JP4141131B2 - ワイヤハーネスプロテクタのロック構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はワイヤハーネスプロテクタのロック構造に関し、詳細には、ワイヤハーネスプロテクタを構成する部材同士の嵌合部のがたつきを防止するワイヤハーネスプロテクタのロック構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の車体に設けられた一部のワイヤハーネスは、その長さ方向に沿った筒型等の形状を有するプロテクタに格納されている。例えば、図6に示すように、上壁120aと左側壁120b及び右側壁(図示外)とを備えた断面略コの字型のカバー部材120と、図示外の底壁及び右側壁と左側壁121aとを備えた断面略コの字型のベース部材121とを組み付けることにより構成されたプロテクタ内にワイヤハーネスが格納されて、外側から保護されるようになっている。カバー部材120及びベース部材121は、相互を組み付けるための部材をそれぞれ備えている。具体的には、カバー部材120の左側壁120bには、略台形型の係止爪140が形成されており、当該係止爪140の表面140aの先端部には、係止突起145が設けられている。また、ベース部材121の左側壁121aには、前記係止突起145が係合するための係合壁155を備えた係止爪係合部150が設けられている。
【0003】
そして、図7に示すように、係止爪140を係止爪係合部150に挿入し、係止爪140の先端部に設けられた係止突起145を係合壁155の底断面155aに係合させる。また、図示しないが、カバー部材120に形成された複数の係止爪を、ベース部材121に設けられた複数の係止爪係合部の内、それぞれ対応する係止爪係合部に挿入し、係止爪に設けられた係止突起を各係合壁に係合させることにより、カバー部材120とベース部材121とが組み付けられて、プロテクタが構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、カバー部材120とベース部材121とが半嵌合状態にならないように、カバー部材120の係止爪140に設けられた係止突起145と、ベース部材121に設けられた係止爪係合部150とが係合した状態で、両部材間に所定の隙間が確保されるように各部材が成形されている。そのため、係合後に係止突起145と係止爪係合部150とががたついて異音が発生したり、また部材に負荷がかけられた場合に係合部で強度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、構成部材の嵌合部のがたつきを防止することができるワイヤハーネスプロテクタのロック構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のワイヤハーネスプロテクタのロック構造は、自動車のワイヤハーネスを格納して保護するためのプロテクタを構成する第1のカバー部材と第2のカバー部材とを嵌合させるワイヤハーネスプロテクタのロック構造であって、前記第1のカバー部材には、先端に係止突起を有する係止爪を形成し、前記第2のカバー部材の外側面には、前記係止爪が挿入され、前記係止突起が係合する係合部を設け、前記第1のカバー部材の係止爪に、当該係止爪と前記係合部との隙に起因する挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきを防止するリブを突設し、前記リブは、前記係止爪の係止突起を有する面の基端部に設けられ、該リブの厚みが該係止突起に向けて狭窄しているとともに、前記係止突起と前記係合部とが係合することにより、前記リブを備える前記係止爪は前記第2のカバー部材の外側面と前記係合部とに当接して、当該係止爪が前記係合部と前記第2のカバー部材の前記外側面とに挟まれた状態で、前記リブ及び前記係止突起により前記挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきが防止されることを特徴とする。
【0007】
この構成のワイヤハーネスプロテクタのロック構造では、先端に係止突起を有する係止爪を形成した第1のカバー部材と、その係止爪が挿入されて係止突起が係合する係合部が設けられた第2のカバー部材とを嵌合させる際、第1のカバー部材の係止爪に突設されたリブによって、係止爪と係合部との隙を埋めてがたつきを防止することができる。
【0008】
【0009】
また、リブは、第1のカバー部材の係止爪の係止突起を有する面の基端部に設けられ、その厚みが係止突起に向けて狭窄しているので、第1のカバー部材の係止爪先端に設けられた係止突起と、第2のカバー部材の係合部とが係合した状態で、係止突起とリブとで、より確実に係止爪と係合部とのがたつきを防止することができる。
【0010】
また、請求項2に係る発明のワイヤハーネスプロテクタのロック構造では、自動車のワイヤハーネスを格納して保護するためのプロテクタを構成する第1のカバー部材と第2のカバー部材とを嵌合させるワイヤハーネスプロテクタのロック構造であって、前記第1のカバー部材には、先端に係止突起を有する係止爪を形成し、前記第2のカバー部材の外側面には、前記係止爪が挿入され、前記係止突起が係合する係合部を設け、前記第1のカバー部材の係止爪に、当該係止爪と前記係合部との隙に起因する挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきを防止するリブを突設し、前記リブは、前記係止爪の係止突起と反対側の面の基端部に設けられ、該リブの厚みが該係止突起に向けて狭窄しているとともに、前記係止突起と前記係合部とが係合することにより、前記リブを備える前記係止爪は前記第2のカバー部材の外側面と前記係合部とに当接して、当該係止爪が前記係合部と前記第2のカバー部材の前記外側面とに挟まれた状態で、前記リブ及び前記係止突起により前記挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきが防止されることを特徴とする。
【0011】
この構成のワイヤハーネスプロテクタのロック構造では、リブは、係止爪の係止突起と反対側の面の基端部に設けられ、その厚みが係止突起に向けて狭窄しているので、第1のカバー部材の係止爪先端に設けられた係止突起と、第2のカバー部材の係合部とが係合した状態で、係止突起とリブとで、より確実に係止爪と係合部とのがたつきを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照して説明する。ここで、図1は、ワイヤハーネスプロテクタ1の分解斜視図である。図1に示すように、ワイヤハーネスプロテクタ1は、カバー部材10とベース部材40とを嵌合して構成されており、ワイヤハーネスを格納して保護するために自動車に設けられるものである。例えば、段差のあるフロアにクランク状に配設されるワイヤハーネスを格納、保護するために用いられる。カバー部材10は、合成樹脂材料で一体成型されており、図1の横方向に延びる横方向部11と、横方向部11の図1での左側端部から上方に横方向部11に対して略垂直に延設された屈曲部12と、屈曲部12の端部からさらに図1の手前方向に延設された図1の縦方向(奥行き方向)に延びる縦方向部14と、横方向部11の右側端部から下方に正面視円弧状に延設された屈曲部13と、屈曲部13の端部からさらに図1の奥行き方向に延設された図1の縦方向(奥行き方向)に延びる縦方向部15とから構成されている。
【0013】
横方向部11は、所定厚を有し、平面視で図1の左右に長手の略長方形形状を有する上壁11aと、上壁11aの図1での手前側側縁から上壁11aの短辺寸法の略4分の1だけ下方に垂設された手前壁11bと、奥行き側側縁から手前壁11bと略同一寸法だけ下方に垂設された奥壁(図示外)とから構成されている。そして、横方向部11の上壁11aの左側端部からは、屈曲部12を構成する手前壁12aが、上方に向かって上壁11aに対して略垂直に延設されている。屈曲部12は、この手前壁12aと、横方向部11の奥壁(図示外)から図1の左方向へ延設されて形成された奥壁12bとから構成されており、その図1での上下方向断面が略L字型となっている。この屈曲部12により、横方向部11と縦方向部14とがつながっている。
【0014】
さらに、屈曲部12の奥壁12bの上端部からは、図1の手前方向に向かって縦方向部14の上壁14aが延設されている。上壁14aは、所定厚を有し、平面視で縦方向に長手の略長方形形状であり、屈曲部12の奥壁12bに対して略垂直となっている。即ち、縦方向部14の上壁14aと横方向部11の上壁11aとは略平行になっている。また、上壁14aの左右側縁からは、それぞれ左側壁(図示外)と右側壁14bとが上壁14aの短辺寸法の略4分の1だけ下方に向かって垂設されており、縦方向部14は、上壁14aと左側壁(図示外)及び右側壁14bとから構成されている。
【0015】
また、横方向部11の上壁11aの図1での右側端部からは、屈曲部13を構成する上壁13aが、下方に向かって円弧状に延設されている。上壁13aは、図1での平面視で横方向に長手の所定厚を有する略長方形形状の板を湾曲させた形状となっている。詳細には、正面視で略4分の1円を構成する円弧形状を有し、平面視及び側面視で略長方形形状を有している。屈曲部13は、横方向部11と同様に、その上壁13aの手前側側縁から上壁13aの短辺寸法の略4分の1だけ内側向き法線方向に垂設された手前壁11bと、奥行き側側縁から内側向き法線方向に垂設された奥壁(図示外)とを備えており、上壁13aと手前壁13a及び奥壁(図示外)とから構成されている。そして、この屈曲部13により、横方向部11と縦方向部15とがつながっている。
【0016】
さらに、屈曲部13の図示外の奥壁の端部からは、図1の奥行き方向に向かって縦方向部15の上壁15aが延設されている。上壁15aは、所定厚を有し、平面視で略長方形形状かつ図1の奥行き方向下向きに傾斜した第1の上壁部15a1と、第1の上壁部15a1の端部からさらに奥行き方向へ延設された、平面視略長方形形状かつ横方向部11の上壁11aと略平行な第2の上壁部15a2とから構成されている。また、上壁15aの左右側縁からは、それぞれ左側壁(図示外)と右側壁15bとが上壁15aの短辺寸法の略4分の1だけ下方に垂設されており、縦方向部15は、上壁15aと左側壁(図示外)及び右側壁15bとから構成されている。
【0017】
さらに、カバー部材10の各側壁には、カバー部材10とベース部材40とを組み付けるために、ベース部材40に設けられた複数の係止爪係合部に係合する係止突起を備えた係止爪が複数形成されている。横方向部11では、その手前壁11bの図1での左右方向略中央部に係止爪20が、奥壁(図示外)の係止爪20と対向する位置、即ち左右方向略中央部に係止爪20と同形状の係止爪(図示外)がそれぞれ形成されている。係止爪20は、手前壁11bの下端からさらに下側に向かって延設されており、正面視下側が上底となった略台形形状となっている。また、係止爪20の両脇にはスリットSが形成されており、係止爪20が図1の奥行き方向に撓み易くなっている。
【0018】
また、図2に示すように、係止爪20の外側面(図2での手前側面)20aの下側端部近傍には、係止突起30が設けられている。係止突起30は、側面視で、係止爪20の外側面20a側に下底を持つ台形を左右方向に引き延ばした形状を有しており、その図2における上側面及び下側面は、それぞれ外側面20a方向及び下方向に傾斜した形状となっている。さらに、係止爪20の外側面20a上部の左右両端部には、リブ25a,25bが設けられている。リブ25a,25bは、側面視で、横方向部11の上壁11aと手前壁11bとの稜線の位置に直角部を持つ三角形形状、即ち、外側面20a方向及び下方向に傾斜した斜辺を有する三角形形状となっている。そして、当該三角形を左右方向に、即ち前記稜線方向に引き延ばされた形状のリブ25a,25bが形成されている。尚、カバー部材10には、この係止爪20の他に複数の係止爪が形成されているが、何れの係止爪も係止爪20と略同一形状を有しており、その外側面には、リブ25a,25b及び係止突起30と略同一形状のリブ及び係止突起が、各々に対応する係止爪に対して、係止爪20とリブ25a,25b及び係止突起30との位置関係と略同一な位置関係となるように設けられている。
【0019】
図1に示すように、縦方向部14の右側壁14bには、係止爪21,22が形成されている。詳細には、右側壁14bの図1での手前側端部近傍に係止爪21が、奥行き側端部近傍に係止爪22がそれぞれ形成されている。係止爪21,22は、右側壁14bの下端からさらに下側に向かって延設されており、係止爪21,22のそれぞれの両脇には、各係止爪の図1での左右方向への可撓性を高めるためのスリットSが設けられている。そして、係止爪21の外側面21aの先端には係止突起31が、係止爪22の外側面22aの先端には係止突起32がそれぞれ設けられている。さらに、係止爪21の外側面21aの上部奥行き方向両端部にはリブ26a,26bが、係止爪22の外側面22aの上部奥行き方向両端部にはリブ27a,27bがそれぞれ設けられている。また、図示しないが、縦方向部14では、その右側壁14bに形成された係止爪21,22に対向して、左側壁(図示外)にも2つの係止爪が、係止爪21,22と左右対称になるように形成されている。
【0020】
また、屈曲部13の手前壁13bの図1での右側端部近傍には、係止爪23が形成されている。係止爪23の右脇にもスリットSが設けられており、係止爪23の外側面23aには、リブ28a,28b及び係止突起33が設けられている。さらに、縦方向部15の右側壁15bの奥行き方向端部にも係止爪24が形成されている。係止爪24は、右側壁15bの下端からさらに下側に向かって延設されており、その両脇にはスリットSが設けられている。そして、係止爪24の外側面24aには、リブ29a,29b及び係止突起34が設けられている。また、縦方向部15では、その右側壁15bに形成された係止爪24に対向して、左側壁(図示外)にも係止爪が形成されている。
【0021】
次に、カバー部材10が覆設されるベース部材40について説明する。ベース部材40は、カバー部材10を構成する横方向部11、屈曲部12,13、縦方向部14及び縦方向部15にそれぞれ対応する横方向部41、屈曲部42,43、縦方向部44及び縦方向部45で構成されている。詳細には、ベース部材40は、図1の横方向に延びる横方向部41と、横方向部41の図1での左側端部から上方に横方向部11に対して略垂直に延設された屈曲部42と、屈曲部42の端部からさらに図1の手前方向に延設された図1の縦方向(奥行き方向)に延びる縦方向部44と、横方向部41の右側端部から下方に正面視円弧状に延設された屈曲部43と、屈曲部43の端部からさらに図1の奥行き方向に延設された図1の縦方向(奥行き方向)に延びる縦方向部45とから構成されている。そして、ベース部材40は、その横方向部41がカバー部材10の横方向部11に、屈曲部42,43が、カバー部材10の屈曲部12,13に、縦方向部44,45がカバー部材10の縦方向部14,15にそれぞれ覆われて、カバー部材10との間に隙間ができないような形状に成形されている。
【0022】
ベース部材40の横方向部41は、カバー部材10の横方向部11の上壁11aに対向する底壁(図示外)と、横方向部11の2つの側壁に挟み込まれる手前側壁41a及び手前壁41aと対向する奥壁41bとから構成されている。手前壁41aと奥壁41bとは略平行であり、各々が底壁に対して略垂直となっている。また、横方向部41の手前壁41a及び奥壁41bは、カバー部材10の横方向部11の2つの側壁よりも図1での上下方向の長さが長くなっており、横方向部41は、所定の深さを持った形状となっている。
【0023】
そして、横方向部41の底壁(図示外)の左側端部からは、屈曲部42を構成する奥壁42aが、上方に向かって底壁に対して略垂直に延設されている。屈曲部42は、この手前壁42aと、横方向部41の手前壁41aから図1の左方向へ延設されて形成された手前壁42bとから構成されており、その高さ方向断面が略L字型となっている。この屈曲部42により、横方向部41と縦方向部44とがつながっている。
【0024】
さらに、屈曲部42の手前壁42bの上端部からは、図1の手前方向に向かって縦方向部44の底壁44aが延設されている。底壁44aは、所定厚を有し、平面視で縦方向に長手の略長方形形状であり、屈曲部42の手前壁42bに対して略垂直となっている。即ち、縦方向部44の底壁44aと横方向部41の底壁(図示外)とは略平行になっている。また、底壁44aの左右側縁からは、それぞれ右側壁44bと左側壁44cとが上方に向かって垂設されており、縦方向部44は、底壁44aと右側壁44bと左側壁44cとから構成されている。
【0025】
また、横方向部41の底壁(図示外)の図1での右側端部からは、屈曲部43を構成する底壁(図示外)が、下方に向かって円弧状に延設されている。屈曲部43の底壁は、図1での平面視で横方向に長手の所定厚を有する略長方形形状の板を湾曲させた形状となっている。屈曲部43は、その底壁の手前側側縁から上方に垂設された手前壁43aと、奥行き側側縁から上方に垂設された奥壁43bとから構成されている。そして、この屈曲部43により、横方向部41と縦方向部45とがつながっている。さらに、屈曲部43の底壁(図示外)の図1での右側端部からは、奥行き方向に向かって縦方向部45の底壁45aが延設されている。また、底壁45aの左右側縁からは、左側壁45cと右側壁45bとがそれぞれ上方に垂設されており、縦方向部45は、底壁45aと右側壁45b及び左側壁45cとから構成されている。
【0026】
また、ベース部材40の各側壁には、カバー部材10とベース部材40とを組み付けるために、カバー部材10の側壁に設けられた係止爪が係合する係止爪係合部が複数設けられている。横方向部41では、手前壁41aの外側面41a1の図1における左右方向略中央部に、カバー部材10の横方向部11に形成された係止爪14が係合する係止爪係合部50が設けられている。図2に示すように、係止爪係合部50は、図2での上下方向断面が略コの字型となっており、係止爪20を挿入できるように上下方向に貫通されている。係止爪係合部50は、当該係止爪係合部50に挿入された係止爪20を左右方向にがたつかないように保持する横方向保持部50a,50bと、手前壁41aと略平行になるように横方向保持部50a,50b間に渡設された係合壁50cとから構成されている。横方向保持部50a,50bは、手前壁41aに対して略垂直に突設されている。
【0027】
また、係合壁50cは、係止爪20の板厚よりも僅かに大きい間隔を手前壁41aとの間に形成しており、係止爪20が係止爪係合部50に挿入された後、その図2の下側の底断面65に係止爪20に設けられた係止突起30が係合するようになっている。尚、ベース部材40には、この係止爪係合部50の他に複数の係止爪係合部が形成されているが、何れの係止爪係合部も係止爪係合部50と略同一形状を有している。
【0028】
即ち、図1に示すように、ベース部材40の縦方向部44に設けられ、カバー部材10の縦方向部14に形成された4つの係止爪に対応する係止爪係合部51〜54、屈曲部43に設けられ、カバー部材10の屈曲部13に形成された係止爪23に対応する係止爪係合部55、縦方向部45に設けられ、カバー部材10の縦方向部15に形成された2つの係止爪に対応する係止爪係合部57,58の何れもが、係止爪係合部50と略同一形状となっている。
【0029】
次に、図2、図3及び図4を参照して、カバー部材10の横方向部11に形成された係止爪20と、ベース部材40の横方向部41に設けられた係止爪係合部50との係合部の構造について説明する。図2に示すように、係止爪20と係止爪係合部50とを係合させるには、まず、図中上側の係止爪20を、その下側の係止爪係合部50の横方向保持部50a,50bと係合壁50cと手前壁41aとにより形成された空間に挿入する。その後、図3に示すように、横方向部11の上壁11aを図の下方向に押圧して、係止爪20先端の係止突起30を、係止爪係合部50の係合壁50cの底断面65に係合させる。
【0030】
この状態、即ち横方向部11の上壁11aを図の下方向に押圧した状態では、係止爪20に設けられたリブ25bによって、係止爪係合部50の係合壁50cが図3における左側に撓んでおり、係合壁50cに当接したリブ25bには、右側への押圧力がかかった状態となっている。リブ25bの板厚は、図3の上方から下方に向かって狭窄しているので、板厚が大きな部分では係合壁50cが撓み、板厚が小さな部分では係合壁50cは殆ど撓まないことになる。従って、手前壁41aと共にリブ25b上部の大きな板厚部分を挟んだことにより、左側に撓んだ係合壁50cは、図4に示すように、リブ25b上部の大きな板厚部分が上方に逃がされることによって、即ち係合壁50cと手前壁41aとの間でリブ25b下部の小さな板厚部分を挟み込むことによって、その撓みが低減される。
【0031】
このとき、係止爪20の先端の係止突起30と、係合壁50cの底断面65とが確実に係合した状態となっている。これにより、係止爪20は、係合壁50cの内側面66と手前壁41aの外側面41a1とに当接して、係合壁50cと手前壁41aとに挟まれた状態で、リブ25b及び係止突起30により上下方向へのがたつきが防止されている。また、図4の上方から上壁11aに下向きの負荷がかかった場合、係合壁50cがリブ25bの板厚が大きい部分により左側に押圧されても、同方向へ撓むことができるので、各部材の変形を緩和することができる。尚、図示しないが、リブ25bの図3での奥方向のリブ25aもリブ25bと同様の構造となっており、これら一対のリブ25a,25bによって上記効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
以下同様にして、カバー部材10に形成された複数の係止爪を、それぞれベース部材40に設けられた対応する係止爪係合部に係合させると、カバー部材10とベース部材40とが組み付けられてワイヤハーネスプロテクタ1が構成されるようになっている。そして、図示外のワイヤハーネスは、ワイヤハーネスプロテクタ1に格納されて、外側から保護されることになる。ワイヤハーネスプロテクタ1において、その各係止爪と各係止爪係合部とが係合した部分では、前述のようにがたつきが防止されており、さらに各部材の変形が緩和された形状となっているので、内部に格納されたワイヤハーネスも、確実に外側から保護された状態となる。
【0033】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、カバー部材10において、その横方向部11に形成された係止爪20の係止突起30が設けられた面、即ち表面20aにリブ25a,25bを設けていたが、係止爪20の係止突起30が設けられていない面、即ち裏面にリブを設けることも可能である。図5に示すように、係止爪20の裏面20bに、リブ25a,25bと同形状のリブ69aと、図5の奥行き方向に位置するリブ69aと一対の図示外のリブ(以下、「第2のリブ」という。)とを設けた場合、前述のリブ19a,19bにより係止壁50cが左側に撓んだのとは異なり、リブ69aと第2のリブとにより、係止壁50cに対向する手前壁41aが図5における右側に撓むことになる。そして、リブ69a及び第2のリブの小さい板厚部分が、手前壁41aの外側面41a1に当接し、係止爪20が係合壁50cの内側面66に当接して、係止爪20の上下方向へのがたつきが防止されるようになっている。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明のワイヤハーネスプロテクタのロック構造では、先端に係止突起を有する係止爪を形成した第1のカバー部材と、その係止爪が挿入されて係止突起が係合する係合部が設けられた第2のカバー部材とを嵌合させる際、第1のカバー部材の係止爪に突設されたリブによって、係止爪と係合部との隙を埋めてがたつきを防止することができる。
【0035】
また、リブは、第1のカバー部材の係止爪の係止突起を有する面の基端部に設けられ、その厚みが係止突起に向けて狭窄しているので、第1のカバー部材の係止爪先端に設けられた係止突起と、第2のカバー部材の係合部とが係合した状態で、係止突起とリブとで挿脱方向のがたつきをより確実に防止することができる。さらに、係止爪に挿入方向の負荷がかかった場合、係合部は係止爪によって押圧される方向へ撓むことができるので、各部材の変形を緩和することができる。
【0036】
また、請求項2に係る発明のワイヤハーネスプロテクタのロック構造では、先端に係止突起を有する係止爪を形成した第1のカバー部材と、その係止爪が挿入されて係止突起が係合する係合部が設けられた第2のカバー部材とを嵌合させる際、第1のカバー部材の係止爪に突設されたリブによって、係止爪と係合部との隙を埋めてがたつきを防止することができる。また、リブは、係止爪の係止突起と反対側の面の基端部に設けられ、その厚みが係止突起に向けて狭窄しているので、第1のカバー部材の係止爪先端に設けられた係止突起と、第2のカバー部材の係合部とが係合した状態で、係止突起とリブとで挿脱方向のがたつきをより確実に防止することができる。さらに、係止爪に挿入方向の負荷がかかった場合、係合部は係止爪によって押圧される方向へ撓むことができるので、各部材の変形を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ワイヤハーネスプロテクタ1を構成するカバー部材10及びベース部材40を示す分解斜視図である。
【図2】 係止爪20と係止壁50cとの係合部を示す斜視図である。
【図3】 係止爪20と係止壁50cとが係合した状態を示す、図2のA−A線矢視方向断面図である。
【図4】 係止爪20と係止壁50cとが係合した状態を示す、図2のA−A線矢視方向断面図である。
【図5】 係止爪20の変形例を示す断面図である。
【図6】 従来技術の係止爪140と係止爪係合部150との係合部を示す斜視図である。
【図7】 図6のB−B線矢視方向断面図である。
【符号の説明】
1 ワイヤハーネスプロテクタ
10 カバー部材
20 係止爪
25a,25b リブ
30 係止突起
40 ベース部材
50 係止爪係合部
50a,50b 横方向保持部
50c 係合壁
65 底断面
69a リブ

Claims (2)

  1. 自動車のワイヤハーネスを格納して保護するためのプロテクタを構成する第1のカバー部材と第2のカバー部材とを嵌合させるワイヤハーネスプロテクタのロック構造であって、
    前記第1のカバー部材には、先端に係止突起を有する係止爪を形成し、
    前記第2のカバー部材の外側面には、前記係止爪が挿入され、前記係止突起が係合する係合部を設け、
    前記第1のカバー部材の係止爪に、当該係止爪と前記係合部との隙に起因する挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきを防止するリブを突設し、
    前記リブは、前記係止爪の係止突起を有する面の基端部に設けられ、該リブの厚みが該係止突起に向けて狭窄しているとともに、
    前記係止突起と前記係合部とが係合することにより、前記リブを備える前記係止爪は前記第2のカバー部材の外側面と前記係合部とに当接して、当該係止爪が前記係合部と前記第2のカバー部材の前記外側面とに挟まれた状態で、前記リブ及び前記係止突起により前記挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきが防止されることを特徴とするワイヤハーネスプロテクタのロック構造。
  2. 自動車のワイヤハーネスを格納して保護するためのプロテクタを構成する第1のカバー部材と第2のカバー部材とを嵌合させるワイヤハーネスプロテクタのロック構造であって、
    前記第1のカバー部材には、先端に係止突起を有する係止爪を形成し、
    前記第2のカバー部材の外側面には、前記係止爪が挿入され、前記係止突起が係合する係合部を設け、
    前記第1のカバー部材の係止爪に、当該係止爪と前記係合部との隙に起因する挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきを防止するリブを突設し、
    前記リブは、前記係止爪の係止突起と反対側の面の基端部に設けられ、該リブの厚みが該係止突起に向けて狭窄しているとともに、
    前記係止突起と前記係合部とが係合することにより、前記リブを備える前記係止爪は前記第2のカバー部材の外側面と前記係合部とに当接して、当該係止爪が前記係合部と前記第2のカバー部材の前記外側面とに挟まれた状態で、前記リブ及び前記係止突起により前記挿脱方向、及び前記係止爪に垂直な方向のがたつきが防止されることを特徴とするワイヤハーネスプロテクタのロック構造。
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