JP4136239B2 - エアゾール容器の押釦カバー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、頭髪用品、化粧品、消臭・制汗剤、その他の人体用品、催涙ガス、殺虫剤、コーテング剤、クリーナー、その他の家庭用品、工業用品、自動車用品、食品等を噴射するエアゾール容器に於いて、エアゾール内容物の噴射を制御する押釦の誤作動を確実に防止するとともに、この誤作動防止機能を容易な操作で迅速に解除してエアゾール内容物を噴射可能とする、エアゾール容器の押釦カバーに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアゾール内容物が誤って噴射されるのを防止するため、チャイルドプルーフキャップ等の如き押釦の誤作動防止機構が存在した。これは、キャップ本体をマウンテンカップに固めにネジ嵌合するよう形成したり、キャップ本体に、押釦の両側に配置する押し下げ防止の耳を設ける等により、衝撃や子供のいたずらなどによる押釦の誤作動を防止しようとしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の誤作動防止機構は、押釦の誤作動を確実に防止してエアゾール内容物の不当な噴射を良好に防止する反面、エアゾール内容物を噴射する際には、キャップを強い力で回転したり、押釦の両側に設けたキャップの耳を押し広げながら押釦を押し下げる等、誤作動防止の解除に強い力や手間が掛かるものであった。そのため、催涙ガスやゴキブリ用殺虫剤等、噴射に迅速性を必要とする製品には不向きであった。また、誤作動防止機構の構造も複雑であるため、製作に手間やコストが掛かるし、バッグ、ポケット等に携帯する小型のエアゾール容器では、本体が小さ過ぎて、このような複雑な機構を設ける事は難しかった。
【0004】
本発明は上述の如き欠点を除去し、エアゾール内容物の未使用時は、押釦の誤作動を確実に防止するだけでなく、エアゾール内容物を噴射する際は、この誤作動防止機構を簡単な操作方法で迅速に解除して、直ちにエアゾール内容物を噴射する事が可能な押釦の誤作動防止機構を得ようとするものである。また、このような押釦の誤作動防止機構を、簡単な構造で形成可能とする事により、廉価なエアゾール製品を得るとともに、大型のエアゾール容器に於いても、小型のエアゾール容器に於いても実施が可能となるようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の如き課題を解決するため、噴射方向と交差する方向から押圧してエアゾール内容物を噴射する押釦をエアゾール容器のキャップ本体に突設し、このキャップ本体の外周を180°以上被覆する非連結の円筒形押釦カバーをキャップ本体に着脱可能に装着し、この押釦カバーの円筒部内面に、押釦の突出部を被覆する被覆凹部と、キャップ本体の表面に突き当てる突当部とを形成して成るものである。
【0006】
また、押釦カバーは、円筒部の一側を、折曲可能な粘着フィルムにてキャップ本体外周に止着しても良い。
【0007】
また、押釦カバーは、円筒部の内周面に設けた凹部又は凸部と、キャップ本体に設けた凸部又は凹部とを係合する事により、キャップ本体に装着可能としても良い。
【0008】
また、押釦カバーは、外側面に係合用のクリップを突設しても良い。
【0009】
また、押釦カバーに設ける係合用のクリップは、被覆凹部とは90°の位置に形成しても良い。
【0010】
【作用】
本発明は、上述の如く構成したものであり、押釦カバーは、非連結の円筒形であるから、押釦カバーの円筒部の内径を自在に拡縮する事ができ、キャップ本体への着脱を容易に行う事ができる。そして、エアゾール装置の収納時や運搬時等、エアゾール内容物を噴射したくない場合には、転倒や衝突等の衝撃を受けても、キャップ本体に装着した押釦カバーにより、押釦の誤作動を確実に防止する事ができる。また、押釦カバーは、被覆凹部で押釦を被覆し、内面の突当部をキャップ本体の外周に突き当てているから、押釦を容易に押圧する事はできず、小さな子供がいたずらしても、エアゾール内容物が誤って噴射される事はないものとなる。また、押釦カバーは、キャップ本体の外周を、180°以上被覆可能な円筒形としているので、多少の分離方向への力を受けても、キャップ本体と押釦カバーが分離する事はない。
【0011】
そして、エアゾール内容物を噴射する際には、押釦カバーを手指で保持して分離方向に引っ張ったり、円筒部の側部を分離方向に押圧する事により、円筒部の両側がキャップ本体の外周面に押圧されて、円筒部内径が拡開し、円筒部の非連結部分を介して、キャップ本体と押釦カバーとが分離する。このようにキャップ本体から押釦カバーを外すと、押釦の突出部が露出するので、使用者はこの突出部を手指で押圧する事により、この押釦の押圧方向と交差する方向に、エアゾール内容物を噴出する事ができる。
【0012】
このように、本発明の押釦カバーを装着したキャップ本体では、被覆凹部にて押釦を被覆して、押釦の誤作動を確実に防止可能であるだけでなく、エアゾール内容物の使用時には、簡単な動作で素早くキャップ本体から押釦カバーを外して誤作動防止機構を解除し、直ちにエアゾール内容物を噴出する事が可能となる。また、このような優れた押釦の誤作動防止機構とその簡単な解除機能を備えた押釦カバーを、単純な構造で容易に製作できるので、低コストな製品を得る事ができるとともに、携帯用の小型エアゾール製品から大型のエアゾール製品まで、あらゆるタイプのエアゾール容器に備える事ができる。
【0013】
また、押釦カバーは、キャップ本体から完全に分離可能に形成しても良いが、携帯時の強い衝撃等で外れたり、使用時にキャップ本体から外した際に、飛び散って紛失する事も考えられる。そのため、押釦カバーは、円筒部の一側を、折曲可能な粘着フィルムにてキャップ本体外周に止着して、キャップ本体と連結しておけば、前述の如き不具合を良好に防止し、押釦カバーを外す際の操作性を妨げる事はない。そして、使用後はキャップ本体に押釦カバーを再装着して、エアゾール内容物の誤噴射を防止する事ができる。また、粘着フィルムで止着する事により、押釦カバーが円周方向に回転したり、軸方向に移動するのを防止できるので、被覆凹部にて押釦を確実に被覆する事ができ、誤作動防止効果の信頼性を向上させる事ができる。
【0014】
また、押釦カバーは、円筒部の内周面に設けた凹部又は凸部と、この凹部又は凸部に対応してキャップ本体に設けた凸部又は凹部とを係合する事により、キャップ本体に装着可能としても良い。この方法だと、キャップ本体に押釦カバーを装着する際に、押釦と被覆凹部との位置合わせを正確に行えるので、突当部で押釦を押圧してしまうような事がなく、確実な誤作動防止が可能となる。また、携帯や運搬等により分離方向の力を多少受けても、キャップ本体と押釦カバーの係合が容易に解除されたり、回転等の位置ズレを生じる事がなく、誤作動防止効果を持続させる事ができる。
【0015】
また、押釦カバーは、外側面に係合用のクリップを突設すれば、エアゾール容器を洋服のポケットやバッグの縁等に止着固定して、手軽な携帯が可能となるとともに、携帯時の製品の落下や紛失を防止する事ができる。また、この外側に突出したクリップを手指に引掛けて操作する事により、キャップ本体から押釦カバーを外す作業を容易に行う事も可能となる。
【0016】
また、前記押釦カバーに設ける係合用のクリップは、円筒部の何れの位置に配置しても良いが、被覆凹部とは90°の位置に形成すれば、ポケットやバッグにクリップを止着した際に、押釦が真横に配置されるので、人体による圧迫や外部からの衝撃が押釦に加わりにくいものとなり、誤作動防止効果が高まる。また、使用時には、使用者が押釦を正面に配置してエアゾール容器を保持した際に、ちょうど真横にクリップが配置される。そのため、クリップを手指に引掛け易く、押釦カバーを外す作業が容易となるとともに、この作業に連続して、迅速に押釦を押圧する事ができる。
【0017】
そして、上記のエアゾール製品は、頭髪用品、化粧品、消臭・制汗剤、その他の人体用品、殺虫剤、催涙ガス、コーテング剤、クリーナー、その他の家庭用品、工業用品、自動車用品、食品等の噴射に用いる事ができる。そして、頭髪用品として、ヘアースプレー、ヘアートリートメント、ヘアーシャンプー・リンス、酸性染毛剤、酸化型2剤タイプ永久染毛剤、カラースプレー・脱色剤、パーマ剤、育毛剤、ヘアートニック、寝癖直しスプレー、髪用フレグランス等に用いる事ができる。
【0018】
また、化粧品として、アフターシェーブローション、香水・オーデコロン、洗顔料、日焼け止め、ファンデーション、脱毛・脱色剤、浴用剤等に用いる事ができる。
【0019】
また、消臭・制汗剤としては、制汗剤、消臭剤、ボディシャンプー等に用いる事ができる。また、その他の人体用品としては、筋肉消炎剤、皮膚疾患剤、水虫薬、害虫忌避剤、清拭剤、口腔剤、傷薬、やけど治療剤等に用いる事ができる。また、催涙ガスに用いる事ができる。
【0020】
また、殺虫剤としては、空間殺虫剤、ゴキブリ殺虫剤、園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、不快害虫剤等に用いる事ができる。また、コーテング剤としては、家庭用塗料、自動車用塗料、アンダーコーテング等に用いる事ができる。
【0021】
また、クリーナーとしては、浴用クリーナー、床・家具艶だしクリーナー、靴・皮革クリーナー、ワックス艶だし剤等に用いる事ができる。また、その他の家庭用品としては、室内消臭剤、トイレ用消臭剤、防水剤、洗濯糊、除草剤、衣類用防虫剤、防炎剤、除菌剤等に用いる事ができる。
【0022】
また、工業用としては、潤滑防錆剤、接着剤、金属探傷剤、離型剤、コーキング剤等に用いる事ができる。また、自動車用としては、防曇剤、解氷剤、エンジンクリーナー等に用いる事ができる。その他、動物用品、趣味娯楽用品、食品、例えばコーヒー、ジュース、クリーム、チーズ等に用いる事ができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を携帯用の小型エアゾール製品で実施した一例を図面に於て説明すれば、(1)はエアゾール容器で、上端にキャップ本体(2)を嵌合固定している。このキャップ本体(2)の内部には、図4に示す如く、上部方向にエアゾール内容物を噴射可能なノズル(3)を収納し、このノズル(3)をエアゾール容器(1)から突出するバルブ機構のステム(4)に接続している。また、キャップ本体(2)は、上面中央に、エアゾール内容物噴出用の噴出孔(5)を設けるとともに、この噴出孔(5)に連続して、円筒状のノズル係合部(6)を内方に突設している。
【0024】
そして、このノズル係合部(6)内にノズル(3)の先端を挿入配置するとともに、図4乃至図7に示す如く、ノズル係合部(6)の内周の軸方向に設けた一対の係合溝(7)に、ノズル(3)の外周の軸方向に設けた一対の方向規制リブ(8)を係合している。この係合により、ノズル(3)の上下方向への摺動を可能としているが、円周方向には回転不能とする回り止め効果を持つものとなる。
【0025】
そして、前記ノズル(3)を軸方向に押圧して、ステム(4)を押し下げるための押釦(10)を、ノズル(3)に接続している。この押釦(10)は、キャップ本体(2)の側面に、手指で押圧する突出部(11)を突出する事により、エアゾール内容物の噴射方向と交差する横方向からノズル(3)を押圧可能としている。
【0026】
また、この押釦(10)は、ノズル(3)の軸方向と直角に配置する基板(12)を側面に突出し、この基板(12)をキャップ本体(2)内に配置している。そして、、この基板(12)には、図4乃至図6に示す如く、押釦(10)の摺動方向に長尺な長孔(13)を設け、この長孔(13)内にノズル(3)を貫通配置している。更に、基板(12)の下端には、摺動先側を頂点とし、突出部(11)方向に傾斜するテーパー面(14)を下端に設けた側壁(19)を配置している。また、テーパー面(14)に係合する一対のノズル押下リブ(15)を、ノズル(3)の側面軸方向に突設している。このテーパー面(14)とノズル押下リブ(15)との係合により、突出部(11)をノズル(3)の軸と交差方向に押圧して押釦(10)を摺動すると、テーパー面(14)は、その摺動方向とは交差する方向にノズル押下リブ(15)を押圧する。この押圧により、ノズル(3)は、エアゾール容器(1)方向に下降してステム(4)を押し下げるので、噴出孔(5)を介して上方にエアゾール内容物を噴射可能となる。
【0027】
そして、上述の如く形成したキャップ本体(2)の外周に、押釦(10)の誤作動防止用の押釦カバー(16)を装着している。この押釦カバー(16)は、図1乃至図3に示す如く、キャップ本体(2)の外周を180°以上被覆する非連結の円筒形に形成している。また、この円筒部(17)は、非連結として開口部(18)を設けているから、円筒部(17)の内径を拡縮自在とするとともに、この開口部(18)を介してキャップ本体(2)への着脱を可能としている。
【0028】
この押釦カバー(16)の円筒部(17)は、内面中央に、押釦(10)の突出部(11)を被覆する被覆凹部(20)を外方に突設するとともに、この被覆凹部(20)以外の内周面を、キャップ本体(2)の外周面に突き当てて、突当部(21)としている。また、押釦カバー(16)は、開口部(18)方向の先端でキャップ本体(2)を挟持し、押釦カバー(16)の脱落を防止している。また、図4に示す如く、被覆凹部(20)は、その内周面と押釦(10)の突出部(11)表面との間に隙間(22)が形成されるような寸法で形成するとともに、下端側をストレートに形成する事により、押釦(10)又は被覆凹部(20)の寸法に製作誤差を生じていても問題を生じないように形成している。また、この隙間(22)の存在やストレート形状により、被覆凹部(20)に外面から大きな押圧力が加わったり、多少の位置ズレを生じても、被覆凹部(20)の内面で誤って押釦(10)を押圧する事はなく、誤作動防止効果を高めている。
【0029】
また、キャップ本体(2)の外周面に突き当てる突当部(21)は、図3に示す如く、被覆凹部(20)の近辺で被覆凹部(20)を外面から押圧した時に、キャップ本体(2)の表面に突き当たる位置に形成している。また、押釦カバー(16)は、キャップ本体(2)の表面を180°以上被覆し、この180°以上の部分でキャップ本体(2)を挟持する事ができる。
【0030】
また、本実施例の押釦カバー(16)は、図2、図3に示す如く、円筒部(17)の一側を、折曲可能な粘着フィルム(23)にてキャップ本体(2)外周に止着している。この止着により、キャップ本体(2)と押釦カバー(16)の分離や位置ズレを更に確実に防止し、携帯性や誤作動防止効果を向上するとともに、誤作動防止解除の際に、押釦カバー(16)の落下や紛失を防ぐ。また、押釦カバー(16)は、図3、図12に示す如く、押釦カバー(16)の押圧方向に、係合段部(24)を設け、この係合段部(24)をキャップ本体(2)の係合受段部(25)に係合する事により、押釦カバー(16)に外部から押圧力が加えられた場合にも、押釦(10)の押圧を生じる事がないようにしている。
【0031】
また、円筒部(17)は、上記止着側とは反対側の外面に、ポケットやカバンの縁等に係合するためのクリップ(26)を突設し、携帯性を高めている。このクリップ(26)は、図3に示す如く、被覆凹部(20)とは90°の位置に形成する事により、係合機能だけでなく、キャップ本体(2)から押釦カバー(16)を外す際の摘みの役割を果たし、容易な誤作動防止機構の解除を可能としている。
【0032】
上述の如く構成した小型エアゾール製品は、エアゾール内容物の未噴射時は、図1に示す如く、キャップ本体(2)の外周に押釦カバー(16)を装着して、押釦(10)を被覆しているので、押釦(10)の誤作動を防止し、不用意なエアゾール内容物の噴射を防ぐ事ができる。そして、この小型エアゾール製品は、衣類のポケットやカバンに収納して、携帯する事ができるが、押釦カバー(10)のクリップ(26)にて、ポケットやカバンの縁等に止着する事により、手軽な携帯を可能とするとともに、エアゾール製品の落下や紛失を良好に防ぐものとなる。
【0033】
また、このようにクリップ(26)にて止着すると、押釦(10)の被覆凹部(20)は、ちょうど90°横方向に配置される。そのため、携帯時に人体による圧迫や、外部からの衝撃を受けても、押釦(10)に衝撃が加わりにくいものとなり、誤作動防止効果を高める事ができる。また、粘着フィルム(23)の止着力と突当部(21)の挟持力とで、押釦カバー(16)をキャップ本体(2)に確実に係合しているので、携帯時にエアゾール容器(1)に引き抜き力等が加わっても、抜け落ちたり、押釦(10)と被覆凹部(20)との位置ズレを生じる事はなく、盗難や紛失を防ぐとともに、誤作動防止効果を損なう事はない。
【0034】
そして、エアゾール内容物を噴射するには、ポケットやカバンからエアゾール製品を外し、図9に示す如く、押釦(10)を使用者の正面に向けた状態で、親指(27)以外の4本の手指(28)でエアゾール容器(1)を保持する。このように保持すると、右側90°の位置にクリップ(26)が配置されるので、このクリップ(26)に親指(27)を引掛けて手前側に弾く事により、図10に示す如く、キャップ本体(2)の外面と押釦カバー(16)の突当部(21)との係合が解除され、押釦カバー(16)を簡単に外す事ができる。また、粘着フィルム(23)の止着により、押釦カバー(16)の飛散や紛失を防ぐ事ができる。
【0035】
上記の如くキャップ本体(2)から押釦カバー(16)を外すと、押釦(10)の突出部(11)が露出するので、図9に示す如く、この突出部(11)を親指(27)で押圧する事により、キャップ本体(2)上端に設けた噴出孔(5)から、エアゾール内容物を噴射する事ができる。このように、押釦カバー(16)を外す解除動作と押釦(10)の押圧動作を、親指(27)一本を左右に動かすだけで簡単かつ迅速に行う事ができる。
【0036】
尚、上記では、右手のみで一連の動作を行う例を示したが、両手で行っても良く、誤作動防止解除とエアゾール内容物の噴射を迅速に行える。また、右手でも左手でも簡単に操作する事が可能である。また、この押釦(10)の押圧によるエアゾール内容物の噴射の仕組みは、図5に示す如く、押釦(10)が押圧方向に摺動すると、側壁(19)下端のテーパー面(14)が横方向に摺動し、このテーパー面(14)に係合したノズル押下リブ(15)をエアゾール容器(1)方向に押圧するので、ノズル(3)とともにステム(4)が下降し、噴出孔(5)から上部方向にエアゾール内容物が噴出するものである。
【0037】
このように、本発明の押釦カバー(16)をキャップ本体(2)に装着する事により、エアゾール内容物の未使用時は、確実に押釦(10)の誤作動を防止するだけでなく、使用時には、簡単な動作で迅速にこの誤作動防止機構を解除して、エアゾール内容物を噴射する事ができる。従って、催涙ガスやゴキブリ用殺虫剤等、危険性のあるものを携帯しても、未使用時はエアゾール内容物が誤噴射される事はなく、携帯者に悪影響を与えないし、突然の使用の際にも、誤作動防止機構の解除とエアゾール内容物の噴射を迅速に行う事ができ、犯人撃退や害虫駆除と言うエアゾール製品自身の性能も効果的に発揮する事ができる。
【0038】
また、上記第1実施例では、脱落や位置ズレ防止効果を高めるため、押釦カバー(16)は、粘着フィルム(23)によりキャップ本体(2)に止着しているが、他の異なる第2実施例では、図11、図12に示す如く、押釦カバー(16)は、円筒部(17)の内周面に設けた凸部(30)と、キャップ本体(2)に設けた凹部(31)とを係合する事により、キャップ本体(2)に装着可能としている。このように形成すると、キャップ本体(2)への押釦カバー(16)装着時に、被覆凹部(20)と押釦(10)との位置合わせを正確に行え、突当部(21)で押釦(10)を誤って押圧するような事がない。また、この凸部(30)と凹部(31)は、本実施例の如く2箇所に設けても良いし、1箇所のみ又は3箇所以上に設けても良い。
【0039】
また、本実施例では、押釦カバー(16)の凸部(30)の先端を、キャップ本体(2)の凹部(31)内径よりも径大に形成するとともに、この先端に割溝(32)を設けている。そして、これらの係合時は、凸部(30)の割溝(32)が収縮して先端の外径を小さくするので、凹部(31)への挿入が可能となり、係合完了後は、凸部(30)の先端が復元して凹部(31)の内径よりも径大となるので、優れた抜け防止効果を得る事ができる。従って、本実施例に於いても、押釦カバー(16)による押釦(10)の誤作動防止効果に優れたものとなる。そして、エアゾール内容物の噴射時は、第1実施例と同様に、クリップ(26)部分を親指(27)で手前方向に強く弾いたり、引っ張ったりする事により、凸部(30)と凹部(31)との係合を解除して、キャップ本体(2)から押釦カバー(16)を簡単に外す事ができ、エアゾール内容物の迅速な噴射が行える。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであるから、エアゾール内容物の噴射方向と交差する方向に押釦を押圧するエアゾール容器に於いて、エアゾール内容物を使用しない時は、押釦カバーにより押釦を被覆して、押釦の誤作動を確実に防止可能であるとともに、エアゾール内容物の噴射時は、押釦カバーを外す事で、誤作動防止機構を簡単かつ迅速に解除し、直ちにエアゾール内容物の噴射が可能なものとなる。また、このような誤作動防止とその解除機能に優れた誤作動防止機構を、単純な構造で容易に製作できるので、低コストな製品を得る事ができるとともに、携帯用の小型エアゾール製品から大型のエアゾール製品まで、あらゆるタイプのエアゾール製品にて実施が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押釦カバーをエアゾール容器に設けた第1実施例の全体斜視図。
【図2】押釦カバーの粘着テープ側の拡大斜視図。
【図3】図1の上面図。
【図4】図3のA−A線拡大断面図。
【図5】押釦を押圧して、ノズルを押し下げた状態の断面図。
【図6】押釦のテーパー面とノズルのノズル押下リブとの係合状態を示す斜視図。
【図7】ノズルの拡大平面図。
【図8】図7の上面図。
【図9】エアゾール容器を保持して、親指をクリップに引掛けた状態の平面図。
【図10】押釦カバーを外してエアゾール内容物を噴射した状態の斜視図。
【図11】第2実施例の押釦カバーとキャップ本体との係合関係を示す斜視図。
【図12】押釦カバーを装着し、押釦を除いた状態の図11のB−B線拡大断面図。
【符号の説明】
1 エアゾール容器
2 キャップ本体
10 押釦
11 突出部
16 押釦カバー
17 円筒部
20 被覆凹部
21 突当部
23 粘着フィルム
26 クリップ
30 凸部
31 凹部
Claims (5)
- 噴射方向と交差する方向から押圧してエアゾール内容物を噴射する押釦をエアゾール容器のキャップ本体に突設し、このキャップ本体の外周を180°以上被覆する非連結の円筒形押釦カバーをキャップ本体に着脱可能に装着し、この押釦カバーの円筒部内面に、押釦の突出部を被覆する被覆凹部と、キャップ本体の表面に突き当てる突当部とを形成した事を特徴とするエアゾール容器の押釦カバー。
- 押釦カバーは、円筒部の一側を、折曲可能な粘着フィルムにてキャップ本体外周に止着した事を特徴とする請求項1のエアゾール容器の押釦カバー。
- 押釦カバーは、円筒部の内周面に設けた凹部又は凸部と、キャップ本体に設けた凸部又は凹部とを係合する事により、キャップ本体に装着可能とした事を特徴とする請求項1のエアゾール容器の押釦カバー。
- 押釦カバーは、外側面に係合用のクリップを突設した事を特徴とする請求項1のエアゾール容器の押釦カバー。
- 押釦カバーに設ける係合用のクリップは、被覆凹部とは90°の位置に形成した事を特徴とする請求項4のエアゾール容器の押釦カバー。
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