁体14bとゴムシートを一体化させた。よって、このゴムシートにより好適にパイロット弁座14aとパイロット弁体14bとの間のシール性を確保できると共に、一体化によりその取り扱い性や組立作業性を高めることができる。
【0027】
ここで、ダイヤフラム弁10の閉弁状態から開弁状態を経て閉弁状態に至るまでの推移の様子について説明する。閉弁状態にあるパイロット弁14において、今、パイロット弁体14bがスプリング17の付勢力に抗して傾くと、パイロット弁座14aとパイロット弁体14bの当接着座が解け、パイロット流路11bを介して背圧室10cと二次側通水路11aとが連通する。この場合、背圧室10c内は一次側給水路3aと同圧で二次側通水路11aよりその圧力が高いので、背圧室10c内の水は、パイロット流路11bを経て二次側通水路11aの側に排出される。すると、ダイヤフラム10bを挟んだ圧力の均衡が崩れて、このダイヤフラム10bは下向きに移動する。このため、ダイヤフラム弁10は給水弁座10aが開いた開弁状態となり、一次側給水路3aから洗浄水が二次側通水路11aの側に流入する。この場合、背圧室10c底面には、下降した上下動ガイド10d下面と当接しダイヤフラム弁10の下降ストッパとして機能するストッパ12aが設けられているので、ダイヤフラム弁10は、このストッパ12aで規定される位置までしかダイヤフラム10bを降下させない。このため、洗浄水の給水圧力に変動があっても、ダイヤフラム弁10はこの給水圧力に関係なく一定の開弁量で開弁する。よって、自閉弁機構部2によって、給水圧力の変化に起因する吐水量変動のない、高精度の自閉弁を構成することができる。
【0028】
その一方、パイロット弁体14bが正立状態に復帰すると、パイロット弁14はパイロット弁座14aをこのパイロット弁体14bで閉じて閉弁する。この状態にあっては、ダイヤフラム10bのブリード穴18を介して、一次側給水路3aから背圧室10cに洗浄水が流れ込み、背圧室10c内は、この流れ込んだ洗浄水で満杯になる。すると、背圧室10cの圧力は一次側給水路3aの一次側給水圧力に等しくなり、ダイヤフラム10bは給水弁座10aに当接着座してダイヤフラム弁10は止水状態となり、自閉弁機構部2での止水(自閉止水)がなされる。
【0029】
上記した背圧室10cへの洗浄水流通を起こすブリード穴18は、洗浄水の給水側と反対側に位置し、一次側給水路3aがメインケース2bで閉塞された側(図3における右側)に位置する。この閉塞箇所では、一次側給水路3aから流れ込んだ洗浄水が給水弁座10aの周壁を回り込んで衝突し、圧力がこもりやすい。よって、この閉塞箇所にあるブリード穴18からは、一次側給水圧そのものの圧力で安定した状態の洗浄水が背圧室10cに流れ込むことになる。このため、ダイヤフラム10bの閉弁動作が安定し好ましい。また、ダイヤフラム弁10が閉止するまでの時間も安定する。
【0030】
この一連の動作の中でブリード穴18が水中に混在する異物によるゴミ詰まりを防止するため、クリーニングピン19がブリード穴に挿入されている。このクリーニングピン19は、先端部ほど大径となる異径構造とされているので、ブリード穴18におけるクリーニングピン19の位置関係によってブリード穴18(ブリード穴18a)における洗浄水の通路面積が変化し、ブリード穴18を通した上記の洗浄水流通量が異なる。つまり、小径部19bがブリード穴18に位置するときには、ブリード穴18における洗浄水の通路面積が大きくなって、背圧室10cに流れ込む水が多くなりダイヤフラム弁10の閉弁速度が速くなる。大径部19aでは逆にブリード穴18の通路面積が小さくなるため、閉弁速度は遅くなる。本実施例では、ダイヤフラム10bが下降し給水弁座10aから離れた状態、即ちダイヤフラム弁10が開弁状態から閉弁状態に推移しようとする閉弁動作開始時には、ブリード穴18には、クリーニングピン19根本の小径部19bが位置する。よって、ダイヤフラム弁10の閉弁動作開始時は、ダイヤフラム弁10の閉弁速度を速くできる。また、ダイヤフラム10bが給水弁座10aに近づいた状態、即ちダイヤフラム弁10が閉弁状態への推移を完了させようとする閉弁動作終了時には、ブリード穴18には、クリーニングピン19先端の大径部19aが位置する。よって、ダイヤフラム弁10の閉弁動作終了時には、ダイヤフラム弁10の閉弁速度を遅くできる。これにより、一次側給水路3aと二次側通水路11aとの間で洗浄水止水を図る場合の水撃を緩和できる。
【0031】
この場合、クリーニングピン19を、ダイヤフラムサポート12より軟質の樹脂、或いは、耐食性があり表面仕上げ▽▽▽(Rmax=6.3s)の金属で形成することが好ましい。このようにすれば、クリーニングピン19がブリード穴18a(図3の要部拡大図参照)と接触しても、このブリード穴18aに穴面積の拡張を招かない。よって、ブリード穴18における不用意な通路面積の変更を回避でき、安定した洗浄水流通、延いては安定したダイヤフラム弁10の閉弁動作を図ることができる。
【0032】
このクリーニングピン19は、図3に示すように、下部ケース2cにその下端で固定支持されており、その先端部が下部ケース2c上端のフランジ部から出ないよう、高さ調整されている。よって、弁組み付け時にピン先端部をメインケース2b下端等に当てたりすることがないので、組み付け時のピン破損を防止できると共に、組み付け作業性がよい。この場合、クリーニングピン19をその下端で固定支持するようにしたが、次のように変形することもできる。即ち、クリーニングピン19をブリード穴18を貫通してメインケース2bに達するようなものとし、ピン上端をもこのメインケース2bで固定支持することもできる。このようにすれば、クリーニングピン19はその上下端で固定されることから、クリーニングピン19にこれを湾曲させる力が加わっても、その湾曲程度が少なくなって固定部への応力集中を緩和でき、クリーニングピン19の折れや脱落を防止できる。なお、クリーニングピン19を上下端で支持する構成は、本実施例の自閉水栓装置JVに限らず、一般的なダイヤフラム弁に適用できることは勿論である。
【0033】
本実施例では、ダイヤフラムサポート12の中央貫通孔を給水弁座10aにおけるパイロット流路11bとして、当該流路にて二次側通水路11aの側への洗浄水の流量絞り構造を構成している。よって、ダイヤフラム弁10の閉弁動作終了直前(止水直前)の流量をより効果的に少なくできるので、閉弁動作終了時の上記したダイヤフラム弁10の閉弁速度の低下と相俟って、水撃をより有効に防止できる。しかも、一次側給水路3aの経路を略円筒形状とすると共に、一次側圧がかかる給水弁座10a周囲をほぼ同じ断面の環状形状としたので、こうした水撃防止と相俟って、本実施例では、自閉水栓装置JVを樹脂ケーシングにて構成することができ軽量化を図ることができた。この場合、メインケース2bの下端に固定する下部ケース2cの上端フランジ部を大径化して両ケースの接合面積を確保したので、ケース固定も強固にでき耐水撃性を向上できる。なお、ケーシングに採用する樹脂としては、ポリアセタール(POM樹脂)や、ポリフェニレンスルファイド又はその変性物である芳香族ポリスルファイド樹脂(PPS樹脂)等の汎用性の高いエンジニアリングプラスチックを用いることができ、これらプラスチックのガラス繊維複合材が好ましい。このガラス繊維の含有率としては、重量比で約30〜40%が好ましい。
【0034】
また、本実施例では、図3に示すように、自閉水栓装置JVの1次側最上流部に後述の定流量弁80を内蔵・配置して定流量化を図ると共に、この定流量弁が介在することで弁下流に減圧効果を起こす。よって、定流量弁80の下流側において、通常流動時は自閉水栓装置本体の大部分に作用する圧力が減圧されるので、自閉水栓装置本体に要求される機械的強度が軽減され、この点も、上記した装置の樹脂化に有利である。なお、定流量作用を特段要しない場合は、上記の定流量弁に替えて減圧弁を内蔵すればよい。
【0035】
このように樹脂化を図るに当たり、本実施例では、次のようにした。通常、樹脂化を図る場合、強度上重要な部分は、厚肉構造にする必要がある。しかし、樹脂にてこのように厚肉構造にすると、そり、引けが発生しやすく成形上の不具合が起きる。よって、本実施例では、背圧室10cを形成する下部ケース2cが1次圧を受けるので強度上重要な部分に当たるため、図2および図3に示すように、下部ケース外側に適宜な間隔でリブ2rを設けるようにした。これにより、ケースをそりや引けを発生させない均一な厚みとできると共に、強度を確保できる。
【0036】
また、ダイヤフラム弁10の閉弁速度を上記のように変化させ、閉弁当初の大流量時は速く、閉弁終期の低流量時は遅くしている。よって、量産時の組立公差内であれば、ダイヤフラム10bのストロークにバラツキがあっても、ダイヤフラム弁10による自閉弁の吐水量バラツキを低減でき好ましい。
【0037】
更に、パイロット弁体14bに背圧室10cと上記のパイロット流路11bとを連通する流路を貫通形成し、この流路をダイヤフラム弁10の開弁に影響するような背圧室10cの圧力変動を来すことがないようなごく小径のものとすることもできる。こうすれば、背圧室10c内の水抜きを要する場合に、この小径の流路によりパイロット流路11bの側に水抜きできるので、この水抜きのための管路を下部ケース2cからその外部に設ける必要がなく好ましい。
【0038】
次に、上記のようにして自閉弁機構部2にて自閉止水が行われ、洗浄水が流入する分配弁機構部1について説明する。この分配弁機構部1は、自閉弁機構部2による上記の自閉止水時の閉弁動作に同期して洗浄水の供給先を分配すべく、以下の構成を有する。
【0039】
分配弁機構部1は、自閉弁機構部2の下流側に位置するようこの自閉弁機構部2と一体に形成されており、上記したダイヤフラム弁10から洗浄水の供給を受ける。分配弁機構部1は、二次側通水路11aに連通する洗浄水分配室30をメインケース2bで区画形成して備える。この洗浄水分配室30は、円柱形状で中空とされており、その内周壁面(分配室内周壁面)に、それぞれ上方に延びる出力ポート15、16が形成されている。この各出力ポートの分配室内周壁面における開口部は、その周縁に亘って円弧状に面取りされているので、後述する回転ドラム21がこの分配室内周壁面に沿って回転する際の摺動トルクを低減できる。また、各出力ポートの分配室内周壁面における開口面積は、出力ポート15の側が狭く、出力ポート16の側が広くされている。よって、各出力ポートが順次開放されると、異なる流量で洗浄水が各出力ポートに流れ込むことになる。この出力ポート15、16は、出力ポート部4の内部にて既述した外部出力ポート15a、16aとそれぞれ連通しているので、出力ポート15に流れ込んだ洗浄水は、リム吐水配管86を経てリム85aから吐出され、リム洗浄に用いられる。出力ポート16に流れ込んだ洗浄水は、ジェット吐水配管87を経て吐出ノズル85cから吐出され、ジェット洗浄に用いられる。
【0040】
分配弁機構部1は、洗浄水分配室30の内部に、分配室内周壁面と接触したまま摺動回転可能な回転ドラム21を有する。回転ドラム21は、この洗浄水分配室30に正逆回転自在に軸支された回転シャフト22と一体とされ、当該シャフトと共に回転する。この場合、回転シャフト22は、後述の圧力スイッチ50が装着される横蓋50aでその一端が軸支されており、この横蓋50aは上記した高摺動性発揮樹脂の成型品とされている。よって、回転シャフト22の軸支部において高摺動性を発揮できるので、回転シャフト22を回転させる際の回転トルクを低減できる。
【0041】
洗浄水分配室30が洗浄水で満たされると、回転ドラム21は、その水圧を受けて弧状のドラム部分を分配室内周壁面に押し付けている。よって、回転ドラム21は、この水圧により、閉鎖対象の出力ポート(図3では出力ポート16)を好適にシールし、当該ポートへの水漏れを起こさない。このように、出力ポートの閉鎖を回転ドラム21の面接触で行いOリング等のシール材を用いないので、回転ドラム21を摺動回転させる際の回転トルクを低減できる。このため、僅かな操作力で、回転ドラム21、延いては回転シャフト22を回転させることができので、ステッピングモータ等のシャフト回転駆動機器(後述のアクチュエータ8)の低規格化や小型化を図ることができると共に、容易に手動にて回転ドラム21を摺動回転できる。なお、回転ドラム21は、通常、図3に示す位置を採るようにされている。
【0042】
回転シャフト22は、洗浄水分配室30の内部においてカム部材22aを有し、このカム部材22aは回転シャフト22と一体に正逆回転する。カム部材22aは、その回転に伴ってパイロット弁体14bのシャフト部と接触し当該弁体を回転に同期して傾けるようにされている。このカム部材22aにより、上記した自閉弁機構部2における開弁動作が開始される。つまり、回転ドラム21やカム部材22aが図3に示す初期状態にあるとき、図中時計方向に回転シャフト22が回転すると、カム部材22aはパイロット弁体14bを傾けるので、ダイヤフラム弁10は上記したように開弁する。この時、回転ドラム21は、回転シャフト22と共に時計回転するものの、回転開始当初は、出力ポート16を閉鎖したままである。よって、ダイヤフラム弁10の開弁により二次側通水路11aを経て一次側給水路3aから洗浄水分配室30に流れ込んだ洗浄水は、出力ポート15を通過して上記したようにリム85aから吐出される。これにより、リム洗浄が実施される。
【0043】
回転シャフト22が更に回転を継続すると、パイロット弁体14bはカム部材22aにより傾いたままであるため、ダイヤフラム弁10は開弁状態を維持し、洗浄水分配室30には引き続き洗浄水が流入する。この回転継続の間において、回転ドラム21は出力ポート15を閉鎖して出力ポート16を開放するので、このようにポートの切替がなされた以降では、洗浄水分配室30の洗浄水は、出力ポート16を通過して吐出ノズル85cから吐出される。これにより、ジェット洗浄が実施される。このように、回転ドラム21によるポート切替により、リム洗浄とジェット洗浄が順次切替実施される。しかも、この間に亘ってダイヤフラム弁10はパイロット弁体14bの傾きにより開弁状態を維持するので、リム洗浄とジェット洗浄は、途切れることなく連続して行われる。
【0044】
その一方、回転ドラム21が出力ポート15を閉鎖して出力ポート16を開放した状態から回転シャフト22が反時計方向に逆回転し上記の初期状態に復帰すると、パイロット弁体14bは、カム部材22aから開放されて正立姿勢を採るので、ダイヤフラム弁10は上記したようにして開弁状態から閉弁状態となり、自閉弁機構部2では自閉止水される。このように止水されるまでの間にあって、回転ドラム21は出力ポート16を閉鎖して出力ポート15を開放した状態とするので、洗浄水分配室30の洗浄水は、出力ポート15を通過してリム85aから吐出され、リム洗浄が再度実施される。よって、便器洗浄は、リム洗浄・ジェット洗浄・リム洗浄の順に途切れることなく連続して行われる。しかも、出力ポート15、16の開口面積に差を持たせたので、リム洗浄とジェット洗浄とを異なる流量(リム洗浄は小流量、ジェット洗浄は大流用)でそれぞれ実施できる。
【0045】
以上説明したように、回転シャフト22の正逆回転の間に亘って自閉弁機構部2のダイヤフラム弁10を開弁状態とできると共に、この洗浄水分配室30の開弁動作に同期して、分配弁機構部1により洗浄水の分配供給を行うことができる。つまり、本実施例の自閉水栓装置JVは、以下の構成を有する。
【0046】
自閉水栓装置JVは、
ダイヤフラム弁10が自閉止水するまでの時間で規定される所定量の洗浄水を吐出し、自動的に閉弁止水する自閉弁機構部2と、
この自閉弁機構部2の下流側に設けられ、流れ込んだ洗浄水をその供給先を切り替えて順次分配供給する分配弁機構部1と、
自閉弁機構部2による洗浄水吐出開始のための弁動作と、分配弁機構部1による分配供給開始のための弁動作とを、同期して実行させる弁動作同期実行手段を有する。
【0047】
この際、弁動作同期実行手段は、回転ドラム21、回転シャフト22、カム部材22a並びにパイロット弁体14bで構成されており、これら回転シャフト等により自閉弁機構部2と分配弁機構部1を同時に作動させている。よって、回転シャフト22を回転させるだけで、便器洗浄をリム洗浄・ジェット洗浄・リム洗浄の順に途切れることなく連続して実施でき好ましい。
【0048】
また、本実施例の自閉水栓装置JVは、ダイヤフラム弁10を開弁させるためのパイロット弁体14bにそのシャフト部上端でカム部材22aを介して力を掛けるようにした。よって、このパイロット弁体14bを僅かな力で傾けてダイヤフラム弁10を開弁状態とできる。このため、回転シャフト22を回転させるためのシャフト回転駆動機器(アクチュエータ8)の低規格化や小型化をより進めることができ好ましい。
【0049】
また、上記したように、自閉水栓装置JVの開弁、詳しくはダイヤフラム弁10の開弁は、カム部材22aがパイロット弁体14bのシャフト部と接触しこれを傾けることにより開始されることから、この開弁の始動性を確保するため、次のように構成した。
【0050】
パイロット弁体14bへのカム部材22aの回転接触の状況は、パイロット弁体14bのシャフト部あるいはカム部材22aの摩耗により変化する。また、この両者の接触面の摩擦抵抗(摩擦係数)が大きいと、パイロット弁体14bを傾けるために、大きなカム部材22aの回転力、即ち回転シャフト22を要する。よって、このような摩耗の抑制や摩擦抵抗(摩擦係数)の低減を図れば、ダイヤフラム弁10の開弁始動性を確保できる。また、パイロット弁体14bの接触部分を平面としたり、カム部材22aの接触部分を平面とすることにより、接触面積を大きくすることができ、接触部分の反力を分散することができる。こうすれば、摩耗の抑制、摩擦抵抗の低減を図ることができる。更に、パイロット弁を傾倒させるための工夫として、パイロット弁体14bの支点に対し、パイロット弁体14bとカムが接する作用点までの距離を十分長く設計しているため、てこの原理から小さな操作力でパイロット弁を傾倒できる。
【0051】
本実施例では、パイロット弁体14bを、表面硬度の大きな金属、例えば脱亜鉛黄銅の鍛造品とした。その一方、カム部材22aを、上記した高摺動性発揮樹脂の成型品とした。なお、回転シャフト22はカム部材22aと一体であることから、回転シャフト22もこれら樹脂の成型品である。
【0052】
このようにパイロット弁体14bとカム部材22aの材質や製法(鍛造)を規定したので、パイロット弁体14bのシャフト部とカム部材22aの摩耗を効果的に抑制できると共に、両者の間の摩擦抵抗(摩擦係数)を低減できる。つまり、パイロット弁体14bとカム部材22aについて、耐摩耗性と高摺動性を発揮できる。よって、本実施例の自閉水栓装置JVでは、ダイヤフラム弁10の開弁始動性を好適に確保できる。しかも、高摺動性により、カム部材22a(回転シャフト22)を回転させるためのアクチュエータ8の回転トルクを低減でき、アクチュエータの低規格化と小型化を図ることができる。この場合、回転ドラム21をも上記の高摺動性発揮樹脂とすれば、アクチュエータ8の回転トルクを低減でき好ましい。
【0053】
また、パイロット弁体14bは、スプリング17に対しても高摺動性を発揮するので、弁組み付け時にスプリングに捩れを残さない。よって、パイロット弁体14bにはスプリング17の円周においてほぼ均等に付勢力が作用するので、閉弁時のシール不良を回避することができる。なお、このようにパイロット弁体14bとカム部材22aを規定することは、本実施例の自閉水栓装置JVに限らず種々のダイヤフラム弁に適用できる。また、パイロット弁体14bは、そのシャフト部と下端の弁体部を一体としたが、ベアリングを内蔵してシャフト部に対して弁体部がシャフト下端で回転するようにできる。このようにしても、弁組み付け時にスプリングに捩れを残さないので、上記のようにパイロット弁体14bにほぼ均等に付勢力を作用させて閉弁時のシール不良を回避することができる。
【0054】
次に、上記したような自閉弁機構部2の自閉止水並びに分配弁機構部1の洗浄水分配供給を同期実行させるための操作ユニット6について説明する。この操作ユニット6は、上記した自閉弁機構部2の自閉止水とこれに同期した分配弁機構部1の洗浄水分配供給を、リモコン操作部の操作に応じて自動的に実行させたり、手動で実行させたりすべく、以下の構成を有する。
【0055】
操作ユニット6は、メインケース2bの側方上端側に設けられ、回転シャフト22の駆動源として、アクチュエータ8と手動レバー7を有する。この操作ユニット6は、メインケース2b側面から突出した回転シャフト22の一端側と、インボリュートセレーション構造の接続部6aで接続されている。これにより、操作ユニット6と回転シャフト22の軸ずれが吸収されている。この場合、回転シャフト22は、メインケース2bでの軸支部に含油タイプのOリング25を有するので、このOリング25により、回転シャフト22は軸シールされると共に、摺動抵抗の低減や、耐久劣化・摩耗の防止が図られている。
【0056】
操作ユニット6は、ギヤボックス40を介して、アクチュエータ8並びに手動レバー7を回転シャフト22に接続させている。このギヤボックス40は、アクチュエータ8により回転する出力ギヤ32と、当該ギヤと縁切り可能に組み合わされ回転シャフト22に回転駆動力を伝える入力ギヤ33と、この両ギヤを縁切りするためのスプリング34と、縁切り状態にある両ギヤの接続時に通電励磁される電磁ソレノイド31とを有する。回転シャフト22は、ゼンマイバネ35と接続されており、その付勢力を受けて図3に示す初期状態の位置に強制的に戻るようにされている。
【0057】
手動レバー7は、回転シャフト22をゼンマイバネ35の付勢力に抗して直接回転駆動して上記のパイロット弁14を開弁できるよう、当該シャフトと接続されている。また、手動レバー7によるパイロット弁14の開弁並びに回転ドラム21の回転に伴う分配供給がなされて手動レバー7の操作力が解放されると、それ以降、手動レバー7と回転シャフト22はゼンマイバネ35により初期状態の位置に復帰する。
【0058】
この操作ユニット6により、次のようにして便器洗浄が実施される。リモコンの便器洗浄ボタンが操作されると、その信号を受けた図示しない制御装置は、まず、電磁ソレノイド31を通電励磁し、出力ギヤ32と入力ギヤ33を接続状態とする。次いで、制御装置は、アクチュエータ8を正逆回転制御する。すると、アクチュエータ8の正方向回転がギヤボックス40の各ギヤを介して回転シャフト22に伝達され、回転シャフト22は、所定方向(図3における時計方向)に回転する。よって、この回転シャフト22の回転により、上記したように自閉弁機構部2でのダイヤフラム弁10の開弁動作と分配弁機構部1での回転ドラム21による洗浄水の分配供給が同期して実施され、便器洗浄(リム洗浄・ジェット洗浄)が行われる。次いで、制御装置は、アクチュエータ8を逆転駆動させるので、これにより上記のように再度のリム洗浄が実施される。つまり、リモコンのボタン操作だけで、リム洗浄・ジェット洗浄・リム洗浄の一連の便器洗浄が途切れることなく行われる。そして、アクチュエータ8の逆回転制御終了後は、制御装置はアクチュエータ8を停止制御すると共に電磁ソレノイド31の通電励磁を停止し、便器洗浄の自動実行のための制御を終了する。
【0059】
このような便器洗浄自動実行中に停電やアクチュエータ異常等の不測の事態が起きアクチュエータ8の回転が途中で停止すると、電磁ソレノイド31の通電励磁が停止するので、回転シャフト22は、入出力ギヤの縁切りによりアクチュエータ8から解放される。そして、この回転シャフト22は、ゼンマイバネ35の付勢力を受けて図3の初期状態の位置に強制的に戻るので、その後速やかに自閉弁機構部2で閉弁動作が実行される。
【0060】
また、停電のために便器洗浄の自動実行が行えない場合は、手動レバー7が使用者により手動操作される。この手動レバー7の操作により回転シャフト22は回転するので、手動にて支障無く便器洗浄を実行できる。つまり、使用者は、まず手動レバー7を第1の操作位置まで操作して回転シャフト22を僅かに回転させ、カム部材22aによりパイロット弁体14bを傾けてダイヤフラム弁10を開弁させる。これにより、リム洗浄が実施される。次いで、使用者は、手動レバー7を第2の操作位置まで操作して回転シャフト22を回転させ、回転ドラム21により出力ポート15を閉鎖し出力ポート16を開放させる。これにより、洗浄水分配が行われジェット洗浄が実施される。その後は、手動レバー7の第1の操作位置への復帰操作、初期位置までの復帰操作を行う。これにより、再度のリム洗浄と洗浄停止がなされる。このように操作される手動レバー7について、上記の第1、第2の操作位置で節度感が得られるようにしておけば、操作性を高めることができる。この場合、回転シャフト22の回転に要する力は上記したように低減されているので、使用者は、容易にこの手動レバー7を操作できる。
【0061】
また、アクチュエータ8を用いた便器洗浄を行うに当たり、アクチュエータ8を上記の正方向駆動してジェット洗浄を実行後には、次のようにすることもできる。つまり、アクチュエータ8の上記正方向駆動完了後は、電磁ソレノイド31の通電励磁を停止して出力ギヤ32と入力ギヤ33の接続状態を解き、回転シャフト22にはゼンマイバネ35の付勢力のみを作用させる。その後にアクチュエータ8を逆回転制御するが、この際には、アクチュエータ8はその回転方向(逆回転方向)と順方向の力(回転力)をゼンマイバネ35から受けない。よって、アクチュエータ8を無負荷状態で逆回転駆動できるので、アクチュエータ8の脱調を回避できる。回転シャフト22は、ゼンマイバネ35の付勢力を受けて逆回転し初期状態に位置に復帰する。よって、このシャフトの逆回転の間に、上記したように再度のリム洗浄が実行され、逆回転完了後は、パイロット弁体14bの正立姿勢(初期状態)への復帰を経て、自閉水栓装置JVは自閉止水する。この場合、洗浄水分配室30内に回転ドラム21のストッパを設けておけば、ゼンマイバネ35による復帰の際に回転シャフト22を高い繰り返し精度で初期状態の位置に戻すことができる。
【0062】
次に、二次側通水路11aの圧力異常に対処するための構成について説明する。自閉水栓装置JVは、図2および図4に示すように、二次側通水路11aの圧力(水圧)を受ける圧力スイッチ50を有する。この圧力スイッチ50は、分配弁機構部1の洗浄水分配室30と連通するようメインケース2bに装着されており、洗浄水分配室30内の圧力(二次側圧力)を受けるダイヤフラム51と、このダイヤフラムを洗浄水分配室30の側に付勢するスプリング55と、ダイヤフラム51の動きに追従して移動するようダイヤフラムサポート57に設けられたマグネット53と、このマグネット53の動きを検知するホールIC52と、スプリング設定荷重を調整するための荷重調整ねじ56とを有する。この場合、スプリング55は、荷重調整ねじ56により予め所定の設定圧力となるようにそのバネ長(即ち、設定加重)が調整されている。
【0063】
そして、洗浄水分配室30の側の水圧がダイヤフラム51に及ぼす力がスプリング55の付勢力を上回ると、ダイヤフラム51はこのスプリング55の付勢力に抗して図2において右側に移動する。このダイヤフラム51の動きは、マグネット53を介してホールICにより検知され、制御装置にその旨の電気的な信号(二次側圧力異常信号)として出力される。この信号を受け取った制御装置は、即座にダイヤフラム弁10を閉弁動作させるための制御(アクチュエータ8の逆転復帰制御や増速駆動制御を割込実施するので、洗浄水供給の緊急停止や流動時の水圧によって吐水分配のパターンを変化させるといったことが可能となる。なお、マグネット53は耐水性を考慮しフェライト製が望ましい。
【0064】
ここで、上記信号の出力の様子を、便器洗浄初期に圧力異常が発生した場合を例に取り説明する。この場合には、制御装置は、リモコンの便器洗浄ボタンの操作を受けてアクチュエータ8を駆動制御するので、回転シャフト22は、図3に示す初期状態位置から僅かに回転し、カム部材22aにより自閉弁機構部2のダイヤフラム弁10を開弁させる。これにより、洗浄水分配室30に洗浄水が流入し、この際には、回転ドラム21により出力ポート16は以前閉塞されているので、洗浄水は出力ポート15を経てリムに流れている。このような状況下で、一次側給水路3aの側の給水圧力が設定値以下に異常下降すると、ダイヤフラム51はスプリング55の付勢力に抗して、右側に移動しきれず、このダイヤフラム51に追従しているマグネット53も右側に移動しない。こうしてマグネット53がホールIC52を横切らず、通常動作時とは異なり、磁力のN極からS極への変化を捉えないため、圧力異常と判断し、デジタル信号を制御装置に出力する。これにより、制御装置は、通常の便器洗浄時とは異なる態様でアクチュエータ8を駆動制御する。具体的には、アクチュエータ8に組み込まれている電磁ソレノイド31をオフし、ギアの噛み合いを切り離す。これにより、回転シャフト22に取り付けられているゼンマイバネ35の付勢力で、回転シャフトを初期位置に強制的に戻す。よって、ジェット洗浄に移行することを抑制し、低圧による汚物詰まりを抑制することができる。
【0065】
次に、リム吐水配管86やジェット吐水配管87に洗浄水を流し込むための出力ポート部4について説明する。この出力ポート部4は、メインケース2bの上端に装着されており、出力ポート15、16の上端(下流側)にそれぞれ負圧破壊弁60、65を有する。この負圧破壊弁60、65は、出力ポート15、16と外部出力ポート15a、16aとの間に介在し、洗浄水の供給時には各ポート間を連通し、非供給時には各ポート間を大気解放して洗浄水の逆流を防止すべく以下の構成を有する。なお、負圧破壊弁60、65は同じ構成を有するので、以下の説明にあっては、適宜一方の弁(負圧破壊弁60)の構成についての説明に止めることとする。
【0066】
図2、図3並びに図4に示すように、負圧破壊弁60、65は、それぞれ上下動する負圧破壊弁体61、66と、この弁体の上下に位置する負圧破壊弁座62、67並びに分配室側弁座64、69を有する。負圧破壊弁60では、負圧破壊弁体61が、出力ポート16に流入した洗浄水圧力並びに自身の浮力により浮沈し、自閉弁機構部2が開弁状態(洗浄水吐水状態)で出力ポート16に洗浄水が流入すれば、環状隆起の負圧破壊弁座62にその下方から当接着座する。この場合、負圧破壊弁座62には、負圧破壊弁体61周縁上端のゴムシールが当接着座し、当接箇所のシール性が確保されている。これにより、出力ポート16と自閉水栓装置外側(大気)との連通を断絶すると共に、出力ポート16から外部出力ポート16a、延いてはジェット吐水配管87への洗浄水流入を可能とする。この場合、外部出力ポートに接続されたリム吐水配管86、ジェット吐水配管87の各配管は、その湾曲部内側WRの曲率が大きくされているので、各配管への通水時の配管湾曲部における圧力損失を抑制できる。
【0067】
また、負圧破壊弁体61は、自閉弁機構部2が閉弁状態にあり出力ポート16に洗浄水が流入していないときは、自重にて分配室側弁座64にその上方から当接着座する。この場合、分配室側弁座64は出力ポート内壁の等ピッチのリブで分断形成されているので、分配室側弁座64に負圧破壊弁体61が着座しても、この等ピッチの分配室側弁座64の分断箇所から出力ポート16への大気導入を図る。これにより、洗浄水分配室30からリム吐水配管86あるいはジェット吐水配管87に亘る管路が洗浄水で満たされたままの状態が起きたとしても、この状態は負圧破壊弁60から上記のように導入された空気にて分断される。よって、出力ポート下流側(二次側)の水抜きができると共に、洗浄水の逆流や管内洗浄水凍結による管路破損を回避できる。この時、負圧破壊弁60での負圧破壊性能は損なわれることになるが、逆止弁70をゴム部材で形成して当該弁に負圧破壊機能を持たせることにより、負圧破壊弁60に替わって負圧破壊性能を果たすことができる。なお、分配室側弁座64を環状に形成した場合であっても、負圧破壊弁体61が樹脂面でこの分配室側弁座64に着座すればこの着座箇所からの空気導入が可能であるので、上記したように水抜きを実施でき、逆流並びに凍結による管路破損を回避できる。また、分配室側弁座64を環状として、当該弁座への負圧破壊弁体61の着座部分に切欠を形成しても同様である。
【0068】
しかも、この負圧破壊弁体61は、次のような作用をなす。つまり、上記した各出力ポートへの洗浄水流入がなされているときに一次側給水路3aあるいは二次側通水路11aに負圧が発生すると、負圧破壊弁体61は、この負圧により分配室側弁座64に着座する。これにより、負圧破壊弁60は、出力ポート16への大気導入を図り、いわゆる負圧破壊を実施する。この弁構成・機能は、負圧破壊弁65でも同様である。
【0069】
負圧破壊弁座62、67の周囲は、オーバーフローした洗浄水が流れ込むよう陥没形成されたオーバーフロー水用受皿63とされており、この受皿に流れ込んだ洗浄水は、オーバーフロー水排出口68から外部に排出される。このオーバーフロー水用受皿63に洗浄水が流れ込む場合としては、自閉弁機構部2での開弁初期(吐水初期)および出力ポート切替時などがあり、このような場合に負圧破壊弁座から漏れた水は、オーバーフロー水排出口68を介して所定の場所に自然排水され、むやみに装置からこぼさないようにされている。なお、オーバーフロー水用受皿63の上端は、蓋体63aで覆われている。
【0070】
出力ポート部4は、上記構成の負圧破壊弁60の下流側、即ち外部出力ポート16aの接続箇所に、逆止弁70を有する。逆止弁70は、上端にて軸支されており、図4に実線で示す管路閉鎖姿勢から点線で示す管路開放姿勢に回動自在とされている。そして、この逆止弁70は、その下流側に発生した圧力によって、洗浄水が一次側給水路3aの側へと逆流することを防止している。負圧破壊弁65についても同様である。また、負圧破壊弁60、65によって、これら負圧破壊弁下流側の配管は、止水時にはエアーで置換されており、通常は負圧破壊弁60、65にて、その下流側が一次側から縁切りされている。この場合、逆止弁70をゴムシート等から形成すれば、シール性が高まり逆流防止の観点から好ましい。
【0071】
次に、一次側給水路3aに装着した定流量弁80について説明する。図6は、この定流量弁80の概略構成を説明するため、その上半部にて、高圧洗浄水流入時の様子を示し、下半部にて、低圧洗浄水流入時の様子を示す説明図である。定流量弁80は、図6に示すように、円錐型の螺旋状のスプリング81と、このスプリング81に発生した振動を抑制するよう装着された防振ゴム82と、スプリング81の回転止めを果たすと共に当該スプリングの伸縮により前後動するピストン83と、そのピストンガイド84とを有する。この定流量弁80に洗浄水が流入すると、スプリング81は、その洗浄水の勢い(流動圧)に起因する力を受けて撓み、スプリング間の隙間、即ち洗浄水の通路面積を変化させる。この際の撓み程度は、流れ込む洗浄水の勢いにより異なり、流動圧が低ければ撓み量も小さく通路面積が広くなる。その一方、流動圧が高ければ、スプリング81は大きく撓んで通路面積を狭くする。よって、この定流量弁80によれば、自閉水栓装置JVへの給水圧力が変動しても、その圧力変動に関係なくスプリング81を通過して自閉弁機構部2に達する洗浄水の流量を一定にできる。このため、回転ドラム21の動作タイミングのみを制御することで、各出力ポートへの吐水分配量(リム洗浄とジェット洗浄の分配量)を、給水圧の変動にかかわらず、一定に保つことができる。なお、この定流量弁80は、バネ80aにて、その上流側から押さえ込まれている。
【0072】
上記構成の定流量弁80では、ピストン83とピストンガイド84とを、上記した高摺動性発揮樹脂の成型品とした。よって、ピストン83がピストンガイド84内で前後動する際には、高摺動性を発揮できる。よって、ピストン83の前進動作時と後退動作時とで、給水圧と流量の関係のヒステリシスを小さくできるので、給水圧に応じて感度よく定流量化を図ることができる。
【0073】
また、この定流量弁80では、図6に示すように、ピストン83端部のスプリング押さえ部分を、その周縁に亘って円弧状に面取りした。よって、このスプリング押さえ部分で洗浄水の流れに大きな乱れを起こさないので、特に低給水圧時の圧力損失を抑制でき定流量化の信頼性が高まる。
【0074】
以上説明した本実施例の自閉水栓装置JVによれば、大便器85に組み込むことで、リム洗浄とジェット洗浄とにそれぞれ必要な流量を、リム吐水配管86とジェット吐水配管87の各配管に分配供給でき、洗浄吐水量、瞬間流量共に効率のよい便器洗浄を行うことが可能となる。
【0075】
次に、上記の自閉水栓装置JVの種々の変形について説明する。図7は、分配弁機構部1の変形例における要部拡大概略断面端面図である。上記した自閉水栓装置JVでは、カム部材22aによりパイロット弁体14bが倒されダイヤフラム弁10が開弁しても、回転ドラム21がその後ある程度継続しなければポートの切替が行われないが、この変形例では、自閉弁機構部2におけるダイヤフラム弁10の開弁動作と洗浄水分配供給の切替をより近似したタイミングで行える点に特徴がある。
【0076】
図示するように、この変形例では、回転ドラム21aは、自閉水栓装置JVが初期状態にあるとき出力ポート16を塞いでいるものの、ドラム側壁は、出力ポート15の開口部周縁に有る。よって、回転シャフト22が時計方向にこの初期位置から回転すると、半円形のカム部材22aによりパイロット弁体14bが倒されてダイヤフラム弁10(図示省略)が開弁すると共に、回転ドラム21aによる出力ポート15の閉鎖・出力ポート16の開放が即座に行われる。よって、止水状態(閉弁状態)にある自閉水栓装置JVにおいて、開弁のための操作により回転シャフト22が回転すると、吐水開始(開弁開始)とほぼ同時に出力ポートの切替がなされ、その吐水先が出力ポート16に対応したものとなる。また、このように、出力ポート16に対応した吐水先から吐水されている最中に回転ドラム21aが出力ポート16を塞ぐ側に逆転されると、ダイヤフラム弁10は開弁されたまま洗浄水の吐水先は出力ポート15に対応した吐水先に切り替わる。
【0085】
次に、他の変形例について、順次説明する。なお、説明に当たっては、洗浄水の流れに沿って各変形例を説明する。図8は、自閉弁機構部2における定流量弁80周辺の拡大断面図、図9は、定流量弁80の上流側に組み込んだストレーナ500の概略斜視図である。
【0086】
一般に、弁の入口には、ゴミや異物除去の弁内への進入を阻止するため、ストレーナが組み込まれる。しかし、圧力損失の低減の観点からは、流体の流れを阻害するストレーナは無い方が望ましい。よって、この変形例では、圧力損失の少ない新規なストレーナを提供することに特徴がある。なお、以下の説明では、上記した実施例の自閉水栓装置JVに組み込んだ場合を例に取り説明するが、種々の弁に適用できることは勿論である。
【0087】
図示するように、この変形例では、定流量弁80を上下のスペーサ88、89で挟持して一次側給水路3aに備え、管金具2aにて、スペーサごと定流量弁80を固定している。スペーサ89は、中央方向に延びた腕部89aを備え、この腕部により定流量弁80のピストン83の図中左方への動きを規制している。よって、下流側のスペーサ88、定流量弁80、上流側のスペーサ89をこの順に一次側給水路3aに配置するだけで、定流量弁80の組み込みが完了し、ピストンの上記動きを規制するための部材の組み付けを必要としない。このため、定流量弁80の組み付け作業性を高めることができる。
【0088】
管金具2aは、その内部にストレーナ500を有する。このストレーナ500は、略円錐台状の外観形状を有し、その骨格501は、ポリアセタール(POM樹脂)やポリフェニレンスルファイド(PPS樹脂)等のエンジニアリングプラスチックで形成されている。そして、この骨格501には、円錐台形状のメッシュ502を嵌め込んでいる。よって、ストレーナ500では、その頂上部の僅かな面積のメッシュしか、入口開口から流れ込む流体(洗浄水)の流れに直交させないので、流体の流れを乱すことが少ない。なお、骨格強度確保のため、略円錐台形状としたが、円錐形状であってもよいことは勿論である。
【0089】
また、このストレーナ500は、メッシュに従来多用されていたナイロンに替え、上記のPPS樹脂にてメッシュ502を形成した。よって、メッシュのオープニングエリアを、ナイロン性のメッシュの場合より約5%程度広くできた。これらの結果、ストレーナ500により、圧力損失を約0.56kPa{0.0057kgf/cm2 }程度に低減できた。従って、ストレーナ500は、自閉水栓装置JVに限らず種々の弁におけるストレーナとして有益である。なお、管金具2aにおける一次側給水路3aの流路径は、約17mmである。
【0090】
図10は、変形例の定流量弁80A周辺の概略構成を拡大して断面視すると共に、この定流量弁下流への洗浄水の流れの様子を説明する説明図、図11は、定流量弁80Aの下流に流れる洗浄水の圧力と流量の関係を示すグラフである。
【0091】
この定流量弁80Aは、一次側給水路3aにその管壁との間で隙間を持たせて組み込まれており、図中に矢印WAで示すように、弁中央部を軸線に沿って洗浄水を流すように構成されている。そして、この定流量弁80Aは、その下流側からスプリング503の付勢力を一次側給水路3aの上流側に向けて受け、図示するように管金具2aの側に位置(原位置)する。なお、定流量弁80Aは、その外周の適宜箇所にて一次側給水路3aに対して回り止めがなされている。
【0092】
今、洗浄水が低給水圧で一次側給水路3aに流れ込んだとする。定流量弁80Aは、この給水圧をその上端面で受けるものの低給水圧であるため、管金具2a側の原位置からそれほど下流側に動かない(図10(a)参照)。よって、一次側給水路3aの管壁との間の隙間は、定流量弁80A下流側の一次側給水路3aと連通したままである。このため、この隙間がバイパス流路となり、このバイパス流路と定流量弁80Aの弁中央部を洗浄水が下流に流れ、ダイヤフラム弁10(図示省略)に作用する。
【0093】
一方、洗浄水が高給水圧で一次側給水路3aに流れ込んだとする。定流量弁80Aは、この高給水圧を受けて原位置から下流側に押し込まれ、その下端部を一次側給水路3aの管壁段部に当接させる。よって、一次側給水路3aの管壁との間の隙間は閉鎖され、洗浄水は、定流量弁80Aの弁中央部のみを通過して下流に流れ、ダイヤフラム弁10(図示省略)に作用する。なお、定流量弁80Aは、弁中央部を通過する洗浄水に対しては、その流量の定流量化を給水圧の高低に拘わらず行うことは勿論である。
【0094】
この定流量弁80Aによれば、低給水圧時には、定流量弁での定流量化を受けない洗浄水が上記のバイパス流路から下流に流れ、高給水圧ではこのようなバイパス流路からの洗浄水通過を起こさない。よって、単なる定流量弁では、図11に二点鎖線で示すように低給水圧時には所定の設定流量Qの確保が困難であるのに対し、この変形例の定流量弁80Aによれば、低給水圧であっても設定流量Qの確保ができ好ましい。
【0095】
図12は、変形例の自閉水栓装置JVの概略構成を示すブロック図である。図示するように、この変形例は、定流量弁80の上流に配設されたストレーナ520と、その上下流の管路の差圧を検出する圧力センサ521とを有する。このストレーナ520は、既存のストレーナであってもよく、図9に示したストレーナでもよい。
【0096】
圧力センサ521は、その検出した差圧に応じた電気信号を制御装置522に出力し、この制御装置522にてストレーナ520の目詰まり状態が判断される。つまり、ストレーナ520が異物を捕捉して目詰まりが起きると、その目詰まり状態に応じてストレーナ下流への洗浄水の流れが阻害され、ストレーナの上下で差圧が生じる。よって、制御装置522は、ストレーナ520の目詰まり状態とストレーナ上下の差圧との関係に基づいて、圧力センサ521から入力される差圧信号から目詰まり状態を判断する。この制御装置522は、ストレーナ520に目詰まりが起きたと判断すると、表示装置やブザー等の報知装置523に制御信号を出力して、使用者にストレーナの清掃や交換等の旨を報知する。また、制御装置522は、この目詰まり発生を判断したときに自閉水栓装置JVが開弁状態であれば、パイロット弁体14bが既述した初期位置に復帰するようアクチュエータ8を制御した後にアクチュエータ8を停止させ、それ以降の自閉水栓装置JVの開弁動作を強制的に禁止する。なお、目詰まり発生時に自閉水栓装置JVが閉弁状態であれば、制御装置522は、アクチュエータ8の停止状態を維持し、リモコン等から便器洗浄指令(即ち、弁の開弁指令)が出力されても、アクチュエータ8を停止したままとして自閉水栓装置JVの開弁動作を強制的に禁止する。
【0097】
従って、この変形例では、ストレーナ520の目詰まりにより洗浄水に水量不足が起きれば、この目詰まり解消がなされるまで、自閉水栓装置JVを開弁させない。よって、水量不足のままで洗浄水がこの自閉水栓装置JVから便器洗浄のために送られることが無いので、水量不足による便器洗浄不良を招かない。このため、洗浄不良による不快感や違和感を使用者に与えることが無い。また、目詰まり報知により、使用者は、清掃、交換等の目詰まり解消処置を速やかに採ることができ、水量不足の無い状態での便器洗浄を速やかに実行することができる。
【0098】
上記した定流量弁80、80Aは、減圧弁や調圧弁に置換可能であり、この減圧弁や調圧弁によれば次のような利点がある。
【0099】
便器のリム洗浄はリム85aを吐水先とし、ジェット洗浄は吐出ノズル85cを吐水先とするので、リム洗浄では吐水先での絞り効果は小さくジェット洗浄では絞り効果は大きい。よって、ジェット洗浄時に吐出ノズル85cへの洗浄水の供給圧を下げても、大きな絞り効果によりジェット洗浄としての洗浄能力の低下を来さない。その一方、リム洗浄時に高い供給圧で洗浄水を供給しても何の支障もなく、絞り効果も小さい上に高い供給圧であることから、洗浄水のリム85aへの時間当たり流量は多くなる。よって、リム洗浄を短時間の内に実行してジェット洗浄を開始できるので、便器洗浄時間の短縮化を図ることができる。
【0100】
次に、自閉弁機構部2に関する変形例について説明する。図13は、変形例におけるダイヤフラム弁505の要部拡大断面端面図である。このダイヤフラム弁505は、ダイヤフラム506とダイヤフラムサポート507とを有する点で、既述したダイヤフラム弁10と共通する。つまり、ダイヤフラム506がその上面で給水弁座10aに当接着座する点、ダイヤフラムサポート507がその中央貫通孔をパイロット流路11bとしその周囲をパイロット弁座14aとする点等については、ダイヤフラム弁10と同様である。
【0101】
この変形例のダイヤフラム弁505では、ダイヤフラム506とダイヤフラムサポート507を一体化するに当たり、ダイヤフラムサポート507上端の平面部507aに亘って、ゴム製のダイヤフラム506と樹脂製あるいは金属製のダイヤフラムサポート507とを溶着させている。この両部材の溶着には超音波溶着の手法を採り、ダイヤフラムサポート507にダイヤフラム506を図示するよう装着した状態で超音波発振ホーンをダイヤフラム506に押し当て、当該ホーンから超音波を発振させた。これにより、両部材の界面は、超音波震度を起こして加熱され、溶着する。この場合、ゴムまたはエラストマーのダイヤフラム506に対して相溶性を有する樹脂にてダイヤフラムサポート12を成形すれば、溶着による一体化が促進され好ましい。
【0102】
このように超音波溶着によりダイヤフラム506とダイヤフラムサポート507を一体化して備えるダイヤフラム弁505によれば、ダイヤフラム上面にリテーナ13を要しないので、部品店数削減によるコスト低減と組み付け作業性の向上を図ることができる。また、溶着を上記の平面部507aに亘って行うので、リテーナのリベットにより数カ所しかダイヤフラムとダイヤフラムサポートを固定しない場合に比べて、シール性を向上させることができる。
【0103】
また、この変形例では、ダイヤフラムサポート507におけるパイロット弁座14a周囲において、ダイヤフラムサポート507の内部にテーパ状の陥没部507bを形成した。ダイヤフラムサポート507は、背圧室10cを形成することから(図2、3参照)、テーパ状の陥没部507bにより次の利点がある。
【0104】
背圧室10cに何らかの原因で空気(気泡)Kが入り込み、この空気Kが背圧室10c上面、即ちダイヤフラムサポートの上端内壁に残存したままであると仮定する。このように背圧室10c内に空気が残存すると、背圧室10cの圧力が昇圧する際には、空気は圧縮変形した状態で残存するので、背圧室10c内圧力と一次側給水路3a側の一次側給水圧を受けるダイヤフラムでは、圧力の不均衡が起きる。よって、ダイヤフラムの作動が不安定となり、ダイヤフラム弁としての開閉弁動作の信頼性が低下する。
【0105】
しかし、変形例のダイヤフラムサポート507では、空気Kをテーパ状の陥没部507bに沿って案内しパイロット弁座14aの側に導くので、背圧室10cに残存した空気Kをダイヤフラム弁505の開弁時に二次側通水路11aに排出できる。よって、ダイヤフラム弁505の開弁後にブリード穴18を通して一次側給水路3aから背圧室10cに洗浄水が流れ込む際には、背圧室10cに空気が残存しない状態で洗浄水の流れ込みが起きて背圧室10cが満水となる。このため、ダイヤフラム506を安定して作動(閉弁作動)でき、ダイヤフラム弁505の弁動作の信頼性を高めることができる。この場合、ダイヤフラムサポート507にテーパ状の陥没部507bを設けることは、本実施例の自閉水栓装置JVに限らず種々のダイヤフラム弁に適用できる。なお、パイロット弁座14aの周囲には、弁座形成のための窪みが存在するためこの窪みの空気は残るが、窪みには常に一定量の空気しか残らないので、支障はない。もっとも、この窪みを形成しないでパイロット弁座14aを隆起形成することもできることは勿論である。
【0106】
このダイヤフラム506は、その概略斜視図である図14に示すように、その最外周縁部に外側に突出した突起506aを有する。この突起506aは、平面方向から見た場合、ダイヤフラム506におけるブリード穴18と一列になるように形成されている。よって、メインケース2bと下部ケース2cにダイヤフラム506を挟持組み付ける際には、突起506aがダイヤフラム506延いてはブリード穴18の位置決めとして働く。このため、組み付け作業が簡略となると共に組み付け時のダイヤフラム506の取り扱いも容易となる。そして、このことを通して弁の量産性を高めることができる。なお、このように突起を設けることは、既述した実施例のダイヤフラム10bはもとより、種々のダイヤフラム弁に適用できる。
【0107】
図15は、図13に示す変形例のダイヤフラム弁505にあってブリード穴18の形成箇所を断面視した要部拡大断面端面図である。図示するように、変形例のダイヤフラム弁505では、ブリード穴18とクリーニングピン19とをその軸心が相対的に傾斜した関係となるようにした点に特徴がある。
【0108】
即ち、クリーニングピン19は、図示しない下部ケース2cに斜めに固定支持されている。これに対し、ブリード穴18は、垂直にダイヤフラムサポート507に形成されている。なお、ダイヤフラム506には、このブリード穴18より僅かに大きな貫通孔が空けられている。
【0109】
このダイヤフラム弁505では、図中に二点鎖線で示すように、ダイヤフラム506が湾曲してダイヤフラムサポート507ごと降下した場合、ブリード穴18の下端開口部は、傾斜したクリーニングピン19に近接する。よって、この下端開口部周辺では、クリーニングピン19との接触により穴形状の変形が起き得るが、この下端開口部より上方のブリード穴部分でピンがほぼ穴中央に位置する穴部分(図中にXで示す穴部分)では、ピンの接触は起きない。このため、この穴部分では穴形状の変形は起きず、穴とピンで規定される流体(洗浄水)の通過面積は一定のままとなる。この結果。ダイヤフラム弁505を安定して閉弁でき閉弁動作の信頼性を高めることができる。この場合、クリーニングピン19は、ブリード穴18の軸方向に対して約5〜20度程度傾いていればよい。
【0110】
なお、クリーニングピン19を傾斜させることに替え、クリーニングピン19を垂直に固定支持し、ブリード穴18をこのクリーニングピン19に対して傾斜するよう形成することもできる。また、ブリード穴18とクリーニングピン19とをその軸心が相対的に傾斜した関係となるようにすることは、自閉水栓装置JVに限らず種々のダイヤフラム弁に適用できる。
【0111】
図16は、変形例のクリーニングピンを説明する説明図であり、この変形例は、クリーニングピンの曲がり防止を図る点に特徴がある。図示するように、変形例のクリーニングピン508は、その下端で下部ケース2cに固定支持され、当該支持箇所の上方に、バネ部分508aを有する(図16(a)参照)。また、他の変形例のクリーニングピン509は、その下端部に球体部を有し、下部ケース2cに埋設設置されたユニバーサルジョイント509aにこの球体部を保持させて各方向に傾斜可能とされている(図16(b)参照)。
【0112】
これら変形例のクリーニングピンによれば、クリーニングピンにこれを撓ませようとする力が作用しても、バネ部分508aあるいはユニバーサルジョイント509aにより、クリーニングピンに曲がりをもたらさない。そして、上記の力が解除されれば、各クリーニングピンは、図示するように真っ直ぐな姿勢に容易に復帰する。よって、クリーニングピンの曲がりに起因するブリード穴内周壁へのピン接触を防止でき、ブリード穴に不用意な穴形状の変形を起こさない。このため、穴とピンで規定される流体(洗浄水)の通過面積を一定に維持でき、ダイヤフラム弁の弁動作の安定化と信頼性の向上を図ることができる。なお、クリーニングピン508は、バネ鋼の線材から形成すればより好ましく、このような線材であればバネ部分を小さくしたり省略することもできる。
【0113】
図17は、変形例の自閉弁機構部530の拡大断面端面図である。この自閉弁機構部530は、下部ケース2cに、所定条件下で背圧室10cを外部と連通するチェックバルブ532を備え、メインケース2bには、所定条件下で一次側給水路3aを二次側通水路11a、詳しくは洗浄水分配室30と連通するチェックバルブ534を備える。
【0114】
チェックバルブ532は、背圧室10c内の洗浄水が凍結する際にその体積膨張を起こすと、体積膨張による圧力を受けて開弁し、背圧室10c内の洗浄水を外部配管533を介して外部に排出する。よって、洗浄水凍結時の体積膨張による下部ケース2cの破損や背圧室10cの水漏れ、ダイヤフラム10bの損傷を回避でき、好ましい。
【0115】
チェックバルブ534は、何らかの原因で一次側給水路3aにおける給水圧が異常上昇すると、この給水圧を受けて開弁し、一次側給水路3a内の洗浄水をバイパス管路535を介して二次側通水路11a(洗浄水分配室30)に導く。よって、ダイヤフラム弁10のダイヤフラム10bへの異常圧力印加を回避して、ダイヤフラム弁10に異常な弁動作を起こさない。このような給水圧異常は、図示しない他の水栓等が大便器85の近くに存在し、この水栓で起きた水撃が一次側配管(図示省略)を経て自閉水栓装置JVまで伝播するような場合に起きる。よって、チェックバルブ534によれば、自閉弁機構部2にこのような水撃を受けないようにできる。これにより、ケーシングのエンジニアリングプラスチック化を促進でき、軽量化を図ることができる。なお、チェックバルブ532は、便器設置場所の気候条件を考慮して選択設置するようにできる。また、他の水栓からの水撃伝播が起き得ないように大便器85が単独設置してある場合には、チェックバルブ534をも省略できる。
【0116】
次に、分配弁機構部1に関する変形例について説明する。図18は、分配弁機構部1における変形例の回転ドラムの概略断面図である。図示するように、回転ドラム510は、弧状のドラム部分外表面に、陥没部510aを有する(図18(a)参照)。また、回転ドラム511は、弧状のドラム部分外表面に、弧状に複数列形成された凸条511aを有する(図18(b)参照)。なお、図には凸条511aは2列とされているが、3列以上であってもよい。
【0117】
この変形例の回転ドラム510、511では、そのドラム部分を少ない接触面積でしか分配室内周壁面に接触させない。このため、回転ドラム510、511を分配室内周壁面に沿って摺動回転させる際の回転トルクを低減できる。このため、僅かな操作力で、これら回転ドラム、延いては回転シャフト22を回転させることができので、回転トルク発生機器であるアクチュエータの低規格化や小型化をより一層進めることができる。
【0118】
また、何らかの原因で洗浄水分配室30に異物が進入しても、この異物は、陥没部510aの内部や凸条511aにおける凸条間に捕捉される。よって、回転ドラム510、511と洗浄水分配室30との間に異物が噛み込まれることがないので、回転ドラムの摺動回転不良を防止することができる。そして、このことを通して回転トルクの異常増大を招かないので、アクチュエータ8の駆動不良や不用意な損傷を回避できる。なお、陥没部510aと凸条511aはドラム部外表面の中央領域にしか形成されていないので、洗浄水分配室30内周面との間のシール性能は確保され、水漏れ等の支障はない。
【0119】
図19は、他の変形例の回転ドラムの拡大概略斜視図である。図示するように、回転ドラム540は、湾曲自在なシート体541を回転シャフト22に係合して備える。シート体541は、回転シャフト22から延びたT字状の腕部542をその両端で支持する支持部543を有し、回転シャフト22に対して上下に移動可能とされている。
【0120】
この回転ドラム540が洗浄水分配室30に組み込まれた状態では、シート体541は、分配室内周壁面の側に移動でき、図中に二点鎖線で示すようにこの分配室内周壁面(図3、図7参照)に倣って湾曲する。そして、回転ドラム540は、洗浄水分配室30が洗浄水で満たされると、上記したように湾曲したシート体541に洗浄水の水圧を図中矢印で示すように受けて、このシート体541を分配室内周壁面に押し付ける。この場合、シート体541はシート状で湾曲自在であることから、分配室内周壁面に倣ってより密着する。よって、閉鎖対象の出力ポートはより確実に閉鎖され、閉鎖対象の出力ポートにおける水漏れをより確実に防止できる。また、回転ドラム540の回転に伴う出力ポートの切替時には、上記した確実なポート閉鎖により、閉鎖ポートからの無駄水を低減できる。
【0121】
図20は、変形例の洗浄水分配室30の要部概略斜視図である。図示するように、この変形例では、出力ポート15、16は、近接配置して洗浄水分配室30に連通するようメインケース2bに形成されている。そして、各出力ポートの必要開口面積は、開口形状を分配室内周壁の幅方向に長く分配室内周壁の周方向では短くすることで確保されている。これら両出力ポートの開放・閉鎖を切り替える回転ドラム21は、円弧状のドラム部を各出力ポートを閉鎖できるよう上記の開口形状に倣った形状とされる。そして、この回転ドラム21により両出力ポートの開放・閉鎖を切り替える際の回転ドラム21の回転角度θは、両出力ポートの近接配置並びに上記形状的な特徴により、小さくなる。このため、この変形例によれば、回転ドラム21を小さな回転角度θだけ回転させれば出力ポートの開放・閉鎖を切り替えることができるので、異なる洗浄水吐水先への速やかな切替分配を図ることができる。しかも、閉鎖対象の出力ポートは速やかに開放状態から閉鎖状態とされるので、閉鎖ポートからの無駄水を低減できる。
【0122】
図21は、変形例のカム部材を説明するための説明図である。このカム部材545は、既述したカム部材22aと同様に回転シャフト22と一体とされて回転し、パイロット弁体14bに接触してこれを傾ける。パイロット弁体14bのシャフト部と接触するカム部材545のカム外周形状は、その回転中心545a(回転シャフト22の回転中心)からカム外周面までの距離が異なるようにされている。つまり、このカム外周形状は、カム部材545が図示する位置から時計方向に回転するほど上記の距離が長くなるようにされている。よって、カム部材545の回転当初は、回転中心545aからカム外周面までの距離が短いので、パイロット弁体14bは小さな回転トルクで傾く。このため、カム部材545を回転させてパイロット弁体14bを傾かせるためのアクチュエータ8(ステッピングモータ)には、大きな負荷をかける必要がないので、その始動性を高めることができる。なお、カム部材545が一旦回転すれば、上記の距離が長くなってトルク増となるが、特段の支障はない。つまり、この状態では、パイロット弁体14bはパイロット弁座14aから離れてスプリング17の付勢力を受けているに過ぎないので、このパイロット弁体14bを傾けるに当たりアクチュエータ8を高負荷で駆動する必要はない。
【0123】
図22は、変形例の回転シャフトと回転ドラムを説明するための説明図である。この回転シャフト547と回転ドラム548の両者は、既述した回転シャフト22並びに回転ドラム21と同様に一体に回転するが、回転ドラムの不用意な破損時の部品交換を考慮して別部材とされ、嵌合・一体化ができるようにされている。即ち、回転シャフト547は、当該シャフトから延びた腕部547aを有し、この腕部547aを回転ドラム548の有底孔548aに嵌合させて、この回転ドラム548と一体化されている。この変形例によれば、回転ドラム548が破損しても回転シャフト547に新たな回転ドラムを嵌合・一体化すればよく回転シャフトを有効利用できる。また、回転シャフト547の回転トルクは、シャフト中心から離れた腕部547aの先端部で回転ドラム548に伝達されるので、回転ドラム548に好適にトルクを伝達でき好ましい。しかも、腕部547aは回転ドラム548の有底孔底部近傍まで入り込んでいるので、洗浄水分配室30においてこの有底孔から腕部が抜けることが無い。この点からもトルクの伝達不良を回避できる。
【0124】
次に、出力ポート部4に関する変形例について説明する。図23は、変形例の負圧破壊弁550の要部拡大断面図である。図示するように、この負圧破壊弁550では、環状に隆起した負圧破壊弁座の直径を大きくした点に特徴がある。即ち、この変形例の負圧破壊弁座551の直径Dは、図4に示す負圧破壊弁座62の直径dより大きくされている。今、図4の負圧破壊弁体61と図23の負圧破壊弁体552に下向きに圧力(二次側圧力)P2が作用していると仮定すると、負圧破壊弁座が負圧破壊弁体から受ける力は、次のようになる。
【0125】
負圧破壊弁座62: F=(π/4)・d2 ・P2
負圧破壊弁座551:F’=(π/4)・D2 ・P2
【0126】
そして、負圧破壊弁座の円周長さ当たりの力f(即ち、線圧)は、次のようになる。
【0127】
負圧破壊弁座62: f=F/πd=(d/4)・P2
負圧破壊弁座551:f’=F’/πD=(D/4)・P2
【0128】
よって、図4に示す負圧破壊弁座62の直径dより大きな直径Dとされた負圧破壊弁座551では、線圧をD/d倍とできるので、その分だけ高い止水性を発揮でき、好ましい。そして、このような高い止水性により、通水開始時や分配切替時あるいは通水中の弁外部への水漏れを効果的に防止でき、外部への水飛散防止効果が高まる。
【0129】
図24は、他の変形例の負圧破壊弁554の要部拡大断面図である。図示するように、この負圧破壊弁554では、負圧破壊弁体555は、その下端に当該弁座を負圧破壊弁座62に向けて常時付勢するバネ部分556を一体に有する。この場合、負圧破壊弁体555とバネ部分556とは、樹脂成形の際に一体形成される。この負圧破壊弁554によれば、非通水時にあっても負圧破壊弁座62に負圧破壊弁体555を当接着座させるので、通水開始時における弁外部への水飛散防止を図ることができる。また、負圧破壊弁体555とバネ部分556が一体形成品であることから、部品点数の低減を通して弁組立時の作業効率を高めることができる。なお、負圧発生時には、負圧破壊弁体555は下降して出力ポート壁面部の下端弁座557に当接着座し、負圧発生時の逆流を防止する。この下端弁座557の外部出力ポートの側に切欠557aを設ければ、この切欠557aにより出力ポート下流側(二次側)の水抜きができる。
【0130】
図25は、別の変形例の負圧破壊弁558の要部拡大断面図である。図示するように、この負圧破壊弁558は、負圧破壊弁体559と、当該弁体に対向配置された逆止弁体560と、この逆止弁体の上下動案内となり負圧破壊弁体下端に固定された案内シャフト561と、両弁体間に組み込まれたスプリング562とを有する。よって、この負圧破壊弁558では、スプリングの付勢力を受けて、負圧破壊弁体559は負圧破壊弁座62に着座した姿勢を常時採り、逆止弁体560は出力ポート壁面の段部に着座した姿勢を常時採る。このため、この負圧破壊弁558によれば、非通水時にあっても負圧破壊弁座62に負圧破壊弁体559を当接着座させるので、通水開始時や分配切替時あるいは通水中の弁外部への水漏れを効果的に防止でき、外部への水飛散防止効果が高まる。しかも、通水時には、逆止弁体560が上昇してスプリング562を押し縮めスプリングの付勢力を高めるので、通水時の負圧破壊弁体559によるシール力が大きくなって高い水飛散防止効果を発揮できる。
【0131】
図26は、変形例の出力ポート部4の要部拡大断面図である。図示するように、この変形例では、負圧破壊弁座62、67を取り囲むオーバーフロー水用受皿63の底部563は、オーバーフロー水排出口68との接続部が低くなるよう傾斜して形成されている。こうすれば、負圧破壊弁座62、67からオーバーフローした洗浄水を、この底部563に沿ってオーバーフロー水排出口68に効果的に導くことができるので、オーバーフロー洗浄水の弁外部への排出効率が高まり好ましい。
【0132】
図27は、他の変形例の出力ポート部4の要部拡大断面図である。図示するように、この変形例では、オーバーフロー水用受皿63と連結するオーバーフロー水排出口564を、上記受皿の底部563より低い位置にくるようにした。これにより、受皿の底部563とオーバーフロー水排出口564との間に水頭差を持たせる。よって、この水頭差分だけオーバーフロー洗浄水の弁外部への排出効率を高めることができ好ましい。なお、図には受皿の底部563を上記したように傾斜形成されたものとして表したが、図3に示すように水平な底部を有するものにも適用できる。
【0133】
図28は、また他の変形例の出力ポート部4の要部拡大断面図である。図示するように、この変形例では、外部出力ポート接続箇所の逆止弁70が着座する逆止弁座566を傾斜させて形成した。これにより、逆止弁70は、通常、自重によりこの逆止弁座566に着座する。また、この逆止弁70の閉弁時(逆止時)には、逆止弁自重による閉弁力が、逆流しようとする洗浄水の力に加わるので、より高い逆流防止効果を得ることができる。そして、逆止弁開弁時には、逆止弁70が傾斜している分だけ逆止弁開弁に要するエネルギを少なくできるので、開弁時の圧力損失を抑制でき洗浄水の通水性を高めることができる。なお、上記した逆止弁70の傾斜角θgは、約2〜20度程度とすればよい。
【0134】
次に、凍結防止に関する変形例について説明する。図29は、ヒータにて凍結防止を図る変形例を説明するための説明図である。図示するように、この変形例は、自閉水栓装置周辺の外気温を検出する温度センサ572と、背圧室10c内の洗浄水を暖めるためのヒータ573と、当該ヒータを検出温度に応じて制御する制御装置574とを有する。ヒータ573は、種々の形態を採ることができ、下部ケース2cの外部側壁に装着される環状のヒータ573aや、下部ケース2cの下端端面に装着されるリング状のヒータ573bとすることができる。なお、環状のヒータ573aにあっては、分割されたものとすることができる。
【0135】
制御装置574は、自閉水栓装置JVの非駆動時(閉弁止水時)において温度センサ572をスキャンし、検出外気温が背圧室10c内の洗浄水に凍結が起き得る温度であるかを判断する。そして、凍結が起き得る状況、例えば約0℃を下回る温度であると、ヒータ573を所定時間だけオン制御する。これにより、背圧室10c内の洗浄水の凍結が回避されるので、冬季や寒冷地であっても自閉水栓装置JVを用いて支障無く洗浄水の分配供給、延いては便器洗浄を行うことができる。また、このようなヒータ制御を自閉水栓装置JVの駆動時(開弁時)には行わないので、弁駆動時の制御装置の制御負荷を軽減できる。なお、外気温検出の温度センサ572に替えて、背圧室10c内の洗浄水温度を直接検出する熱伝対(水温センサ)とすることもできる。
【0136】
図30は、凍結防止を図る他の変形例を説明するための説明図である。この変形例では、図示しない外気温センサあるいは背圧室10c内の水温センサの検出温度により背圧室10cに凍結が起き得る状況であると、止水要求(便器洗浄要求)によらず強制的に自閉水栓装置JVを開弁させる点に特徴がある。今、図示しない制御装置が凍結が起き得る状況下にあると判断すると、アクチュエータ8(図2参照)を駆動し、回転ドラム21が図30に示す位置(両ポート開放位置)に回転させる。これにより、パイロット弁体14bが傾いてダイヤフラム弁10が開弁するので、洗浄水の便器への流入が可能となる。そして、この際には、回転ドラム21により出力ポート15、16ではそのポート入口が開かれているので、洗浄水はリム吐水配管86とジェット吐水配管87に同時に流れ込み、リムと吐水ノズルから吐水される。また、この方式は、サイホン発生に寄与しないジェット流量で吐水するため、洗浄音が小さく不快感を与えることがない。
【0137】
この変形例によれば、凍結が起き得る状況下で自閉水栓装置JVのダイヤフラム弁10を開弁して洗浄水の流通を起こすので、背圧室10c内の洗浄水凍結を防止できる。よって、冬季や寒冷地であっても、自閉水栓装置JVを用いて支障無く洗浄水の分配供給、延いては便器洗浄を行うことができる。なお、上記の両ポート開放位置に回転ドラム21を回転させた後は、所定時間経過後にアクチュエータ8を初期位置に復帰させる。つまり、初期位置から両ポート開放位置へのアクチュエータ8の駆動制御を間欠的に実施する。
【0138】
この変形例では、回転ドラム21が上記の両ポート開放位置を採るようアクチュエータ8を駆動制御するが、出力ポート15、出力ポート16の順に各ポートを開放するよう制御することもできる。そして、この各ポートの開放制御を間欠的に行うこともできる。
【0139】
図31は、凍結防止を図るまた別の変形例を説明するための説明図である。この変形例では、凍結が起き得る状況下での自閉水栓装置JVの開弁動作をセンサ等を用いずに実施する点に特徴がある。図示するように、この変形例の自閉水栓装置JVは、メインケース2bに分配室副室580を備え、当該副室内にピン581とこれを付勢するスプリング582を有する。このスプリング582は、ピン581に固定されている。分配室副室580は、洗浄水分配室30周壁から空けられた副室通路583を介して洗浄水分配室30と連通している。よって、この分配室副室580は、洗浄水分配室30、延いては二次側通水路11aと同じ温度の洗浄水で満たされる。
【0140】
スプリング582は、形状記憶合金から形成されており、分配室副室580内で洗浄水凍結が起き得る状況の温度(例えば約0℃)となると自身のバネ常数が変化してバネ長を伸ばし、ピン581を図中左方向に押圧するようにされている。このため、洗浄水凍結が起き得る状況下では、パイロット弁体14bはピン581に押されて傾し、ダイヤフラム弁10は開弁する。従って、この変形例によれば、洗浄水凍結が起き得る状況下で、自発的に、即ち何らかの機器の電気的な駆動制御によらないで洗浄水の流通を起こして、背圧室10c内の洗浄水凍結を防止できる。よって、冬季や寒冷地であっても、自閉水栓装置JVを用いて支障無く洗浄水の分配供給、延いては便器洗浄を行うことができる。なお、温度が上昇して凍結が起きないようになると、バネ長が復帰するよう縮みピン581を元に位置に引き寄せるので、パイロット弁体14bは正立姿勢となりダイヤフラム弁10は自閉止水する。
【0141】
図32は、凍結発生時に手動による開弁を禁止する変形例を説明するための説明図である。図示するように、この変形例は、図示しない手動レバー7の回転を伝達するレバー側シャフト585と、回転シャフト22に回転を伝達する弁側出力ギヤ586と、レバー側シャフト585と弁側出力ギヤ586の連結を行うための第1ギヤ587と第2ギヤ588と、第1ギヤ587と固定されたスプリング589とを有する。この第1、第2のギヤは、軸中心から放射状にギヤ歯を形成したクラッチギヤとされており、軸方向の相対的な移動により互いのギヤ歯を噛み合わせて連結する。
【0142】
スプリング589は、図示しない他端側で操作部ケーシング(図示省略)と固定されている。そして、このスプリング589は、形状記憶合金から形成されており、弁内(詳しくは、背圧室10c内や洗浄水分配室30内)で洗浄水凍結が起きたと想定される温度(例えば約−2℃)となると自身のバネ常数が変化してバネ長を縮め、第1ギヤ587を第2ギヤ588から離間させるようにされている。このため、洗浄水凍結が起きた状況下では、上記の第1、第2のギヤの連結が絶たれるので、手動レバー7によりレバー側シャフト585が回転しても、弁側出力ギヤ586にはこの回転が伝達されない。つまり、手動レバー7の操作が無効となる。このため、弁内で洗浄水の凍結が起きた場合には、手動レバー7が操作されても、不用意に回転ドラム21や回転シャフト22を回転駆動させないので、不用意な部品破損を防止することができる。
【0143】
この場合、弁側出力ギヤ586は既述した入力ギヤ33と噛み合っており、電磁ソレノイド31(図2参照)の通電励磁を通してアクチュエータ8の回転が回転シャフト22に伝達されるようにされている。よって、上記のように洗浄水凍結が起きるような場合には電磁ソレノイド31をオフとしてアクチュエータ8の回転が回転シャフト22に伝達しないようにできる。このため、弁内で洗浄水の凍結が起きるような場合には、リモコンが操作されて便器洗浄が指示されても、不用意に回転ドラム21や回転シャフト22を回転駆動させないので、手動レバー7の場合と同様に不用意な部品破損を防止することができる。なお、弁内で洗浄水の凍結が起きるような場合にリモコンから便器洗浄が指示された場合は、アクチュエータ8の回転制御を禁止するよう構成してもよい。
【0144】
この変形例において、手動レバー7を図示しない傘歯車を介してレバー側シャフト585と連結し、当該シャフトに対して手動レバー7を直交させてもよい。こうすれば、手動レバー7を操作性の高い位置とできることからその操作性を向上できる。また、アクチュエータ8が初期位置にあり各ギヤも閉弁時の初期位置にある場合にのみ、手動レバー7が外部に突出するようにすれば、アクチュエータ8の駆動を伴う閉弁時に手動レバー7による手動操作をできないようにできる。よって、アクチュエータ8に不用意な負荷をかけることが無く好ましい。
【0145】
このように形状記憶合金のスプリング589を用いて凍結時の手動操作を無効とする場合、上記したヒータやアクチュエータ8の間欠駆動制御を併用すると次の利点がある。ヒータ等により凍結防止が図られているが、停電時に外気温が低下すれば凍結が起きることがある。しかし、スプリング589によりこの時の手動操作は無効であり、アクチュエータ8も停電により駆動できないので、回転シャフト22は駆動することが無く部品破損を確実に回避できる。しかも、停電復旧後は、ヒータの通電等により凍結を解消できる
【0146】
図33は、凍結発生時に手動による開弁を禁止する他の変形例を説明するための説明図である。図示するように、この変形例は、回転シャフト22に回転を伝達する弁側出力ギヤ590と、当該ギヤを回転させるために引っ張り操作される手動レバー591と、この手動レバーの直線運動を回転運動に変換してギヤを回転させる伝達機構592とを有する。手動レバー591は、有底筒状のケース部593を有し、操作部ケーシング594から外部に突出して配置されている。そして、このケース部593の開口側の鍔部595が操作部ケーシング594の段部594aに当接するまで、手動レバー591は引っ張り可能とされている。また、ケース部593はスプリング596の付勢力を受けている。よって、手動レバー591が上記のように引っ張られその力が解除されると、手動レバー591は図示する初期位置に復帰する。
【0147】
伝達機構592は、ケース部593の有底孔に差し込まれたシャフト597と、その先端に連結されたワイヤ598と、シャフト597端部の鍔部と上記のケース部593の鍔部との間に配設されたスプリング599とを有する。ワイヤ598は、その他端側で弁側出力ギヤ590と一体のプーリー600に固定されている。
【0148】
スプリング599は、その一端でシャフト597の鍔部と固定されている。そして、このスプリング599は、形状記憶合金から形成されており、弁内(詳しくは、背圧室10c内や洗浄水分配室30内)で洗浄水凍結が起きたと想定される温度(例えば約−2℃)となると自身のバネ常数が変化してバネ長を縮め、シャフト597に対してケース部593をフリーとする。この場合、スプリング599は、図33に示す初期状態での操作部ケーシング594の段部594aとシャフト597の鍔部との間の長さよりも短いバネ長に縮む。よって、手動レバー591が引っ張り操作されても、ケース部593だけが段部594aまで移動するに過ぎず、シャフト597は図33の初期状態の位置のままである。このため、手動レバー591が引っ張り操作されても弁側出力ギヤ590は回転しない。つまり、手動レバー7の引っ張り操作は無効とされ、弁内で洗浄水の凍結が起きた場合には、不用意に回転ドラム21や回転シャフト22を回転駆動させないので、不用意な部品破損を防止することができる。
【0149】
一方、上記の温度を超えると、スプリング599は、バネ長を伸ばしてシャフト597とてケース部593の鍔部間にテンションをかける。よって、手動レバー591が引っ張り操作されると、シャフト597はこの手動レバー591と共に移動し、伝達機構592を介して弁側出力ギヤ590が回転する。これにより、パイロット弁体14bが傾けられ既述したように自閉水栓装置JVが開弁する。つまり、自閉水栓装置JVを手動にて開弁できる。
【0150】
また、この変形例は、弁側出力ギヤ590の初期状態への回転復帰時のショック軽減のためダンパ機構602を有する。このダンパ機構602は、弁側出力ギヤ590を噛み合い配置されたダンパギヤ604と、このギヤを回転自在に軸支するアーム605と、このアーム605をストッパ606側に常時付勢するスプリング607とを有する。アーム605は、ダンパギヤと反対側の端部で揺動自在に支持されている。そして、このアーム605は、弁側出力ギヤ590が時計方向に回転してダンパギヤ604に図中の矢印DA方向の回転力が伝わると、この回転力によりストッパ606から離れるよう揺動する。これにより、弁側出力ギヤ590とダンパギヤ604の噛み合いは解かれ、弁側出力ギヤ590はほぼフリー状態で回転する。一方、弁側出力ギヤ590が反時計方向に逆回転してダンパギヤ604に矢印DB方向の回転力が伝わると、アーム605はスプリング607の付勢力とこの回転力によりストッパ606の側に揺動する。これにより、弁側出力ギヤ590とダンパギヤ604は噛み合い、弁側出力ギヤ590は、ダンパギヤ604により規制されながら逆回転し初期位置に復帰する。この際、ダンパギヤの規制により初期位置復帰時のショックが軽減されるので、手動操作後の初期位置復帰が穏やかに行われる。よって、手動操作により傾いたパイロット弁体14bは緩やかに正立姿勢に復帰してハンチングを起こさないので、自閉水栓装置JVは速やかに自閉止水する。
【0151】
次に、他の実施例について説明する。図34は、第2実施例の自閉水栓装置JV2の初期状態における概略断面図、図35と図36は、この自閉水栓装置JV2が開弁状態にある時の概略断面図である。この第2実施例の自閉水栓装置JV2にあっても、既述した実施例の自閉水栓装置JVと同様、自閉弁機構部101の下流に分配弁機構部102を備え、この分配弁機構部102における洗浄水の分配供給を操作ユニット103のアクチュエータ108で行うよう構成されている。なお、以降の各実施例の説明に当たっては、同一の機能を果たす構成については同一の符号を用いてその詳細な説明を省略することとする。
【0152】
自閉弁機構部101は、管路の開弁と自閉止水を行うダイヤフラム弁104を備え、このダイヤフラム弁104は、給水弁座110aと給水弁体110bとを有する。給水弁座110aは、本水栓装置の中央ケーシング104cの内壁にて環状に隆起形成されており、外部の給水源に連絡する管金具101aからの一次側給水路103aと、弁座内部の二次側通水路111aを区画形成している。二次側通水路111aは、給水弁座110aよりも上方に延びてケーシング内で屈曲形成され、分配弁機構部102に至るようにされている。
【0153】
給水弁体110bは、ダイヤフラム104aをダイヤフラムサポート112とリテーナ113で挟持して構成され、このダイヤフラム104aを下部ケーシング104bと中央ケーシング104cに挟持して本弁装置に組み込まれている。そして、ダイヤフラム104a下方の領域が背圧室110cとされている。よって、給水弁体110bは、ダイヤフラム104aを挟んで一次側給水路103aの圧力と二次側通水路111aの圧力を受け、その圧力均衡によりダイヤフラム104aを上下動させ、上記の両通水路を連通する。なお、管金具101aの下流には、既述した実施例と同様の定流量弁135が組み込まれている。
【0154】
また、自閉弁機構部101は、背圧室110cに設置されたパイロット弁114を備え、このパイロット弁114は、下部ケーシング104bの内壁にて環状に隆起形成されたパイロット弁座114aと、当該弁座に当接着座するパイロット弁体114bを有する。パイロット弁体114bは、図34に示すように、スプリング117によりパイロット弁座114aの側に常時付勢されて弁座に当接着座しており、背圧室110cとパイロット通水路109の連通を断絶している。この図34に示す状態が、パイロット弁114並びにダイヤフラム弁104の通常の状態(初期状態)である。
【0155】
そして、図35に示すように、このパイロット弁体114bがスプリング117の付勢力に抗して押されると、背圧室110cとパイロット通水路109が連通し、背圧室110c内の水が排出される。これにより、背圧室110c内の圧力が低下してダイヤフラム104aを挟んだ圧力均衡が崩れ、ダイヤフラム弁104は開弁する。よって、自閉弁機構部101は開弁状態になり、一次側給水路103aから二次側通水路111aに洗浄水が流れ込む。
【0156】
本実施例にあっても、ダイヤフラム104aとダイヤフラムサポート112並びにリテーナ113を貫通してブリード穴118が空けられている。よって、パイロット弁体114bの押し付けが解除されパイロット弁114が上記の状態から初期状態に復帰して閉弁状態となると、このブリード穴118を介して、一次側給水路103aから背圧室110cに洗浄水が流れ込む。そして、背圧室110cが洗浄水で満水になると、背圧室110cの圧力が一次側給水圧力に等しくなる。これにより、ダイヤフラム104aを挟んだ圧力が均衡するので、ダイヤフラム弁104の給水弁体110bは給水弁座110aに当接着座し、自閉弁機構部101は自閉止水して初期状態(閉弁状態)になる。
【0157】
また、本実施例にあっても、ブリード穴118にクリーニングピン119が挿入配置されている。よって、既述した実施例と同様、このクリーニングピン119により、洗浄水中の異物除去、弁動作速度の調整が可能である。
【0158】
この自閉弁機構部101の下流に組み込まれた分配弁機構部102は、図におけるケーシング左方に、有底筒状の回転ドラム121を備える。この回転ドラム121は、中央ケーシング104cに水密に固定された上部ケーシング104dにおける二次側通水路111aの末端に位置し、筒中心軸周りに回転自在に支持されている。回転ドラム121の周壁には、出力口125が空けられており、この出力口125は、回転ドラム121の回転に伴って、中央ケーシング104cの出力ポート115、116に連通する。つまり、分配弁機構部102が図34の初期状態にある場合には、出力ポート115が出力口125に重なって出力ポート116は回転ドラム121周壁で閉鎖されており、回転ドラム121が所定角度(本実施例では90度)回転すると、出力ポート116が出力口125に重なって出力ポート115は閉鎖される(図36参照)。そして、二次側通水路11aから回転ドラム121の有底孔内に流れ込んだ洗浄水は、出力口125が連通した方の出力ポートを経て当該ポートから流れ出る。この場合、出力ポート115と出力ポート116は、その開口面積が異なるようにされているので、異なる流量で各出力ポートから洗浄水が流れ出る。
【0159】
また、分配弁機構部102は、回転ドラム121の駆動源としてのアクチュエータ108を、回転伝達カム122を介して回転ドラム121と連結して有する。この回転伝達カム122は、アクチュエータ108の回転を回転ドラム121に伝達すると共に、当該ドラムと一体に正逆回転する。そして、回転伝達カム122は、外周端面をパイロット弁体114bに接触するカム面とし、自身の回転角度に応じて、パイロット弁体114bにスプリング117の付勢力に抗した力を及ぼしたり解除したりする。このため、パイロット弁体114bは、アクチュエータ108、ひいては回転ドラム121や回転伝達カム122の回転に伴って進退し、パイロット弁114に当接着座したり離間する。
【0160】
今、図34の初期状態にあるときアクチュエータ108が回転駆動して回転伝達カム122と回転ドラム121を回転させると、その回転初期において、パイロット弁体114bは、回転伝達カム122により図中右方向に押される。このため、パイロット弁114が開弁して上記のようにダイヤフラム弁104は開弁状態となるので(図35参照)、洗浄水は二次側通水路111aを通って分配弁機構部102まで流れ込む。この状態では、回転ドラム121の回転が初期であり出力口125は出力ポート115に連通したままであるので、一次側給水路103aから供給された洗浄水は、この出力ポート115に分配供給され吐水される(図35参照)。
【0161】
アクチュエータ108により回転ドラム121が更に回転されると、出力ポート115はドラム周壁で塞がれ、出力口125は出力ポート116に連通するので、この出力ポート116に洗浄水が分配供給されて吐水される(図36参照)。この間、パイロット弁体114bは、回転伝達カム122外周端面のカム面にて押された状態が持続されるので、ダイヤフラム弁104は開弁状態のままである。
【0162】
次いで、アクチュエータ108は、回転ドラム121が図34の初期位置まで復帰するよう逆転駆動される。これにより、回転ドラム121は図36の状態から図34の初期状態に復帰する。このドラム復帰により、出力ポート116は再びドラム周壁で閉塞されて出力口125が出力ポート115に連通する。また、パイロット弁体114bは、回転伝達カム122の押し付けから解放されてパイロット弁座114aに当接着座し、パイロット弁114は閉弁状態となる。これにより、ダイヤフラム弁104は上記したように閉弁状態となり、自閉弁機構部101は自閉止水する。この際、出力口125は出力ポート115と連通されているので(図34参照)、自閉弁機構部101の自閉止水が完了するまで、洗浄水は出力ポートに分配供給されて吐水される。
【0163】
このように第2実施例の自閉水栓装置JV2にあっても、回転ドラム121とパイロット弁開弁のための回転伝達カム122の同期回転により、自閉弁機構部101の開閉弁動作と分配弁機構部102での洗浄水の分配供給を同時に実行することができる。よって、この自閉水栓装置JV2を上記の実施例の自閉水栓装置JVに替えて大便器85に装着し、出力ポート115にリム吐水配管86を出力ポート116にジェット吐水配管87を接続することができる。そして、この自閉水栓装置JV2によっても、リム洗浄とジェット洗浄とにそれぞれ必要な流量を、リム吐水配管86とジェット吐水配管87の各配管に分配供給でき、洗浄吐水量、瞬間流量共に効率のよい便器洗浄を行うことが可能となる。
【0164】
次に、この第2実施例の自閉水栓装置JV2で採用した負圧破壊弁160について説明する。この自閉水栓装置JV2では、負圧破壊弁160を自閉弁機構部101と分配弁機構部102の間における二次側通水路111aに備える。
【0165】
図34ないし図36に示すように、負圧破壊弁160は、給水弁座110aで囲まれた二次側通水路111aの上端に位置し、既述した実施例の負圧破壊弁60と同様の構成を有する。即ち、負圧破壊弁160は、上部ケーシング104d上端の案内シャフト160aに装着された負圧破壊弁体161と、当該弁体の上昇時の弁座となるよう上部ケーシング内壁で形成された負圧破壊弁座162と、弁体降下時の弁座となるよう中央ケーシング内壁で形成された自閉弁側弁座164とを有する。
【0166】
負圧破壊弁体161は、図34に示す止水時にあっては、自重により降下して自閉弁側弁座164に当接着座している。これにより、負圧破壊弁160下流側の二次側通水路111a並びに当該通水路に接続された配管は、止水時においてエアー置換されており、この負圧破壊弁160にて、その下流側と一次側給水路103aは縁切りされている。その一方、図35あるいは図36に示す開弁時にあっては、給水弁座110aで囲まれた二次側通水路111aを流れる洗浄水の給水圧と自身の浮力によって、負圧破壊弁体161は上昇して負圧破壊弁座162に当接着座する。これにより、負圧破壊弁体161は、案内シャフト160a周囲のオーバーフロー水用受皿163をその底面で閉鎖して、二次側通水路111aを自閉水栓装置外側から断絶し、洗浄水の流出を防止している。そして、開弁時にあって一次側給水路103aあるいは二次側通水路111aに負圧が発生した際には、この負圧により負圧破壊弁体161は負圧破壊弁座162から離れて、自閉水栓装置外側から大気を導入し負圧を破壊する。オーバーフロー水用受皿163はオーバーフロー水排出口168と繋がっているので、給水初期あるいは出力ポート切替時にオーバーフロー水用受皿163に漏れ出た洗浄水は、オーバーフロー水排出口168を介して所定の場所に自然排水される。なお、この負圧破壊弁体161をスプリングにより負圧破壊弁座162の側に常時付勢するよう構成することもできる。
【0167】
図37は、第3実施例の自閉水栓装置JV3の初期状態(自閉止水時)概略断面端面図である。図示するように、この自閉水栓装置JV3は、上部ケーシング200aと下部ケーシング200bを接合して形成される筒状の水栓本体201を備える。この水栓本体201には、下部ケーシング200bの側に給水室202が環状に形成されている。また、水栓本体201の内部には、上部ケーシング200aの側に背圧室203が、下部ケーシング200bの側に吐水室204が形成されている。そして、吐水室204の左右には、この吐水室204と連通する吐水穴205、206が設けられている。
【0168】
吐水室204と背圧室203の境界には、ダイヤフラム弁210が組み込まれている。このダイヤフラム弁210は、下部ケーシング200bの内壁を環状に隆起させ上記の給水室202を区画する給水弁座212と、この弁座に当接着座するダイヤフラム213とを有する。ダイヤフラム213は、その頂上平坦部を給水弁座212への弁体214とし、ダイヤフラムサポート215とリテーナ216で挟持された状態で、上下のケーシングに挟持固定されている。
【0169】
この実施例にあっても、ダイヤフラムサポート215とリテーナ216並びにダイヤフラム213を貫通するブリード穴217が空けられている。よって、図示する初期状態(ダイヤフラム弁210の閉弁状態)では、このブリード穴217を介して、給水室202から背圧室203に洗浄水が流入し、背圧室203は満水状態となっている。なお、ブリード穴217には、クリーニングピン218が配置されている。
【0170】
自閉水栓装置JV3は、背圧室203の上端にパイロット弁220を有する。このパイロット弁220は、図示しないアクチュエータあるいは手動レバーと接続されて駆動し、以下に説明するようにダイヤフラム弁210を開弁状態とする。パイロット弁220は、背圧室203から吐水室204に至る通水路221を開閉するためのパイロットシャフト222を備え、このシャフト下端をパイロット弁体223とし、シャフト上端にはスプリング鍔部225を有する。パイロット弁体223は、背圧室203内に位置し、この背圧室上端のパイロット弁座224に当接着座するよう、スプリング226により常時付勢されている。こうしてパイロット弁体223が着座した図37に示す状態は、パイロット弁220により通水路221が閉鎖された初期状態である。なお、通水路221は、吐水穴205に交差連通されているが、吐水穴206に連通されていてもよい。
【0171】
この初期状態では、ブリード穴217を介した洗浄水流通により、背圧室203は給水室202における給水圧と同圧に保たれている。この際、ダイヤフラム弁210は、背圧室203の圧力を背圧室面積に亘って受け、給水室202の圧力を、背圧室面積から給水弁座212の開口面積を除外した面積で受ける。よって、パイロット弁220は、その上下から受ける圧力が同じでもその受圧面積が相違することから、ダイヤフラム213を給水弁座212に当接着座させ、閉弁状態を維持する。このため背圧室203と吐水室204との連通はパイロット弁220によって遮断され、自閉水栓装置JV3は止水状態となる。
【0172】
また、自閉水栓装置JV3は、吐水穴205あるいは吐水穴206への洗浄水の分配供給を行う吐水分配弁230を有する。この吐水分配弁230は、有底の筒状体であり、吐水室204内において水密に上下動できるようにされている。また、吐水分配弁230は、上端開口部に等間隔で切欠230aを備え、この上端開口部側でダイヤフラム213の弁体214と接合・固定されている。そして、吐水分配弁230は、その周壁に、図37の初期状態時に吐水穴205に連通する第1吐水口231と、この初期状態から吐水分配弁230が上昇すると吐水穴206に連通する第2吐水口232と、吐水分配弁230が更に上昇すると吐水穴205に連通する第3吐水口233を有する。なお、各吐水穴が第1ないし第3の吐水口と連通している状態では、その他の吐水穴は吐水分配弁230周壁にて閉鎖されるようにされている。
【0173】
次に、この自閉水栓装置JV3における洗浄水の分配供給の様子について説明する。今、図示しないアクチュエータあるいは手動レバーによりパイロット弁220のスプリング鍔部225が押し下げられると、パイロット弁体223は背圧室内のパイロット弁座224から離れ、パイロット弁220は開弁する。すると、背圧室203は通水路221を経て吐水穴205と連通するので、背圧室内の洗浄水は、この通水路221を通過して吐水穴205から排出される。この結果、背圧室内は大気圧に等しくなり、ダイヤフラム弁210は、背圧室203側の大気圧と給水室202側の圧力(給水圧)を受ける。この際、上記したようにその受圧面積はダイヤフラム弁210の上下で相違するが、給水圧は大気圧より高い圧力であるので、ダイヤフラム213は背圧室203内を規定の上昇端まで上昇して弁体214は給水弁座212から離れ、ダイヤフラム弁210は開弁状態となる。これにより、給水室202から吐水室204内の吐水分配弁230に洗浄水が流入すると共に、吐水分配弁230も上昇する。なお、洗浄水は、吐水分配弁230上端の切欠230aを通過して吐水分配弁230の有底孔に流入する。
【0174】
こうして洗浄水が流入しダイヤフラム213が上記のように上昇した状態では、吐水分配弁230では、第3吐水口233が吐水穴205に連通する。よって、吐水室204(詳しくは吐水分配弁230の有底孔)と吐水穴205は第3吐水口233を介して連通し、吐水室204に流れ込んだ洗浄水は、吐水穴205に分配供給されて吐水される。なお、第3吐水口233を介した洗浄水吐水は、パイロット弁220が開弁状態にある間に亘って継続される。
【0175】
この状態でパイロット弁220のスプリング鍔部225の押し下げが解除されると、パイロット弁体223はスプリング226の付勢力を受けてパイロット弁座224に当接着座し、パイロット弁220は閉弁する。これにより、通水路221を介した背圧室203と吐水穴205の連通が断絶される。よって、その後は、ブリード穴217を介して給水室202から背圧室203に洗浄水が流入し、背圧室203はこの洗浄水で満杯となる。
【0176】
こうして背圧室が満水となる間は、ダイヤフラム213は徐々に給水弁座212に向けて徐々に降下していく。ダイヤフラム213の降下に伴って吐水分配弁230も徐々に降下するので、この過程において、吐水分配弁230の吐水穴と水栓本体201の吐水口との連通状態は、第3吐水口233と吐水穴205との連通、第2吐水口232と吐水穴206との連通、第1吐水口231と吐水穴205との連通の順に切り替わる。よって、給水室202の洗浄水は、吐水穴205→吐水穴206→吐水穴205の順に分配供給される。そして、背圧室203が洗浄水で満水になると、背圧室203の圧力は給水室202の給水圧(水道給水圧)に等しくなるので、上記したようにダイヤフラム弁210は閉弁し、自閉水栓装置JV3は、自閉止水する。なお、上記の連通の切替による分配供給の切替速度は、ブリード穴217とクリーニングピン218により規定されることは既述したとおりであり、調整可能である。また、吐水分配弁230の各吐水穴の穴径を調整することで、分配供給時の洗浄水供給量を調整できる。
【0177】
この第3実施例の自閉水栓装置JV3にあっても、上記したように洗浄水の分配供給を行うことができる。よって、この自閉水栓装置JV3を上記の実施例の自閉水栓装置JVに替えて大便器85に装着し、吐水穴205にリム吐水配管86を吐水穴206にジェット吐水配管87を接続することができる。そして、この自閉水栓装置JV3によっても、リム洗浄とジェット洗浄とにそれぞれ必要な流量を、リム吐水配管86とジェット吐水配管87の各配管に分配供給でき、洗浄吐水量、瞬間流量共に効率のよい便器洗浄を行うことが可能となる。
【0178】
図38は、第4実施例の自閉水栓装置JV4の初期状態(自閉止水時)の概略断面端面図である。自閉水栓装置JV4は、既述した自閉水栓装置JV3と同様、吐水分配弁の上下動により洗浄水の分配供給を行うよう構成されている。図示するように、この自閉水栓装置JV4は、洗浄水が流入する給水室303と、第2実施例の自閉水栓装置JV2と同様のパイロット弁114が組み付けられた第1背圧室304と、給水弁座110aを開閉するダイヤフラム弁104を備え、このダイヤフラム弁104により、その下流の二次側通水路111aと給水室303とを連通・遮断する。つまり、パイロット弁114が図示しないアクチュエータや手動レバーにより所定時間に亘って開弁すると、第1背圧室304内の洗浄水排出によりダイヤフラム弁104は開弁し、給水室303の洗浄水は二次側通水路111aに流入する。なお、自閉水栓装置JV4にあっても二次側通水路111aに負圧破壊弁160を有するので、負圧破壊により洗浄水の逆流防止がはかれている。
【0179】
また、自閉水栓装置JV4は、二次側通水路111aの末端に吐水室306を備え、この吐水室306内には、弁ケーシングに形成された吐水穴308あるいは吐水穴309への洗浄水の分配供給を行う吐水分配弁315を有する。この吐水分配弁315は、有底の筒状体であり、吐水室306内において水密に上下動できるようにされている。吐水分配弁315は、有底部側を吐水室306上方のスプリング319で付勢されており、初期状態では吐水室306の下端側に位置する。この場合、吐水室306は、吐水分配弁315の切欠315aにより、二次側通水路111aと常時連通しているので、ダイヤフラム弁104の開弁時には、この吐水室306に洗浄水が流れ込む。
【0180】
吐水分配弁315は、その周壁に、図38の初期状態時に吐水穴308に連通する第1吐水口310と、この初期状態から吐水分配弁315が上昇すると吐水穴309に連通する第2吐水口312と、吐水分配弁315が更に上昇すると吐水穴308に連通する第3吐水口311を有する。よって、吐水分配弁315の上昇位置によって該当する吐水穴から洗浄水が吐水される。なお、各吐水穴が第1ないし第3の吐水口と連通している状態では、その他の吐水穴は吐水分配弁315周壁にて閉鎖されるようにされている。
【0181】
この吐水分配弁315の下端開口部には、弁ケーシングで挟持されたダイヤフラム302を用いたダイヤフラム分配弁330が組み込まれている。このダイヤフラム分配弁330は、吐水室306の下端側の第2背圧室307と吐水室306との圧力均衡により吐水分配弁315を次のように上下駆動するようにされている。
【0182】
ダイヤフラム分配弁330は、その中央に傘バルブ316を有する。この傘バルブ316は、吐水室306の側から第2背圧室307の側に向けた洗浄水の流れを遮断する逆止弁として機能する。その一方、傘バルブ316は、第2背圧室307の側から吐水室306の側に向けては、その傘形状部317で塞がれた連通孔314を解放して洗浄水の流れ込みを可能とする。
【0183】
今、既述したダイヤフラム弁104の開弁により吐水室306に洗浄水が流入すると、この流入当初は、吐水室306の圧力は第2背圧室307より大きい。よって、ダイヤフラム分配弁330並びに吐水分配弁315は図38の初期位置を採るので、二次側通水路111aを経て吐水室306に流れ込んだ洗浄水は、第1吐水口310を介して吐水穴308に分配供給されて吐水される。
【0184】
吐水室306内の洗浄水は、吐水穴308からの吐水と同時に、傘バルブ316の中央貫通孔313から第2背圧室307内に流れ込む。しかし、吐水室306への洗浄水流入当初は、吐水室306圧力が高いことから、傘バルブ316は吐水室306と第2背圧室307との間の差圧によりその傘形状部317を変形させ、連通孔314を塞ぐ。よって、第2背圧室307には、中央貫通孔313のみから洗浄水が流れ込むことになる。
【0185】
こうして中央貫通孔313から第2背圧室307への洗浄水の流れ込みが継続されると、第2背圧室307は流れ込んだ洗浄水の圧力(即ち給水圧)をダイヤフラム分配弁330に及ぼしながら、その容積を増やす。よって、ダイヤフラム分配弁330並びに吐水分配弁315は、スプリング319に抗して吐水室306内を上昇する。この上昇過程において、吐水分配弁315の吐水穴とケーシングの吐水口との連通状態は、第1吐水口310と吐水穴308との連通、第2吐水口312と吐水穴309との連通、第3吐水口311と吐水穴308との連通の順に切り替わる。よって、給水室303の洗浄水は、吐水穴308→吐水穴309→吐水穴308の順に分配供給される。そして、吐水穴308に再度分配供給された後は、パイロット弁114の閉弁を通してパイロット弁114が閉弁するまでの間に亘って、この吐水穴308への分配供給が継続される。
【0186】
その一方、アクチュエータ等によるパイロット弁114の開弁が解除されてパイロット弁114が閉弁しパイロット弁114が閉弁すると、吐水分配弁315は次のように作動する。まず、パイロット弁114の閉弁により吐水室306への洗浄水流入が終了するので、吐水分配弁315にはスプリング319の付勢力のみが作用する。よって、吐水分配弁315が第2背圧室307の側に押されるので、第2背圧室307内の圧力は吐水室306内の圧力よりも高くなる。このため、第2背圧室307と吐水室306の差圧により、傘バルブ316の傘形状部317は変形して連通孔314を解放する。これにより、第2背圧室307内の洗浄水は、中央貫通孔313と連通孔314を介して吐水室306へと流れ出し、吐水分配弁315は速やかに初期状態の位置に押し戻されて復帰する。この場合、吐水穴と吐水口の数や形状を変化させることにより、各吐水口からの分配供給量は自在に調整することができる。
【0187】
また、この第4実施例の自閉水栓装置JV4は、1次側からの洗浄水給水にパイロット弁114とダイヤフラム弁104を用いていることから、このバルブ構成上、1次圧力と背圧室304内の2次圧力の圧力バランスで作動する。よって、給水圧が高く流入流量が多ければ、ダイヤフラム弁の作動速度(ダイヤフラムの昇降速度)は速くなり、給水圧・流入流量が低ければこの反対となる。このため、開弁から閉弁までの総吐水量は、給水圧によらず一定となり、この総吐水量は吐水分配量に等しいことから、吐水分配量にあっても給水圧の変化によらず一定に保つことができる。
【0188】
この第4実施例の自閉水栓装置JV4にあっても、上記の自閉水栓装置JV2、JV3と同様に大便器85に装着することで、リム洗浄とジェット洗浄とにそれぞれ必要な流量を、リム吐水配管86とジェット吐水配管87の各配管に分配供給でき、洗浄吐水量、瞬間流量共に効率のよい便器洗浄を行うことが可能となる。
【0189】
図39は、第5実施例の自閉水栓装置JV5の初期状態(自閉止水時)の概略断面端面図である。自閉水栓装置JV5は、上記した第4実施例の自閉水栓装置JV4に、ダイヤフラム弁104下流の二次側通水路111aを第2背圧室307にバイパスするためのバイパス通路424を設け、このバイパス通路424の途中に流調・止水弁426を付加した構成を有する。即ち、自閉水栓装置JV5は、流調・止水弁426を、その回転軸がバルブボディ420外側から空けられた挿入穴425に嵌合するようにして備える。この流調・止水弁426は、バイパス通路405と第2背圧室307を連通させる通路427を備え、流調・止水弁426の回転角度によって、バイパス通路424の途中において、このバイパス通路424と通路427との重複面積(即ち、バイパス有効通路面積)を変化させる。また、流調・止水弁426は、アクチュエータ423をバイパス有効通路面積変更のための駆動源として備える。このアクチュエータ423は、リンク機構422を介して、ダイヤフラム弁104についてのパイロット弁114の駆動源ともされている。
【0190】
よって、アクチュエータ423を駆動すれば、リンク機構422を介してパイロット弁114を開弁してダイヤフラム弁104を開弁できると共に、このダイヤフラム弁104の開弁動作に連携してバイパス有効通路面積を変更し流調・止水動作を行うことができる。このようにバイパス有効通路面積を変化させると、第2背圧室307に二次側通水路111aからバイパスして流れ込む洗浄水の流量が変化する。このため、吐水分配弁315の上記した上昇速度を変更することができ、吐水分配比を任意に変化させることができる。
【0193】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自閉水栓装置JVを大便器85と共に概略的に表した概略構成図である。
【図2】 この自閉水栓装置JVの縦断面図である。
【図3】 図2におけるA−A’線断面図である。
【図4】 図3におけるB−B’線断面図である。
【図5】 ダイヤフラム10bの組み付けの様子を説明する説明図である。
【図6】 自閉水栓装置JVに組み込んだ定流量弁80の概略構成を説明するため、その上半部にて、高圧洗浄水流入時の様子を示し、下半部にて、低圧洗浄水流入時の様子を示す説明図である。
【図7】 分配弁機構部1の変形例における要部拡大概略断面端面図である。
【図8】 自閉弁機構部2における定流量弁80周辺の拡大断面図である。
【図9】 この定流量弁80の上流側に組み込んだストレーナ500の概略斜視図である。
【図10】 変形例の定流量弁80A周辺の概略構成を拡大して断面視すると共に、この定流量弁下流への洗浄水の流れの様子を説明する説明図である。
【図11】 この定流量弁80Aの下流に流れる洗浄水の圧力と流量の関係を示すグラフである。
【図12】 変形例の自閉水栓装置JVの概略構成を示すブロック図である。
【図13】 変形例におけるダイヤフラム弁505の要部拡大断面端面図である。
【図14】 このダイヤフラム弁505が有するダイヤフラム506の概略斜視図である。
【図15】 図13に示す変形例のダイヤフラム弁505にあってブリード穴18の形成箇所を断面視した要部拡大断面端面図である。
【図16】 変形例のクリーニングピンを説明する説明図である。
【図17】 変形例の自閉弁機構部530の拡大断面端面図である。
【図18】 分配弁機構部1における変形例の回転ドラムの概略断面図である。
【図19】 他の変形例の回転ドラムの拡大概略斜視図である。
【図20】 変形例の洗浄水分配室30の要部概略斜視図である。
【図21】 変形例のカム部材を説明するための説明図である。
【図22】 変形例の回転シャフトと回転ドラムを説明するための説明図である。
【図23】 変形例の負圧破壊弁550の要部拡大断面図である。
【図24】 他の変形例の負圧破壊弁554の要部拡大断面図である。
【図25】 別の変形例の負圧破壊弁558の要部拡大断面図である。
【図26】 変形例の出力ポート部4の要部拡大断面図である。
【図27】 他の変形例の出力ポート部4の要部拡大断面図である。
【図28】 また他の変形例の出力ポート部4の要部拡大断面図である。
【図29】 ヒータにて凍結防止を図る変形例を説明するための説明図である。
【図30】 凍結防止を図る他の変形例を説明するための説明図である。
【図31】 凍結防止を図るまた別の変形例を説明するための説明図である。
【図32】 凍結発生時に手動による開弁を禁止する変形例を説明するための説明図である。
【図33】 凍結発生時に手動による開弁を禁止する他の変形例を説明するための説明図である。
【図34】 第2実施例の自閉水栓装置JV2の初期状態における概略断面図
【図35】 この自閉水栓装置JV2が開弁状態にある時の概略断面図である。
【図36】 同じく、自閉水栓装置JV2が開弁状態にある時の概略断面図である。
【図37】 第3実施例の自閉水栓装置JV3の初期状態(自閉止水時)概略断面端面図である。
【図38】 第4実施例の自閉水栓装置JV4の初期状態(自閉止水時)の概略断面端面図である。
【図39】 第5実施例の自閉水栓装置JV5の初期状態(自閉止水時)の概略断面端面図である。
【符号の説明】
1…分配弁機構部
2…自閉弁機構部
2a…管金具
2b…メインケース
2c…下部ケース
3a…一次側給水路
4…出力ポート部
7…手動レバー
8…アクチュエータ
10…ダイヤフラム弁
10a…給水弁座
10b…ダイヤフラム
10c…背圧室
10d…上下動ガイド
11a…二次側通水路
11b…パイロット流路
12…ダイヤフラムサポート
12a…ストッパ
13…リテーナ
14…パイロット弁
14a…パイロット弁座
14b…パイロット弁体
15…出力ポート
15a…外部出力ポート
16…出力ポート
16a…外部出力ポート
17…スプリング
18,18a…ブリード穴
19…クリーニングピン
19a…大径部
19b…小径部
21,21a…回転ドラム
22…回転シャフト
22a…カム部材
25…Oリング
30…洗浄水分配室
31…電磁ソレノイド
32…出力ギヤ
33…入力ギヤ
34…スプリング
35…ゼンマイバネ
40…ギヤボックス
50…圧力スイッチ
50a…横蓋
51…ダイヤフラム
52…ホールIC
53…マグネット
55…スプリング
56…荷重調整ねじ
57…ダイヤフラムサポート
60…負圧破壊弁
61…負圧破壊弁体
62…負圧破壊弁座
63…オーバーフロー水用受皿
63a…蓋体
64…分配室側弁座
65…負圧破壊弁
68…オーバーフロー水排出口
70…逆止弁
80,80A…定流量弁
80a…バネ
81…スプリング
82…防振ゴム
83…ピストン
84…ピストンガイド
85…大便器
85a…リム
85b…ボール部
85c…吐出ノズル
85d…トラップ配管
86…リム吐水配管
87…ジェット吐水配管
88,89…スペーサ
89a…腕部
101…自閉弁機構部
101a…管金具
102…分配弁機構部
103…操作ユニット
103a…一次側給水路
104…ダイヤフラム弁
104a…ダイヤフラム
104b…下部ケーシング
104c…中央ケーシング
104d…上部ケーシング
108…アクチュエータ
109…パイロット通水路
110a…給水弁座
110b…給水弁体
110c…背圧室
111a…二次側通水路
112…ダイヤフラムサポート
113…リテーナ
114…パイロット弁
114a…パイロット弁座
114b…パイロット弁体
115…出力ポート
116…出力ポート
117…スプリング
118…ブリード穴
119…クリーニングピン
121…回転ドラム
122…回転伝達カム
125…出力口
135…定流量弁
160…負圧破壊弁
160a…案内シャフト
161…負圧破壊弁体
162…負圧破壊弁座
163…オーバーフロー水用受皿
164…自閉弁側弁座
168…オーバーフロー水排出口
200a…上部ケーシング
200b…下部ケーシング
201…水栓本体
202…給水室
203…背圧室
204…吐水室
205…吐水穴
206…吐水穴
210…ダイヤフラム弁
212…給水弁座
213…ダイヤフラム
214…弁体
215…ダイヤフラムサポート
216…リテーナ
217…ブリード穴
218…クリーニングピン
220…パイロット弁
221…通水路
222…パイロットシャフト
223…パイロット弁体
224…パイロット弁座
225…スプリング鍔部
226…スプリング
230…吐水分配弁
230a…切欠
231…第1吐水口
232…第2吐水口
233…第3吐水口
302…ダイヤフラム
303…給水室
304…第1背圧室
306…吐水室
307…第2背圧室
308…吐水穴
309…吐水穴
310…第1吐水口
311…第3吐水口
312…第2吐水口
313…中央貫通孔
314…連通孔
315…吐水分配弁
315a…切欠
316…傘バルブ
317…傘形状部
319…スプリング
330…ダイヤフラム分配弁
405…バイパス通路
420…バルブボディ
422…リンク機構
423…アクチュエータ
424…バイパス通路
425…挿入穴
426…止水弁
427…通路
500…ストレーナ
501…骨格
502…メッシュ
503…スプリング
505…ダイヤフラム弁
506…ダイヤフラム
506a…突起
507…ダイヤフラムサポート
507a…平面部
507b…陥没部
508…クリーニングピン
508a…バネ部分
509…クリーニングピン
509a…ユニバーサルジョイント
510…回転ドラム
510a…陥没部
511…回転ドラム
511a…凸条
520…ストレーナ
521…圧力センサ
522…制御装置
523…報知装置
530…自閉弁機構部
532…チェックバルブ
533…外部配管
534…チェックバルブ
535…バイパス管路
540…回転ドラム
541…シート体
542…腕部
543…支持部
545…カム部材
545a…回転中心
547…回転シャフト
547a…腕部
548…回転ドラム
548a…有底孔
550…負圧破壊弁
551…負圧破壊弁座
552…負圧破壊弁体
554…負圧破壊弁
555…負圧破壊弁体
556…バネ部分
557…下端弁座
557a…切欠
558…負圧破壊弁
559…負圧破壊弁体
560…逆止弁体
561…案内シャフト
562…スプリング
563…底部
564…オーバーフロー水排出口
566…逆止弁座
572…温度センサ
573…ヒータ
573a…ヒータ
573b…ヒータ
574…制御装置
580…分配室副室
581…ピン
582…スプリング
583…副室通路
585…レバー側シャフト
586…弁側出力ギヤ
587…第1ギヤ
588…第2ギヤ
589…スプリング
590…弁側出力ギヤ
591…手動レバー
592…伝達機構
593…ケース部
594…操作部ケーシング
594a…段部
595…鍔部
596…スプリング
597…シャフト
598…ワイヤ
599…スプリング
600…プーリー
602…ダンパ機構
604…ダンパギヤ
605…アーム
606…ストッパ
607…スプリング
JV,JV2〜JV5…自閉水栓装置
Claims (3)
- 洗浄水によりボール部を洗浄する便器であって、
ボール部洗浄を実施するために洗浄水を吐出する複数の洗浄水吐出手段と、
洗浄水供給源と接続され、洗浄水の供給を受ける自閉水栓装置と、
該自閉水栓装置から前記複数の洗浄水吐出手段に至るまで配管され、前記自閉水栓装置からの分配流路となる吐出手段別流路と、
ボール部洗浄の際に操作され、前記自閉水栓装置に出水要求を出力する出力手段とを備え、
前記自閉水栓装置は、
前記出水要求に基づいて開弁駆動し、前記所定量の洗浄水を吐出すると自動的に閉弁駆動する自閉弁体を有する自閉弁機構部と、
前記自閉弁機構部の下流側に設けられ、前記吐出される水を前記吐出手段別流路に分配するよう駆動する分配部材を有する分配弁機構部と、
分配のための前記分配部材の駆動動作を引き起こす駆動部材と、
該駆動部材を前記出水要求を受けて駆動する駆動手段と、
前記駆動手段による前記駆動部材の駆動動作に同期して、前記自閉弁体の開弁動作を開始する自閉弁開弁開始部とを有する
便器。 - 請求項1記載の便器であって、
前記自閉弁開弁開始部は、前記駆動手段による前記駆動部材の駆動動作に同期して前記自閉弁体と接触することで、前記自閉弁体の開弁動作を開始し、
前記自閉弁機構部は、前記自閉弁開弁開始部と接触する間に亘って開弁し、前記自閉弁開弁開始部との接触が解かれると閉弁動作を行う、便器。 - 洗浄水によりボール部を洗浄する便器であって、
ボール部洗浄を実施するために洗浄水を吐出する複数の洗浄水吐出手段と、
洗浄水供給源と接続され、洗浄水の供給を受ける自閉水栓装置と、
該自閉水栓装置から前記複数の洗浄水吐出手段に至るまで配管され、前記自閉水栓装置からの分配流路となる吐出手段別流路と、
ボール部洗浄の際に操作され、前記自閉水栓装置に出水要求を出力する出力手段とを備え、
前記自閉水栓装置は、
前記洗浄水給水源からの給水を受ける給水路と背圧室とを備え、前記給水路の圧力と前記背圧室の圧力との圧力バランスに応じて作動することで、前記所定量の洗浄水を吐出して自動的に閉弁駆動する自閉弁体を有する自閉弁機構部と、
前記自閉弁機構部の下流側に設けられて洗浄水の給水を受け、該給水された洗浄水を前記吐出手段別流路に分配するよう駆動する分配部材を有する分配弁機構部と、
分配のための前記分配部材の駆動動作を引き起こす駆動部材と、
該駆動部材を前記出水要求を受けて駆動する駆動手段と、
前記自閉弁体の開弁動作を開始する自閉弁開弁開始部とを備え、
前記自閉弁開弁開始部は、
前記駆動手段による前記駆動部材の駆動動作に同期して、前記背圧室内の水を排出することで前記自閉弁体の開弁動作を開始する、便器。
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