JP4137390B2 - 黒色用透明感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した透明感熱記録媒体に関するものであり、特に発色色調が純黒で画像の保存性品質に優れた透明感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無色もしくは淡色のロイコ染料と接触時発色させる顕色剤との間の、熱・圧力などによる発色反応を利用した記録材料は種々提案されている。
その一つの感熱記録材料は、現像、定着等の頻雑な処理を施す必要がなく、比較的簡単な装置で短時間に記録できること、騒音の発生が少ないこと、更にコストが安いこと等の利点により、電子計算機、ファクシミリ、券売機、ラベルプリンター、レコーダー等の種々の記録材料として有用である。
感熱記録材料に用いられる発色性染料としては、たとえばラクトン、ラクタムまたはスピロピラン環を有する無色または淡色のロイコ染料が、又顕色剤としては従来から有機酸、フェノール性物質等が用いられている。このロイコ染料と顕色剤を用いた感熱記録材料は、画像濃度が高く、かつ地肌の白色度が高いことから広く利用されている。
これら感熱記録材料は、一般的には紙の上に前記した発色性染料及び顕色剤が塗布され製造される。近年医療分野を中心に銀塩X線フィルムの湿式プロセスに起因する廃液処理問題及び画像のデジタル化の流れから、簡易にアウトプットできる透明なドライフィルムのシステムが求められている。そのような流れの中で感熱プロセスにおいてもそのプロセスの簡便さから透明な感熱記録フィルムが求められている。
特に医療分野においては、シャーカステンにより透過で発色画像を観察することより、銀塩フィルム並みの純黒な発色色調が求められる。発色色調を調整し純黒化を達成する方法としては、発色色調の異なるロイコ染料を数種混合し発色部の吸収スペクトルを調整する方法が挙げられる。その際に用いられるロイコ染料としては、公知の黒発色ロイコ染料と黒発色ロイコ染料を発色させた場合特に低濃度部が緑味発色になるが、本色調を純黒に調整するのに赤発色ロイコ染料が有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、赤発色ロイコ染料を用いた場合に、高温または高湿環境下において特にハーフトーン部の発色画像の濃度保存性が著しく低下する問題がある。本発明は、高温または高湿環境下において特にハーフトーン部の発色画像色調が純黒であり、濃度保存性が向上された透明感熱記録材料を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、感熱発色層または感熱発色層に隣接する層中に重合度が200〜500のポリビニルブチラール樹脂を含有させることにより保存性の向上ができ純黒発色との両立がはかれることを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明によれば、透明支持体上に、無色又は淡色のロイコ染料、該ロイコ染料を加熱発色せしめる顕色剤、及び結着剤としてのバインダー樹脂からなる感熱記録層を設けてなる黒色用透明感熱記録材料において、該感熱記録層中に赤色に発色するロイコ染料及び重合度が200〜500のポリビニルブチラール樹脂を含有させたことを特徴とする黒色用透明感熱記録材料が提供される。
【0006】
本発明は、又、透明支持体上に、無色又は淡色のロイコ染料、該ロイコ染料を加熱発色せしめる顕色剤、及び結着剤としてのバインダー樹脂からなる感熱記録層と、該感熱記録層の上面及び下面の少なくとも一方の側に樹脂を含む隣接層を設けてなる黒色用透明感熱記録材料において、該感熱記録層中に赤色に発色するロイコ染料を含有させるとともに、該感熱記録層中に重合度が200〜500のポリビニルブチラール樹脂を含有させたことを特徴とする黒色用透明感熱記録材料が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録媒体の詳細について説明する。ここで言う透明感熱記録材料とは、JIS K 7105によるヘーズ値が60%以下の感熱記録材料であり、40%以下が好ましい。赤発色ロイコ染料としては従来より公知のロイコ染料が用いられ、添加する量としては、用いる顕色剤やバインダー樹脂により多少異なるが、ロイコ染料全体に対する含有比率が5〜25重量%で発色画像の純黒化が達成可能である。含有比率が5%未満の場合色調調整効果が低く、また25重量%よりも多い場合は画像の赤味が強すぎ純黒は達成できない。また本発明において、発色部(特にハーフトーン部)の保存性を良好にするために感熱発色層または感熱発色層に隣接する層中に平均重合度が200〜500のポリビニルブチラール樹脂を含有させるが、200未満の場合は地肌カブリ(印字をしない状態で既に地肌が発色)を生じやすく、500よりも大きいと保存性への効果が小さい。ここでいうポリビニルブチラール樹脂とは以下一般式で表される。
【0008】
【化1】
(R6は炭素数3のアルキル基を表す)
【0009】
平均重合度が200〜500のポリビニルブチラールの含有量は、感熱記録層中の全樹脂量に対し3〜50重量%が好ましく3重量%未満では保存性への効果はほとんどなく、50重量%よりも多い場合は、地肌カブリを生じたり、保存により画像濃度が上がってしまう傾向にある。
【0010】
本発明で使用する透明支持体は、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルムである。支持体の透明性はひいてはシート全体の透明性にも影響を及ぼすことから本発明においては支持体のHaze度は10%以下、好ましくは5%以下の支持体を使用することが好ましい。
【0011】
本発明で用いられるロイコ染料は電子供与性を示す化合物であり、前記したように赤染料を含む2種以上混合して使用されるが、それ自体無色或いは淡色の染料前駆体であり、特に限定されず従来公知のもの、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチジアン系、チオフルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好ましく用いられる。このような化合物の例としては、例えば以下に示すようなものが挙げられる。
【0012】
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(ジ-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-プロピル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-イソプロピル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-イソ ブチル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-アミル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-sec-ブチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-アミル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-iso-アミル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-n-プロピル-N-イソプロピルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(m-トリクロロメチルアニリノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(m-トリフロロメチルアニリノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(m-トリフロロメチルアニリノ)-3-メチル-6-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)フルオラン、
2-(2,4-ジメチルアニリノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-エチル-p-トルイジノ)-3-メチル-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、
2-(N-メチル-p-トルイジノ)-3-メチル-6-(N-プロピル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-アニリノ-6-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(o -クロルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(o -ブロモアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(o -クロルアニリノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(o -フロロアニリノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(m-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(p-アセチルアニリノ)-6-(N-n-アミル-N-n-ブチルアミノ)フルオラン、
2-ベンジルアミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-ベンジルアミノ-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-ベンジルアミノ-6-(N-エチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(ジ-p-メチルベンジルアミノ)-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(α-フェニルエチルアミノ)-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-メチルアミノ-6-(N-メチルアニリノ)フルオラン、
2-メチルアミノ-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、
2-メチルアミノ-6-(N-プロピルアニリノ)フルオラン、
2-エチルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-メチルアミノ-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-エチルアミノ-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-ジメチルアミノ-6-(N-メチルアニリノ)フルオラン、
2-ジメチルアミノ-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、
2-ジエチルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-ジエチルアミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-ジプロピルアミノ-6-(N-メチルアニリノ)フルオラン、
2-ジプロピルアミノ-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-メチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-エチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-プロピルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-プロピル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-メチル-p-エチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-エチル-p-エチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-プロピル-p-エチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-メチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-エチル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-プロピル-2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-メチル-p-クロルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-エチル-p-クロルアニリノ)フルオラン、
2-アミノ-6-(N-プロピル-p-クロルアニリノ)フルオラン、
2,3-ジメチル-6-ジメチルアミノフルオラン、
3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-クロル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-ブロモ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロル-6-ジプロピルアミノフルオラン、
3-クロル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
3-ブロモ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロル-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-クロル-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-クロル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(o-クロルアニリノ)-3-クロル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(m-トリフロロメチルアニリノ)-3-クロル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(2,3-ジクロルアニリノ)-3-クロル-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンゾ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンゾ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンゾ-6-ジブチルアミノフルオラン、
1,2-ベンゾ-6-(N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンゾ-6-(N-エチル-トルイジノ)フルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-2-エトキシプロピル-N-エチルアミノ)フルオラン、
2-(p-クロルアニリノ)-6-(N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-(p-クロルアニリノ)-6-(N-n-パルチミルアミノ)フルオラン、
2-(p-クロルアニリノ)-6-(ジ-n-オクチルアミノ)フルオラン、
2-ベンゾイルアミノ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(o-メトキシベンゾイルアミノ)-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-ジベンジルアミノ-4-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-4-メトキシ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-ジベンジルアミノ-4-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(α-フェニルエチルアミノ)-4-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(p-トルイジノ)-3-(t-ブチル)-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(o-メトキシカルボニルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アセチルアミノ-6-(N-メチル-p-トルイジノ)フルオラン、
3-ジエチルアミノ-6-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、
4-メトキシ-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-エトキシエチルアミノ-3-クロル-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-4-クロル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、
2-(α-フェニルエチルアミノ)-4-クロル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-ベンジル-p-トリフロロメチルアニリノ)-4-クロル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ピロリジノフルオラン、
2-アニリノ-3-クロル-6-ピロリジノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、
2-メシジノ-4',5'-ベンゾ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(m-トリフロロメチルアニリノ)-3-メチル-6-ピロリジノフルオラン、
2-(α-ナフチルアミノ)-3,4-ベンゾ-4'-ブロモ-6-(N-ベンジル-N-シクロヘキシルアミノ)フルオラン、
2-ピペリジノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-n-プロピル-p-トリフロロメチルアニリノ)-6-モルフォリノフルオラン、
2-(ジ-N-p-クロルフェニル-メチルアミノ)-6-ピロリジノフルオラン、
2-(N-n-プロピル-m-トリフロロメチルアニリノ)-6-モルフォリノフルオラン、
1,2-ベンゾ-6-(N-エチル-N-n-オクチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンゾ-6-ジアリルアミノフルオラン、
1,2-ベンゾ-6-(N-エトキシエチル-N-エチルアミノ)フルオラン、
ベンゾロイコメチレンブルー、
2-[3,6-ビス(ジエチルアミノ)]-6-(o-クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、
2-[3,6-ビス(ジエチルアミノ)]-9-(o-クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド、
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
(別名クリスタルバイオレットラクトン)
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジエチルアミノフタリド、
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-クロルフタリド、
3,3-ビス(p-ジブチルアミノフェニル)フタリド、
3-(2-メトキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-ヒドロキシ-4,5-ジクロルフェニル)フタリド、
3-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-クロルフェニル)フタリド、
3-(2-ヒドロキシ-4-ジメトキシアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-クロルフェニル)フタリド、
3-(2-ヒドロキシ-4-ジメチルアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)フタリド、
3-(2-ヒドロキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(2-メトキシ-5-メチルフェニル)フタリド、
3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3')-6'-ジメチルアミノフタリド、
6'-クロロ-8'-メトキシ-ベンゾインドリノ-スピロピラン、
6'-ブロモ-2'-メトキシ-ベンゾインドリノ-スピロピラン等。
【0013】
次に、本発明で用いられる顕色剤は電子受容性の化合物であり、従来公知の種々の電子受容性顕色剤を用いることができるが、本発明の特徴である透明性を達成する上でより好ましいのは、特願平3-355078等で示した長鎖アルキル基を分子内に含む電子受容性顕色剤である。例えば、炭素数12以上の脂肪族基を持つ有機リン酸化合物や脂肪族カルボン酸化合物やフェノール化合物、又は炭素数10〜18の脂肪族基を持つメルカプト酢酸の金属塩、或いは炭素数5〜8のアルキル基を持つカフェー酸のアルキルエステルや炭素数16以上の脂肪族基を持つ酸性リン酸エステル等である。脂肪族基には、直鎖状または分岐状のアルキル基、アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ基、エステル等の置換基を持っていていも良い。以下にその顕色剤について具体例を例示する。
【0014】
(a)有機リン酸化合物
下記一般式(1)で表されるものが好ましく用いられる。
【0015】
【化2】
(R1は炭素数12〜24の直鎖状アルキル基を表す)
【0016】
一般式(1)で表される有機リン酸化合物の具体例としては、例えば以下のようなものがあげられる。
ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘキサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。
【0017】
有機リン酸化合物としては、下記一般式(2)で表されるα-ヒドロキシアルキルホスホン酸も好ましく使用される。
【0018】
【化3】
(ただし、R2は炭素数11〜29の脂肪族基である。)
【0019】
一般式(2)で表されるα-ヒドロキシアルキルホスホン酸を具体的に示すと、α-ヒドロキシドデシルホスホン酸、α-ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α-ヒドロキシヘキサデシルホスホン酸、α-ヒドロキシオクタデシルホスホン酸、α-ヒドロキシエイコシルホスホン酸、α-ヒドロキシドコシルホスホン酸、α-ヒドロキシテトラコシルホスホン酸等が挙げられる。
【0020】
有機リン酸化合物としては、下記一般式(3)で表される酸性有機リン酸エステルも使用される。
【0021】
【化4】
(式中、R3は炭素数16以上の脂肪族基を、R4は水素原子または炭素数1以上の脂肪族基を表している。)
【0022】
一般式(3)で表される酸性有機リン酸エステルを具体的に示すと、ジヘキサデシルホスフェート、ジオクタデシルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジドコシルホスフェート、モノヘキサデシルホスフェート、モノオクタデシルホスフェート、モノエイコシルホスフェート、モノドコシルホスフェート、メチルヘキサデシルホスフェート、メチルオクタデシルホスフェート、メチルエイコシルホスフェート、メチルドコシルホスフェート、アミルヘキサデシルホスフェート、オクチルヘキサデシルホスフェート、ラウリルヘキサデシルホスフェート等が挙げられる。
【0023】
(b)脂肪族カルボン酸化合物
下記一般式(4)で表されるα-ヒドロキシ脂肪酸類が好ましく用いられる。
R5-CH(OH)-COOH (4)
(ただし、R5は炭素数12以上の脂肪族基を表す。)
【0024】
一般式(4)で表されるα-ヒドロキシ脂肪族カルボン酸化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
α-ヒドロキシデカン酸、α-ヒドロキシテトラデカン酸、α-ヒドロキシヘキサデカン酸、α-ヒドロキシオクタデカン酸、α-ヒドロキシペンタデカン酸、α-ヒドロキシエイコサン酸、α-ヒドロキシドコサン酸、α-ヒドロキシテトラコサン酸、α-ヒドロキシヘキサコサン酸、α-ヒドロキシオクタコサン酸等。
【0025】
脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を持つ脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ位の炭素にハロゲン元素を持つものも好ましく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
【0026】
2-ブロモヘキサデカン酸、2-ブロモヘプタデカン酸、2-ブロモオクタデカン酸、2-ブロモエイコサン酸、2-ブロモドコサン酸、2-ブロモテトラコサン酸、3-ブロモオクタデカン酸、3-ブロモエイコサン酸、2、3-ジブロモオクタデカン酸、2-フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2-フルオロヘキサデカン酸、2-フルオロオクタデカン酸、2-フルオロエイコサン酸、2-フルオロドコサン酸、2-ヨードヘキサデカン酸、2-ヨードオクタデカン酸、3-ヨードヘキサデカン酸、3-ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸等。
【0027】
脂肪族カルボン酸としては、炭素中にオキソ基を持つ炭素数12以上の脂肪族基を有する脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位またはγ位の炭素がオキソ基となっているものが好ましく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のようなものを挙げることができる。
【0028】
2-オキソドデカン酸、2-オキソテトラデカン酸、2-オキソヘキサデカン酸、2-オキソオクタデカン酸、2-オキソエイコサン酸、2-オキソテトラコサン酸、3-オキソドデカン酸、3-オキソテトラデカン酸、3-オキソヘキサデカン酸、3-オキソオクタデカン酸、3-オキソエイコサン酸、3-オキソテトラコサン酸、4-オキソヘキサデカン酸、4-オキソオクタデカン酸、4-オキソドコサン酸等。
【0029】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(5)で表される二塩基酸も好ましく用いられる。
【0030】
【化5】
(ただし、R6は炭素数12以上の脂肪族基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表し、nは1または2を表す。)
【0031】
一般式(5)で表される二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸等。
【0032】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(6)で表される二塩基酸も好ましく用いられる。
【0033】
【化6】
(ただし、R7、R8、R9は水素又は脂肪族基を表し、このうち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基である。)
【0034】
一般式(6)で表される二塩基酸の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、2,3-ジヘキサデシルブタン二酸、2,3-ジオクタデシルブタン二酸、2-メチル-3-ドデシルブタン二酸、2-メチル-3-テトラデシルブタン二酸、2-メチル-3-ヘキサデシルブタン二酸、2-エチル-3-ドデシルブタン二酸、2-プロピル-3-ドデシルブタン二酸、2-オクチル-3-ヘキサデシルブタン二酸、2-テトラデシル-3-オクタデシルブタン二酸等。
【0035】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(7)で表される二塩基酸も好ましく用いられる。
【0036】
【化7】
(ただし、R10、R11は水素または脂肪族基を表し、このうち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基である。)
【0037】
一般式(7)で表される二塩基酸の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドテシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸等。
【0038】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(8)で表される二塩基酸も好ましく用いられる。
【0039】
【化8】
(ただし、R12は炭素数12以上の脂肪族基を表し、nは0または1を表し、mは1,2または3を表し、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場合はmは1または2を表す)
【0040】
一般式(8)で表される二塩基酸の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
2-ドデシル-ペンタン二酸、2-ヘキサデシル-ペンタン二酸、2-オクタデシルペンタン二酸、2-エイコシル-ペンタン二酸、2-ドコシル-ペンタン二酸、2-ドデシル-ヘキサン二酸、2-ペンタデシル-ヘキサン二酸、2-オクタデシル-ヘキサン二酸、2-エイコシル-ヘキサン二酸、2-ドコシル-ヘキサン二酸等。
【0041】
脂肪族カルボン酸化合物としては、長鎖脂肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三塩基酸も好ましく用いられる。その具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0042】
【化9】
【0043】
(c)フェノール化合物
下記一般式(9)で表される化合物が好ましく用いられる。
【化10】
(ただし、Yは-S-,-O-,-CONH-または-COO-を表し、R13は炭素数12以上の脂肪族基を表し、nは1、2または3の整数である。)
【0044】
一般式(9)で表されるフェノール化合物の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
p-(ドテシルチオ)フェノール、p-(テトラデシルチオ)フェノール、p-(ヘキサデシルチオ)フェノール、p-(オクタデシルチオ)フェノール、p-(エイコシルチオ)フェノール、p-(ドコシルチオ)フェノール、p-(テトラコシルチオ)フェノール、p-(ドデシルオキシ)フェノール、p-(テトラデシルオキシ)フェノール、p-(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p-(オクタデシルオキシ)フェノール、p-(エイコシルオキシ)フェノール、p-(ドコシルオキシ)フェノール、p-(テトラコシルオキシ)フェノール、p-ドデシルカルバモイルフェノール、p-テトラデシルカルバモイルフェノール、p-ヘキサデシルカルバモイルフェノール、p-オクタデシルカルバモイルフェノール、p-エイコシルカルバモイルフェノール、p-ドコシルカルバモイルフェノール、p-テトラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等。
【0045】
フェノール化合物としては、下記一般式(10)で表されるカフェー酸アルキルエステルを使用することもできる。
【0046】
【化11】
(ただし、R14は炭素数5〜8のアルキル基である。)
【0047】
一般式(10)で表されるカフェー酸アルキルエステルの具体例を示すとねカフェー酸-n-ペンチル、カフェー酸-n-ヘキシル、カフェー酸-n-オクチル等が挙げられる。
【0048】
(c)メルカプト酢酸の金属塩
一般式(11)で表されるアルキルまたはアルケニルメルカプト酢酸の金属塩を好ましく用いることができる。
(R15-S-CH2-COO)2M (11)
(ただし、R15は炭素数10〜18の脂肪族基を表し、Mはスズ、マグネシウム、亜鉛又は銅を表す。)
【0049】
一般式(11)で表されるメルカプト酢酸金属塩の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
デシルメルカプト酢酸スズ塩、ドデシルメルカプト酢酸スズ塩、テトラデシルメルカプト酢酸スズ塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸スズ塩、オクタデシルメルカプト酢酸スズ塩、デシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ドデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、テトラデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、オクタデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、デシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ドデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、テトラデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、オクタデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、デシルメルカプト酢酸銅塩、ドデシルメルカプト酢酸銅塩、テトラデシルメルカプト酢酸銅塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸銅塩、オクタデシルメルカプト酢酸銅塩等。
【0050】
また、本発明においては、顕色剤として上記に記載した化合物に限られるものではなく、その他の電子受容性の種々の化合物を使用することができる。
本発明の感熱記録媒体において顕色剤は発色剤1部に対して1〜20部好ましくは2〜10部である。顕色剤は単独もしくは二種以上混合して適用することができ、発色剤についても同様に単独もしくは二種以上混合して適用することができる。
【0051】
次に、本発明で用いられる感熱発色層中のバインダー樹脂としては、前記した重合度が200〜600のポリビニルブチラール樹脂の他公知の種々の樹脂を使用でき、例えば、ポリアクリルアミド、マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリアミド等がある。また樹脂の屈折率と支持体の屈折率の比が0.8〜1.2の間であるものを使用するのが透明性の観点から好ましい。
【0052】
以上本発明の感熱記録材料の感熱発色層中の主成分である、ロイコ染料、顕色剤、バインダー樹脂の具体例を挙げたがこれらに限るものではない。また、必要に応じ公知の填料、顔料、界面活性剤、熱可融性物質を添加することができる。
【0053】
本発明においては、前記した感熱記録層上に必要に応じ、樹脂及び充てん剤等を主成分とする保護層を設けることができる。用いられる樹脂としては、前記した重合度が200〜600のポリビニルブチラール樹脂の他公知の種々の樹脂を使用でき、例えば、ポリアクリルアミド、マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリアミド等がある。
【0054】
また充填剤として使用できる具体例としては、ホスフェートファイバー、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー、タルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、板状炭カル、水酸化アルミニウム、板状水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、ハイドロタルイサイト等の無機充てん剤の他、架橋ポリスチレン樹脂、尿素ーホルマリン樹脂、シリコーン樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチルアクリレート樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂等の有機充てん剤が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。また保護層中には特にスティッキング性を良好にするため滑剤を含有させることが好ましい。具体例としては、ステアリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、オレイン酸アマイド、ラウリン酸アマイド、エチレンビスステアロアマイド、メチレンビスステアロアマイド、メチロールステアロアマイド、パラフィンワックス、ポリエチレン、カルナバワックス、酸化パラフィン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミ等が挙げられるがこれに限定されるものではない。さらに保護層中には、ヘッドマッチング性を向上させるためにオイル類を添加したりすることができる。オイルとしては一般的なシリコンオイル等を用いることができる。
【0055】
本発明の感熱記録層は発色剤及び顕色剤をバインダー樹脂とともに水もしくは有機溶剤中に均一に分散もしくは溶解、またはマイクロカプセル化し、これを支持体上に塗布、乾燥して作製するが、塗工方式は特に限定されない。記録層塗布液に顕色剤を分散、もしくはマイクロカプセル化した液を用いた場合、顕色剤もしくはマイクロカプセルの粒径が保護層の表面粗さ、、透明性ひいては印字時のドット再現性に大きく関与するので、粒径は1.0μm以下が好ましい。記録層の膜厚は、記録層の組成や感熱記録媒体の用途にもよるが1〜50μm程度、好ましくは3〜20μm程度である。また、記録層塗布液には、必要に応じて、塗工性の向上或いは記録特性の向上を目的に界面活性剤等種々の添加剤を加えることもできる。
【0056】
なお、本発明においては、支持体と感熱発色層との間に、接着性の向上などの必要に応じて中間層としてバインダー樹脂を主成分とする層を設けることが出来る。
【0057】
保護層の塗工方式は、特に制限はなく、従来公知の方法で塗工することができる。好ましい保護層厚は0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。保護層厚が薄すぎると、記録媒体の保存性やヘッドマッチング等の保護層としての機能が不充分であり、厚すぎると記録媒体の熱感度が低下するし、コスト的にも不利である。
【0058】
本発明の透明感熱記録媒体の記録方法は仕様目的によって熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等特に限定されない。
【0059】
【実施例】
本発明を次に実施例によって説明する。なお、以下における部及び%はいずれも重量基準である。
【0060】
実施例1
下記組成物をボールミルで平均粒子径0.3μmまで粉砕・分散し顕色剤分散液を作製した。
[A液]
オクタデシルホスホン酸 6部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 1部
(積水化学工業社製、エスレックK KS-1)
トルエン 13部
メチルエチルケトン 20部
【0061】
下記組成物を十分に撹拌し記録層塗布液(B液)を作製した。
[B液]
A液 40部
20%ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液(溶媒メチルエチルケトン) 5部
(積水化学工業社製、エスレックK KS-1)
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン 1.7部
3-ジエチルアミノベンゾ[α]フルオラン 0.3部
ポリビニルブチラール樹脂溶解液
(積水化学工業社製、エスレックB BL-1
平均重合度300、20%メチルエチルケトン溶解液) 1.1部
厚さ75μmのポリエステルフィルム(ユニチカ製T-75、Haze度3%)上に[B液]を塗布した後乾燥して厚さ10μmの感熱記録層を形成した。
【0062】
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液(C液)を作製した。
[C液]
水酸化アルミ粒子 30部
(昭和電工製、ハイジライト43M)
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 30部
(積水化学製、エスレックKS-1、10%メチルエチルケトン溶解液)
メチルエチルケトン 140部
この時の分散液の平均粒子径は0.21μmであった。
【0063】
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液(D液)を作製した。
[D液]
ステアリン酸亜鉛粒子 30部
(日本油脂製)
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 30部
(積水化学製、エスレックK KS-1、10%メチルエチルケトン溶解液)
メチルエチルケトン 140部
この時の分散液の平均粒子径は1.5μmであった。
【0064】
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液(E液)を作製した。
[E液]
C液 100部
D液 20部
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 82部
(積水化学製、KS-1、10%メチルエチルケトン溶解液)
メチルエチルケトン 78部
【0065】
以上の様にして調製した保護層塗布液[E液]を、超音波処理を15分行った後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ3.0μmの保護層を設け、本発明の透明感熱記録材料(実施例1)を作製した。
【0066】
実施例2
実施例1の[B液]の2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオランを1.5部にし、3-ジエチルアミノベンゾ[α]フルオランを0.5部にし、20%ポリビニルブチラール樹脂溶解液(溶媒メチルエチルケトン)を3.3部にした以外は実施例1と同様にして本発明の透明感熱記録材料(実施例2)を作製した。
【0067】
実施例3
実施例1の[B液]の 3-ジエチルアミノベンゾ[α]フルオランを3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチ ルインドリル-3-イル)フタリドにし、積水化学工業社製、エスレックB BL-1平均重合度300を積水化学工業社製、エスレックB BL-2平均重合度450にした以外は実施例1と同様にして本発明の透明感熱記録材料(実施例3)を作製した。
【0068】
実施例4
実施例1の[B液]の2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオランを1.8部にし、3-ジエチルアミノベンゾ[α]フルオラン0.3部を3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン0.2部にし、さらに積水化学工業社製、エスレックB BL-1平均重合度300を積水化学工業社製、エスレックB BL-S平均重合度350にした以外は実施例1と同様にして本発明の透明感熱記録材料(実施例4)を作製した。
【0069】
比較例1
実施例1の[B液]の 積水化学工業社製、エスレックB BL-1平均重合度300を積水化学工業社製、エスレックB BM-S平均重合度850にした以外は実施例1と同様にして本発明の比較用の透明感熱記録材料(比較例1)を作製した。
【0070】
比較例2
実施例1の[B液]のポリビニルブチラール樹脂溶解液(積水化学工業社製、エスレックB BL-1平均重合度300、20%メチルエチルケトン溶解液)を除く以外は実施例1と同様にして本発明の比較用の透明感熱記録材料(比較例2)を作製した。
【0071】
比較例3
比較例1の2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオランを2.0部にし、3-ジエチルアミノベンゾ[α]フルオランを除いた以外は比較例1と同様にして本発明の比較用の透明感熱記録材料(比較例3)を作製した。
【0072】
以上のようにして作製した感熱記録媒体を以下のようにして評価した。
1.発色色調
解像度300dpiの階調ヘッドを搭載したデジタル出力可能なプリンターにて透過濃度が概ね0.5,1.0,1.5,2.0,最大発色となるようグレースケールを印字し森山X線用品社製X線写真観察器(LT-2K)で見た目の色調の評価を実施した。
【0073】
2.保存性
解像度300dpiの階調ヘッドを搭載したデジタル出力可能なプリンターにて透過濃度が概ね0.5,1.0,1.5,2.0,最大発色となるようグレースケールを印字し、各濃度の部分の画像濃度をGretagMacbeth社製Spectrolino+Spectroscan Tの透過測定モードにて測定 (条件 アパーチャー径3mm、d-0、10度視野、光源D65にて10nmピッチ)した後、印画サンプルを40℃、湿度90%の環境下に24hr保管し印画前後の濃度の変化率を計算した。各濃度の部分のうちのMAX値を記した。
評価結果を下記表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明の透明感熱記録材料は、発色色調が純黒であり、保存性にも優れたものである。
Claims (5)
- 透明支持体上に、無色又は淡色のロイコ染料、該ロイコ染料を加熱発色せしめる顕色剤、及び結着剤としてのバインダー樹脂からなる感熱記録層を設けてなる黒色用透明感熱記録材料において、該感熱記録層中に赤色に発色するロイコ染料及び重合度が200〜500のポリビニルブチラール樹脂を含有させたことを特徴とする黒色用透明感熱記録材料。
- 該感熱記録層の上面及び下面の少なくとも一方の側に樹脂を含む隣接層を設けてなる請求項1に記載の黒色用透明感熱記録材料。
- 該感熱記録層は、ロイコ染料及び顕色剤を樹脂と共に有機溶剤中に分散または溶解した塗布液を支持体上に塗布、乾燥して形成させたことを特徴とする請求項1または2に記載の黒色用透明感熱記録材料。
- 前記赤色に発色するロイコ染料のロイコ染料全体に対する含有比率が5〜25重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の黒色用透明感熱記録材料。
- 前記平均重合度が200〜500のポリビニルブチラール樹脂の含有量が感熱記録層中の全樹脂量に対し3〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の黒色用透明感熱記録材料。
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