JP4131864B2 - 化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物、硬化物の形成方法、及び機能素子の製造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、例えば回路基板の表面に形成される保護用のソルダーレジストや、素子保護用のパッケージ材、集積回路素子と回路基板との空隙に樹脂硬化体として形成され、接続部に集中する応力を該樹脂硬化体に分散させて接続の信頼性を向上させるアンダーフィル材(封止材)、回路素子等の部品のパッケージの接着層や集積回路素子と回路基板とを接着する接着層として使用されるもの等が挙げられる(下記特許文献1、2参照)。
ついで、当該第1の基板の電極と接着層とが形成された面と、前記第2の基板の電極が形成された面とを対峙、接触させる。
ついで、加熱処理等を施すと、第1の基板の隣接する電極間に形成された接着層が軟化し、第2の基板の隣接する電極間の隙間の内壁(電極の側壁と基板の上面)に接着する。その結果、第1の基板と第2の基板とが一体化される。
第1の発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂と(C)架橋性ポリビニルエーテル化合物との反応生成物と、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物である。
第2の発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、(C)架橋性ポリビニルエーテル化合物、及び(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物である。
第3の発明は、本発明の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成した後、加熱により溶融し、さらに熱硬化することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
第4の発明は、本発明の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とする機能素子の製造方法である。
第1の実施態様
本発明の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物の第1の態様は、(A)アルカリ可溶性樹脂と(C)架橋性ポリビニルエーテル化合物との反応生成物と、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする。
(A)成分としては、特に制限されるものでなく、化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物において被膜形成物質として通常用いられ得るものの中から任意に選ぶことができる。好ましくはフェノール性水酸基を有するもので、例えば、芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒド類またはケトン類とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンおよびその誘導体(ヒドロキシスチレン系樹脂)等を挙げることができる。
これらのアルデヒド類の中では、入手のしやすさからホルムアルデヒドが好ましいが、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドを組み合わせて用いるのが好ましい。
なお、(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合には、後述する(D)塩基性化合物や保存安定剤を併用することが、本発明の組成物の長期保存安定性の観点から望ましい。
特にヒドロキシスチレン系樹脂は、ノボラック樹脂に比べ、酸性度をほとんど帯びていない樹脂である。(A)成分の酸性度の強弱は、本発明の組成物の保存安定性に影響を与えるため、保存安定性の良い組成物を調整する目的においては、ヒドロキシスチレン系の樹脂を選択することが望ましい。中でも、上述のスチレンおよびスチレン誘導体に起因するスチレン構成単位や、アルキル置換スチレン構成単位(以下、両者を併せて「スチレン系構成単位」という)を含有するヒドロキシスチレン系樹脂は、本発明の組成物の感度、耐熱性、およびレジストパターンの形状を改善する効果もある点で好ましい。
スチレン系構成単位の含有量は、(C)成分との反応性の確保の点、耐熱性向上、感度向上の点から、1〜30モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
(A)成分は、1種または2種以上の材料を用いることができる。
(C)成分は、架橋性ポリビニルエーテル化合物であって、前記(A)成分に対して架橋剤として作用するものである。
(C)成分の架橋性ポリビニルエーテル化合物は、以下の様な作用を有するものであると推測される。
すなわち(C)成分は、(A)成分と架橋反応し、反応生成物を形成する。そして、通常、反応生成物の反応の度合いによって、プレベーク時の加熱により(A)成分との架橋反応が進行し、基板全面にアルカリ不溶化レジスト層を形成する。その後、露光時に(B)成分から発生した酸の作用により、該架橋が分解され、露光部はアルカリ可溶性へ変化し、未露光部はアルカリ不溶のまま変化しない。そして、後述する様に、レジストパターン形成後に、未露光部において、(D)成分を架橋反応させる加熱工程では(C)成分と(A)成分との架橋が分解され、当該未露光部が軟化し、パターンは流動性を持ち、最終的に(D)成分の架橋反応により組成物は硬化する。
したがって、(C)成分としては、この様な機能を有するものであれば、その種類に特に制限はない。
(C)成分としては、具体的には特開平6−148889号公報、特開平6−230574号公報に多数列挙されており、これらの中から任意に選択して使用することができるが、特には熱架橋性と酸による分解性に起因するレジストプロファイル形状、及び露光部と未露光部のコントラストの特性を考慮すると、次の一般式で表されるアルコール
そして、ジビニルエーテル化合物としては、下記一般式(1)で示すものも好ましい。
(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分と(C)成分との反応生成物(以下(a)成分という)について説明する。
・(a)成分
(a)成分は(A)成分と(C)成分とを反応させて得られる反応生成物であり、アルカリ水溶液に対して難溶性または不溶性であって酸成分の作用により可溶性となる特性を有する。
(A)成分と、両方の末端にビニル基を有する(C)成分とを反応させると、通常(C)成分の片方の末端のビニル基が(A)成分の、例えば側鎖のフェノール性水酸基に結合した構成単位を備えた反応生成物が得られる。
かかる構成単位の具体例としては、下記一般式(1A)で表される構成単位または下記一般式(2A)で表される構成単位が挙げられる。
また、(A)成分と(C)成分とを反応させると、(C)成分の両方の末端のビニル基が(A)成分中の、例えば側鎖の2つのフェノール性水酸基にそれぞれ結合した部分が存在する反応生成物が得られる。かかる構成単位の具体例としては、下記一般式(1B)で表される分子間架橋部分、または下記一般式(2B)で表される分子間架橋部分が挙げられる。
なお、通常は(C)成分の片方の末端のみが結合した構成単位(例えば(1A)(2A))と、両方が結合した部分(例えば、(1B)(2B))の両方が存在する反応生成物(a)が得られる。
前記(C)成分が(A)アルカリ可溶性樹脂の側鎖の水酸基と予め結合していることにより、本組成物の経時変化が抑えられ、感度経時の少ない材料となる。そして、当該組成物を塗布し、加熱すると、(a)成分の側鎖の未反応のフェノール性水酸基は、前記構成単位(1A)または(2A)の末端ビニル基と反応し、さらに架橋構造が形成される。そして、これにより、本組成物からなる被膜は、レジストパターン形成時に用いられるアルカリ現像液等のアルカリ性水溶液に対して難溶性または不溶性となる。
そして、この架橋構造を有する(a)成分に、露光によって(B)成分から発生した酸が作用すると、当該架橋構造が開裂し、(a)成分のアルカリ性水溶液に対する溶解性が増大する。
酸成分の除去方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えばイオン交換樹脂の使用、純水洗い、アルカリによる中和などの方法を適用することができる。
そして、(C)成分との反応前の(A)成分中の酸成分の濃度は0.1ppm以下、特に0.01ppm以下にしておくことが好ましい。
(B)成分としては、特に限定はなく、従来から化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物の材料として知られている光酸発生剤、例えばスルホニルジアゾメタン系酸発生剤、オニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤などを用いることができる。
下記一般式(V)、(VI)で表されるもの。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜30質量部、好ましくは0.1〜10質量部とされる。
(D)成分は、後述する様に、化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布し、プリベークして形成し、レジストパターンを形成した後、さらに比較的高温条件でポストベークしたときに、架橋構造を形成するものである。
(D)成分としては、熱硬化性樹脂の硬化前(架橋構造を形成する前)のオリゴマーが好適に用いられる。
(D)成分を配合することにより、熱硬化性が付与される。また、(C)成分によるパターニング後の熱溶融(流動化)、熱硬化のプロセスにより密着性が向上する。
(D)成分の分子量は、アルカリ現像への影響を小さくする点からは比較的小さい方が好ましく、例えばビスフェノールA型の場合、200〜6000、好ましくは200〜1000が望ましい。なお、この分子量はポリスチレン換算GPCによる質量平均分子量である。
例えば、(D)成分の硬化促進剤、フィラー、クエンチャー等である。
ここで、硬化促進剤は、いわゆる硬化剤として使用されているものも含む概念である。
(D)成分の硬化促進剤としては、重合付加型(ポリアミン、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン、イソシアネート、有機酸等)、触媒型[熱硬化型(アミン(好ましくは3級アミン)、イミダゾール、ルイス酸等)、紫外線硬化型(プレンステッド酸塩等)]、縮合型(フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等)等、種種のものが知られているので、これらの中から任意に使用可能である。
四国化成工業(株)製2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−CN、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−CNS、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZなどのイミダゾール誘導体:アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、3,9−ビス〔2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル〕2,4,8,10テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどのグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、シクロヘキシルアミン、m−キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′ジエチルジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド、などのポリアミン類、これ等の有機酸塩および/またはエポキシアダクト:三フッ化ホウ素のアミン錯体;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサメトキシメチルメラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、N−シクロヘキシルジメチルアミン、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノールなどの三級アミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラックなどのポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィンなどの有機ホスフィン類;トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライドなどのホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、チバ・ガイギー社製イルガキュア261などの光カチオン重合触媒;スチレン−マレイン酸樹脂等。
これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
なお、添加量は後述するクエンチャーや保存安定化剤として機能する塩基性化合物と同程度であり、硬化促進剤としてアミン類(好ましくは2級または3級アミン)を添加すれば、後述する塩基性化合物を敢えて別に添加する必要はない。換言すれば、通常化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物に用いられるクエンチャーである塩基性化合物を配合すれば、これが(D)成分の硬化促進剤としても機能するため、コストの点等から非常に有利である。
具体的には、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリブタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第2級または第3級のアルカノールアミンや、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、メチル−ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン等の第2級または第3級アルキルアミン等である。
硬化促進剤は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜5.0質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲で配合することが、効果の点から好ましい。なお、上限値以下とすることにより、接着時の流動性の低下を防ぐことができる。
また、本実施態様の組成物には、必要に応じて、密着性、硬度、特に耐熱性等の特性を上げる目的で、フィラーを添加することができる。無機フィラー、有機フィラーのいずれでも用い得るが、好ましくは無機フィラーである。
具体的には、例えば硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、シリカ(好ましくは無定形シリカ)、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用のものを用いることができる。中でも、熱伝導率が高く、熱膨張率を低くすることができるため、耐熱性向上の点から、シリカが好ましい。
その配合量は、本組成物中の固形分100質量部に対して100質量部以下であり、好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは30〜70質量部である。下限値以上とすることにより十分な効果が得られ、上限値以下とすることにより、光の透過率の低下等を防ぐことができる。
本実施態様の組成物において、塩基性化合物(好ましくはアミン類)を配合することは、酸成分による影響を低減させるうえで好ましい。特に(A)成分としてノボラック樹脂を用いる場合は、ノボラック樹脂が酸性度を帯びている樹脂であるので、塩基性化合物を含有させることが有効である。
また、この塩基性化合物はクエンチャーとして機能するものであり、解像性の向上、パターン形状の改善の点からも、配合することが好ましい。
好ましいもの例示及び配合量は、上述の硬化促進剤と同様である。
当該保存安定剤としては、溶剤の分解反応を抑制する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開昭58−194834号公報に記載されているような酸化防止剤を挙げることができる。酸化防止剤としてはフェノール系化合物とアミン系化合物が知られているが、特にフェノール系化合物が好ましく、中でも2,6−ジ(tert−ブチル)−p−クレゾール及びその誘導体が、エステル系溶剤、ケトン系溶剤の劣化に対して有効であり、商業的に入手可能、かつ安価であって、さらに保存安定効果に優れる点で好ましい。特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、2−ヘプタノンに対する劣化防止効果に極めて優れる。
配合量は、樹脂固形分100質量部に対して0.01〜3質量部、特には0.1〜1.0質量部の範囲であることが好ましい。
また、クエンチャーとして、酸無水物を配合することもできる。
このホトレジスト組成物中の酸成分の濃度は、上述の様に(A)成分中の酸成分濃度をできるだけ減少させる処理を行う、遊離酸を含有しない有機溶剤を用いる、分解反応により酸成分を発生しにくい有機溶剤を用いる、特定の塩基性化合物を用いる、保存安定剤を用いる、等の手段を講じることにより、調整することができる。
このような手段により、レジスト組成物中の酸成分濃度が50ppm以下に抑えられた本組成物は、長期保存安定性に優れる。
本実施態様の組成物は、有機溶剤に、(A)成分と(C)成分との反応生成物、(B)成分、及び(D)成分と、必要に応じて添加される任意成分を溶解または分散し、液体状(溶液または分散液)とすることが好ましい。なお、(D)成分が難溶性の場合は分散液となる。
本組成物を支持フィルム上に塗布、乾燥して感光性熱硬化性樹脂層を形成し、この樹脂層上に保護フィルムをラミネートすることによりドライフィルムとすることもできる。この場合の支持、保護フィルムとしては例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが挙げられる。その際の厚みは特に限定されるものではないが、空隙を充填もしくは十分に封止される範囲で適宜に設定してよく、通常5〜200μmである。
ドライフィルムの使用方法としてはまず保護フィルムを剥がし、露出した樹脂層側を被処理体(基板、素子)にあてて、熱圧着等の処理で処理体上にフィルムを被着させる。樹脂層をマスクを介して露光、あるいは直接描画露光後、支持フィルムを剥がし、現像処理によりパターンを形成する。より詳細なパターン形成方法は後述する。
有機溶剤としては、化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物に用いられるものであれば、特に限定せずに用いることができる。
例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等)、乳酸エステル(例えば乳酸エチル等)等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;等の非エステル系溶剤が挙げられる。
なお、エステル系溶剤も非エステル系溶剤も、ともに経時的に分解して酸を副生成する場合があるが、前記塩基性化合物の存在下、あるいは後述の保存安定剤の存在下においては、当該分解反応は抑制される。特にエステル系溶剤においてはその効果が顕著であり、当該塩基性化合物、保存安定剤の存在下においては、むしろエステル系溶剤が好ましく、特にPGMEAは好適である。
なお、上記分解により副生成する酸成分としては、例えば2−ヘプタノンの場合、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を生じることが確認されている。
有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
本発明の第2の実施態様の組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、(C)架橋性ポリビニルエーテル化合物、及び(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする。
第2の実施態様においては、(A)成分と(C)成分とを反応させずに配合する点が第1の実施形態と異なる。
・(B)成分
本実施形態における(B)成分に関しては、上記第1の実施形態と同様である。
・(D)成分
本実施形態における(D)成分に関しては、上記第1の実施形態と同様である。
・硬化促進剤
本実施形態における硬化促進剤に関しては、上記第1の実施形態と同様である。
・塩基性化合物
本実施形態における塩基性化合物に関しては、上記第1の実施形態と同様である。
・フィラー
本実施形態における塩基性化合物に関しては、上記第1の実施形態と同様である。
・その他成分
また、本実施形態のホトレジスト組成物にも、本発明の目的を損なわない範囲で、前記第1の実施形態と同様のその他の成分を含有させることができる。
・組成物の製造方法
本実施形態のホトレジスト組成物は、精製操作を行った(A)成分を用いて上記第1の実施形態と同様にして製造することができる。
・有機溶媒
本実施形態における有機溶媒は、上記第1の実施形態と同様である。
本発明の硬化物の形成方法は、化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成した後、加熱により溶融し、さらに熱硬化することを特徴とする。
レジストパターンの形成条件や、加熱により溶融し、さらに熱硬化する工程の諸条件は、下記機能素子の製造方法の説明において詳述する。なお、硬化物とは、上述の様にパターン形成後に、(D)成分の架橋を促進する様な条件で熱硬化させることにより得られる固形物とする。
本発明の組成物は、いわゆる化学増幅型であり、露光により微細なパターンを形成することができ、微細な加工が必要な永久膜を形成するのに特に好適である。
本発明の機能素子の製造方法は、化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とする。
機能素子とは微細加工技術によって形成、加工される素子、基板を意味し、例えば電子部品である半導体素子や回路基板を含み、光回路部品、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルデバイス)及びそれらの複合部品が挙げられる。本発明は特に半導体素子や回路基板等の電子部品の永久膜用途において好適に用いられ、集積回路素子と回路基板との空隙に樹脂硬化体として形成されるアンダーフィル材、回路素子等の部品のパッケージの接着層や集積回路素子と回路基板とを接着する接着層として特に好適に用いることができる。
電子部品としては、永久膜が適用される部品、完成品であれば特に限定することなく適用可能である。
例えば電子部品において、ソルダーレジスト等の様に基板等の上に形成された回路等を保護する保護膜を形成するのに用いてもよいし、例えば、ふたつ以上の基材どうしを接着する接着層として用いてもよい。
このときの加熱条件は、例えば90〜140℃(好ましくは100〜130℃)、5〜30分(好ましくは5〜15分)とされる。この条件で加熱することにより、(D)成分の架橋はそれ程進行させずに、有機溶剤の除去及び(C)成分による架橋反応を進行させることができる。
選択的露光において、露光光は特に限定せず、例えばg線、i線、h線等が用いられるが、微細な加工を行うためにはi線が好ましい。
また、PEB(露光後加熱)の条件は90〜140℃(好ましくは100〜130℃)、5〜30分(好ましくは5〜15分)とされる。この条件で加熱することにより、(D)成分の架橋はそれ程進行させずに、(B)成分を拡散させることができる。
このポストベークの加熱条件は、例えば150〜220℃(好ましくは170〜200℃)、1時間〜4時間(好ましくは1.5〜2.5時間)とされる。この条件で加熱することにより、加熱当初は接着層が軟化、好ましくは液状化して空隙を埋めつつ、さらに随時(D)成分により熱硬化し、基材どうしの密着性が向上する。
加熱当初に接着層が軟化するのは、まず(C)成分による架橋構造が高温により切断されるためであると推測される。
これに続いて接着強度が増すのは(A)成分と(D)成分が熱架橋するためである。
そのため、この接着工程では、まず、第1の基材に形成された接着層が第2の基材(被着体)に熱圧着される際、接着層が十分に流動化し被着体の凹凸面に追従し接着が進行する。そのため、微細な凹凸面や空隙に対してもボイド等の発生の無い接着を行うことが出来る。
また、その後の(D)成分の架橋により接着層を高分子化させることで接着力(凝集強度)が発現し十分な接着強度が得られる。
ついで、機能素子の製造方法のうち、回路素子の製造方法の例について説明する。
図1〜図5は当該製造方法例の工程の説明図である。
符号1は第1基板であって、図1に示す様に、当該第1基板1の上には、バンプ等の突起である第1基板電極2が略等間隔で複数平行に設けられている。この例において、第1基板電極2は幅40μmのバンプ状であり、隣接する第1基板電極2どうしの間隔は40μmである。また、第1基板電極2の高さ(第1基板1の厚さ方向のサイズ)は20μmである。
この第1基板1について、まず、図2に示す様に、第1基板1の上に、本発明の組成物を第1基板電極2を覆う様に塗布し、プリベークを行って塗布層3を形成する。
ついで、図3に示す様にマスク4を介して第1基板電極2の部分について選択的露光及び現像を行うと、図4に示す様に、隣接する第1基板電極2間に接着層3(レジストパターン)’を選択的に形成することができる。
なお、通常、接着層3’の高さ(第1基板1の厚さ方向のサイズ)は第1基板電極2の高さよりも高く形成される。この例において、接着層3’の高さは35μmである。
そして、第1基板1と、この第2基板5とを対峙させ、第1基板1の第1基板電極2と第2基板5の第2基板電極6とを電気的に接続させる。このとき、第2基板5が下方、第1基板1が上方に位置する様に配置する。
ついで、ポストベークを行うと、接着層3’により第1基板1と第2基板5とが接着される。
すなわち、このポストベークにより接着層3’が軟化し、第2基板5の上の第2基板電極6が形成されていない空間に隙間無く流れ込み、この空間を形成する第2基板5の上面や第2基板電極6の側壁に密着するとともに、接着層3’中の(D)成分により3次元架橋構造が形成されることにより硬化し、第1基板1と第2基板5とが接着せしめられると推測される。
第1基板電極2は、例えばITO(インジウム、酸化スズ)、Ti、Ta、Mo、Ni、Al、Cu、Au、Sn、Pbなどの導電体またはこれらの合金等からなるものである。
第2基板5としては、例えば半導体基板、プリント基板、ガラス基板、セラミック基板などの絶縁基板等が用いられる。
第2基板電極6は、Ti、Ta、Mo、Ni、Alなどの導電体またはこれらの合金等からなるものである。
そのため、電子部品等機能素子の接続信頼性を向上させることができる。また、露光工程において、レジスト被膜の安定性が高いという利点を有する。これはプリベーク時に(C)成分による架橋が生じるため、例えば液状のエポキシ樹脂等の(D)成分を用いていても、膜の強度が確保されるためであると推測される。
また、この様に密着性に優れるため、封止材としての特性にも優れる。封止材とは機能素子(または機能素子間)を電気的、物理的に保護するものである。また、封止性とは封止材としての性能を意味する。
そして接着性と封止性の一方あるいは好適には両方の特性が良好な永久膜が得られる。
また、本発明の組成物を用いて形成した永久膜は、電気特性(絶縁性)、力学特性(高または低弾性率、高または低ガラス転移温度)、熱特性(低熱膨張性、高熱分解温度)、耐久性(耐水性、対薬品性、低吸湿性、対冷熱サイクル性)さらに好適には耐熱性の高いものとすることができる。また、熱膨張係数が低く温度変化に対する耐性の高いものとすることができる。また、吸水率も低く、リーク電流を抑制でき、さらにハンダ等の熱により水が気化し接着面やレジストに割れや剥がれが生じることを抑制できる。
すなわち、本発明においては、永久膜として使用される感光性熱硬化性樹脂組成物において、パターン形成後、加熱接着時の流動性に優れ、密着性良好な、接着性及び/または封止性を有する樹脂層を形成できる技術を提供できる。
以下の様にして各種樹脂成分を用意または製造した。
ポリヒドロキシスチレン樹脂(質量平均分子量2500)(日本曹達社製 製品名VP2500)
スチレン含有ポリヒドロキシスチレン樹脂100gをメタノール400g、純水40gに溶解し、イオン交換樹脂にて精製した後、濃縮を行い、濃度約30%になるようにγ−ブチロラクトンで調整した後、再度、残留メタノールと水分を除去するために濃縮を行った。
この樹脂溶液333gに酢酸0.1gを添加し、内温100〜110℃下で攪拌し、CHDVEを9.5g滴下した。20h反応後、ピリジン4gを滴下し、1時間室温にて攪拌した後、2−ヘプタノン300gを投入し溶解させた。
次いで溶液をメタノール/水の溶液で数回洗浄した。2−ヘプタノン層を分離し、そして濃縮して残留するメタノール/水を除去した。
得られたポリマーの分子量は85,000であった。また、酸濃度は0.5ppmであった。
m−クレゾール/3,4−キシレノール=90:10(モル比)の混合物1モルに対し、サリチルアルデヒド0.2モル、ホルムアルデヒド0.6モルを用いて常法によりノボラック樹脂を合成した。
得られたポリマーの分子量は2,500であった。また、Mw/Mn=4.2、アルカリ溶解性は300nm/秒であった。
(実施例1:第2の実施態様に対応する実施例)
(実施例2:第2の実施態様に対応する実施例)
(実施例3:第1の実施形態に対応する実施例)
(実施例4:難溶性ビフェニル型エポキシ樹脂使用)
(実施例5:ノボラック樹脂使用)
(実施例6:硬化促進剤添加なし)
(実施例7:フィラー使用)
(比較例1:(D)成分無添加)
(比較例2:ネガ型感光性組成物)
各実施例、各比較例について、それぞれ表1に組成を混合して組成物を得た。なお、(B−1)成分は下記化学式で表される化合物である。
上記実施例、比較例で得られた感光性樹脂組成物を用いて、それぞれ、下記手順及び条件で、レジストパターンを形成した。
1)塗布:シリコン基板の上に、感光性樹脂組成物を、中央滴下スピン塗布法による塗布装置(東京応化工業社製、製品名TR−36000)を用いて膜厚40μmになる様に塗布した。
2)プリベーク:110℃、10分の条件でプリベークした。
3)露光:g、h、i線(露光装置)を用い、400mJの条件で露光した。穴径40μmのホールパターンを形成した。
4)PEB:110℃、10分の条件でPEBを行った。
5)アルカリ現像:23℃で、TMAH2.38質量%溶液で現像を行い、30秒間純水でリンスした。φ40μmビア解像性はφ40μmのホールパターンが形成されていれば○、形成されていなければ×とした。
6)ポストベーク:オーブン内で、200℃、120分の条件でポストベークを行った。なお、実施例6については200℃、120分の条件でポストベークを行った。
・密着性
・パターニング後、加熱時の流動性試験
パターニング後のサンプルを1cm角に個片化し、レジスト面を下にした状態でガラス板上に載せ、1kgfの荷重をかけたまま、200℃のホットプレート上で1分間保持した。
ホットプレート上から取り、冷却後、ガラス面側から観察を行い、ビア開口パターンが流動により完全に埋まっていれば○とし、埋まっていなければ×とした。
流動性試験終了、サンプルをオーブン内で200℃、120分の条件でポストベークを行った。
冷却後、ガラス面側から観察を行い、ボイドの発生、クラックの発生が無ければ○とし、有れば×とした。
また、実施例1〜7の組成物を半導体回路素子と回路基板に対し適用した場合(フリップチップ接続)、素子上の金バンプと基板上の金パッドは良好に電気的に接続され、素子と基板間の該硬化物はボイドやクラックなく良好に接着されているのが確認された。
前記1)〜6)の操作の後、JIS K7140に規定の方法にて測定した。
なお、ポストベーク終了後にフィルム状でサンプリングする為、塗布基材はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基板を用いた。
前記1)〜6)の操作の後、JIS K7140に規定の方法にて測定した。
なお、ポストベーク終了後にフィルム状でサンプリングする為、塗布基材はPTFE基板を用いた。
前記1)〜6)の操作の後、JIS K7140に規定の方法にて測定した。
なお、吸水率が高ければ電食によりリーク電流が生じる。また、ハンダ等の熱により水が気化し接着面やレジストに割れや剥がれが生じるおそれがある。
また、いずれの実施例においても液状の(D)成分を用いたところ、プリベーク後には硬度の高い膜が得られ、安定した露光を行うことができた。
Claims (6)
- (A)アルカリ可溶性樹脂と(C)架橋性ポリビニルエーテル化合物との反応生成物、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物及び(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物。
- (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、(C)架橋性ポリビニルエーテル化合物、及び(D)エポキシ樹脂を含むことを特徴とする化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物。
- 前記(D)成分の硬化促進剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化促進剤が塩基性化合物であることを特徴とする請求項3に記載の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成した後、加熱により溶融し、さらに熱硬化することを特徴とする硬化物の形成方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化学増幅型ポジ型感光性熱硬化性樹脂組成物を用いることを特徴とする機能素子の製造方法。
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