JP4136252B2 - 物品収納装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パレットを有する物品収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気製品などの工業製品、その部品、建築材料を初めとする各種材料、天然物或いはその他の各種物品を運搬し、又はこれを保管する際に用いられるパレット及びそのパレットを有する物品収納装置は従来より周知である。かかるパレットに載置される物品の形態、すなわちその大きさや形状、或いは当該パレットに載置される物品の個数は千差万別である。このため、ユーザの要望に合った各種サイズのパレットが用意され、ユーザは自らの使用目的に合ったサイズのパレットを購入して使用している。
【0003】
ところが、ユーザの要望に合った各種サイズのパレットを製造するには、そのコストが上昇する。例えば、パレット全体又はその一部が金属又は樹脂より成るパレットを製造するには、各種大きさの成形型を用意し、その各成形型を用いて各種サイズのパレット又はその部品を成形する必要があるが、このように大きさの異なる各種成形型を用意しておくと、これに要する費用が嵩み、結局、パレットの製造コストが上昇する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低コストなパレットを有する物品収納装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、物品が載置されるパレットと、該パレットに載置された物品を取り囲むようにして当該パレットに取付けられる複数の支柱とを具備し、該パレットは、長手方向全長に亘ってほぼ同一の横断面形状を有するベース部材と、該ベース部材に固定された台座と、当該ベース部材に対して着脱可能であって、前記支柱の下部をパレットに取付けるための取付ピンとを有し、前記ベース部材には、前記台座を該ベース部材と前記取付ピンとで挟むようにして当該ベース部材と前記台座を固定するための固定具が係合する係合部が形成され、該係合部はベース部材の長手方向全長に亘って形成されている物品収納装置を提案する(請求項1)。
【0007】
同じく、本発明は、上記目的を達成するため、物品が載置されるパレットと、該パレットに載置された物品を取り囲むようにして当該パレットに取付けられる複数の支柱とを具備し、該パレットは、長手方向全長に亘ってほぼ同一形状を有するベース部材と、該ベース部材の長手方向全長に亘って形成された溝に摺動可能ではあるが、上方へ抜け出ることがないように嵌合したボルトと、前記ベース部材よりも上方に突出した前記ボルトの軸部が貫通した台座と、該台座よりも上方に突出した前記ボルトの軸部に形成された雄ねじに螺着した取付ピンとを有し、該取付ピンと前記ボルトとの螺着によって前記台座とベース部材が固定され、前記支柱の下部が取付ピンに嵌合して、該支柱がパレットに取付けられる物品収納装置を提案する(請求項2)。
【0008】
また、上記請求項1又は2に記載の物品収納装置において、前記支柱は、互いに間隔をあけてパレットに取付けられ、互いに隣り合う支柱間の間隔を調整可能に当該支柱同士を連結する連結部材を具備すると有利である(請求項3)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明に係るパレットの一例を示す斜視図であり、ここに例示したパレット2は、互いに間隔をあけてほぼ平行に配置された2つのベース部材4と、その両ベース部材4の上面に架け渡されて各ベース部材4に固定された2つの台座3,3Aを有し、その台座3,3Aの上面が、図1には示していない物品を載せ置く物品載置面5となっている。台座3,3Aの上にさらに他の部材を配置し、その上に物品を載置してもよい。このように、台座は物品を直接又は他の部材を介して支持する用をなす。ベース部材4は、床面や地面などの設置面上に配置され、その上に台座3,3Aが位置する。この例のベース部材4はパレット2の脚部としての用をなす。ここに例示したパレット2の全体的な平面形態はほぼ四角形であり、かかるパレット2は、硬質の樹脂、金属、又は木材などの剛性の大なる材料によって構成されている。パレットの平面形態を四角形以外に形成することもできる。
【0014】
上述の状態で、パレット2の物品載置面5上に物品を載せ、当該物品を倉庫などに保管しておくことができる。また物品載置面5上に物品を載せたパレットの台座3,3Aの下側に、図示していない荷役装置、例えばフォークリフトのフォークを矢印Eで示すように差し込み、そのフォークを上昇させることにより、パレット2を持ち上げて物品を運搬することができる。
【0015】
上述のように、本例のパレット2は、ベース部材4と、そのベース部材4に固定された台座3,3Aとを具備しているが、ベース部材4は、その長手方向全長に亘ってほぼ同一の横断面形状を有している。図示したベース部材4は長く延びた部材より成り、その横断面は、4つの面4A,4B,4C,4Dを有する四角形状に形成され、その1つの面4Aが上部に位置している。そして、その上部に、ベース部材4の長手方向全長に亘って溝63より成る係合部が形成されている。
【0016】
図2はパレット2の一方の台座3を両ベース部材4から分離した状態を示す斜視図であり、図3は図1のC−C線に沿う拡大断面図である。これらの図から判るように、パレット2を構成する各ベース部材4の面4Aに形成された各溝63は、その上部の幅狭部63Aと、その下部の幅広部63Bとから成る。各ベース部材4の溝63には、適数の、図の例では2本ずつのボルト64A,64Bより成る固定具がそれぞれ嵌合している。各ボルト64A,64Bの頭部65A,65Bは、各溝63の幅広部63Bに配置され、当該頭部65A,65Bの径は幅狭部63Aの幅よりも大きくなっている。また、各ボルト64A,64Bの軸部66A,66Bは、溝63の幅狭部63Aを貫通して上方に延びていて、その軸部66A,66Bの径は、幅狭部63Aの幅よりもわずかに小さくなっている。このため、各ボルト64A,64Bは、各溝63に沿ってその長手方向に摺動可能ではあるが、各溝63,63から上方へ抜け出ることはない。各ボルト64A,64Bは各溝63,63の長手方向端部から挿入される。各溝63よりも上方に突出した各ボルト64A,64Bの軸部66A,66Bには、圧縮コイルばねより成る緩衝部材68がそれぞれ遊びを持った状態で嵌合しているが、かかる緩衝部材を省略してもよい。
【0017】
一方、台座3には、各ボルト64A,64Bに対応する取付孔67A,67Bがそれぞれ貫通形成され、その各取付孔67A,67Bに各ボルト64A,64Bの軸部66A,66Bがそれぞれ貫通している。その際、各取付孔67Bから上方に突出した各ボルト64Bの軸部66Bには、これに形成された雄ねじにナット69がそれぞれ螺着され、また台座3の各取付孔67Aをそれぞれ貫通した各ボルト64Aの軸部66Aには、図3に示すように、ピン状に形成されたナット7がそれぞれ螺着されている。このピン状のナット7にはねじ穴72が形成され、その周面の雌ねじにボルト64Aの軸部66Aに形成された雄ねじがねじ係合している。ピン状のナット7は、後述する支柱の下部をパレット2に取付ける取付ピンとしての機能を有しているが、これについては後に詳しく説明する。以下の説明では、必要に応じて、このピン状のナット7を取付ピンと称することにする。ナット7,69を適度に締め付けることにより、各ボルト64A,64Bの頭部65A,65Bは、溝63を区画するベース部材4の壁面70(図3)に圧接して係合し、緩衝部材68がわずかに圧縮変形する。
【0018】
図1に示した他方の台座3Aも、図2及び図3に示した台座3と全く同様にして、直接、又は緩衝部材などの中間部材を介して各ベース部材4に固定されている。このようにして、ベース部材4と台座3,3Aがボルト64A,64Bとナット69,7とから成る固定具により互いに固定され、ベース部材4は、緩衝部材68などの中間部材を介し、又は直に台座3を支持する用をなす。
【0019】
ナット7,69を緩めることによって、台座3,3Aを図2に示したようにベース部材4から分離することができるが、このとき各ボルト64A,64Bを各溝63に沿って所望する位置まで動かし、再びナット7,69を各ボルト64A,64Bにねじ付けて、これらを締め付けることにより、パレット2を組み立てることができる。
【0020】
ナット7をボルト64Aにねじ係合させてそのナット7を締め付け、又はこれを緩めるとき、ナット7に形成された孔7Aに、図3に鎖線で示すように棒71又は棒状の工具を挿入して、これを取付ピン7の中心軸線のまわりに回転させることにより、ナット7を締め付け、又はこれを緩めることができる。
【0021】
以上のように、本例のパレット2は、長手方向全長に亘ってほぼ同一の横断面形状を有するベース部材4と、該ベース部材4に固定された台座3,3Aと、当該ベース部材4に対して着脱可能であって、支柱の下部をパレット2に取付けるための取付ピン7とを有していて、ベース部材4には、台座3,3Aをベース部材4と取付ピン7とで挟むようにして当該ベース部材4と台座3,3Aを固定するための固定具の一例であるボルト64Aが係合する溝63より成る係合部が形成され、その係合部はベース部材の長手方向全長に亘って形成され、固定具はその係合部に沿ってベース部材の長手方向に移動可能に当該係合部に係合している。
より具体的に示すと、パレット2は、ベース部材4と、そのベース部材4の長手方向全長に亘って形成された溝63に摺動可能ではあるが、上方へ抜け出ることがないように嵌合したボルト64Aと、ベース部材4よりも上方に突出した上記ボルト64Aの軸部66Aが貫通した台座3,3Aと、該台座3,3Aよりも上方に突出した上記ボルト64Aの軸部66Aに形成された雄ねじに螺着した取付ピン7とを有し、該取付ピン7とボルト64Aとの螺着によって台座3,3Aとベース部材4が固定されるのである。
【0022】
上述のように、横断面形状が一定のベース部材4が用いられているので、サイズの異なったパレットを低コストで製造することができる。すなわち、図4の(a)に示すように、先ず長尺なベース部材材料104を製作し、これを図4の(b),(c)に示すように所望する長さに切断してベース部材4を得、そのベース部材4に台座を組み付けてパレット2を製造するのである。このように横断面形状の一定な長尺な材料104を切断して所望する長さのベース部材4を製作してパレット2を製造するので、パレットのサイズに応じた異なった形態の成形型を用いて各サイズのパレットを製造する場合に比べ、容易かつ低コストでサイズの異なったパレットを得ることができる。
【0023】
また、切断したベース部材4の長さがいかなるときも、そのベース部材4に形成された溝63に係合したボルト64A,64Bを溝63に沿って移動させることができるので、ベース部材4の長さに応じて、そのベース部材4に対する台座3,3Aの位置を定め、当該台座をベース部材4に固定することができ、所望する大きさのパレット2を自由に製造することができる。
【0024】
図示したパレット2は、2本のベース部材4と、これに架け渡された2枚の台座3,3Aを有しているが、これらの部材の数を適宜選択して、各種形態のパレットを製造することができる。1つのベース部材と1つの台座によってパレットを構成することもでき、その場合には、比較的幅広のベース部材を製作し、その上に1つの台座を固定することが好ましい。
【0025】
但し、図示した例から判るように、少なくとも2つのベース部材4に、少なくとも1つの台座3,3Aを架け渡し、その台座をベース部材4に固定してパレットを構成すると、その安定性を高めることができると共に、台座の下側にフォークリフトなどの荷役装置のフォークを差し込む空間を確実に確保できる利点が得られる。
【0026】
また、本例のパレット2においては、そのベース部材4の係合部が、当該ベース部材4に形成された溝63により構成されているので、例えばボルトより成る固定具を確実にその溝63に係合させ、しかもその溝63に沿って固定具を容易に移動させることができる利点が得られるが、例えば、ベース部材の長手方向に延びる突条により係合部を形成し、その突条に固定具を摺動可能に係合させることも可能である。
【0027】
さらに、ベース部材4は木材などからも構成できるが、このベース部材4を樹脂又は金属の押出し成形品により構成すると、長手方向全長に亘ってほぼ同一の横断面形状を有するベース部材を短時間、かつ低コストで得ることができ特に有利である。特に、図4に示したように、長尺な押出し成形品を製造し、これを所望する長さに切断することによってベース部材を得るようにすると、そのコストをより一層低減することができる。
【0028】
また図示した例では、台座3,3Aとして、樹脂、金属又は木材などから成る平板状の部材を用いたが、図5に例示するように、ベース部材4に固定される台座103として、上述したベース部材4と同様に、長手方向全長に亘ってほぼ同一の横断面形状を有し、その長手方向全長に亘って延びる係合部(図示した例のように溝163)が形成されている部材を用いることもできる。かかる台座103は、前述のベース部材4と全く同様にして製造され、しかもその台座103に形成された取付孔167に、ベース部材4の溝63に嵌合したボルト64Aの軸部66Aが挿通され、これにナット7が螺着されて、台座103がベース部材4に固定される。
【0029】
台座103を上述のように構成すれば、各種長さの台座を低コストで得ることができ、各サイズのパレット2を容易かつ低コストで製造することができる。しかもこの台座103には溝163が形成されているので、その台座103の上面により構成される物品載置面上に図示していない物品、例えば複写機を載置したとき、溝163にスライド可能に嵌合したボルト164を複写機の底板に形成した孔に貫通させ、そのボルトに螺着したナットを締め付けることにより、複写機を台座103上に強固に固定することができる。
【0030】
また、以上説明したベース部材4には、1つの溝63が形成されているが、ベース部材4に複数の溝を形成することもできる。図6に示した例では、ベース部材4の4つの面4A,4B,4C,4Dに1つずつの溝63が、そのベース部材4の全長に亘って形成されている。ベース部材4をこのように構成すると、そのベース部材4を、図1乃至図5に示した状態から、図7に示すように90°回転させた状態にし、このとき上部に位置する溝63にボルト64Aを嵌合し、このボルト64Aにナット7を螺着して締め付けることにより、台座3をベース部材4に固定することもできる。このようにして、ベース部材の高さH(図1,図7)の異なるパレットを自由に製造することができる。図5に示した台座103にも、図6に示したベース部材4と同様に複数の溝より成る係合部を形成することもできる。
【0031】
なお、図示したパレット2は、ベース部材4と、そのベース部材4に取付けられた台座3,3Aとの間に配置された緩衝部材68とを有しており、図3に矢印Dで示すように台座3,3Aを上方から加圧すると、緩衝部材68が圧縮変形して、その台座3,3Aは、ベース部材4に対して極くわずかに近づき、再びその圧力を解除すると、台座3,3Aは緩衝部材68の弾性によって、図3に示した元の位置に復帰する。このため、パレット2に物品を載せて運搬するとき、パレット2に加えられた衝撃が直に物品に加えられることを防止でき、物品が損傷を受けたり、これが故障する不具合を防止することができる。緩衝部材として、前述の圧縮コイルばね以外の各種弾性体、例えば板ばね、ゴム製のブロックなどを用い、かかる緩衝部材をベース部材4と台座3,3Aの間に介設することもできる。
【0032】
ところで、上述したパレット2は、これを単独で使用できるほか、これに支柱を取付けて物品収納装置を構成し、これに物品を収納して、当該物品を保管又は運搬することもできる。かかる物品収納装置の一例を以下に説明する。
【0033】
図8はその物品収納装置を示し、この物品収納装置は、前述のように構成されたパレット2に載置された物品(この例では複写機)1を取り囲むことができるように、互いに間隔をあけてパレット2に取付けられた複数の、図示した例では4本の支柱6と、後に詳しく説明するように互いに隣り合う支柱6間の間隔を調整可能に当該支柱6同士をそれぞれ連結する連結部材14,15とを有している。各支柱6は、後述する如く支柱6の全長に亘って延びる中心孔62(図10)を有している。このように、物品収納装置は、物品1が載置されるパレット2と、そのパレット2に載置された物品1を取り囲むようにして当該パレット2に取付けられる複数の支柱6を有しているのである。
【0034】
複数の支柱6はパレット2に対して着脱可能に取付けられ、図9はパレット2に取付けられる前の支柱6を示している。パレット2は、先に説明したように、その物品載置面5の側に突設されたナットから成る複数の取付ピン7を有している。図示した例では、パレット2の物品載置面5の側に四角形(正方形ないしは長方形)を仮想したとき、その四角形の各コーナ部の各パレット部分に、各取付ピン7が突設され、合計で4個の取付ピン7が設けられている(図1参照)。
【0035】
物品1を運搬し、又は保管するとき、支柱6をパレット2に取付ける前に、パレット2の物品載置面5上に図8に示す如く物品1を載せ置く。このとき、パレット2上に載せられた物品1は、必要に応じて、図示していない物品固定手段によってパレット2上に容易に取外せるように固定される。次いで、図1及び図9に矢印Pで示すように、各支柱6の下部を上述の各取付ピン7に嵌合し、当該支柱6をパレット2に取付ける。パレット2に取付けられた各支柱6は、図8に示すようにパレット2の物品載置面5に対してほぼ垂直に立ち上がった状態で、パレット2上に載置された物品1を取り囲み、パレット2の各辺10,11,12,13において2本ずつの支柱6が互いに隣り合って位置する。本例の各支柱6は、パレット2に対して手操作で容易に着脱できるように取付けられ、また手操作で容易にパレット2から取外される。なお、4本の各支柱6を識別する必要のあるときは、これらを、第1の支柱6A、第2の支柱6B、第3の支柱6C及び第4の支柱6Dと称することにする。
【0036】
図10は、図8に示した物品収納装置の第4の支柱6Dとこれに設けられた継手の拡大斜視図であり、図11はその一部の分解斜視図である。これらの図において、支柱6は金属又は樹脂の押出し材より成り、その長手方向全長に亘って互いに平行に延びるガイド溝54,55が形成され、その各ガイド溝54,55の上部には、第1の継手108,208の基部がそれぞれ嵌合している。また支柱6には、その角部に、当該支柱6の全長に亘って延びる他の溝57が形成され、その溝57にはプレート状のナット58が当該溝57に沿って摺動可能に嵌合している。2つの第1の継手108,208とナット58は、その各溝54,55,57に支柱6の上端部又は下端部から挿入され、挿入された第1の継手108,208とナット58は、溝54,55,57に対して摺動可能ではあるが支柱6の半径方向に離脱することはない。
【0037】
支柱6の上部には、金属又は樹脂板などから成る固定部材56が配置され、その固定部材56に形成された貫通孔60,61に、上述の各第1の継手108,208が、それぞれがたつくことなく嵌合している。固定部材56に形成された2つの孔にねじ59がそれぞれ挿通され、そのねじ59が、溝57に嵌合したナット58のねじ孔に螺着され、これによって2つの第1の継手108,208がそれぞれ支柱6に対して不動に固定される。
【0038】
また、上述の各ガイド溝54,55には、第2の継手109,209の基部がそれぞれ摺動自在で、かつ支柱6の半径方向に離脱することなく嵌合している。前述のように、支柱6の中心部には、その全長に亘って延びる中心孔62が形成され、その中心孔62の下部と図1に示した取付ピン7が互いに嵌合することにより、支柱6がパレット2に着脱可能に取付けられる。
【0039】
図8及び図9に示した他の支柱6A,6B,6Cも上述したところと同様に構成され、その各支柱6A,6B,6Cに上述したところと実質的に同様にして2つずつの第1及び第2の継手が取付けられている。よって、他の支柱6A,6B,6Cの構造と、その各支柱に取付けられた第1及び第2の継手の構成に関する説明は省略する。
【0040】
図8及び図9に示したように、互いに隣り合う支柱6間にそれぞれ設けられた連結部材14,15は、例えば金属、硬質樹脂又は木材などの剛体より成り、直線状に延びた棒状ないしは細板状に形成され、両連結部材14,15は、互いにクロスしていて、その中間部においてピン21によって互いに回動可能に連結されている。以下の説明では、これらの連結部材をそれぞれ第1の連結部材14及び第2の連結部材15と称することにする。
【0041】
ここで、図9に示したように互いに隣り合う2本の第3及び第4の支柱6C,6Dと、これらの支柱6C,6Dの間に設けられた第1及び第2の連結部材14,15について考えると、その第2の連結部材15の上部側の長手方向一端側15Aは、図10に示すように、第4の支柱6Dに前述の如く固定配置された2つの第1の継手108,208のうちの一方の第1の継手108にピン16を介して回動可能に連結されている。またこの第2の連結部材15の下部側の長手方向他端側15Bは、図9から判るように、第3の支柱6Cに摺動自在に取付けられた2つの第2の継手のうちの一方の第2の継手にピンを介して回動可能に連結されている。
【0042】
一方、第3及び第4の支柱6C,6D間に設けられた第1の連結部材14の上部側の長手方向一端側14Aは、図9から判るように、第3の支柱6Cに固定配置された2つの第1の継手のうちの一方の第1の継手にピンを介して回動可能に連結されている。また第1の連結部材14の下部側の長手方向他端側14Bは、図10に示すように、第4の支柱6Dに摺動自在に取付けられた2つの第2の継手109,209のうちの一方の第2の継手109にピン17を介して回動可能に連結されている。
【0043】
全く同様に、第1及び第4の支柱6A,6D間に配置された第1の連結部材14の上部側の長手方向一端側14Aは、図10に示した他方の第1の継手208にピン18を介して回動可能に連結され、その第1の連結部材14の下部側の長手方向他端側14Bは第1の支柱6Aに摺動自在に取付けられた一方の第2の継手にピンを介して回動可能に連結されている。同じく、第1及び第4の支柱6A,6D間に配置された第2の連結部材15の上部側の長手方向端側15Aは第1の支柱6Aに固定配置された一方の第1の継手にピンを介して回動可能に連結され、その下部側の長手方向他端側15Bは、図10に示すように、第4の支柱6Dに摺動自在に取付けられた他方の第2の継手209にピン19を介して回動可能に連結されている。
【0044】
互いに隣り合う第1及び第2の支柱6A,6Bの間と、第2及び第3の支柱6B,6Cの間にそれぞれ設けられた第1及び第2の連結部材14,15も、上述したところと全く同様にして、それぞれ第1及び第2の継手を介して、各支柱に連結されており、その構成は上述したところから明らかであるため、その詳細な説明は省略する。
【0045】
なお、互いに交差して位置する第1及び第2の連結部材14,15は、水平方向にわずかに位置をずらして位置しているので、その2つの連結部材14,15が後述するようにピン21のまわりを回動するとき、その回動が円滑に行われるように、各連結部材14,15の各端部が連結される第1及び第2の継手を、支柱6D以外の各支柱のガイド溝55A,54Aに嵌合させるようにすることもできる。これらのガイド溝54A,55Aは、前述のガイド溝54,55に対して互いに平行に支柱6の長手方向に延びている。
【0046】
4本の支柱6は、前述のようにしてパレット2に取付けられるが、そのパレット2は、運搬し、又は保管すべき物品1の大きさや形態やその個数に対応した各種サイズのものが予め用意されていて、その物品1の大きさや形態や個数に適したパレット2を選択し、その上面の物品載置面5上に物品1を載せる。このとき、選択したパレット2のサイズに応じて、その取付ピン7の間の間隔D1,D2(図1)が異なるが、その間隔D1,D2に合致するように、パレット2に取付ける前の支柱6の間の間隔d1,d2(図9)を次のように調整する。
【0047】
すなわち、パレット2の第1の辺10と、これに対向する第3の辺12のそれぞれに隣り合って取付けられる第1及び第2の2本の支柱6A,6Bと、第3及び第4の2本の支柱6C,6Dを、図9に矢印Aで示す如く互いに離間する方向、又はこれと逆の方向に押圧する。すると、これらの支柱間にそれぞれ位置する第1及び第2の連結部材14,15の下部側の長手方向他端側がそれぞれ回動可能に連結された各第2の継手109(図10)が各支柱のガイド溝に沿って上方又は下方に摺動する。これによって、第1及び第2の連結部材14,15はピン21のまわりに互いに回動し、第1及び第2の2本の支柱6A,6Bの間の間隔d1と、他の第3及び第4の2本の支柱6C,6Dの間の間隔d1が同じ割合で変化する。その際、支柱6A,6Bと6C,6Dの間の間隔d1を調整しただけでは、第2の支柱6Bと第3の支柱6Cの間の間隔d2、及び第4の支柱6Dと第1の支柱6Aの間の間隔d2は変化しない。
【0048】
これらの間隔d2を調整するときは、第2及び第3の支柱6B,6Cと、第4及び第1の支柱6D,6Aを、図9に矢印Bで示すように互いに離間する方向、又はこれと逆の方向に押圧する。これによって、その各連結部材14,15の下部側の長手方向他端側がそれぞれ回動可能に連結された各第2の継手209(図10)が各支柱のガイド溝に沿って上方又は下方に摺動し、これによって第1及び第2の連結部材14,15がピン21のまわりに回動して第2及び第3の支柱6B,6Cの間の間隔d2と、第1及び第4の支柱6A,6Dの間の間隔d2が同じ割合で変化する。
【0049】
上述のように、取付ピン7の間の間隔D1,D2が互いに異なる複数種類のパレット2を予め用意しておき、その1つを選択することにより、そのパレット2の取付ピン7間の間隔D1,D2に合せて、支柱6間の間隔d1,d2を調整し、該支柱6を取付ピン7に取付けることができる。4本の支柱6と、互いに隣り合う2本の支柱をそれぞれ連結する第1及び第2の連結部材14,15は、一体的な支柱ユニット32を構成している。
【0050】
上述のようにして支柱6をパレット2に組付けることによって、図8に示す如く組立てられた物品収納装置を構成できる。このとき、4本の支柱6によって囲まれた収容空間に、物品載置面5上に載せられた物品1が収容され、この状態で、例えばフォークリフトのフォークをパレット2の下側に差し込み、当該フォークを上昇させることにより物品収納装置を持ち上げて物品1を運搬できる。また、物品1を搭載したままの物品収納装置をトラックや船舶又は鉄道車輌に移し、これを輸送することができる。さらに、物品収納装置に収容した物品1を倉庫などに保管することもできる。その際、物品1はその周囲四方を第1及び第2の連結部材14,15によって取り囲まれているので、その物品1を保護することができる。
【0051】
例えば、運搬すべき物品1の一例である複写機の製造工場から、その物品1を載せた物品収納装置をユーザのところまで運搬し、ここで4本の支柱6をパレット2から取外せば、その物品1をパレット2上から容易に下ろすことができる。そして、空となった物品収納装置を再び製造工場に返送すれば、再びその物品収納装置に物品を搭載して、これを運搬することができる。このようにして物品収納装置を何度も使用することができる。物品を収納して運搬する従来のダンボール箱の場合、そのダンボール箱を輸送先などで廃棄することが多く、これによって多量の廃棄物が発生するが、本例の物品収納装置を用いれば、廃棄物をなくし、又はその量を極めて少なくすることができる。
【0052】
図8に示した支柱6をパレット2から取外した後、支柱を手で掴んで4本の支柱6を互いに接近する向きに押圧すると、第2の継手109,209は支柱6の下方に摺動し、各支柱間に設けられた第1及び第2の連結部材14,15はピン21のまわりに回動して折り畳まれ、図12に示したように支柱ユニット32の全体をコンパクトに折り畳むことができる。このため、例えばユーザなどの輸送先でパレット2から物品1を下ろした後、その支柱ユニット32を上述のように折り畳むことによって、これを効率よく製造工場などの元の場所に運搬することができる。
【0053】
前述のように、本例のパレット2は、簡単に所望するサイズに構成することができるので、互いに隣り合う支柱間の間隔を調整できる物品収納装置に本例のパレット2を用いることにより、支柱間の間隔を調整できる利点を効果的に生かすことができる。
【0054】
以上、本発明の代表的な実施形態例を説明したが、本発明は、これらの実施形態例の構成に限定されず、各種改変して構成することができ、また前述の各構成を適宜組合せることができる。また、本発明は、複写機以外の各種製品又は天然物などの物品を運搬し又は保管するパレット又は物品収納装置に広く適用できるものである。
【0055】
【発明の効果】
請求項1及び2に係る各発明によれば、簡単かつ低コストで各種サイズのパレットを構成することが可能である。
【0057】
また、請求項2に係る発明によれば、溝より成る係合部にボルトより成る固定具を確実に係合させることができる。
【0060】
さらに、請求項3に係る発明によれば、各種形態の物品を効率よく運搬し、又は保管することができ、上述したパレットの利点を効果的に生かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パレットの斜視図である。
【図2】台座をベース部材から外した状態を示す分解斜視図である。
【図3】図1のC−C線拡大断面図である。
【図4】ベース部材材料を切断してベース部材を得る方法を示す説明図である。
【図5】台座の他の例を示す分解斜視図である。
【図6】ベース部材の他の例を示す図である。
【図7】図6に示したベース部材を横に倒して使用したときの様子を示す断面図である。
【図8】物品収納装置の一例を示す斜視図である。
【図9】支柱ユニットの斜視図である。
【図10】1本の支柱と、これに取付けられた継手を明らかにする拡大斜視図である。
【図11】図10の分解斜視図である。
【図12】支柱ユニットを折り畳んだときの斜視図である。
【符号の説明】
1 物品
2 パレット
3 台座
3A 台座
4 ベース部材
6 支柱
6A 支柱
6B 支柱
6C 支柱
6D 支柱
7 取付ピン
14 連結部材
15 連結部材
63 溝
64A ボルト
66A 軸部
103 台座
d1 間隔
d2 間隔
Claims (3)
- 物品が載置されるパレットと、該パレットに載置された物品を取り囲むようにして当該パレットに取付けられる複数の支柱とを具備し、該パレットは、長手方向全長に亘ってほぼ同一の横断面形状を有するベース部材と、該ベース部材に固定された台座と、当該ベース部材に対して着脱可能であって、前記支柱の下部をパレットに取付けるための取付ピンとを有し、前記ベース部材には、前記台座を該ベース部材と前記取付ピンとで挟むようにして当該ベース部材と前記台座を固定するための固定具が係合する係合部が形成され、該係合部はベース部材の長手方向全長に亘って形成されている物品収納装置。
- 物品が載置されるパレットと、該パレットに載置された物品を取り囲むようにして当該パレットに取付けられる複数の支柱とを具備し、該パレットは、長手方向全長に亘ってほぼ同一形状を有するベース部材と、該ベース部材の長手方向全長に亘って形成された溝に摺動可能ではあるが、上方へ抜け出ることがないように嵌合したボルトと、前記ベース部材よりも上方に突出した前記ボルトの軸部が貫通した台座と、該台座よりも上方に突出した前記ボルトの軸部に形成された雄ねじに螺着した取付ピンとを有し、該取付ピンと前記ボルトとの螺着によって前記台座とベース部材が固定され、前記支柱の下部が取付ピンに嵌合して、該支柱がパレットに取付けられる物品収納装置。
- 前記支柱は、互いに間隔をあけてパレットに取付けられ、互いに隣り合う支柱間の間隔を調整可能に当該支柱同士を連結する連結部材を具備する請求項1又は2に記載の物品収納装置。
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