JP4141675B2 - 偏心型空気弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液体供給弁箱内圧が大気圧以下に下がったとき弁箱内へ多量吸気を行う機構を持ち、弁箱内圧力が付加された状態においても弁箱内に溜まった滞留空気を排気するべく自動的に作動する空気弁に関するものであり、特に、弁箱に対する蓋手段の中心部に設けた大空気孔と、蓋手段の偏心位置に設けた小空気孔とを有する偏心型空気弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、従来の偏心型空気弁は、図5および図6に示すように、液体供給管の管路中に接続され、管路中の供給液体を受け入れる液体受入室32を形成する弁箱31と、前記弁箱31の上部開口側31aに取り付けられ、中心部に大空気孔33を備え、中心部から偏心位置に小空気孔34を備えた蓋手段35と、前記弁箱31内において軸方向に上下移動可能に配され、前記弁箱内充水時には浮力により浮上して前記小空気孔34を閉じ、弁箱内無水時には落下するフロート弁体36と、前記弁箱内充水時に前記フロート弁体36とともに浮上して前記蓋手段35における大空気孔33を閉塞する遊動弁体37とを備え、前記弁箱内無水状態によるフロート弁体落下時に、前記蓋手段35における大空気孔33および小空気孔34を開いて弁箱内滞留空気を排気するように構成してある。
【0003】
この従来の典型的な偏心型空気弁にあって、前記蓋手段35は、一枚の蓋体によって構成されている。この従来の偏心型空気弁では、一枚の蓋体によって構成される蓋手段35に対して、前記小空気孔34のための小空気孔弁座38を装着するものであり、その装着には、装着用ネジ部材39が必要である。この装着用ネジ部材39を用いる場合、前記蓋手段35に対してネジ孔40を設けておく必要がある。前記蓋手段35は、通常、鋳鉄製のものであって、その表面には防錆塗装が施されている。しかしながら、前記小空気孔34のための装着ネジ孔に対しては、防錆塗装を施すことができず、その部分の地金鋳鉄が露出したままとなり、防錆効果を低減させてしまうという問題点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、液体供給弁箱内圧が大気圧以下に下がったとき弁箱内へ多量吸気を行う機構を持ち、弁箱内圧力が付加された状態においても弁箱内に溜まった滞留空気を排気するべく自動的に作動する偏心型空気弁にあって、上記する従来の問題点並びに欠点を解消しようとするものであり、特に、蓋手段に対する防錆効果を高めるべく、該蓋手段を第1の蓋部材と第2の蓋部材により構成して、外側に位置する第1の蓋部材に対してネジ孔加工を施すことなく、防錆効果を高めるものであり、且つ、内側に位置する第2の蓋部材に対して、小空気孔弁座を容易に着脱可能なように組み立て得るものとし、加工工数並びに部品点数の低減を図ってなる偏心型空気弁を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、具体的には、液体供給弁箱内圧が大気圧以下に下がったとき弁箱内へ多量吸気を行う機構を持ち、弁箱内圧力が付加された状態においても弁箱内に溜まった滞留空気を排気するべく自動的に作動する弁装置であって、液体供給管の管路中に接続され、管路中の供給液体を受け入れる液体受入室を形成する弁箱と、前記弁箱の上部開口側に取り付けられ、中心部に大空気孔を備え、中心部から偏心位置に小空気孔を備えた第1および第2の蓋部材からなる蓋手段と、前記弁箱内において軸方向に上下移動可能に配され、前記弁箱内充水時には浮力により浮上して前記小空気孔を閉じ、弁箱内無水時には落下するフロート弁体と、前記弁箱内充水時に前記フロート弁体とともに浮上して前記蓋手段における大空気孔を閉塞する遊動弁体とを備え、前記弁箱内無水状態によるフロート弁体落下時に、前記蓋手段における大空気孔および小空気孔を開いて弁箱内滞留空気を排気するものであって、前記第2の蓋部材側における小空気孔側に小空気孔弁座機構を設けてなることを特徴とする偏心型空気弁を構成するものである。
【0006】
さらに、この発明は、前記小空気孔弁座機構が、前記第2の蓋部材に設けた弁座孔に対して気密装着が可能な小空気孔弁座体を含むものからなる偏心型空気弁を構成するものである。
【0007】
さらにまた、この発明は、前記小空気孔弁座体が、段差を介して上部大径部と、下部小径部とを有するものからなり、前記第2の蓋部材に設けた弁座孔に挿入した後、前記第1蓋部材によって押圧固定し、水封状態に組み立てられている偏心型空気弁を構成するものでもある。
【0008】
さらにまた、この発明は、前記第2の蓋部材とフロート弁体案内とを一体に形成してなる偏心型空気弁を構成するものでもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明になる偏心型空気弁について、図面(図1〜図4)に示す具体的な実施例にもとづいて詳細に説明する。
図1は、この発明になる偏心型空気弁の具体的な第1の実施例を示すものであって、弁箱内が無水状態の態様を示す概略的な縦断面図である。図2は、この発明になる偏心型空気弁の具体的な第2の実施例を示すものであって、弁箱内が無水状態の態様を示す概略的な縦断面図である。
【0010】
一方、図3は、この発明になる偏心型空気弁についての作動態様の一例を示すものであって、図3Aは、弁箱内が無水状態における多量排気状態を示す概略的な縦断面図、図3Bは、弁箱内が満水の状態を示す概略的な縦断面図、図3Cは、弁箱内が圧力下における少量排気状態を示す概略的な縦断面図である。さらにまた、図4は、この発明になる偏心型空気弁の組み立ての状態を説明するためのものであって、図4Aは、当該偏心型空気弁の組み立て状態を示すものであって、偏心型空気弁の一部を破断して示す概略的な斜視図であり、図4Bは、当該偏心型空気弁について各構成部材を軸方向に分解して軸線に沿って上下方向に並べて示す概略的な一部破断斜視図である。
【0011】
まず、この発明になる偏心型空気弁の基本構成について、図1、図2および図3にもとづいて詳細に説明する。この発明になる偏心型空気弁ABは、液体供給弁箱内圧が大気圧以下に下がったとき弁箱内へ多量吸気を行う機構を持ち、弁箱内圧力が付加された状態においても弁箱内に溜まった滞留空気を排気するべく自動的に作動する弁装置である。この発明になる偏心型空気弁ABは、主要構成部材として、弁箱1、第1の蓋部材5Aおよび第2の蓋部材5Bとからなる蓋手段5、フロート弁体6、遊動弁体7を含むものからなっている。
【0012】
前記偏心型空気弁ABにおける前記弁箱1は、上端1aおよび下端1bが開口していて、下端1bの下端開口fを介して液体供給管の管路中に流路接続されるようになっており、上端開口および下端開口に連通するように管路中の供給液体Wを受け入れる液体受入室2を形成するものからなっている。前記弁箱1における液体受入室2の内壁には、前記フロート弁体案内10と、該フロート弁体6の下端部を受ける台座11が設けてある。
【0013】
一方、前記蓋手段5は、この発明における重要な構成要素であり、第1の蓋部材5Aおよび第2の蓋部材5Bとによって構成されている。前記蓋手段5は、前記弁箱1の上部開口1a側に取り付けられ、中心部に大空気孔3を備え、中心部から偏心位置に小空気孔4を備えたものからなっている。より具体的には、前記大空気孔3は、前記第1の蓋部材5Aに設けた大空気孔3Aと、前記第2の蓋部材5Bに設けた大空気孔3Bとからなっており、前記小空気孔4は、前記第1の蓋部材5Aに設けた小空気孔4Aと、前記第2の蓋部材5Bに設けた小空気孔4Bとからなっている。
【0014】
さらに、この発明において重要な点は、前記第2の蓋部材5B側における小空気孔4B側に小空気孔弁座機構12が設けてある。前記小空気孔弁座機構12は、前記第2の蓋部材5Bに設けた弁座孔13に対して気密装着が可能な小空気孔弁座体8を含むものからなっている。前記小空気孔弁座体8は、段差を介して上部大径部8aと、下部小径部8bとを有するものからなり、前記第2の蓋部材に設けた弁座孔13に挿入した後、前記第1蓋部材5Aによって押圧固定され、水封状態に組み立てられている。前記第2の蓋部材5Bは、シール材14を備えていて、前記弁箱1に対して水封状態に組み合わされている。
【0015】
一方、前記フロート弁体6は、軸方向に偏平化されており、上部側に向けて開口していて、開口に通じる内部に、前記遊動弁体7を出入り自在に収容する遊動弁体収容室17を形成する。さらに、前記フロート弁体6は、上昇時に、その頂面6aによって、前記小空気孔弁座体8の下端開口を封じることができるようになっている。前記フロート弁体6は、上限ストッパ15によって、上限移動が制限されている。
【0016】
次いで、前記遊動弁体7は、前記フロート弁体6の遊動弁体収容室17内において、上下に移動が可能であって、その頂面7aに大空気孔弁座としてのOリング16が取り付けられている。したがって、前記遊動弁体7は、上昇時に、前記蓋手段5における大空気孔3を閉止することができるようになっている。
【0017】
以上の構成になる偏心型空気弁ABの作動態様について、図3A〔無水状態の態様〕、図3B〔充水(満水)状態の態様〕および図3C〔圧力下排気状態の態様〕にもとづいて説明する。まず、図3Aは、無水状態の態様を示すものであって、当該偏心型空気弁ABにおける弁箱1の液体受入室2内に水Wがない。したがって、前記フロート弁体6には浮力が作用せず、台座11上に落下支持された状態にある。この場合、前記フロート弁体6内の遊動弁体7も同様に落下位置に支持されている。したがって、前記蓋手段5における大空気孔3および小空気孔4は、いずれも開放状態にあり、管路内に充水する時、管路内の空気を大空気孔3より多量に排出できる。
【0018】
これに対して、図3Bは、充水(満水)状態の態様を示すものであって、当該偏心型空気弁ABにおける弁箱1の液体受入室2内に水Wが充満している。したがって、前記フロート弁体6は、浮力を受けてフロート弁体案内10に案内され最上端に浮上し、遊動弁体7も浮力を受けて遊動弁体収容室17に案内され最上端に浮上している。この場合、前記フロート弁体6と小空気孔弁座8との当接により前記小空気孔4Bが封止され、前記遊動弁体7における頂面7aに設けたOリング16が第2の蓋部材5Bの下面に当接して前記大空気孔3が封止され、当該偏心型空気弁ABは全閉状態となることが理解される。
【0019】
図3Bに示す充水(満水)状態の態様から、例えば、管路内の水に含まれている空気が当該偏心型空気弁ABの内部に溜まると、弁箱内の水位が低下し、水位低下にともなって前記フロート弁体6が弁箱内有圧状態において、図3Cに示すように傾き、前記小空気孔が開放され、弁箱内に溜まった滞留空気を当該偏心型空気弁ABの外に排気するものである。
【0020】
【発明の効果】
以上の構成になるこの発明の偏心型空気弁によれば、弁箱に対する蓋手段を、第1および第2の蓋部材により構成し、内側に位置する第2の蓋部材に対して小空気孔弁座機構を組み合わせて構成したことにより、防錆効果を高めるものであり、且つ、内側に位置する第2の蓋部材に対して、小空気孔弁座を容易に着脱可能なように組み立て得るものとし、加工工数並びに部品点数の低減を図ってなる偏心型空気弁を得るなどの点において極めて有効に作用するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明になる偏心型空気弁の具体的な第1の実施例を示すものであって、弁箱内が無水状態の態様を示す概略的な縦断面図である。
【図2】図2は、この発明になる偏心型空気弁の具体的な第2の実施例を示すものであって、弁箱内が無水状態の態様を示す概略的な縦断面図である。
【図3】図3は、この発明になる偏心型空気弁についての作動態様の一例を示すものであって、図3Aは、弁箱内が無水状態における多量排気状態を示す概略的な縦断面図、図3Bは、弁箱内が満水の状態を示す概略的な縦断面図、図3Cは、弁箱内が圧力下における少量排気状態を示す概略的な縦断面図である。
【図4】図4は、この発明になる偏心型空気弁の組み立ての状態を説明するためのものであって、図4Aは、当該偏心型空気弁の組み立て状態を示すものであって、偏心型空気弁の一部を破断して示す概略的な斜視図であり、図4Bは、当該偏心型空気弁について各構成部材を軸方向に分解して軸線に沿って上下方向に並べて示す概略的な一部破断斜視図である。
【図5】図5は、従来の典型的な偏心型空気弁の第1の例を示す概略的な縦断面図である。
【図6】図6は、従来の典型的な偏心型空気弁の第1の例を示す概略的な縦断面図である。
【符号の説明】
AB 偏心型空気弁
1 弁箱
2 液体受入室
3 大空気孔
4 小空気孔
5 蓋手段
5A 第1の蓋部材
5B 第2の蓋部材
6 フロート弁体
7 遊動弁体
8 小空気孔弁座
10 フロート弁体案内
11 台座
12 小空気孔弁座機構
13 弁座孔
15 上限ストッパ
16 Oリング

Claims (4)

  1. 液体供給弁箱内圧が大気圧以下に下がったとき弁箱内へ多量吸気を行う機構を持ち、弁箱内圧力が付加された状態においても弁箱内に溜まった滞留空気を排気するべく自動的に作動する弁装置であって、液体供給管の管路中に接続され、管路中の供給液体を受け入れる液体受入室を形成する弁箱と、前記弁箱の上部開口側に取り付けられ、中心部に大空気孔を備え、中心部から偏心位置に小空気孔を備えた第1および第2の蓋部材からなる蓋手段と、前記弁箱内において軸方向に上下移動可能に配され、前記弁箱内充水時には浮力により浮上して前記小空気孔を閉じ、弁箱内無水時には落下するフロート弁体と、前記弁箱内充水時に前記フロート弁体とともに浮上して前記蓋手段における大空気孔を閉塞する遊動弁体とを備え、前記弁箱内無水状態によるフロート弁体落下時に、前記蓋手段における大空気孔および小空気孔を開いて弁箱内滞留空気を排気するものであって、前記第2の蓋部材側における小空気孔側に小空気孔弁座機構を設けたことを特徴とする偏心型空気弁。
  2. 前記小空気孔弁座機構が、前記第2の蓋部材に設けた弁座孔に対して気密装着が可能な小空気孔弁座体を含むものからなることを特徴とする請求項1に記載の偏心型空気弁。
  3. 前記小空気孔弁座体が、段差を介して上部大径部と、下部小径部とを有するものからなり、前記第2の蓋部材に設けた弁座孔に挿入した後、前記第1蓋部材によって押圧固定し、水封状態に組み立てられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏心型空気弁。
  4. 前記第2の蓋部材とフロート弁体案内とを一体に形成してなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の偏心型空気弁。
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