JP4136203B2 - 皮膚外用剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリーブ葉の抽出物のカラムクロマト処理分画物を配合することにより、紫外線や代謝により皮膚内に生じる活性酸素を消去して、活性酸素に起因する皮膚の老化を防止する皮膚外用剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚は、体内から起因する酸素ストレスだけでなく、空気と接していることや紫外線の照射を受けることから、最も活性酸素にさらされている器官である。皮膚表面では、活性酸素が皮脂を酸化し、皮膚表面状態の悪化の原因となっている。また、真皮中では、構成成分であるコラーゲンやエラスチンが、架橋することにより弾力低下の原因となり、ヒアルロン酸は低分子化することにより、保湿能の低下を引き起こすと言われている。このような真皮成分の変化が、シワの原因として提唱されている。また、活性酸素は、シミの生成にも深く関与していると考えられ、よって様々な皮膚の老化の主原因と推定されている。このようなことから、活性酸素から皮膚を守る化粧料が開発されてきた。それらの中で、天然物中から多くの活性酸素抑制物質が確認されてきた。ゴマ油中のセサミノール、セサモール、米胚芽中のトコフェノール、オリザノール、コーヒー豆中のカフェー酸、ローズマリー中のカルノソール、ローズマリー酸、ターメリック中のクルクミン等、他に多くの植物抽出液に活性酸素抑制作用が確認され、化粧料等に配合されてきた。
【0003】
一方、本発明に係わるオリーブ葉は、Olive Leaf ExtractとしてCTFA(第8改定)に記載されており、化粧品添加剤として広く使用されている。しかしながら、これら抽出液は、エタノール、多価アルコール又はこれらと水の混液で抽出されたものであり、高い活性酸素消去作用を求めることはできない。
『また、オリーブ葉エキスに抗酸化作用があることやオリーブ葉の成分であるOleuropein、その加水分解物であるHydroxytyrosolに同様の抗酸化作用があることが知られており(Phytochemistry,Vol.31,No.4,pp.1173-1178,1992) 、Hydroxytyrosolの合成法も確立されている(Phytochemistry、同) 。』
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これまで有効とされた天然物中の単離成分は高価であったり、皮膚刺激性が強いといった欠点があり、化粧料に配合するにあたり、価格、刺激及び効果の点から問題を有する。他方、これまでの活性酸素抑制作用を有する植物抽出物は、効果が弱く、十分な効果を求めるためには、多量を化粧料に配合することが必要であり、化粧料の製品に色、匂いの面で好ましいものを得ることができなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、価格、刺激及び効果の面から化粧料添加剤として優れた活性酸素抑制作用を有する植物抽出物を配合し、活性酸素に起因する皮膚の老化を防止する皮膚外用剤組成物を提供することにある。
【0006】
このような実情において、本発明者らは、広く天然界に存在する植物の抽出物について鋭意検討を行った結果、オリーブ葉の抽出物分画物が高い活性酸素抑制作用があることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、オリーブ葉抽出物のカラムクロマト処理分画物を含有することを特徴とする活性酸素消去作用を有する皮膚外用剤組成物を提供するものである。
【0008】
本願発明は、下記の請求項1〜請求項3により構成されている。
請求項1:オリーブ葉の水又はエタノール溶液抽出物を、カラムクロマト法により、架橋ポリスチレン樹脂又はオクタデシルシリル化シリカゲル充填剤に吸着させ、エタノール濃度30〜60vol%を用いて溶出させた分画物を必須成分とすることを特徴とする皮膚外用剤組成物。
請求項2:架橋ポリスチレン樹脂が、ダイヤイオンHP−20(登録商標)である請求項1記載の皮膚外用剤組成物。
請求項3:皮膚外用剤組成物が活性酸素消去作用を有する化粧料である請求項1、又は請求項2記載の皮膚外用剤組成物。
【0009】
以下、この発明の皮膚外用剤組成物について詳述する。
本発明においては、オリーブ Olea europaea L.(モクセイ科)の葉の抽出物のカラムクロマト処理分画物を必須成分として用いる。
【0010】
本発明で用いるオリーブ葉は、地中海沿岸地方、北アフリカ原産のオリーブで、現在地中海沿岸地方をはじめ世界各地の比較的気温の高い土地で栽培されている。オリーブ葉は、長楕円形か皮針形の革質で先端は鋭く尖っている。
『オリーブ葉の成分としては、セコイリドイド配糖体のoleuropein、demethyloleuropein、oleoside、ligstroside 、カフェー酸エステルのverbascoside、フラボノイド配糖体のrutine、luteolin glycosides 、apigenin glycosides 、トリテルペンのoleanolic acid、betulinic acid、トリテルペノールのsitsterol 、α-amyrin 、β-amyrin 、uvaol 、erythrodiol 、クロロフィル等があげられる。これら成分の中で活性酸素消去作用を有する成分は、セコイリドイド配糖体、カフェー酸エステル及びフラボノイド配糖体である。』
【0011】
本発明の必須成分であるオリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物を調製する際には、オリーブ葉は、必要に応じ、生又は乾燥したものをそのまま又は粉砕したものを使用し、有機栽培で生育された葉も同様に使用することができる。抽出物の調製方法は特に限定されないが、例えば、種々の適当な溶媒を用い、室温又は加温下において抽出する方法があげられる。
【0012】
具体的に抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール等の低級一価アルコール、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。これらの中で、特に水又は20〜60%エタノール溶液をもちいることが好ましい。エタノール濃度が高すぎるとトリテルペンやクロロフィル等の成分が多量に抽出され、後処理(濃縮等)が困難となる。
【0013】
抽出物をカラム充填用試料として調製する方法は、濃縮によりアルコールを留去し、3〜50倍の濃縮液とする。濃縮により、トリテルペンが析出してくるが、ろ過により取り除いてもさしつかえない。濃縮液を0〜10%のエタノール溶液として充填用試料とすることもできる。
【0014】
カラムクロマトの方法としては、オープンカラムを使用することもできるが、加圧液体クロマトグラフィーを利用した方が、工業的には望ましい。具体的には、低圧、中圧、フラッシュクロマトグラフィーを利用することができる。
【0015】
カラムクロマトに使用する充填剤は、逆相系の結合型シリカゲルや高分子系充填剤を使用することができる。具体的には、ODS型、DMS(ジメチルジクロロシラン)型等の結合型リシカゲル、スチレン−ジビニルベンゼン系、メタアクリル酸エステル系などの高分子系充填剤をあげることができるが、これらに限定されるものではない。充填剤の粒子径としては、20〜200μmのものを使用することができる。
【0016】
溶出に使用する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、n−プロパノール、エチルエーテル、酢酸エチル、これらの一種又は二種以上の混合溶媒を用いることができる。特に水〜20%エタノールで充填した試料を洗浄した後、30〜60%のエタノール溶液で溶出することが望ましい。
【0017】
溶出液の回収は、小さなフラクションに分けて回収することもできるし、大きなフラクションとして回収することもできる。回収した溶出液は、そのまま分画液とすることもできるし、濃縮液として濃度を高めることもできる。また、スプレードライや凍結乾燥などの操作によりエキス粉末とすることもできる。必要に応じては、さらにカラムクロマトグラフィーを繰り返したり、向流クロマトグラフィーにより分画を精製することもできる。これら分画物は、分画液、分画粉末、分画ペーストに調製し、更に適宜製剤化して用いることもできる。
【0018】
本発明に係る皮膚外用剤組成物の必須成分である、オリーブ葉の抽出物カラムクロマト分画物の含有量は、乾燥固形分に換算して好ましくは0.00001〜5.0重量%(以下、単に「%」で示す)、特に0.001〜0.5%がより好ましい。分画液を使用する場合は、溶質である乾燥固形分の含有量が上記範囲内であれば、その抽出液濃度等は何ら限定されるものではない。
【0019】
本発明の皮膚外用剤組成物は、上記必須成分の他、アスコルビン酸、α−トコフェノール、ローズマリーエキス・セージエキス・チョウジエキス等をはじめとする植物エキスなどの抗酸化剤を併用することにより活性酸素消去作用を高めることができる。
【0020】
また、本発明の皮膚外用剤組成物には、化粧料成分として一般に使用されている界面活性剤、油脂類、多価アルコール、低級アルコール、増粘剤、紫外線吸収剤・散乱剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素等を適宜配合することができる。これらの添加成分の具体例を示すと次のとおりである。界面活性剤としては、高級脂肪酸石けん、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、アミノアルコール脂肪酸有機シリコーン樹脂等のカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン分枝アルキルエーテル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンコレステロールエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニン等の天然界面活性剤等。油脂類としては、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアンナッツ油、ヒマシ油、ゴマ油、サフラワー油、ピーナツ油、ピスタチオ油等の植物油、ミンク油、卵黄油等の動物油、ホホバ油、カルナウバロエ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリン等のロウ類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ホホバアルコール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、グルコース、マルチトース、フルクトース、キシリトース、ソルビトール、マルトトリオース、エリスリトール等。増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、マルメロ種子抽出物、グアーガム、ローカストビーンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、カゼイン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー等。
【0021】
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸オクチル、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸誘導体等。防腐剤としては、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、レゾルシン、エタノール等。酸化防止剤としては、トコフェノール、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸エステル類等。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリム、クエン酸等。
【0022】
さらに、抗菌、細胞賦活、保湿、皮脂分泌抑制、消炎、血行促進、収斂、抗酸化、美白等の生理活性作用を有する植物抽出物及びこれらの抽出分画、精製物とを併用することもできる。
【0023】
また、本発明の皮膚外用剤組成物は、一般皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、薬用化粧料等を包含するものである。本発明の皮膚外用剤組成物の剤形は、可溶系、乳化系、粉末分散系等何れでもよく、用途も、化粧水、乳液、クリーム、パック等の基礎化粧料、ファンデーション等のメークアップ化粧料やアイライナー、入浴剤等を問わない。
【0024】
かくして得られる本発明のオリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物を必須成分として含有する皮膚外用組成物は、活性酸素消去作用に優れ、皮膚機能を亢進し、肌の皺を防止し、きめ細やかなしっかりとした肌にする効果が高く、老化防用化粧料として有用である。
【0025】
【実施例】
次に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
(オリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物の製造例1)乾燥したオリーブの葉250gに50vol%エタノール溶液5kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過し、抽出物約4500gを得る。抽出物を減圧下、40℃以下にて約500gまで濃縮する。濃縮液に適量のエタノール及び精製水を加え10%エタノール溶液1000gとし、カラム充填用試料とする。径60mm、長さ1000mmのガラスカラムに高分子吸着体(ダイヤイオンHP−20(登録商標)、三菱化成株式会社製)2Lを充填し、10%エタノール溶液に置換したカラムに充填用試料を約2気圧で充填した後、5Lの10%エタノール溶液にて洗浄する。更に20%エタノール溶液3Lにて洗浄した後、50%エタノール5Lで溶出し、溶出液を回収する。回収した溶出液を減圧下150gまで濃縮する。濃縮液に350gの1,3−ブチレングリコールを加え、乾燥固形分約1%のオリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物Aを得る。
【0027】
(オリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物の製造例2)乾燥したオリーブの葉250gに30vol%エタノール溶液5kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過し、抽出物約4500gを得る。抽出物を減圧下、40℃以下にて約500gまで濃縮する。濃縮液に適量のエタノール及び精製水を加え10%エタノール溶液1000gとし、カラム充填用試料とする。径60mm、長さ1000mmのガラスカラムにカラムクロマト用オクタドシルシリル化シリカゲルを充填し、10%エタノール溶液に置換したカラムに充填用試料を約2気圧で充填した後、5Lの10%エタノール溶液にて洗浄した後、60%エタノール5Lで溶出し、溶出液を回収する。回収した溶出液を凍結乾燥し、オリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物Bを得る。
【0028】
(試験例1)活性酸素消去作用SOD様活性作用の測定
オリーブ葉抽出物のカラムクロマト分画物A及びBについてSOD様活性を測定した。SOD様活性は、NBT法(XOD系と組み合わせたBeauchampsらの方法:Anal.Biochem.,44巻、276〜287頁、1971)に従った。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
(試験例2)既存オリーブ葉抽出物との比較試験
既存オリーブ葉抽出物は、乾燥したオリーブの葉500gに70vol%1,3−ブチレングリコール溶液5kgを加え、60℃にて8時間攪拌抽出を行い、冷後、ろ過して得られる約4000gを比較対照とした。前項と同様にSOD様活性を測定したところ、10倍希釈にて51.3%とカラムクロマト分画物Aの1/10の活性であった。
【0031】
(試験例3)パネルテスト
20〜39歳(平均年齢24.5歳)の女性50名を対象として、下記の本発明皮膚外用組成物、前項の既存オリーブ葉抽出物配合外用組成物、対照皮膚外用組成物を、1日2回(朝、夕)連続3ケ月間顔面に塗布、使用せしめた結果の官能評価を表2に示す。官能評価は、潤い、きめ、皺、しみ・そばかすの4項目とした。また、試験に用いたオリーブ葉抽出物カラムクロマト分画物は、製造例1に示した分画液を使用した。また、対照は、70%1,3−ブチレングリコール溶液を用いた。
【0032】
パネルテストに使用した皮膚外用組成物
オリーブ葉抽出物カラムクロマト分画物A 5.0%
(又は既存オリーブ葉抽出物)
(対照は70%1,3−ブチレングリコール溶液)
グリセリン 5.0%
エタノール 5.0%
パラオキシ安息香酸エステル 0.2%
精製水 84.8%
【0033】
表2より明らかなように、本発明の皮膚外用組成物は高い有効性を示し、その効果は本発明のオリーブ葉抽出物カラムクロマト分画物に由来するものであることが明らかとなった。
【0034】
【表2】
【0035】
(試験例3)急性毒性試験
絶食させた雌雄各5匹のSprague−Drawley CD系ラット、体重は雄205〜222g、雌215〜221gで、8〜12週齢を用いた。試験試料は、製造例1に示した分画液を使用した。各ラットに投与時の絶食後の体重に基づいて2000mg/kg一回強制経口投与した。投与後30分、1時間及び4時間、以後は1日1回、14日間ラットの死亡あるいは明らかな毒性徴候を観察した。体重は0日目の投与前、7日及び14日目に固体別に記録した。また、試験終了時にラットは頸部脱臼により屠殺し、肉眼的病理検査を行った。試験結果として、死亡あるいは毒性の一般症状は認められなかった。また、固体別体重は、試験期間を通じて、全てのラットに予想された体重増加を示した。剖検時に異常は認められなかった。これらにより、Sprague−DrawleyCD系ラットにおける急性経口50%致死率(LD50)は、2000mg/kg体重より大きいことが確認された。これにより、オリーブ葉抽出物カラムクロマト分画物は、安全性に優れていることが明白である。
【0036】
(試験例4)皮膚安全性試験
製造例1に示した分画液を試験溶液として用いた。皮膚一次刺激性試験は、ニュージーランドホワイト種ウサギ3匹を用いて行った結果、皮膚一次刺激指数は0.0であった。連続皮膚刺激性試験は、雌雄各3匹の白色Dunkin Hartley系モルモットを用いて、14日間連続反復投与した結果、最大週別平均刺激指数は0.0となり無刺激と判定された。眼刺激性試験は、ニュージーランドホワイト種ウサギ3匹の眼について行い、最大群平均評点は0.0で非刺激性と判定された。皮膚感作性試験は、白色モルモットを使用したAdjuvant/Patch法にて、試験動物、対照動物各10匹によって行い、発現率0/10で感作性の無いものであることが確認された。光毒性及び光感作性試験は、Dunkin Hartley系モルモット雌各5匹を使用して行なったところ、光毒性及び光感作性の徴候を引き起こさなかった。これらの皮膚安全性の結果から、オリーブ葉抽出物カラムクロマト分画物は、皮膚安全性のうえで、非常に安全性の高いものであることが明白である。
【0037】
(試験例5)パッチテスト
20歳〜51歳(平均年齢25.2歳)までの男性30名、女性30名からなる健常人60名のボランティアを用いた。被験物質は、先の製造例1の分画液及びパネルテストで使用した皮膚外用組成物を用い、対照として70%1,3−ブチレングリコール溶液及び生理食塩水を使用した。試験は、24時間閉塞塗布試験を行った。人体貼付試験用フィンチャンバー(直径11mm、大正製薬)を使用し、被験物質をそれぞれ0.1mL塗布した後、直ちに被験者の背部に貼付し、24時間放置した。そして24時間後にフィンチャンバーを除去して、30分後及び翌日(48時間後)に判定基準に従って皮膚反応を観察した。
【0038】
判定基準は、本邦パッチテスト研究会の判定基準に従った。
無反応 ・・・・・ (−)
僅かな紅斑 ・・・・・ (±)
明らかな紅斑 ・・・・・ (+)
紅斑+腫脹 ・・・・・ (++)
紅斑+腫脹+丘疹または小水泡 ・・・・・ (+++)
大水泡 ・・・・・ (++++)
【0039】
試験結果を表3に示す。陽性反応(+以上)を示した例は認められなかった。なお、僅かな紅斑(±)を生じた例は各検体群において、70%1,3−ブチレングリコール溶液や生理食塩水使用例とほぼ同程度の頻度であった。従って、皮膚刺激性は低いものと考えられ、皮膚外用剤に配合するにあたってその安全性の面で問題のないものであることが明らかとなった。
【0040】
【表3】
▲1▼:生理食塩水
▲2▼:70%1,3−ブチレングリコール溶液
▲3▼:製造例1の分画液
▲4▼:パネルテスト使用皮膚外用組成物
【0041】
(実施例1)クリーム
下記の成分(1)〜(10)、これとは別に下記成分(11)〜(14)を75℃に加温溶解しそれぞれA液及びB液とする。A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、クリームを調製した。
【0042】
(実施例2)化粧水
下記成分(5)〜(8)を混合溶解させてA液とし、これとは別に下記成分(1)〜(4)及び(9)を混合溶解させて(B)液とし、A液とB液を均一に混合し、化粧水を得た。
【0043】
(実施例3)乳液
下記成分(1)〜(10)、これとは別に下記成分(11)〜(14)及び(16)を75℃で加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら50℃まで冷却し、成分(15)を加え、乳液を調製した。
【0044】
(実施例4)クレンジングジェル
下記成分(1)〜(3)、これとは別に下記成分(4)〜(6)及び(8)を70℃に加熱溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら、50℃まで冷却し、成分(7)を加えてクレンジングジェルを調製した。
【0045】
以上のクリーム、化粧水、乳液、クレンジングジェルは、いずれも試験例3に示したパネルテストと同様の効果を有していた。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の必須成分であるオリーブ葉抽出物カラムクロマト処理分画物は、優れた活性酸素抑制作用を有し、安全性に優れ、これを含有する皮膚外用組成物は、肌の老化の原因となる活性酸素の生成を抑制し、また、安全性にも優れたものである。
Claims (3)
- オリーブ葉の水又はエタノール溶液抽出物を、カラムクロマト法により、架橋ポリスチレン樹脂又はオクタデシルシリル化シリカゲル充填剤に吸着させ、エタノール濃度30〜60vol%を用いて溶出させた分画物を必須成分とすることを特徴とする皮膚外用剤組成物。
- 架橋ポリスチレン樹脂が、ダイヤイオンHP−20(登録商標)である請求項1記載の皮膚外用剤組成物。
- 皮膚外用剤組成物が活性酸素消去作用を有する化粧料である請求項1、又は請求項2記載の皮膚外用剤組成物。
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