JP2004060795A - 軽量構造物用免震装置 - Google Patents

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Nobuo Masaki
正木 信男
Sadamitsu Takeuchi
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Abstract

【課題】低コストで構成でき、しかも、支持部材軽量構造物との相対移動を一定範囲に制限して、確実にエネルギー吸収できる軽量構造物用免震装置を得る。
【解決手段】軽量構造物用免震装置102は、転がり支承104と、復元部材110、及びダンパー142とを含んで構成される。建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動に対し、復元部材110だけでなく、ダンパー142によっても抵抗を生じさせて、この相対移動を一定範囲に制限すると共に、エネルギー吸収する。転がり支承104の転がり面112Sを高精度ですり鉢状あるいは椀状に加工する必要がなく平面状にできるので、低コストとなる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量構造物用免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
支持部材に対し、軽量構造物(被支持部材)を免震して支持する免震装置が知られている。図9〜図11には、このような免震装置の一例が示されている。
【0003】
この免震装置12では、図9(A)及び(B)に示すように、基礎14上で、鉛直支持機構18によって上部構造体16が支持されており、復元・減衰機構20によって、水平方向の復元力と減衰の双方が付与されるようになっている。
【0004】
図10にも示すように、鉛直支持機構18は、基礎14上に載置される下板22と、この上面を転がる球状の転動体24と、多数の小球26を介して上部構造体の鉛直荷重を球状の転動体24に伝達する枠体28と、この枠体28と上部構造体16との間に介挿される上板30とで主要部が構成されている(いわゆる転がり支承)。また、復元・減衰機構20は、弾性円柱体32の両端面に鋼鈑34が接着され、弾性円柱体32の中心軸位置には、芯材36が埋め込まれ、さらに、弾性円柱体32内には水平方向に複数の金属補強材38が埋設されている。この免震装置12では、鉛直支持機構18によって鉛直方向の荷重は支持されている。したがって、復元力の付与及び振動の減衰のために用いられる復元・減衰機構20では、弾性円柱体32の断面積を低減することができ、せん断変形に対する弾性定数を小さくして、上部構造体16の振動周期を長く設定することができるようになっている。
【0005】
ところで、上記のような構造の転がり支承では、上部構造体16と基礎14との水平方向の相対移動に対する抵抗が小さいので、たとえば中規模、小規模の地震等においても、上部構造体16と基礎14とを相対移動させて、免震効果を発揮することができる。
【0006】
しかし、転がり支承での下板22と転動体24との摩擦は非常に小さいので、場合によっては上部構造体16と基礎14とが過度に相対移動してしまうおそれがある。このような不都合を解消するためには、たとえば、下板22の上面を完全な平面とはせず、中心から外周に向かって次第にその高さが高くなる(たとえばすり鉢状あるいは椀状)ように形成すれば、転動体24の転がりに抵抗が生じると共に、転動体24に復元力が作用するので、上部構造体16と基礎14との相対移動を制限することができる。
【0007】
しかし、下板22を上記のように加工するには、多くのコストがかかるため、免震装置12のコストも高くなってしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、低コストで構成でき、しかも、支持部材軽量構造物との相対移動を一定範囲に制限して、確実にエネルギー吸収できる軽量構造物用免震装置を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、平面状の転がり面を備えた転がり受け板と、この転がり受け板の転がり面に接触しつつ回転する転動球と、を備え、支持部材上に設置されて軽量構造物を支持すると共に、支持部材と軽量構造物とを水平方向に相対移動可能とする転がり支承と、前記支持部材と前記軽量構造物との間に配置され、これらの水平方向への相対移動によって弾性変形する変形部材と、前記支持部材と前記軽量構造物との間に配置され、これらの水平方向への相対移動のエネルギーを吸収するダンパーと、を有することを特徴とする。
【0010】
なお、ここでいう「支持部材」とは、支承を介して軽量構造物を支持するものであればよく、例えば、一般的な戸建住宅の基礎、土台、地盤等を含む。また、「軽量構造物」としては、例えば、戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント、実験設備等の諸設備、実験装置等の諸装置などが挙げられる。これらの軽量構造物の重量としては、200トン以下が好ましく、100トン以下がより好ましい。軽量構造物の設置面積としては、500m以下が好ましく、300m以下がより好ましい。
【0011】
本発明では、転がり受け板の転がり面に転動球が接触した状態で、支持部材上に軽量構造物が支持されている。そして、転動球が、転がり受け板の転がり面に接触しつつ回転することで、支持部材と軽量構造物とが水平方向に相対移動する。したがって、地震等によって横揺れ(水平方向の揺れ)が発生しても、軽量構造物と支持部材との相対移動により、この揺れが直接的には軽量構造物に伝わらなくなる。特に、転がり支承は、たとえばすべり支承などと比較して摩擦が少ないので、中規模あるいは小規模の地震等でも支持部材と軽量構造物とを水平方向に確実に相対移動させることができる。
【0012】
支持部材と軽量構造物との間には変形部材が配置されているので、軽量構造物と支持部材との相対移動で変形部材が弾性変形し、弾性力が復元力として作用する。これにより、相対移動が制限されるとともに、この相対移動のエネルギーが吸収される。
【0013】
さらに、支持部材と軽量構造物との間にはダンパーが配置されており、支持部材と軽量構造物との相対移動のエネルギーが吸収されるようになっている。ダンパーにより、支持部材と軽量構造物との相対移動が抑制されるので、これらが過度に移動してしまうことがない。特に、本発明のように、転がり支承の転がり面を平面状に形成した場合であっても、支持部材と軽量構造物との相対移動を一定範囲に制限することが可能になる。
【0014】
このように、転がり面を平面状とすることでコストの上昇を抑えると共に、ダンパーを配置することで、支持部材と軽量構造物との相対移動を一定範囲に制限してエネルギー吸収し、高い免震効果を発揮することができる。
【0015】
ところで、支持部材と軽量構造物との相対移動は、単に平行移動(スライド)するだけでなく、場合によっては、鉛直線まわりの回転運動を伴うことがある。この回転運動は、軽量構造物を鉛直方向に見たときの重心又はその近傍を中心として生じることが多い。この場合に、軽量構造物の重心からの辺部までの距離が極大値をとる極大部において、回転運動での相対移動の変位量も極大になる。したがって、請求項2に記載のように、ダンパーをこの極大部又はその近傍に配置した構成を採用すると、支持部材と軽量構造物とが回転運動をしたときに、そのエネルギーを確実に吸収して減衰させ、回転運動を一定範囲に抑制することが可能となる。
【0016】
また、請求項3に記載のように、変形部材をこの極大部又はその近傍に配置した構成を採用してもよい。この構成では、変形部材を確実に変形させることでより大きな弾性力を発揮させ、その弾性力を復元力として支持部材及び軽量構造物に作用させることが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記変形部材が、前記相対移動による変形量の増大に伴って弾性率が大きくなる非線型特性を有していることを特徴とする。
【0018】
したがって、支持部材と軽量構造物との相対移動の移動量が多くなると、変形部材の変形量も増大する。変形部材は非線型特性を有しており、支持部材と軽量構造物との相対移動の移動量に比例した弾性力以上の弾性力をこれらに作用させるので、相対移動をより確実に一定範囲に制限できるようになる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記変形部材の変形部が、弾性を有する材料のみで構成されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、変形部材を低コストで構成できるので、軽量構造物用免震免震装置としても低コストとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置102を、支持部材の一例である建物基礎106と、軽量構造物の一例である戸建住宅の鉄骨架台108(あるいはPC板)との間に配置した状態が示されている。軽量構造物用免震装置102は、転がり支承104と、復元部材110、及びダンパー142とを含んで構成されている。
【0022】
図2にも詳細に示すように、転がり支承104は、建物基礎106の台部106B上に固定される転がり受け板112を有している。転がり受け板112の上面は、平面状の転がり面112Sとされている。台部106Bの上面は平坦に形成されており、これによって、転がり受け板112(特に、転がり面112S)の平面性が確保されている。
【0023】
また、転がり支承104は、ボルト114によって鉄骨架台108に固定されるホルダー116を有している。ホルダー116の下面には凹部116Dが形成されており、この凹部116D内に、転動球118がその略下半分を露出して収容されている。ホルダー116と転がり受け板112とは非接触となっているが、複数の小球124の一部は、転動球118に接触しており、転動球118は転がり面112S上を転がるようになっている。
【0024】
凹部116Dと転動球118との間には、小球収容部120が形成されており、この小球収容部120に、複数の小球124が収容されている。端部の小球124Eと小球収容部120との間には隙間120Dが構成されており、小球124が小球収容部120内で移動可能とされている。転動球118が凹部116D内で回転すると、これに伴って小球124も回転しつつ小球収容部120内を移動する。これにより、転動球118の回転の抵抗が低減される。
【0025】
転動球118としては、その材質がSUJ2、直径が50〜80mm程度のものを挙げることができる。転がり受け板112としては、その材質がSCM440、直径が500〜1000mm程度のものを挙げることができる。転がり受け板112の転がり面112Sの硬度(HRC)は、転動球118が不用意に沈み込まないようにするために、60以上とすることが好ましい。
【0026】
転がり受け板112の外周からは、環状の制限壁126が立設されている。制限壁126は、転動球122の移動範囲を転がり面112S上に制限している。
【0027】
ホルダー116には、防塵カバー128が取り付けられている。防塵カバー128は、その外周が、制限壁126よりも外側に位置する大きさとされている。これにより、転がり受け板112が防塵カバー128によって覆われるので、転がり面112Sへの埃などの異物の付着あるいは雨水の浸入等が防止されている。
【0028】
復元部材110は、図3に詳細に示すように、円盤状の下フランジ132と、下フランジ132の中央から立設された略円柱状のゴム体136、及びゴム体136の上面に固定された円盤状の上フランジ134と、を有している。下フランジ132は、その周囲のボルト114によって台部106Bに固定されている。上フランジ134も、ボルト114によって、鉄骨架台108に固定されている。
【0029】
ゴム体136は、復元部材110が実質的に変形する部分、すなわち、本発明における変形部となっている。図3から分かるように、ゴム体136はゴムのみによって略円柱状に形成されており、その内部に金属板等の弾性を有さない材料は含まない構造とされている。
【0030】
ゴム体136の下部は、下方へ向かってその径が漸増されており、円錐台状の拡径部136Dが構成されている。拡径部136Dにより、ゴム体136の曲げ変形が抑制される。
【0031】
ゴム体136を構成するゴムとしては、たとえば、国際ゴム硬さ(IRHD)が40〜60のもの、具体的には、天然ゴムや高減衰ゴム(損失係数(ゴムに作用する応力とひずみの位相差をδとしたときにtanδで表される))0.1〜0.6)を挙げることができる。
【0032】
ゴム体136及び上フランジ134の周囲には、被覆ゴム138が被覆されている。被覆ゴム138によってゴム体136は紫外線等から保護され、ゴム体136の耐久性が向上されている。被覆ゴム138の具体的材料としては、たとえば、EPDMなどの合成ゴムを挙げることができる。
【0033】
図8には、復元部材110の水平ばね特性の一例がグラフにて示されている。このグラフの縦軸の「水平荷重」とは、復元部材110の上端(上フランジ134)と下端(下フランジ132)とに、水平方向で、且つ互いに反対方向に作用させた力(せん断力)を示し、横軸の「水平変位」は、上端と下端との水平方向の変位量を示している。したがって、曲線上の任意の点での接線の傾きが、この復元部材110の弾性率(ばね定数)を表す。
【0034】
このグラフから分かるように、本実施形態の復元部材110では、変位量が増大するにつれて、弾性率が大きくなる非線型特性を有している。すなわち、この復元部材110では、水平変位が増大すると、単にこの変位に比例した弾性力以上の弾性力を発揮する。
【0035】
ダンパー142は、図1に示すように、シリンダー144とピストン146とで構成されており、シリンダー144は取り付け部材148を介して、鉄骨架台108に取り付けられている。取り付け部材148は、鉄骨架台108に対してシリンダー144を、水平面内でこの取り付け部材148周りに回転可能としている。同様に、ピストン146も、取り付け部材150を介して、台部106Bに取り付けられており、取り付け部材148は、台部106Bに対してピストン146を、水平面内でこの取り付け部材150周りに回転可能としている。
【0036】
シリンダー144には粘性流体が封入されており、シリンダー144に対するピストン146の移動が抵抗を受けると共に、この移動のエネルギーが吸収されるようになっている。シリンダー144に対するピストン146の相対移動可能量、すなわち、ダンパー142の伸縮限界は、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動の移動量として想定される最大値よりも大きくなるように設定されている。このた、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動時に、ダンパー142が伸縮限界に達してこの相対移動が制限されてしまう、ということがないようになっている。
【0037】
ここで、図4及び図5を用いて、ダンパー142の取り付け位置について説明する。
【0038】
図4には、軽量構造物152の一例として、平面視にて略凸字状に形成されたものを挙げている。
【0039】
この軽量構造物152において、その重心CGを通る鉛直線PLと、鉛直線PLから伸びる半直線の始線SL及び動径MRを考え、軽量構造物152の辺部152Lと動径MRとが交わる点を交点CPとする。ここで、重心CG(鉛直線PL)から交点CPまでの距離Lを考えると、始線SLと動径MRとの成す角θが変化するにつれて距離Lも変化し、交点CPが軽量構造物152の角部152Cと一致しているときに、距離Lが極大値をとる。この極大値をとる部位を極大部MPと定義する(したがって、極大部MPは角部152Cと一致している)。一般に、建物基礎106と軽量構造物152とが相対移動するときには、これらが単に並行移動するだけではなく回転することがあり、この回転は、重心CGを通る鉛直線PLを回転中心として生じることが多い。したがって、建物基礎106と軽量構造物152との相対回転のみを考慮した場合には、極大部MPにおいて、相対回転に伴う相対移動量が最も多くなる。
【0040】
図5には、本実施形態に係る軽量構造物152の概略形状が平面視にて示されている。本実施形態の軽量構造物152では、平面形状が略長方形とされており、4つの角部152Cが極大部MPとなっている。そして、ダンパー142は、この角部152C(極大部MP)又はその近傍においてそれぞれ1つずつ(合計で4つ)、重心CGを中心とする周方向に沿って配置されている。
【0041】
このような構成とされた第1実施形態の軽量構造物用免震装置102では、転がり支承104が、建物基礎106上で、戸建住宅の鉄骨架台108を支持している。転がり支承104は、転がり受け板112の転がり面112Sに対して転動球122が転がるので、たとえば、地震等によって建物基礎106に横揺れが発生したような場合でも、この揺れは鉄骨架台108へ直接的には伝わらなくなる。特に、本実施形態では転がり支承104を使用しており、他の構造の支承(たとえばすべり支承など)を使用した構成と比較して、中規模あるいは小規模の地震等でも、建物基礎106と鉄骨架台108とを水平方向に確実に相対移動させることができる。
【0042】
なお、このように、中規模あるいは小規模の地震等でも建物基礎106と鉄骨架台108とを水平方向に確実に相対移動させるためには、転がり支承104の転がり摩擦係数は、0.001〜0.01の範囲とすることが好ましい。
【0043】
建物基礎106と鉄骨架台108とが相対移動すると、復元部材110のゴム体136がせん断変形し、その弾性力が、建物基礎106及び鉄骨架台108に対し復元力として作用する。これにより、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動が制限されて、これらが相対移動前の位置に戻ろうとすると共に、相対移動のエネルギーが吸収される。
【0044】
特に、本実施形態の復元部材110では、建物基礎106と鉄骨架台108との水平方向の変位量が増大するにつれて弾性率が大きくなる非線型特性を有しており、水平変位が増大すると、単にこれに比例した弾性力以上の弾性力を発揮する。したがって、建物基礎106と鉄骨架台108とを相対移動前の位置に戻す働きをより効果的に発揮する。また、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動によってダンパー142が伸縮限界に達してしまうことも、復元部材110がより大きな弾性力を作用させて建物基礎106と鉄骨架台108とを元の位置に復元させようとするので、防止可能となる。
【0045】
建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動によってダンパー142が伸縮すると、ダンパー142内の粘性流体によって、シリンダー144に対するピストン146の移動が抵抗を受けると共に、この移動のエネルギーが吸収される。これにより、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動も抵抗を受け、相対移動のエネルギーが吸収される。
【0046】
このように、本実施形態の軽量構造物用免震装置102では、建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動に対し、復元部材110だけでなく、ダンパー142によっても抵抗を生じさせて、この相対移動を一定範囲に制限すると共に、エネルギー吸収するようにしている。これにより、高い免震効果を発揮することができる。
【0047】
しかも、本実施形態では、転がり支承104自体には建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動を制限する機能を発揮させる必要がない。このため、転がり受け板112の転がり面112Sを高精度ですり鉢状あるいは椀状に加工する必要がなく平面状にできる。これにより、転がり支承104の製造コストが従来よりも低くなる。
【0048】
建物基礎106と鉄骨架台108との相対移動は、単に水平方向に平行移動(スライド)するだけでなく、これらの鉛直線周りに相対回転を伴うことがある。この相対回転は、図4に示すように、軽量構造物152の重心CGを通る鉛直線PLを中心として生じることが多いので、角部152C(極大部MP)では、回転運動での相対的な変位量も極大になる。本実施形態の軽量構造物用免震装置102では、ダンパー142をこの角部152C(極大部MP)の近傍に配置しているので、建物基礎106と鉄骨架台108との相対回転時にダンパー142を効果的に伸縮させて、エネルギーを確実に吸収して減衰させ、回転運動を一定範囲に制限することが可能となる。
【0049】
また、同様の観点から、復元部材110を角部152C(極大部MP)またはその近傍に配置してもよい。この場合には、復元部材110を角部152C(極大部MP)の近傍以外の位置に配置した構成と比較して、相対回転時により大きく復元部材110が変形する。したがって、復元部材110はより大きな弾性力を復元力として発揮し、建物基礎106と鉄骨架台108とに作用させることが可能になる。
【0050】
本発明の変形部材としては、上記した復元部材110に限定されす、たとえば、ゴム内に必要に応じて金属性の部材(プレートやプラグ)が配置された、いわゆる積層ゴムであってもよい。ただし、このような積層ゴムと比較して、本実施形態のように、変形部が弾性を有する材料(具体的にはゴム)のみで構成されているものは、低コストで構成できると共に、図8に示した非線型特性の確実に発揮できるので、好ましい。
【0051】
また、本発明の転がり支承としては、図1及び図2に示したものと上下を逆に配置したものでもよい。このように上下を逆に配置すると、転がり面112Sへの異物の付着を防止できるので、好ましい。
【0052】
転がり支承104の数及び位置は、求められる作用を果たすことが可能であれば特に限定されない。また、転がり支承104と復元部材110の数が一致している必要もない。一般に、転がり支承104には固有の耐荷重があるので、これを超えないように、軽量構造物152全体での荷重を考慮して、その数を決定すればよい。また、転がり支承104の位置としては、軽量構造物152の荷重を均等に支持できる位置とすることが好ましい。
【0053】
また、転がり支承104及び復元部材110を構成している各部材を固定する構造も、特に限定されない。たとえば、上記したボルト114やネジなどの係止部材を用いてもよいが、接着剤等による接着や、物理的な嵌合が可能である場合には、これらの方法でもよい。
【0054】
本発明のダンパーとしては、上記した粘性流体を有するダンパー142(オイルダンパー)に限定されない。たとえば、塑性流動型ダンパーであってもよい。特に、速度依存型のダンパーを使用することが好ましい。
【0055】
ダンパー142の位置や向きも、図5に示したものに限定されず、たとえば、図6や図7に示す配置でもよい。
【0056】
図6に示した例では、軽量構造物152の角部152C(極大部MP)に1つずつダンパー142が配置されている点は図5と同様であるが、それぞれのダンパー142の向きが、重心CGを中心とする径方向(放射方向)に沿った向きとされている。
【0057】
図7に示した例では、軽量構造物152の4つの角部152C(極大部MP)のうち、対角線上に位置する2つの角部152Cに2つずつ、ダンパー142を配置している。また、それぞれのダンパー142は、軽量構造物152の横方向又は縦方向に沿った向きとされている。
【0058】
このように、ダンパー142の位置や向きは、ダンパー142としての機能を発揮できれば特に限定されず、種々の位置や向きを採り得る。ただし、複数のダンパー142を有する構成において、すべてのダンパー142が同一方向に配置されていると、これと直交する方向にダンパー142を伸縮させることは難しくなる。したがって、建物基礎106と軽量構造物152との相対移動の方向に依存することなくダンパー142を伸縮させるためには、複数のダンパー142を少なくとも2つの異なる向きで配置する(向きが揃わないようにする)ことが好ましい。
【0059】
ダンパー142を極大部MP(図4参照)の近傍に配置する場合の「近傍」としては、重心CGから、対象となっている極大部MPまでの距離の0.8倍以上の位置とし、この範囲にダンパー142の少なくとも一端が配置されることが好ましい。すなわち、このように配置することで、建物基礎106と鉄骨架台108との相対回転時にダンパー142をより多く伸縮させることができる。ただし、ダンパー142が軽量構造物152の外部に露出してしまうと耐久性が悪くなったり、軽量構造物152の外部で他の制約が生じたりするので、ダンパー142が平面視で軽量構造物152の内側に配置されていることが好ましい。
【0060】
【発明の効果】
本発明は上記構成としたので、低コストで構成でき、しかも、支持部材軽量構造物との相対移動を一定範囲に制限して、確実にエネルギー吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置を示す正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置を構成する転がり支承を示す一部破断正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置を構成する復元部材を据付状態で示す一部破断正面図である。
【図4】本発明におけるダンパーの位置を特定する極大部を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置におけるダンパーの位置を示す概略平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置におけるダンパーの位置の別の例を示す概略平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の軽量構造物用免震装置におけるダンパーの位置のさらに別の例を示す概略平面図である。
【図8】本発明の復元部材の水平ばね特性の一例を示すグラフである。
【図9】従来の軽量構造物用免震装置の概略構成を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図10】従来の軽量構造物用免震装置の鉛直支持機構を示す概略断面図である。
【図11】従来の軽量構造物用免震装置の復元・減衰機構を示す概略断面図である。
【符号の説明】
102  軽量構造物用免震装置
104  転がり支承
106  建物基礎(支持部材)
108  鉄骨架台(軽量構造物)
110  復元部材(変形部材)
142  ダンパー
152  軽量構造物
152C 角部(極大部)
CG  重心
L  距離
MP  極大部

Claims (5)

  1. 平面状の転がり面を備えた転がり受け板と、この転がり受け板の転がり面に接触しつつ回転する転動球と、を備え、支持部材上に設置されて軽量構造物を支持すると共に、支持部材と軽量構造物とを水平方向に相対移動可能とする転がり支承と、
    前記支持部材と前記軽量構造物との間に配置され、これらの水平方向への相対移動によって弾性変形する変形部材と、
    前記支持部材と前記軽量構造物との間に配置され、これらの水平方向への相対移動のエネルギーを吸収するダンパーと、
    を有することを特徴とする軽量構造物用免震装置。
  2. 前記ダンパーが、前記軽量構造物を鉛直方向に見たときの重心から辺部までの距離が極大値をとる極大部又はその近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の軽量構造物用免震装置。
  3. 前記変形部材が、前記軽量構造物を鉛直方向に見たときの重心から辺部までの距離が極大値をとる極大部又はその近傍に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軽量構造物用免震装置。
  4. 前記変形部材が、前記相対移動による変形量の増大に伴って弾性率が大きくなる非線型特性を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軽量構造物用免震装置。
  5. 前記変形部材の変形部が、弾性を有する材料のみで構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の軽量構造物用免震装置。
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