JP2004052893A - 軽量構造物用免震装置 - Google Patents

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須賀 健
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Abstract

【課題】軽量構造物を水平方向に移動させるための力を調整可能な軽量構造物用免震装置を得る。
【解決手段】すべり支承104は、鉄骨架台108に固定されるシリンダー116を有しており、シリンダー116内に充填された流体128A、128Bの量を、バルブ138の開閉によって調整することで、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を調整できる。これにより、すべり板122とすべり受け板112とのすべり力も調整できる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量構造物用免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
支持部材に対し、軽量構造物(被支持部材)を免震して支持する免震装置が知られている。このような免震装置では、支持部材上の支承によって上部構造物が支持されると共に、支持部材と上部構造物とが水平方向に相対移動可能とされている。さらに、支持部材と上部構造物との間には、これらの相対移動によって弾性変形する復元部材が配置されている。地震が発生すると、支持部材と上部構造物とが水平方向に相対移動するが、復元部材の弾性力によってこの相対移動が抵抗を受け、復元力が作用するため、相対移動のエネルギーが吸収される。
【0003】
上記の支承としては、たとえば、受け板に沿って転動球が転がる転がり支承や、受け板に沿って移動部材が滑って移動するすべり支承などが用いられている。しかしながら、これらの支承では、受け板と転動球や移動部材の摩擦力の調整が難しい。たとえば、転がり支承の場合には、受け板と転動球との転がり摩擦が小さいために、小さな地震や弱い風で水平方向に弱い力が作用した場合でも、軽量構造物が水平方向に移動してしまうおそれがある。すべり支承の場合には、受け板と移動部材とのすべり摩擦が比較的大きく、しかもこの摩擦力を調整できるので、このような不都合を解消することが可能であるが、摩擦力を一定に管理することが難しい。したがって、軽量構造物に対するすべり力(水平方向に移動させるための力)も不用意に変化してしまうことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、軽量構造物を水平方向に移動させるための力を調整可能な軽量構造物用免震装置を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、支持部材上に設置されて軽量構造物を支持すると共に、支持部材と軽量構造物とを水平方向に相対移動可能とする支承と、前記支持部材と前記軽量構造物との間に配置され、これらの水平方向への相対移動によって弾性変形する変形部材と、を備え、前記支承が、受け板と、前記受け板と接触しつつ受け板に沿って移動する移動部材と、前記受け板又は移動部材の少なくとも一方と、これに対応する軽量構造物又は支持部材との間に配置され、受け板と移動部材との接触圧力を調整可能な圧力調整手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
なお、ここでいう「支持部材」とは、支承を介して軽量構造物を支持するものであればよく、例えば、一般的な戸建住宅の基礎、土台、地盤等を含む。また、「軽量構造物」としては、例えば、戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント、実験設備等の諸設備、実験装置等の諸装置などが挙げられる。これらの軽量構造物の重量としては、200トン以下が好ましく、100トン以下がより好ましい。軽量構造物の設置面積としては、500m以下が好ましく、300m以下がより好ましい。
【0007】
本発明では、支持部材上で軽量構造物を支持する支承が、受け板と、受け板と接触しつつ受け板に沿って移動する移動部材と、を有しており、これによって支持部材と軽量構造物とを水平方向に相対移動可能としている。したがって、地震等によって横揺れ(水平方向の揺れ)が発生しても、軽量構造物と支持部材との相対移動により、この揺れが直接的には軽量構造物に伝わらなくなる。支持部材と軽量構造物との間には変形部材が配置されているので、軽量構造物と支持部材との相対移動で変形部材が弾性変形し、弾性力が復元力として作用する。これにより、相対移動が制限されるとともに、このエネルギーが吸収される。
【0008】
支承の受け板又は移動部材の少なくとも一方と、これに対応する軽量構造物又は支持部材との間には圧力調整手段が備えられており、受け板と移動部材との接触圧力を調整できるようになっている。したがって、たとえば受け板と移動部材との摩擦係数が一定であっても、これらを接触状態で移動させるために必要な力を調整することができる。これにより、軽量構造物を水平方向に移動させるために必要な力を調整することが可能になる。たとえば、受け板と移動部材との接触圧力を多くすることで、小さな力で不用意に軽量構造物が移動しないようにすることができる。
【0009】
請求項1に記載の発明において、「支承」としては、このような要件を満たしていれば限定されないが、たとえば、受け板上を摩擦板(移動部材)がすべるすべり支承や、受け板上を転動球が転動する転がり支承とすることができる。特にすべり支承は、受け板と摩擦板との接触圧力を調整することで、これらのすべり力を効果的に調整できるので、好ましい。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記圧力調整手段が、流体が収容されたシリンダーと、前記シリンダー内の流体によって圧力を発揮するピストンと、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0011】
このようにシリンダーとピストンとを備えた簡単な構成で、受け板と移動部材との接触圧力を調整することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記シリンダー内の流体の量を調整可能な流体量調整手段、を有することを特徴とする。
【0013】
すなわち、流体量調整手段によってシリンダー内の流体の量を調整することで、受け板と移動部材との接触圧力を容易に調整することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記シリンダー及び前記ピストンが、シリンダー内の流体を密封する密封構造とされていることを特徴とする。
【0015】
シリンダー内の流体は密封されているので、この流体が温度上昇に応じて膨張すると、受け板と移動部材との接触圧力が大きくなる。逆に、流体が温度降下によって収縮すると、受け板と移動部材との接触圧力が小さくなる。受け板と移動部材との摩擦係数は、温度上昇に伴って小さくなることが多いが、このような場合に受け板と移動部材との接触圧力が大きくなるので、受け板と移動部材とのすべり力を一定範囲内に維持することができる。また、受け板と移動部材との摩擦係数が温度降下に伴って大きくなった場合には、受け板と移動部材との接触圧力が小さくなるので、受け板と移動部材とのすべり力を一定範囲内に維持することができる。しかも、シリンダー及びピストンによってシリンダー内の流体を密封するだけなので、構造が複雑になることもない。
【0016】
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記圧力調整手段が、前記受け板又は前記移動部材の少なくとも一方と、これに対応する軽量構造物又は支持部材との間に配置され、受け板と移動部材との接触面の法線方向に熱膨張する熱膨張部材、を含んで構成されていることを特徴とする。
【0017】
熱膨張部材は、受け板又は移動部材の少なくとも一方と、これに対応する軽量構造物又は支持部材との間に配置されており、受け板と移動部材との接触面の法線方向に熱膨張すると、この力によって受け板と移動部材との接触圧力が大きくなる。逆に、熱膨張部材が温度降下によって収縮すると、受け板と移動部材との接触圧力が小さくなる。受け板と移動部材との摩擦係数が温度上昇に伴って小さくなった場合に受け板と移動部材との接触圧力が大きくなるので、受け板と移動部材とのすべり力を一定範囲内に維持することができる。また、受け板と移動部材との摩擦係数が温度降下に伴って大きくなった場合には、受け板と移動部材との接触圧力が小さくなるので、受け板と移動部材とのすべり力を一定範囲内に維持することができる。しかも、熱膨張部材を配置するだけなので、構造が複雑になることもない。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置102を、支持部材の一例である建物基礎106と、軽量構造物の一例である戸建住宅の鉄骨架台108(あるいはPC板)との間に配置した状態が示されている。軽量構造物用免震装置102は、すべり支承104と、復元部材110とで構成されている。
【0019】
すべり支承104は、建物基礎106の台部106B上に固定されるすべり受け板112を有している。すべり受け板112の上面はすべり面112Sとされている。台部106Bの上面は平坦に形成されており、これによって、すべり受け板112(特に、すべり面112S)の平面性が確保されている。
【0020】
また、すべり支承104は、ボルト114によって鉄骨架台108に固定されるシリンダー116を有している。シリンダー116内には、上下方向に移動可能にピストン124が配置され、ピストン124から下方にロッド126が延出されている。ロッド126は、シリンダー116の底面を貫通しており、その下端に、ゴム等の弾性体からなる緩衝部材120を介して、すべり板122が固着されている。すべり板122はすべり受け板112とは接触しており、すべり板122はすべり面112S上をすべるようになっている。なお、すべり板122とすべり受け板112との間には、塗膜で構成される摺動材が配設され、これらの動摩擦係数を所定の範囲としている。さらに、すべり受け板112のすべり面112Sには、必要に応じて、ワックス等の潤滑剤を塗布し、上記動摩擦係数が所定の数値となるように調整される。
【0021】
シリンダー116内には、ピストン124の上方及び下方にそれぞれ、流体128A、128Bが充填されている。シリンダー116の上端近傍及び下端近傍には配管130が接続されており、バルブ138を介して、図示しない流体供給装置に接続されている。バルブ138を開閉することで(あるいは開度を調整することで)、シリンダー116内の流体の量を調整することができる。なお、配管130には、必要に応じて圧力計140が設けられており、流体128Aの供給圧力を知ることができるようになっている。
【0022】
そして、ピストン124の上方の流体128Aの量を多くし、下方の流体128Bの量を少なくすることで、ロッド126、緩衝部材120を介してすべり板122に作用する下方への押圧力を大きくし、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を大きくすることができるようになっている。この逆に、ピストン124の上方の流体128Aの量を少なくし、下方の流体128Bの量を多くすることで、ロッド126、緩衝部材120を介してすべり板122に作用する下方への押圧力を小さくし、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を小さくすることもできる。
【0023】
これに対し、復元部材110は、円盤状の下フランジ132と、下フランジ132の中央から立設された略円柱状のゴム体136、及びゴム体136の上面に固定された円盤状の上フランジ(図示省略)と、を有している。下フランジ132は、その周囲のボルト114によって台部106Bに固定されている。上フランジ134も、ボルト114によって、鉄骨架台108に固定されている。
【0024】
ゴム体136は、一定サイズに形成され、厚み方向に所定の間隙をあけて積層された複数の金属板142と、これらの間隙に配置されたゴム層144を備えている。ゴム層144を構成するゴムは、さらに、金属板142及び上フランジ134の縁部を取り囲むように周囲に配置されて、ゴム壁146とされており、これらを側方から覆っている。これにより、ゴム層144は紫外線等から保護され、その耐久性が向上されている。ゴム層144及びゴム壁146の具体的材料としては、たとえば、EPDMなどの合成ゴムを挙げることができる。
【0025】
なお、すべり支承104及び復元部材110の数及び位置は、それぞれに求められる作用を果たすことが可能であれば特に限定されない。また、すべり支承104と復元部材110の数が一致している必要もない。また、すべり支承104及び復元部材110を構成している各部材を固定する構造も、特に限定されない。たとえば、上記したボルト114やネジなどの係止部材を用いてもよいが、接着剤等による接着や、物理的な嵌合が可能である場合には、これらの方法でもよい。
【0026】
このような構成とされた第1実施形態の軽量構造物用免震装置102では、すべり支承104が、建物基礎106上で、戸建住宅の鉄骨架台108を支持している。すべり支承104は、すべり受け板112のすべり面112Sに対してすべり板122がすべるので、たとえば、地震等によって建物基礎106に横揺れが発生したような場合でも、この揺れは鉄骨架台108へ直接的には伝わらなくなる。特に、シリンダー116とすべり板122との間には、ゴム等の弾性体からなる緩衝部材120が介在されているので、たとえば、すべり支承104に偏荷重が作用した場合でも、すべり面112Sと、すべり板122の対向面(下面)とが平行に保たれる。
【0027】
しかも、本実施形態では、シリンダー116内の流体の量を調整することで、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を調整し、これらをすべらせるために必要な力(すべり力)を調整することができる。したがって、たとえば、ピストン124の上方の流体128Aの量を多くし、下方の流体128Bの量を少なくして、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を大きくすることで、これらのすべり力を大きくし、小さな地震や強風でも鉄骨架台108、すなわち戸建住宅が不用意に動いてしまうことを防止できる。
【0028】
また、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力が大きすぎる場合には、これらのすべり力も大きくなるので、地震時に建物基礎106と戸建住宅との水平方向への相対移動が制限されてしまうおそれがある。このような場合には、ピストン124の上方の流体128Aの量を少なくし、下方の流体128Bの量を多くして、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を小さくすれば、これらのすべり力も小さくなり、建物基礎106と戸建住宅との水平方向への相対移動が不用意に制限されなくなる。
【0029】
建物基礎106と鉄骨架台108とが水平方向に相対移動すると、復元部材110のゴム体136がせん断変形し、その弾性力が、建物基礎106及び鉄骨架台108に対し復元力として作用する。これにより、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動が制限されて、これらが相対移動前の位置に戻ろうとすると共に、相対移動のエネルギーが吸収される。
【0030】
図2には、本発明の第2実施形態の軽量構造物用免震装置152が示されている。第2実施形態の軽量構造物用免震装置152において、第1実施形態の軽量構造物用免震装置102と同一の構成要素、部材等については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0031】
第2実施形態では、第1実施形態と比較して、すべり支承154のシリンダー156内に、熱によって膨張する流体158(たとえば空気)が充填され、密封されている。また、シリンダー156の底部には開放孔160が形成されており、ピストン124よりも下側の流体は、ピストン124に力を作用させないようになっている。したがって、ピストン124は、その上側で密封された流体158のみから圧力を受けている。これ以外は、第1実施形態と同一構成とされている。
【0032】
したがって、第2実施形態の軽量構造物用免震装置152では、周囲の気温の上昇によって流体158の温度が上昇すると、流体158が膨張し、ピストン124をより強く下方へ押す。このため、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力が大きくなる。逆に、周囲の気温の降下によって流体158の温度が降下すると、流体158が収縮し、ピストン124を下方へ押す力が小さくなる。このため、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力が小さくなる。すべり板122とすべり受け板112との摩擦係数は、気温上昇時には潤滑剤(ワックス)の粘度低下等に起因して小さくなることが多いが、上記したように、気温上昇時にはすべり板122とすべり受け板112との接触圧力が大きくなっているので、これらのすべり力の低下を一定範囲内に抑えられる。逆に、すべり板122とすべり受け板112との摩擦係数は、気温上昇時には小さくなることが多いが、気温降下時には、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力が大きくなっているので、同様に、これらのすべり力の増大を一定範囲内に抑えられる。
【0033】
このように、第2実施形態の軽量構造物用免震装置152では、周囲の気温の変化によってすべり板122とすべり受け板112との摩擦係数が変化しても、すべり板122とすべり受け板112とのすべり力の変化を一定範囲内の抑えることができる。したがって、気温が高いときに小さな地震や風で鉄骨架台108、すなわち戸建住宅が不用意に動いてしまうことを防止できる。また、気温が低いときに、建物基礎106と戸建住宅との水平方向への相対移動が不用意に制限されることもなくなる。
【0034】
しかも、第2実施形態では、シリンダー156とピストン124との間に、熱膨張する流体を密封するだけであり、他の部材等を必要としないので、構造が複雑になることもない。
【0035】
なお、第2実施形態で使用した熱膨張する気体(空気など)を、第1実施形態の流体として使用することも可能であるが、第1実施形態の場合には、むしろ気温が変化してもすべり板122とすべり受け板112との接触圧力を一定範囲内に維持することが好ましい場合もある。したがって、この場合には、第1実施形態の流体として、熱膨張係数の小さい液体等を使用することが好ましく、とくに、例えば水道水は低コストで調達でき、圧力の調整も容易なので好ましい。第1実施形態および第2実施形態の双方とも、流体をしようしているので、たとえば支承に衝撃力が作用した場合には摩擦ダンパーとして機能し、減衰性能を発揮させることもできる。
【0036】
このように熱膨張する部材あるいは材料としては、上記した流体のなかでも、熱膨張率が一定である気体が好ましく、とくに、空気は低コストで調達できるのでより好ましい。もちろん、温度変化に伴うすべり板122とすべり受け板112との接触部分の性状変化(特に摩擦係数の変化)に対応して、これらの接触圧力を調整できるように熱膨張するものであれば、特に限定されない。
【0037】
図3には、この条件を満たす他の例として、固体材料を使用した本発明の第3実施形態の軽量構造物用免震装置172が示されている。
【0038】
すなわち、この軽量構造物用免震装置172のすべり支承174では、建物基礎106に固定された上プレート176と、ロッド126の上端の下プレート178(第1実施形態及び第2実施形態のピストン124に相当)と、の間に、熱膨張する固体材料180が配置されて、上プレート176及び下プレート178に固着されている。また、気体を密封する必要がないので、第2実施形態のシリンダー156は設けられていない。
【0039】
このような構造とされた第3実施形態の軽量構造物用免震装置172においても、第2実施形態の軽量構造物用免震装置152と同様、周囲の気温の変化によってすべり板122とすべり受け板112との摩擦係数が変化した場合に、固体材料180が膨張又は収縮し、すべり板122とすべり受け板112とのすべり力の変化を一定範囲内に抑えることができる。しかも、上プレート176と下プレート178との間に、熱膨張する固体材料180を配置するだけであり、他の部材等を必要としないので、構造が複雑になることもない。
【0040】
このように、本発明の熱膨張部材としては、温度変化によって熱膨張する材料であれば特に限定されない。但し、軽量構造物の主要材料(鉄鋼の場合が多い)よりも膨張しやすい材料とすれば、軽量構造物の主要材料による熱膨張の影響を小さくして、より確実に本発明の効果を奏するので、好ましい。したがって、熱膨張率の条件を満たす材料のなかから、他の要件や入手の容易さ、コストなどを考慮して選択すればよい、
表1には、本発明において適用可能な熱膨張部材と、これらの線膨張係数あるいは対膨張係数の値の例が示されている。
【0041】
【表1】
Figure 2004052893
この表から分かるように、材料によって線膨張係数や体膨張係数が異なっているので、適切な材料を選択して使用すればよい。
【0042】
なお、この表にも示したように、一般に固体材料は単体で使用することが可能であり、これによってコスト上昇を防止できるので好ましい。ただし、たとえばゴム、ポリエチレン、樹脂などは、材料自体の剛性が低い場合があるので、この場合には、図2に示すようなシリンダー156等に挿入して使用することが好ましい。このようにシリンダーに挿入して使用する場合には、これら材料の体膨張係数を主に利用することになる(これに対し、単体で使用する場合には、線膨張係数を主に利用することになる)。
【0043】
上記説明では、本発明の支承としてすべり支承104を例に挙げたが、支承はこれに限定されない。たとえば、受け板上を転動球が転動するように構成された転がり支承であっても、本発明の構成を採用することで、受け板上で転動球を転がすために必要な力(転がり力)を調整できる。ただし、一般的に転がり支承の転がり力は、第1〜第3実施形態で挙げたすべり支承のすべり力よりも小さいので、これを解消する部材を設けることが好ましい。
【0044】
各実施形態において、すべり支承を採用する場合のすべり受け板112やすべり板122の材料としては、これらに作用させることが可能な接触圧力との関係などを考慮し、適切な摩擦性能や摩擦力が得られるように選択することができる。たとえば、車両用のディスクブレーキ等に用いられているディスクローター及びブレーキパッドと同一の材料やゴム等を挙げることができる。
【0045】
また、上記説明では、本発明の圧力調整手段が、すべり板122(移動部材)と軽量構造物(鉄骨架台108)の間に配置されているものを例に挙げたが、圧力調整手段の位置は、すべり板122とすべり受け板112との接触圧力を調整可能な位置であれば特に限定されない。たとえば、すべり板122を鉄骨架台108に固定すると共にすべり受け板112と建物基礎106(支持部材)との間に圧力調整手段を配置してもよい。
【0046】
また、本発明の支承としては、図1〜図3に示したものと上下を逆にしたものでもよい。このような上下が逆の支承の場合には、建物基礎106とすべり板112との間、あるいは鉄骨架台106とすべり受け板112との間に、圧力調整手段を配置することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、軽量構造物を水平方向に移動させるための力を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置を示す正面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の軽量構造物用免震装置を示す正面図である。
【図3】本発明の第3実施形態の軽量構造物用免震装置を示す正面図である。
【符号の説明】
102  軽量構造物用免震装置
104  すべり支承(支承)
106  建物基礎(支持部材)
108  鉄骨架台(軽量構造物)
110  復元部材(変形部材)
112  すべり受け板(受け板)
116  シリンダー
122  すべり板(移動部材)
124  ピストン
128A 流体
128B 流体
136  ゴム体(変形部材)
152  軽量構造物用免震装置
130  配管(流体量調整手段)
138  バルブ(流体量調整手段)
152  軽量構造物用免震装置
154  すべり支承(支承)
156  シリンダー
158  流体
172  軽量構造物用免震装置
174  すべり支承(支承)
180  固体材料(熱膨張部材)

Claims (5)

  1. 支持部材上に設置されて軽量構造物を支持すると共に、支持部材と軽量構造物とを水平方向に相対移動可能とする支承と、
    前記支持部材と前記軽量構造物との間に配置され、これらの水平方向への相対移動によって弾性変形する変形部材と、
    を備え、
    前記支承が、
    受け板と、
    前記受け板と接触しつつ受け板に沿って移動する移動部材と、
    前記受け板又は移動部材の少なくとも一方と、これに対応する軽量構造物又は支持部材との間に配置され、受け板と移動部材との接触圧力を調整可能な圧力調整手段と、
    を有することを特徴とする軽量構造物用免震装置。
  2. 前記圧力調整手段が、
    流体が収容されたシリンダーと、
    前記シリンダー内の流体によって圧力を発揮するピストンと、
    を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の軽量構造物用免震装置。
  3. 前記シリンダー内の流体の量を調整可能な流体量調整手段、
    を有することを特徴とする請求項2に記載の軽量構造物用免震装置。
  4. 前記シリンダー及び前記ピストンが、シリンダー内の流体を密封する密封構造とされていることを特徴とする請求項2に記載の軽量構造物用免震装置。
  5. 前記圧力調整手段が、前記受け板又は前記移動部材の少なくとも一方と、これに対応する軽量構造物又は支持部材との間に配置され、受け板と移動部材との接触面の法線方向に熱膨張する熱膨張部材、
    を含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の軽量構造物用免震装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004263430A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Oiles Ind Co Ltd 免震構造物の半固定装置
JP2006241784A (ja) * 2005-03-02 2006-09-14 Ohbayashi Corp 建物の制震構造
JP2011032863A (ja) * 2010-10-15 2011-02-17 Ohbayashi Corp 建物の制震構造
CN106284677A (zh) * 2016-08-24 2017-01-04 安徽瑶海钢构建设集团股份有限公司 一种用于连廊上的钢架结构
CN111321813A (zh) * 2020-04-07 2020-06-23 钟建敏 一种双向滑移连接支座
CN112942077A (zh) * 2021-02-03 2021-06-11 中国地震局工程力学研究所 一种滑动摇摆桥墩体系和摇摆墩顶构造

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