JP4138534B2 - 免震構造物の半固定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下部構造物と上部構造物との間に介在された免震装置により下部構造物に対して水平方向に免震支持される上部構造物(例えば免震層)の台風等の強風による風圧での揺れを制御抑制する半固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上部構造物を地震から保護するために、下部構造物としての例えば基礎と上部構造物との間に介在させ上部構造物を免震化する免震装置としては、ゴム板と鋼板とを積層した積層ゴム、この積層ゴムに鉛支柱を埋設した鉛プラグ入り積層ゴム、滑りを用いた滑り支承、ころの転がりを用いた転がり支承等の種々のものがある。
【0003】
上記のいずれの免震装置も、振動方向である水平方向に対して剛性を低くして、上部構造物を含む振動系の水平方向の固有振動周期を地震の水平振動の周期よりも長くして地震による上部構造物の振動を抑えるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−310532号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、水平剛性の低い免震装置は小さい水平方向の力でも応答するため、これに免震支持される上部構造物は、少しの風圧が加わっても水平方向に揺らされることになり、構造物がマンション等の集合住宅、事務所ビル、戸建住宅等の場合には、上部構造物である免震層の風圧による横揺れで居住者等に極めて大きな不快感を与える虞がある。特に、超高層の免震層の場合には、強風による水平方向の力が地震によるそれと同等又はそれ以上になり、強風時に地震と同等の振動が発生する虞がある。
【0006】
また、免震装置に対しては、鉛支柱、鋼棒ダンパ及び粘性ダンパ等のエネルギ熱変換型ダンパが振動減衰のために併設されるのであるが、風による上部構造物の振動は一般に地震と比較してその継続時間が長い上にその発生頻度が高いために、斯かるエネルギ熱変換型ダンパでは、風振動に起因する度々の発熱や疲労により早期にその性能が低下する虞がある。
【0007】
そこで、従来では摩擦力により上部構造物の水平方向の移動を防止するようにした装置が提案されているが、斯かる装置では摩擦面をコイルスプリングを介して上部構造物に押し付けているために、押し付け力の調節、制御が困難である上に、経年変化でもってコイルスプリングの弾性力が小さくなると、コイルスプリング自体を交換しなければならず、保守に多大の費用が掛かることになる。
【0008】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、下部構造物上に免震装置を介して支持された上部構造物の風による大きな変位及び振動を抑制又は斯かる振動を早期に減衰させるように摩擦力によって水平方向に関して半固定でき、しかも、免震装置の本来の免震機能を阻害しないような摩擦力に容易に調節、設定できる上に、必要に応じて摩擦力を制御することができ、加えて、保守費用を大幅に低減できる免震構造物の半固定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
下部構造物と上部構造物との間に介在された免震装置により下部構造物に対して水平方向に免震支持される上部構造物を下部構造物に対して水平方向に関して解除自在に固定するための本発明の第一の態様の免震構造物の半固定装置は、下部構造物及び上部構造物のうちの一方に固定されると共に液圧に基づいて鉛直方向の力を発生する鉛直方向力発生装置と、この鉛直方向力発生装置からの鉛直方向の力によって鉛直方向に移動されると共に水平方向に関して固定された一方の摩擦板と、この一方の摩擦板に摩擦接触するように下部構造物及び上部構造物のうちの他方に水平方向に関して固定される他方の摩擦板とを具備している。
【0010】
第一の態様の半固定装置によれば、一方の摩擦板と他方の摩擦板との摩擦力により上部構造物を下部構造物に対して水平方向に関して半固定できて、上部構造物を風により移動されないように又は風により大きく振動されないようにすると共に斯かる振動を早期に減衰させることができ、しかも、鉛直方向力発生装置により免震装置の本来の免震機能を阻害しないような摩擦力に容易に調節、設定できる上に、必要に応じて摩擦力を制御することができ、加えて、液圧の加減を行うだけで摩擦力を長期に亘って所望の値に維持できるために保守費用を大幅に低減できる。
【0011】
本発明において、下部構造物は、通常、上部構造物が設置される基礎、橋脚等であるが、マンション等の集合住宅、事務所ビル、戸建住宅等、特に高層のマンション等の集合住宅、事務所ビル等の構造物において上階、例えば二階と下階、例えば一階との間に免震装置が設置される場合には、斯かる下階以下が下部構造物となり、上階以上が上部構造物であって免震層となる。
【0012】
好ましい例では、本発明の第二の態様の半固定装置のように、鉛直方向力発生装置は、液圧により一方の摩擦板を昇降させる摩擦板昇降装置を具備しており、この摩擦板昇降装置は、液体を収容すると共に下部構造物及び上部構造物のうちの一方に固定される液体収容体と、液体に生じる液圧により鉛直方向に移動されるように液体収容体に配されていると共に一方の摩擦板が固着されている昇降部材とを具備しており、摩擦板昇降装置は、昇降部材を介して一方の摩擦板を昇降させるようになっている。
【0013】
摩擦板昇降装置は、本発明の第三の態様の半固定装置のように、油圧ジャッキからなっていても、本発明の第四の態様の半固定装置のように、フラットジャッキからなっていてもよい。また、摩擦板昇降装置は、本発明の第五の態様の半固定装置のように、液体と昇降部材との間に介在される弾性体を更に具備しており、ここで、昇降部材は、弾性体を介して液圧を受けるようになっていてもよい。
【0014】
第五の態様の半固定装置のように弾性体を具備していると、一方の摩擦板を他方の摩擦板へ弾性的に摩擦接触させることができ、多少の液圧の変動を補償することができる。
【0015】
弾性体としては、本発明の第六の態様の半固定装置のように、ゴム部材を好ましい例として挙げることができるが、空気ばね、コイルばね、板ばね等であってもよく、弾性体として空気ばね、コイルばね、板ばね等を用いる場合には、液体と昇降部材との間に更にばね受を設けて、昇降部材とばね受との間に斯かる空気ばね、コイルばね、板ばね等を配置するとよい。
【0016】
非圧縮性の液体を用いる場合には、上記のように弾性体を具備して摩擦板昇降装置を構成するのが好ましいが、ビンガム流体のように圧縮性の液体を用いる場合には、弾性体を省いて摩擦板昇降装置を構成してもよく、更には、両摩擦板のうちの少なくとも一方を鉛直方向に移動できるように弾性的に支持するようにしてもよい。
【0017】
鉛直方向力発生装置は、本発明の第七の態様の半固定装置のように、制御された液圧を発生する液圧発生装置を具備しており、摩擦板昇降装置は、液圧発生装置からの制御された液圧を受けるようになっている。
【0018】
液圧は、上部構造物に吹き付ける風の速度(風速)、風圧等に基づいて制御されるようになっていても、これに代えて、下部構造物の地震による加速度に基づいて制御されるようになっていてもよく、前者では、風のない場合には、他方の摩擦板に対する一方の摩擦板の摩擦接触を解除し、一定以上の風速、風圧等を検知すると、液圧により一方の摩擦板を他方の摩擦板に向かって移動させて一方の摩擦板を他方の摩擦板に摩擦接触させるようにしてもよく、また、風速、風圧に比例して接触圧を変化させるようにしてもよく、後者では、風の有無に拘わらず常時、一方の摩擦板を他方の摩擦板に摩擦接触させておき、一定以上の地震加速度を検知すると、液圧により一方の摩擦板を他方の摩擦板から離反させて他方の摩擦板に対する一方の摩擦板の摩擦接触を解除するようにしてもよい。
【0019】
昇降部材は、本発明の第八の態様の半固定装置のように、鉛直軸の回りで回転自在となるように液体収容体に配されているとよく、斯かる昇降部材であると、一方の摩擦板に鉛直軸の回りでの回転が付与されても、無理なくこれに対応できる。
【0020】
両摩擦板は、好ましくは本発明の第九の態様の半固定装置のように、高摩擦面同士で摩擦接触する高摩擦鋼鈑からなる。
【0021】
高摩擦鋼鈑を用いる場合には、両摩擦板は単に接触させてもよいのであるが、好ましくは本発明の第十の態様の半固定装置のように、高摩擦鋼鈑を用いるか否かに拘わらず、一方の摩擦板は、摩擦接触においては鉛直方向力発生装置で発生された鉛直方向の力により他方の摩擦板を押圧するようになっている。
【0022】
本発明の半固定装置では、鉛直方向力発生装置を下部構造物及び上部構造物のうちの一方に固定し、他方の摩擦板を下部構造物及び上部構造物のうちの他方に水平方向に関して固定してもよいのであるが、好ましくは本発明の第十一の態様の半固定装置のように、鉛直方向力発生装置は下部構造物に固定されるようになっており、他方の摩擦板は上部構造物に水平方向に関して固定されるようになっており、本発明の第十二の態様の半固定装置のように、鉛直方向力発生装置は上部構造物に固定されるようになっており、他方の摩擦板は下部構造物に水平方向に関して固定されるようになっている。
【0023】
本発明の半固定装置と共に用いられる免震装置は、ゴム板と鋼板とを積層してなる積層ゴムであっても、滑りを用いた滑り支承又は転がり支承等のいずれであってもよいのであるが、好ましくは原点復帰機能を有する積層ゴムであって、積層ゴムを用いる場合には、免震装置は、減衰機能を付与するために、積層ゴムに埋設された鉛支柱を具備しているとよい。免震装置として滑り支承又は転がり支承等を用いる場合には、鋼棒ダンパ、粘性ダンパ等の適宜の減衰装置を併用するとよい。
【0024】
本発明の半固定装置は、減衰装置として機能させることもできるので、鉛支柱、鋼棒ダンパ、粘性ダンパ等の減衰装置を省いて免震構造物を構成してもよい。
【0025】
本発明における上部構造物としては、マンション等の集合住宅、事務所ビル、戸建住宅等、特に高層のマンション等の集合住宅、事務所ビル等を好ましい例としてあげることができるが、その他の物、例えば橋梁等であってもよい。
【0026】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例を参照して更に詳細に説明する。なお、本発明はこの例に何等限定されないのである。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1から図4において、免震構造物1は、地盤2に形成された下部構造物としての基礎3と、高層のビル等の上部構造物4と、基礎3及び上部構造物4間に介在されていると共に上部構造物4を基礎3に対して水平方向Hに免震支持する複数の免震装置5と、上部構造物4を基礎3に対して水平方向Hに関して解除自在に固定するための半固定装置6とを具備している。
【0028】
上部構造物4の鉛直方向Vの荷重を受けるようになっている各免震装置5は、ゴム板11と鋼板12とを積層した積層ゴム13と、積層ゴム13に埋設された鉛支柱14と、積層ゴム13の上面に固着された上取付板15と、積層ゴム13の下面に固着された下取付板16とを具備しており、上取付板15がボルト等を介して上部構造物4の下面17に、下取付板16がアンカーボルト等を介して基礎3の上面18に夫々固着されており、基礎3と上部構造物4との間に介在されて上部構造物4を基礎3に対して水平方向Hに免震支持している。
【0029】
半固定装置6は、基礎3及び上部構造物4のうちの一方、本例では基礎3に固定されていると共に液圧に基づいて鉛直方向Vの力を発生する鉛直方向力発生装置21と、鉛直方向力発生装置21からの鉛直方向Vの力によって鉛直方向Vに移動されると共に水平方向に関して固定された摩擦板22と、摩擦板22に摩擦接触するように基礎3及び上部構造物4のうちの他方、本例では上部構造物4にボルト等により水平方向に関して固定された摩擦板23とを具備している。
【0030】
鉛直方向力発生装置21は、制御された液圧を発生する液圧発生装置31と、液圧発生装置31からの制御された液圧を受けるようになっていると共に受容した液圧により摩擦板22を昇降させる摩擦板昇降装置32とを具備している。
【0031】
液圧発生装置31は本例では油圧ポンプ及び制御弁等を具備しており、摩擦板昇降装置32は、液体としての作動油34を収容すると共に基礎3にボルト等により固定された液体収容体35と、作動油34に生じる液圧としての油圧により鉛直方向Vに移動されるように液体収容体35に鉛直方向Vに移動自在に配されていると共に摩擦板22が上面36にボルト等により固着されている昇降部材37と、円板状部38で作動油34と昇降部材37との間に介在した袋状の弾性体39と、弾性体39に囲繞された補強部材40とを具備したフラットジャッキからなる。
【0032】
液体収容体35は、円筒部45と、円筒部45に一体的に形成された円板状の基部46とを具備しており、基部46において基礎3にボルト等により固定されており、円筒部45及び基部46には、作動油34を補強部材40の円板部47と弾性体39の円板状部38との間に対して給排する通路48が形成されている。
【0033】
昇降部材37は、鉛直軸Oの回りでA方向に回転自在であって鉛直方向Vに移動自在となるように液体収容体35の円筒部45に支持されて配されており、ゴム部材からなる弾性体39は、円板状部38に加えて、円板状部38に一体的に形成された円筒部51と、円筒部51に一体的に形成された円環板状部52とを具備しており、補強部材40は、円板部47に加えて、円板部47に一体的に形成された口金部55を具備しており、円板部47及び口金部55には、円板部47と円板状部38との間を通路48に連通させる貫通孔56が形成されており、補強部材40は、口金部55において基部46に嵌着されていると共に円板部47において弾性体39に包み込まれている。
【0034】
摩擦板昇降装置32は、液圧発生装置31からの作動油34が通路48及び貫通孔56を介して円板部47と円板状部38との間に供給されることにより、供給された作動油34の油圧により弾性体39を弾性的に膨らませて円板状部38を上昇させて、円板状部38の上昇でもって昇降部材37を介して摩擦板22を上昇させる一方、液圧発生装置31への作動油34の通路48及び貫通孔56を介する円板部47と円板状部38との間からの排出に起因する油圧により弾性体39を縮まらせて円板状部38を下降させ、円板状部38の下降でもって昇降部材37を介して摩擦板22を下降させるようになっており、而して、摩擦板昇降装置32は、昇降部材37を介して摩擦板22を昇降させるようになっており、昇降部材37は、弾性体39の円板状部38を介して作動油34の油圧を受けるようになっている。
【0035】
摩擦板22は、その上面61に凹凸62をもった高摩擦面を有した高摩擦鋼鈑からなり、摩擦板23もまた、その下面63に凹凸64をもった高摩擦面を有した高摩擦鋼鈑からなり、両摩擦板22及び23は、円板状部38の上昇でもって昇降部材37を介して摩擦板22が上昇されると、その高摩擦面同士で摩擦接触するようになっており、しかも、摩擦板22は、摩擦接触においては鉛直方向力発生装置21で発生された鉛直方向Vの力により摩擦板23を押圧するようになっている。
【0036】
凹凸62及び64は、振動に対する摩擦力の大小に関して方向性を有しないように、換言すれば水平方向におけるいずれの方向に関しても同等の高摩擦力が生じるように上面61及び下面63の夫々に形成されていることが好ましく、また、その高さhが1mmであって、そのピッチpが2mm程度のものを一例として挙げることができる。
【0037】
免震構造物1では、通常、円板状部38の上昇でもって昇降部材37を介して摩擦板22が上昇され、両摩擦板22及び23は、その高摩擦面同士で摩擦接触しており、しかも、摩擦板22は、摩擦接触においては鉛直方向力発生装置21で発生された鉛直方向Vの力により摩擦板23を押圧している。この状態で、上部構造物4に風圧が加わった場合に、それが比較的小さいと、両摩擦板22及び23の高摩擦面同士での摩擦接触により、上部構造物4は、水平方向Hに移動しないように半固定装置6を介して基礎3に固定される一方、風圧が比較的大きい場合には、両摩擦板22及び23の高摩擦面での滑りが生じて上部構造物4が水平方向Hに移動されるが、両摩擦板22及び23の高摩擦面同士での摩擦抵抗及び免震装置5の減衰機能により、上部構造物4の水平方向Hの移動が大きく抑制されると共に、強風により上部構造物4の水平方向Hの振動が生じてもそれが早期に減衰されることになる。
【0038】
両摩擦板22及び23の高摩擦面同士での摩擦接触状態で、地震が発生すると、最初は、上部構造物4が半固定装置6を介して基礎3に固定されているために基礎3の横揺れと共に上部構造物4も水平方向Hに横揺れするが、この地震により一定以上の加速度が基礎3に加わると、両摩擦板22及び23の高摩擦面での滑りが生じて上部構造物4が水平方向Hに移動され、上部構造物4の半固定装置6を介する基礎3への固定が解除されることになり、免震装置5を介して基礎3に支持された上部構造物4は免震装置5の免震機能及び減衰機能並びに半固定装置6の減衰機能により、その横揺れが低減されて速やかに減衰される。
【0039】
強風が止んだ場合又は地震が発生した場合に、図5に示すように、液圧発生装置31を作動させて、円板部47と円板状部38との間から通路48及び貫通孔56を介して作動油34を排出し、この排出に起因する円板部47と円板状部38との間での油圧減少により弾性体39をその弾性力でもって縮まらせて円板状部38を下降させて、円板状部38の下降でもって昇降部材37を介して摩擦板22を下降させ、これにより摩擦板23から摩擦板22を離反させて摩擦板23と摩擦板22との間に隙間を形成し、両摩擦板22及び23の摩擦接触を介する上部構造物4の基礎3への水平方向に関する固定を解除してもよく、この場合には、地震による上部構造物4の水平方向の振動は、専ら免震装置5の減衰機能により減衰されることになる。
【0040】
以上のように半固定装置6では、摩擦板22と摩擦板23との摩擦力により、風により移動しないように又は風により大きく振動しないようにすると共に風による振動を早期に減衰させることができるように上部構造物4を基礎3に対して水平方向に関して半固定でき、しかも、鉛直方向力発生装置21により免震装置5の本来の免震機能を阻害しないような摩擦力に容易に調節、設定できる上に、必要に応じて摩擦力を制御することができ、加えて、油圧の加減を行うだけで摩擦力を長期に亘って所望の値に維持できるために保守費用を大幅に低減できる。
【0041】
半固定装置6においては、弾性体39を具備しているために、摩擦板22を摩擦板23へ弾性的に摩擦接触させる結果、多少の油圧の変動を補償することができる。
【0042】
半固定装置6は、一個でもよいが、上部構造物4に加わる風圧との関係で二個以上設けてもよい。
【0043】
摩擦板昇降装置32としては、上記のようなフラットジャッキに代えて、図6及び図7に示すようなフラットジャッキを用いてもよい。図6及び図7に示す摩擦板昇降装置32は、基礎3にボルト等により固定された基台71と、基台71に載置されていると共に内部73に供給される作動油34に生じる液圧としての油圧で膨らむ中空の円板状の可撓体72と、可撓体72の膨らみにより鉛直方向Vに移動されるように可撓体72に載置されていると共に摩擦板22が上面36にボルト等により固着されている昇降部材37とを具備している。フラットジャッキ本体である袋状の可撓体72は、可撓性の中空扁平円盤状部75と、中空扁平円盤状部75の周りに一体的に形成されていると共に内部が中空扁平円盤状部75の内部に連通した中空環状部76とを具備しており、中空環状部76の内部に液圧発生装置31から導管77を介して供給された作動油34の油圧により中空扁平円盤状部75を膨らませて昇降部材37を上昇させて、昇降部材37を介して摩擦板22を上昇させる一方、液圧発生装置31への作動油34の導管77を介する中空環状部76の内部からの排出に起因する油圧により中空扁平円盤状部75を縮まらせて昇降部材37を下降させ、昇降部材37を介して摩擦板22を下降させるようになっている。
【0044】
斯かる可撓体72を具備した摩擦板昇降装置32を用いると、構成を極めて簡単にできてコスト削減を計り得る。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、下部構造物上に免震装置を介して支持された上部構造物を、風により振動しない又は風により大きく振動しないようにすると共に風による振動を早期に減衰させることができるように摩擦力によって水平方向に関して半固定でき、しかも、免震装置の本来の免震機能を阻害しないような摩擦力に容易に調節、設定できる上に、必要に応じて摩擦力を制御することができ、加えて、保守費用を大幅に低減できる免震構造物の半固定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の一例の正面図である。
【図2】図1に示す例の半固定装置の断面説明図である。
【図3】図1の例の半固定装置の平面説明図である。
【図4】図1の例の半固定装置の一部拡大説明図である。
【図5】図1の例の半固定装置の動作説明図である。
【図6】本発明の好ましい実施の形態の他の例の断面説明図である。
【図7】図6に示す可撓体の平面図である。
【符号の説明】
3 基礎
4 上部構造物
6 半固定装置
21 鉛直方向力発生装置
22、23 摩擦板
Claims (11)
- 下部構造物と上部構造物との間に介在された免震装置により下部構造物に対して水平方向に免震支持される上部構造物を下部構造物に対して水平方向に関して解除自在に固定するための半固定装置であって、下部構造物及び上部構造物のうちの一方に固定されると共に液圧に基づいて鉛直方向の力を発生する鉛直方向力発生装置と、この鉛直方向力発生装置からの鉛直方向の力によって鉛直方向に移動されると共に水平方向に関して固定された一方の摩擦板と、この一方の摩擦板に摩擦接触するように下部構造物及び上部構造物のうちの他方に水平方向に関して固定される他方の摩擦板とを具備しており、鉛直方向力発生装置は、液圧により一方の摩擦板を昇降させる摩擦板昇降装置を具備しており、この摩擦板昇降装置は、液体を収容すると共に下部構造物及び上部構造物のうちの一方に固定される液体収容体と、液体に生じる液圧により鉛直方向に移動されるように液体収容体に配されていると共に一方の摩擦板が固着されている昇降部材と、液体と昇降部材との間に介在される弾性体とを具備しており、弾性体を介して液圧を受けるようになっている昇降部材を介して一方の摩擦板を昇降させるようになっている免震構造物の半固定装置。
- 摩擦板昇降装置は、油圧ジャッキからなる請求項1に記載の免震構造物の半固定装置。
- 弾性体は、ゴム部材からなる請求項1又は2に記載の免震構造物の半固定装置。
- 鉛直方向力発生装置は、制御された液圧を発生する液圧発生装置を具備しており、摩擦板昇降装置は、液圧発生装置からの制御された液圧を受けるようになっている請求項1から3のいずれか一項に記載の免震構造物の半固定装置。
- 昇降部材は、鉛直軸の回りで回転自在となるように液体収容体に配されている請求項1から4のいずれか一項に記載の免震構造物の半固定装置。
- 一方の摩擦板は、摩擦接触において鉛直方向力発生装置で発生された鉛直方向の力により他方の摩擦板を押圧するようになっている請求項1から5のいずれか一項に記載の免震構造物の半固定装置。
- 鉛直方向力発生装置は下部構造物に固定されるようになっており、他方の摩擦板は上部構造物に水平方向に関して固定されるようになっている請求項1から6のいずれか一項に記載の免震構造物の半固定装置。
- 鉛直方向力発生装置は上部構造物に固定されるようになっており、他方の摩擦板は下部構造物に水平方向に関して固定されるようになっている請求項1から6のいずれか一項に記載の免震構造物の半固定装置。
- 下部構造物と、上部構造物と、下部構造物及び上部構造物間に介在されていると共に上部構造物を下部構造物に対して水平方向に免震支持する免震装置と、請求項1から8のいずれか一項に記載の半固定装置とを具備した免震構造物。
- 免震装置は、ゴム板と鋼板とを積層してなる積層ゴムを具備している請求項9に記載の免震構造物。
- 免震装置は、積層ゴムに埋設された鉛支柱を具備している請求項10に記載の免震構造物。
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