JP4136691B2 - 眼科装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動的に被検眼と検眼部に対する位置合わせを行う眼科装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被検眼の瞳孔に測定光束を投影し、その眼底からの反射光により検査を行う従来の眼屈折力測定装置における被検眼との位置合わせ方法としては、被検眼の角膜頂点に位置合わせを行っている。被検眼によっては瞳孔と角膜頂点は偏心している場合があり、偏心が大きい場合は測定に必要な光束が虹彩にけられてしまい、正しい測定値を得るのが困難となることがある。
【0003】
また、正確な屈折力の測定は、本来の視軸である瞳孔中心で測定した方が精度が良く、特開平9−66027号公報に示すような瞳孔中心に測定光軸を合わせ屈折力の測定を行う装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来例においては、被検眼の瞳孔が大きい場合には瞳孔の領域に瞼がかぶり易くなり、瞼が瞳孔領域にかぶった場合には、瞳孔の重心を求めることにより瞳孔の中心を求めるような簡単な演算では、正確な瞳孔の中心位置を求めることは困難となり、瞳孔中心とは異なる位置で測定を行ってしまう虞れがある。
【0005】
また、瞼の瞳孔領域へのかぶり方により瞳孔中心の検出位置が一定にならず、測定ごとに測定する位置が変化し、測定値が安定しないという問題がある。更に、瞳孔領域に瞼がかぶった状態で正確に瞳孔中止を求めるには複雑な演算が必要となり、演算時間が長くなると共に測定時間が長くなり、被検者に余分な負担を掛けてしまうという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、正確かつ迅速に位置合わせを行って測定を行うことのできる眼科装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る眼科装置は、被検眼の瞳孔内に光束を投影し、その反射光を用いて測定又は検査を行う検眼部を備え自動アライメントを実行する眼科装置において、被検眼の角膜にアライメント用光束を投光するアライメント光投影手段と、該アライメント用光束の角膜反射光束を検出し角膜頂点位置を検出する検出手段と、被検眼の前眼部を撮影する撮像手段と、該撮像手段で撮影された前眼部像から瞳孔の重心を求め被検眼の瞳孔中心位置を算出する瞳孔位置演算手段と、前記撮像手段で撮影された前眼部像から被検眼の瞳孔径を算出する瞳孔径演算手段と、前記検出された角膜頂点位置に基づいて前記検眼部のZ方向の位置ずれを検出し、該位置ずれが所定の範囲内になるように前記検眼部のZ方向の位置合わせを行い、前記算出した被検眼の瞳孔径が所定の値よりも大きい場合は前記角膜頂点位置と前記検眼部のXY方向の位置ずれを検出し、該位置ずれが所定の範囲内になるように前記検眼部のXY方向の位置合わせを行い、前記瞳孔径が所定の値よりも小さい場合は前記算出した被検眼の瞳孔中心位置と前記検眼部のXY方向の位置ずれを検出して、該位置ずれが所定の範囲内になるように前記検眼部のXY方向の位置合わせを行う制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は眼屈折測定装置の外観図を示しており、基台1の上部に検眼部2が移動自在に載置され、基台1の操作面には、測定値や被検眼像等の表示や各種装置の設定を選択する液晶モニタやCRTモニタ等から成る表示部3、その表示画面を操作したり、検眼部2を大まかに被検眼に位置合わせするためのトラックボール4、ローラ5、プリンタ印字スイッチや測定開始スイッチや選択設定スイッチ等が配置されたスイッチパネル6、測定結果を印字するプリンタ7が配置されている。被検者は基台1の操作面と反対側にある図示しない顔受部に顔を載置し、検眼部2の対物部の前に被検眼を置くことにより、測定が可能となる。
【0009】
図2は検眼部2の内部の光学的構成図を示し、被検眼Eの視軸に位置合わせする検眼部2の光軸O上には、被検眼E側から、可視光を全反射し波長880nmの光束を一部反射するダイクロイックミラー11、対物レンズ12、孔あきミラー13、絞り14、投影レンズ15、投影絞り16、880nmの光束を出射する測定光源17が順次に配列されている。そして、孔あきミラー13の反射方向には、6分割絞り18、6分割プリズム19、受光レンズ20、二次元撮像素子21が順次に配置されている。6分割絞り18と6分割プリズム19は図3に示す形状とされ、実際には6分割絞り18と6分割プリズム19は密着されている。
【0010】
一方、ダイクロイックミラー11の反射方向には、固視標投影光学系と、前眼部観察とアライメント検出が共用される受光光学系とが配置されている。受光光学系として、レンズ22、ダイクロイックミラー23、アライメントプリズム絞り24、結像レンズ25、二次元撮像素子26が順次に配列されている。アライメントプリズム絞り24は図4に示すような形状とされ、円板状の絞り板に3つの開口部が一列に設けられており、両側の開口部のダイクロイックミラー23側に、波長880nm付近のみの光束を透過するアライメントプリズム24a、27bが接着されている。
【0011】
固視投影光学系として、ダイクロイックミラー23の透過側には、全反射ミラー27、固視誘導レンズ28、固視チャート29、固視投影光源30が順次に配列されている。そして、被検眼Eの前方の光軸Oの両側には、外眼照明光源31a、31bが設けられている。
【0012】
図5は眼屈折測定装置のブロック回路構成図を示しており、制御・演算等を行うCPU41には、トラックボール4、ローラ5、スイッチパネル6、プリンタ7が接続されている。また、CPU41には検眼部2を駆動するための上下駆動モータ42、前後駆動モータ43、左右駆動モータ44が、それぞれモータドライバ45、46、47を介して接続されている。更に、CPU41には固視標光源30、外眼照明光源31、測定光源17がD/Aコンバータ48を介して接続され、固視誘導レンズ28を駆動するための固視誘導レンズ用モータ49がモータドライバ50を介して接続されている。
【0013】
二次元撮像素子21、26の出力はビデオスイッチ51に接続され、ビデオスイッチ51の出力は二岐され、一方はCPU41に、他方はA/Dコンバータ52、画像メモリ53を介してCPU41に接続されている。また、二次元撮像素子21の出力は、CPU41からキャラクタ発生装置54を介した信号と合成され、表示部3に接続されている。
【0014】
このように構成された眼屈折測定装置において、先ず操作者は被検者の顔を顔受台に載せた後に、被検眼Eに対して検眼部2を光軸Oを合わせるために、トラックボール4とローラ5を操作する。トラックボール4の操作は、検眼部2を被検眼Eに対し左右及び前後方向に移動させ、ローラ5は検眼部2を上下方向に移動させて位置合わせできる。
【0015】
この操作において、装置側ではトラックボール4及びローラ5に内蔵されているそれぞれのパルスカウンタやロータリエンコーダからの出力信号をCPU41で受けて、操作量及び速度が検知することができる。更に、その操作量及び速度より各モータドライバ45、46、47を介して、上下駆動モータ42、前後駆動モータ43、左右駆動モータ44を駆動する。
【0016】
固視誘導時に、点灯された固視投影光源30の投影光束は、固視チャート29を裏側から照明し、固視誘導レンズ28、レンズ22を介して被検眼Eの眼底Erに投影される。固視誘導レンズ28は被検眼Eの視度の変化に対応できるように、固視誘導レンズ用モータ49の回転により光軸方向に移動される。
【0017】
アライメント検出のための光源は測定光源17と共用されており、測定光源17からの光束は被検眼Eの角膜Ecで反射され、その角膜反射光束はダイクロイックミラー11で反射され、レンズ22を通り、ダイクロイックミラー23で反射され、アライメント光学系に導かれる。アライメント光学系では、アライメントプリズム絞り24のアライメントプリズム24aを透過した光束は下方向に屈折され、アライメントプリズム24bを透過した光束は上方向に屈折する。また、中心の開口部を通る光束はそのまま透過し、結像レンズ25を介して二次元撮像素子26上に3つの輝点を結像する。
【0018】
また、被検眼Eの前眼部像と波長880nmの外眼照明光源31a、31bによる角膜反射像も、ダイクロイックミラー11で反射され、レンズ22を通り、更にダイクロイックミラー23で反射されアライメント光学系に導かれ、アライメントプリズム絞り24の中心の開口部のみを通過し、結像レンズ25を介して二次元撮像素子26に結像される。
【0019】
二次元撮像素子26で撮影された前眼部像の映像信号は、ビデオスイッチ51を介しA/Dコンバータ52によりデジタルデータに変換され、画像メモリ53に格納される。CPU41は画像メモリ53に格納された画像を基に、アライメント輝点の抽出や瞳孔抽出等の画像処理を行う。また、二次元撮像素子26で撮影された前眼部像の映像信号は、キャラクタ発生装置54からの信号と合成され、表示部3上に前眼部像や測定値等を表示する。また、必要に応じて測定値等をプリンタ7に印字する。
【0020】
図6は表示部3の画面の説明図を示し、二次元撮像素子26による被検眼Eの前眼部像を示している。被検眼Eの前眼部像及び外眼照明光源31a、31bの角膜反射像は、アライメントプリズム絞り24の中心の開口部を透過した光束によって瞳孔像の左右に結像される。また、測定光源17による角膜反射像も縦一列の3つの輝点として結像する。つまり、アライメントプリズム絞り24のアライメントプリズム24aを透過した光束は上側の輝点、アライメントプリズム24bを透過した光束は下側の輝点、中心の開口部を透過した光束は中心の輝点となる。
【0021】
図6(a)は被検眼Eの作動距離が適正に位置合わせされた状態を示し、図6(b)は被検眼Eと検眼部2との作動距離が適正位置よりも遠い状態の前眼部像を示しており、図6(c)は被検眼Eと検眼部2との作動距離が適正位置よりも近い状態の前眼部像を示している。アライメントの作動距離方向のアライメントずれは、上下の輝点のX座標のずれにより算出し、また上下左右方向のアライメントずれは中心の輝点の位置により算出する。
【0022】
操作者は上述の操作により検眼部2を移動させ、表示部3を介して被検眼Eの角膜Ec上でアライメント光の角膜反射光による3つの輝点が見えるように、或る程度の位置合わせを行い、3つの輝点が表示部3上に確認されると、スイッチパネル6に配置された測定開始スイッチを押すことにより、自動アライメントを開始する。
【0023】
図7は自動アライメントについてのフローチャート図を示しており、先ずステップS1では、二次元撮像素子26で撮影された被検眼Eの前眼部像の映像信号を、A/Dコンバータ52を介してデジタルデータに変換し、画像メモリ53に取り込み、CPU41により画像メモリ53内の前眼部像から測定光源17による角膜反射像の3点の輝点を抽出し、各輝点の座標を検出する。
【0024】
図8は画像メモリ53上に取り込まれた被検眼Eの前眼部像を示し、ステップS2では、ステップS1において検出された角膜反射像の3つの輝点の内の中心の輝点B1のY座標上の水平方向のラインLyにおいて、瞳孔Pと虹彩のエッジE1、E2を検出し、エッジE1、E2間の距離ΔXを算出し、この距離ΔXから被検眼Eの瞳孔Pの瞳孔径を求める。
【0025】
次にステップS3に移行し、ステップS2において算出した瞳孔Pの瞳孔径の大きさを判断し、瞳孔径が例えば4mm以下の場合にはステップS4に移行し、4mm以上の場合にはステップS6に移行する。
【0026】
ステップS4では画像メモリ53に取り込まれた被検眼Eの前眼部像から瞳孔Pの重心位置を計算し瞳孔Pの中心を求める。続いて、ステップS5において瞳孔中心と装置の測定光軸との左右上下のXY方向のアライメントのずれ量を算出し、ステップS7に移行する。
【0027】
なお、ステップS3において、瞳孔径が4mmよりも大きいと判定された場合は、ステップS6において、ステップS1で検出した角膜反射像の3つの内の中心の輝点B1の座標から装置の測定光軸とのXY方向のアライメントのずれ量を算出し、ステップS7に移行する。ステップS7ではステップS1で検出した角膜反射像の上下の輝点B2及びB3のX座標のずれにより作動距離であるZ方向のアライメントのずれ量を求める。
【0028】
ステップS8では、XYZの各方向のずれ量が所定の範囲にあるか否かを判定し、ずれ量が所定の範囲よりも大きければステップS9に移行し、ずれ量に応じて上下駆動モータ42、前後駆動モータ43、左右駆動モータ44を駆動してアライメントのずれを小さくし、ステップS1に戻る。
【0029】
以上説明した工程をステップS8において、ずれ量が所定範囲内であると判定されるまで繰り返し、自動アライメント動作完了後に、測定動作を行い測定値を算出する。
【0030】
なお、ステップS3において瞳孔径によってXY方向のアライメント検出方法を切換える理由を説明する。図9(a)は被検眼Eの瞳孔径が小さく、瞼が下がっている状態の前眼部像を示しており、図9(b)は被検眼Eの瞳孔径が大きく、瞼が下がっている状態の前眼部像を示している。図9(a)に示すように瞳孔径が小さい場合は、瞼が少し下がったとしても瞼が瞳孔領域に被らないため、瞳孔の本来の中心Pgと算出した瞳孔Pの中心Pg’はほぼ一致する。
【0031】
しかしながら、図9(b)に示すように、瞳孔径が大きい場合は瞼が少し下がっただけでも瞳孔領域に瞼がかぶってしまう。このような状態で瞳孔Pの重心を求めると、算出される瞳孔中心はPg’と本来の瞳孔中心Pgとはずれを生じてしまう。
【0032】
また、このずれは瞼が瞳孔領域にかぶる量により変化してしまうためで安定した位置で測定ができない。従って、同じ被検眼Eを測定しても、瞳孔Pが大きい場合には測定位置が測定ごとにばらついてしまい、安定した測定値を得ることが困難になる虞れがある。
【0033】
アライメントが終了した後の測定においては、測定光源17から発した光束は、投影絞り16で絞られ、投影レンズ15で対物レンズ12の手前で一次結像し、対物レンズ12、ダイクロイックミラー11を介して被検眼Eの瞳中心に入射し、眼底Erで結像する。眼底Erでの反射光は瞳孔周辺を通って、再び対物レンズ12に入射し、太い光束となって孔あきミラー13で全反射する。孔あきミラー13において反射された光束は、6分割絞り18で6分割されると共に、6分割プリズム19で二次元撮像素子21の受光面領域の適正範囲に受光されるように屈折され、6点のスポット像が二次元撮像素子21上に投影される。
【0034】
二次元撮像素子21で撮影された眼底像の映像信号は、ビデオスイッチ51を介しA/Dコンバータ52によりデジタルデータに変換され、画像メモリ53に格納される。CPU41は画像メモリ53に格納された画像のスポット像の位置を基に、眼屈折力の演算を行う。
【0035】
本来、屈折力は瞳孔中心で測定するものであるが、瞳孔が大きい場合では角膜頂点と瞳孔が偏心している場合でも、角膜頂点にアライメントを合わせて測定を行っても、測定光束が虹彩にけられることは少ない。また、角膜中心での測定値と瞳孔中心での測定値の誤差が生ずる虞れがあるが、瞼が瞳孔領域にかぶることにより、瞳孔上での測定位置が変化し測定値が安定しない問題を解決することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る眼科装置は、被検眼の瞳孔が大きい場合に瞳孔の領域に瞼がかぶってもアライメントを安定して行うことができ、迅速に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】眼屈折測定装置の外観図である。
【図2】検眼部の光学的構成図である。
【図3】6分割絞りと6分割プリズムの斜視図である。
【図4】アライメントプリズム絞りの斜視図である。
【図5】ブロック回路構成図である。
【図6】アライメント状態に対応した前眼部像の説明図である。
【図7】自動アライメントのフローチャート図である。
【図8】瞳孔径を求める説明図である。
【図9】瞼が下がった状態の前眼部像の説明図である。
【符号の説明】
1 基台
2 検眼部
3 表示部
7 プリンタ
17 測定光源
21、26 二次元撮像素子
24 アライメントプリズム絞り
30 固視撮影光源
31 外眼照明光源
41 CPU
53 画像メモリ
Claims (1)
- 被検眼の瞳孔内に光束を投影し、その反射光を用いて測定又は検査を行う検眼部を備え自動アライメントを実行する眼科装置において、
被検眼の角膜にアライメント用光束を投光するアライメント光投影手段と、
該アライメント用光束の角膜反射光束を検出し角膜頂点位置を検出する検出手段と、
被検眼の前眼部を撮影する撮像手段と、
該撮像手段で撮影された前眼部像から瞳孔の重心を求め被検眼の瞳孔中心位置を算出する瞳孔位置演算手段と、
前記撮像手段で撮影された前眼部像から被検眼の瞳孔径を算出する瞳孔径演算手段と、
前記検出された角膜頂点位置に基づいて前記検眼部のZ方向の位置ずれを検出し、該位置ずれが所定の範囲内になるように前記検眼部のZ方向の位置合わせを行い、前記算出した被検眼の瞳孔径が所定の値よりも大きい場合は前記角膜頂点位置と前記検眼部のXY方向の位置ずれを検出し、該位置ずれが所定の範囲内になるように前記検眼部のXY方向の位置合わせを行い、前記瞳孔径が所定の値よりも小さい場合は前記算出した被検眼の瞳孔中心位置と前記検眼部のXY方向の位置ずれを検出して、該位置ずれが所定の範囲内になるように前記検眼部のXY方向の位置合わせを行う制御手段とを有することを特徴とする眼科装置。
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