JP4141758B2 - 半導体記憶装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記憶装置のビット線に出力される読み出し信号を増幅するセンス増幅器、ビット線の信号を処理するビット線回路、記憶装置、およびビット線に出力される読み出し信号を増幅する方法に係り、特に、閉じ込め式のセンス増幅器とこれを含んだビット線回路および記憶装置、ならびに閉じ込め式のセンス増幅器を用いた読み出し信号増幅方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、RAM等のメモリセルに記憶されたデータが伝送されるビット線には、書き込みや読み出しの前に一定の電圧(プリチャージ電圧)が印加される。プリチャージ電圧の印加によってビット線の容量成分に充電された電荷は、書き込み動作や読み出し動作の過程で放電され、この放電により生じるビット線の電圧降下が書き込み信号や読み出し信号としてメモリセルに対するアクセスに用いられる。
【0003】
メモリの記憶容量は近年ますます大きくなっており、書き込みや読み出しに伴うビット線の充放電によって発生する電力損失は、大容量メモリの低消費電力化を阻む大きな要因となっている。
こうした電力損失を抑えるには、ビット線の充放電による電圧振幅をできるだけ小さくすることが必要である。特に、読み出し時におけるビット線の放電電流を抑えることができる技術として、閉じ込め式のセンス増幅器(sense amplifier)が知られている。
【0004】
図6は、一般的な閉じ込め式のセンス増幅器の構成を示す概略的なブロック図である。
図6において、p型MOSトランジスタQp3、p型MOSトランジスタQp4、およびn型MOSトランジスタQn1〜n型MOSトランジスタQn3は一般的なセンス増幅器を構成しており、このセンス増幅器の入力がp型MOSトランジスタQp1およびp型MOSトランジスタQp2を介してビット線対(BL,BLZ)に接続される。
【0005】
p型MOSトランジスタQp3およびn型MOSトランジスタQn1は、ノードSAを接続中点として互いに直列接続され、ゲートは共にノードSAZに接続される。
p型MOSトランジスタQp4およびn型MOSトランジスタQn2は、ノードSAZを接続中点として互いに直列接続され、ゲートは共にノードSAに接続される。
p型MOSトランジスタQp3およびp型MOSトランジスタQp4のソースは、電源ラインVccに接続される。n型MOSトランジスタQn1およびn型MOSトランジスタQn2のソースは、n型MOSトランジスタQn3を介して接地ラインGに接続される。
【0006】
ノードSAは、p型MOSトランジスタQp1を介してビット線BLに接続される。ノードSAZは、p型MOSトランジスタQp2を介してビット線BLZに接続される。
p型MOSトランジスタQp1、p型MOSトランジスタQp2、およびn型MOSトランジスタQn3のゲートには、センス制御信号ENNが入力される。
【0007】
このような構成の閉じ込め式センスアップにおいては、先ず、ビット線対(BL,BLZ)にメモリセルからの読み出し信号が出力された状態でセンス制御信号ENNがローレベルに設定される。これにより、p型MOSトランジスタQp1およびp型MOSトランジスタQp2が導通状態、n型MOSトランジスタQn3が非導通状態になる。このとき、ノードSAおよびノードSAZにはビット線対(BL,BLZ)からの読み出し信号が入力されるが、n型MOSトランジスタQn3が非導通状態であるため、ビット線対(BL,BLZ)から接地ラインGへの放電電流は流れない。
【0008】
次に、センス制御信号ENNがローレベルからハイレベルに設定されると、n型MOSトランジスタQn3が非導通状態から導通状態に変化し、p型MOSトランジスタQp3、p型MOSトランジスタQp4、n型MOSトランジスタQn1およびn型MOSトランジスタQn2からなる増幅回路に電源が供給される。これにより、ノードSAとノードSAZとの間の僅かな電位差が増幅されて、ノードSAおよびノードSAZの何れか一方がハイレベルに引き上げられ、他方がローレベルに引き下げられるとともに、その信号レベルが保持される。このとき、同時にp型MOSトランジスタQp1およびp型MOSトランジスタQp2は導通状態から非導通状態に変化するので、ビット線対(BL,BLZ)からノードSAおよびノードSAZに流れる放電電流が抑えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示す閉じ込め式のセンス増幅器では、ビット線対(BL,BLZ)から切り離された後に残るノードSAおよびノードSAZの微小な電荷量の違いを利用して読み出し信号の増幅が行われるため、読み出し信号の検出に失敗し易い問題がある。
【0010】
図7は、図6に示すセンス増幅器におけるノードSAおよびノードSAZの信号の変化を示す図である。
メモリセルのワード線WLが活性化されると(図7A)、そのビット線対(BL,BLZ)に接続されたノードSAおよびノードSAZには、記憶データに応じた電圧差が発生する。図7Bの例では、ノードSAのレベルがノードSAZのレベルより高くなる。この状態で、時刻t1にセンス制御信号ENNがハイレベルになると(図7C)、ノードSAおよびノードSAZの電圧差が増幅されて、正常な動作では図7Bの実線に示すようにノードSAがハイレベル、ノードSAZがローレベルに変化する。
【0011】
ところが、電圧差の増幅が開始される前の期間においてp型MOSトランジスタQp1およびp型MOSトランジスタQp2のインピーダンスが上昇すると、ノードSAおよびノードSAZはフローティング状態になるため、これらの電位はn型MOSトランジスタQn3の導通とともに接地レベルへ引き下げられる。このとき、センス増幅器を構成するトランジスタの容量成分やしきい値などの特性にばらつきがあると、ノードSAとノードSAZの電位が逆転してしまう可能性があり、その結果、図7Bの点線に示すように誤った読み出し信号が検出されてしまう問題が生ずる。
【0012】
低消費電力化を図る技術として閉じ込め式のセンス増幅器は有用であるが、電源電圧の低電圧化によってセンス増幅器の入力電圧は小さくなる傾向にあるため、上述のような検出誤りの発生確率がさらに上昇してしまう問題がある。
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、読み出し信号の検出誤りを低減できるセンス増幅器と、そのようなセンス増幅器を有したビット線回路および記憶装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、読み出し信号の検出誤りを低減できる読み出し信号の増幅方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の半導体記憶装置は、複数のワード線と複数のビット線対と上記ワード線及び上記ビット線対にそれぞれ接続された複数のメモリセルとを有するメモリセル・アレイと、上記複数のワード線を選択的に活性化するためのアドレスデコーダと、上記ビット線対にそれぞれ接続された複数のビット線回路を含むビット線信号処理回路と、上記複数のビット線回路との間でデータの入出力を行なうデータ入出力回路とを有する半導体記憶装置であって、上記ビット線回路が、第1の電源端子に電気的に接続され、第1のノードと第2のノードとの電位差を増幅するための差動増幅回路と、一方のビット線と上記第1のノードとの間に接続され、上記一方のビット線の電位を上記第1のノードに伝えるための第1のスイッチ回路と、他方のビット線と上記第2のノードとの間に接続され、上記他方のビット線の電位を上記第2のノードに伝えるための第2のスイッチ回路と、上記差動増幅回路の共通ノードと第2の電源端子との間に接続され、活性化信号に応答して上記共通ノードと上記第2の電源端子とを電気的に接続する第3のスイッチ回路と、上記差動増幅回路に対応して設けられ、読み出し動作時、上記第1のノードと上記第2のノードとの間の電位差が、上記差動増幅回路において安定して増幅可能なレベルになるまで上記活性化信号を遅延させる遅延素子としてのインバータを含む遅延回路と上記一方のビット線と上記他方のビット線とに接続され、プリチャージ信号に応答して上記一方のビット線と上記他方のビット線とを所定の電位に充電するための第1の充電回路と、上記第1のノードと上記第2のノードとに接続され、上記プリチャージ信号に応答して上記第1のノードと上記第2のノードとを所定の電位に充電するための第2の充電回路とを有し、上記活性化信号に応答して上記第3のスイッチ回路が導通することにより上記差動増幅回路が活性化されて上記一方のビット線と上記他方のビット線との間の電位差の増幅動作が開始され、上記遅延回路から出力される遅延された活性化信号に応答して上記第1及び第2のスイッチ回路が遮断することにより上記一方のビット線と上記第1のノードとの間及び上記他方のビット線と上記第2のノードとの間が電気的に切り離される。
【0015】
本発明の半導体記憶装置によれば、一方のビット線と他方のビット線とで構成されるビット線対と増幅回路とが第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路を介して接続された状態で制御信号に応じて増幅回路が活性化され、第1のノードと第2のノードとにビット線対から第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路を介して入力される信号が増幅される。増幅回路による増幅が開始されてから所定の時間が経過した時点で第1のスイッチ回路と第2のスイッチ回路とが遮断状態に制御され、ビット線対と増幅回路との接続が開放される。
【0016】
また、上記第1のスイッチ回路と上記第2のスイッチ回路とが互いに並列に接続されたp型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタとを有し、上記p型MOSトランジスタと上記n型MOSトランジスタとが同時に遮断状態に制御される構成としてもよい。
これにより、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタのゲート端子に印加される信号が互いに逆の論理レベルに変化するので、これらの信号によるノイズ成分が打ち消される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の2つの実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るセンス増幅器の構成例を示す概略的なブロック図である。
図1に示すセンス増幅器は、p型MOSトランジスタQp11〜p型MOSトランジスタQp14、n型MOSトランジのQn11〜n型MOSトランジスタQn15、および遅延回路U1を有する。
p型MOSトランジスタQp11、n型MOSトランジスタQn11、p型MOSトランジスタQp12およびn型MOSトランジスタQn12を含むユニットは、本発明のスイッチ回路の一実施形態である。
p型MOSトランジスタQp13、p型MOSトランジスタQp14、n型MOSトランジスタQn13〜n型MOSトランジスタQn15を含むユニットは、本発明の増幅回路の一実施形態である。
遅延回路U1は、本発明の遅延回路の一実施形態である。
【0018】
まず、図1に示すセンス増幅器の接続関係について説明する。
p型MOSトランジスタQp13およびn型MOSトランジスタQn13は、ノードSAを接続中点として互いに直列接続され、ゲートは共にノードSAZに接続される。
p型MOSトランジスタQp14およびn型MOSトランジスタQn14は、ノードSAZを接続中点として互いに直列接続され、ゲートは共にノードSAに接続される。
p型MOSトランジスタQp13およびp型MOSトランジスタQp14のソースは、電源ラインVccに接続される。n型MOSトランジスタQn13およびn型MOSトランジスタQn14のソースは、n型MOSトランジスタQn15を介して接地ラインGに接続される。
【0019】
ノードSAは、p型MOSトランジスタQp11とn型MOSトランジスタQn11との並列回路を介してビット線BLに接続される。ノードSAZは、p型MOSトランジスタQp12とn型MOSトランジスタQn12との並列回路を介してビット線BLZに接続される。
p型MOSトランジスタQp11およびp型MOSトランジスタQp12のゲートには、遅延回路U1から出力される制御信号GEN1が入力される。n型MOSトランジスタQn11およびn型MOSトランジスタQn12のゲートには、遅延回路U1から出力される制御信号GEN2が入力される。
遅延回路U1およびn型MOSトランジスタQn15のゲートには、センス制御信号ENNが入力される。
【0020】
遅延回路U1は、センス制御信号ENNに一定の遅延を与えた信号として、制御信号GEN1および制御信号GEN2を出力する。ただし、制御信号GEN1はセンス制御信号ENNと同一論理の信号であり、制御信号GEN2はセンス制御信号ENNの論理を反転させた信号である。
【0021】
次に、上述した構成を有する図1のセンス増幅器の動作を説明する。
図2は、図1に示すセンス増幅器におけるノードSAおよびノードSAZの信号の変化を説明するための図である。
センス増幅器が動作する前において、センス制御信号ENNはローレベルとなっており、p型MOSトランジスタQp11およびp型MOSトランジスタQp12のゲートにはローレベル、n型MOSトランジスタQn11およびn型MOSトランジスタQn12のゲートにはハイレベルの信号が入力されて、これらのトランジスタは何れも導通状態となっている。したがって、ノードSAはビット線BLと、ノードSAZはビット線BLZと接続された状態になっている。
【0022】
時刻taにおいてメモリセルのワード線WLが活性化されると(図2A)、そのビット線対(BL,BLZ)にはメモリセルからの読み出し信号が出力される。これにより、ビット線対(BL,BLZ)に接続されたノードSAとノードSAZとの間に電位差が生じる。図2Bの例では、ノードSAのレベルがノードSAZのレベルより高くなる。
【0023】
時刻taにおいてセンス制御信号ENNがローレベルからハイレベルになると、n型MOSトランジスタQn15が導通状態となって増幅動作が開始され、ノードSAとノードSAZとの間の電位差が増幅され始める。この時、遅延回路U1から出力される制御信号GEN1はローレベル、制御信号GEN2はハイレベルのままなので、ノードSAとビット線BL、ノードSAZとビット線BLZは何れもまだ接続された状態にある。すなわち、この時点でノードSAおよびノードSAZはビット線対(BL,BLZ)を介してメモリセルと低インピーダンスで接続された状態にあるので、図7に示すようなノードSAおよびノードSAZの電圧降下は発生せず、ノードSAとノードSAZとの電位関係が保持される。このように電位関係が保たれた状態で増幅動作が進行し、ノードSAとノードSAZとの電位差が増大する。
【0024】
時刻taから一定の遅延時間が経過した時刻tcにおいて、遅延回路U1の出力が変化し、p型MOSトランジスタQp11、p型MOSトランジスタQp12、n型MOSトランジスタQn11およびn型MOSトランジスタQn12が非導通状態になる。これにより、ノードSAおよびノードSAZはビット線対(BL,BLZ)と切り離された状態になるが、この時点において増幅動作は十分に進行しており、ノードSAとノードSAZとの電位差が大きくなっているので、切り離しによるノード電位の変動はほとんど生じない。
【0025】
このように、図1に示すセンス増幅器によれば、ビット線対(BL,BLZ)からの読み出し信号を増幅回路(Qp13,Qn13,Qp14,Qn14,Qn15)に入力した状態で、先に増幅回路における増幅動作を開始させてから、所定の遅延時間が経過した後で増幅回路とビット線対との接続を開放するので、増幅回路とビット線対とが切り離される前に、ノードSAとノードSAZとの電位関係を保持させながら増幅動作を進行させることができる。したがって、センス増幅器を構成するトランジスタの容量成分やしきい値などの特性のばらつきによる影響が緩和され、正確な読み出し信号の検出を行うことができる。また、一定の遅延時間が経過した後に増幅回路とメモリセルとが切り離されるので、メモリセルから増幅回路への定常的な電流が阻止され、消費電力を低減することができる。
【0026】
また、図1に示すセンス増幅器によれば、p型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタとが並列に接続されたスイッチ回路によってビット線と増幅回路とが接続されている。これらのトランジスタを駆動する制御信号GEN1および制御信号GEN2は互いに逆相の関係にあるため、トランジスタの寄生容量を介してノードSAおよびノードSAZに混入する制御信号GEN1および制御信号GEN2のノイズ成分は互いに極性が逆になる。すなわち、制御信号GEN1および制御信号GEN2によるノイズ成分が打ち消しあうため、ノイズ成分の混入が低減され、より正確な読み出し信号の検出を行うことができる。
【0027】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態に係るセンス増幅器を適用した記憶装置が実現される。
【0028】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る記憶装置の構成例を示す概略的なブロック図である。
図3に示す記憶装置は、メモリセル・アレイ10、アドレス・デコーダ20、ビット線信号処理部30、データ入出力回路40、および制御回路50を有するSRAMである。
【0029】
メモリセル・アレイ10は、複数のワード線WLおよび複数のビット線対(BL,BLZ)に接続された複数のメモリセルを有しており、各メモリセルは、ワード線WLが活性化されることによってビット線対(BL,BLZ)からのアクセスが可能になる。
アドレス・デコーダ20は、入力されるアドレス・データADに応じて、複数のワード線WLのうちの何れかを活性化させる。
【0030】
ビット線信号処理部30は、それぞれのビット線対(BL,BLZ)に対するプリチャージ電圧の印加や、読み出し信号の増幅、書き込み信号の入力など、ビット線対(BL,BLZ)に関する信号の処理を行うユニットである。
このビット線信号処理部30は、それぞれのビット線対(BL,BLZ)に対応して、図1と同様な閉じ込め式のセンス増幅器を含んだ複数のビット線回路を含む。
【0031】
データ入出力部40は、書き込み動作時において、図示しないデータバスから入力される書き込みデータを、内部のラッチ回路に保持させるとともにビット線回路へ出力する。読み出し動作時においては、ビット線回路から出力される読み出しデータを内部のラッチ回路に保持させるとともにデータバスへ出力する。
制御回路50は、入力される制御信号に応じてアドレス・デコーダ20やビット線回路、データ入出力回路40を制御し、書き込み動作や読み出し動作を実行させる。
【0032】
図4は、図3のビット線信号処理部30に含まれるビット線回路の構成例を示す概略的なブロック図である。
図4に示すビット線回路は、p型MOSトランジスタQp11〜p型MOSトランジスタQp20、n型MOSトランジスタQn11〜n型MOSトランジスタQn17、インバータ回路INV1〜インバータ回路INV3、抵抗R1〜抵抗R4、バッファ回路BUF1〜バッファ回路BUF4、およびNAND回路U2を有する。
だだし、図4と図1の同一符号は同一の構成要素を示す。
また、図4において、インバータ回路INV1、インバータ回路INV2およびバッファ回路BUF2を含むユニットは、本発明の遅延回路の一実施形態である。
p型MOSトランジスタQp18〜p型MOSトランジスタQp20を含むユニットは、本発明の第1の充電回路の一実施形態である。
p型MOSトランジスタQp15〜p型MOSトランジスタQp17を含むユニットは、本発明の第2の充電回路の一実施形態である。
【0033】
まず、図4に示すビット線回路の接続関係について説明する。
ただし、p型MOSトランジスタQp11〜p型MOSトランジスタQp14およびn型MOSトランジスタQn11〜n型MOSトランジスタQn15に関する接続は図1のセンス増幅器と同様なので説明を割愛する。
ノードSAは、p型MOSトランジスタQp16を介して電源ラインVccと接続され、ノードSAZは、p型MOSトランジスタQp17を介して電源ラインVccと接続される。また、ノードSAとノードSAZとの間には、p型MOSトランジスタQp15が接続される。
ビット線BLは、p型MOSトランジスタQp19を介して電源ラインVccと接続され、ビット線BLZは、p型MOSトランジスタQp20を介して電源ラインVccと接続される。また、ビット線BLとビット線BLZとの間には、p型MOSトランジスタQp18が接続される。
【0034】
データ入出力回路40から入力される書き込み信号WDは、バッファ回路BUF3および抵抗R1を介してn型MOSトランジスタQn16のゲートに入力される。n型MOSトランジスタQn16は、ビット線BLと接地ラインGとの間に接続される。n型MOSトランジスタQn16とp型MOSトランジスタQp19との間のビット線BL上には、抵抗R2が挿入される。
データ入出力回路40から入力される書き込み信号WDZは、書き込み信号WDの論理が反転された信号であり、バッファ回路BUF4および抵抗R4を介してn型MOSトランジスタQn17のゲートに入力される。n型MOSトランジスタQn17は、ビット線BLZと接地ラインGとの間に接続される。n型MOSトランジスタQn17とp型MOSトランジスタQp20との間のビット線BLZ上には、抵抗R3が挿入される。
【0035】
バッファ回路BUF1の入力にはセンス制御信号ENNが入力され、その出力信号はn型MOSトランジスタQn15のゲートおよびインバータ回路INV1に入力される。
インバータ回路INV1の出力信号は、インバータ回路INV2、バッファ回路BUF2およびNAND回路U2の一方の入力に入力される。
インバータ回路INV2から出力される制御信号GEN1は、p型MOSトランジスタQp11およびp型MOSトランジスタQp12のゲートに入力される。バッファ回路BUF2から出力される制御信号GEN2は、n型MOSトランジスタQn11およびn型MOSトランジスタQn12のゲートに入力される。
【0036】
NAND回路U2の他方の入力にはプリチャージ制御信号PREが入力され、その出力信号PRE2はp型MOSトランジスタQp15〜p型MOSトランジスタQp17のゲートに入力される。
また、プリチャージ制御信号PREはインバータ回路INV3にも入力され、その出力信号PRE1はp型MOSトランジスタQp18〜p型MOSトランジスタQp20のゲートに入力される。
【0037】
次に、上述した図3および図4において示す記憶装置の動作を説明する。
データの書き込みが行われる場合、制御回路50によりプリチャージ制御信号PREはローレベルが設定され、p型MOSトランジスタQp18〜p型MOSトランジスタQp20は非導通状態にされる。この状態において、書き込み対象のメモリセルに接続されたワード線が活性化され、その書き込みデータに応じて書き込み信号WDまたは書き込み信号WDZの何れか一方がハイレベルになる。これにより、n型MOSトランジスタQn16またはn型MOSトランジスタQn17の何れか一方が導通状態となり、ビット線BLまたはビット線BLZの何れか一方が接地ラインGに短絡されて、この信号レベルの状態がメモリセルに保持される。
【0038】
図5は、読み出し動作時における図4に示したビット線回路の信号波形の一例を示す図である。
読み出し動作の前において、制御回路50によりプリチャージ制御信号PREがハイレベル、センス制御信号ENNがローレベルに設定され、制御信号PRE1および制御信号PRE2は何れもローレベルになる(図5D、図5E)。これにより、p型MOSトランジスタQp15〜p型MOSトランジスタQp20が導通状態となって、ノードSAおよびノードSAZ、ならびにビット線対(BL,BLZ)が電源ラインVccまでプリチャージされる(図5B、図5C)。
【0039】
またこのとき、センス制御信号ENNはローレベルとなっており、p型MOSトランジスタQp11およびp型MOSトランジスタQp12のゲートにはローレベル、n型MOSトランジスタQn11およびn型MOSトランジスタQn12のゲートにはハイレベルの信号が入力されて、これらのトランジスタは何れも導通状態となっている。したがって、ノードSAはビット線BLと、ノードSAZはビット線BLZと接続された状態になっている。
【0040】
時刻t11において、プリチャージ制御信号PREがハイレベルからローレベルに変化すると、制御信号PRE1および制御信号PRE2がハイレベルとなり、p型MOSトランジスタQp15〜p型MOSトランジスタQp20が非導通状態となる。
時刻t12において、読み出し対象のメモリセルに接続されたワード線WLが活性化されると、そのビット線対(BL,BLZ)には記憶データに応じた電圧差が発生する(図5B)。また、ビット線対(BL,BLZ)と接続されたノードSAおよびノードSAZにも電圧差が発生する(図5C)。
【0041】
時刻t13において、センス制御信号ENNがハイレベルに設定されると(図5F)、n型MOSトランジスタQn15が導通状態となって増幅動作が開始され、ノードSAとノードSAZとの間の電位差が増幅され始める。この時、インバータ回路INV2から出力される制御信号GEN1は、インバータ回路INV1およびインバータ回路INV2による遅延のために未だローレベル状態のまま変化せず(図5G)、制御信号GEN2についてもインバータ回路INV1およびバッファ回路BUF2による遅延のためにハイレベルのままなので、ノードSAとビット線BL、ノードSAZとビット線BLZは何れも接続されたままの状態にある。すなわち、この時点でノードSAおよびノードSAZはビット線対(BL,BLZ)を介してメモリセルと低インピーダンスで接続された状態にあるので、ノードSAとノードSAZの電圧降下は発生せず、その電位関係が保持される。このように電位関係が保たれた状態で増幅動作が進行し、ノードSAとノードSAZとの電位差が増大する。
【0042】
時刻t13から一定の遅延時間が経過した時刻t14において、制御信号GEN1がハイレベル、制御信号GEN2がローレベルに変化し、p型MOSトランジスタQp11、p型MOSトランジスタQp12、n型MOSトランジスタQn11およびn型MOSトランジスタQn12が非導通状態になる。これにより、ノードSAおよびノードSAZはビット線対(BL,BLZ)と切り離された状態になる。ただし、この時点において増幅動作は十分に進行しており、ノードSAとノードSAZとの電位差が大きくなっているので、切り離しによるノード電位の変動はほとんど生じない。
この後、ノードSAとノードSAZとの電位差としてセンス増幅器から出力される読み出し信号は、データ入出力部40の図示しないラッチ回路に保持される。
【0043】
読み出し信号がデータ入出力部40に保持され、ワード線が再び非活性状態に戻った後(図5A)、プリチャージ制御信号PREがローレベルからハイレベルに設定される。これにより、時刻t15において、制御信号PRE1がハイレベルからローレベルに変化して、ビット線対(BL,BLZ)が再び電源ラインVccまでプリチャージされる(図5B)。
【0044】
時刻t16において、センス制御信号ENNがローレベルに設定されると、n型MOSトランジスタQn15が非導通状態になり、ノードSAおよびノードSAZは電源ラインVccおよび接地ラインGの何れからも切り離されたフローティング状態になる。
時刻t16から一定の遅延時間が経過した時刻t17において、制御信号PRE2がハイレベルからローレベルに変化し、ノードSAおよびノードSAZは再び電源ラインVccまでプリチャージされる。また、時刻t16から一定の遅延時間が経過した後(図5の例では時刻t17)、制御信号GEN1がローレベル、制御信号GEN2がハイレベルに変化し、ノードSAおよびノードSAZがビット線対(BL,BLZ)接続される。この時点において、既に増幅回路(Qp13,Qn13,Qp14,Qn14,Qn15)の動作は停止されており、ノードSAおよびノードSAZはフローティング状態になっているので、電源ラインVccからノードSAおよびノードSAZを介して接地ラインGに貫通電流が流れることはない。
【0045】
このように、図3および図4に示す記憶装置によれば、図1と同様なセンス増幅器がビット線回路に含まれていることから、センス増幅器を構成するトランジスタの容量成分やしきい値などの特性のばらつきによる影響が緩和され、正確な読み出し信号の検出を行うことができる。また、一定の遅延時間が経過した後に増幅回路とメモリセルとが切り離されるので、メモリセルから増幅回路への定常的な電流が阻止され、消費電力を低減することができる。加えて、制御信号GEN1および制御信号GEN2によるノイズ成分が打ち消しあうため、ノードSAおよびノードSAZに対するこれらの制御信号からのノイズ成分の混入が低減され、より正確な読み出し信号の検出を行うことができる。
【0046】
さらに、センス増幅器のセンシング動作と閉じ込め動作との時間差を決定する遅延回路(INV1,INV2,BUF2)は、各ビット線回路のセンス増幅器において個別に設けられているので、トランジスタの特性のばらつきによる影響や、配線の引き回しによる遅延の影響が緩和され、微妙な時間差を安定して作ることができる。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、遅延回路を構成するトランジスタの予備を予め半導体基板上に形成させておき、金属層の配線を形成する段階において遅延回路の回路構成を変えれば、マスクを修正することなく、製造プロセスに起因した回路特性のばらつき度合いに応じて遅延回路の遅延時間を可変させることができる。これにより、読み出し信号の検出誤りを低減させながら遅延時間を必要最小限に設定できるので、遅延時間の間にメモリセルからセンス増幅器へ流れる電荷を少なくすることができ、消費電力を小さくすることができる。
【0048】
また、本発明に用いられるトランジスタはMOSトランジスタに限定されるものではなく、他の種々のトランジスタを用いても本発明は実現可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、閉じ込め式のセンス増幅器を用いながら、読み出し信号の検出誤りを低減することができる。これにより、記憶データの読み出し誤りが改善されるとともに、記憶装置の低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るセンス増幅器の構成例を示す概略的なブロック図である。
【図2】図1に示すセンス増幅器における増幅回路の入力信号の変化を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る記憶装置の構成例を示す概略的なブロック図である。
【図4】図3のビット線信号処理部30に含まれるビット線回路の構成例を示す概略的なブロック図である。
【図5】読み出し動作時における図4に示したビット線回路の信号波形の一例を示す図である。
【図6】一般的な閉じ込め式のセンス増幅器の構成を示す概略的なブロック図である。
【図7】図6に示すセンス増幅器の入力信号の変化を示す図である。
【符号の説明】
10…メモリセル・アレイ、20…アドレス・デコーダ、30…ビット線信号処理部、40…データ入出力回路、50…制御回路、Qp1〜Qp20…p型MOSトランジスタ、Qn1〜Qn17…n型MOSトランジスタ、U1…遅延回路、U2…NAND回路、INV1〜INV3…インバータ回路、BUF1〜BUF4…バッファ回路、R1〜R4…抵抗。
Claims (5)
- 複数のワード線と複数のビット線対と上記ワード線及び上記ビット線対にそれぞれ接続された複数のメモリセルとを有するメモリセル・アレイと、
上記複数のワード線を選択的に活性化するためのアドレスデコーダと、
上記ビット線対にそれぞれ接続された複数のビット線回路を含むビット線信号処理回路と、
上記複数のビット線回路との間でデータの入出力を行なうデータ入出力回路と
を有する半導体記憶装置であって、
上記ビット線回路が、
第1の電源端子に電気的に接続され、第1のノードと第2のノードとの電位差を増幅するための差動増幅回路と、
一方のビット線と上記第1のノードとの間に接続され、上記一方のビット線の電位を上記第1のノードに伝えるための第1のスイッチ回路と、
他方のビット線と上記第2のノードとの間に接続され、上記他方のビット線の電位を上記第2のノードに伝えるための第2のスイッチ回路と、
上記差動増幅回路の共通ノードと第2の電源端子との間に接続され、活性化信号に応答して上記共通ノードと上記第2の電源端子とを電気的に接続する第3のスイッチ回路と、
上記差動増幅回路に対応して設けられ、読み出し動作時、上記第1のノードと上記第2のノードとの間の電位差が、上記差動増幅回路において安定して増幅可能なレベルになるまで上記活性化信号を遅延させる遅延素子としてのインバータを含む遅延回路と、
上記一方のビット線と上記他方のビット線とに接続され、プリチャージ信号に応答して上記一方のビット線と上記他方のビット線とを所定の電位に充電するための第1の充電回路と、
上記第1のノードと上記第2のノードとに接続され、上記プリチャージ信号に応答して上記第1のノードと上記第2のノードとを所定の電位に充電するための第2の充電回路と
を有し、
上記活性化信号に応答して上記第3のスイッチ回路が導通することにより上記差動増幅回路が活性化されて上記一方のビット線と上記他方のビット線との間の電位差の増幅動作が開始され、
上記遅延回路から出力される遅延された活性化信号に応答して上記第1及び第2のスイッチ回路が遮断することにより上記一方のビット線と上記第1のノードとの間及び上記他方のビット線と上記第2のノードとの間が電気的に切り離される、
半導体記憶装置。 - 上記第1のスイッチ回路と上記第2のスイッチ回路とが互いに並列に接続されたp型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタとを有し、
上記p型MOSトランジスタと上記n型MOSトランジスタとが同時に遮断状態に制御される
請求項1に記載の半導体記憶装置。 - 上記差動増幅回路が、上記第2のノードと上記第1のノードとの間に接続された第1の反転回路と、上記第1のノードと上記第2のノードとの間に接続された第2の反転回路とを有し、上記第1及び第2の反転回路が上記第1の電源端子と上記共通ノードとの間に電気的に接続されている
請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。 - 上記差動増幅回路の活性化に先立って上記第1の充電回路と上記第2の充電回路の充電動作が終了する
請求項1乃至3の何れかに記載の半導体記憶装置。 - 上記ビット線回路が、上記一方のビット線に接続された第1のデータ書込回路と、上記他方のビット線に接続された第2のデータ書込回路とを更に有する
請求項4に記載の半導体記憶装置。
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