JP4134119B2 - 垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを備えた磁気ディスク装置及び該薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを備えた磁気ディスク装置及び該薄膜磁気ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、垂直磁気記録方式によって信号磁界の書き込み及び読み出しを行う垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッド、この薄膜磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えた磁気ディスク装置(HDD)に関する。さらに本発明は、垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
近年、HDDにおける面記録密度のさらなる向上を実現するために、従来の面内磁気記録方式とは異なる垂直磁気記録方式の開発が盛んに行われている。
垂直磁気記録方式においては、面内磁気記録方式に比べて磁気ディスク面内の磁化遷移領域での減磁界が非常に小さくなるので、磁化遷移幅を狭くすることができる。さらに、面内磁気記録方式において高記録密度化の際に問題となっている磁化の熱揺らぎの影響を記録ビットが受けにくいので、安定した高記録密度を得ることが可能となる。
従来より、垂直磁気記録方式に用いるヘッドにおいて、主磁極とリターンヨークである補助磁極と両磁極に作用する励磁コイルとを備えた単磁極構造が提案されている。一般には、この主磁極のリーディング側及びトレーリング側に磁気シールド層がさらに設けられる。一方、磁気ディスクとしては、磁気回路の一部として働く軟磁性裏打ち層と垂直磁気記録層との積層構造が提案されている。
垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドにおいては、主磁極から発生する磁界によって、磁気ディスクに書き込みを行う。図1に、シミュレーションによる従来の主磁極から発生する書き込み磁界の磁界強度分布、及び書き込みされた記録ビットを示す。同図においては、主磁極10から発生した磁界だけを図示している。なお、主磁極10には、ロータリーアクチュエータでの駆動により発生するスキュー角の影響によって隣接トラックに不要な書き込み等を及ぼさないようにベベル角が付けられており、主磁極10の断面は台形状となっている。同図において、破線は等磁界強度線、すなわち磁界強度分布における等高線を示す。同図によれば、主磁極10から発生した磁界の等磁界強度線は、主磁極10を取り囲むように湾曲している。この際、磁気ディスク回転の下流側、すなわちトレーリング側にあって磁気ディスクの保持力値相当の等磁界強度線に沿って、磁気ディスク上に記録ビット11が形成される。従って、記録ビット11の境界である磁化遷移領域12の形状も同様に湾曲する。その結果、このような湾曲した磁化遷移領域12を有する記録ビット11の信号磁界を、読み出し用の磁気抵抗(MR)効果素子で読み出した場合、再生信号の再生出力反転幅が増大してジッタが大きくなり、エラーレートが上昇してしまう。さらに、磁化遷移領域12の湾曲した幅WTC以下に記録ビット長を小さくすることができないので、高記録密度化の障害となる。
この磁化遷移領域を改善する技術として、例えば、特許文献1においては、磁界分布の湾曲には直接言及していないが、トラックエッジでの磁界分布のブロードニングを抑えるためにリターンパス磁極(補助磁極)の主磁極に対向する部分を突出させた構造が開示されている。また、特願2005−009788においては、磁化遷移領域の改善を目的としてはいないが、主磁極が、例えばCoFeNからなる第1層と例えばNiFe、CoNiFe、CoFeからなる第2層とを有する2層の磁極層である形態が記載されている。さらに、磁化遷移領域の湾曲の度合いを低減するために、例えば、特許文献2において、浮上面(ABS)のトレーリング側に凹部が形成された主磁極の構造が提案されている。
特開2002−092820号公報 特開2002−279606号公報
しかしながら、特許文献1に記載された構造は、磁化遷移領域の湾曲の度合いを調整するには不向きである。すなわち、あくまでも磁界分布のブロードニングを抑えて磁界を集中させるものであり、等磁界強度線の湾曲を意図的に制御できるものではない。
また、特願2005−009788に記載された2層からなる主磁極の形態は、そもそも磁化遷移領域の改善を目的とするものではない。実際に、各層の層厚の規定が一切無いので、単に記載された2層の形態をもって、磁化遷移領域の湾曲を所望の程度及び方向に調整することはできない。
さらに、特許文献2に開示された構造においては、主磁極に適切な凹部を形成することが困難であって、各ヘッドにおいて湾曲の小さい所定の等磁界強度線を安定して得ることができない。すなわち、主磁極の凹部は、イオンミリング等のエッチングによって磁性膜を堀り込んで形成されるが、一般に、堀込み深さ及び形状の高精度の制御が困難である。しかしながら、磁化反転領域の形状を決定する等磁界強度線の湾曲の度合いは、この凹部の形状に敏感に影響される。従って、湾曲の小さい所定の等磁界強度線を安定的に実現することができない。
また、主磁極の凹部の内部は非磁性部分となっているので、凹部が無い場合に比べて主に書き込みを行う場所である主磁極のトレーリング側の端辺付近において、書き込みのための十分強い磁界強度を得ることが困難となる。
さらに、記録ビットから信号磁界を読み出すGMR効果及びTMR効果等を用いたMR効果素子において、主な構成要素である磁化固定層、非磁性中間層及び磁化自由層は、通常ハードバイアス層上に順次積層されている。従って、特に信号磁界を感受する磁化自由層が、上述した磁化反転領域の湾曲方向とは逆方向に若干湾曲して形成される場合が生じる。この場合、MR効果素子の磁界感度レベルを表す再生等感磁線もまた磁化反転領域の湾曲方向とは逆方向に湾曲する。結果的に、再生信号の再生出力反転幅がより増大してジッタが大きくなり、エラーレートが上昇してしまう。
このように、単に、等磁界強度線の湾曲の度合いを小さくするだけでは不十分であり、MR効果素子の再生等感磁線をも考慮した上で、湾曲の方向も含めてより広範な範囲で等磁界強度線を設計することが必要となる。このような設計ができなければ、再生信号の再生出力反転幅を抑えてエラーレートを低減させることができない。
従って、本発明の目的は、書き込み磁界強度を大きく低減させることなく、主磁極のトレーリング側での等磁界強度線の湾曲の方向及び度合いを制御することによって、再生出力のジッタを小さく抑えてエラーレートをより低減させることができる垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッド、この薄膜磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたHDDを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、このような特性を有する薄膜磁気ヘッドを安定的に精度良く製造することができる垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明について説明する前に、明細書において使用される用語の定義を行う。浮上面を底面として置いたスライダを素子形成面側からリーディングエッジ方向に向かって見た場合に、構成要素の左側を「左(側)」、右側を「右(側)」、とする。この場合、左右方向は、いわゆるトラック幅方向となる。また、構成要素のABSとは垂直な外面を「側端面」とする。従って、例えば「主磁極軟磁性中心層の側端面」とは、主磁極軟磁性中心層におけるABS側の端を底とした場合の側面となる。さらに、基板の素子形成面に形成された磁気ヘッド素子の積層構造において、基準となる層よりも基板側にある構成要素を、基準となる層の「下」又は「下方」にあるとし、基準となる層よりも積層方向側にある構成要素を、基準となる層の「上」又は「上方」にあるとする。
さらに、本発明の規定において後に使用される用語である、トラック幅W及び書き込み磁界の等磁界強度線の湾曲幅Wの定義を行う。まず、磁気ヘッドによって磁気記録媒体に書き込みが行われた際に、媒体に形成される磁化パターンをトラックとし、このトラックの実効幅をトラック幅Wと規定する。この際、トラックの実効幅は、磁気力顕微鏡(MFM)等をトラックの幅方向にスキャンさせて得た測定値とすることができる。
次いで、磁気ヘッドから発生する書き込み磁界における媒体上での等磁界強度線、すなわち記録ビット間の磁化遷移領域と、このトラックの2つの端辺それぞれとの交点X及びXを求める。ここで、湾曲幅Wを、この交点同士を結んだ直線Xと、等磁界強度線上においてトラックの中央に位置する中点との距離と規定する。この際、この中点が、直線Xよりもトレーリング側(トレーリングシールド部側)にある場合、湾曲幅Wの符号を正とし、直線Xよりもリーディング側にある場合、湾曲幅Wの符号を負とする。なお、湾曲幅W、すなわち磁化遷移領域並びに交点X及びXも、トラック幅Wと同じくMFM等によって特定可能である。
ただし、トラック幅W及び湾曲幅Wは共に、主磁極層の浮上面側の端部における飽和磁束密度の分布を用いて、媒体の保持力相当の強度を有する等磁界強度線の主磁極層の端部での分布をシミュレーションにより求めることによっても規定することができる。
本発明によれば、書き込み用の電磁コイル素子を備えた薄膜磁気ヘッドと、この薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えた少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリと、
薄膜磁気ヘッドによってデータが書き込まれることにより自身の表面にトラックが形成される、少なくとも1つの磁気ディスクと、
この少なくとも1つの磁気ディスクに対して薄膜磁気ヘッドが行う書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路と
を備えた磁気ディスク装置であって、
電磁コイル素子が、
主磁極軟磁性中心層と、この主磁極軟磁性中心層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第2の主磁極軟磁性層と、この第2の主磁極軟磁性層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第1の主磁極軟磁性層とを備えており、ABS側の端部におけるABSに平行な面による断面が、トレーリング側の端辺がリーディング側の端辺よりも長い台形状となっている主磁極層と
一方の端部がこの主磁極層の一方の端部に近接していると共に他方の端部がこの主磁極層の他方の端部に磁気的に接続されている補助磁極層と
少なくとも主磁極層及び補助磁極層の間を通過するように形成されており主磁極層及び補助磁極層に磁束を誘導するためのコイル層
備えており、
主磁極層の浮上面側であってトレーリング側の端辺の近傍においてデータの書き込み時に発生する書き込み磁界の等磁界強度線の湾曲幅Wが、−0.15W≦W<12(但し、Wはデータを書き込むトラックの幅であって、W及びWの単位はnmである)の条件を満たす磁気ディスク装置が提供される。
本発明による主磁極層の内部においては、左右の側端面及びリーディング側の側端面からトレーリング側の側端面の左右方向における中央部に向かって飽和磁束密度が変化している。この内部の飽和磁束密度を所定の分布に設定することによって、主磁極層の浮上面側であってトレーリング側の端辺の近傍における書き込み磁界の等磁界強度線の形状を調整することができる。
この調整によって、書き込み磁界の等磁界強度線の湾曲幅Wが、12nm未満の値となる場合は、後述するように、主磁極層内部の飽和磁束密度の分布において全体的に平均して、左右の側端面及びリーディング側の側端面からトレーリング側の側端面の左右方向における中央部に向かって飽和磁束密度が減少する場合に相当する(すなわち、後述するように分布の回帰直線の傾きが負となる)。このような飽和磁束密度の分布の効果によって、従来、主磁極のトレーリング側の端辺においてトレーリング側に向かって凸状に湾曲している等磁界強度線の曲率を小さくし、又は等磁界強度線をほぼ直線にし、さらには等磁界強度線を逆方向に湾曲させることができる。その結果、再生出力のジッタが小さく抑えられてエラーレートが低減されるので、高記録密度化が容易になる。また、主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度の設定値を必要な値以上に維持することによって、書き込みのための磁界強度の低減を回避できる。
また、湾曲幅Wが、−0.15W以上の値である場合、信号読み出し用のMR効果素子による再生出力反転幅の増加が許容範囲内となり、エラーレートへの悪影響が回避される。
また、書き込み磁界の等磁界強度線が、トラック幅方向に延びている直線又は略直線であることが好ましい。さらに、薄膜磁気ヘッドが読み出し用の磁気抵抗効果素子を備えており、書き込み磁界の等磁界強度線が、中央部がリーディング側に向かって湾曲した凹状の曲線であって、凹状の曲線が、この磁気抵抗効果素子の読み出しの際の等感磁曲線と同程度の負の湾曲幅を有していることがさらに好ましい。
従来技術による記録ビットの磁化遷移領域は、その中央部がリーディング側に向かって湾曲する。一方、読み出しの際のMR効果素子の再生等感磁線は、素子製造工程によってはこれとは逆方向に湾曲している場合がある。この場合、結果的に再生信号の再生出力反転幅が増大してジッタが大きくなり、エラーレートが上昇してしまう。さらに、読み出し時におけるMR効果素子のトラック幅方向の変動によっても、再生出力反転幅が大きく変動するので、ジッタが大きくなってエラーレートが上昇するとともに、高記録密度特性が劣化する。
これに対し、本発明によって、主磁極層周辺の等磁界強度線の湾曲が、MR効果素子の再生等感磁線と同方向であって同程度の負の湾曲幅Wを有するように設定された場合、再生信号の再生出力反転幅が極めて小さくなるので、磁化遷移によるジッタが激減してエラーレートを大幅に低下させることができる。さらに、読み出し時におけるMR効果素子のトラック幅方向の変動によっても、湾曲の位相が同じであるので再生出力反転幅の変動が抑制されて、結果的にエラーレートの上昇を抑制することができる。
なお、MR効果素子は、面内通電型(CIP(Current In Plain))巨大磁気抵抗効果(GMR(Giant Magneto Resistive))素子、垂直通電型(CPP(Current Perpendicular to Plain))GMR素子又はトンネル磁気抵抗効果(TMR(Tunnel Magneto Resistive))素子であってよい。
このように、従来技術の如く等磁界強度線の湾曲の度合いを小さくするだけでは不十分である。実際には、再生出力反転幅を小さく抑えてエラーレートの上昇を抑制し、さらに磁化遷移領域の実効的な幅の増大を抑えて高記録密度化に対応するために、湾曲幅Wの符号も含めて、より広範な範囲で等磁界強度線を設計することが必要となる。本発明によれば、この等磁界強度線の自在な設計が十分に可能となる。
本発明によればまた、書き込み用の電磁コイル素子を備えた薄膜磁気ヘッドと、この薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えた少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリと、
薄膜磁気ヘッドによってデータが書き込まれることにより自身の表面にトラックが形成される、少なくとも1つの磁気ディスクと、
この少なくとも1つの磁気ディスクに対して薄膜磁気ヘッドが行う書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路と
を備えた磁気ディスク装置であって、
電磁コイル素子が、
主磁極軟磁性中心層と、この主磁極軟磁性中心層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第2の主磁極軟磁性層と、この第2の主磁極軟磁性層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第1の主磁極軟磁性層とを備えており、ABS側の端部におけるABSに平行な面による断面が、トレーリング側の端辺がリーディング側の端辺よりも長い台形状となっている主磁極層と
一方の端部がこの主磁極層の一方の端部に近接していると共に他方の端部がこの主磁極層の他方の端部に磁気的に接続されている補助磁極層と
少なくとも主磁極層及び補助磁極層の間を通過するように形成されており主磁極層及び補助磁極層に磁束を誘導するためのコイル層
備えており、
主磁極層の飽和磁束密度の分布において、位置座標の正方向を左右の側端面及びリーディング側の側端面からトレーリング側の側端面の左右方向における中央部に向かう方向とした際に、飽和磁束密度分布の最小二乗法による回帰直線の傾きαが、−(0.000157W+0.0126)≦α<0(但し、αの単位はテスラ/nmであり、Wはデータを書き込むトラックの幅であってWの単位はnmである)の条件を満たす磁気ディスク装置が提供される。
主磁極層内部の飽和磁束密度の分布において、最小二乗法による回帰直線の傾きが負(α<0)となるように設定されているので、全体としては平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少する。ここで、最小二乗法による回帰直線近似は、分布全体として増加傾向にあるか減少傾向にあるかを、一次近似で判断するための非常によく知られた一般的な方法である。
飽和磁束密度が内部で変化するように設計されていない従来の主磁極においては、等磁界強度線がトレーリング側の端辺の中央部付近でトレーリング側に向かって凸状に湾曲している。これに対して、本発明においては、このトレーリング側の端辺の中央部に向かって飽和磁束密度を減少させている効果によって、主磁極層のトレーリング側での等磁界強度線の湾曲を十分に小さくし、又は等磁界強度線をほぼ直線にし、さらには等磁界強度線を逆方向に湾曲させることも可能となる。その結果、再生出力のジッタが小さく抑えられてエラーレートが低減されるので、高記録密度化が容易になる。また、主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度の設定値を必要な値以上に維持することによって、書き込みのための磁界強度の低減を回避できる。
また、回帰直線の傾きαを、−(0.000157W+0.0126)以上の値とすることによって、信号読み出し用のMR効果素子による再生出力反転幅の増加を許容範囲内にして、エラーレートへの悪影響を回避することができる。
また、第1の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度が、主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度よりも大きいことも好ましい。さらに、第1の主磁極軟磁性層及び第2の主磁極軟磁性層のいずれの層の飽和磁束密度も、この層の内側の層面に隣接する第2の主磁極軟磁性層又は主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度以上であることも好ましい。さらにまた、第1の主磁極軟磁性層、第2の主磁極軟磁性層及び主磁極軟磁性中心層においてこの順が飽和磁束密度の大きい順となっていることも好ましい。さらにまた、最も外側に位置する第1の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度が、この第1の主磁極軟磁性層の内側に隣接する第2の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度よりも小さいことも好ましい。
最も外側の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度が、最も内側の主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度よりも大きくなるように設定されている場合、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少する傾向を設計しやすい。さらに、最も外側の主磁極軟磁性層から最も内側の主磁極軟磁性中心層まで飽和磁束密度が単調減少するように設定されている場合、又は飽和磁束密度が大きい順番に積層されるように設定されている場合、飽和磁束密度が減少する傾向をさらに容易に設計しやすい。従って、これらの設定によって、主磁極層のトレーリング側での等磁界強度線の湾曲の方向及び度合いを、より広範な範囲で設定することが可能となる。なお、磁区制御の観点から、飽和磁束密度が単調に減少するのではなく途中で傾向からはずれて大きくなったり小さくなったりする構成が好ましい場合もあり、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少する傾向があれば、本発明の範囲内である。
第1の主磁極軟磁性層、第2の主磁極軟磁性層及び主磁極軟磁性中心層における少なくとも1つの層間に非磁性層が設けられていることも好ましい。このように主磁極層が磁気的に分離された複数の層から構成されることになる場合、分離された各層の磁化方向が、互いに相互作用を行うことによって静磁エネルギー的に安定するので、磁区制御が容易になる。さらに、非磁性層の元素種によっては、層界面での効果によって主磁極軟磁性層又は主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度をバルク値以上に増大させ得る。
なお、この台形の長辺をなす主磁極層のトレーリング側の端辺は、直線又はほぼ直線であってよく、例えば、後述するように、化学的機械的研磨(CMP)法による研磨面をそのまま利用したものであってよい。すなわち、このトレーリング側の端辺付近の等磁界強度線を制御することを目的としてトレーリング側の端辺を凹部状にするような必要は全くない。
補助磁極層が、この補助磁極層の浮上面側の端部に形成されており、主磁極層の浮上面側の端部と対向していて、この補助磁極層の他の部分よりも積層方向の長さが十分に大きいトレーリングシールド部を備えていることが好ましい。トレーリングシールド部を設けることによって、主磁極層の書き込み磁界の磁界勾配がより急峻になる。この結果、磁気ディスク上に書き込みされた記録ビットの磁化遷移領域が狭くなるので、ジッタが小さくなってエラーレートを低下させることができる。
本発明によれば、さらに、基板の素子形成面に形成された非磁性層上にリフトオフ用のレジストパターンを形成し、次いでこの非磁性層上及びレジストパターン上に、第1の主磁極軟磁性層及び第2の主磁極軟磁性層を形成するためのつの軟磁性膜の成膜と、主磁極軟磁性中心層を形成するための軟磁性中心膜の成膜とを順次行い、次いでCMP法及び/又はイオンミリング法を用いて、第1の主磁極軟磁性層、第2の主磁極軟磁性層及び主磁極軟磁性中心層がこの主磁極軟磁性中心層を中心として露出しているトレーリング側の側端面を形成し、その後、レジストパターンを除去することによって主磁極層を形成する垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
非磁性層上及びレジストパターン上に最初に成膜された軟磁性膜から最後に成膜された軟磁性中心膜までの各膜の位置における飽和磁束密度の分布において、各膜の位置座標の正方向を最初に成膜された軟磁性膜から最後に成膜された軟磁性中心膜へ向かう方向とした際に、飽和磁束密度分布の最小二乗法による回帰直線の傾きαが、−(0.000157W +0.0126)≦α<0(但し、αの単位はテスラ/nmであり、W はデータを書き込むトラックの幅であってW の単位はnmである)の条件を満たすように各膜の飽和磁束密度を設定する垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法が提供される。
ここで、2つの軟磁性膜及び軟磁性中心膜が外側から飽和磁束密度の大きい順に成膜されることがより好ましい。
さらに、主磁極層を形成した後、この主磁極層上及び非磁性層上に第1の被覆膜を成膜し、次いでCMPによる研磨率が低い材料からなるストップ膜を、主磁極層の近傍であって非磁性層の表面から見て主磁極層のトレーリング側の側端面よりも近い位置に形成し、さらに第1の被覆膜上及びストップ膜上に第2の被覆膜を積層した後、ストップ膜の位置までCMPを行って、第1及び第2の被覆膜の研磨面と面の揃ったトレーリング側の側端面を形成することが好ましい。
主磁極層のトレーリング側の端辺付近の書き込み磁界の等磁界強度線を、所望の形状に設計するためには、主磁極層の形状、大きさ、多層構造及びトレーリング側の端面の構成を設計通りに精度良く形成することが要求される。本発明の製造方法によれば、主磁極層の形状及び大きさは、レジストパターンの形状を調整し、さらにストップ膜を用いたCMP法及び/又はイオンミリング法を用いることによって高精度に制御可能である。また、多層構造における各層厚及び組成等は、スパッタリング法、めっき法、その他の積層方法によって高精度に制御可能である。さらに、トレーリング側の端面の構成も、多層構造が精度良く形成されることとストップ膜を用いたCMP法及び/又はイオンミリング法による高精度の研磨とによって設計通りの構成に設定することができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、上述したような格別の効果を奏する薄膜磁気ヘッドを安定的に精度良く製造することができる。
また、非磁性層上及びレジストパターン上に下地層を形成してから、この下地層上に少なくとも1つの軟磁性膜及び軟磁性中心膜を成膜することも好ましい。このように下地層を形成することによって、その後に形成される非磁性膜との密着性が向上し、さらに、主磁極軟磁性層の界面における磁気特性が安定する。
以上に述べた本発明の製造方法によれば、上述したような格別の効果を奏する薄膜磁気ヘッドを安定的に精度良く製造することができる。
本発明による垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッド、この薄膜磁気ヘッドを備えたHGA及びこのHGAを備えたHDDによれば、書き込みのための磁界強度を大きく低減させることなく、主磁極層のトレーリング側での等磁界強度線の湾曲の方向及び度合いを制御することによって、再生出力のジッタを小さく抑えてエラーレートをより低減させることができる。その結果、高記録密度化が容易になる。
また、本発明による垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、このような特性を有する薄膜磁気ヘッドを安定的に精度良く製造することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同一の要素は、同一の参照番号を用いて示されている。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
図2は、本発明による磁気ディスク装置の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図であり、図3は、本発明によるHGAの一実施形態を示す斜視図であり、図4は、図3の実施形態におけるHGAの先端部に装着されている垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッド(スライダ)を示す斜視図である。
図2において、20はスピンドルモータ21の回転軸の回りを回転する複数の垂直磁気記録用の磁気ディスク、22は垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッド(スライダ)をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置、23はこの薄膜磁気ヘッドの書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路をそれぞれ示している。
アセンブリキャリッジ装置22には、複数の駆動アーム24が設けられている。これらの駆動アーム24は、ボイスコイルモータ(VCM)25によってピボットベアリング軸26を中心にして角揺動可能であり、この軸26に沿った方向にスタックされている。各駆動アーム24の先端部には、HGA27が取り付けられている。各HGA27には、スライダが、各磁気ディスク20の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク20、駆動アーム24、HGA27及び薄膜磁気ヘッド(スライダ)は、単数であってもよい。
図3に示すように、HGAは、サスペンション30の先端部に、磁気ヘッド素子を有するスライダ31を固着し、さらにそのスライダ31の端子電極に配線部材35の一端を電気的に接続して構成される。
サスペンション30は、ロードビーム32と、このロードビーム32上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ33と、ロードビーム32の基部に設けられたベースプレート34と、フレクシャ33上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材35とから主として構成されている。
本発明のHGAにおけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション30の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
図4に示すように、本実施形態における薄膜磁気ヘッドは、書き込み用の電磁コイル素子及び読み出し用のMR効果素子から構成される磁気ヘッド素子40と、これらの素子に接続された4つの信号端子電極41とをその素子形成面42上に備えている。43はスライダのABSである。なお、これらの端子電極の数及び位置は、図4の形態に限定されるものではない。図4において端子電極は4つであるが、例えば、電極を3つとした上でグランドをスライダ基板に接地した形態でもよい。
図5は、図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの構成を示す、図4のA−A線断面図である。なお、図5におけるコイル層の巻き数は図を簡略化するため、実際の巻き数より少なく表されている。コイル層は1層、2層以上又はヘリカルコイルでもよい。
図5において、50はスライダ基板であり、ABS43を有し、書き込み又は読み出し動作時には回転する磁気ディスク表面20a上において流体力学的に所定の浮上量をもって浮上している。このスライダ基板50のABS43を底面とした際の一つの側面である素子形成面42に、読み出し用のMR効果素子52と、書き込み用の電磁コイル素子54と、両素子間を磁気的にシールドするための素子間シールド層531と、これらの素子を保護する被覆層55とが主に形成されている。
MR効果素子52は、MR積層体522と、この積層体を挟む位置に配置されている下部シールド層520及び上部シールド層524とを含む。MR積層体522は、CIP-GMR多層膜、CPP-GMR多層膜又はTMR多層膜を含み、非常に高い感度で垂直磁気記録用の磁気ディスク20からの信号磁界を感知する。
このMR積層体522がCIP-GMR多層膜を含む場合、上下部シールド層524及び520とMR積層体522とのそれぞれの間に絶縁用の上下部シールドギャップ層523及び521がそれぞれ設けられる。上下部シールド層524及び520は軟磁性層であり、MR積層体522に対して雑音となる外部磁界を遮断するシールドの役割を有する。さらに、MR積層体522がCPP-GMR多層膜又はTMR多層膜を含む場合、上下部シールド層524及び520はそれぞれ上下部電極層として兼用される。
電磁コイル素子54は、主磁極層540、補助磁極層545及びコイル層543を含む。主磁極層540は、コイル層543によって励磁された磁束を、書き込みがなされる磁気ディスク20の垂直磁気記録層204にまで収束させながら導くための磁路である。ここで、コイル層543は、主磁極層540及び補助磁極層545の間を通過する層のみであってもよい。主磁極層540のヘッド端面430側の端部540a付近は、他の部分に比べて積層方向の長さが小さくなっており、高記録密度化に対応した微細な書き込み磁界を発生させることができる。この端部540aから発生する磁界のうち、端部540aのトレーリング側の磁界が、主に垂直磁気記録層204に書き込みを行う。
ここで、主磁極層540は、複数の軟磁性層から構成される所定の多層構造となっており、主磁極層540の端部540aのトレーリング側における書き込み磁界の等磁界強度線は、従来とは異なり、トラック幅方向のほぼ直線、又は中央部がリーディング側に向かって湾曲した凹状の曲線となっている。この等磁界強度線の形状は、主磁極層540の多層構造の設計を変化させることによって、種々の曲率を持った曲線又は直線の範囲において制御することができる。この主磁極層540の所定の多層構造については、後に詳述する。
補助磁極層545は、主磁極層540から非常に高い磁束密度で磁気ディスク20内の垂直磁気記録層204を通過して軟磁性裏打ち層202を介して比較的低い磁束密度で拡がって帰ってくる磁束56を、トレーリングシールド部5450において受け取る。さらに、主磁極層540及び補助磁極層545は、ヘッド端面430とは反対側においてバックギャップ部を形成しており磁気的に結合されている。すなわち、主磁極層540と補助磁極層545とは環状磁束路を形成している。
ここで、補助磁極層545にトレーリングシールド部5450を設けることによって、トレーリングシールド部5450の端部5450aと主磁極層540の端部540aとの間において磁界勾配がより急峻になる。この結果、磁気ディスク上に書き込みされた記録ビットの磁化遷移領域が狭くなるので、ジッタが小さくなってエラーレートを低下させることができる。なお、主磁極層540及びトレーリングシールド部5450の磁気ディスク表面20a側の端は、ヘッド端面430に達している。ここで、ヘッド端面430には、保護膜としてDLC(Diamond Like Carbon)等のコーディングが施されている。
なお、磁気ディスク20は、基板200上に、磁化配向層201と、磁束路の一部として働く軟磁性裏打ち層202と、中間層203と、垂直磁気記録層204と、保護層205とを順次積層した多層構造となっている。磁化配向層201は、軟磁性裏打ち層202にトラック幅方向の異方性磁界を付与して磁区を安定させている。また、中間層203は、垂直磁気記録層204の磁化の配向及び粒径を制御する下地層の役割を果たしている。
次いで、同じく図5を用いて上記の構成を詳述する。スライダ基板50は、例えばアルティック(Al−TiC)等から形成されている。51は、スライダ基板50上に積層された例えばAl等からなる厚さ約0.05μm〜約10μmの絶縁層である。下部シールド層520は、絶縁層51上に積層されており、例えば厚さ約0.3μm〜約3μmのNiFe、NiFeCo、CoFe、FeN又はFeZrN等から形成されている。521は、下部シールド層520上に積層された例えばAl又はDLC等からなる厚さ約0.005μm〜約0.5μmの下部シールドギャップ層である。
MR効果層522は、例えばCIP-GMR多層膜、CPP-GMR多層膜又はTMR多層膜から構成される。525は、例えば磁気バイアス層を備えておりMR効果層522の両端に接続された例えばCu等からなる素子リード導体層、523は、MR効果層522及び素子リード導体層525上に積層された例えばAl又はDLC等からなる厚さ約0.005μm〜約0.5μmの上部シールドギャップ層である。なお、MR効果層522がCPP-GMR多層膜又はTMR多層膜で構成される場合、上下部シールドギャップ層523及び521、並びに素子リード導体層525は不要となる。上部シールド層524は、上部シールドギャップ層523上に積層されており、例えば厚さ約0.3μm〜約4μmのNiFe、NiFeCo、CoFe、FeN又はFeZrN等から形成されている。なお、上下部シールド層524及び520の間隔である再生ギャップ長は、約0.03μm〜約1μmである。
530は、上部シールド層524上に積層された例えばAl等からなる厚さ約0.1μm〜約2.0μmの下部非磁性層である。531は、下部非磁性層530上に積層された例えばNiFe、NiFeCo、CoFe、FeN又はFeZrN等からなる厚さ約0.3μm〜約4μmの素子間シールド層である。532は、素子間シールド層531上に積層された非磁性金属酸化物等、例えばAl等からなる厚さ約0.7μm〜約2.0μmの中間非磁性層である。なお、同層内にはコイル層543の一部が形成されていて、層上面は化学的機械的研磨(CMP)等によって平坦化されている。また、素子間シールド層531と上部シールド層524とが一体となって、1つの層で両層の機能を兼ねる場合、下部非磁性層530は省略される。
主磁極層540は、中間非磁性層532上に積層されており、例えばABS側の端部での全厚が約0.01μm〜約0.5μmであって、この端部以外での全厚が約0.5μm〜約3.0μmのNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等からなる多層構造となっている。主磁極層540のより詳細な構成は、後に詳述する。
541は、主磁極層540上に積層された例えばAl又はDLC等からなる厚さ約0.01μm〜約0.5μmのギャップ層である。ギャップ層541の厚さが、主磁極層540の端部540aとトレーリングシールド部5450の端部5450aとの間に形成されるトレーリングシールド部ギャップ長を規定する。544は、例えば熱硬化されたレジスト層等からなる厚さ約0.1μm〜約5μmのコイル絶縁層である。コイル層543は、コイル絶縁層544上及び中間非磁性層532内にそれぞれ形成されており、例えば厚さ約0.5μm〜約3μmのCu等から形成されている。補助磁極層545は、例えば厚さ約0.5μm〜約5μmのNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つからなる合金、又はこれらを主成分として所定の元素が添加された合金等から形成されている。55は、例えばAl等から形成されている被覆層である。
図6(A)は、図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの構成を示す、ABS側から見た斜視図であり、図6(B)は、この薄膜磁気ヘッドの主磁極層540の構成を示す断面図である。
図6(A)において、主磁極層540は、ABSに平行な面による断面が、台形状になっており、トレーリング側の端辺が、リーディング側の端辺よりも長くなっている。主磁極層540の端面540bは、トレーリングシールド部5450の端面5450bと対向しておりトレーリングシールドギャップ部を形成する。
主磁極層540は、主磁極軟磁性中心層5402と、この主磁極軟磁性中心層5402の、端面540b以外の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された2つの主磁極軟磁性層5400及び5401とを備えている。このうち、最も外側に位置する層を第1の主磁極軟磁性層5400とし、その内側に隣接した層を第2の主磁極軟磁性層5401とする。すなわち、主磁極層540は主磁極軟磁性中心層5402を中心とした3層構造となっている。その結果、書き込み磁界が主に発生するトレーリング側の側端面には、主磁極軟磁性中心層5402、及び同層を中心として第1及び第2の主磁極軟磁性層5400及び5401が露出していて、これらの層の厚さ及び飽和磁束密度等を選択することによって、書き込み磁界の強度分布を調整することができる。
また、主磁極層540のトラック幅方向(左右方向)の両側に、例えばAl等からなる上部非磁性層533が形成されている。従って、ABS側から見た場合、主磁極層540のすべての端辺は、非磁性体に囲まれて磁気的に孤立している状態となる。なお、主磁極層540の左右の側端面及びリーディング側の側端面に、すなわち上部非磁性層533及び中間非磁性層532のそれぞれとの間に、Ta等からなる下地層が形成されていてもよい。
図6(B)によれば、主磁極層540の大きさは、例えば、台形の長辺となるトレーリング側の端辺の長さWM1が120nm、台形の短辺となるリーディング側の端辺の長さWM2が66.7nm、台形の高さとなる長短辺間の距離Lが140nmである。スキュー角による隣接トラックへの書き込み防止のためのベベル角Bは、例えば15度である。第1及び第2の主磁極軟磁性層5400及び5401はそれぞれ、例えば、厚さ13.5nmの、Ni、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金、又はこれらを主成分として、B、C、N、Al、Si、Cu、Zr、Hf、Ta、Ti、Mg、Mn、Nb、Mo、V及びCrのうち1つ又は複数の元素が添加された合金等からなる。また、主磁極軟磁性中心層5402の構成材料も同様の合金である。
ここで、第1の主磁極軟磁性層5400の飽和磁束密度をBS1、第2の主磁極軟磁性層5401の飽和磁束密度をBS2、主磁極軟磁性中心層5402の飽和磁束密度をBS3とすると、各層の飽和磁束密度が、BS1>BS2>BS3となるように設定される。例えば、BS1=2.2T(テスラ)であり、BS2=2.0Tであり、BS3=1.5Tである。飽和磁束密度の値は、構成材料の主成分にFeが入っている場合、主にFeの組成比を増減させることによって調整可能である。Feが入っていない場合又は主成分ではない場合、Ni又はCoの組成比を増減させることによっても調整可能である。
このような構成を有する主磁極層540から発生する書き込み磁界60のうち、磁気ディスクの保持力値相当の磁界強度、例えば5000Oe(398kA/m)の等磁界強度線600は、主磁極層540のトレーリング側の端辺付近においてトラック幅方向に延びるほぼ直線となっている。ここで、従来技術である単層の主磁極層においては、等磁界強度線が、トレーリング側の端辺の中央部付近でトレーリング側に向かって凸状に湾曲している。これに対して、本実施形態では、このトレーリング側の端辺の中央部に向かって飽和磁束密度を減少させることによって、この凸状の湾曲を抑制している。さらに、等磁界強度線600の形状は、第1の主磁極軟磁性層5400の厚さ及び飽和磁束密度BS1、第2の主磁極軟磁性層5401の厚さ及び飽和磁束密度BS2並びに主磁極軟磁性中心層5402の飽和磁束密度BS3等をパラメータとして自在に設計可能である。すなわち主磁極層540の3層構造の構成を変えることによって、等磁界強度線600を種々の曲率を持った曲線又は直線にすることができる。
なお、本実施形態の主磁極層は3層構造であって、パラメータが多いので等磁界強度線の設計が容易となるが、主磁極層が主磁極軟磁性層及び主磁極軟磁性中心層からなる2層構造であっても、等磁界強度線を種々の曲率を持った曲線又は直線に設定することが可能である。
図7は、シミュレーションによる、主磁極層540から発生する書き込み磁界の磁界強度分布、及び書き込みされた記録ビットを示す図である。
上述したように、磁気ディスクの保持力相当の磁界強度の等磁界強度線600が、主磁極層540のトレーリング側の端辺付近においてトラック幅方向に延びるほぼ直線となっているので、この等磁界強度線600である直線に沿って、磁気ディスク上に記録ビットが形成される。従って、磁気ディスクに書き込まれた記録ビット70の境界である磁化遷移領域71の形状も同様に直線となる。その結果、記録ビット70からの信号磁界をMR効果素子で読み出した場合、従来技術のように磁化遷移領域が湾曲している場合(図1)に比べて、再生信号の再生出力反転幅が抑制されてジッタが小さくなり、エラーレートが低減可能となる。さらに、磁化遷移領域の湾曲した幅WTCが非常に小さくなるため、記録ビット長を十分に小さくすることができるので、高記録密度化に貢献することができる。
図8は、主磁極層の構成における種々の変更態様を示す断面図である。
図8(A)によれば、主磁極層540′は、第1の主磁極軟磁性層5400′、第2の主磁極軟磁性層5401′、第3の主磁極軟磁性層5402′及び主磁極軟磁性中心層5403′が順次積層されて形成されており、主磁極軟磁性中心層5403′を中心部とした4層構造となっている。ここで、第1の主磁極軟磁性層5400′の飽和磁束密度をBS1′、第2の主磁極軟磁性層5401′の飽和磁束密度をBS2′、第3の主磁極軟磁性層5402′の飽和磁束密度をBS3′、主磁極軟磁性中心層5403′の飽和磁束密度をBS4′とすると、BS1′、BS2′、BS3′及びBS4′の値は、この順に単調減少するように設計されている。すなわちBS1′≧BS2′≧BS3′≧BS4′(BS1′=BS2′=BS3′=BS4′を除く)である。また、本変更態様は4層構造であるが、3層構造又は5層以上の構造であっても同様の飽和磁束密度の関係が存在する場合には本発明の範囲内である。
このような多層構造の主磁極層においても、各層間に以上に述べたような飽和磁束密度の関係が存在する場合、各層の厚さ及び飽和磁束密度等をパラメータとして、磁気ディスクの保持力値相当の磁界強度の等磁界強度線を、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることができる。ここで、多層構造とすることによって設計パラメータが増加するので、より多様な形状の等磁界強度線を設計することが可能となり、さらに直線形状を求める場合にもより直線度の高い形状を設計することができる。
図8(B)によれば、主磁極層540″は、自身内部の飽和磁束密度B″が、左右の側端面及びリーディング側の側端面から、端面540b″のトラック幅方向(左右方向)における中央部へ向かって連続的に単調減少している構造を有する。このような主磁極層540″の飽和磁束密度B″の分布を調整することによって、磁気ディスクの保持力値相当の磁界強度の等磁界強度線を、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることができる。なお、飽和磁束密度B″の分布は、必ずしも単調減少である必要はなく、位置座標の正方向を左右の側端面及びリーディング側の側端面から、端面540b″の左右方向における中央部へ向かう方向とした際に、最小二乗法による回帰直線の傾きが負となっていれば、平均して飽和磁束密度B″を減少させることになり、上述したような等磁界強度線の設計が可能となる。
図8(C)によれば、主磁極層540″′は、図8(A)と同様の4層構造を有しているが、第1の主磁極軟磁性層5400″′の飽和磁束密度をBS1″′、第2の主磁極軟磁性層5401″′の飽和磁束密度をBS2″′、第3の主磁極軟磁性層5402″′の飽和磁束密度をBS3″′、主磁極軟磁性中心層5403″′の飽和磁束密度をBS4″′とすると、BS1″′>BS3″′>BS4″′>BS2″′と設定されている。すなわち、主磁極層540″′を構成する外側の層から内側の層に向かって飽和磁束密度B″′が減少する傾向にあるが、第2の主磁極軟磁性層5401″′の位置の飽和磁束密度BS2″′がこの減少傾向からはずれており、主磁極軟磁性中心層5403″′の飽和磁束密度をBS4″′よりも小さくなっている。
ただし、本変更態様においては、各層の位置におけるBS1″′、BS2″′、BS3″′及びBS4″′の分布において、位置座標の正方向を最も外側に位置する第1の主磁極軟磁性層5400″′から最も内側に位置する主磁極軟磁性中心層5403″′へ向かう方向とした際に、最小二乗法による回帰直線の傾きが負となり、全体としては平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されている。これにより、従来、トレーリング側に向かって凸状に湾曲していた等磁界強度線を、このようにトレーリング側の端辺の中央部に向かって飽和磁束密度を減少させることによって、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることが可能となる。
なお、本変更態様においては、最も外側の第1の主磁極軟磁性層5400″′のBS1″′が、最も内側の主磁極軟磁性中心層5403″′のBS4″′よりも大きくなるように設定されている。従って、最も内側の主磁極軟磁性中心層5403″′の飽和磁束密度が最も外側よりも小さくなっている効果によって、等磁界強度線を、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることが可能となる。さらに、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少する傾向を設計しやすくもなっている。しかしながら、このような関係が無い構成においても、最小二乗法による回帰直線の傾きが負となり、全体としては平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されていれば、等磁界強度線を、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることが可能となる。なお、最小二乗法による回帰直線の傾きについては、後に詳述する。
図8(D)によれば、主磁極層540″″は、順次積層された第1の主磁極軟磁性層5400″″、第2の主磁極軟磁性層5401″″、第3の主磁極軟磁性層5402″″及び主磁極軟磁性中心層5403″″と、これらの層における合計3つの層間に形成された非磁性層80とから構成されている。ここで、本変更態様においては、3つの層間すべてに非磁性層が形成されているが、非磁性層は必ずしも3つの層間すべてに形成されている必要はなく、2つでも1つでもよい。このように主磁極層が磁気的に分離された複数の層から構成されることになる場合、分離された各層の磁化の方向が、互いに相互作用を行うことによって静磁エネルギー的に安定するので、磁区制御が容易になる。さらに、この非磁性層の厚さを調整してやることによって、主磁極層先端部における各層の残留磁化が互いに反平行となるように設計することができる。これにより、垂直磁気記録方式において問題となっているポールイレージャの原因となる残留磁化成分を大幅に減少させることができる。
なお、本変更態様のように軟磁性層間に非磁性層を形成する態様は、図8(C)の変更態様において、第2の主磁極軟磁性層5401″′の飽和磁束密度BS2″′をゼロとした場合に相当するととらえることもできる。従って、図8(C)の変更態様の場合と同様に、最小二乗法による回帰直線の傾きが負となり、全体としては平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されていれば、各層の厚さ及び飽和磁束密度等をパラメータとして、磁気ディスクの保持力値相当の磁界強度の等磁界強度線を、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることができる。
図9は、本発明による薄膜磁気ヘッドの主磁極層を構成する各層の飽和磁束密度の分布における最小二乗法による回帰直線の傾きを説明する図である。
図9(A)は、上述した図8(C)の実施態様の各層の飽和磁束密度の分布における最小二乗法による回帰直線の傾きを示した図である。ここで、主磁極層540″′全体の形状及び寸法は、図6(B)に示した図4の実施形態の場合と同一とし、第1の主磁極軟磁性層5400″′の層厚を13.3nm、飽和磁束密度BS1″′を2.40T、第2の主磁極軟磁性層5401″′の層厚を13.3nm、飽和磁束密度BS2″′を最も小さい1.00T、第3の主磁極軟磁性層5402″′の層厚を13.3nm、飽和磁束密度BS3″′を2.00T、主磁極軟磁性中心層5403″′の飽和磁束密度BS4″′を1.50Tとしている。
このように各層を設定した場合、同図によれば、最小二乗法による回帰直線の傾きは、−0.0266(T/nm)と負値になっており、上述したように全体としては平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されている。これにより、従来、トレーリング側に向かって凸状に湾曲していた等磁界強度線を、このようにトレーリング側の端辺の中央部に向かって飽和磁束密度を平均して減少させることによって、種々の曲率を持った曲線又は直線とすることが可能となる。
次いで、同じく4層構造であるが、最も外側の第1の主磁極軟磁性層が、最も小さい層厚と最も小さい飽和磁束密度とを有する場合を、図9(B)に示す。ここで、主磁極層全体の形状及び寸法は、図6(B)に示した図4の実施形態の場合と同一とし、第1の主磁極軟磁性層の層厚を4.4nm、飽和磁束密度BS1を最も小さい1.00T、第2の主磁極軟磁性層の層厚を17.7nm、飽和磁束密度BS2を2.40T、第3の主磁極軟磁性層の層厚を17.7nm、飽和磁束密度BS3を2.00T、主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度BS4を1.50Tとしている。
同図によれば、このように各層を設定した場合においても、最小二乗法による回帰直線の傾きは、−0.0235(T/nm)と負値になっている。すなわち、この変更態様は、飽和磁束密度の大きい順に積層されている3層構造のさらに外側に、いずれの層よりも飽和磁束密度の小さい薄層を設けて、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定された態様とも捉えることができる。従って、この変更態様も上述した効果を奏するものであって、本発明の範囲内である。
次いで、同じく4層構造であるが、最も内側の主磁極軟磁性中心層が、最も大きい飽和磁束密度を有する場合を、図9(C)及び(D)に示す。ここで、ここで、主磁極層全体の形状及び寸法は、図6(B)に示した図4の実施形態の場合と同一とし、第1の主磁極軟磁性層の層厚を17.7nm、飽和磁束密度BS1を2.00T、第2の主磁極軟磁性層の層厚を17.7nm、飽和磁束密度BS2を1.50T、第3の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度BS3を1.00T、主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度BS4を最も大きい2.40Tとしている。ここで、図9(C)の態様においては、第3の主磁極軟磁性層の層厚を17.7nmとし、図9(D)の態様においては、第3の主磁極軟磁性層の層厚をその約半分の8.9nmとしている。従って、図9(D)において、最も大きい飽和磁束密度を有する主磁極軟磁性中心層の体積は、図9(C)よりも大きくなっている。
このように各層を設定した場合において、最小二乗法による回帰直線の傾きは、図9(C)の場合、−0.0290(T/nm)と負値になっているが、図9(D)の場合、+0.0055(T/nm)と正値となっている。すなわち、図9(C)の場合は、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されており本発明の変更態様であるが、図9(D)の場合は、最も大きい飽和磁束密度を有する主磁極軟磁性中心層が大きな体積を占めることによって、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されていない。その結果、図9(D)の態様の場合は、実際に従来のトレーリング側に向かって凸状に湾曲していた等磁界強度線の湾曲の度合いを小さくすることができない。このように、本発明においては、各層の飽和磁束密度の分布において最小二乗法による回帰直線の傾きが負となっていて、平均して内側に行くほど飽和磁束密度が減少するように設定されていることが重要となる。
図10(A)〜(E)は、図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの主磁極層及びその周辺構造を形成する前半の工程を示す、ABS側から見た断面図である。
図10(A)に示すように、まず、図示しないスライダ基板の素子形成面に形成されたこれも図示しない素子間シールド層上に形成された中間非磁性層532上に、レジストパターン100を形成し、さらにレジストパターン100上に下地層101となるTa膜を例えばスパッタリング法等によって成膜する。
次いで、図10(B)に示すように、下地層101上に、第1の主磁極軟磁性層5400となる合金膜102を成膜する。さらに、この合金膜102上に、第2の主磁極軟磁性層5401となる合金膜103を成膜する。これらの合金膜として、例えばNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金膜、又はこれらの元素を主成分として、B、C、N、Al、Si、Cu、Zr、Hf、Ta、Ti、Mg、Mn、Nb、Mo、V及びCrのうち1つ又は複数の元素が添加された合金膜を、例えばスパッタリング法によって成膜してもよい。又は、例えばNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金膜を例えばめっき法によって成膜してもよい。
さらに、図10(C)に示すように、合金膜103上に、主磁極軟磁性中心層5402となる、例えばNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金膜104を例えばめっき法によって成膜する。ここで、例えばNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金膜、又はこれらの元素を主成分として、B、C、N、Al、Si、Cu、Zr、Hf、Ta、Ti、Mg、Mn、Nb、Mo、V及びCrのうち1つ又は複数の元素が添加された合金膜が、例えばスパッタリング法によって成膜されてもよい。この際の成膜は、主磁極層となるべき台形部分の領域がこの合金膜104によって少なくとも全部埋められるまで行う。
ここで、第1及び第2の主磁極軟磁性層5400及び4401となる合金膜102及び103の飽和磁束定数をBS1及びBS2、主磁極軟磁性中心層5402となる合金膜104の飽和磁束定数をBS3とすると、BS1>BS2>BS3であってそれぞれ所定の値となるように、それぞれの合金膜の組成を設定する。
なお、本実施形態ではないが、主磁極層において、飽和磁束密度がトレーリング側の側端面のトラック幅方向における中央部から左右の側端面及びリーディング側の側端面に向かって連続的に単調増加している図8(B)に示した構造を形成する場合、下地層101上に、Ni、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金膜、又はこれらの元素を主成分として、B、C、N、Al、Si、Cu、Zr、Hf、Ta、Ti、Mg、Mn、Nb、Mo、V及びCrのうち1つ又は複数の元素が添加された合金膜等を例えばスパッタリング法によって成膜する。ここで、例えばNi、Fe及びCoのうちいずれか2つ若しくは3つ全部からなる合金膜をめっき法によって成膜してもよい。この成膜中において、成膜条件を連続的に変化させることによって主にFe、Ni又はCoの組成比を変化させて、飽和磁束密度を成膜の進行とともに単調減少する所定の分布となるように連続的に変化させる。また、この際の成膜は、主磁極層となるべき台形部分の領域がこの合金膜によって少なくとも全部埋められるまで行う。
次いで、図10(D)に示すように、CMP法及び/又はイオンミリング法を用いて、第1及び第2の主磁極軟磁性層5400及び5401と、主磁極軟磁性中心層5402とが主磁極軟磁性中心層5402を中心として露出している端面105を形成する。その後、図10(E)に示すように、レジストパターン100を除去する。以上の工程によって、主磁極層540となる積層体106が、中間非磁性層532上にむき出しの形で形成される。
図11(A)〜(C)は、図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの主磁極層及びその周辺構造を形成する後半の工程を示す、ABS側から見た断面図である。
まず、図11(A)に示すように、主磁極層540となる積層体106及び中間非磁性層532上に、例えばスパッタリング法によって上部非磁性層533となる例えばAl等の第1の被覆膜110を成膜する。次いで、例えばスパッタリング法及びフォトリソグラフィ法等を用いて、CMPによる研磨率が低い材料である例えばTa等からなるストップ膜111を、積層体106の近傍であって中間非磁性層532の上層面から見て積層体106の端面105よりも近い位置に形成する。
次いで、図11(B)に示すように、第1の被覆膜110及びストップ膜111上に、例えばスパッタリング法によって例えばAl等からなる第2の被覆膜112を成膜する。その後、図11(C)に示すように、ストップ膜111の位置までCMPを行って、第1及び第2の被覆膜110及び112の研磨面と面の揃った、補助磁極層と対向すべき端面540bを形成することによって主磁極層540及び上部非磁性層533を完成させる。
以上に述べた本発明による製造方法の効果について説明する。主磁極層のトレーリング側の端辺付近の書き込み磁界の等磁界強度線を、所望の形状に設計するためには、主磁極層の形状、大きさ、多層構造及びトレーリング側の端面の構成を設計通りに精度良く形成することが要求される。本発明の製造方法によれば、主磁極層の形状及び大きさは、レジストパターンの形状を調整し、さらにストップ膜を用いたCMP法及び/又はイオンミリング法を用いることによって高精度に制御可能である。また、多層構造における層厚及び組成等は、スパッタリング法、めっき法、その他の積層方法によって高精度に制御可能である。さらに、トレーリング側の端面の構成も、多層構造が精度良く形成されることとストップ膜を用いたCMP法及び/又はイオンミリング法による高精度の研磨とによって設計通りの構成に設定することができる。すなわち、本発明の製造方法によれば、上述したような格別の効果を奏する薄膜磁気ヘッドを安定的に精度良く製造することができる。
なお、本実施形態における第1及び第2の主磁極軟磁性層、主磁極軟磁性中心層、下地層、第1及び第2の被覆膜及びストップ膜において、構成材料及び形成方法は上述したものに限定されることなく、その他の種々の材料及び方法が適用可能である。
以下、本発明による薄膜磁気ヘッドにおいて、主磁極層から発生する書き込み磁界の等磁界強度線が自在に設計可能であることをシミュレーション結果を用いて説明する。
(比較例)
図12(A)は、比較例として、従来技術による垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの主磁極の構成を示す断面図であり、図12(B)及び図13は、シミュレーションによる、この主磁極から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。
図12(A)によれば、主磁極120は、飽和磁束密度Bが2.00Tである単一の軟磁性層から構成されている。また、主磁極120の外形及び大きさは、台形の長辺となるトレーリング側の端辺の長さWM1が120nm、台形の短辺となるリーディング側の端辺の長さWM2が66.7nm、台形の高さとなる長短辺間の距離Lが140nmである。ベベル角Bは、15度である。なお、トレーリングシールドギャップ長Lを30nm、またトレーリングシールド部のABSに垂直な方向の厚さDを125nmとしている。
図12(B)によれば、主磁極120とトレーリングシールド部121との間のトレーリングシールドギャップ部において、磁界強度の勾配が非常に大きくなっており、磁化遷移によるジッタを低減するためのトレーリングシールド部の効果が現れている。
図13(A)に、この磁界強度分布をABS側から見た特性図を示す。同図によれば、主磁極120周辺の等磁界強度線は、いずれも主磁極120を取り囲む曲線状である。ここで、書き込みがなされる垂直磁気記録用の磁気ディスクの保持力を5000Oe(398kA/m)とすると、主に書き込みを行う、主磁極120のトレーリング側の端辺近傍における5000Oeの等磁界強度線も大きく湾曲していることがわかる。
この主磁極周辺の等磁界強度線のみを取り出すと、図13(B)のようになる。ここで、等磁界強度線の湾曲の度合いを示す量である湾曲幅Wを説明する。湾曲幅Wは、既に定義したように、媒体上に書き込まれた記録ビット間の磁化遷移領域とトラックの2つの端辺それぞれとの交点を結んだ直線と、磁化遷移領域上においてトラックの中央に位置する中点との距離である。この際、磁化遷移領域の形状及び大きさは、媒体の保持力相当の強度を有する書き込み磁界の等磁界強度線とほぼ一致する。従って、図13(B)において湾曲幅Wは、書き込み磁界の等磁界強度線とトラックの2つの端辺それぞれとの交点X及びXを求めて、この交点同士を結んだ直線Xと、等磁界強度線上においてトラックの中央に位置する中点との距離となる。ここで、この中点が、直線Xよりもトレーリングシールド部側にある場合、湾曲幅Wの符号は正となり、直線Xよりもリーディング側にある場合、湾曲幅Wの符号は負となる。図13(B)によれば、主磁極120のトレーリング側の端辺近傍における、主に書き込みを行う5000Oeの等磁界強度線の湾曲幅Wは、正値であって19.0nmとなっている。
(実施例1)
次いで、本発明による薄膜磁気ヘッドの実施例を示す。図14(A)は、実施例1の主磁極層の構成を示す断面図であり、図14(B)及び図15は、シミュレーションによる、この主磁極層から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。
図14(A)によれば、実施例1における主磁極層140は、飽和磁束密度Bが2.0Tである厚さ26.6nmの主磁極軟磁性層1400と、飽和磁束密度Bが1.6Tである厚さ26.6nmの主磁極軟磁性層1401と、飽和磁束密度Bが1.45Tであり厚さ13.3nmであって主磁極層140の残りの部分を埋めている主磁極軟磁性中心層1402とから構成された3層構造となっている。また、主磁極層140の外形及び大きさは、上述の比較例と同一であり、WM1=120nm、WM2=66.7nm、L=140nm、ベベル角B=15度、L=30nm、及びD=125nmである。
図14(B)によれば、主磁極層140とトレーリングシールド部141との間のトレーリングシールドギャップ部において、磁界強度の勾配が非常に大きくなっているのは、比較例である図12(B)と同様であるが、主磁極層140のトレーリングシールドギャップ部側の磁界勾配面が、比較例である図12(B)とは異なり、トラック幅方向において撓みが無く直線上になっている。
図15(A)に、この磁界強度分布をABS側から見た特性図を示す。ここで、比較例と同じく、書き込みがなされる垂直磁気記録用の磁気ディスクの保持力を5000Oe(398kA/m)とすると、主に書き込みを行う、主磁極層140のトレーリング側の端辺近傍における5000Oeの等磁界強度線がほぼ直線状となっていることがわかる。
この主磁極層140周辺の等磁界強度線のみを取り出すと(図15(B))、主に書き込みを行う、主磁極層140のトレーリング側の端辺近傍における5000Oeの等磁界強度線の湾曲幅Wは、比較例に比べて1桁以上小さな値である1.6nmとなっている。すなわちこの部分の等磁界強度線は、ほぼ直線となっている。
(実施例2)
以上に記載した実施例1においては、湾曲幅Wは非常に小さい正値であったが、以下に、この湾曲幅Wが負値となる実施例2を示す。図16は、実施例2の主磁極層の構成を示す断面図であり、図17は、シミュレーションによる、この主磁極層から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。
図16によれば、実施例2における主磁極層160は、飽和磁束密度Bが2.0Tである厚さ13.3nmの主磁極軟磁性層1600と、飽和磁束密度Bが1.9Tである厚さ26.6nmの主磁極軟磁性層1601と、飽和磁束密度Bが1.32Tであり厚さ26.6nmであって主磁極層160の残りの部分を埋めている主磁極軟磁性中心層1602とから構成された3層構造となっている。また、主磁極層160の外形及び大きさは、WM1=120nm、WM2=66.7nm、L=140nm、ベベル角B=11度、L=30nm、及びD=50nmである。
図17(A)に、主磁極層160から発生する書き込み磁界の磁界強度分布をABS側から見た特性図を示す。ここで、比較例と同じく、書き込みがなされる垂直磁気記録用の磁気ディスクの保持力を5000Oe(398kA/m)とすると、主に書き込みを行う、主磁極層160のトレーリング側の端辺近傍における5000Oeの等磁界強度線が、比較例とは逆に、その中央部においてリーディング側に向かって湾曲していることがわかる。
この主磁極層周辺の等磁界強度線のみを取り出すと(図17(B))、主に書き込みを行う、主磁極層160のトレーリング側の端辺近傍における5000Oeの等磁界強度線の湾曲幅Wは−1.7nmとなっていることがわかる。
(実施例3〜7)
次いで、実施例3〜7として、実施例1の主磁極層と同一の外形及び大きさを有しており同じく3層構造となっているが、第1及び第2の主磁極軟磁性層の厚さ及び飽和磁束密度が異なる主磁極層における磁界強度分布のシミュレーションを行った。表1に、実施例3〜6における、各層の厚さ及び飽和磁束密度、飽和磁束密度分布の回帰曲線の傾きα、並びに湾曲幅Wとの関係を示す。なお、まとめとして、実施例1及び2のデータも併せて示している。
Figure 0004134119
表1によれば、実施例1〜7において、湾曲幅Wは、9.0nmから−1.7nmの範囲で正負にまたがって変化している。当然、本発明においてさらに他の構成を有する主磁極層によれば、正負においてさらに広い範囲の湾曲幅を実現することは十分に可能である。
このように、本発明によれば、主磁極層の端面形状を微細加工する等の制御が困難な手法を用いることなく、主磁極層の多層構造を所定の構成に設定することによって、湾曲幅Wの値を、正値だけではなく負値としたり、さらにナノメートル又はサブナノメートルのオーダで制御することができる。このように、本発明によれば、従来技術では不可能であった、書き込み磁界の等磁界強度線の自在な設計が十分に可能となる。
なお、回帰曲線の傾きを負値にするためには、上述した実施例1〜7の形態に限定されるわけではなく、他の種々の態様が可能となる。図18(A)〜(C)は、回帰曲線の傾きが負となる主磁極層の種々の変更態様を示した概略図である。
図18(A)及び(B)によれば、主磁極層は3層構造であるが、最も外側に位置する第1の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度が、主磁極軟磁性中心層とともに3層のうちで最も小さくなっている。しかしながら、飽和磁束密度分布の回帰曲線の傾きは、それぞれ−0.003T/nm及び−0.0015T/nmであり、回帰曲線の傾きを負値に設定することが可能となっている。また、図18(C)に示す主磁極層は、単純な積層構造ではなく、2層構造の第1の主磁極軟磁性層のリーディング側の端付近の部分が、主磁極軟磁性中心層に置き換わっているものである。このような構造の主磁極層においても、回帰曲線の傾きを負値である−0.0105T/nmに設定することが可能となっている。
図19は、本発明の主磁極層における飽和磁束密度分布の回帰曲線の傾きαと湾曲幅Wとの関係を示すグラフである。なお、各データ点は、上述の実施例1〜7に相当する。
同図によれば、回帰曲線の傾きα(T/nm)と湾曲幅W(nm)との間には、
(1) W=955α+12.0
の関係があることがわかる。ここで相関係数Rの二乗値は0.99であり、非常に高い相関関係にある。すなわち、回帰曲線の傾きαが大きな負値をとるに従って、湾曲幅Wも確実に正値から小さくなり負値に移行することが理解される。
(回帰曲線の傾きαの範囲)
以下、湾曲幅Wが負値となる主磁極層を用いる利点を説明するとともに、湾曲幅Wとバイトエラーレートとの関係から規定される回帰曲線の傾きαの下限についても説明する。
図20は、本発明による、湾曲幅Wが負値となる主磁極層を備えた薄膜磁気ヘッドの構成を示す、ABS側から見た平面図である。
同図において、MR効果素子190は、CIP−GMR効果を用いた素子となっている。この場合、反強磁性層でピンドされた磁化固定層1902、非磁性中間層1903及び磁化自由層1904は、通常ハードバイアス層1901上に順次積層されているので、特に信号磁界を感受する磁化自由層1904において、その中央部が下部シールド層1900方向に向かって湾曲する場合が生じる。この湾曲に伴って、磁化自由層1903の磁界を感受するレベルを表す再生等感磁線もまたこの方向に湾曲する。
ここで、主磁極層1920は、湾曲幅Wが負値となる等磁界強度線193を有している。この湾曲の方向は、上述したMR効果素子190の再生等感磁線と同方向である。ここで、主磁極層1920の構造を適切に設定することによって、両者の曲率を同程度にすることができる。
図21(A)は、比較例として、従来技術による垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドによって書き込みされた記録ビットの磁化遷移領域と読み出しされた際の再生出力とを説明する図である。また、図21(B)は、本発明による薄膜磁気ヘッドによって書き込みされた記録ビットの磁化遷移領域と読み出しされた際の再生出力とを説明する図である。ここで、図21(B)における主磁極層周辺の等磁界強度線の湾曲幅は負値であって、MR効果素子の再生等感磁線と同程度の曲率を有するように設計されている。
図21(A)によれば、湾曲幅Wが大きな正値である従来技術による記録ビットの磁化遷移領域は、その中央部がトレーリング側に向かって湾曲する。一方、読み出しの際、MR効果素子の再生等感磁線は、これとは逆方向に湾曲している。結果的に、再生信号の再生出力反転幅が増大してジッタが大きくなり、エラーレートが上昇してしまう。さらに、読み出し時におけるMR効果素子のトラック幅方向の変動によっても、再生出力反転幅が大きく変動するので、ジッタが大きくなってエラーレートを上昇させる。
一方、図21(B)によれば、主磁極層周辺の等磁界強度線の湾曲幅Wが負値であって、この等磁界強度線が、MR効果素子の再生等感磁線と同程度の曲率を有するように設計されている。すなわちMR効果素子の再生等感磁線は、これと同方向に同程度湾曲していることになる。その結果、再生信号の再生出力反転幅が極めて小さくなるので、磁化遷移によるジッタが激減してエラーレートを大幅に低下させることができる。さらに、読み出し時におけるMR効果素子のトラック幅方向の変動によっても、湾曲の位相が同じであるので再生出力反転幅の変動が抑制されて、結果的にエラーレートの上昇を抑制することができる。
このように、従来技術のように等磁界強度線の湾曲の度合いを小さくするだけでは不十分であって、再生出力反転幅を小さく抑えてエラーレートの上昇を抑制し、さらに磁化遷移領域の実効的な幅の増大を抑えて高記録密度化に対応するためには、湾曲の方向も含めてより広範な範囲で等磁界強度線を設計することが必要となる。本発明によれば、この自在な設計が十分に可能となる。
ただし、図21(B)において、主磁極層周辺の等磁界強度線の湾曲幅Wがさらに大きな絶対値を有する負値となっていて、この等磁界強度線が、MR効果素子の再生等感磁線よりも大きな曲率を示す場合、再生信号の再生出力反転幅が結果的に増大してジッタが大きくなり、エラーレートが上昇してしまう。従って、湾曲幅Wの負値にも下限があることが理解される。
ここで、書き込みがなされるトラックの幅Wが小さくなるほど、相対的にジッタの影響が大きくなる。従って、トラック幅Wが小さくなるほど、湾曲幅Wの影響も大きくなる。このことから、エラーレートを考慮する際に、W/Wの値が重要な指標となる。
図22は、負の湾曲幅Wとバイトエラーレートとの関係を示すグラフである。ここで、バイトエラーレートの値はシミュレーション値である。また、同図においては、横軸はW/Wであり、左側に行くほど負値として絶対値が大きくなっている。
同図によれば、W/Wにおいて負値として絶対値が大きくなっても、−0.15までは、バイトエラーレートは徐々に増加する程度であり、その値も、製造現場において良品の基準である1.0×10−5以下となっている。しかしながら、W/Wの絶対値が0.15を超えると(W/Wが−0.15未満となると)、バイトエラーレートは増大し、上述の基準値である1.0×10−5を大きく超えてしまう。従って、W/Wは、下限の条件として、
(2) −0.15≦W/W
を満たす必要があることがわかる。ここで、トラック幅Wの大きさは、主磁極層のトレーリング側の端辺の長さ(トレーリング幅)が目安となる。例えば、W=100nmである場合、Wの下限値は−15nmとなる。式(2)に、式(1)を代入すると、W及びWの単位をnmとして、
(3) −(0.000157W+0.0126)≦α
となり、回帰曲線の傾きαの下限値は、−(0.000157W+0.0126)となることがわかる。従って、回帰曲線の傾きαの満たすべき条件は、
(4) −(0.000157W+0.0126)≦α<0
となることが理解される。さらに、この式(4)の右側の不等式及び式(1)と式(2)とによって、Wの満たすべき条件として、
(5) −0.15W≦W<12
が導かれる。
さらに、以上に述べた実施形態及び変更態様は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
シミュレーションによる従来の主磁極から発生する書き込み磁界の磁界強度分布、及び書き込みされた記録ビットを示す図である。 本発明による磁気ディスク装置の一実施形態における要部の構成を概略的に示す斜視図である。 本発明によるHGAの一実施形態を示す斜視図である。 図3の実施形態におけるHGAの先端部に装着されている垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを示す斜視図である。 図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの構成を示す、図4のA−A線断面図である。 図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの構成を示す、ABS側から見た斜視図、及びこの薄膜磁気ヘッドの主磁極層の構成を示す断面図である。 シミュレーションによる、主磁極層540から発生する書き込み磁界の磁界強度分布、及び書き込みされた記録ビットを示す図である。 主磁極層の構成における種々の変更態様を示す断面図である。 本発明による薄膜磁気ヘッドの主磁極層を構成する各層の飽和磁束密度の分布における最小二乗法による回帰直線の傾きを説明する図である。 図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの主磁極層及びその周辺構造を形成する前半の工程を示す、ABS側から見た断面図である。 図4の実施形態における薄膜磁気ヘッドの主磁極層及びその周辺構造を形成する後半の工程を示す、ABS側から見た断面図である。 従来技術による垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドの主磁極の構成を示す断面図、及びシミュレーションによる、この主磁極から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。 シミュレーションによる、従来の主磁極から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。 実施例1の主磁極層の構成を示す断面図、及びシミュレーションによる、この主磁極層から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。 シミュレーションによる、実施例1の主磁極層から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。 実施例2の主磁極層の構成を示す断面図、及びシミュレーションによる、この主磁極層から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。 シミュレーションによる、実施例2の主磁極層から発生する書き込み磁界の磁界強度分布を示す特性図である。 回帰曲線の傾きが負となる主磁極層の種々の変更態様を示した概略図である。 本発明の主磁極層における飽和磁束密度分布の回帰曲線の傾きαと湾曲幅Wとの関係を示すグラフである。 本発明による、湾曲幅Wが負値となる主磁極層を備えた薄膜磁気ヘッドの構成を示す、ABS側から見た平面図である。 従来技術による垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドによって書き込みされた記録ビットの磁化遷移領域と読み出しされた際の再生出力とを説明する図、及び本発明による薄膜磁気ヘッドによって書き込みされた記録ビットの磁化遷移領域と読み出しされた際の再生出力とを説明する図である。 負の湾曲幅Wとバイトエラーレートとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10、120 主磁極
11、70 記録ビット
12、71 磁化遷移領域
20 磁気ディスク
200 基板
201 磁化配向層
202 軟磁性裏打ち層
203 中間層
204 垂直磁気記録層
205 保護層
20a 磁気ディスク表面
21 スピンドルモータ
22 アセンブリキャリッジ装置
23 記録再生回路
24 駆動アーム
25 ボイスコイルモータ(VCM)
26 ピボットベアリング軸
27 HGA
30 サスペンション
31、50 スライダ基板
32 ロードビーム
33 フレクシャ
34 ベースプレート
35 配線部材
40 磁気ヘッド素子
41 信号端子電極
42 素子形成面
43 ABS
430 ヘッド端面
51 絶縁層
52、190 MR効果素子
520、1900 下部シールド層
521 下部シールドギャップ層
522 MR効果層
523 上部シールドギャップ層
524、1907 上部シールド層
525 素子リード導体層
530 下部非磁性層
531、191 素子間シールド層
532 中間非磁性層
533 上部非磁性層
54、192 電磁コイル素子
540、540′、540″、540″′、540″″、140、160、1920 主磁極層
5400、5400′、5400″′、90、1400、1600、1800 第1の主磁極軟磁性層
5401、5401′、5401″′、91、1401、1601、1801 第2の主磁極軟磁性層
5402′、5402″′ 第3の主磁極軟磁性層
5402、5403′、5403″′、92、1402、1602、1802 主磁極軟磁性中心層
540a 主磁極層の端部
540b、540b″ 主磁極層の端面
541 ギャップ層
543 コイル層
544 コイル絶縁層
545 補助磁極層
5450、121、1921 トレーリングシールド部
5450a トレーリングシールド部の端部
5450b トレーリングシールド部の端面
55 被覆層
56 磁束
60 書き込み磁界
600、193 等磁界強度線
80 非磁性層
100 レジストパターン
101 下地層
102、103、104 合金膜
105 端面
106 積層体
110 第1の被覆膜
111 ストップ膜
112 第2の被覆膜
1901 ハードバイアス層
1902 磁化固定層
1903 非磁性中間層
1904 磁化自由層
1905 反強磁性バイアス層
1906 電極

Claims (14)

  1. 書き込み用の電磁コイル素子を備えた薄膜磁気ヘッドと、該薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えた少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリと、
    前記薄膜磁気ヘッドによってデータが書き込まれることにより自身の表面にトラックが形成される、少なくとも1つの磁気ディスクと、
    前記少なくとも1つの磁気ディスクに対して前記薄膜磁気ヘッドが行う書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路と
    を備えた磁気ディスク装置であって、
    前記電磁コイル素子が、
    主磁極軟磁性中心層と、該主磁極軟磁性中心層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第2の主磁極軟磁性層と、該第2の主磁極軟磁性層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第1の主磁極軟磁性層とを備えており、浮上面側の端部における浮上面に平行な面による断面が、トレーリング側の端辺がリーディング側の端辺よりも長い台形状となっている主磁極層と
    一方の端部が該主磁極層の一方の端部に近接していると共に他方の端部が該主磁極層の他方の端部に磁気的に接続されている補助磁極層と
    少なくとも該主磁極層及び該補助磁極層の間を通過するように形成されており該主磁極層及び該補助磁極層に磁束を誘導するためのコイル層
    備えており、
    前記主磁極層の浮上面側であってトレーリング側の端辺の近傍においてデータの書き込み時に発生する書き込み磁界の等磁界強度線の湾曲幅Wが、
    −0.15W≦W<12 (但し、Wはデータを書き込むトラックの幅であって、W及びWの単位はnmである)
    の条件を満たすことを特徴とする磁気ディスク装置
  2. 前記書き込み磁界の等磁界強度線が、トラック幅方向に延びている直線又は略直線であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置
  3. 前記薄膜磁気ヘッドが読み出し用の磁気抵抗効果素子を備えており、前記書き込み磁界の等磁界強度線が、中央部がリーディング側に向かって湾曲した凹状の曲線であって、該凹状の曲線が、該磁気抵抗効果素子の読み出しの際の等感磁曲線と同程度の負の湾曲幅を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク装置
  4. 書き込み用の電磁コイル素子を備えた薄膜磁気ヘッドと、該薄膜磁気ヘッドを支持する支持機構とを備えた少なくとも1つのヘッドジンバルアセンブリと、
    前記薄膜磁気ヘッドによってデータが書き込まれることにより自身の表面にトラックが形成される、少なくとも1つの磁気ディスクと、
    前記少なくとも1つの磁気ディスクに対して前記薄膜磁気ヘッドが行う書き込み及び読み出し動作を制御するための記録再生回路と
    を備えた磁気ディスク装置であって、
    前記電磁コイル素子が、
    主磁極軟磁性中心層と、該主磁極軟磁性中心層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第2の主磁極軟磁性層と、該第2の主磁極軟磁性層の左右の側端面及びリーディング側の側端面を覆うように形成された第1の主磁極軟磁性層とを備えており、浮上面側の端部における浮上面に平行な面による断面が、トレーリング側の端辺がリーディング側の端辺よりも長い台形状となっている主磁極層と
    一方の端部が該主磁極層の一方の端部に近接していると共に他方の端部が該主磁極層の他方の端部に磁気的に接続されている補助磁極層と
    少なくとも該主磁極層及び該補助磁極層の間を通過するように形成されており該主磁極層及び該補助磁極層に磁束を誘導するためのコイル層
    備えており、
    前記主磁極層の飽和磁束密度の分布において、位置座標の正方向を該左右の側端面及び該リーディング側の側端面から該トレーリング側の側端面の左右方向における中央部に向かう方向とした際に、飽和磁束密度分布の最小二乗法による回帰線の傾きαが、
    −(0.000157W+0.0126)≦α<0 (但し、αの単位はテスラ/nmであり、Wはデータを書き込むトラックの幅であってWの単位はnmである)
    の条件を満たすことを特徴とする磁気ディスク装置
  5. 記第1の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度が、前記主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度よりも大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項磁気ディスク装置
  6. 前記第1の主磁極軟磁性層及び前記第2の主磁極軟磁性層のいずれの層の飽和磁束密度も、該層の内側の層面に隣接する該第2の主磁極軟磁性層又は前記主磁極軟磁性中心層の飽和磁束密度以上であることを特徴とする請求項に記載の磁気ディスク装置
  7. 前記第1の主磁極軟磁性層、前記第2の主磁極軟磁性層及び前記主磁極軟磁性中心層においてこの順が飽和磁束密度の大きい順となっていることを特徴とする請求項5又は6に記載の磁気ディスク装置
  8. も外側に位置する前記第1の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度が、該第1の主磁極軟磁性層の内側に隣接する前記第2の主磁極軟磁性層の飽和磁束密度よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の磁気ディスク装置
  9. 前記第1の主磁極軟磁性層、前記第2の主磁極軟磁性層及び前記主磁極軟磁性中心層における少なくとも1つの層間に非磁性層が設けられていることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の磁気ディスク装置。
  10. 前記補助磁極層が、該補助磁極層の浮上面側の端部に形成されており、前記主磁極層の浮上面側の端部と対向していて、該補助磁極層の他の部分よりも積層方向の長さが大きいトレーリングシールド部を備えていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の磁気ディスク装置
  11. 基板の素子形成面に形成された非磁性層上にリフトオフ用のレジストパターンを形成し、次いで該非磁性層上及び該レジストパターン上に、第1の主磁極軟磁性層及び第2の主磁極軟磁性層を形成するためのつの軟磁性膜の成膜と、主磁極軟磁性中心層を形成するための軟磁性中心膜の成膜とを順次行い、次いで化学的機械的研磨法及び/又はイオンミリング法を用いて、第1の主磁極軟磁性層、第2の主磁極軟磁性層及び主磁極軟磁性中心層が該主磁極軟磁性中心層を中心として露出しているトレーリング側の側端面を形成し、その後、前記レジストパターンを除去することによって主磁極層を形成する垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、
    前記非磁性層上及び前記レジストパターン上に最初に成膜された前記軟磁性膜から最後に成膜された前記軟磁性中心膜までの各膜の位置における飽和磁束密度の分布において、各膜の位置座標の正方向を最初に成膜された該軟磁性膜から最後に成膜された該軟磁性中心膜へ向かう方向とした際に、飽和磁束密度分布の最小二乗法による回帰直線の傾きαが、
    −(0.000157W +0.0126)≦α<0 (但し、αの単位はテスラ/nmであり、W はデータを書き込むトラックの幅であってW の単位はnmである)
    の条件を満たすように各膜の飽和磁束密度を設定することを特徴とする垂直磁気記録用薄膜磁気ヘッドの製造方法
  12. 前記2つの軟磁性膜及び前記軟磁性中心膜が外側から飽和磁束密度の大きい順に成膜されることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記非磁性層上及び前記レジストパターン上に下地層を形成してから、該下地層上に前記つの軟磁性膜及び前記軟磁性中心膜を成膜することを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 前記主磁極層を形成した後、該主磁極層上及び前記非磁性層上に第1の被覆膜を成膜し、次いで化学的機械的研磨による研磨率が低い材料からなるストップ膜を、前記主磁極層の近傍であって前記非磁性層の上層面から見て前記主磁極層の前記トレーリング側の側端面よりも近い位置に形成し、さらに前記第1の被覆膜上及び該ストップ膜上に第2の被覆膜を積層した後、前記ストップ膜の位置まで化学的機械的研磨を行って、前記第1及び第2の被覆膜の研磨面と面の揃ったトレーリング側の側端面を形成することを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の製造方法。
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