JP4739971B2 - エアゾール容器の残留内容物排出装置 - Google Patents

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本発明は、エアゾール製品を廃棄する際に、残留内容物を全量排出するためのエアゾール容器の残留内容物排出装置に関するものである。
特開平8−133360号公報
従来、エアゾール容器本体内に充填された内容物の使用後にエアゾール製品を廃棄する際に、エアゾール容器本体内に内容物を残留したまま廃棄すると、噴射ガスの膨張による爆発事故を引き起こす等の問題を生じる虞があった。この問題を解決するため、例えば特許文献1に示すような、エアゾール容器本体内に残留する内容物を全量排出するための内容物排出装置が知られている。
この特許文献1に記載の発明は、押釦の外周に係合突部を突設し、この係合突部と係合可能な係合受部を、エアゾール容器の肩部に形成している。そして、エアゾール製品の使用時は、係合突部が係合受部に係合しない程度の押下げ量で、押釦を押し下げて内容物の噴射を行う。そして、内容物の使用が終わり、エアゾール容器を廃棄する際には、押釦を大きく押し下げることにより、係合突部を係合受部に係合して、押釦の押圧状態を維持し、内容物を全量排出することを可能としていた。
しかしながら、上記特許文献1では、押釦の押下げ量によって通常使用と全量排出とを区別するものであるため、通常使用時に誤って押釦を過剰に押し下げると、係合突部と係合受部が係合して全量噴射状態となる虞がある。したがって使用者は、通常使用時に誤って全量噴射状態としないように細心の注意を払いながら押釦を操作する必要があり、煩雑なものであった。
そこで本発明は、上述の如き課題を解決するものであって、内容物の使用が終了したエアゾール製品を廃棄する際に、エアゾール容器に残留する内容物の全量を確実に排出することを可能とする。そして、内容物の全量排出により、エアゾール製品の爆発事故を防止可能とする。また、通常噴射と全量排出噴射を明確に区別することにより、使用者が誤って全量排出噴射状態とすることを防止しようとするものである。
本発明は、上述の如き課題を解決するため、外周に被押圧鍔を突出し、内部にエアゾール容器のステムを挿通固定する被押圧駒と、この被押圧駒を下端の収納部に収納し、被押圧駒を介してステムからエアゾール内容物を導入する押釦と、この押釦の収納部の内周に突出し、被押圧駒の被押圧鍔を押圧可能な押圧リブと、上記押釦を被覆し、下端をエアゾール容器に着脱可能に係合するオーバーキャップとから成り、このオーバーキャップを、被押圧駒の収納部への収納時には押釦と非接触状態とするが、押釦を引き上げ、収納部から取り外した被押圧駒の被押圧鍔に押圧リブを当接係合した状態で、押釦を天板内面にて押圧し、エアゾール内容物の全量排出を可能としたものである。
また、被押圧鍔は、上部方向に拡開した傾斜面の上端に、被押圧駒の軸方向と直角な平坦面を形成したものであってもよい。
また、押圧リブは、被押圧鍔を押圧可能な下端を、被押圧駒の軸方向と直角な平坦面とするとともに、内面に被押圧鍔の傾斜面に対応する傾斜部を形成したものであってもよい。
また、被押圧駒の収納部への収納は、無理嵌めにより被押圧鍔が押圧リブを乗り越えて行うものであってもよい。
本発明は、上述の如く構成したものであって、押釦の収納部に被押圧駒を収納し、この被押圧駒をエアゾール容器のステムに挿通固定した通常使用の状態において、押釦を指等で押圧するとエアゾール内容物の通常噴射が可能となる。また、オーバーキャップをエアゾール容器に係合固定した状態で、オーバーキャップと押釦とは非接触状態が保たれ、押釦が押圧されることはない。また、エアゾール容器を廃棄するために残留内容物の全量排出を行う場合は、オーバーキャップをエアゾール容器から取り外すとともに押釦を引き上げ、被押圧鍔に押圧リブを当接係合した状態でオーバーキャップをエアゾール容器に係合固定すると、オーバーキャップの天板で押釦を押圧してエアゾール内容物の全量排出が可能となる。
上述の如く、エアゾール内容物の全量排出は、通常噴射とは全く別個の手段により行うため、通常噴射と全量排出噴射を明確に区別することができる。したがって、使用者が通常噴射時に誤って全量噴射を行うことはなく、安全で確実なエアゾール容器内の内容物の全量噴射を行うことができる。また、確実な全量噴射を可能としたことにより、エアゾール製品の廃棄時に起こり得る爆発事故等を防止可能とする。
本発明の一実施例を図面に於いて説明すると、(1)はエアゾール容器で、バルブ機構(図示せず)を構成するステム(2)を上端に突出している。そして、このステム(2)を内部に挿通固定する被押圧駒(3)を設ける。この被押圧駒(3)は、図1及び図2に示す如く、筒状に形成し、下端の挿入部(4)にステム(2)の上端を挿通固定するとともに、上端側にエアゾール内容物(5)の導出口(6)を開口している。また、この被押圧駒(3)は外周に被押圧鍔(7)を突出形成している。この被押圧鍔(7)は、図1及び図2に示す如く、上部方向に拡開した傾斜面の上端に、被押圧駒(3)の軸方向と直角な平坦面を形成している。
そして、上記被押圧駒(3)を収納可能な収納部(8)を押釦(10)に形成する。すなわち、この押釦(10)の下端に、図1及び図2に示す如く、被押圧鍔(7)を設けた被押圧駒(3)が収納可能な収納部(8)を形成する。これにより、この収納部(8)に被押圧駒(3)を収納した状態で、被押圧駒(3)の導出口(6)を介してステム(2)からエアゾール内容物(5)を押釦(10)内に導入することを可能としている。また、この収納部(8)の下端内周に、被押圧鍔(7)の上面に当接係合して被押圧鍔(7)を押圧可能とする押圧リブ(11)を突出形成する。また、被押圧駒(3)の収納部(8)への収納は、無理嵌めにより被押圧鍔(7)が押圧リブ(11)を乗り越えて行うものである。
また、図1及び図2に示す如く、この押圧リブ(11)は下端を被押圧駒(3)の軸方向と直角な平坦面とし、被押圧鍔(7)の上端を押圧し易いものとする。また、押圧リブ(11)の内面は、被押圧鍔(7)の傾斜面に対応する傾斜部とし、収納部(8)から被押圧駒(3)を取り外す際に、この傾斜部と被押圧鍔(7)の傾斜面とが摺動することにより取り外し易いものとする。また、押釦(10)の上面(12)に溝(13)を形成し、押釦(10)を手指で押圧する場合の滑り止めとしている。
また、上記押釦(10)を被覆するオーバーキャップ(14)をエアゾール容器(1)のマウンティングカップ(15)に着脱可能に設ける。このオーバーキャップ(14)は、天板(16)を平坦に形成するとともに、下端の係合リブ(17)によりエアゾール容器(1)のマウンティングカップ(15)と着脱可能に係合している。この係合は、後述する作用により、オーバーキャップ(14)の天板(16)が押釦(10)を押圧した場合に、エアゾール内容物(5)の継続噴射を可能とする程度の係合力で係合するものである。
上述の如く構成したものであって、本発明のエアゾール装置の製造時に、押釦(10)の収納部(8)に被押圧駒(3)を、被押圧鍔(7)が押圧リブ(11)を乗り越えて収納するよう無理嵌めするとともに、被押圧駒(3)をエアゾール容器(1)のステム(2)に挿通固定する。この状態に於いて、押釦(10)の上面(12)を手指などで押圧すると、押釦(10)の収納部(8)の上端で被押圧駒(3)を押圧し、これによりステム(2)が押圧されてエアゾール内容物(5)の通常噴射が可能となる。この噴射は押釦(10)を任意に押圧することによって可能であり、上記従来技術の如く、押釦(10)の押圧力を調整する等の必要は全くない。また、この状態でオーバーキャップ(14)を係合リブ(17)を介してエアゾール容器(1)のマウンティングカップ(15)に係合すると、図2に示す如く、押釦(10)とオーバーキャップ(14)の天板(16)とは非接触状態となり、押釦(10)が押圧されてエアゾール内容物(5)が噴射することはない。
次に、エアゾール容器(1)の使用が終了し、エアゾール容器(1)の廃棄のための全量排出を行う場合は、オーバーキャップ(14)をエアゾール容器(1)から取り外すとともに、押釦(10)を、押圧リブ(11)が被押圧鍔(7)を乗り越えるまで引き上げる。そして、押圧リブ(11)を被押圧鍔(7)の上端に当接係合し、押釦(10)の配置を通常噴射時よりも高くする。この状態で、図1に示す如く、オーバーキャップ(14)をエアゾール容器(1)に係合固定する。そうすると、オーバーキャップ(14)の天板(16)が押釦(10)の上端を押し下げるとともに、押圧リブ(11)が被押圧鍔(7)の上端を押圧する。これにより、被押圧駒(3)がステム(2)を押圧し、エアゾール内容物(5)の排出噴射状態となる。そして、この噴射されたエアゾール内容物(5)は、オーバーキャップ(14)の外周壁(18)の内側に当たるため、外部に直接飛散することはなく、安全に全量排出を行うことが可能となる。
また、上述のように、エアゾール内容物(5)の全量排出は、通常噴射とは全く別個の手段により行うため、通常噴射と全量排出噴射を明確に区別することができる。したがって、使用者が通常噴射時に誤って全量噴射を行うことはなく、安全で確実なエアゾール容器(1)内の内容物の全量噴射を行うことができる。また、係合リブ(17)を介してオーバーキャップ(14)とエアゾール容器(1)とを係合固定しているため、押釦(10)の押下げ状態が維持可能となり、エアゾール容器(1)内に残留するエアゾール内容物(5)の確実な全量排出が可能となる。このように、確実な全量排出を可能とすることにより、エアゾール製品の廃棄時に起こり得るエアゾール容器(1)の爆発事故等を防止することが可能となる。また、一旦全量排出状態とすると、使用者はこの全量排出が終了するまでエアゾール容器(1)に触れる必要はないため、エアゾール内容物(5)で手が汚れることなく安全に、エアゾール容器(1)内に残留するエアゾール内容物(5)の全量排出をすることができるものとなる。
また、本発明のエアゾール容器(1)の残留内容物排出装置は、頭髪用品、化粧品、消臭・制汗剤、その他の人体用品、殺虫剤、コーティング材、クリーナー、その他の家庭用品、工業用品、自動車用品、食品等のエアゾール製品に用いることができる。そして、頭髪用品として、ヘアースプレー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリングフォーム、ヘアーシャンプー・リンス、酸性染毛剤、酸化型2剤タイプ永久染毛剤、カラースプレー・脱色剤、パーマ剤、育毛剤、ヘアートニック、寝癖直しスプレー、髪用フレグランス等に用いることができる。
また、化粧品として、シェービングフォーム、アフターシェーブローション、香水・オーデコロン、洗顔料、日焼け止め、ファンデーション、脱毛・脱色剤、浴用剤等に用いることができる。
また、消臭・制汗剤としては、消臭剤、制汗剤、ボディシャンプー等に用いることができる。また、その他の人体用品としては、筋肉消炎剤、皮膚疾患予防剤、皮膚疾患治療剤、水虫薬、害虫忌避剤、清拭剤、口腔清涼剤、口腔歯磨き剤、傷薬、やけど治療剤等に用いることができる。
また、殺虫剤としては、空間殺虫剤、ゴキブリ殺虫剤、園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、不快害虫剤等に用いることができる。また、コーティング剤としては、家庭用塗料、自動車用塗料、アンダーコーティング等に用いることができる。
また、クリーナーとしては、ガラスクリーナー、硬質表面洗浄剤、浴用クリーナー、床・家具艶出しクリーナー、靴・皮革クリーナー、ワックス艶出し剤等に用いることができる。また、その他の家庭用品としては、室内消臭剤、トイレ用消臭剤、防水剤、洗濯糊、除草剤、衣類用防虫剤、防炎剤、除菌剤等に用いることができる。
また、工業用としては、潤滑防錆剤、接着剤、金属探傷剤、離型剤、コーキング剤等に用いることができる。また、自動車用としては、防曇剤、解氷剤、エンジンクリーナー等に用いることができる。その他、動物用品、趣味娯楽用品、食品、例えば、コーヒー、ジュース、クリーム、チーズ等に用いることができる。
本発明の一実施例に於けるエアゾール内容物の全量排出状態を示す断面図。 本発明の一実施例に於けるエアゾール内容物の非噴射状態を示す断面図。
符号の説明
1 エアゾール容器
2 ステム
3 被押圧駒
5 エアゾール内容物
7 被押圧鍔
8 収納部
10 押釦
11 押圧リブ
14 オーバーキャップ
16 天板

Claims (4)

  1. 外周に被押圧鍔を突出し、内部にエアゾール容器のステムを挿通固定する被押圧駒と、この被押圧駒を下端の収納部に収納し、被押圧駒を介してステムからエアゾール内容物を導入する押釦と、この押釦の収納部の内周に突出し、被押圧駒の被押圧鍔を押圧可能な押圧リブと、上記押釦を被覆し、下端をエアゾール容器に着脱可能に係合するオーバーキャップとから成り、このオーバーキャップを、被押圧駒の収納部への収納時には押釦と非接触状態とするが、押釦を引き上げ、収納部から取り外した被押圧駒の被押圧鍔に押圧リブを当接係合した状態で、押釦を天板内面にて押圧し、エアゾール内容物の全量排出を可能としたことを特徴とするエアゾール容器の残留内容物排出装置。
  2. 被押圧鍔は、上部方向に拡開した傾斜面の上端に、被押圧駒の軸方向と直角な平坦面を形成したことを特徴とする請求項1のエアゾール容器の残留内容物排出装置。
  3. 押圧リブは、被押圧鍔を押圧可能な下端を、被押圧駒の軸方向と直角な平坦面とするとともに、内面に被押圧鍔の傾斜面に対応する傾斜部を形成したことを特徴とする請求項1のエアゾール容器の残留内容物排出装置。
  4. 被押圧駒の収納部への収納は、無理嵌めにより被押圧鍔が押圧リブを乗り越えて行うものであることを特徴とする請求項1のエアゾール容器の残留内容物排出装置。
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