JP3690553B2 - 透明感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した透明感熱記録媒体に関するものであり、透明性が高く、且つヘッドマッチング性に優れる透明感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無色もしくは淡色のロイコ染料と接触時発色させる顕色剤との間の、熱・圧力などによる発色反応を利用した記録材料は種々提案されている。
その一つの感熱記録材料は、現像、定着等の頻雑な処理を施す必要がなく、比較的簡単な装置で短時間に記録できること、騒音の発生が少ないこと、更にコストが安いこと等の利点のより、電子計算機、ファクシミリ、券売機、ラベルプリンタ、レコーダ等の種々の記録材料として有用である。
【0003】
感熱記録材料に用いられる発色性染料としては、例えばラクトン、ラクタム又はスピロピラン環を有する無色又は淡色ロイコ染料が、また、顕色剤としては従来から有機酸、フェノール性物質等が用いられている。このロイコ染料と顕色剤を用いた感熱記録材料は、画像濃度が高く、かつ地肌の白色度が高いことから広く利用されている。
【0004】
これら感熱記録材料は、一般的には紙の上に前記した発色性染料及び顕色剤が塗布され製造される。近年、医療分野を中心に銀塩X線フィルムの湿式プロセスに起因する廃液処理問題及び画像のデジタル化の流れから、簡易にアウトプットできる透明なドライフィルムのシステムが求められている。そのような流れの中で感熱プロセスにおいてもそのプロセスの簡便さから透明な感熱記録フィルムが求められている。
【0005】
感熱プロセスでよく用いられているサーマルヘッドは記録シートとヘッドとの直接接触プロセスである。したがって、プラスチックフィルムのような平滑性の高い支持体を用いた感熱記録材料は、表面にゴミやホコリが付き易く、また、表面が平滑になり易いことから、そのようなゴミや印字中に発生したヘッドカス(加熱発色時塗布層中の成分が溶融して発生)が印字走行中感熱記録材料とサーマルヘッドとの間にはさまり、その部分及びその近傍において画像がスジ状に抜ける現象(以下白スジという。)が発生しやすい。
【0006】
従来、透明性に優れる感熱記録材料として表面粗さを規定したもの(特開平7−76168号公報)があるが、ヘッドマッチングの面からみると不十分である。また、保護層に有機顔料としてスチレン−メタクリル酸共重合体を含有させたもの(特開昭58−025988号公報)、架橋ポリスチレンを含有させたもの(特開平5−278334号公報)が開示されているが、いずれも透明性とヘッドマッチングを両立させるという点では不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き欠点を伴うことなく透明でありながら、白スジを改良するとともに、感熱発色時塗布層中の成分が溶融して熱ヘッドに粘着する現象(以下スティック、もしくはスティッキングという。)がなく、カス付着が少ない透明感熱記録材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、透明支持体上に無色又は淡色のロイコ染料と、該ロイコ染料を加熱発色せしめる顕色剤及び結着剤としてのバインダー樹脂を主成分とする感熱記録層、更にその上に充填剤と樹脂を含む保護層を設けてなる感熱記録材料において、該保護層に充填剤として下記一般式(a)で表わされる構造を有するメラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる球状粒子を保護層全体に対して60〜80重量%含むことを特徴とする透明感熱記録材料が提供される。
【0009】
【化4】
Figure 0003690553
【0010】
以下に、本発明の感熱記録媒体の詳細について説明する。
白スジとは、先に述べたとおり、記録材料表面についているゴミや印字中に発生したヘッドカスが印字走行中感熱記録材料とサーマルヘッドとの間にはさまり、その部分及びその近傍において画像がスジ状に抜ける現象である。また、スティックについては感熱発色時塗布層中の成分が溶融して熱ヘッドに粘着する現象である。本発明者らは、この現象の発生をなくし、透明性を維持してヘッドマッチング性を向上させるためには、保護層表面を細かく粗らすことにより達成できることを見い出した。
【0012】
この透明性を維持するための表面を細かく粗らす方法として、保護層に小粒径(平均粒径0.1〜0.7μm)の充填剤を添加することが考えられる。この充填剤は小粒径であればどのような材料でもいいわけではなく、材料によっては凝集して大きな凹凸ができて透明性が低下したり、凹凸を形成できずヘッドマッチングが低下したりすると適正な表面を形成できない場合が多い。このような中で、充填剤として上記一般式(a)で表わされるメラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる球状粒子を使用するときには容易に透明性とヘッドマッチングを両立できる表面を形成できる。
【0013】
上記一般式(a)で表わされる構造のメラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる球状粒子の保護層全体に対する含有量については、この粒子が表面を形成するという観点から充填剤が表面に出る範囲が好ましく、保護層全体量中の30重量%以上含有していることが好ましい。充填剤による耐熱性向上と結着性を考えた、より好ましい範囲として、本発明においては60〜80重量%の範囲である。
【0014】
また、このような細かい凸凹を形成するためには、分散をつかさどる樹脂が大きな影響を及ぼす。分散性の悪い樹脂を使用すると保護層の面を形成する際に凝集を生じ、透明性が低下する。また、分散性がよすぎると細かい凸凹を形成できなくなる。本発明の一般式(a)で表わされるメラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる球状粒子は比較的どのような樹脂でも分散性が良好であるが、特につぎの一般式(b)で表わされるポリビニルアセタール樹脂を使用すると透明性がよくヘッドマッチングに優れる細かい凸凹を形成できる分散性を有しており好ましい材料である。
【化5】
Figure 0003690553
【0015】
透明性についてはHAZE(曇り度 JIS K−7105に従う)で50%以下を透明性があると規定し、より好ましくは40%以下と規定したとき、ヘッドマッチングに優れる保護層表面の凹凸の大きさの範囲は光学的表面粗さ(Rp)で0.6〜1.2μmの間である。ここでRpとは『光学的接触法を中心とした紙の平滑度の測定方法』桜本真平著、大蔵省印刷局研究所報告29巻第9号615〜622頁(昭和52年9月)に記載されている測定原理により、装置として東洋精機製作所(株)製「マイクロトポグラフ」を使用して測定媒体にプリズムを圧着したときの媒体の表面の凹凸の状態を表わす値である。本発明においては媒体へのプリズムの加圧10.0Kgf/cm2で測定した。
【0016】
本発明で使用できる充填剤としては上記一般式(a)のものを単独で用いてもよいが、ブロッキング防止やマッチング向上のために本発明の範囲を満足していれば、透明性、表面性への大きな影響がない範囲で他の充填剤を併用して添加することも可能である。
【0017】
充填剤の例としてはホスフェートファイバー、チタン酸カリウム、針状水酸化マグネシウム、ウィスカー、タルク、マイカ、ガラスフレーク、炭酸カルシウム、板状炭カル、水酸化アルミニウム、板状水酸化アルミニウム、シリカ、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、ハイドロタルイサイト等の無機フィラーや架橋ポリスチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン共重合体粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリメタクリル酸メチルアクリレート樹脂粒子、グアナミン−ホルムアルデヒド共重合体粒子の有機フィラーが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
本発明において、保護層に用いられる樹脂としては、前記一般式(b)で表わされる骨格をもつ樹脂が表面を形成するための分散性の観点から好ましい材料であるが、特に限定されるものではなく、水溶性樹脂の他、水性エマルジョン、疎水性樹脂及び紫外線、電子線硬化樹脂等が挙げられる。樹脂の具体例としてはポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂等がある。また、必要に応じて架橋剤を添加することもできる。このような樹脂とともに用いる架橋剤としては、従来から公知の化合物を使用することができる。
【0019】
さらにヘッドマッチング性を向上させるために、保護層にワックス、オイル類を添加したり、バインダー樹脂としてシリコンで変成された樹脂を混合して用いる、樹脂と充填剤の比を調節する、等により摩擦係数を上げ下げして調節することができる。ここで用いることができるワックス類としては、ステアリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、オレイン酸アマイド、ラウリン酸アマイド、エチレンビスステアロアマイド、メチレンビスステアロアマイド、メチロールステアロアマイド、パラフィンワックス、ポリエチレン、カルナバワックス、酸化パラフィン、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。オイルとしては一般的なシリコンオイル等を用いることができる。
【0020】
本発明で使用する透明支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、或いはこれらを貼り合わせたフィルムである。支持体の透明性はシート全体の透明性にも影響を及ぼすことから、本発明においては支持体のHaze度は10%以下の支持体を使用することが好ましい。
【0021】
本発明で用いられるロイコ染料は電子供与性を示す化合物であり、単独または2種以上混合して適用されるが、それ自体無色或いは淡色の染料前駆体であり、特に限定されず従来公知のもの、例えば、トリフェニルメタンフタリド系、トリアリルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、チオフルオラン系、キサンテン系、インドフタリル系、スピロピラン系、アザフタリド系、クロメノピラゾール系、メチン系、ローダミンアニリノラクタム系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、ビスラクトン系等のロイコ化合物が好ましく用いられる。このような化合物の例としては、例えば以下に示すようのものが挙げられる。
【0022】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(ジ−n−ブチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
【0023】
2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
2−(N−メチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、
【0024】
2−(o−クロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(o−ブロモアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(o−クロルアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(o−フロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(m−トルフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、
2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−ジベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−ジベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
【0025】
2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、
2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、
2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−エチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、
2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、
2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
【0026】
2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロルアニリノ)フルオラン、
2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロルアニリノ)フルオラン、
【0027】
2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、
3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロル−6−ジプロピルアミノフルオラン、
3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−クロル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−クロル−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(o−クロルアニリノ)−3−クロル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(2,3−ジクロルアニリノ)−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0028】
1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−トルイジノ)フルオラン、その他。
【0029】
本発明において好ましく用いられる他の発色剤の具体例を示すと以下のとおりである。
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−2−エトキシプロピル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−オクチルアミノ)フルオラン、
2−(p−クロルアニリノ)−6−(N−n−パルチミルアミノ)フルオラン、
2−(p−クロルアニリノ)−6−(ジ−n−オクチルアミノ)フルオラン、
【0030】
2−ベンゾイルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(o−メトキシベンゾイルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−ジベンジルアミノ−4−メトキシ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−ジベンジルアミノ−4−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(p−トルイジノ)−3−(t−ブチル)−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(o−メトキシカルボニルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アセチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニルノ)フルオラン、
4−メトキシ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−エトキシエチルアミノ−3−クロル−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−ジベンジルアミノ−4−クロル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(α−フェニルエチルアミノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−ベンジル−p−トリフロロメチルアニリノ)−4−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、
【0031】
2−アニリノ−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、
2−アニリノ−3−クロル−6−ピロリジノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラドロフルフリルアミノ)フルオラン、
2−メシチジノ−4’,5’−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ピロリジノフルオラン、
2−(α−ナフチルアミノ)−3,4−ベンゾ−4’−ブロモ−6−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、
2−ピペリジノ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−n−プロピル−p−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、
2−(ジ−N−p−クロルフェニル−メチルアミノ)−6−ピロリジノフルオラン、
2−(N−n−プロピル−m−トリフロロメチルアニリノ)−6−モルフォリノフルオラン、
【0032】
1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンゾ−6−ジアリルアミノフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)フルオラン、ベンゾロイコメチレンブル−、
2−(3,6−ビス(ジエチルアミノ))−6−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、
2−(3,6−ビス(ジエチルアミノ))−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム、
3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、
3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、(別名クリスタルバイオレットラクトン)、
3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、
3,3−ビス−(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、
3,3−ビス−(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、
【0033】
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−ヒドロキシ−4,5−ジクロルフェニル)フタリド、
3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、
3−(2−ヒドロキシ−4−ジメトキシアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−クロルフェニル)フタリド、
3−(2−ヒドロキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−ニトロフェニル)フタリド、
3−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)フタリド、
3,6−ビス−(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、
6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、
6’−ブロモ−2’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン等。
【0034】
次に、本発明で用いられる顕色剤は電子受容性の化合物であり、従来公知の種々の電子受容性顕色剤を用いることができるが、透明性の点から本発明でより好ましいのは、特開平3−124360号公報等で示した長鎖アルキル基を分子内に含む電子受容性顕色剤である。例えば、炭素数12以上の脂肪族基をもつ有機リン酸化合物や脂肪族カルボン酸化合物やフェノール化合物、または炭素数10〜18の脂肪族基をもつメルカプト酢酸の金属塩、或いは炭素数5〜8のアルキル基をもつカフェー酸のアルキルエステルや炭素数16以上の脂肪族基をもつ酸性リン酸エステル等である。脂肪族基には、直鎖状または分岐状のアルキル基、アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ基、エステル等の置換基をもっていてもよい。以下にその顕色剤について具体例を例示する。
【0035】
(a)有機リン酸化合物
下記一般式(1)で表わされるものが好ましく用いられる。
【0036】
【化6】
Figure 0003690553
(式中、R1は炭素数12〜24の直鎖状アルキル基を表わす。)
一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物の具体例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘキサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。
【0037】
有機リン酸化合物としては、下記一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシアルキルホスホン酸も好ましく使用される。
【0038】
【化7】
Figure 0003690553
(式中、R2は炭素数11〜29の脂肪族基である。)
一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシアルキルホスホン酸を具体的に示すと、α−ヒドロキシドデシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α−ヒドロキシヘキサデシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタデシルホスホン酸、α−ヒドロキシエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシドコシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラコシルホスホン酸等が挙げられる。
【0039】
有機リン酸化合物としては、下記一般式(3)で表わされる酸性有機リン酸エステルも使用される。
【0040】
【化8】
Figure 0003690553
(式中、R3は炭素数16以上の脂肪族基を、R4は水素原子または炭素数1以上の脂肪族基を表わしている。)
一般式(3)で表わされる酸性有機リン酸エステルを具体的に示すと、ジヘキサデシルホスフェート、ジオクタデシルホスフェート、ジエイコシルホスフェート、ジドコシルホスフェート、モノヘキサデシルホスフェート、モノオクタデシルホスフェート、モノエイコシルホスフェート、モノドコシルホスフェート、メチルヘキサデシルホスフェート、メチルオクタデシルホスフェート、メチルエイコシルホスフェート、メチルドコシルホスフェート、アミルヘキサデシルホスフェート、オクチルヘキサデシルホスフェート、ラウリルヘキサデシルホスフェート等が挙げられる。
【0041】
(b)脂肪族カルボン酸化合物
下記一般式(4)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪酸類が好ましく用いられる。
【0042】
【化9】
Figure 0003690553
(式中、R5は炭素数12以上の脂肪族基を表わす。)
一般式(4)で表されるα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。
α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコカン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸等。
【0043】
脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基をもつ脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ位の炭素にハロゲン元素をもつものも好ましく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸等。
【0044】
脂肪族カルボン酸化合物としては、炭素中にオキソ基をもつ炭素数12以上の脂肪族基を有する脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位またはγ位の炭素がオキソ基となっているものが好ましく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば以下のようなものを挙げることができる。
2−オキソドデカン酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデカン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサン酸等。
【0045】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(5)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられる。
【0046】
【化10】
Figure 0003690553
(式中、R6は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、Xは酸素原子または硫黄原子を表わし、nは1または2を表わす。)
一般式(5)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸等。
【0047】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(6)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられる。
【0048】
【化11】
Figure 0003690553
(式中、R7、R8、R9は水素又は脂肪族基を表わし、このうち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基である。)
一般式(6)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3−ジオクタデシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシルブタン二酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二酸、2−メチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エチル−3−ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−ドデシルブタン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルブタン二酸等。
【0049】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(7)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられる。
【0050】
【化12】
Figure 0003690553
(式中、R10、R11は水素または脂肪族基を表わし、このうち少なくとも一つは炭素数12以上の脂肪族基である。)
一般式(7)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドテシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸等。
【0051】
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(8)で表わされる二塩基酸も好ましく用いられる。
【0052】
【化13】
Figure 0003690553
(式中、R12は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、nは0または1を表わし、mは1、2または3を表わし、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場合mは1または2を表わす。)
一般式(8)で表わされる二塩基酸の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
2−ドデシル−ペンタン二酸、2−ヘキサデシル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペンタン二酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコシル−ペンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2−ペンタデシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘキサン二酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコシル−ヘキサン二酸等。
【0053】
脂肪族カルボン酸化合物としては、長鎖脂肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三塩基酸も好ましく用いられる。その具体例としては、例えば下記表1に示したものが挙げられる。
【0054】
【表1】
Figure 0003690553
【0055】
(c)フェノール化合物
下記一般式(9)で表わされる化合物が好ましく用いられる。
【0056】
【化14】
Figure 0003690553
(式中、Yは−S−、−O−、−CONH−または−COO−を表わし、R13は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、nは1、2または3の整数である。)
一般式(9)で表わされるフェノール化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
p−(ドデシルチオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノール、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オクタデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テトラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタデシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカルバモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコシルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等。
【0057】
フェノール化合物としては、下記一般式(10)で表わされるカフェー酸アルキルエステルを使用することもできる。
【0058】
【化15】
Figure 0003690553
(式中、R14は炭素数5〜8のアルキル基である。)
一般式(10)で表わされるカフェー酸アルキルエステルの具体例を示すと、カフェー酸−n−ペンチル、カフェー酸−n−ヘキシル、カフェー酸−n−オクチル等が挙げられる。
【0059】
(c)メルカプト酢酸の金属塩
一般式(11)で表わされるアルキルまたはアルケニルメルカプト酢酸の金属塩を好ましく用いることができる。
【0060】
【化16】
Figure 0003690553
(式中、R15は炭素数10〜18の脂肪族基を表わし、Mはスズ、マグネシウム、亜鉛又は銅を表わす。)
一般式(11)で表わされるメルカプト酢酸金属塩の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
デシルメルカプト酢酸スズ塩、ドデシルメルカプト酢酸スズ塩、テトラデシルメルカプト酢酸スズ塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸スズ塩、オクタデシルメルカプト酢酸スズ塩、デシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ドデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、テトラデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、オクタデシルメルカプト酢酸マグネシウム塩、デシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ドデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、テトラデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、オクタデシルメルカプト酢酸亜鉛塩、デシルメルカプト酢酸銅塩、ドデシルメルカプト酢酸銅塩、テトラデシルメルカプト酢酸銅塩、ヘキサデシルメルカプト酢酸銅塩、オクタデシルメルカプト酢酸銅塩等。
【0061】
また、本発明においては、顕色剤として上記に記載した化合物に限られるものではなく、一般的な4,4’−イソプロピリデンビスフェノールや4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)のようなフェノール系顕色剤やサリチル酸、カルボン酸系顕色剤、金属塩系顕色剤等のその他の電子受容性の種々の化合物を使用することができる。
【0062】
本発明の感熱記録媒体において顕色剤は発色剤1部に対して1〜20部好ましくは2〜10部である。顕色剤は単独もしくは二種以上混合して適用することができ、発色剤についても同様に単独もしくは二種以上混合して適用することができる。
【0063】
次に、本発明で用いられる感熱発色層中のバインダー樹脂としては公知の種々の樹脂を使用でき、例えば、ポリアクリルアミド、マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル類、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、スチレン共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセトアセタール、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリアミド等がある。ここでも保護層同様に樹脂の屈折率と支持体の屈折率の比が0.8〜1.2の間であるものを使用するのが透明性の観点から好ましい。また、感熱発色層中のバインダー樹脂の含有量についても透明性の観点から感熱発色層の全固形分の15%以上であることが好ましく、基材接着性、発色性等を考慮したより好ましい範囲としては25〜40%の範囲である。
【0064】
以上本発明の感熱記録材料の感熱発色層中の主成分である、ロイコ染料、顕色剤、バインダー樹脂の具体例を挙げたがこれらに限るものではない。また、必要に応じ公知の填料、顔料、界面活性剤、熱可融性物質を添加することができる。
【0065】
本発明の保護層に用いる樹脂の中で有機溶媒(トルエン、メチルエチルケトン、アルコール類等)に溶解して用いるものは、これを感熱発色層上に塗布すると、一般的にはロイコ染料、顕色剤が溶解、接触することにより塗布直後に発色してしまう。この発色を防ぐため、▲1▼用いる溶媒に不溶、もしくは微溶のロイコ染料、及び/または顕色剤を選択して用いる。▲2▼ロイコ染料及び/または顕色剤をマイクロカプセルにより被覆し、染料と顕色剤が接触しにくくする。▲3▼感熱発色層上に樹脂層を設け、染料と顕色剤が接触しにくくする。等の方法をとることが望ましい。この中で、顕色剤として、前記一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物を用いることが、溶媒によるカブリ、発色感度、発色濃度の点で好ましい。この化合物を顕色剤として用いる場合には前記の感熱記録層に用いる樹脂の中で水酸基をもっているものが発色性、保存性の面から見て好ましい。具体的にはポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタールが挙げられる。
【0066】
本発明の感熱記録層は発色剤(染料)及び顕色剤をバインダー樹脂とともに水もしくは有機溶剤中に均一に分散もしくは溶解、またはマイクロカプセル化し、これを支持体上に塗布、乾燥して作製するが、塗工方式は特に限定されない。記録層塗布液に染料、顕色剤を分散、もしくはマイクロカプセル化した液を用いた場合、染料、顕色剤もしくはこれらを含有したマイクロカプセルの粒径が保護層の表面粗さ、透明性ひいては印字時のドット再現性に大きく関与するので、粒径は1.0μm以下が好ましい。記録層の膜厚は、記録層の組成や感熱記録媒体の用途にもよるが1〜50μm程度、好ましくは3〜20μm程度である。また、記録層塗布液には、必要に応じて、塗工性の向上或いは記録特性の向上を目的に界面活性剤等種々の添加剤を加えることもできる。
【0067】
なお、本発明においては、支持体と感熱発色層との間に、平滑性の向上などの必要に応じて中間層として顔料、バインダー、熱可融性物質などを含有する層を設けることが出来る。また、カール防止、帯電防止の必要に応じてバック層を設けることが出来る。
保護層の塗工方式は特に制限はなく、従来公知の方法で塗工することができる。好ましい保護層厚は0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。保護層厚が薄すぎると、記録媒体の保存性やヘッドマッチング等の保護層としての機能が不充分であり、厚すぎると記録媒体の熱感度が低下するし、コスト的にも不利である。
本発明の透明感熱記録媒体の記録方法は仕様目的によって熱ペン、サーマルヘッド、レーザ加熱等特に限定されない。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明する。なお、以下における「部」及び「%」はいずれも重量基準である。粒径についてはレーザー回折式粒径測定装置(HORIBA LA−700)で測定した結果を記載した。
実施例1
下記組成物をボールミルで粒径0.3μmまで粉砕・分散し記録層塗布液を作製した。
[A液]
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン 4部
オクタデシルホスホン酸 12部
ポリビニルブチラール 2部
(電気化学工業社製、デンカブチラール#3000−2)
ポリビニルアセトアセタール 6部
(積水化学製、エスレックKS−1)
トルエン 57部
メチルエチルケトン 57部
以上のようにして調製した塗布液を厚さ75μmのポリエステルフィルム(ユニチカ製T−75 Haze度3%)上に[A液]を塗布した後乾燥して厚さ10μmの感熱記録層を形成した。
【0069】
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液[B液]を作製した。
[B液]
メラミン−ホルムアルデヒド共重合体粒子 30部
(日本触媒社製、エポスターS、平均粒径0.3μm)
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 30部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 140部
このときの分散液の粒径は0.201μmであった。
【0070】
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液[C液]を作製した。
[C液]
B液 100部
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 35部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 65部
以上のようにして調製した保護層塗布液[C液]を、超音波処理を15分行なった後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ2.0μmの保護層を設け、本発明の透明感熱記録媒体を作製した。
【0071】
実施例2
実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(ユニチカ製T−75 Haze度3%)上に感熱記録層を形成した。
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液[D液]を作製した。
[D液]
B液 100部
シリコン変成ポリビニルブチラール樹脂 30部
(大日精化製、SP−712、固形分、12.5%)
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 22.5部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 72.5部
以上のようにして調製した保護層塗布液[D液]を、超音波処理を15分行なった後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ2.0μmの保護層を設け、本発明の透明感熱記録媒体を作製した。
【0072】
実施例3
実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(ユニチカ製T−75 Haze度3%)上に感熱記録層を形成した。
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液[E液]を作製した。
[E液]
メラミン−ホルムアルデヒド共重合体粒子 30部
(日本触媒製、エポスターS)
アクリル樹脂溶解液 30部
(三菱レーヨン製、BR73、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 140部
このときの分散液の粒径は0.30μmであった。
【0073】
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液[F液]を作製した。
[F液]
E液 100部
アクリル樹脂溶解液 35部
(三菱レーヨン製、BR73、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 65部
以上のようにして調製した保護層塗布液[F液]を、超音波処理を15分行なった後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ2.0μmの保護層を設け、本発明の透明感熱記録媒体を作製した。
【0074】
実施例4
実施例1と同様にしてポリエステルフィルム(ユニチカ製S−75 Haze度6%)上に感熱記録層を形成した。
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液[G液]を作製した。
[G液]
メラミン−ホルムアルデヒド共重合体粒子 30部
(日本触媒製、エポスターS)
アクリル樹脂溶解液 30部
(三菱レーヨン製、BR85、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 140部
このときの分散液の粒径は0.33μmであった。
【0075】
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液[H液]を作製した。
[H液]
G液 100部
アクリル樹脂溶解液 60部
(三菱レーヨン製、BR85、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 65部
以上のようにして調製した保護層塗布液[H液]を、超音波処理を15分行なった後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ2.0μmの保護層を設け、本発明の透明感熱記録媒体を作製した。
【0076】
比較例1
ポリエステルフィルム(ユニチカ製T−75 Haze度3%)にHaze度が20%となるようにバック層を塗工した支持体上に実施例1と同様に感熱記録層を10μm設けた。
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液[L液]を作製した。
[I液]
架橋ポリスチレン樹脂 30部
(三井東圧製、PP−600、粒径0.6μm)
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 30部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 140部
このときの分散液の粒径は0.6μmであった。
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液[J液]を作製した。
[J液]
I液 100部
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 60部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 65部
以上のようにして調製した保護層塗布液[J液]を、超音波処理を15分行なった後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ2.0μmの保護層を設け、比較用の透明感熱記録媒体を作製した。
【0077】
比較例2
ポリエステルフィルム(ユニチカ製T−75 Haze度3%)に上に実施例1と同様に感熱記録層を10μm設けた。
次に、下記組成物をボールミルで分散し充填剤分散液[K液]を作製した。
[K液]
尿素−ホルムアルデヒド縮合体粒子 30部
(チバガイギー製、Pergopak M2)
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 30部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 140部
このときの分散液の粒径は4.1μmであった。
さらに、下記組成物を十分に撹拌し保護層塗布液[L液]を作製した。
[L液]
K液 100部
ポリビニルアセトアセタール樹脂溶解液 135部
(積水化学製、KS−1、10%MEK溶解液)
メチルエチルケトン 65部
以上のようにして調製した保護層塗布液[L液]を、超音波処理を15分行なった後、先に得られた感熱記録層上に塗布、乾燥して、厚さ2.0μmの保護層を設け、比較用の透明感熱記録媒体を作製した。
【0078】
以上のようにして作製した感熱記録媒体を以下のようにして評価した。
・記録媒体の透明性(Haze度)
スガ試験機製直読ヘイズメーターによりJIS7105に従い測定した。
・保護層表面の光学的表面粗さ
東洋精機製作所(株)製「マイクロトポグラフ」を使用して媒体へのプリズムの加圧10.0kgf/cm2で測定した。
・白スジ
大倉電機製感熱印字シュミレーターを用い、下記印字条件で黒ベタを印字した。
Figure 0003690553
これをそれぞれの例についてn=3で印字してn=1当たりの平均の白スジ本数を算出した。
・スティッキング
パルス巾を0.5msecとした以外は白スジ評価と同様の条件で印字し、印字中の感熱記録媒体とサーマルヘッドとの貼り付き音を以下基準で評価した。
(基準)
◎…貼り付き音なし
○…貼り付き音ほとんどなし
△…貼り付き音有り
×…貼り付き音大きい
【0079】
【表2】
Figure 0003690553
【0080】
【発明の効果】
本発明の透明感熱記録材料は、保護層に充填剤としてメラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる球状粒子を含むことにより透明でありながら、白スジ、スティッキング等のヘッドマッチングに対して優れたものである。

Claims (5)

  1. 透明支持体上に無色又は淡色のロイコ染料と、該ロイコ染料を加熱発色せしめる顕色剤及び結着剤としてのバインダー樹脂を主成分とする感熱記録層、更にその上に充填剤と樹脂を含む保護層を設けてなる感熱記録材料において、該保護層に充填剤として下記一般式(a)で表わされる構造を有するメラミン−ホルムアルデヒド縮合物からなる球状粒子を保護層全体に対して60〜80重量%含むことを特徴とする透明感熱記録材料。
    Figure 0003690553
  2. 保護層の樹脂として下記一般式(b)で表わされる構造を有するポリビニルアセタール樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明感熱記録材料。
    Figure 0003690553
  3. 保護層の光学的表面粗さが0.6〜1.2μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明感熱記録材料。
  4. 顕色剤が下記一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物であり、バインダー樹脂として分子内に水酸基をもつ樹脂を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の透明感熱記録材料。
    Figure 0003690553
  5. 該支持体の透明性(Haze度)が10%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の透明感熱記録材料。
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