JP4137930B2 - 積層粘着体の貼着方法およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記問題を解決すべく、本発明者らは、基材の一方の面に第1剥離剤層が形成され、他方の面に第2剥離剤層が形成された剥離体と、剥離体側からポリオレフィンラミネート層および着色した粘着剤層が順次形成された粘着体とを有する粘着テープであって、特定の界面接着強度を有する貼り替え防止用粘着テープを提案した(特許文献1参照)。この貼り替え防止用粘着テープを被着体に貼着した後、被着体から剥がすと、まず、剥離体が粘着体から剥離し、粘着体が露出して、粘着体のポリオレフィンラミネート層を通して着色した粘着剤層が視認可能になるため、粘着テープの不正な剥離を示すことができる。しかも、剥がされた剥離体は被着体に再貼付できないようになっている。
しかしながら、特許文献1に記載の粘着テープでは、粘着体に文字や図柄を表示させることができない上に、粘着剤が、着色剤を含有するため特殊なものになり、また、性能も低くなりがちであった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、粘着体に文字や図柄を表示させることができ、汎用的な粘着剤を使用できる上に、剥離体と粘着体との間で確実に分離でき、しかも製造工程数を少なくできる積層粘着体の貼着方法およびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の積層粘着体の貼着方法は、熱可塑性樹脂層および該熱可塑性樹脂層の一方の面側に設けられた粘着剤層からなる粘着体と、粘着体の熱可塑性樹脂層の他方の面上に剥離可能に積層されている剥離体とを有し、前記熱可塑性樹脂層はポリオレフィン樹脂からなる引張強度が20〜100N/mの層であり、かつ、熱可塑性樹脂層における粘着剤層側の面の一部または全部に裏印刷が施されている積層粘着体を、粘着体の粘着剤層と被着体との界面接着強度を(A)、粘着体の熱可塑性樹脂層と剥離体との界面接着強度を(B)とした際に、(A)>(B)となる被着体に貼着することを特徴とする。
本発明に用いる積層粘着体においては、粘着剤層がホットメルト系粘着剤からなることが好ましい。
また、本発明に用いる積層粘着体においては、裏印刷が、溶剤系インキによる印刷であることが好ましい。
本発明に用いる積層粘着体は、剥離体が透明であり、該剥離体の少なくとも片面の一部または全部に印刷が施されていてもよい。
剥離体に溶融した熱可塑性樹脂を積層して熱可塑性樹脂層を形成する工程と、該熱可塑性樹脂層の表面の一部または全部に裏印刷を施す工程と、熱可塑性樹脂層における裏印刷を施した側の面に粘着剤を積層して粘着剤層を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明の積層粘着体の製造方法においては、粘着剤がホットメルト系粘着剤であることが好ましい。
さらに、粘着剤がホットメルト系粘着剤である場合には、ホットメルト系粘着剤を印刷機により積層することが好ましい。
本発明の積層粘着体の製造方法によれば、粘着体に文字や図柄の表示が可能であり、汎用的な粘着剤を使用できる上に、剥離体と粘着体との間で確実に分離できる積層粘着体を少ない製造工程で得ることができる。
本発明の積層粘着体の一実施形態である積層粘着テープについて説明する。
図1に、本実施形態の積層粘着テープの断面図を示す。本実施形態の積層粘着テープ1は、粘着体10と剥離体20とが積層したものである。さらに、粘着体10は、剥離体20側に形成された熱可塑性樹脂層11と、被着体2に貼着される粘着剤層12とを有し、熱可塑性樹脂層11の粘着剤層12側の面の一部に裏印刷13が施されたものである。また、剥離体20は、粘着体10側に配置された基材21と、基材21の上に順次積層されたバリヤー層22と剥離剤層23とを有するものである。
この積層粘着テープ1は、図2に示すように、巻き回されて商品になる。巻き回された状態では、粘着体10の粘着剤層12と剥離体20の剥離剤層23とが接着される。
「熱可塑性樹脂層」
粘着体10を構成する熱可塑性樹脂層11は、引張強度が20〜100N/mである。
熱可塑性樹脂層11の引張強度が20N/m以上であることにより、該熱可塑性樹脂層11を塗工により製造することが可能になる。また、100N/m以下と脆弱であることにより、剥離体20を引き剥がす際に粘着体10を同時につまんでも、図3に示すように、粘着体10がいずれかの箇所Aで破断して、粘着体10と剥離体20との間で剥離するようになる。
ここでいう引張強度とは、JIS Z 0237に準じて測定した。
また、熱可塑性樹脂層11の引張強度を調整する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂層11の厚みを調整する方法、樹脂の材質やガラス転移温度等を調整する方法、フィルムにした際の配向を調整する方法などが採られる。
熱可塑性樹脂層11の厚みは用途に応じて適宜選択することが好ましいが、5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましく、15〜30μmが特に好ましい。熱可塑性樹脂層11が薄いほど、粘着体10を容易に切断できるが、熱可塑性樹脂層11が薄すぎると、被着体2から粘着体10を剥がすこと(例えば、被着体2を再利用する場合など)が困難になる。
粘着剤層12を構成する粘着剤としては特に制限されず、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが使用される。また、溶剤系やエマルジョン系、水系であってもよいしホットメルト系であってもよいが、ホットメルト系粘着剤が好ましい。
粘着剤層12を形成する際、熱可塑性樹脂層11および裏印刷13上に溶媒中に含まれる粘着剤を直接塗工し、乾燥させると、熱可塑性樹脂層11や裏印刷13が熱劣化することがあるが、ホットメルト系粘着剤を塗工すれば、乾燥工程を省略できるため、熱可塑性樹脂層11および裏印刷13の熱劣化を防ぐことができる。
溶剤系またはエマルジョン系粘着剤を用いて粘着剤層12を形成する場合には、工程紙を用いた転写法を採用すればよい。
裏印刷13で使用される印刷インキは特に制限されないが、熱可塑性樹脂層11との密着性に優れることから、溶剤系インキが好ましい。
溶剤系インキは、顔料とバインダ樹脂と有機溶剤とを含有するものである。
顔料は無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。無機顔料としては、例えば、チタン、コバルト、マンガン、カーボンブラックなどが挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ジオキサジン系の顔料などが挙げられる。
バインダ樹脂としては、例えば、ロジン、硝化綿、ポリアミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタンなどが挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、アルコール系、エステル系、ケトン系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系などが使用でき、印刷版の耐溶剤性やバインダ樹脂の溶解性を考慮して適宜選択すればよい。
ここで、光重合性化合物は、不飽和基を分子内に1個または2個以上含有する化合物であり、ポリエステルアクリレートもしくはメタクリレート類、エポキシアクリレートもしくはメタクリレート類、ウレタンアクリレートもしくはメタクリレート類、ポリエーテルアクリレートもしくはメタクリレート類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル類、メタクリル酸アルキルエステル類、
アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニルなどが挙げられる。
これらの光重合性化合物をインキの粘度、硬化性、接着性を考慮し、適宜組み合わせて使用する。
光重合性開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、チオキサントン系、アセトフェノン系の開始剤などが挙げられる。
顔料としては、溶剤系インキに用いたものと同じものが挙げられる。
「基材」
剥離体20を構成する基材21としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)、上質紙、クラフト紙、クラフト伸張紙等の通常のテープに使用できるものが使用される。これらの中でも、熱可塑性樹脂と接する面が粗くなり、易剥離性を容易に発現することから、クラフト紙が好ましく、クラフト伸張紙がより好ましい。
基材21の表側の面または裏側の面には、店名等の印刷を施して、テープの視認性、特殊性、表現性を向上させることが好ましい。
また、基材21は、剥離しやすくなることから、厚いことが好ましい。
さらに、基材21は、レンズシート、プリズムシート、ホログラムシートなどの凹凸加工が施されたシートを用いてもよい。この場合、印刷の絵柄に合わせて凹凸パターンが形成されていれば、立体感や光沢感、視野角制御、絵柄の動きなどの視覚効果を付与した積層体1を得ることができるため、好ましい。
バリヤー層22は、剥離剤層23の剥離剤が基材21に浸透することを防ぐ層であり、例えば、ポリエチレン等の樹脂フィルム、ポリビニルアルコール、澱粉等の水溶性高分子等の顔料を主成分とする層などが挙げられる。
剥離剤層23を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−162、SD−7234等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
この積層粘着テープ1においては、粘着体10の粘着剤層12と被着体2との界面接着強度を(A)、粘着体10の熱可塑性樹脂層11と剥離体20との界面接着強度を(B)とした際に、(A)>(B)である。また、積層粘着テープ1が、粘着体10の粘着剤層12と剥離体20とが接着するように巻き回された場合には、粘着体10の粘着剤層12と剥離体20との界面接着強度を(C)とした際に、(A)>(B)>(C)である。界面接着強度が前記順序であれば、まず、粘着体10の粘着剤層12と剥離体20との間で剥離させ、次いで、粘着体10の熱可塑性樹脂層11と剥離体20との間で剥離させることができる。
また、(A)〜(C)の界面接着強度は、(A);80〜600N/m、(B);12〜40N/m、(C);2〜10N/mであることが好ましい。ここで、界面接着強度とは、JIS−Z0237に基づいて23℃、65%RH、剥離速度300mm/分の条件で測定した180度剥離強度のことである。
また、粘着剤に着色顔料を添加させなくてもよいから、汎用的な粘着剤を使用できる。
さらに、粘着体10における熱可塑性樹脂層11の引張強度が20〜100N/mと脆弱であるため、剥離体20を引き剥がす際に粘着体10を同時につまんでも、粘着体10と剥離体20との間で確実に剥離することができる上に、粘着体10に切り込みなどを入れなくてもよくなる。
この積層粘着テープ1は、貼り替え防止用粘着テープとして好適に使用できるほか、貼り替え防止用粘着テープ以外の用途、例えば、荷物固定用テープや封印用テープなどとしても使用できる。
荷物固定用テープとは、荷物に巻き付けながら貼付するなどして固定するテープである。この分野では、クラフトテープが用いられているが、クラフトテープは強靱であるため、これを引きちぎるのは容易ではなかった。これに対し、本発明の積層粘着テープからなる荷物固定用テープでは、剥離体と粘着体とが積層されている際には強靱にでき、剥離体を剥離した際には脆弱にできる。したがって、剥離体と粘着体とが積層された状態では安定に荷物を固定できる上に、剥離体を剥離して粘着体のみになった状態では容易に引きちぎることができる。
次に、積層粘着テープ1の製造方法について説明する。
本実施形態の積層粘着テープ1を製造する方法では、まず、基材21の片面に、例えば押出ラミネート法などにより溶融した熱可塑性樹脂を積層してバリヤー層22を形成する。次いで、バリヤー層22上に剥離剤層形成用塗布液を塗布して剥離剤層23を形成して剥離体20を得る。
次いで、熱可塑性樹脂層11における裏印刷13を施した側の面に粘着剤を積層して粘着剤層12を形成することにより、積層粘着テープ1を得ることができる。
また、この積層粘着テープの製造方法によれば、熱可塑性樹脂層11を脆弱にでき、粘着体10と剥離体20とを確実に剥離させることができるため、粘着体10に切り込みを入れなくてもよくなり、製造工程数を少なくできる。
また、剥離体20の少なくとも片面の一部または全部には印刷30が施されていてもよい(図4では、剥離体20の視認側の面の全部に印刷30が施されている。)。さらに、剥離体20の少なくとも片面の一部または全部には印刷30が施されている場合には、剥離体20として透明のものを用いることが好ましい。剥離体20が透明であり、剥離体20の少なくとも片面の一部または全部には印刷30が施されている場合には、粘着体10から剥離体20を剥離した際に、図柄を分解することができるため、目視により剥離体20の不正な剥離を容易に発見できる。
また、剥離体20が透明であり、剥離体20の少なくとも片面の一部または全部には印刷30が施されている場合には、剥離体20上の印刷30と裏印刷13とを重ねた際に図柄が形成されるようになっていてもよい。剥離体20上の印刷30と裏印刷13とを重ねた際に図柄が形成されるようになっていれば、目視により剥離体20の不正な剥離をより容易に発見できる。
剥離体20上の印刷30と裏印刷13とを重ねた際に文字列が視認可能に形成される場合には、剥離体20上の印刷30と裏印刷13とを重ねた際に特定の意味を示す文字列が形成されてもよいし、剥離体20を剥離した際に剥離体20上の印刷30及び裏印刷13の一方または両方に特定の意味を示す文字列が形成されてもよい。
また、粘着体10から剥離体20を剥離した際に、剥離体20上の印刷30および裏印刷13によって文字列が表示されるようにするために、剥離体20上の印刷30および裏印刷13の一方に文字列を印刷し、他方が文字列と同色のベタ印刷としてもよい。
次いで、このバリヤー層に、シリコーン系剥離剤(東レ・ダウコーニング社製SD7224)とシリコーン硬化剤(東レ・ダウコーニング社製白金系触媒SRX−212)とを含む剥離剤層形成用塗布液を塗布して剥離剤層を形成した。その際の乾燥塗布量は1.0g/m2とした。このようにして剥離体を形成した。
次いで、剥離体の晒クラフト伸張紙の他方の面上に、通常の押し出しラミネート法により、低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製LC−522)を厚さが25μmになるように吐出させて熱可塑性樹脂層を形成した。
次いで、熱可塑性樹脂層の表面の一部にフレキソ印刷により裏印刷を施した。その際、印刷インキとして、溶剤系インキである東洋インキ製造社のUPFを使用した。
その後、熱可塑性樹脂層における裏印刷を施した側の面に、ホットメルトコーターを用いて、SIS系粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した。その際の乾燥塗布量は30g/m2とした。このようにして粘着体を形成し、所定の長さ、幅に切断し、巻き揃えて積層粘着テープを得た。
なお、試験片の調製方法および各界面接着強度はJIS Z 0237に基づいて測定した。
2 被着体
10 粘着体
11 熱可塑性樹脂層
12 粘着剤層
13 裏印刷
20 剥離体
21 基材
22 バリヤー層
23 剥離剤層
30 印刷
40 格子柄
50 文字列
60 ベタ柄
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂層および該熱可塑性樹脂層の一方の面側に設けられた粘着剤層からなる粘着体と、粘着体の熱可塑性樹脂層の他方の面上に剥離可能に積層されている剥離体とを有し、
前記熱可塑性樹脂層はポリオレフィン樹脂からなる引張強度が20〜100N/mの層であり、かつ、熱可塑性樹脂層における粘着剤層側の面の一部または全部に裏印刷が施されている積層粘着体を、
粘着体の粘着剤層と被着体との界面接着強度を(A)、粘着体の熱可塑性樹脂層と剥離体との界面接着強度を(B)とした際に、(A)>(B)となる被着体に貼着することを特徴とする積層粘着体の貼着方法。 - 粘着剤層がホットメルト系粘着剤からなる請求項1に記載の積層粘着体の貼着方法。
- 裏印刷が、溶剤系インキによる印刷である請求項1または2に記載の積層粘着体の貼着方法。
- 剥離体が透明であり、該剥離体の少なくとも片面の一部または全部に印刷が施されている請求項1〜3の何れかに記載の積層粘着体の貼着方法。
- 熱可塑性樹脂層および該熱可塑性樹脂層の一方の面側に設けられた粘着剤層からなる粘着体と、粘着体の熱可塑性樹脂層の他方の面上に剥離可能に積層されている剥離体とを有し、
前記熱可塑性樹脂層はポリオレフィン樹脂からなる引張強度が20〜100N/mの層であり、かつ、熱可塑性樹脂層における粘着剤層側の面の一部または全部に裏印刷が施されている積層粘着体を製造する方法であって、
剥離体に溶融した熱可塑性樹脂を積層して熱可塑性樹脂層を形成する工程と、該熱可塑性樹脂層の表面の一部または全部に裏印刷を施す工程と、熱可塑性樹脂層における裏印刷を施した側の面に粘着剤を積層して粘着剤層を形成する工程とを有することを特徴とする積層粘着体の製造方法。 - 粘着剤がホットメルト系粘着剤である請求項5に記載の積層粘着体の製造方法。
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