JP4136708B2 - 定着装置、画像形成装置、および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの複合機などの画像形成装置に関する。そのうち特に、帯電・書込み・現像・転写・クリーニングなどを繰り返して像担持体に順次トナー画像を形成し、そのトナー画像を逐次転写して定着し、用紙・OHPフィルム等の記録媒体に画像を記録する電子写真式の画像形成装置および画像形成方法に関する。ならびに、そのような画像形成装置や画像形成方法において、記録媒体上に転写した未定着画像を記録媒体に定着する定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真式の画像形成装置では、主として、内部にハロゲンヒータ等の熱源を有する加熱ローラに加圧ローラを押し当てて定着ニップを形成し、回転するそれら両ローラ間にトナー画像転写後の記録媒体を通して搬送しながら、定着ニップで熱と圧力とを加えて記録媒体に転写トナー画像を定着する、ローラ定着方式の熱定着装置が用いられていた。
【0003】
そして、近年特に強くなってきた省エネルギの要請から、定着装置への通電を不使用時には停止し、必要時のみ行うようにし、消費電力を低減することが行われるようになってきている。
【0004】
このような省エネ型の定着装置にあっては、画像形成を開始したとき、直ちに定着温度に達することが好ましい。このため、例えば、加熱ローラの基体の肉厚を1mm以下として薄肉化を図り、熱容量を小さくして加熱ローラを定着温度まで急速に立ち上げるようにしていた。
【0005】
しかしながら、加熱ローラの表面は、弾性を有しないと、定着表面に密着することができず、記録媒体表面の凹凸に追従できずに微小な光沢むらを生じて画像品質が劣化することとなる。モノクロではさほど問題とならない場合にも、カラーの画像形成装置では、加熱ローラの表面に弾性を持たせることは、不可欠であった。
【0006】
よって、ローラ定着方式では、定着装置の立ち上げ時間を短くしながら、画像品質の劣化を防止することが難しかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9-44014号公報
【特許文献2】
特開2002-148983号公報
例えば特許文献1や特許文献2に記載されるように、ローラ定着方式ではない定着方式も考えられているが、定着装置の立ち上げ時間を短くしながら、画像品質の劣化を防止することは難しかった。
【0008】
【特許文献3】
特開平14-214953号公報
従来の画像形成装置の中には、また特許文献3に記載されるように、非回転のベルト案内部材と弾性部材を設け、そのベルト案内部材で案内してエンドレスの定着ベルトを回転走行自在に支持し、その定着ベルトを熱源により加熱する一方、その定着ベルトを介して前記弾性部材に加圧ローラを接触してそれらの間に定着ニップを形成する定着装置を備えるものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような定着装置では、非回転のベルト案内部材と弾性部材に定着ベルトを接触するので、摩擦により定着ベルトの走行安定性を妨げるとともに、ベルト案内部材が定着ベルトの熱を奪って定着装置の立ち上がりを悪くする問題があった。
【0010】
そこで、この発明の第1の目的は、立ち上がり時間を短くしながら、画像品質の劣化を防止するとともに、定着ベルトの走行安定性を向上し得る定着装置を提供することにある。
【0011】
この発明の第2の目的は、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる定着装置を提供することにある。
【0012】
この発明の第3の目的は、定着ベルトを効果的に加熱し得る定着装置を提供することにある。
【0013】
この発明の第4の目的は、ベルト加熱効率を高めることができる定着装置を提供することにある。
【0014】
この発明の第5の目的は、安全性を向上するとともに、定着ベルトを均一に加熱することができる定着装置を提供することにある。
【0015】
この発明の第6の目的は、耐熱性を向上し、発火のおそれを解消することができる定着装置を提供することにある。
【0016】
この発明の第7の目的は、上記目的を達成した定着装置を備える画像形成装置を提供することにある。
【0017】
この発明の第8の目的は、上記目的を達成した定着装置を用いた画像形成方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、非回転のベルト案内部材で案内してエンドレスの定着ベルトを回転走行自在に支持し、その定着ベルトを熱源により加熱する一方、加圧側部材に接触してその加圧側部材との間で定着ニップを形成する定着装置において、
ベルト案内部材を、非記録媒体搬送領域では、断熱部材を介して定着ベルトの内面に接触する一方、記録媒体搬送領域では、定着ベルトに対して断熱部材の厚さ分、隙間を設けて保持する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明は、上述した第2の目的も達成すべく、請求項1に記載の定着装置において、ベルト案内部材が、定着ベルトを介して加圧側部材と接触する弾性部材を支持する支持部材である、ことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、上述した第2の目的も達成すべく、請求項1に記載の定着装置において、ベルト案内部材が、定着ベルトが変形して熱源に接触することを阻止するガイド部材である、ことを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明は、上述した第3の目的も達成すべく、請求項3に記載の定着装置において、ガイド部材に、熱源からの熱を通して定着ベルトを加熱する通孔を設ける、ことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載の発明は、上述した第3の目的も達成すべく、請求項3に記載の定着装置において、ガイド部材を線材で形成する、ことを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の発明は、上述した第2の目的も達成すべく、請求項1に記載の定着装置において、ベルト案内部材が、熱源による加熱範囲を制限する熱遮蔽部材を兼ねる、ことを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の発明は、上述した第4の目的も達成すべく、請求項1に記載の定着装置において、熱源に対向する側にカバー部材を取り付けて熱遮蔽部材に空気層を形成する、ことを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明は、支持部材を被う耐熱性のシート部材を設け、そのシート部材を介して弾性部材および断熱部材を定着ベルトに押し当てる、ことを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の発明は、上述した第5の目的も達成すべく、請求項1に記載の定着装置において、定着ベルトをほぼ円筒状態に張り渡し、その中心位置に熱源を備える、ことを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の発明は、上述した第6の目的も達成すべく、請求項1に記載の定着装置において、定着ベルトを熱伝導率のよい金属材料でつくる、ことを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の発明は、上述した第7の目的も達成すべく、請求項1ないし10のいずれか1に記載の定着装置を備える画像形成装置である、ことを特徴とする。
【0029】
請求項12に記載の発明は、上述した第8の目的も達成すべく、請求項1ないし10のいずれか1に記載の定着装置で定着して記録媒体に画像を形成する画像形成方法である、ことを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図1には、この発明による定着装置を備えたカラーレーザプリンタの全体概略構成を示す。
【0031】
図中符号100は、プリンタ装置本体である。プリンタ装置本体100には、中央に、エンドレスベルト状の中間転写体10を、ローラ12・13・14に掛け回して図中反時計まわりに回転搬送可能に設ける。もちろん、4つ以上のローラに掛け回すようにしてもよいし、図示例ではほぼ水平に張り渡すが、水平ではなく、斜めに傾斜して張り渡すようにしてもよい。
【0032】
この図示例では、1つのローラ12に近接し、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置16を設ける。
【0033】
また、左右に張り渡した中間転写体10下には、その搬送方向に沿って、シアン・マゼンタ・イエロ・ブラックの4つの単色作像手段18C・18M・18Y・18Kを横に並べて配置し、タンデム作像装置20を設ける。タンデム作像装置20の下には、さらに露光装置21を設ける。
【0034】
一方、ローラ13の横には、二次転写装置22を備える。二次転写装置22は、中間転写体10を介してローラ13に転写ローラ23を押し当てて二次転写位置に転写ニップを形成し、中間転写体10上の画像を記録媒体Pに転写する。もちろん、二次転写装置22として、転写ローラ23に代えて、非接触のチャージャを配置してもよい。
【0035】
さて、露光装置21の下には、用紙・OHPフィルム等の記録媒体Pを収納する媒体収納カセット24を備える。媒体収納カセット24の右上には、送出装置25を設ける。そして、左右に張り渡した中間転写体10、タンデム作像装置20、露光装置21の横には、送出装置25から二次転写位置を通って、図中下方から上方へと記録媒体搬送路26を設ける。
【0036】
そして、その記録媒体搬送路26に沿って、二次転写位置の上流にレジストローラ27を配置し、下流に定着装置30を備える。定着装置30については、詳しくは後述する。その定着装置30のさらに下流には、排出ローラ31を設け、その下流には、プリンタ装置本体100上にスタック装置32を設ける。
【0037】
ところで、いまこのカラーレーザプリンタを用いて画像を形成するときは、不図示のホストからの信号を受けて、ローラ12・13・14の1つを回転駆動するとともに残りのローラを従動回転して中間転写体10を搬送する。
【0038】
同時に、個々の単色作像手段18でその像担持体40を回転して各像担持体40上にそれぞれ、ブラック・イエロ・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次重ね一次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0039】
また、所定のタイミングで送出装置25を駆動し、媒体収納カセット24から記録媒体Pを繰り出し、記録媒体搬送路26に入れてレジストローラ27に突き当てて止める。
【0040】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ27を回転し、中間転写体10と二次転写装置22との間の二次転写位置に記録媒体Pを送り込み、二次転写装置22により中間転写体10上の合成カラー画像を一括して二次転写し、記録媒体P上にカラー画像を形成する。
【0041】
画像転写後の記録媒体Pは、定着装置30へと送り込み、定着装置30で熱と圧力とを加えて記録媒体Pに転写トナー画像を定着して後、排出ローラ31で排出してスタック装置32上にスタックする。
【0042】
一方、画像転写後の中間転写体10は、ベルトクリーニング装置16で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像装置20による再度の画像形成に備える。
【0043】
さて、上述したタンデム作像装置20において、各単色作像手段18は、詳しくは、ドラム状の像担持体40のまわりに、帯電装置41、現像装置42、一次転写装置43、クリーニング装置44、不図示の除電装置などを備えてなる。
【0044】
そして、図示省略するが、これら単色作像手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
【0045】
単色作像手段18を構成する部分のうち、帯電装置41は、図示例では帯電ローラを用い、像担持体40に接触して電圧を印加することによりその像担持体40の帯電を行う。
【0046】
現像装置42は、図示例では、磁性キャリアと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。
【0047】
一次転写装置43は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで像担持体40に押し当てて設ける。別に、ローラ状に限らず、ブラシや非接触のチャージャであってもよい。
【0048】
クリーニング装置44は、像担持体40に接触してクリーニングブレードやクリーニングブラシなどのクリーニング部材を備え、そのクリーニング部材で像担持体40上の残留トナーを除去する。
【0049】
不図示の除電装置は、例えばランプであり、光を照射して像担持体40の表面電位を初期化する。
【0050】
そして、像担持体40の回転とともに、まず帯電装置41で像担持体40の表面を一様に帯電し、次いでホストからの信号を受けて、上述した露光装置21において、レーザやLED等による書込み光Lをポリゴンミラー46で反射してさらにレンズを透しミラーで反射し、像担持体40に照射して像担持体40上に静電潜像を形成する。
【0051】
その後、現像装置42によりトナーを付着してその静電潜像を可視像化し、その可視像を一次転写装置43で中間転写体10上に転写する。画像転写後の像担持体40の表面は、クリーニング装置44で残留トナーを除去して清掃し、除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0052】
図中符号48は、トナーを収納するトナー容器であり、それぞれ対応する現像装置42のトナーがなくなったとき、それにトナーを補給する。なお、図中符号40〜48の符号にあっては、シアンの場合はC、マゼンタの場合はM、イエロの場合はY、そしてブラックの場合はKを付して示す。
【0053】
図2には、図1に示すカラーレーザプリンタで用いる定着装置30を示す。
定着装置30は、定着側部材34と加圧側部材35とで構成する。
【0054】
定着側部材34は、3つの非回転のベルト案内部材50・51・52で案内してエンドレスの定着ベルト53をほぼ円筒状に張り渡し、その中心位置に備える熱源54まわりに回転走行自在に支持し、その定着ベルト53をハロゲンヒータ等の熱源54により加熱する一方、加圧側部材35の加圧ローラ36に接触してその加圧側部材35との間で定着ニップNを形成する。
【0055】
3つのベルト案内部材50・51・52のうちの1つのベルト案内部材50は、熱遮蔽部材を兼ね、細長な板材の両側縁50aを熱源54側に直角に折り曲げた形状につくり、ほぼ円筒状に張り渡す定着ベルト53内に径方向に配置して、熱源54による加熱範囲を制限する。
【0056】
そして、図3に示すように、ベルト案内部材である熱遮蔽部材50は、非記録媒体搬送領域では、両側縁50aの両側に、フェルト・発泡シリコン・テフロン膜等の断熱部材55を貼り付け、その断熱部材55を介して定着ベルト53の内面に接触する。一方、記録媒体搬送領域では、断熱部材55の厚さtの分、隙間を設けて定着ベルト53の内面に対して非接触で保持する。
【0057】
図2に示すとおり、ベルト案内部材である熱遮蔽部材50の、熱源54と反対の側には、取付ねじ57で、非ローラ形状の定着固定部材58を取り付ける。
【0058】
定着固定部材58は、3つのベルト案内部材50・51・52のうちの他の1つである支持部材51と、その支持部材51の表側にはめ付けてそれで支持する弾性部材61と、支持部材51の裏側に取り付ける補強部材62と、支持部材51の表側全体を被うシート部材63と、長板状のスペーサ64を介してシート部材63を補強部材62に取り付ける締結ねじ65などで構成する。
【0059】
支持部材51は、金属材料でもよいが、好ましくは樹脂材料等の断熱部材を用いて、図4に示すように細長につくって定着ベルト53を横切る方向に配置する。そして、別のベルト案内部材である熱遮蔽部材50と同様に、非記録媒体搬送領域では、表面に、フェルト・発泡シリコン・テフロン(登録商標)膜等の断熱部材66を貼り付け、その断熱部材66を介して定着ベルト53の内面に接触する。一方、記録媒体搬送領域では、断熱部材66の厚さの分、定着ベルト53の内面に対して隙間を設けて保持する。
【0060】
また、記録媒体搬送領域では、細長な矩形凹部を設けてそこに断熱性の弾性部材61をはめ込んで弾性部材61を支持する。弾性部材61は、図5(A)に示すように表面フラットでもよいし、(B)に示すように湾曲させてアールを付けてもよい。
【0061】
図5(A)および(B)から判るとおり、支持部材51の背面には、取付ねじ57をねじ込む突部51aを挟んで2つのスリット状の嵌合溝を平行に設け、それに補強部材62の両側をはめ込む。補強部材62は、断面コ字形状のステーであり、定着圧力により変形しないか変形の少ない剛性材料で形成する。
【0062】
支持部材51の表側を被うシート部材63は、耐熱性の保護シートで、ガラス繊維入りとし、フッ素コートして低摩擦特性を有し、弾性部材61を支持する支持部材51の全体を被って定着ベルト53との間の摩擦により弾性部材61が摩耗することを防止する。
【0063】
そして、図示省略する定着側板に設ける付勢部材で補強部材62を付勢して図2に示すように定着固定部材58の弾性部材61をシート部材63を介して定着ベルト53に押し当てて加圧側部材35の加圧ローラ36に接触し、定着ベルト53と加圧ローラ36との間で定着ニップNを形成する。また、非記録媒体搬送領域では、図6に示すように、断熱部材66をシート部材63を介して定着ベルト53に押し当てて加圧側部材35の加圧ローラ36に接触する。
【0064】
3つのベルト案内部材50・51・52のうちの最後の1つのベルト案内部材52としては、定着ベルト53が変形して熱源54に接触することを阻止する板状のガイド部材を設ける。
【0065】
そして、このガイド部材52も、別のベルト案内部材である熱遮蔽部材50・51と同様に、図7に示すように、非記録媒体搬送領域では、表面に、フェルト・発泡シリコン・テフロン膜等の断熱部材68を貼り付け、その断熱部材68を介して定着ベルト53の内面に接触する。一方、記録媒体Pの搬送領域では、断熱部材68の厚さtの分、隙間を設けて定着ベルト53の内面に対して非接触で保持する。
【0066】
ところで、このガイド部材52には、図8に示すように、熱源54からの熱を通して定着ベルト53を加熱する通孔52aを設けると、その通孔52aを通して熱源54からの熱を定着ベルト53に有効に当て、定着ベルト53を効果的に加熱することができる。
【0067】
また、図9(A)に示すようにガイド部材52を線材で形成してその両端に断熱部材68を巻き付け、(B)に示すように配置すると、ガイド部材52で遮ることなく熱源54からの熱を定着ベルト53に有効に当て、定着ベルト53を効果的に加熱することができる。
【0068】
さらに、図10に示すように、熱源54と対向する側に断熱部材72を挟んでカバー部材73を取り付けて熱遮蔽部材50に空気層74を形成すると、その空気層74で熱の移動を遮断してベルト加熱効率を高めることができる。
【0069】
ここで、定着ベルト53としては、ベース材に、熱伝導率のよいNi、SUS、Fe、Al等の金属材料を用い、その表面材に、フッ素シリコン系の樹脂、ゴムなどを用いてつくる。カラーの場合には、ベース材と表面材との間に耐熱層を設ける。そして、図2に示すように、その定着ベルト53の外周に、サーミスタ等の温度検知部材70を接触する。
【0070】
一方、加圧側部材35は、定位置で回転自在に支持して不図示の駆動手段で回転駆動する加圧ローラ36と、その中心位置に設けるハロゲンヒータ等の熱源37と、加圧ローラ36の外周に接触するサーミスタ等の温度検知部材38とで構成する。なお、ここで定着ベルト53の表面硬度は、この加圧ローラ36の表面硬度と等しいか小さくする。
【0071】
そして、定着時は、熱源54・37を点灯し、定着ベルト53と加圧ローラ36を輻射熱で直接加熱し、温度検知部材70・38で温度を検知して熱源54・37をオンオフし、所定温度に保つ。一方、不図示の駆動手段で加圧ローラ36を回転し、摩擦により定着ベルト53を非回転のベルト案内部材50・51・52で案内して断熱部材55・66・68に摺接しながら走行するとともに、定着ニップ間に送り込まれた記録媒体Pを搬送する。
【0072】
これにより、所定温度に加熱した定着ベルト53を弾性部材61で均一に加圧して記録媒体Pの定着面に密着し、転写トナー画像を記録媒体Pに定着する。
【0073】
上述したとおり、記録媒体搬送領域では、定着ベルト53に対してベルト案内部材50・51・52を非接触で保持するので、摩擦を少なくして定着ベルト53の走行安定性を向上するとともに、ベルト案内部材50・51・52が定着ベルト53の熱を奪うことなく、定着装置30の立ち上がり時間を短くすることができる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に係る発明によれば、非回転のベルト案内部材で案内してエンドレスの定着ベルトを回転走行自在に支持するので、熱源により加熱する定着ベルトを熱源に触れることなく円滑に安定して走行し、定着ベルトを均一に加熱して画像品質の低下を防止するとともに、定着ベルトの一時停止による発火のおそれをなくすことができる。
【0075】
また、定着ベルトを熱源により直接加熱するので、熱容量の小さな定着ベルトを瞬時に加熱して定着装置の立ち上がり時間を短くすることができる。さらに、記録媒体搬送領域では、定着ベルトに対して断熱部材の厚さ分、隙間を設けて保持するので、摩擦を少なくして定着ベルトの走行安定性を向上するとともに、ベルト案内部材が定着ベルトの熱を奪うことなく、定着装置の立ち上がり時間を短くすることができる。
【0076】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、ベルト案内部材が、定着ベルトを介して加圧側部材と接触する弾性部材を支持する支持部材であるので、記録媒体表面の凹凸に追従して加熱ローラの表面を定着表面に密着し、光沢むらの発生をなくして画像品質を向上する弾性部材を用い、その弾性部材を支持する支持部材をベルト案内部材で兼ねて部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0077】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、ベルト案内部材が、定着ベルトが変形して熱源に接触することを阻止するガイド部材であるので、そのようなガイド部材を設け、そのガイド部材をベルト案内部材で兼ねて部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0078】
請求項4に係る発明によれば、請求項3に係る発明の効果に加えて、ガイド部材に、熱源からの熱を通して定着ベルトを加熱する通孔を設けるので、通孔を通して熱源からの熱を定着ベルトに有効に当て、定着ベルトを効果的に加熱することができる。
【0079】
請求項5に係る発明によれば、請求項3に係る発明の効果に加えて、ガイド部材を線材で形成するので、ガイド部材で大きく遮ることなく熱源からの熱を定着ベルトに有効に当て、定着ベルトを効果的に加熱することができる。
【0080】
請求項6に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、ベルト案内部材が、熱源による加熱範囲を制限する熱遮蔽部材を兼ねるので、熱源による加熱範囲を制限してベルト加熱効率を高める熱遮蔽部材を設け、そのような熱遮蔽部材をベルト案内部材で兼ねて部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0081】
請求項7に係る発明によれば、請求項6に係る発明の効果に加えて、熱源に対向する側にカバー部材を取り付けて熱遮蔽部材に空気層を形成するので、その空気層で熱の移動を遮断してベルト加熱効率を高めることができる。
【0082】
請求項1に係る発明によれば、上述した効果に加えて、ベルト案内部材の、定着ベルトが摺接する部分に断熱部材を設けるので、定着ベルトの熱がベルト案内部材に逃げることを防いでベルト加熱効率を高めることができる。
【0083】
請求項9に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、定着ベルトをほぼ円筒状態に張り渡すので、定着ベルトの走行安定性を向上し、しかもその中心位置に熱源を備えるので、記録媒体の搬送ジャムやベルトの片寄りにより定着ベルトに変形を生じ、また破損が発生しても、定着ベルトが熱源に接触するおそれを少なくして安全性を向上するとともに、定着ベルトを均一に加熱することができる。
【0084】
請求項10に係る発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、定着ベルトを熱伝導率のよい金属材料でつくるので、耐熱性を向上し、発火のおそれを解消することができる。
【0085】
請求項11に係る発明によれば、請求項1ないし10のいずれか1に記載の定着装置を備える画像形成装置であるので、上記各効果を有する定着装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
ことができる。
【0086】
請求項12に係る発明によれば、請求項1ないし10のいずれか1に記載の定着装置で定着して記録媒体に画像を形成する画像形成方法であるので、上記各効果を有する定着装置を用いた画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による定着装置を備えたカラー複写機の全体概略構成図である。
【図2】そのカラー複写機に備える定着装置の概略構成図である。
【図3】その定着装置の定着側部材における熱遮蔽部材位置の断面図である。
【図4】定着側部材において、弾性部材を保持する支持部材を、加圧側部材の方から見た図である。
【図5】(A)は補強部材を取り付けたその支持部材の断面図、(B)はその支持部材の他例の断面図である。
【図6】図4のB−B位置における定着装置の概略構成図である。
【図7】その定着側部材におけるガイド部材位置の断面図である。
【図8】他例のガイド部材を用いた定着装置の概略構成図である。
【図9】(A)はさらに他例のガイド部材を示す図、(B)はそれを用いた定着装置の概略構成図である。
【図10】他例の熱遮蔽部材を用いた定着装置の概略構成図である。
【符号の説明】
30 定着装置
34 定着側部材
35 加圧側部材
50 熱遮蔽部材(ベルト案内部材)
51 支持部材(ベルト案内部材)
52 ガイド部材(ベルト案内部材)
52a 通孔
53 定着ベルト
54 熱源
55 断熱部材
61 弾性部材
66 断熱部材
68 断熱部材
73 カバー部材
74 空気層
P 記録媒体
N 定着ニップ
Claims (12)
- 非回転のベルト案内部材で案内してエンドレスの定着ベルトを回転走行自在に支持し、その定着ベルトを熱源により加熱する一方、加圧側部材に接触してその加圧側部材との間で定着ニップを形成する定着装置において、
前記ベルト案内部材を、非記録媒体搬送領域では、断熱部材を介して前記定着ベルトの内面に接触する一方、記録媒体搬送領域では、前記定着ベルトに対して前記断熱部材の厚さ分、隙間を設けて保持することを特徴とする、定着装置。 - 前記ベルト案内部材が、前記定着ベルトを介して前記加圧側部材と接触する弾性部材を支持する支持部材であることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記ベルト案内部材が、前記定着ベルトが変形して前記熱源に接触することを阻止するガイド部材であることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記ガイド部材に、前記熱源からの熱を通して前記定着ベルトを加熱する通孔を設けることを特徴とする、請求項3に記載の定着装置。
- 前記ガイド部材を線材で形成することを特徴とする、請求項3に記載の定着装置。
- 前記ベルト案内部材が、前記熱源による加熱範囲を制限する熱遮蔽部材を兼ねることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記熱源に対向する側にカバー部材を取り付けて前記熱遮蔽部材に空気層を形成することを特徴とする、請求項6に記載の定着装置。
- 前記支持部材を被う耐熱性のシート部材を設け、そのシート部材を介して前記弾性部材および前記断熱部材を定着ベルトに押し当てることを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
- 前記定着ベルトをほぼ円筒状態に張り渡し、その中心位置に前記熱源を備えることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記定着ベルトを熱伝導率のよい金属材料でつくることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1に記載の定着装置を備えることを特徴とする、画像形成装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1に記載の定着装置で定着して記録媒体に画像を形成することを特徴とする、画像形成方法。
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