JP2022184623A - ウエハレベルパッケージの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022184623000001
【課題】表面の平坦性に優れる硬化物層を備えたウエハレベルパッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】円板状の半導体基板及び前記半導体基板の面に形成された配線を備えるウエハの、前記配線が設けられた面上に、溶剤を含む樹脂組成物を塗布して、樹脂組成物層を形成する工程(I)と、前記樹脂組成物層に含まれる前記溶剤の少なくとも一部を除去する工程(II)と、基材及び前記基材上に形成された離型層を備える平面体を、前記離型層側の面を前記樹脂組成物層に向けて配置する工程(III)と、前記平面体によって前記樹脂組成物層を加圧する工程(IV)と、前記平面体を剥離する工程(V)と、前記樹脂組成物層を硬化させる工程(VI)と、を含む、ウエハレベルパッケージの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ウエハレベルパッケージの製造方法に関する。
近年の電子機器の小型、薄型化に伴い、半導体パッケージにおいても薄型化に有利なウエハレベルパッケージ(WLP)が注目されている。ウエハレベルパッケージの製造において、再配線基板等の回路基板は、一般に、硬化性樹脂材料をウエハ上に設け硬化させて硬化物層を形成した後、該硬化物層上に導体層を形成し、これを繰り返して多層化することにより形成される(例えば、特許文献1)。
特開2012-015191号公報
ウエハレベルパッケージにおける再配線層の形成は、例えば、下記の方法で行われる。感応性樹脂組成物を、配線を形成されたウエハの面(例えば、半導体チップ回路面)上にスピンコート法により塗布し、プリベークによって乾燥して、樹脂組成物層を形成する。フォトマスク等のマスクを介して、樹脂組成物層の特定の領域にUV光線等の活性光線を照射して、潜像を形成する。続いて現像を行い、更に必要に応じて加熱による樹脂組成物層の硬化を行って、硬化物層を形成する。この硬化物層上に、導体層を形成する。さらに、この導体層上に感光性樹脂組成物を塗布し、上述した工程を繰り返して、前記の導体層を含む再配線層を形成していく。
再配線層を形成する方法においては、一般に、ウエハ上に塗布された樹脂組成物を乾燥して樹脂組成物層を形成する際に、樹脂組成物が収縮する。この収縮により、樹脂組成物層の表面の平坦性が低下することがある。具体的には、樹脂組成物が塗布される面には配線が形成されているので、当該配線によって形成される凹凸を反映して、樹脂組成物層のウエハとは反対側の面の平坦性が低下する。通常は、配線上の部分では樹脂組成物層の表面の高さが相対的に高くなり、配線以外の部分では樹脂組成物層の表面の高さが相対的に低くなって、平坦性の低下が生じる。
このように樹脂組成物層の表面の平坦性が低いと、一般に、その樹脂組成物層から得られる硬化物層の表面の平坦性も低い。そうすると、この硬化物層上に更に導体層を形成する場合に、導体層の微細なパターン形成が困難になることがある。また、感光性樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を露光し、その樹脂組成物層に微細なパターン形成を行う場合には、その樹脂組成物層の表面の平坦性は高いことが求められ、よってその樹脂組成物層から得られる硬化物層の表面の平坦性も高いことが求められる。このような事情から、微細なパターンを形成するためには、硬化物層の表面の平坦性を高めることが望ましい。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、表面の平坦性に優れる硬化物層を備えたウエハレベルパッケージの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、樹脂組成物の塗布によって樹脂組成物層を形成した後に、離型層を備えた平面体によって前記の樹脂組成物層を加圧して平坦化し、その後、平面体を剥離することを含む方法によれば、表面の平坦性に優れる硬化物層を備えたウエハレベルパッケージを製造できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 円板状の半導体基板及び前記半導体基板の面に形成された配線を備えるウエハの、前記配線が設けられた面上に、溶剤を含む樹脂組成物を塗布して、樹脂組成物層を形成する工程(I)と、
前記樹脂組成物層に含まれる前記溶剤の少なくとも一部を除去する工程(II)と、
基材及び前記基材上に形成された離型層を備える平面体を、前記離型層側の面を前記樹脂組成物層に向けて配置する工程(III)と、
前記平面体によって前記樹脂組成物層を加圧する工程(IV)と、
前記平面体を剥離する工程(V)と、
前記樹脂組成物層を硬化させる工程(VI)と、
を含む、ウエハレベルパッケージの製造方法。
〔2〕 前記樹脂組成物が、感光性樹脂組成物である、〔1〕に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔3〕 前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である、〔1〕に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔4〕 前記ウエハが、シリコンウエハ及び疑似ウエハからなる群より選ばれる1種類以上である、〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔5〕 前記平面体の前記基材が、プラスチックフィルム、金属板及びシリコン基板からなる群より選ばれる1種類以上を備える、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔6〕 前記平面体の前記基材が、前記プラスチックフィルムを備え、
前記離型層とは反対側の前記平面体の面の表面抵抗値が、1.0×10Ω/sq.以上、1.0×1015Ω/sq.以下である、〔5〕に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔7〕 前記平面体の前記基材が、90℃以上の軟化点を有する、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔8〕 前記樹脂組成物の塗布が、スピンコート法にて行われる、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔9〕 前記平面体の前記離型層側の面の算術平均粗さRaが、0.1nm以上100nm以下である、〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
〔10〕 前記平面体の前記基材の弾性率が、工程(IV)の加圧温度において、100MPa以上500000MPa以下である、〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
本発明によれば、表面の平坦性に優れる硬化物層を備えたウエハレベルパッケージの製造方法を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(I)を説明するため、ウエハ及び樹脂組成物層を備える積層体を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(III)を説明するため、ウエハ及び樹脂組成物層を備える積層体、並びに、平面体を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(IV)を説明するため、ウエハ及び樹脂組成物層を備える積層体、平面体、並びに、加圧部材を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(V)を説明するため、ウエハ及び樹脂組成物層を備える積層体を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(VI)を説明するため、ウエハレベルパッケージを模式的に示す断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[1.ウエハレベルパッケージの製造方法の概要]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法は、
ウエハの、配線が設けられた面上に、樹脂組成物を塗布して、樹脂組成物層を形成する工程(I)と、
樹脂組成物層に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する工程(II)と、
基材及び離型層を有する平面体を、離型層側の面を樹脂組成物層に向けて配置する工程(III)と、
平面体によって樹脂組成物層を加圧して、樹脂組成物層を平坦化する工程(IV)と、
平面体を剥離する工程(V)と、
樹脂組成物層を硬化させる工程(VI)と、
を含む。
この製造方法によれば、表面の平坦性に優れる硬化物層を備えたウエハレベルパッケージを製造することができる。
[2.工程(I):樹脂組成物層を形成する工程]
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(I)を説明するため、ウエハ10及び樹脂組成物層20を備える積層体30を模式的に示す断面図である。図1に示すように、工程(I)では、ウエハ10の面10Uに樹脂組成物を塗布する。樹脂組成物の塗布により、ウエハ10の面10Uに樹脂組成物層20が形成されて、ウエハ10及び樹脂組成物層20を備える積層体30が得られる。
[2.1.ウエハ]
ウエハ10は、円板状の半導体基板11と、この半導体基板11の面11Uに形成された配線12とを備える。円板状の半導体基板11を備えるので、ウエハ10は、円形の平面形状を有する。「平面形状」とは、別に断らない限り、厚み方向から見た形状を表す。
半導体基板11は、半導体を含む円板状の基板であり、通常はその主面として平坦な面11Uを有する。配線12は、この平坦な面11Uに形成される。よって、配線12が設けられたウエハ10の面10Uは、配線12が設けられた部分が、配線12が設けられていない部分よりも突出した凹凸形状を有している。すなわち、配線12が設けられたウエハ10の面10Uでは、配線12が設けられた部分が凸部13Uを形成し、配線12が設けられていない部分が凹部14Uを形成しうる。このようなウエハ10としては、シリコンウエハ及び疑似ウエハからなる群より選ばれる1種類以上が好ましい。
シリコンウエハは、シリコン基板を含む半導体基板を備える。シリコンウエハの半導体基板は、通常、単結晶シリコンで形成されたシリコン基板を備え、更に必要に応じて半導体層、絶縁層及び導体層等の任意の層を備えうる。シリコンウエハの半導体基板は、シリコン基板上に形成された電子部品(図示せず。)を備えており、配線12は、通常、それら電子回路の電気的な接続のために設けられうる。
疑似ウエハは、モールド樹脂及びそのモールド樹脂に埋め込まれた電子部品(図示せず。)を含む半導体基板を備える。この疑似ウエハの半導体基板は、例えば、円形の型枠内に電子部品を配置し、その型枠内にモールド樹脂を充填し、そのモールド樹脂を硬化させることを含む方法で製造されうる。この疑似ウエハの配線12は、通常、モールド樹脂に埋め込まれた電子部品の電気的な接続のために配線が設けられうる。
配線12は、通常、半導体基板11の面11Uに導体材料によって形成されている。導体材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムなどの金属を含む材料が挙げられ、単金属及び合金のいずれも用いうる。この配線12は、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などの導体層形成方法によって、半導体基板11の面11Uに導体層として形成されていてもよい。また、配線12は、例えば、半導体基板11が備える電子部品(図示せず)の電極が面11Uから突出して形成されたものであってもよい。
配線12の幅Lは、狭いことが好ましい。配線12の幅Lの具体的な範囲は、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。下限に特に制限は無く、例えば、0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上などでありうる。一般に、ウエハ10が備える配線12が微細であると、その配線12に接続される再配線層等の導体層(図示せず)も微細であることが求められる。本実施形態に係る製造方法では、表面の平坦性が高い樹脂組成物層20及び硬化物層(図1では図示せず)が形成できるので、導体層の微細化が可能である。よって、本実施形態に係る製造方法は、高度に微細な配線12及び導体層を備えるウエハレベルパッケージの円滑な製造を可能にする点で、技術的意義がある。したがって、このように微細な配線12及び導体層を備えるウエハレベルパッケージの円滑な製造を可能にするとの技術的意義を有効に活用する観点から、配線12の幅Lは前記範囲のように狭いことが好ましい。
配線12の間隔Sは、狭いことが好ましい。配線12の間隔Sの具体的な範囲は、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。下限に特に制限は無く、例えば、0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上などでありうる。配線12の間隔Sが前記範囲のように狭い場合、微細な配線12及び導体層を備えるウエハレベルパッケージの円滑な製造を可能にするという本実施形態に係る製造方法の技術的意義を、有効に活用できる。
配線12の高さHは、高いことが好ましい。配線12の高さHの具体的な範囲は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。通常、配線12が高いほど、その配線12を覆うようにウエハ10の面10Uに形成される樹脂組成物層20は厚いことが求められる。また、一般に、樹脂組成物層20が厚いほど、その樹脂組成物層20からの溶剤の除去によって生じる表面(ウエハ10とは反対側の表面)20Uの平坦性の低下の程度は、大きくなる傾向がある。したがって、従来は、配線12が高いほど、樹脂組成物層20を硬化して得られる硬化物層の表面の平坦性が低くなり、よって、導体層の微細化の困難性が高い傾向があった。このように従来解決が困難であった課題を解決して、微細な配線12及び導体層を備えるウエハレベルパッケージの円滑な製造を可能にするとの技術的意義を有効に活用する観点から、配線12の高さHは前記範囲のように高いことが好ましい。
[2.2.樹脂組成物]
ウエハ10の面10Uに塗布される樹脂組成物は、溶剤及び樹脂を含む。樹脂組成物は、工程(VI)における樹脂組成物層の硬化を可能にする観点から、通常、硬化性を有する。よって、樹脂組成物の樹脂は、樹脂組成物を硬化させうる化合物としての硬化性樹脂を含みうる。硬化性樹脂としては、例えば、重合性又は架橋性を有する化合物が挙げられる。また、樹脂組成物層20のパターニングを可能にする観点から、樹脂組成物は、露光によって樹脂組成物を現像液に可溶又は不溶にさせうる化合物を含んでいてもよい。さらに、樹脂組成物は、樹脂に組み合わせて、無機充填材等の充填材を含んでいてもよい。樹脂及び充填材等の不揮発成分は、樹脂組成物のタイプによって異なりうるので、後で詳述する。
溶剤は、樹脂組成物に含まれる揮発性成分であり、工程(II)において少なくとも一部を除去される成分である。この溶剤は、樹脂等の不揮発成分を溶解又は分散しうるものを用いうる。溶剤の例を挙げると、アミド溶剤、スルホキシド溶剤、ウレア溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、ラクトン溶剤、エーテル溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、炭化水素溶剤、アルコール溶剤等が挙げられる。
アミド溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。
スルホキシド溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
ウレア溶剤としては、例えば、テトラメチル尿素が挙げられる。
ケトン溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-へプタノンが挙げられる。
エステル溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチルが挙げられる。
ラクトン溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトンが挙げられる。
エーテル溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、フェニルグリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、アニソールが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンが挙げられる。
炭化水素溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンが挙げられる。
アルコール溶剤としては、例えば、ベンジルアルコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-ドデカンジオール、1-フェニル-1,2-エタンジオール、1-(4-メチルフェニル)-1,2-エタンジオール、3-フェニル-1,2-プロパンジオール、3-(4-メトキシフェニル)-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-エトキシ-1,2-プロパンジオール、3-ベンジルオキシ-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-ペンタンジオール、2,4,4-トリメチル-1,2-ペンタンジオール、2-エチル-1,2-ブタンジオール、2-フェニル-1,2-プロパンジオール、1,1-ジフェニル-1,2-エタンジオール、1-(ヒドロキシメチル)シクロブタノール、1-(ヒドロキシメチル)シクロペンタノール、1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ビシクロ[4.1.1]-2-ヒドロキシメチル-6,6-ジメチルヘプタン-2-オール、2-メトキシ-2-メチルエタノール、2-エトキシ-2-メチルエタノール、2-プロポキシ-2-メチルエタノール、2-イソプロポキシ-2-メチルエタノール、2-ブトキシ-2-メチルエタノール、2-ベンジルオキシ-2-メチルエタノール、2-メトキシ-2-エチルエタノール、2-エトキシ-2-プロピルエタノール、2-プロポキシ-1-オクタノール、2-メトキシ-1-ドデカノール、1-ヒドロキシ-2-フェニル-2-エトキシエタン、1-ヒドロキシ-2-(4-メチルフェニル)-2-エトキシエタン、1-ヒドロキシ-2-メトキシ-3-フェニルプロパン、1-ヒドロキシ-2-エトキシ-3-(4-メトキシフェニル)プロパン、1-ヒドロキシ-2-プロポキシ-3-クロロプロパン、1-ヒドロキシ-2-メトキシ-3-エトキシプロパン、2-メトキシ-2-メチル-1-プロパノール、2,4,4-トリメチル-2-メトキシ-1-ペンタノール、2-エチル-2-エトキシ-1-ブタノール、2-メチル-2-プロポキシ-1-ペンタノール、2-メトキシ-2-フェニル-1-プロパノール、2,2-ジフェニル-2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-1-(ヒドロキシメチル)シクロブタン、1-エトキシ-1-(ヒドロキシメチル)シクロペンタン、1-メトキシ-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビシクロ[3.1.1]-2-エトキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6,6-ジメチルヘプタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロピラン-2-メタノール、(1,4-ジオキサン-2-イル)メタノール、2-(ヒドロキシメチル)-18-クラウン6-エーテル、1,2-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-2-メタノール、フルフリルアルコール、グリシドールなどが挙げられる。
溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物に含まれる溶剤の量は、樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。通常、溶剤が多いほど、その溶剤の除去による樹脂組成物の収縮の程度は大きい。よって、溶剤が多いほど、硬化物層の表面の平坦性は低くなる傾向があった。しかし、本実施形態に係る製造方法によれば、このように硬化物の平面の平坦性が低下し易い条件においても、当該平坦性の低下を抑制できる。よって、従来技術では平坦性が低下し易い条件であっても当該平坦性の低下を抑制できるとの利点を有効に活用する観点から、溶剤の量は前記下限値以上であることが好ましい。また、樹脂組成物に含まれる溶剤の量は、厚い硬化物層を容易に得る観点から、樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。
樹脂組成物は、工程(I)における温度条件において、通常は液状である。塗布される樹脂組成物の粘度は、塗布が行われる温度において、硬化物層の表面の平坦性を高める観点から、好ましくは0.01Pa・s以上、より好ましくは0.03Pa・s以上、特に好ましくは0.05Pa・s以上であり、好ましくは100Pa・s以下、より好ましくは80Pa・s以下、特に好ましくは50Pa・s以下である。
樹脂組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「RE-80U」、3°×R9.7コーン、回転数は0.5rpm)を用いて測定しうる。
[2.3.塗布方法]
工程(I)では、ウエハ10の配線12が設けられた面10Uに、樹脂組成物を塗布する。樹脂組成物の塗布方法は、特段の制限は無い。樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、キスリバースコート法、ダイコート法、スロットダイ法、リップコート法、コンマコート法、ブレードコート法、ロールコート法、ナイフコート法、カーテンコート法、チャンバーグラビアコート法、スロットオリフィス法、スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ホットメルトコート法、バーコート法、アプリケーター法、エアナイフコート法、カーテンフローコート、オフセット印刷法、刷毛塗り法、スクリーン印刷法などが挙げられる。中でも、スピンコート法が好ましい。
スピンコートの条件は、所望の厚みの樹脂組成物層20を形成できるように調整することが好ましい。例えば、スピンコートの回転数は、好ましくは500rpm以上、より好ましくは700rpm以上であり、好ましくは7000rpm以下、より好ましくは6000rpm以下である。
樹脂組成物の塗布は、通常、樹脂組成物の均一な厚みでの塗布が可能な温度において行われる。樹脂組成物の塗布温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、特に好ましくは20℃以上であり、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、特に好ましくは30℃以下である。
樹脂組成物の塗布は、1回のみ行ってもよく、複数回の分けて行ってもよい。また、樹脂組成物の塗布は、異なる塗布方法を組み合わせて行ってもよい。異物混入を裂ける観点から、塗布は、クリーンルーム等の異物発生の少ない環境で実施することが好ましい。
樹脂組成物の塗布により、ウエハ10の面10Uに樹脂組成物層20が形成される。この樹脂組成物層20の厚みTは、通常は配線12の高さH以上である。具体的な厚みTは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.8μm以上であり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは40μm以下、特に好ましくは20μm以下である。従来は、樹脂組成物層20が厚いほど、樹脂組成物層20を硬化して得られる硬化物層の表面の平坦性が低くなり、よって、導体層の微細化の困難性が高い傾向があった。このように従来解決が困難であった課題を解決して、微細な配線12及び導体層を備えるウエハレベルパッケージの円滑な製造を可能にするとの技術的意義を有効に活用する観点から、樹脂組成物層20は、厚いことが好ましい。よってこの観点から、樹脂組成物層20の厚みTは、1μm以上、3μm以上、又は、8μm以上というように厚いことが好ましい。ここで、樹脂組成物層20の厚みTとは、半導体基板11の面11Uから樹脂組成物層20の表面20Uまでの距離を表す。また、樹脂組成物層20の厚みTが一定でない場合、ウエハ10の面10Uの、配線12が設けられていない部分における樹脂組成物層20の厚みTの最小値が、前記範囲に収まることが好ましい。
[3.工程(II):溶剤を除去する工程]
工程(I)で樹脂組成物層を形成した後で、樹脂組成物層に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する工程(II)を行う。溶剤の除去は、乾燥によって行いうる。
溶剤の乾燥は、適切な乾燥温度において行うことが好ましい。具体的な乾燥温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、特に好ましくは120℃以下である。
溶剤の乾燥は、樹脂組成物層の温度を、前記の乾燥温度に適切な乾燥時間だけ調整することによって行うことが好ましい。具体的な乾燥時間は、好ましくは30秒以上、より好ましくは60秒以上、特に好ましくは120秒以上であり、好ましくは60分以下、より好ましくは20分以下、特に好ましくは5分以下である。
乾燥は、例えば、熱風炉、赤外線炉等のオーブンにおいて行ってもよい。また、乾燥は、ホットプレート等の加熱装置を用いて行ってもよい。特に、工程(II)の後に工程(III)及び工程(IV)を行う場合には、工程(III)及び工程(IV)によって樹脂組成物層の表面の平坦性を高めることができる。したがって、風乾のように樹脂組成物層の表面の平坦性が低下しうる乾燥方法を工程(II)で採用してもよい。
工程(II)において樹脂組成物層から除去される溶剤の量は、樹脂組成物層に含まれていた溶剤の一部でもよく、全部でもよい。好ましくは、工程(II)において多くの量の溶剤を樹脂組成物層から除去した後で、工程(III)及び工程(IV)を行って、樹脂組成物層を平坦化する。通常、樹脂組成物層から除去される溶剤が多いほど、樹脂組成物層の表面の平坦性が大きく低下するが、そのように低下した表面の平坦性は工程(III)及び工程(IV)において向上させることが可能である。
[4.工程(III):平面体を配置する工程]
図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(III)を説明するため、ウエハ10及び樹脂組成物層20を備える積層体30、並びに、平面体40を模式的に示す断面図である。工程(I)で樹脂組成物層20を形成した後で、図2に示すように、基材41及び前記基材41上に形成された離型層42を備える平面体40を、離型層42側の面40Dを樹脂組成物層20に向けて配置する工程(III)を行う。この工程(III)は、工程(II)の前に行ってもよく、工程(II)と同時に行ってもよく、工程(II)の後に行ってもよい。
工程(II)での溶剤の除去により、樹脂組成物層20は収縮する。また、通常は、工程(I)において樹脂組成物が塗布される過程、及び、工程(I)において樹脂組成物が塗布された後すぐに、樹脂組成物層20から溶剤が乾燥することがありうる。この溶剤の乾燥によっても、溶剤の除去が進行するから、樹脂組成物層20は収縮しうる。これらのような樹脂組成物層20の収縮が生じると、図2に示すように、その樹脂組成物層20の表面20Uの平坦性は低下しうる。このように平坦性が低下した樹脂組成物層20の表面20Uを、工程(III)及び工程(IV)を行うことによって、平坦化することができる。
通常は、工程(II)において溶剤の乾燥は大きく進行するので、樹脂組成物層20からの溶剤の除去による樹脂組成物層20の収縮は工程(II)において大きく進行する。したがって、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦性の低下は、工程(II)において大きく進行する傾向がある。このように大きく進行した平坦性の低下を効果的に回復させて、特に平坦性の高い表面を有する硬化物層を得る観点から、工程(III)及び工程(IV)は、工程(II)の後に行うことが好ましい。
工程(III)の時点において、樹脂組成物層20に含まれる溶剤の量は、工程(I)で塗布される直前の樹脂組成物に含まれる溶剤100%に対して、好ましくは0質量%~30質量%、より好ましくは0質量%~20質量%、特に好ましくは0質量%~10質量%である。工程(III)の時点において樹脂組成物層20に含まれる溶剤が前記のように少ない場合、工程(I)~工程(III)の間で溶剤の除去が進行し、樹脂組成物層20の収縮によってその表面20Uの平坦性は大きく低下していうるが、この場合でも、工程(III)及び工程(IV)によれば、低下した平坦性を回復することができる。
平面体40が備える基材41は、少なくとも工程(IV)において平坦な平面を形成しうる面41Dを有する。平面体40がウエハ10上の樹脂組成物層20の全体を押圧できるように、基材41は、通常、樹脂組成物層20の全体を覆える広さの面41Dを有するように形成される。
平面体40が備える基材41は、面41Dを平坦に維持できる剛性材料で形成されていてもよい。また、基材41は、変形可能な柔軟材料で形成されていてもよい。柔軟材料を用いた場合でも、工程(IV)において適切な加圧部材を用いることにより、面41Dを平坦にできる。中でも、工程(IV)において樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うために、工程(IV)の加圧温度において基材41は樹脂組成物層20よりも高い剛性を有することが好ましい。前記の剛性を有する基材41は、例えば、プラスチックフィルム、金属板及びシリコン基板からなる群より選ばれる1種類以上を備えて形成しうる。
基材としてのプラスチックフィルムに含まれるプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル;ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。);ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略称することがある。)等のアクリルポリマー;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(以下「TAC」と略称することがある。);ポリエーテルサルファイド(以下「PES」と略称することがある。);ポリエーテルケトン;ポリイミド;等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材としての金属板に含まれる金属材料としては、例えば、鉄、ステンレス(SUS)、アルミ、銅、真鍮などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
基材としてのシリコン基板は、通常、単結晶シリコンによって形成される。このシリコン基板は、円形の平面形状を有しうる。このようなシリコン基板としては、電子部品が形成されていない市販のシリコンウエハを用いうる。
基材41の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
平面体40が備える基材41の弾性率は、工程(IV)において樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行う観点から、特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、工程(IV)の加圧温度における基材41の弾性率は、好ましくは100MPa以上、より好ましくは300MPa以上、特に好ましくは1000MPa以上である。上限に制限は無く、例えば、500000MPa以下、200000MPa以下などでありうる。基材41が前記範囲の弾性率を有する場合、工程(IV)において基材41が高い剛性を有することができるので、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができる。
弾性率は、下記の方法によって測定できる。試料をダンベル状1号形に切り出し、試験片を得る。この試験片を、オリエンテック社製引張試験機「RTC-1250A」を用いて引張強度測定を行い、弾性率を求める。測定は、JIS K7127に準拠して実施できる。
平面体40が備える基材41は、軟化点を有することがありうる。例えば、基材41としてプラスチックフィルムを用いる場合、そのプラスチックフィルムは、通常、軟化点を有する。具体的な基材41の軟化点は、好ましくは90℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは130℃以上である。基材41の軟化点が前記範囲にある場合、工程(IV)において基材41が高い剛性を有することができるので、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができる。上限に特段の制限は無いが、コストの観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下である。
軟化点は、JIS K7196 1991に準拠して測定できる。
基材41の形状は、離型層42を形成された面41Dを有することができる任意の形状を採用できる。例えば、基材41は、フィルム状、シート状、板状又はブロック状の形状を有しうる。
離型層42は、基材41の面41Dに形成されている。離型層42は、離型剤を含み、好ましくは離型剤のみを含む。離型層42は、平面体40の使用時においては当該平面体40の最外層でありうるので、工程(IV)において平面体40が樹脂組成物層20を加圧するときに樹脂組成物層20に接しうる。このように樹脂組成物層20に接する離型層42が離型剤を含むことにより、その後の工程(V)における平面体40の剥離を円滑に行うことができる。
離型層に含まれる離型剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂を含むポリオレフィン樹脂系離型剤、ポリウレタンを含むウレタン樹脂系離型剤、アルキド樹脂を含むアルキド樹脂系離型剤、及び、シリコーン樹脂を含むシリコーン樹脂系離型剤、などが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、アルキド樹脂系離型剤が好ましい。
アルキド樹脂系離型剤が含むアルキド樹脂は、例えば、グリセロールとフタル酸又は無水フタル酸との縮合重合体(ストレートアルキド樹脂);ストレートアルキド樹脂の変性体である変性アルキド樹脂;などが挙げられる。変性アルキド樹脂としては、例えば、アクリル変性アルキド樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂、ステアリン酸変性アルキド樹脂、等が挙げられる。通常、アルキド樹脂系離型剤は、アルキド樹脂を70質量%~95質量%の割合で含む。
離型剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
離型層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは1.00μm以下、より好ましくは0.50μm以下である。
平面体40は、離型層42側に、面40Dを有する。平面体40の面40Dは、基材41の面41Dと同じく、少なくとも工程(IV)において平坦な平面を形成しうる。面40Dは、表面粗さが小さい滑らかな面であるので、この面40Dによる加圧によって樹脂組成物層20の表面20Uを高度に平坦化することができる。
平面体40の面40Dの算術平均粗さRaは、好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。下限は、特に制限は無く、例えば0.0nm以上でありうるが、平面体40の入手を容易にする観点から、例えば、0.1nm以上、0.5nm以上、1nm以上などでありうる。
算術平均粗さRaは、JIS-B-0601に準じて測定しうる。
平面体40が帯電すると、静電気力によって空気中の塵等の異物が平面体40に吸着し、樹脂組成物層20に付着する可能性がありうる。よって、このような異物の付着を抑制する観点から、平面体40は、容易には帯電しないことが好ましい。例えば、基材41がプラスチックフィルムを備える場合、離型層42とは反対側の平面体40の面40Uの表面抵抗値が、特定の範囲にあることが好ましい。具体的には、前記の表面抵抗値は、好ましくは1.0×10Ω/sq.以上、より好ましくは1.0×10Ω/sq.以上、特に好ましくは1.0×10Ω/sq.以上であり、好ましくは1.0×1015Ω/sq.以下、より好ましくは1.0×1012Ω/sq.以下、特に好ましくは1.0×1010Ω/sq.以下である。平面体40の面40Uが前記範囲の表面抵抗値を有する場合、その平面体40は、通常、容易に帯電しないことができる。よって、異物の付着を抑制することができる。
表面抵抗値は、二重リング電極法(JIS K6911)によって測定できる。
平面体40の面40Dは、工程(IV)において樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行う観点から、高い硬度を有することが好ましい。具体的には、工程(IV)の加圧温度における平面体40の面40Dのロックウェル硬度は、好ましくは100HRR以上である。ロックウェル硬度は、JIS Z 2245の「ロックウェル硬さ試験-試験方法」に準拠して測定できる。
通常、離型層42が基材41に対して充分に薄いので、平面体40の剛性は基材41の剛性と同じでありうる。よって、工程(IV)の加圧温度における平面体40の弾性率の範囲は、工程(IV)の加圧温度における基材41の弾性率の範囲と同じでありうる。平面体40が前記範囲の弾性率を有する場合、工程(IV)において樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができる。
通常、離型層42が基材41に対して充分に薄いので、平面体40の軟化点は基材41の軟化点と同じでありうる。よって、平面体40の軟化点の範囲は、基材41の軟化点の範囲と同じでありうる。平面体40の軟化点が前記範囲にある場合、工程(IV)において樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができる。
本実施形態では、図2に示すように、工程(III)において平面体40が樹脂組成物層20から離して配置された例を示して説明する。ただし、工程(III)において、平面体40は、樹脂組成物層20に接するように配置してもよい。
[5.工程(IV):樹脂組成物層を加圧する工程]
図3は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(IV)を説明するため、ウエハ10及び樹脂組成物層20を備える積層体30、平面体40、並びに、加圧部材50を模式的に示す断面図である。工程(III)で平面体40を配置した後で、図3に示すように、平面体40によって樹脂組成物層20を加圧する工程(IV)を行う。また、この工程(IV)は、通常、工程(II)より後で行われる。したがって、工程(II)の前に工程(III)を行う場合、工程(II)を行った後で工程(IV)を行うことが好ましい。
工程(IV)では、例えば、適切な加圧部材50によって平面体40をウエハ10に向けて押圧してもよい。平面体40が押圧されることにより、その平面体40によって樹脂組成物層20が加圧される。このような加圧を受けると、樹脂組成物層20の表面20Uの形状は、平面体40の面40Dと同じ平坦な平面となりうる。その結果、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を達成することができる。
また、工程(IV)では、例えば、適切な加圧部材50によって平面体40を支持しながら、ウエハ10を平面体40へ向けて押圧してもよい。ウエハ10が押圧されることにより、平面体40によって樹脂組成物層20を加圧できる。よって、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を達成することができる。
さらに、工程(IV)では、例えば、加圧部材50によって平面体40の押圧することと、ウエハ10を平面体40へ向けて押圧することと、を組み合わせて行ってもよい。
加圧部材50としては、平面体40によって樹脂組成物層20を加圧できる任意の部材を用いうる。平面体40が、面41Dを平坦に維持できる剛性材料で形成された基材41を備える場合、加圧部材50の形状は、特に制限は無い。また、平面体40が、変形可能な柔軟材料で形成された基材41を備える場合、加圧部材50は、平坦な平面50Dを有することが好ましい。例えば、プラスチックフィルム等の柔軟な基材41を備える平面体40を用いる場合、加圧部材50の平坦な平面50Dでその平面体40を押圧することにより、加圧時における平面体40の面40Dを平坦な平面にできる。よって、柔軟な基材41を用いながら、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を行うことができる。
工程(IV)において平面体40が樹脂組成物層20に加える圧力(以下、「加圧圧力」ということがある。)は、好ましくは0.1kgf/cm以上、より好ましくは1.0kgf/cm以上、特に好ましくは3.0kgf/cm以上であり、好ましくは30kgf/cm以下、より好ましくは20kgf/cm以下、特に好ましくは10kgf/cm以下である。前記の範囲の加圧圧力を加える場合、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができ、また、工程(V)における平面体の剥離を円滑に行うことができる。特に、加圧圧力が下限値以上である場合、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を効果的に行うことができる。また、加圧圧力が上限値以下である場合、ウエハ10の端部からの樹脂組成物の流出を効果的に抑制できる。
工程(IV)における加圧は、通常、樹脂組成物層20が特定の範囲の温度(以下、「加圧温度」ということがある。)にある条件で行われる。また、工程(IV)では、通常、樹脂組成物層20だけでなく平面体40の温度も前記の加圧温度に調整される。よって、平面体40の基材41が軟化点を有する場合、加圧温度は、通常、基材41の軟化点未満の温度に設定される。加圧温度は、樹脂組成物の溶融粘度が特定の範囲に収まるように設定することが好ましい。前記の樹脂組成物の加圧温度における溶融粘度の範囲は、1Pa・s以上が好ましく、10Pa・s以上がより好ましく、また、100000Pa・s以下が好ましく、10000Pa・s以下がさらに好ましい。具体的な加圧温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、また、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。加圧温度が前記の範囲にある場合、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができる。特に、加圧温度が下限値以上である場合、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を効果的に行うことができる。また、加圧温度が上限値以下である場合、ウエハ10の端部からの樹脂組成物の流出を効果的に抑制できる。
工程(IV)において樹脂組成物層20を加圧する時間(以下、「加圧時間」ということがある。)は、好ましくは5秒以上、より好ましくは15秒以上、特に好ましくは30秒以上であり、好ましくは10分以下、より好ましくは5分以下、特に好ましくは3分以下である。加圧時間が前記の範囲にある場合、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を円滑に行うことができる。特に、加圧時間が下限値以上である場合、樹脂組成物層20の表面20Uの平坦化を効果的に行うことができる。また、加圧時間が上限値以下である場合、ウエハ10の端部からの樹脂組成物の流出を効果的に抑制できる。
[6.工程(V):平面体を剥離する工程]
図4は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(V)を説明するため、ウエハ10及び樹脂組成物層20を備える積層体30を模式的に示す断面図である。工程(IV)で平面体40によって樹脂組成物層20を加圧した後で、図4に示すように、平面体40を剥離する工程(V)を行う。
平面体40が離型層42を有するので、平面体40の剥離は円滑に行うことができる。一般に、ウエハ10は円形の平面形状を有するので、離型層を有さない平面体を仮に用いた場合には、その平面体の剥離は円滑に進行させることが難しい。この点、例えば矩形の平面形状を有する板材上に設けられた樹脂組成物層から平面体を剥離する場合には、矩形の角部から剥離を開始して平面体を剥離することで、剥離を円滑に行うことができる。矩形の平面形状を有する板材では、その角部から剥離を開始すると、剥離のための応力を開始点である角部に容易に集中させることができる。よって、剥離の開始を円滑に行い、更にそれに続く剥離も円滑に行えるためである。これに対し、円形の平面形状を有するウエハ10では、剥離の開始地点に応力を集中させることが難しい。よって、離型層を有さない平面体では、ウエハ10からの剥離を円滑に開始するための困難性が高い。そこで、本実施形態では、離型層42によって平面体40の剥離のし易さを向上させて、円滑な平面体40の剥離を達成している。
平面体40の剥離は、加圧温度まで昇温された平面体40を、冷却してから行うことが好ましい。冷却後に剥離を行うことにより、平面体40の剥離を特に円滑に行うことができる。平面体40を剥離するときの温度(以下、「剥離温度」ということがある。)は、好ましくは0℃以上、より好ましは10℃以上、特に好ましくは15℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、特に好ましくは30℃以下である。
[7.工程(VI):樹脂組成物層を硬化させる工程]
図5は、本発明の一実施形態に係る製造方法の工程(VI)を説明するため、ウエハレベルパッケージ60を模式的に示す断面図である。工程(IV)で平面体40によって樹脂組成物層20を加圧した後で、図5に示すように、樹脂組成物層20を硬化させる工程(VI)を行う。
工程(VI)では、樹脂組成物層20に含まれる樹脂組成物を硬化させることにより、樹脂組成物層20を硬化させる。樹脂組成物層20の硬化により、樹脂組成物の硬化物で形成された硬化物層61を、ウエハ10上に得ることができる。よって、工程(VI)によって、ウエハ10及び当該ウエハ10の面10U上に形成された硬化物層61を備えるウエハレベルパッケージ60を得ることができる。このウエハレベルパッケージ60の硬化物層61は、工程(V)において平坦化された樹脂組成物層20が硬化したものであるので、ウエハ10とは反対側に、平坦性の高い表面61Uを有することができる。
樹脂組成物層20を硬化させる工程(VI)は、平面体40を剥離する工程(V)の前に行ってもよく、後に行ってもよい。例えば、樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、工程(VI)は、工程(V)の前に行ってもよく、後に行ってもよい。また、例えば、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合、通常は、露光及び現像によって樹脂組成物層にパターン形成を行った後で、樹脂組成物層の硬化を行う。露光及び現像は、平面体40が無い状態で行うことが好ましい。そこで、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合、工程(VI)は、工程(V)の後に行うことが好ましい。
樹脂組成物層20の硬化は、樹脂組成物の組成に応じた方法によって行いうる。通常は、樹脂組成物層20のを加熱することによって、樹脂組成物層20を硬化させる。具体的な硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうるが、硬化温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下、更に好ましくは230℃以下、更に好ましくは220℃以下、特に好ましくは200℃以下である。また、硬化時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、更に好ましくは15分以上、更に好ましくは20分以上、特に好ましくは30分以上であり、好ましくは180分以下、より好ましくは120分以下、更に好ましくは100分以下、特に好ましくは90分以下である。
樹脂組成物層20を硬化させる前に、樹脂組成物層20に対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。予備加熱処理の条件は、例えば、温度条件は、通常50℃以上120℃未満、好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下である。また、加熱時間は、通常5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間である。
加熱は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気において行うことが好ましい。この不活性ガス雰囲気における酸素濃度は、2体積%以下が好ましく、1体積%以下がより好ましい。
樹脂組成物が、活性光線の照射を受けて硬化できるタイプの感光性樹脂組成物である場合、樹脂組成物層20の硬化は、活性光線の照射によって行ってもよい。この際、活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。活性光線の照射量は、例えば0.05J/cm~10J/cmの範囲でありうる。
[8.任意の工程]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法は、上述した工程(I)~(VI)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、例えば、樹脂組成物層に露光する工程(VII)、露光された樹脂組成物層を現像する工程(VIII)、硬化物層に穴あけする工程(IX)、硬化物層に粗化処理を施す工程(X)、硬化物層上に導体層を形成する工程(XI)、などが挙げられる。
[8.1.樹脂組成物層に露光する工程(VII)]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法が樹脂組成物層に露光する工程(VII)を含む場合、その工程(VII)は、通常、工程(V)の後、工程(VI)の前に行われる。よって、ウエハレベルパッケージの製造方法は、工程(V)、工程(VII)及び工程(VI)をこの順に含みうる。
工程(VII)は、通常、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合に行われる。工程(VII)では、通常、適切なマスクパターンを通して、樹脂組成物層の特定の領域に活性光線を照射する露光処理を行う。露光処理により、樹脂組成物層にマスクパターンに応じた潜像を形成することができる。
活性光線の波長は、通常190nm~1000nm、好ましくは240nm~550nmであるが、これ以外の波長の光線を用いてもよい。活性光源の具体例としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。活性光線の光源を挙げると、例えば、半導体レーザー(波長830nm、532nm、488nm、405nmなど);メタルハライドランプ;高圧水銀灯(波長436nmのg線;波長405nmのh線;波長365nmのi線;g線、h線及びi線の3波長のブロード);エキシマレーザー、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm);極端紫外線光源(EUV、波長13.6nm);電子線光源;等が挙げられる。
露光量は、好ましくは10mJ/cm以上、より好ましくは100mJ/cm以上、特に好ましくは200mJ/cm以上であり、好ましくは10,000mJ/cm以下、より好ましくは8,000mJ/cm以下、特に好ましくは1,000mJ/cm以下である。
露光方法としては、例えば、マスクパターンを樹脂組成物層に密着させて行う接触露光法と、密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法とが挙げられ、いずれを用いてもよい。
[8.2.樹脂組成物層を現像する工程(VIII)]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法が樹脂組成物層を現像する工程(VIII)を含む場合、その工程(VIII)は、通常、工程(VII)の後、工程(VI)の前に行われる。よって、ウエハレベルパッケージの製造方法は、工程(V)、工程(VII)、工程(VIII)及び工程(VI)をこの順に含みうる。
工程(VIII)は、通常、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合に行われる。工程(VIII)では、通常、工程(VII)で露光された露光部及び露光されていない非露光部の一方を選択的に除去する。通常、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いた場合には現像によって露光部が除去され、ネガ型の感光性樹脂組成物を用いた場合には現像によって非露光部が除去される。この現像により、樹脂組成物層には工程(VII)で形成された潜像の形状を有するパターンを形成できる。
現像方法は、所望のパターンを形成できる任意の方法を用いうる。現像方法としては、例えば、パドル法、スプレー法、浸漬法、ブラッシング法、スラッピング法、超音波法等が挙げられる。好ましくは、現像方法として、樹脂組成物層と現像液とを接触させるウエット現像法を行う。
現像液としては、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等が挙げられる。
現像液としてのアルカリ性水溶液としては、例えば、アルカリ金属化合物の水溶液が挙げられる。アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の、アルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の、アルカリ金属の炭酸塩又は重炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の、アルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等の、アルカリ金属ピロリン酸塩、などが挙げられる。また、アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の、金属イオンを含有しない有機塩基の水溶液が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、金属イオンを含有せず、半導体チップに対する影響が小さい点で、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液のpHは、例えば、8~12の範囲であることが好ましく、9~11の範囲であることがより好ましい。また、上記アルカリ性水溶液の塩基濃度は、0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
現像液としての有機溶剤としては、例えば、エステル溶剤、エーテル溶剤、ケトン溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アルコール溶剤、スルホキシド溶剤などが挙げられる。エステル溶剤として、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、アルキルオキシ酢酸アルキル(例:アルキルオキシ酢酸メチル、アルキルオキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3-アルキルオキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-アルキルオキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2-アルキルオキシプロピオン酸メチル、2-アルキルオキシプロピオン酸エチル、2-アルキルオキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチル及び2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等が挙げられる。エーテル溶剤として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。ケトン溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。芳香族炭化水素溶剤として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等が挙げ得られる。アルコール溶剤として、例えば、炭素原子数1~4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。スルホキシド溶剤として、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。有機溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。有機溶剤のClogP値は、-1~5であってもよく、好ましくは0~3である。ClogP値は、ChemBioDrawにて構造式を入力して計算値として求めることができる。有機溶剤の濃度は、現像液全量に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。現像液は、100質量%が有機溶剤であってもよい。
現像液は、必要に応じて、現像作用の向上のために、界面活性剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
現像時間は、10秒~5分が好ましい。現像時の現像液の温度は、特に定めるものではないが、好ましくは20℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。
現像液を用いた現像後、更に、樹脂組成物層のリンスを行ってもよい。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、樹脂組成物に含まれる溶剤を用いてリンスしてもよい。リンス時間は、5秒~1分が好ましい。
[8.3.硬化物層に穴あけする工程(IX)]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法が硬化物層に穴あけする工程(IX)を含む場合、その工程(IX)は、通常、工程(VI)の後に行われる。よって、ウエハレベルパッケージの製造方法は、工程(VI)及び工程(IX)をこの順に含みうる。したがって、ウエハレベルパッケージの製造方法は、工程(V)、工程(VI)及び工程(IX)をこの順に含んでいてもよく、工程(VI)、工程(V)及び工程(IX)をこの順に含んでいてもよい。
工程(IX)は、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合に行われてもよいが、樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合に行われることが好ましい。工程(IX)では、通常、硬化物層を厚み方向に貫通するホールとしてのビアホールを形成する。
ホールの形成方法としては、例えば、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられる。中でも、レーザー照射が好ましい。レーザー照射は、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等の光源を用いる適切なレーザー加工機を用いて行うことができる。
ホールの形状及び寸法は、ウエハレベルパッケージのデザインに応じて決定でき、例えば、円形又は略円形でありうる。ホールのトップ径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、好ましくは0.3μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは1.5μm以上である。ホールのトップ径とは、硬化物層の表面(図5の表面61U)でのホールの開口の直径をいう。
[8.4.硬化物層に粗化処理を施す工程(X)]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法が硬化物層に粗化処理を施す工程(X)を含む場合、その工程(X)は、通常、工程(V)及び工程(VI)の後に行われる。よって、ウエハレベルパッケージの製造方法は、工程(V)、工程(VI)及び工程(X)をこの順に含んでいてもよく、工程(VI)、工程(V)及び工程(X)をこの順に含んでいてもよい。また、ウエハレベルパッケージの製造方法が、硬化物層に穴あけする工程(IX)を含む場合、工程(X)は、工程(IX)の後に行うことが好ましい。
工程(X)は、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる場合に行われてもよく、樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合に行われてもよい。工程(X)では、硬化物層の表面に粗化処理を施す。工程(X)の前に工程(IX)が行われる場合、その工程(IX)で形成されるホール内にはスミアと呼ばれる樹脂残渣が形成されることがありうるが、粗化処理によればそのスミアの除去も行うことができる。
粗化処理は、乾式で行ってもよく、湿式で行ってもよく、乾式粗化処理と湿式粗化処理とを組み合わせて行ってもよい。
乾式粗化処理の例としては、プラズマを用いた粗化処理が挙げられる。プラズマを用いた粗化処理は、ニッシン社製のマイクロ波プラズマ装置、積水化学工業社製の常圧プラズマエッチング装置等の処理装置を用いて行いうる。乾式粗化処理の別の例としては、研磨材をノズルから吹き付けて硬化物層の表面を粗化する乾式サンドブラスト処理が挙げられる。研磨材として、水溶性の研磨材を使用する場合には、乾式サンドブラスト処理後に水洗処理することにより、研磨材がホール内に残留することを抑制できる。
湿式粗化処理の例としては、酸化剤を用いた粗化処理が挙げられる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して、硬化物層に粗化処理を施すことができる。
膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、アルカリ溶液が好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液が好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に硬化物層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。硬化物層に含まれる樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に硬化物層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に硬化物層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
中和液としては、酸性の水溶液が好ましい。市販されている中和液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた硬化物層を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
粗化処理後の硬化物層の表面の算術平均粗さ(Ra)は、特に限定されるものではないが、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。下限については、特に限定されないが、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは1nm以上でありうる。
[8.5.硬化物層上に導体層を形成する工程(XI)]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法が硬化物層上に導体層を形成する工程(XI)を含む場合、その工程(XI)は、通常、工程(V)及び工程(VI)の後に行われる。よって、ウエハレベルパッケージの製造方法は、工程(V)、工程(VI)及び工程(XI)をこの順に含んでいてもよく、工程(VI)、工程(V)及び工程(XI)をこの順に含んでいてもよい。また、ウエハレベルパッケージの製造方法が、硬化物層に穴あけする工程(IX)を含む場合、工程(XI)は、工程(IX)の後に行うことが好ましい。さらに、ウエハレベルパッケージの製造方法が、硬化物層に粗化処理を施す工程(X)を含む場合、工程(XI)は、工程(X)の後に行うことが好ましい。
導体層に使用する導体材料は、特に限定されない。導体材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、バナジウム、鉄、スズ及びインジウムなどが挙げられる。導体層は、単金属層であってもよく、合金層であってもよい。合金層に含まれる合金としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層を2層以上備える複層構造を有していてもよい。導体層が複層構造を有する場合、硬化物層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のウエハレベルパッケージのデザインによるが、好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは35μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。
導体層は、例えば、メッキにより形成してよい。例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の方法により、硬化物層の表面に所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、硬化物層の表面に、無電解メッキまたは乾式メッキによりメッキシード層を形成する。乾式メッキには、スパッタリング、CVD法が含まれる。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより導体層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチングにより除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
また、導体層は、例えば、特開2007-157879号公報、特表2001-521288号公報、特開2004-214501号公報、特開2004-101850号公報に記載された方法で形成してもよい。
[8.6.積層]
本発明の一実施形態に係るウエハレベルパッケージの製造方法は、上述した工程(I)~(XI)の一部又は全部を繰り返して行って、硬化物層上に更に導体層及び硬化物層を設けてもよい。例えば、感光性樹脂組成物を用いたウエハレベルパッケージの製造方法は、ウエハ及び硬化物層を備えるウエハレベルパッケージを製造した後で、上述した工程(I)~(XI)を更に繰り返し行って、硬化物層上への導体層及び硬化物層の形成を1回又は2回以上繰り返して行ってもよい。また、例えば、熱硬化性樹脂組成物を用いたウエハレベルパッケージの製造方法は、ウエハ及び硬化物層を備えるウエハレベルパッケージを製造した後で、上述した工程(I)~(VI)及び工程(IX)~(XI)を更に繰り返し行って、硬化物層上への導体層及び硬化物層の形成を1回又は2回以上繰り返して行ってもよい。
[9.製造されるウエハレベルパッケージ]
上述した製造方法によれば、図5に示すように、ウエハ10及び硬化物層61を備えるウエハレベルパッケージ60が得られる。このウエハレベルパッケージ60は、硬化物層61上に、1又は2以上の導体層(図示せず)及び硬化物層(図示せず)を備えていてもよい。例えば、導体層は再配線層として機能でき、また、硬化物層は再配線形成層として機能できる。その場合、導体層は、ウエハ10が備える配線12に接続するように形成されうる。
ウエハレベルパッケージ60が備える硬化物層61は、平坦性に優れる表面61Uを有することができる。この表面61Uの平坦性は、硬化物層61が形成されている部分におけるウエハレベルパッケージ60の厚みによって評価できる。ここで、硬化物層61が形成されている部分には、パターン形成によって除去されたり穴あけされたりすることによって硬化物層61が除かれた部分は含めない。
通常、ウエハ10は、均一な厚みを有する。よって、硬化物層61の表面61Uの高さが高い部分では、ウエハ10の面(硬化物層61とは反対側の面)10Dから硬化物層61の表面61Uまでの距離で表されるパッケージ厚みTは、相対的に大きくなりうる。また、硬化物層61の表面61Uの高さが低い部分では、パッケージ厚みTは、相対的に小さくなりうる。したがって、硬化物層61が形成されている部分におけるパッケージ厚みTの最大値と最小値との差は、硬化物層61の表面61Uが最も高い部分と最も低い部分との高さの差を表すことができる。したがって、前記の差によって、硬化物層61の表面61Uの高さの均一性としての平坦性を表すことができる。
硬化物層61が形成されている部分におけるパッケージ厚みTの最大値と最小値との差は、好ましくは0.0μm~3.0μm、より好ましくは0.0μm~2.0μm、特に好ましくは0.0μm~1.0μmである。
前記の差は、ウエハレベルパッケージ60を厚み方向に切断し、その断面を観察することによって測定できる。
ウエハレベルパッケージ60が備える硬化物層61の厚みは、通常は、硬化前の樹脂組成物層20の厚みT(図1参照)と同程度でありうる。よって、ウエハ10上に設けられた硬化物層61の厚みの範囲は、通常、硬化前の樹脂組成物層20の厚みTの範囲と同じでありうる。硬化物層61の厚みとは、ウエハ10の半導体基板11の面11Uから、硬化物層61の表面61Uまでの距離を表す。
製造されるウエハレベルパッケージ60において、ウエハ10の構造、形状及び寸法は、ウエハレベルパッケージ60の製造方法に供される前のものが維持される。よって、ウエハレベルパッケージ60が備える半導体基板11及び配線12の構造、形状及び寸法は、通常、工程(I)で説明した通りでありうる。
前記の製造方法で製造できるウエハレベルパッケージ60としては、例えば、ファンイン(Fan-in)型のウエハレベルパッケージ、及び、ファンアウト型(Fan-out)型のウエハレベルパッケージなどが挙げられる。これらのウエハレベルパッケージ60は、必要に応じてダイシングして、複数の半導体パッケージを得てもよい。
[10.樹脂組成物の不揮発成分]
上述したウエハレベルパッケージの製造方法に用いる樹脂組成物は、溶剤及び樹脂を含む。通常、溶剤は揮発成分に分類され、樹脂は不揮発成分に分類される。溶剤については、上述した通りである。
樹脂組成物は、通常、樹脂を含む。また、樹脂組成物は、溶剤及び樹脂に組み合わせて、樹脂以外の不揮発成分を更に含んでいてもよい。樹脂以外の不揮発成分としては、例えば、無機充填材等の充填材が挙げられる。以下の説明では、樹脂組成物の不揮発成分のうち、有機充填材及び無機充填材を除いた成分を「樹脂成分」いうことがある。
上述したウエハレベルパッケージの製造方法の工程(I)に供される樹脂組成物においては、通常、樹脂等の不揮発成分は、溶剤中に溶解又は分散している。よって、その樹脂組成物は、通常、液状のワニスとなっており、工程(I)での塗布が可能である。しかし、このように工程(I)に供される樹脂組成物に含まれる溶剤は、工程(III)に至るまでに当該溶剤の少なくとも一部が乾燥し、更に工程(VI)での樹脂組成物層の硬化までに当該溶剤の大部分又は全部が乾燥しうる。他方、製造されるウエハレベルパッケージが備える硬化物層は、樹脂等の不揮発成分又はその反応生成物を含みうるので、当該硬化物層の特性は樹脂組成物の不揮発成分に依存しうる。したがって、樹脂等の不揮発成分は、硬化物層に求められる特性に応じて設定することが好ましい。
樹脂組成物としては、例えば、感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。そこで、以下、感光性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物それぞれに分けて説明する。
[11.感光性樹脂組成物]
感光性樹脂組成物としては、ネガ型の感光性樹脂組成物を用いてもよく、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いてもよい。
[11.1.感光性樹脂組成物の第一の例:ポリイミド前駆体組成物]
感光性樹脂組成物としては、例えば、樹脂としてポリイミド前駆体を含むポリイミド前駆体組成物を用いうる。ポリイミド前駆体としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド酸エステルが挙げられる。また、ポリイミド前駆体は、アルカリ可溶性を実現する観点から、その末端に水酸基を有していてもよい。ポリアミド酸エステルとしては、下記式(x11)で表される繰り返し単位を含むポリアミド酸エステルが好ましい。
Figure 2022184623000002
(式(x11)において、Rx1及びRx2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、炭素-炭素不飽和二重結合を有する1価の有機基、又は、炭素-炭素不飽和二重結合を有する1価のイオン、を表す。Xx1は、4価の有機基を表す。Yx1は、2価の有機基を表す。mは、1以上の整数を表す。)
式(x11)において、Rx1及びRx2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、炭素-炭素不飽和二重結合を有する1価の有機基、又は、炭素-炭素不飽和二重結合を有する1価のイオン、を表す。Rx1及びRx2が1価の陽イオンとして存在するとき、Oは、負の電荷を帯びうる。すなわち、Rx1及びRx2が1価の陽イオンとして存在するとき、Oは、-Oとして存在しうる。
x1及びRx2は、より好ましくは、下記式(x12)で表される1価の有機基、又は、下記式(x13)で表される1価の有機基の末端にアンモニウムイオンを有する構造である。
Figure 2022184623000003
(式(x12)において、Rx3、Rx4及びRx5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~5の有機基を表し、mx1は、1~20の整数を表す。)
Figure 2022184623000004
(式(x13)において、Rx6、Rx7及びRx8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~5の有機基を表し、mx2は、1~20の整数を表す。
式(x11)において、Xx1は、4価の有機基を表す。Xx1は、水酸基を含んでいてもよい。Xx1は、芳香族基を含む4価の有機基であることが好ましく、下記式(x2)~式(x4)で表される少なくとも1つの構造を含む4価の有機基であることがより好ましい。
Figure 2022184623000005
式(x4)において、Rx9は、酸素原子、硫黄原子、又は2価の有機基を表す。2価の有機基としては、例えば、水酸基又はハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~40の2価の有機基が挙げられる。
x1は、下記式(x5)で表される構造を含む4価の有機基が特に好ましい。
Figure 2022184623000006
式(x11)において、Yx1は、2価の有機基を表す。Yx1は、水酸基を含んでいてもよい。Yx1は、芳香族基を含む2価の有機基であることが好ましく、下記式(x6)~式(x8)で表される少なくとも1つの構造を含む2価の有機基であることがより好ましい。
Figure 2022184623000007
(式(x6)において、Rx10、Rx11、Rx12及びRx13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数が1~5の1価の脂肪族基を表す。)
Figure 2022184623000008
(式(x7)において、Rx14~Rx21は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1~5の1価の有機基を表す。)
Figure 2022184623000009
(式(x8)において、Rx22は、2価の基を表す。Rx23~Rx30は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数が1~5の1価の脂肪族基を表す。)
式(x8)において、Rx22が表す2価の基は、例えば、酸素原子;ハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~40の2価の有機基;が挙げられる。
x1は、下記式(x9)で表される構造を含む2価の有機基が特に好ましい。
Figure 2022184623000010
式(x11)において、mは、1以上の整数を表す。mは、2以上が好ましく、5以上がより好ましい。
ポリイミド前駆体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせても低いてもよい。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、6000~150000であることが好ましく、7000~50000であることがより好ましく、7000~20000であることがより好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
ポリイミド前駆体組成物がネガ型の感光性樹脂組成物である場合、当該ポリイミド前駆体組成物は、光開始剤を含みうる。光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン;o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、及びフルオレノン等の、ベンゾフェノン誘導体;2,2’-ジエトキシアセトフェノン、及び2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン等の、アセトフェノン誘導体;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等の、チオキサントン誘導体;ベンジル;ベンジルジメチルケタール及び、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等の、ベンジル誘導体;ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;2,6-ジ(4’-ジアジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、及び2,6’-ジ(4’-ジアジドベンザル)シクロヘキサノン等の、アジド化合物;1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム等の、オキシム化合物;N-フェニルグリシン等の、N-アリールグリシン化合物;ベンゾイルパーオキシド等の、過酸化物;芳香族ビイミダゾール化合物;並びに、チタノセン化合物;などが用いられる。光開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせても低いてもよい。これらのうち、光感度の点で、オキシム化合物が好ましい。
光開始剤の量は、ポリイミド前駆体100質量部に対し、1質量部~40質量部が好ましく、2質量部~20質量部がより好ましい。
ポリイミド前駆体組成物がポジ型の感光性樹脂組成物である場合、当該ポリイミド前駆体組成物は、光酸発生剤を含みうる。光酸発生剤により、露光部に酸が発生し、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する。よって、ポリイミド前駆体組成物をポジ型の感光性樹脂組成物として用いることができる。
ポリイミド前駆体組成物に好適な光酸発生剤としては、例えば、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。この中でも、高感度のポジ型感光性樹脂組成物を得られるので、キノンジアジド化合物が好ましい。光酸発生剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせても低いてもよい。
ポリイミド前駆体組成物は、架橋剤を含みうる。架橋剤としては、架橋剤以外の樹脂を架橋しうる化合物を用いてもよく、当該架橋剤自体が架橋ネットワークを形成しうる化合物を用いてもよい。また、ポリイミド前駆体組成物は、光感度を向上させるための増感剤、接着性向上のための接着助剤、等を含んでいてもよい。
上述したポリイミド前駆体組成物としては、例えば、特開2020-113748号公報に記載のものを用いうる。
[11.2.感光性樹脂組成物の第二の例:ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物]
感光性樹脂組成物としては、例えば、樹脂としてポリベンゾオキサゾール前駆体を含むポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を用いうる。
ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、下記式(x14)で表される繰り返し単位を含むポリ(o-ヒドロキシアミド)が挙げられる。
Figure 2022184623000011
(式(x14)において、Yx2及びYx3は、それぞれ独立に、2価の有機基を表す。)
式(x14)において、Yx2は、2価の有機基を表す。Yx2の炭素原子数は、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~15であり、特に好ましくは1~8である。また、2価の有機基は、フッ素原子等のハロゲン原子を含んでいてもよい。2価の有機基は、炭素原子数1~15の鎖状アルキレン基(但し、鎖状アルキレンの水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい)がより好ましく、炭素原子数1~8で且つ水素原子がフッ素原子で置換された鎖状アルキレン基が特に好ましい。
式(x14)において、Yx3は、2価の有機基を表す。Yx3の炭素原子数は、好ましくは1~40、より好ましくは1~20である。また、Yx3は、2価の鎖状脂肪族基が好ましく、炭素原子数1~40の2価の鎖状脂肪族基がより好ましく、炭素原子数1~20の2価の鎖状脂肪族基が特に好ましい。
さらに、Yx3は、芳香族基を含む2価の有機基であることが好ましい。Yx3は、より好ましくは前記式(x6)~(x8)で表される少なくとも1つの構造を含む2価の有機基であり、特に好ましくは前記式(x9)で表される構造を含む2価の有機基である。
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせても低いてもよい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物は、光酸発生剤を含みうる。光酸発生剤により、露光部に酸が発生し、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する。ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物に好適な光酸発生剤としては、例えば、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。このうち、ジアゾナフトキノン化合物は、感度が特に高く好ましい。光酸発生剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせても低いてもよい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物は、更に、架橋剤、増感剤、接着助剤、熱酸発生剤等を含んでいてもよい。
上述したポリベンゾオキサゾール前駆体組成物としては、例えば、特開2020-113748号公報に記載のものを用いうる。
[11.3.感光性樹脂組成物の第三の例:フェノール性水酸基を有する樹脂を含む感光性樹脂組成物]
感光性樹脂組成物としては、例えば、樹脂としてフェノール性水酸基を有する樹脂を含む樹脂組成物を用いうる。フェノール性水酸基を有する樹脂は、分子中にフェノール性水酸基を有する樹脂であり、一般にアルカリ溶液に対して可溶である。よって、フェノール性水酸基を有する樹脂を、必要に応じて任意の成分と組み合わせて含む樹脂組成物を、感光性樹脂組成物として用いることができる。フェノール性水酸基を有する樹脂を含む感光性樹脂組成物としては、例えば、特開2020-113748号公報に記載の樹脂組成物が挙げられる。
[11.3.1.好ましい(A)フェノール性水酸基を有する樹脂]
感光性樹脂組成物は、(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性の樹脂として、下記式(A-1)で表される構造を含む化合物、式(A-2)で表される構造を含む化合物、及び式(A-3)で表される構造を有する化合物を組み合わせて含むことが好ましい。以下、この好ましい感光性樹脂組成物について説明する。以下の説明において、(A)フェノール性水酸基を有する樹脂、下記式(A-1)で表される構造を含む化合物、式(A-2)で表される構造を含む化合物、及び、式(A-3)で表される構造を有する化合物を、それぞれ(A)成分、(A-1)成分、(A-2)成分及び(A-3)成分ということがある。(A)成分は、(A-1)成分、(A-2)成分及び(A-3)成分以外の成分を含んでいてもよいが、(A-1)成分、(A-2)成分及び(A-3)成分のみを含むことが好ましい。
Figure 2022184623000012
(式(A-1)中、Rは、それぞれ独立に、下記式(r-a)で表される2価の基を表し、Xはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n1は、0~4の整数を表し、m1は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。)
Figure 2022184623000013
(式(r-a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。)
式(A-1)中、Xは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。中でも、Xとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子が好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基がより好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基がさらに好ましい。
アルキル基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であってもよく、環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。アルキル基としては、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~3のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基、2-メチルプロピル基、3-ヘプチル基等が挙げられる。中でも、メチル基が特に好ましい。
アリール基としては、炭素原子数6~30のアリール基が好ましく、炭素原子数6~20のアリール基がより好ましく、炭素原子数6~10のアリール基がさらに好ましい。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
1価の複素環基としては、炭素原子数3~21の1価の複素環基が好ましく、3~15の1価の複素環基がより好ましく、3~9の1価の複素環基がさらに好ましい。1価の複素環基には、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)も含まれる。1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フラニル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、及びイソキノリル基が挙げられる。中でも、ピロリジル基が好ましい。1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。
式(A-1)中、Rは、それぞれ独立に、式(r-a)で表される2価の基を表す。式(r-a)中の結合手は、式(A-1)中のフェノール部位のOH基に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに結合していることが好ましく、メタ位及びパラ位のいずれかに結合していることがより好ましく、メタ位に結合しているもの及びパラ位に結合しているものが混在していることがさらに好ましい。式(r-a)中の結合手は、式(A-1)中のフェノール部位のOH基に対して、メタ位に結合しているもの及びパラ位に結合しているものが混在している場合、式(r-a)中の結合手がメタ位に結合しているものをmとし、式(r-a)中の結合手がパラ位に結合しているものをpとしたとき、その混合比率(m:p)は1:0.1~10が好ましく、1:0.1~5がより好ましく、1:0.1~1がさらに好ましく、1:0.5~2が特に好ましい。
式(r-a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。中でも、水素原子、アルキル基が好ましい。
11及びR12が表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基としては、式(A-1)中のXが表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基と同様である。
これらの組み合わせからなる基としては、アルキル基とカルボニル基との組み合わせからなる基、アリール基とカルボニル基との組み合わせからなる基、アルキル基とアミノ基とカルボニル基との組み合わせからなる基、アリール基とアミノ基とカルボニル基との組み合わせからなる基等が挙げられる。
11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよく、環構造は、スピロ環や縮合環も含む。この場合、R11及びR12は、シクロペンタン環を形成する基、シクロヘキサン環を形成する基、2,2-ジメチル-4-メチルシクロヘキサン環を形成する基、フルオレン環を形成する基、ピロリジン環を形成する基、γ-ラクタム環等であることが好ましい。
式(r-a)で表される2価の基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2022184623000014
Figure 2022184623000015
が表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基、並びにR11及びR12が表すアルキル基、アリール基、及び1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。各基が置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、-OH、-O-C1-6アルキル基、-N(C1-6アルキル基)、C1-6アルキル基、C6-10アリール基、-NH、-NH(C1-6アルキル基)、-CN、-C(O)O-C1-6アルキル基、-C(O)H、-NO等が挙げられる。
本明細書において、「置換基を有していてもよい」という表現は、特に断らない限り、無置換、若しくは置換基を通常1~5個(好ましくは1、2若しくは3個)有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。また、本明細書において、「C~C」(p及びqは正の整数であり、p<qを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がp~qであることを表す。例えば、「C~Cアルキル基」という表現は、炭素原子数1~6のアルキル基を示す。
式(A-1)中、n1は0~4の整数を表し、0~3の整数を表すことが好ましく、0又は1を表すことがより好ましく、1が特に好ましい。
式(A-1)中、m1は1~200の整数を表し、1~150の整数を表すことが好ましく、1~100の整数を表すことがより好ましく、1~50の整数を表すことがさらに好ましい。
(A-1)成分の具体例としては、下記式(A-1-1)で表される樹脂を挙げることができる。なお、具体例中、フェノール部位のOH基に対して、メタ位が60%、パラ位が40%の割合で混在している。下記式(A-1-1)中、nは1~200の整数を表す。
Figure 2022184623000016
(A-1)成分は、市販品を用いることができる。用いられうる市販の(A-1)成分の具体例としては、旭有機材社製「TR4020G」(式(A-1-1)で表される樹脂);旭有機材社製「TR4050G」、「TR4080G」、「TR5020G」、「TR5050G」、「TR6020G」、「TR6050G」、「TR6080G」等のAVライトシリーズ;住友ベークライト社製フォトレジスト用樹脂シリーズ;群栄化学工業社製レヂトップシリーズ;DIC社製「PR-30-40P」、「PR-100L」、「PR-100H」、「PR-50」、「PR-55」、「PR-56-1」、「PR-56-2」、「WR-101」、「WR-102」、「WR-103」、「WR-104」等のフェノライトシリーズ;リグナイト社製「LF-100」、「LF-110」、「LF-120」、「LF-200」、「LF-400」、「LF-500」;明和化成社製フォトレジスト用ベース樹脂シリーズ等が挙げられる。
(A-1)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-1)成分は、通常、フェノール又はその誘導体とアルデヒド及び/又はケトンとの重縮合により得られうる。重縮合は、通常、酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。このため、(A-1)成分の末端は、通常、置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基又はアルデヒド基であり、両末端が置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基であることが好ましい。
(A-1)成分の重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは1000以上であり、好ましくは150000以下、より好ましくは100000以下、さらに好ましくは50000以下である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(A-1)成分の量は、(A)成分の全体を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
(A-1)成分の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
(A-1)成分の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。感光性樹脂組成物の樹脂成分とは、感光性樹脂組成物の不揮発成分のうち、(D)有機充填材及び(E)無機充填材を除いた成分をいう。
Figure 2022184623000017
(式(A-2)中、Rは、それぞれ独立に、下記式(r-b)で表される2価の基、下記式(r-c)で表される2価の基、下記式(r-b)で表される2価の基と下記式(r-c)で表される2価の基の組み合わせからなる2価の基、下記式(r-a)で表される2価の基と下記式(r-b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、又は、下記式(r-a)で表される2価の基と下記式(r-c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基を表し、Xはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n2は、0~4の整数を表し、m2は1~200の整数を表す。*は結合手を表す。)
Figure 2022184623000018
(式(r-a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。)
(式(r-b)中、X11は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。)
(式(r-c)中、X12及びX13は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。)
式(A-2)中、Rは、それぞれ独立に、式(r-b)で表される2価の基、式(r-c)で表される2価の基、式(r-b)で表される2価の基と式(r-c)で表される2価の基の組み合わせからなる2価の基、式(r-a)で表される2価の基と式(r-b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、又は、式(r-a)で表される2価の基と式(r-c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基を表す。式(r-a)で表される2価の基については上述したとおりである。式(r-a)~(r-c)中の結合手は、式(A-2)中のフェノール部位のOH基に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに結合していることが好ましく、メタ位及びパラ位のいずれかに結合していることがより好ましく、メタ位に結合しているもの及びパラ位に結合しているものが混在していることがさらに好ましい。式(r-a)~(r-c)中の結合手が、式(A-2)中のフェノール部位のOH基に対して、メタ位に結合しているもの及びパラ位に結合しているものが混在している場合の混合比率は、式(r-a)で表される基の場合と同様である。
式(r-b)~(r-c)中のX11、X12、及びX13は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。X11~X13は、式(A-1)中のXが表す置換基を有していてもよいアルキル基と同様である。
式(r-b)~(r-c)中のp1、p2、及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、0~3の整数を表すことが好ましく、0又は1を表すことがより好ましい。
式(r-b)で表される2価の基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2022184623000019
式(r-c)で表される2価の基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2022184623000020
式(r-b)で表される2価の基と式(r-c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、式(r-a)で表される2価の基と式(r-b)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基、及び式(r-a)で表される2価の基と式(r-c)で表される2価の基との組み合わせからなる2価の基の具体例としては、以下の基を上げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2022184623000021
式(A-2)中、Xは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、式(A-1)中のXと同様である。
式(A-2)中、n2は、0~4の整数を表し、式(A-1)中のn1と同様である。
式(A-2)中、m2は、1~200の整数を表し、式(A-1)中のm1と同様である。
(A-2)成分の具体例としては、下記式(A-2-1)で表される樹脂、及び、下記式(A-2-2)で表される樹脂を挙げることができる。なお、具体例中、フェノール部位のOH基に対して、メタ位が60%、パラ位が40%の割合で混在している。下記式(A-2-1)及び(A-2-2)中、nは1~200の整数を表す。
Figure 2022184623000022
(A-2)成分は、市販品を用いることができる。用いられ得る市販の(A-2)成分の具体例としては、明和化成社製「MEHC-7851SS」(式(A-2-1)で表される樹脂)、「MEHC-78004S」(式(A-2-2)で表される樹脂)、明和化成社製「MEHC-7851-SS」「MEHC-7851-S」、「MEHC-7851-M」「MEHC-7851-H」、「MEHC-7800―4S」「MEHC-7800-SS」、「MEHC-7800-S」、「MEHC-7800-M」、「MEHC-7800-H」、日本化薬社製「GPH-65」「GPH-103」、「MEHC-7841-4S」等が挙げられる。
(A-2)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-2)成分は、通常、フェノール又はその誘導体とフェノール以外の化合物との重縮合により得られうる。重縮合は、通常、酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。このため、(A-2)成分の末端は置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基であることが好ましく、両末端が置換基を有していてもよいヒドロキシフェニル基であることがより好ましい。
(A-2)成分の重量平均分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上であり、好ましくは50000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下である。
(A-2)成分の量は、(A)成分の全体を100質量%としたとき、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
(A-2)成分の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
(A-2)成分の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
Figure 2022184623000023
(式(A-3)中、Rは、下記式(r-a)で表される2価の基、下記式(r-b)で表される2価の基、下記式(r-c)で表される2価の基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表し、X及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。)
Figure 2022184623000024
(式(r-a)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらの組み合わせからなる基を表し、R11及びR12は互いに結合して環を形成していてもよい。*は結合手を表す。)
(式(r-b)中、X11は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p1は、0~4の整数を表す。*は結合手を表す。)
(式(r-c)中、X12及びX13は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表す。p2及びp3は、それぞれ独立に0~4の整数を表す。*は結合手を表す。)
式(A-3)中、Rは、式(r-a)で表される2価の基、式(r-b)で表される2価の基、式(r-c)で表される2価の基、又はこれらの組み合わせからなる2価の基を表す。式(r-a)~(r-c)で表される2価の基については、上述したとおりである。式(r-a)~(r-c)中の結合手は、式(A-3)中のフェノール部位のOH基に対して、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに結合していることが好ましく、メタ位及びパラ位のいずれかに結合していることがより好ましく、パラ位に結合していることがさらに好ましい。
式(A-3)中、X及びXは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、ハロゲン原子、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、式(A-1)中のXと同様である。
式(A-3)中、n3及びn4は、それぞれ独立に0~4の整数を表し、式(A-1)中のn1と同様である。
(A-3)成分の具体例としては、以下の基を挙げることができる。
Figure 2022184623000025
Figure 2022184623000026
Figure 2022184623000027
Figure 2022184623000028
Figure 2022184623000029
Figure 2022184623000030
Figure 2022184623000031
Figure 2022184623000032
Figure 2022184623000033
Figure 2022184623000034
(A-3)成分は、市販品を用いることができる。用いられ得る市販の(A-3)成分の具体例としては、本州化学社製「BisE」、「BisP-TMC」;三井化学ファイン社製「BisA」、「BisF」、「BisP-M」;本州化学社製「BisP-AP」、「BisP-MIBK」、「BisP-B」、「Bis-Z」、「BisP-CP」、「o,o’-BPF」、「BisP-IOTD」、「BisP-IBTD」、「BisP-DED」、「BisP-BA」;本州化学社製「Bis-C」、「Bis26X-A」、「BisOPP-A」、「BisOTBP-A」、「BisOCHP―A」、「BisOFP-A」、「BisOC-Z」、「BisOC-FL」、「BisOC-CP」、「BisOCHP-Z」、「メチレンビスP-CR」、「TM-BPF」、「BisOC-F」、「Bis3M6B-IBTD」、「BisOC-IST」、「BisP-IST」、「BisP-PRM」、「BisP-LV」等が挙げられる。
(A-3)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A-3)成分の分子量は、好ましくは150以上、より好ましくは160以上、さらに好ましくは170以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下、さらに好ましくは500以下である。
(A-3)成分の量は、(A)成分の全体を100質量%としたとき、好ましくは6質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
(A-3)成分の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
(A-3)成分の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
(A)成分の全体を100質量%としたときの(A-1)成分の量をWa1とし、(A)成分の全体を100質量%としたときの(A-2)成分の量をWa2としたとき、Wa2/Wa1は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは1以下である。
(A)成分の全体を100質量%としたときの(A-3)成分の量をWa3としたとき、Wa3/Wa1は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは1以下である。
Wa2/Wa3は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下である。
(A)成分の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
(A)成分の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは、50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
[11.3.2.(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物]
上述した(A)成分を含む好ましい感光性樹脂組成物は、(A)成分以外に、更に(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物を含むことが好ましい。(B)分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有する化合物を、以下、(B)成分ということがある。(B)成分は、通常、(A)成分と反応して架橋構造を形成させることができる。(B)成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
アルコキシメチル基は、下記式(B-1)で表される基である。式中、「*」は結合手を表す。
Figure 2022184623000035
(式(B-1)中、R21は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。)
式(B-1)中、R21は、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基であってもよく、環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。アルキル基としては、炭素原子数1~10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1~4のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、s-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。中でも、メチル基、ブチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
21が表すアルキル基は、置換基を有していてもよい。
アルコキシメチル基は、下記式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基であることが好ましい。よって、(B)成分は、式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基を含有することが好ましく、分子中に2つ以上のアルコキシメチルアミノ基を含有することがより好ましい。式(B-1’)中、「*」は結合手を表す。
Figure 2022184623000036
式(B-1’)中、R22は、式(B-1)中のR21と同じである。Rは、水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。
(B)成分としては、例えば、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するフェノール樹脂等が挙げられる。中でも、感光性により優れる感光性樹脂組成物を得る観点から、分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂が好ましい。
分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するアミノ樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられ、メラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂としては、例えば、下記式(B-2)で表される構造単位を有するメラミン樹脂が好ましい。
Figure 2022184623000037
式(B-2)中、X21、X22、X23及びX24は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。R50は、水素原子、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基を表す。但し、R50が水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す場合は、X21、X22、X23、及びX24の少なくとも2つは、アルコキシメチル基である。
21~X24が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)で表される基と同様である。R50が水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す場合、X21~X24の少なくとも2つはアルコキシメチル基であり、X21~X24の少なくとも3つがアルコキシメチル基であることが好ましく、X21~X24の少なくとも4つがアルコキシメチル基であることがより好ましい。
50は、水素原子、アミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基を表し、置換基を有していてもよいアリール基、式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基が好ましく、式(B-1’)で表されるアルコキシメチルアミノ基がより好ましい。置換基を有していてもよいアルキル基は、式(r-a)中のR11が表すアルキル基と同様であり、置換基を有していてもよいアリール基は、式(r-a)中のR11が表すアリール基と同様である。
式(B-2)で表される構造単位を有するメラミン樹脂は、式(B-2’)で表される構造単位を有するメラミン樹脂であることが好ましい。
Figure 2022184623000038
式(B-2’)中、X25、X26、X27、X28、X29及びX30は、それぞれ独立に、水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。但し、X25、X26、X27、X28、X29及びX30の少なくとも2つは、アルコキシメチル基である。
25~X30が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)で表される基と同様である。X25~X30の少なくとも2つは、アルコキシメチル基であり、X25~X30の少なくとも3つがアルコキシメチル基であることが好ましく、X25~X30の少なくとも4つがアルコキシメチル基であることがより好ましく、X25~X30のすべてがアルコキシメチル基であることがさらに好ましい。
メラミン樹脂の具体例としては、以下のメラミン樹脂を挙げることができる。
Figure 2022184623000039
メラミン樹脂は、市販品を使用してよい。市販品としては、例えば、三和ケミカル社製の「MW-390」、「MW-100LM」、「MX-750LM」;オルネクスジャパン社製のサイメルシリーズ等が挙げられる。
メラミン樹脂は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により調製することができる。
尿素樹脂としては、例えば、下記式(B-3)で表される構造単位及び下記式(B-4)で表される構造単位のいずれかを有する尿素樹脂が好ましい。
Figure 2022184623000040
式(B-3)中、X31、X32、X33及びX34は、それぞれ独立に水素原子、又はアルコキシメチル基を表す。但し、X31、X32、X33及びX34の少なくとも2つは、アルコキシメチル基である。
式(B-4)中、X35、及びX36は、アルコキシメチル基を表す。
31~X36が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)で表される基と同様である。X31~X34の少なくとも2つは、アルコキシメチル基であり、X31~X34の少なくとも3つがアルコキシメチル基であることが好ましく、X31~X34の少なくとも4つがアルコキシメチル基であることがより好ましい。
尿素樹脂は、市販品を使用してよい。市販品としては、例えば、三和ケミカル社製の「MX-270」、「MX-279」、「MX-280」;オルネクスジャパン社製のサイメルシリーズ等が挙げられる。
尿素樹脂は、例えば、尿素とホルムアルデヒドとの重縮合により調製することができる。
分子中に少なくとも2つ以上のアルコキシメチル基を含有するフェノール樹脂としては、例えば、下記式(B-5)で表される構造単位を有するフェノール樹脂が好ましい。
Figure 2022184623000041
式(B-5)中、X39は、それぞれ独立にアルコキシメチル基を表し、R23及びR24は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R25は、単結合又は2価の基を表す。s及びtは、それぞれ独立に1~3の整数を表し、u及びvは、それぞれ独立に0~4の整数を表す。
39が表すアルコキシメチル基は、式(B-1)で表される基と同様である。R23及びR24が表す置換基を有していてもよいアルキル基は、式(A-1)中のXが表す置換基を有していてもよいアルキル基と同様である。
25は、単結合又は2価の基を表す。2価の基としては、2価の有機基が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素原子数が1~10のアルキレン基;エチリデン基等の炭素原子数が2~10のアルキリデン基;フェニレン基等の炭素原子数が6~30のアリーレン基;並びに、これら炭化水素基の水素原子の一部または全部をフッ素原子等のハロゲン原子で置換した基;スルホニル基;カルボニル基;エーテル結合;チオエーテル結合;アミド結合;等が挙げられる。
(B)成分の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
(B)成分の量は、感光性樹脂組成物の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
[11.3.3.(C)光酸発生剤]
上述した(A)成分を含む好ましい感光性樹脂組成物は、通常、(A)成分及び(B)成分以外に、更に(C)光酸発生剤を含む。(C)光酸発生剤は、紫外線等の活性光線の照射時に酸を発生させ、発生した酸により(A)成分と(B)成分との反応を促進してネガ型のパターンを有利に形成することができる。(C)光酸発生剤を、以下、(C)成分ということがある。(C)成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
光酸発生剤としては、活性光線の照射により酸を発生する化合物を用いることができる。光酸発生剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物、オニウム塩化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられる。中でも、ハロゲン含有化合物が好ましい。
光酸発生剤として好適に使用しうるハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等が挙げられる。ハロゲン含有化合物の好適な具体例としては、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,10-ジブロモ-n-デカン、1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2,2,2-トリクロロエタン、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-メトキシフェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、スチリル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ナフチル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のs-トリアジン誘導体等を挙げることができる。ハロゲン含有化合物は市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、三和ケミカル社製「TFE-トリアジン」、「TME-トリアジン」、「MP-トリアジン」、「MOP-トリアジン」、「ジメトキシトリアジン」(トリアジン骨格を有するハロゲン含有化合物系光酸発生剤)等が挙げられる。
光酸発生剤として好適に使用しうるオニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。オニウム塩化合物の好適な具体例としては、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4-メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロフォスホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフリオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-tert-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-tert-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフリオロメタンスルホネート等が挙げられる。オニウム塩化合物は市販品を用いることができ、市販品としては、例えば、三和ケミカル社製「TS-01」、「TS-91」;サンアプロ社製「CPI-110A」、「CPI-210S」、「HS-1」、「LW-S1」、「IK-1」、「CPI-310B」;三新化学工業社製「SI-110L」、「SI-180L」、「SI-100L」等が挙げられる。
光酸発生剤として好適に使用しうるジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3-ジケト-2-ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等が挙げられる。ジアゾケトン化合物の好適な具体例としては、フェノール類の1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル化合物等が挙げられる。
光酸発生剤として好適に使用し得るスルホン化合物としては、例えば、β-ケトスルホン化合物、β-スルホニルスルホン化合物、及びこれらの化合物のα-ジアゾ化合物等が挙げられる。スルホン化合物の好適な具体例としては、4-トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等が挙げられる。
光酸発生剤として好適に使用し得るスルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等が挙げられる。スルホン酸化合物の好適な具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o-ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o-ニトロベンジルp-トルエンスルホネート等が挙げられる。
光酸発生剤として好適に使用し得るスルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられる。
光酸発生剤として好適に使用し得るジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[2-[[(プロピルスルホニル)オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン])、ベンゼンアセトニトリル,2-メチル-α-[2-[[[(4-メチルフェニル)スルホニル]オキシ]イミノ]-3(2H)-チエニリデン等が挙げられる。ジアゾメタン化合物は市販品を用いることができる。市販品としては、例えばBASF社製の「PAG-103」、「PAG-121」等が挙げられる。
(C)光酸発生剤の量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
[11.3.4.(D)有機充填材]
上述した(A)成分を含む好ましい感光性樹脂組成物は、(A)~(C)成分以外に、さらに充填材としての(D)有機充填材を含んでいてもよい。(D)有機充填材は柔軟性を示すことから、感光性樹脂組成物の硬化物の応力を分散させることが可能となり、その結果、クラック耐性、及び絶縁性を向上させることが可能となる。(D)有機充填材を、以下、(D)成分をいうことがある。
(D)成分としては、例えば、ウレタン微粒子、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子等の粒子が挙げられる。
ウレタン微粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、根上工業社製の「MM-101SW」、「MM-101SWA」、「MM-101SM」、「MM-101SMA」、「MM-110SMA」等が挙げられる。
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体であるものが好ましい。ゴム粒子としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体粒子などが挙げられる。ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL-2655」;ガンツ化成社製の「AC3816N」、「AC3355」、「AC3816」、「AC3832」、「AC4030」、「AC3364」、「IM101」;呉羽化学社製の「パラロイドEXL2655」、「EXL2602」;カネカ社製の「B-11A」、「B513」、「B22」、「B-521」、「B-561」、「B-564」、「FM-21」、「FM-40」、「FM-50」、「M-701」、「M-711」、「M-732」、「M-300」、「FM-40」、「M-570」、「M-210」等が挙げられる。
ポリアミド微粒子としては、アミド結合を有する樹脂の50μm以下の微粒子を用いることができ、例えば、ナイロン等の脂肪族ポリアミド、ケブラー等の芳香族ポリアミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。ポリアミド微粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセルヒュルス社製の「VESTOSINT 2070」;東レ社製の「SP500」等が挙げられる。
(D)有機充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)有機充填材の平均粒径は、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.6μm以下である。(D)有機充填材の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。(D)有機充填材の平均粒径は、例えば、適当な有機溶剤に有機充填材を超音波により均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(FPAR-1000;大塚電子社製)を用いて、有機充填材の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。
(D)有機充填材の量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
[11.3.5.(E)無機充填材]
上述した(A)成分を含む好ましい感光性樹脂組成物は、(A)~(D)成分以外に、さらに充填材としての(E)無機充填材を含んでいてもよい。(E)無機充填材により、感光性樹脂組成物の硬化物の絶縁性を高めることができる。(E)無機充填材を、以下、(E)成分ということがある。
(E)無機充填材としては、通常、無機化合物の粒子を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。
(E)無機充填材の市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP-30」;新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP-30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」、「SC2050-SXF」;などが挙げられる。
(E)無機充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)無機充填材の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
(E)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出する。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(E)無機充填材の比表面積は、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET全自動比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
(E)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-503」(3-メタクリルプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、(E)無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、(E)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。(E)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、感光性樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
(E)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
(E)無機充填材の量は、感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
感光性樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、(E)無機充填材及び(D)有機充填材の合計量をβとし、(A)成分の量をαとする。この場合、β/αは、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、さらに好ましくは0.1以上であり、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下、又は1以下である。
[11.3.6.(F)その他の添加剤]
上述した(A)成分を含む好ましい感光性樹脂組成物は、上述した(A)成分~(E)成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に任意の不揮発成分として(F)その他の添加剤を含有してもよい。(F)添加剤としては、例えば、熱可塑性樹脂;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、フェノチアジン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤;エポキシ樹脂、アンチモン化合物、リン系化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤;フェノール系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤等の熱硬化樹脂等の各種添加剤が挙げられる。
[12.熱硬化性樹脂組成物]
熱硬化性樹脂組成物は、通常、熱硬化性樹脂を含む。また、熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。
[12.1.(a)熱硬化性樹脂]
(a)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等が挙げられる。(a)熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、熱硬化性樹脂組成物は、(a)熱硬化性樹脂として(a-1)エポキシ樹脂を含むことが好ましい。(a-1)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a-1)エポキシ樹脂としては、硬化物層の平均線熱膨張率を低下させる観点から、芳香族系のエポキシ樹脂が好ましい。ここで、芳香族系のエポキシ樹脂とは、その分子が芳香族骨格を含有するエポキシ樹脂をいう。また、芳香族骨格とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、ベンゼン環等の単環構造だけでなく、ナフタレン環等の多環芳香族構造及び芳香族複素環構造をも含む。中でも、(a-1)エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種類以上のエポキシ樹脂であることが好ましい。
(a-1)エポキシ樹脂としては、硬化物層の耐熱性を向上させる観点から、分子中に窒素原子を含有するエポキシ樹脂が好ましい。中でも、(a-1)エポキシ樹脂は、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。
(a-1)エポキシ樹脂としては、可撓性を有するエポキシ樹脂が好ましい。可撓性を有するエポキシ樹脂を用いることにより、硬化物層の弾性率を効果的に下げることができる。
熱硬化性樹脂組成物は、(a-1)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。架橋密度を高めて表面粗さの小さい研磨面を得る観点から、(a-1)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。熱硬化性樹脂組成物は、(a-1)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。(a-1)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いることで、樹脂組成物層の可撓性を向上させたり、硬化物層の破断強度を向上させたりできる。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族系の液状エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」、「EXA4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7984」(可撓性を有する、特殊2官能液状エポキシ樹脂);などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは1:0~1:15、より好ましくは1:0.15~1:10、特に好ましくは1:0.2~1:8である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との質量比が前記の範囲にある場合、硬化物層の破断強度を効果的に高めることができる。
(a-1)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。(a-1)エポキシ樹脂のエポキシ当量が前記の範囲にある場合、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい硬化物層を得ることができる。なお、エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量であり、JIS K7236に従って測定することができる。
(a-1)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~5000であり、より好ましくは250~3000であり、さらに好ましくは400~1500である。エポキシ樹脂等の樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
熱硬化性樹脂組成物における(a-1)エポキシ樹脂の量は、良好な機械強度及び絶縁信頼性を示す硬化物層を得る観点から、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
熱硬化性樹脂組成物における(a-1)エポキシ樹脂の量は、熱硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。
熱硬化性樹脂組成物が(a-1)エポキシ樹脂を含む場合、その熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂として(a-2)硬化剤を含みうる。(a-2)硬化剤は、通常、(a-1)エポキシ樹脂と反応して熱硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。(a-2)硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(a-2)硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して熱硬化性樹脂組成物を硬化させることができる化合物を用いることができ、例えば、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、活性エステル系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。中でも、フェノール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する硬化剤が挙げられる。中でも、ベンゼン環に結合した水酸基を有する化合物が好ましい。また、耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。さらに、密着性の観点からは、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。特に、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点からは、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;新日鉄住金化学社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-495V」、「SN-375」、「SN-395」;DIC社製の「TD-2090」、「TD-2090-60M」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」、「HPC-9500」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」;群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する活性エステル化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、及びナフタレン型活性エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物がさらに好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物が好ましい。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB-9451」、「EXB-9460」、「EXB-9460S」、「EXB-9460S-65T」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂);「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂);「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー);等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V-03」、「V-07」等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物における(a-2)硬化剤の量は、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(a-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、(a-2)硬化剤の活性基数は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下、特に好ましくは1.0以下である。ここで、「(a-1)エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、熱硬化性樹脂組成物中に存在する(a-1)エポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「(a-2)硬化剤の活性基数」とは、熱硬化性樹脂組成物中に存在する(a-2)硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。
[12.2.(b)無機充填材]
熱硬化性樹脂組成物は、更に(b)無機充填材を含みうる。(b)無機充填材を用いる場合、硬化物層の線熱膨張係数を小さくでき、また、反りを抑制することができる。(b)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(b)無機充填材としては、通常、無機化合物の粒子を用いる。無機充填材の材料の例としては、感光性樹脂組成物が含みうる(E)無機充填材の材料と同じ例が挙げられる。
(b)無機充填材の平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
(b)無機充填材の比表面積は、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、特に好ましくは1.0m/g以上であり、好ましくは60m/g以下、より好ましくは50m/g以下、特に好ましくは40m/g以下である。
(b)無機充填材は、表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理剤の種類、及び、表面処理剤による表面処理の程度は、感光性樹脂組成物が含みうる(E)無機充填材と同じでありうる。
熱硬化性樹脂組成物が(b)無機充填材を含む場合、(b)無機充填材の量は、熱硬化性樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
[12.3.(c)硬化促進剤]
熱硬化性樹脂組成物は、任意の成分として、上述した成分以外に(c)硬化促進剤を含んでいてもよい。(c)硬化促進剤を用いる場合、熱硬化性樹脂組成物を硬化させる際に硬化を促進できる。
(c)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましい。中でも、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、イミダゾール系硬化促進剤が特に好ましい。硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。中でも、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。中でも、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」;四国化成工業社製「1B2PZ」;等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。中でも、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が(c)硬化促進剤を含む場合、(c)硬化促進剤の量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、特に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。(c)硬化促進剤の量が前記範囲にある場合に、熱硬化性樹脂組成物の硬化を効果的に促進できる。
[12.4.(d)熱可塑性樹脂]
熱硬化性樹脂組成物は、任意の成分として、上述した成分以外に(d)熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。この(d)熱可塑性樹脂からは、(a)熱硬化性樹脂に該当するものは除かれる。(d)熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」、三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の他の例としては、例えば、特開2020-75977号公報に記載のものが挙げられる。
(d)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上である。上限は、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
(d)熱可塑性樹脂の量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
[12.5(e)その他の添加剤]
熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、有機充填材;顔料、染料等の着色剤;有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤;難燃剤;等の樹脂添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧(23℃1気圧)大気中で行った。
[表面抵抗値の測定方法]
以下の実施例及び比較例において、基材の表面抵抗値は、二重リング電極法によって測定した。
[製造例1.感光性樹脂組成物の製造]
(A-1)成分としての「TR4020G」(旭有機材社製)10質量部、(A-2)成分としての「MEHC-7851SS」(明和化成社製)5質量部、(A-3)成分としての「BisE」(本州化学社製)5質量部、(B)成分としてのメラミン樹脂「MW-390」三和ケミカル社製)5質量部、(C)光酸発生剤「MP-トリアジン」(三和ケミカル社製)0.05質量部、(D)有機充填材(「MM-101SM」根上工業社製)6質量部、及び、溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;純正化学社製)30質量部を混合して、樹脂組成物1を得た。後述する実施例及び比較例において、樹脂組成物1の塗布温度(常温)での粘度は0.06Pa・s、加圧温度での溶融粘度は30Pa・sであった。
[製造例2.熱硬化性樹脂組成物の製造]
ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量144、DIC社製「EXA4032SS」)6質量部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、三菱ケミカル社製「YX4000HK」)12質量部、及び、ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290、日本化薬社製「NC3000H」)9質量部を、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)100質量部に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、活性エステル硬化剤(活性基当量約223、DIC社製「EXB-9460S-65T」、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)45質量部、フェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、不揮発成分30質量%のMEK溶液)5質量部、硬化促進剤として4-ジメチルアミノピリジンの5質量%のMEK溶液5質量部、及び、フェニルアミノシラン(信越化学工業社製、「KBM573」)で表面処理した球形シリカ(アドマテックス社製「SC2500SQ」、平均粒子径0.5μm、比表面積5.8m/g、単位面積当たりのカーボン量0.39mg/m)160質量部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂組成物2を得た。後述する実施例及び比較例において、樹脂組成物1の塗布温度(常温)での粘度は0.08Pa・s、加圧温度での溶融粘度は200Pa・sであった。
[製造例3.離型剤溶液の製造]
無水フタル酸とグリセロールを180℃まで加熱して第1段階のシロップを得た。このシロップに、溶融したステアリン酸を添加して、遊離水酸基をエステル化した。加熱を180℃から220℃まで続け、酸価10(KOHmg/g)になるまで反応させて、ステアリン酸変性アルキド樹脂を得た。ステアリン酸変性アルキド樹脂8部、メチル化メラミン樹脂(三和ケミカル社製「MW-390」)2部、p-トルエンスルホン酸0.1部をトルエン90部に溶解させて、固形分10質量%の離型剤塗布液を得た。
[実施例1]
(1-1.平面体の製造)
基材として、1.00×1016Ω/sq.の表面抵抗値を有する38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。このポリエチレンテレフタレートフィルムの軟化点は200℃、後述する加圧温度での弾性率は2000MPaであった。このポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、製造例3で得られた離型剤塗布液を塗布し、120℃で乾燥及び硬化することにより、平面体としての離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1を得た。この平面体は、ポリエチレンテレフタレートフィルム及び離型層を備え、離型層側の面の算術平均粗さRaは5nm、離型層側の面のロックウェル硬度は125HRRであった。
(1-2.パッケージ試料の製造)
高さ10μm、L/S=10μm/10μmの配線を形成された面を有するシリコンウエハを準備した。このシリコンウエハの配線が形成された前記面上に、製造例1で製造した感光性樹脂組成物としての樹脂組成物1をスピンコーターによって塗布して、樹脂組成物層を形成した(工程(I))。樹脂組成物1の塗布は、前記面の配線が形成されていない部分(平坦部)における樹脂組成物1の厚みが10μmとなる条件で行った。
その後、100℃で180秒間、ホットプレートを用いてプリベークを行って、樹脂組成物層に含まれる溶剤を除去した(工程(II))。
次に、樹脂組成物層上に前記の平面体を、離型層側の面を樹脂組成物層に向けて配置した(工程(III))。そして、真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「CVP-600」)を用いて、平面体によって樹脂組成物層を加圧した(工程(IV))。具体的には、前記の真空ラミネータが、高平滑SUS板による平坦化プレスが可能な平坦化ステージを備えていたので、その平坦化ステージにシリコンウエハを供給し、高平滑SUS板によって平面体を押圧して、前記の加圧を行った。前記の加圧の条件は、加圧圧力5.5kgf/cm、加圧温度100℃、加圧時間60秒であった。その後、常温まで冷却し、平面体を剥離した(工程(V))。
次に、シリコンウエハ上の樹脂組成物層に、石英ガラス製のマスクを介して、500mJ/cmの紫外線を照射した。次いで、100℃で180秒間ホットプレートでベークを行った。その後、現像液として2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて現像し、水でリンスした。次いで、昇温プログラム式キュア炉を用いて、窒素雰囲気下、170℃で1時間加熱処理を施すことにより、樹脂組成物層を硬化して、シリコンウエハ上に硬化物層を形成した(工程(VI))。
以上の操作により、配線が形成された面を有するシリコンウエハと、このシリコンウエハの前記面上に感光性樹脂組成物の硬化物によって形成された硬化物層と、を備えるパッケージ試料を得た。
得られたパッケージ試料を光学顕微鏡で観察し、長辺が1mm以上の異物の個数を数えた結果、1個であった。
また、パッケージ試料を劈開し、断面を観察した。硬化物層の表面(シリコンウエハとは反対側の表面)の高さが相対的に高い部分が凸部であり、この凸部ではパッケージ試料の厚みが大きかった。また、硬化物層の表面(シリコンウエハとは反対側の表面)の高さが相対的に低い部分が凹部であり、この凹部ではパッケージ試料の厚みが小さかった。そこで、硬化物層が形成された部分のうち、パッケージ試料の厚みが最も大きい凸部と最も小さい凹部との間でパッケージ試料の厚みの差を測定し、この差を平坦性の評価指標として採用した。測定の結果、平坦性は0.3μmであった。
[実施例2]
平面体の製造に用いるポリエチレンテレフタレートフィルムを、1.00×10Ω/sq.の表面抵抗値を有する38μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに変更したこと以外は、実施例1と同じ方法により、平面体としての離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム2を製造した。実施例2で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの軟化点は200℃、加圧温度での弾性率は2000MPaであった。また、この平面体の離型層側の面の算術平均粗さRaは5nm、離型層側の面のロックウェル硬度は125HRRであった。
この離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム2を離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに平面体として用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[実施例3]
基材として、表面の算術平均粗さRaが3nmのSUS基板を用意した。このSUS基板に、製造例3で得られた離型剤塗布液を塗布し、120℃で乾燥及び硬化することにより、平面体としての離型処理SUS基板を得た。この平面体は、SUS基板及び離型層を備え、離型層側の面の算術平均粗さRaは5nm、離型層側の面のロックウェル硬度は90HRBであった。
この離型処理SUS基板3を離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに平面体として用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[実施例4]
基材として、表面の算術平均粗さRaが1nmのシリコン基板(電子部品を備えないシリコンウエハ)を用意した。このシリコン基板に、製造例3で得られた離型剤塗布液を塗布し、120℃で乾燥及び硬化することにより、平面体としての離型処理シリコン基板を得た。この平面体は、円形の平面形状を有するシリコン基板及び離型層を備え、離型層側の面の算術平均粗さRaは5nmであった。
この離型処理シリコン基板を離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに平面体として用いたこと以外は、実施例1と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[比較例1]
樹脂組成物層上への平面体の配置(工程(III))、平面体による樹脂組成物層の加圧(工程(IV))、及び、平面体の剥離(工程(V))を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[比較例2]
1.00×1016Ω/sq.の表面抵抗値を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に粘着剤が塗布された粘着剤処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを、平面体としての離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに用いたこと以外は、実施例1と同じ方法によりパッケージ試料の製造を試みた。しかし、工程(V)において粘着剤処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離する工程において、シリコンウエハと樹脂組成物層との界面で剥離が生じた。剥離のための応力がウエハの端に集中したため、粘着剤処理ポリエチレンテレフタレートフィルムの高い粘着力により、樹脂組成物層がウエハから剥がれたと考えられる。
[実施例5]
配線として、高さ50μm、直径50μmの銅ポストが100μm間隔で形成された面を有するシリコンウエハを準備した。このシリコンウエハの配線が形成された前記面上に、製造例2で製造した熱硬化性樹脂組成物としての樹脂組成物2をスピンコーターによって塗布して、樹脂組成物層を形成した(工程(I))。樹脂組成物2の塗布は、前記面の銅ポストが形成されていない部分(平坦部)における熱硬化性樹脂組成物の厚みが70μmとなる条件で行った。
その後、110℃で180秒間、ホットプレートを用いてプリベークを行って、樹脂組成物層に含まれる溶剤を除去した(工程(II))。
次に、樹脂組成物層上に、実施例1で製造した平面体としての離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1を、離型層側の面を樹脂組成物層に向けて配置した(工程(III))。そして、真空ラミネータ(ニッコー・マテリアルズ社製「CVP-600」)を用いて、平面体によって樹脂組成物層を加圧した(工程(IV))。具体的には、平坦化ステージにシリコンウエハを供給し、高平滑SUS板によって平面体を押圧して、前記の加圧を行った。前記の加圧の条件は、加圧圧力5.5kgf/cm、加圧温度100℃、加圧時間60秒とした。その後、常温まで冷却し、平面体を剥離した(工程(V))。
次に、空気中で、170℃で1時間加熱処理することにより、樹脂組成物層を硬化して、シリコンウエハ上に硬化物層を形成した(工程(VI))。
以上の操作により、銅ポストが形成された面を有するシリコンウエハと、このシリコンウエハの前記面上に熱硬化性樹脂組成物の硬化物によって形成された硬化物層と、を備えるパッケージ試料を得た。
得られたパッケージ試料を光学顕微鏡で観察し、長辺が1mm以上の異物の個数を数えた結果、1個であった。
また、パッケージ試料を劈開し、断面を観察した。パッケージ試料の厚みが最も大きい凸部と最も小さい凹部との間の厚みの差を測定し、この差を平坦性の評価指標として採用した。測定の結果、平坦性は0.7μmであった。
[実施例6]
実施例1で製造した離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに、実施例2で製造した離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム2を平面体として用いたこと以外は、実施例5と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[実施例7]
実施例1で製造した離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに、実施例3で製造した離型処理SUS基板を平面体として用いたこと以外は、実施例5と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[実施例8]
実施例1で製造した離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに、実施例4で製造した離型処理シリコン基板を平面体として用いたこと以外は、実施例5と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[比較例3]
樹脂組成物層上への平面体の配置(工程(III))、平面体による樹脂組成物層の加圧(工程(IV))、及び、平面体の剥離(工程(V))を行わなかったこと以外は、実施例5と同じ方法により、パッケージ試料の製造及び評価を行った。
[比較例4]
1.00×1016Ω/sq.の表面抵抗値を有するポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に粘着剤が塗布された粘着剤処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを、平面体としての離型処理ポリエチレンテレフタレートフィルム1の代わりに用いたこと以外は、実施例5と同じ方法によりパッケージ試料の製造を試みた。しかし、工程(V)において粘着剤処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離する工程において、シリコンウエハと樹脂組成物層との界面で剥離が生じた。
[結果]
実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び2に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
「組成物1」:感光性樹脂組成物としての樹脂組成物1。
「組成物2」:熱硬化性樹脂組成物としての樹脂組成物2。
「表面抵抗値」:平面体の、離型層とは反対側の面の表面抵抗値。
「弾性率」:加圧温度における平面体の基材の弾性率。
「Ra」:平面体の離型層側の面の算術平均粗さ。
剥離性の欄で「良」:平面体を円滑に剥離できたので、樹脂組成物層はシリコンウエハ上に残ることができた。
剥離性の欄で「不良」:平面体と一緒に樹脂組成物層が剥離された。
Figure 2022184623000042
Figure 2022184623000043
10 ウエハ
10U ウエハの面
10D ウエハの面
11 半導体基板
11U 半導体基板の面
12 配線
13U 凸部
14U 凹部
20 樹脂組成物層
20U 樹脂組成物層の表面
30 積層体
40 平面体
40D 平面体の面
40U 平面体の面
41 基材
42 離型層
50 加圧部材
50D 加圧部材の平面
60 ウエハレベルパッケージ
61 硬化物層
61U 硬化物層の表面

Claims (10)

  1. 円板状の半導体基板及び前記半導体基板の面に形成された配線を備えるウエハの、前記配線が設けられた面上に、溶剤を含む樹脂組成物を塗布して、樹脂組成物層を形成する工程(I)と、
    前記樹脂組成物層に含まれる前記溶剤の少なくとも一部を除去する工程(II)と、
    基材及び前記基材上に形成された離型層を備える平面体を、前記離型層側の面を前記樹脂組成物層に向けて配置する工程(III)と、
    前記平面体によって前記樹脂組成物層を加圧する工程(IV)と、
    前記平面体を剥離する工程(V)と、
    前記樹脂組成物層を硬化させる工程(VI)と、
    を含む、ウエハレベルパッケージの製造方法。
  2. 前記樹脂組成物が、感光性樹脂組成物である、請求項1に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  3. 前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂組成物である、請求項1に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  4. 前記ウエハが、シリコンウエハ及び疑似ウエハからなる群より選ばれる1種類以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  5. 前記平面体の前記基材が、プラスチックフィルム、金属板及びシリコン基板からなる群より選ばれる1種類以上を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  6. 前記平面体の前記基材が、前記プラスチックフィルムを備え、
    前記離型層とは反対側の前記平面体の面の表面抵抗値が、1.0×10Ω/sq.以上、1.0×1015Ω/sq.以下である、請求項5に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  7. 前記平面体の前記基材が、90℃以上の軟化点を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  8. 前記樹脂組成物の塗布が、スピンコート法にて行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  9. 前記平面体の前記離型層側の面の算術平均粗さRaが、0.1nm以上100nm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
  10. 前記平面体の前記基材の弾性率が、工程(IV)の加圧温度において、100MPa以上500000MPa以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のウエハレベルパッケージの製造方法。
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