JP2008163411A - 金属薄膜形成方法及び電子部品 - Google Patents

金属薄膜形成方法及び電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁層上に金属薄膜を高い強度で密着させることができる金属薄膜形成方法及び電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の金属薄膜形成方法は、〔i〕架橋微粒子(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル/ヒドロキシブチルメタクリレート/メタクリル酸/ジビニルベンゼンからなる共重合物等)及び樹脂(例えば、m−クレゾール/p−クレゾールからなるクレゾールノボラック樹脂等のアルカリ可溶性樹脂)を含有する絶縁樹脂組成物により形成されている、架橋微粒子を含有する絶縁層の表面を、プラズマ処理する工程と、〔ii〕表面が粗化された絶縁層上に、金属薄膜を形成する工程とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属薄膜形成方法及び電子部品に関する。更に詳しくは、本発明は、絶縁層上に金属薄膜を高い強度で密着させることができる金属薄膜形成方法及び電子部品に関する。
従来より、回路基板、センサー部品及び反射板等の電子部品分野において、樹脂組成物からなる絶縁膜等の硬化物の表面に、回路や反射膜となる金属薄膜層を形成するため、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理蒸着法等が用いられている。
しかしながら、一般的に樹脂組成物からなる硬化物と金属との密着性は低いことが知られている。特に、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのような乾式工法による物理蒸着法によって、樹脂硬化物表面に金属薄膜層を形成する場合には、電解メッキや無電解メッキのような湿式法を利用する場合に比べて、密着性を得るのがより困難とされている。そのため、樹脂硬化物に対する金属薄膜層の密着強度を高めるための方法が日々模索されており、具体的な技術としては、特許文献1及び特許文献2等の方法が知られている。
上記特許文献1は、ポリイミドから構成される絶縁膜に対して放電プラズマ処理を行い、絶縁膜表面に銅との結合作用を有する官能基を生成させることにより密着強度を向上させたものである。
また、上記特許文献2は、樹脂成形体表面を活性化させる(官能基を生成させる)だけでは十分な密着性が得られないことから、直鎖状のゴム弾性体を樹脂成形体に更に配合したことを特徴とするものである。このゴム弾性体が配合されると、ベース樹脂のみで成形されたものよりも樹脂成形体の可撓性が高められ、外部からのエネルギーが吸収されやすくなるというメカニズムにより、めっき応力や樹脂成形体の表面とその表面に設けられた金属層との間の線膨張率の差による熱応力などの、金属層を剥離させる外力が作用しても、外力による応力を緩和させることができるため、樹脂成形体の表面に対する金属層の密着性を向上させることができるものである。
特開平05−251511号公報 特開2002−283498号公報
しかしながら、微細化等が続く電子部品分野においては、これらの方法をもってしても、樹脂とその表面に形成される金属層との界面強度は十分といえず、より高い強度で樹脂と金属層とを密着させることのできる方法が求められているのが現状である。
本発明の課題は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決し、絶縁層上に金属薄膜を高い強度で密着させることができる金属薄膜形成方法及び電子部品を提供することを目的としている。
前記の目的を達成するための手段は以下のとおりである。
[1] 〔i〕(A)架橋微粒子を含有する絶縁層の表面をプラズマ処理する工程と、
〔ii〕表面が粗化された絶縁層上に金属薄膜を形成する工程と、を備えることを特徴とする金属薄膜形成方法。
[2] 上記絶縁層が、(A)架橋微粒子と、(B)樹脂と、を含有する絶縁樹脂組成物により形成されている上記[1]に記載の金属薄膜形成方法。
[3] 上記絶縁樹脂組成物が、更に、(C)感放射線性酸発生剤及び(D)架橋剤を含有する上記[2]に記載の金属薄膜形成方法。
[4] 上記(D)架橋剤が、分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物を含む上記[3]に記載の金属薄膜形成方法。
[5] 上記(D)架橋剤が、オキシラン環含有化合物を含む上記[3]又は[4]に記載の金属薄膜形成方法。
[6] 上記絶縁層が、層間絶縁膜又は平坦化膜である上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の金属薄膜形成方法。
[7] 上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の金属薄膜形成方法により得られた金属薄膜を備えることを特徴とする電子部品。
本発明の金属薄膜形成方法によれば、架橋微粒子を含有する絶縁膜から選択的に架橋微粒子を除去することにより、物理的に表面積を増大させ且つ微細な凹凸を有する粗化面を形成することができるため、絶縁膜上に高い強度で密着した金属薄膜を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[1]金属薄膜形成方法
本発明の金属薄膜形成方法は、〔i〕(A)架橋微粒子を含有する絶縁層の表面をプラズマ処理する工程(以下、「表面粗化工程」ともいう。)と、〔ii〕表面が粗化された絶縁層上に金属薄膜を形成する工程(以下、「薄膜形成工程」ともいう。)と、を備えている。
上記「表面粗化工程」では、架橋微粒子を含有する絶縁層の表面がプラズマ処理によって粗化される。
上記架橋微粒子を含有する絶縁層は、後述の架橋微粒子を備えるものであって、後述の絶縁樹脂組成物によって形成されるものである。
上記架橋微粒子の含有割合は、この架橋微粒子を含有する絶縁層を100質量%とした場合に、1〜200質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜100質量%、更に好ましくは5〜50質量%である。この含有割合が上記範囲である場合には、プラズマ処理によって、架橋微粒子を選択的に容易に除去することができ、微細な凹凸を有する粗化面を形成することができる。
また、上記絶縁層は、通常、半導体デバイス、インターポーザー、プリント配線板等の基板上に形成されているものである。
本発明において、この絶縁層は、層間絶縁膜又は平坦化膜とすることができる。
本発明におけるプラズマ処理によれば、絶縁層の表面が活性化され、含有されている架橋微粒子が分解されることによって選択的に除去され、絶縁層の表面が微細な凹凸を有する粗化面となる。
具体的には、例えば、チャンバー内に一対の電極を対向配置し、一方の電極に高周波電源を接続すると共に他方の電極を接地して形成したプラズマ処理装置を用いて上記プラズマ処理を行うことができる。絶縁層の表面をプラズマ処理するにあたっては、絶縁層を備える基板を電極間において一方の電極の上にセットし、チャンバー内を真空引きして10−4Pa程度に減圧する。その後、チャンバー内にNやO等の化学的反応が活性なガスを導入して流通させると共に、チャンバー内のガス圧を8〜15Paに制御する。次いで、高周波電源によって電極間に高周波電圧(RF:13.56MHz)を10〜100秒程度印加する。このとき、電極間の高周波グロー放電による気体放電現象によって、チャンバー内の活性ガスが励起され、陽イオンやラジカル等のプラズマが発生し、陽イオンやラジカル等がチャンバー内に形成される。そして、これらの陽イオンやラジカルが絶縁層の表面に衝突することによって、その表面が活性化され、絶縁層上に形成される金属薄膜の密着性を高めることができる。特に、陽イオンが絶縁層に誘引衝突すると、その表面に金属と結合し易い窒素極性基や酸素極性基が導入されるので、金属薄膜との密着性がより向上する。また、この際、絶縁層に含有されている架橋微粒子中のアルキル鎖や炭素−炭素二重結合部位がこのラジカル等により分解されることによって選択的に除去され、絶縁層の表面が微細な凹凸を有する粗化面となるため、密着性がより向上するものである。
尚、プラズマ処理の条件は、絶縁層を構成している成分に応じて、適宜調整することができる。
また、上記「薄膜形成工程」では、表面粗化された絶縁層上に金属薄膜が形成される。
上記金属薄膜を構成する金属としては、例えば、銅、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、モリブデン、クロム、タングステン、スズ、鉛、黄銅、NiCr等の単体或いは合金等が挙げられる。
また、上記薄膜形成工程において形成される金属薄膜の厚さは特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは20〜800nm、更に好ましくは30〜500nmである。
上記金属薄膜を絶縁層上に形成する方法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着及びイオンプレーティング等の物理蒸着法や、化学気相成長法(CVD)等の化学蒸着法を用いることができる。尚、金属薄膜を形成する工程は、上記のように絶縁層をチャンバー内でプラズマ処理した後、チャンバー内を大気開放することなく、連続したプロセスで行うことが好ましい。
上記スパッタリングとしては、例えば、DCスパッタ方式を適用することができる。具体的には、まず、チャンバー内に絶縁層が形成された基板を配置した後、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10−4Pa以下になるまで真空引きし、この状態でチャンバー内にアルゴン等の不活性ガスを0.1Paのガス圧になるように導入する。次いで、500Vの直流電圧を印加することによって、銅ターゲットをボンバードし、300〜500nm程度の膜厚の銅等の金属薄膜を絶縁層の表面に形成することができる。
また、上記真空蒸着としては、例えば、電子線加熱式真空蒸着方式を適用することができる。具体的には、まず、チャンバー内に絶縁層が形成された基板を配置した後、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10−3Pa以下になるまで真空引きを行った後、400〜800mAの電子流を発生させ、この電子流をるつぼの中の蒸着材料に衝突させて加熱すると蒸着材料が蒸発し、300nm程度の膜厚の銅等の金属薄膜を絶縁層の表面に形成することができる。
また、上記イオンプレーティングによって、具体的に金属薄膜を形成するにあたっては、まず、チャンバー内に絶縁層が形成された基板を配置した後、真空ポンプによりチャンバー内の圧力が10−4Pa以下になるまで真空引きを行い、上記の真空蒸着の条件で蒸着材料を蒸発させると共に、基板とるつぼの間にある誘導アンテナ部にアルゴン等の不活性ガスを導入し、ガス圧を0.05〜0.1Paとなるようにしてプラズマを発生させ、そして誘導アンテナに13.56MHzの高周波で500Wのパワーを印加すると共に、100〜500Vの直流電圧のバイアス電圧を印加することによって、300〜500nm程度の膜厚の銅等の金属薄膜を絶縁層の表面に形成することができる。
また、上記CVDによって、具体的に金属薄膜を形成するにあたっては、多結晶シリコン、タングステンシリサイド、二酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタン、タングステン等の金属薄膜を絶縁層の表面に形成することができる。
また、本発明においては、上記金属薄膜を形成した後、めっき用レジストにより所望の回路パターンを形成させ、次いで電解めっき等により金属層を形成し、レジストを除去、金属薄膜層をウエットエッチングで除去することにより回路を形成することができる。また、金属薄膜のみで回路を形成することによって、表面に金属薄膜が形成された絶縁層を備える基板をMID等の回路用成形基板として用いることができる。
この回路形成は、例えば、レーザー法によって行うことができる。即ち、回路形成部分と回路非形成部分との境界に沿ってレーザー光を照射し、この境界部分の金属薄膜を除去することによって、回路形成部分の金属薄膜を回路パターンとして残し、この回路パターンの金属薄膜に電解メッキを施す。次いで、ソフトエッチング処理によって、回路非形成部分に残る金属薄膜を除去すると共に、電解メッキを施した回路形成部分は残存させることによって、所望のパターン形状の回路を形成した回路板として仕上げることができる。また、この回路表面にはニッケルメッキ、金メッキ等の導電層を更に設けてもよい。
このように、本発明によって得られる絶縁層表面に形成される金属薄膜は、上記回路用基板の他にも、センサー部品や反射板等の金属薄膜を利用するあらゆる電子部品に使用することができる。
本発明の金属薄膜形成方法においては、上記のようにして絶縁層の表面に金属薄膜を形成するにあたって、絶縁層の表面はプラズマ処理によって化学的に活性化され、且つ含有されている架橋微粒子が分解されることによって選択的に除去され、微細な凹凸を有する粗化面となっているため、従来よりも、絶縁層の表面に対して金属薄膜を高い強度で密着させることができる。
[2]絶縁樹脂組成物
本発明の金属薄膜形成方法における絶縁層の形成に用いられる絶縁樹脂組成物は、通常、(A)架橋微粒子と、(B)樹脂と、を含有する。
〔2−1〕(A)架橋微粒子
本発明に用いられる架橋微粒子(以下、「架橋微粒子(A)」という。)は、重合性不飽和結合を少なくとも2個有する架橋性モノマー(以下、単に「架橋性モノマー」という。)と、この架橋性モノマー以外のモノマー(以下、「その他のモノマー」という。)との共重合体であって、上記その他のモノマーが、この共重合体のTgが−100〜100℃となるように選択される少なくとも1種のその他のモノマーであることが好ましい。更に好ましいその他のモノマーとしては、重合性不飽和結合を有しない官能基、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基等の官能基を有するモノマー等が挙げられる。
具体的な上記架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和結合を少なくとも2個有する化合物が挙げられる。これらのなかでも、ジビニルベンゼンが好ましく用いられる。
また、具体的な上記その他のモノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン等のビニル化合物類;
1,3−ペンタジエン、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミド等の不飽和アミド類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール等の芳香族ビニル化合物;
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル又はグリコールのジグリシジルエーテル等と、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等との反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート類;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、コハク酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、マレイン酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、フタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチル等の不飽和酸化合物;
ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和化合物;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和化合物が挙げられる。
これらのなかでも、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類等が好ましい。
また、上記架橋性モノマーは、架橋微粒子を製造する際に用いられる全モノマー量に対して、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の量で用いられる。
上記架橋微粒子(A)の製造方法は特に限定されず、例えば、乳化重合法を用いることができる。この乳化重合法では、界面活性剤を用いて水中に架橋性モノマーを含むモノマー類を乳化し、重合開始剤として、過酸化物触媒、レドックス系触媒等のラジカル重合開始剤を添加し、必要に応じて、メルカプタン系化合物、ハロゲン化炭化水素等の分子量調節剤を添加する。次いで、0〜50℃で重合を行い、所定の重合転化率に達した後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等の反応停止剤を添加して重合反応を停止させる。その後、重合系の未反応モノマーを水蒸気蒸留等で除去することによって架橋微粒子(A)を合成することができる。
上記界面活性剤は、架橋微粒子(A)を乳化重合で製造することができるものであれば特に限定されないが、例えば、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等のノニオン系界面活性剤;両性の界面活性剤;反応性乳化剤が挙げられる。
尚、これらの界面活性剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記乳化重合で得られた架橋微粒子(A)を含むラテックスを、塩析等の方法により凝固させ、水洗、乾燥することにより固体の架橋微粒子(A)を得ることもできる。架橋微粒子(A)は、塩析により凝固させる以外に、界面活性剤としてノニオン系界面活性剤を用いた場合には、ラテックスをノニオン系界面活性剤の曇点以上に加熱して凝固することもできる。ノニオン系界面活性剤以外の界面活性剤を用いて重合した場合においても、重合後にノニオン系界面活性剤を添加し、ラテックスを曇点以上に加熱することにより、架橋微粒子(A)を凝固することもできる。
また、架橋性モノマーを用いずに、架橋微粒子を製造する方法として、過酸化物等の架橋剤をラテックスに添加してラテックス粒子を架橋する方法や、重合転化率を上げることによってラテックス粒子中でゲル化を行う方法、カルボキシ基等の官能基を利用して金属塩等の架橋剤を添加することによってラテックス粒子内で架橋させる方法等が挙げられる。
上記架橋微粒子(A)の平均粒子径は、30〜500nmであることが好ましく、より好ましくは40〜300nm、更に好ましくは45〜200nmである。架橋微粒子(A)の粒子径が上記範囲にあると分散性に優れるだけでなく、高解像性等の感光特性や得られる絶縁層の機械的特性等を損なわない点で、好ましい。尚、この平均粒子径は、光散乱粒度分布測定装置(大塚電子製、型番「LPA−3000」)を用い、架橋微粒子の分散液を常法に従って希釈した際の測定値である。
この架橋微粒子の粒径の制御方法においては特に限定されず、例えば、乳化重合により架橋微粒子を合成する場合、使用する乳化剤の量により、乳化重合中のミセルの数を制御することによって粒径をコントロールすることができる。
〔2−2〕(B)樹脂
本発明における樹脂(以下、「樹脂(B)」ともいう。)としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、アルカリ可溶性樹脂、ポリイミドが好ましく、アルカリ可溶性樹脂が高解像性などの感光特性等の点で特に好ましい。
尚、これらの樹脂(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂(以下、「フェノール樹脂」ともいう。)、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、フェノール樹脂が好ましく用いられる。
上記フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレンの共重合体、フェノール−キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール−キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン縮合樹脂等が用いられる。これらのなかでも、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンの共重合体が好ましく、特にビニル安息香酸/スチレンからなる共重合体、p−ヒドロキシスチレン/スチレンからなる共重合体、ポリヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン/スチレン/(メタ)アクリル酸エステルからなる共重合体、m−クレゾール/p−クレゾールからなるクレゾールノボラック樹脂等が好適に用いられる。
上記ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。
また、上記アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
具体的なノボラック樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール−ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂等が挙げられる。
また、上記カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有する単量体、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、イタコン酸等をその他の単量体とラジカル重合等常法に従い合成することにより得ることができる。
尚、これらのアルカリ可溶性樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、上記アルカリ可溶性樹脂には、成分の一部としてフェノール性低分子化合物が含有されていてもよい。
上記フェノール性低分子化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
尚、これらのフェノール性低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
このフェノール性低分子化合物のアルカリ可溶性樹脂中における含有割合は、アルカリ可溶性樹脂を100質量%とした場合、40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%である。
また、本発明における上記樹脂(B)の重量平均分子量は、得られる絶縁層の解像性、熱衝撃性、耐熱性、伸び等の観点から、2000以上であることが好ましく、より好ましくは2000〜50000程度である。
また、絶縁樹脂組成物中における樹脂(B)の含有割合は、溶剤を除いた固形分全体を100質量%とした場合に、20〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜80質量%である。この樹脂(B)の含有割合が20〜90質量%である場合には、絶縁樹脂組成物を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有し、且つ硬化膜としての特性に優れているため好ましい。
〔2−3〕(C)酸発生剤
また、上記絶縁樹脂組成物には、ネガ型、ポジ型に応じた酸発生剤(以下、「酸発生剤(C)」という。)を含有させることができる。
ネガ型の絶縁樹脂組成物に配合される酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等を挙げることができる。
上記オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。具体的には、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフリオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート等を挙げることができる。
上記ハロゲン含有化合物としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物等を挙げることができる。具体的には、例えば、1,10−ジブロモ−n−デカン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(ピペロニル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のs−トリアジン誘導体を挙げることができる。
上記ジアゾケトン化合物としては、例えば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物等を挙げることができる。具体的には、例えば、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化合物等が挙げられる。
上記スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物及びこれらの化合物のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。具体的には、例えば、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェナシルスルホニル)メタン等を挙げることができる。
上記スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル類、ハロアルキルスルホン酸エステル類、アリールスルホン酸エステル類、イミノスルホネート類等を挙げることができる。具体的には、例えば、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホネート等を挙げることができる。
上記スルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
上記ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
尚、これらのネガ型の絶縁樹脂組成物に配合される酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、ポジ型の絶縁樹脂組成物に配合される酸発生剤としては、例えば、キノンジアジド基を有する化合物等を挙げることができる。
上記キノンジアジド基を有する化合物(以下、「キノンジアジド化合物」という。)とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル化合物である。
上記フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物としては特に限定されないが、下記に示す構造の化合物が好ましい。
Figure 2008163411
〔一般式(1)において、X〜X10は、それぞれ相互に同一又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシル基である。尚、X〜Xのうちの少なくとも1つはヒドロキシル基である。また、Aは単結合、O、S、CH、C(CH、C(CF、C=O、又はSOである。〕
Figure 2008163411
〔一般式(2)において、X11〜X24は、それぞれ相互に同一又は異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシル基である。尚、X11〜X15のうちの少なくとも1つはヒドロキシル基である。また、R〜Rは、それぞれ相互に同一又は異なってもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。〕
Figure 2008163411
〔一般式(3)において、X25〜X39は、それぞれ相互に同一又は異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシル基である。尚、X25〜X29のうちの少なくとも1つ及びX30〜X34のうちの少なくとも1つはヒドロキシル基である。また、Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。〕
Figure 2008163411
〔一般式(4)において、X40〜X58は、それぞれ相互に同一又は異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシル基である。尚、X40〜X44のうちの少なくとも1つ、X45〜X49のうちの少なくとも1つ及びX50〜X54のうちの少なくとも1つはヒドロキシル基である。また、R〜Rは、それぞれ相互に同一又は異なってもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。〕
Figure 2008163411
〔一般式(5)において、X59〜X72は、それぞれ相互に同一又は異なってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はヒドロキシル基である。尚、X59〜X62のうちの少なくとも1つ及びX63〜X67のうちの少なくとも1つはヒドロキシル基である。〕
また、具体的なキノンジアジド化合物としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,4−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル]エタン等と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸とのエステル化合物等が挙げられる。
尚、これらのポジ型の絶縁樹脂組成物に配合される酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
ネガ型の絶縁樹脂組成物に配合される酸発生剤(C)の配合量は、絶縁樹脂組成物の残膜率、感度、解像度、パターン形状等を確保する観点から、前記樹脂(B)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3〜8質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。この配合量が0.1〜10質量部である場合、放射線に対して高い透明性を有し、露光により硬化反応の進行に十分な量の酸が発生することで、高残膜率で良好なパターン形状を得ることができるため好ましい。
また、ポジ型の絶縁樹脂組成物に配合される酸発生剤(C)の配合量は、絶縁樹脂組成物の残膜率、感度、解像度、パターン形状等を確保する観点から、前記樹脂(B)100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜30質量部である。この配合量が10〜50質量部である場合、未露光部の残膜率を低下させることなく、マスクパターンに忠実な像を得ることができる。更には、パターン形状を劣化させることなく、硬化時の発泡を抑制することができる。
〔2−4〕(D)架橋剤
また、上記絶縁樹脂組成物には、架橋剤(以下、「架橋剤(D)」という。)を含有させることができる。
上記架橋剤(D)は、上述の樹脂(B)と反応する架橋成分(硬化成分)として作用するものであれば、特に限定されない。この架橋剤(D)としては、例えば、分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物、オキシラン環含有化合物、チイラン環含有化合物、オキセタニル基含有化合物、イソシアネート基含有化合物(ブロック化されたものを含む)、アルデヒド基を有するフェノール化合物、メチロール基を有するフェノール化合物等を挙げることができる。尚、これらの架橋剤(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの架橋剤(D)のなかでも、分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物、オキシラン環含有化合物等が好ましい。更には、分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物及びオキシラン環含有化合物を併用することがより好ましい。
上記分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物としては、例えば、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CHOH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物を挙げることができる。ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。
上記オキシラン環含有化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでもフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が好適に用いられる。
上記架橋剤(D)の配合量は、前記樹脂(B)100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量部である。この架橋剤(D)の配合量が1〜100質量部である場合には、硬化反応が十分に進行し、得られる硬化物は高解像度で良好なパターン形状を有し、耐熱性、電気絶縁性に優れるため好ましい。
また、分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物及びオキシラン環含有化合物を併用する際、オキシラン環含有化合物の含有割合は、アルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物及びオキシラン環含有化合物の合計を100質量%とした場合に、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。この場合、得られる硬化膜は、高解像性を損なうことなく耐薬品性にも優れるため好ましい。
〔2−5〕(E)密着助剤
また、上記絶縁樹脂組成物には、基材との密着性を向上させるために、密着助剤を含有させることができる。
上記密着助剤としては、例えば、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性置換基を有する官能性シランカップリング剤等が挙げられる。
具体的には、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、1,3,5−N−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
尚、これらの密着助剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記密着助剤の配合量は、前記樹脂(B)100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量部である。この密着助剤の配合量が0.5〜10質量部である場合には、保存安定性に優れ、且つ基材との良好な密着性を発現するため好ましい。
〔2−6〕(F)溶剤
また、上記絶縁樹脂組成物には、樹脂組成物の取り扱い性を向上させたり、粘度や保存安定性を調節したりするために溶剤を含有させることができる。
上記溶剤は、特に制限されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、ブチルカルビトール等のカルビトール類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類を挙げることができる。
尚、これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
〔2−7〕(G)他の添加剤
また、上記絶縁樹脂組成物には、必要に応じて他の添加剤を本発明の特性を損なわない程度に含有させることができる。このような他の添加剤としては、増感剤、レベリング剤、フィラー、難燃剤、クエンチャー等が挙げられる。
〔2−8〕樹脂組成物の調製方法
上記絶縁樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、公知の方法により調製することができる。また、各成分を中に入れ完全に栓をしたサンプル瓶を、ウェーブローターの上で攪拌することによっても調製することができる。
[3]絶縁層(硬化物)
本発明の金属薄膜形成方法における絶縁層は、上述の絶縁樹脂組成物を硬化させて形成することができる。
前記絶縁樹脂組成物は、解像性、密着性、熱衝撃性、電気絶縁性、パターニング性能、及び伸び等の諸特性に優れているため、その硬化物は、回路基板(半導体素子)、半導体パッケージ等の電子部品に用いられる絶縁層(好ましくは、表面保護膜、平坦化膜、層間絶縁膜、応力緩和層、高密度実装基板用絶縁膜材料等、特に好ましくは、層間絶縁膜、平坦化膜)として好適に使用される。
上記絶縁層を形成するには、まず、絶縁樹脂組成物を支持体(半導体デバイス、インターポーザー、プリント配線板等の基板等)に塗工し、乾燥して溶剤等を揮発させて塗膜を形成する。その後、所望のマスクパターンを介して露光し、次いで、アルカリ性現像液により現像して、露光部を溶解、除去することにより所望のパターンを得ることができる。更に、絶縁膜特性を発現させるために加熱処理を行うことにより、硬化膜を得ることができる。
樹脂組成物を支持体に塗工する方法としては、例えば、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法等の塗布方法を用いることができる。また、塗布膜の厚さは、塗布手段、組成物溶液の固形分濃度や粘度を調節することにより、適宜制御することができる。
露光に用いられる放射線としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線ステッパー、i線ステッパー等の紫外線、電子線、レーザー光線等が挙げられる。また、露光量としては使用する光源や樹脂膜厚等によって適宜選定されるが、例えば、高圧水銀灯からの紫外線照射の場合、樹脂膜厚5〜50μmでは、1000〜20000J/m程度である。
露光後、アルカリ性現像液により現像して、露光部を溶解、除去することによって所望のパターンを形成する。この場合の現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、パドル現像法等を挙げることができる。現像条件としては通常、20〜40℃で1〜10分程度である。
前記アルカリ性現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等のアルカリ性化合物を濃度が1〜10質量%程度になるように水に溶解したアルカリ性水溶液を挙げることができる。また、前記アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性の有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。尚、アルカリ性現像液で現像した後は、水で洗浄し、乾燥する。
更に、現像後に絶縁膜としての特性を十分に発現させるために、加熱処理を行うことによって硬化させることができる。このような硬化条件は特に制限されるものではないが、硬化物の用途に応じて、100〜250℃の温度で、30分〜10時間程度加熱し、組成物を硬化させることができる。また、硬化を十分に進行させたり、得られたパターン形状の変形を防止したりするために二段階で加熱することもでき、例えば、第一段階では、50〜100℃の温度で、10分〜2時間程度加熱し、更に100〜250℃の温度で、20分〜8時間程度加熱して硬化させることもできる。このような硬化条件であれば、加熱設備として一般的なオーブンや、赤外線炉等を使用することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
[1]感光性絶縁樹脂組成物の調製
<樹脂組成物1>
表1に示すとおり、[A]架橋微粒子(A−1)5質量部、[B]樹脂(B−1)100質量部、[C]感放射線性酸発生剤(C−1)1.0質量部、[D]架橋剤(D−2)15質量部及び[E]密着助剤(E−1)2.5質量部を、[F]溶剤(F−1)145質量部に溶解することにより感光性絶縁樹脂組成物(樹脂組成物1)を調製した。
<樹脂組成物2〜5>
樹脂組成物1と同様にして、表1に示すとおり、[A]架橋微粒子、[B]樹脂、[C]感放射線性酸発生剤、[D]架橋剤及び[E]密着助剤を、[F]溶剤に溶解することにより各感光性絶縁樹脂組成物(樹脂組成物2〜5)を調製した。
Figure 2008163411
尚、表1に記載の組成は、以下のとおりである。
<[A]架橋微粒子>
A−1:ブタジエン/アクリロニトリル/ヒドロキシブチルメタクリレート/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=64/20/8/6/2(質量%)からなる共重合物、平均粒径=65nm、Tg=−38℃
A−2:ブタジエン/スチレン/ヒドロキシブチルメタクリレート/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=48/20/24/6/2(質量%)からなる共重合物、平均粒径=65nm、Tg=−9℃
A−3:ブタジエン/スチレン/ヒドロキシブチルメタクリレート/メタクリル酸/ジビニルベンゼン=49/20/24/6/1(質量%)からなる共重合物、平均粒径=90nm、Tg=−12℃
<[B]樹脂>
B−1:m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比)からなるクレゾールノボラック樹脂、Mw=6,500
B−2:p−ヒドロキシスチレン/スチレン=80/20(モル比)からなる共重合体、Mw=10,000
B−3:可溶性ポリイミド(20%NMP溶液)〔新日本理化製、商品名「リカコートPN−20」〕
<[C]感放射線性酸発生剤>
C−1:2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン
C−2:4,4’−[1−〔4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル〕エチリデン]ビスフェノールと、6−ジアゾ−5,6−ジヒドロ−5−オキソナフタレン−1−スルホン酸と、のエステル化合物
<[D]架橋剤>
D−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート828」〕
D−2:ヘキサメトキシメチルメラミン〔(株)三和ケミカル製、商品名「ニカラックMW−390」〕
<[E]密着助剤>
E−1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
E−2:トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアネート
<[F]溶剤>
F−1:乳酸エチル
F−2:N−メチルピロリドン
[2]絶縁層の形成
上記[1]で調製した樹脂組成物を、6インチのシリコンウエハーにスピンコートし、ホットプレートを用いて110℃で3分間加熱し、10μm厚の均一な塗膜を作製した。その後、窒素雰囲気下250℃で1時間加熱を行い、硬化膜(絶縁層)を得た。
[3]金属薄膜の形成
〔3−1〕表面粗化工程
上記[2]で得られた絶縁層の表面を、エッチング装置(神鋼精機社製、「EXAM」)を使用して、15℃で表2に記載の条件によりプラズマ処理による表面粗化を行った。
〔3−2〕金属薄膜の形成
(1)<スパッタリング工程>
スパッタリング装置(アルバック社製)を使用して、真空槽を真空度5×10−4torr以下まで真空引きし、アルゴンガスを8×10−1torr、酸素ガスを4×10−3Pa導入し、チタンターゲットに直流電圧を印加してプラズマ放電させて、絶縁層表面にチタン層を50nm製膜させた。次いで、アルゴンガスのみを8×10−1torr導入し、銅ターゲットに直流電圧を印加することによってプラズマ放電させ、銅層を150nm製膜させた。
(2)<銅メッキ工程>
金属薄膜(チタン及び銅)が形成された絶縁層を有する基板を陰極、含りん銅板を陽極とし、硫酸銅めっき液を用いて、厚み20ミクロンになるまで、めっき処理を行った。その後、水洗し、余分な水分を除去して、熱風オーブン内において、150℃×30分の条件で加熱し、アニール処理を施した。尚、めっき処理条件は、温度;室温(15〜25℃)、処理時間;10〜40分、電流密度;2.0A/dm(基板100cmあたり2Aの電流値)に設定した。
[4]性能評価
下記のようにピール強度を測定することにより、性能を評価した。その結果を表2に併記する。
<ピール強度>
樹脂面(絶縁層表面)と金属薄膜の密着性を確認するため、90度ピール試験を実施した。上述のように作製した基板の銅めっき処理面に、カッターを用いて1cm幅の切れ目を入れ、金属薄膜を端部から引き剥がした際のピール強度を測定した。
尚、この試験は、JIS C6481(プリント配線板用銅張積層板試験方法)に準拠した密着性試験器(山本鍍金試験器製)を用いて行った。
Figure 2008163411
[3]実施例の効果
表2から明らかなように、本実施例1〜5によれば、絶縁膜上に高い強度で密着した金属薄膜を形成することができた。

Claims (7)

  1. 〔i〕(A)架橋微粒子を含有する絶縁層の表面をプラズマ処理する工程と、
    〔ii〕表面が粗化された絶縁層上に金属薄膜を形成する工程と、を備えることを特徴とする金属薄膜形成方法。
  2. 上記絶縁層が、(A)架橋微粒子と、(B)樹脂と、を含有する絶縁樹脂組成物により形成されている請求項1に記載の金属薄膜形成方法。
  3. 上記絶縁樹脂組成物が、更に、(C)感放射線性酸発生剤及び(D)架橋剤を含有する請求項2に記載の金属薄膜形成方法。
  4. 上記(D)架橋剤が、分子中に2つ以上のアルキルエーテル化されたアミノ基を有する化合物を含む請求項3に記載の金属薄膜形成方法。
  5. 上記(D)架橋剤が、オキシラン環含有化合物を含む請求項3又は4に記載の金属薄膜形成方法。
  6. 上記絶縁層が、層間絶縁膜又は平坦化膜である請求項1乃至5のいずれかに記載の金属薄膜形成方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の金属薄膜形成方法により得られた金属薄膜を備えることを特徴とする電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008181976A (ja) * 2007-01-23 2008-08-07 Fujitsu Ltd 回路基板およびその製造方法
WO2012108264A1 (ja) * 2011-02-10 2012-08-16 Jx日鉱日石金属株式会社 2層銅張積層材及びその製造方法

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