JPH06313134A - 水性感光性組成物及びパターンの製造方法 - Google Patents

水性感光性組成物及びパターンの製造方法

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JPH06313134A
JPH06313134A JP5125499A JP12549993A JPH06313134A JP H06313134 A JPH06313134 A JP H06313134A JP 5125499 A JP5125499 A JP 5125499A JP 12549993 A JP12549993 A JP 12549993A JP H06313134 A JPH06313134 A JP H06313134A
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JP5125499A
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Genji Imai
玄児 今井
Naozumi Iwazawa
直純 岩沢
Tsugio Yamaoka
亜夫 山岡
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高解像度で、微細画像パターン形成能に優れ
たポジ型電着フォトレジスト等に有用な水性感光性組成
物及びそれを用いたパターンの製造方法を提供する。 【構成】 A)カルボキシル基を重合体1kgあたり0.
5〜10当量含有する重合体を100重量部、B)一分
子中に少なくとも2個以上のビニルエーテル基を含有す
る化合物を5〜150重量部、及びC)活性エネルギー
線照射により酸を発生する化合物をA)とB)との合計
量100重量部に対して0.1〜40重量部を必須成分
として含む組成物を塩基性化合物で中和し、水中に溶解
又は分散した事を特徴とする水性感光性組成物及びそれ
を用いたパターンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性感光性組成物及びそ
れを用いたパターンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線基板の回路パターンの高密
度化、スルーホールの小径化に伴い回路パターンの解像
度の向上、スルーホール形成の信頼性の向上が望まれて
いる。この目的のために、ポジ型電着フォトレジストが
注目されている。
【0003】現在、ポジ型電着フォトレジスト組成物
は、中和することにより水に溶解又は分散する樹脂と、
感光剤としてキノンジアジド化合物を組み合わせた組成
物を中和し、水に溶解し又は分散したものや、上記した
樹脂にキノンジアジド化合物を化学的に結合した樹脂を
同様にして水に溶解又は分散したものが提案されてい
る。
【0004】この組成物は紫外線の照射によりナフトキ
ノンジアジド基が光分解しケテンを経由してインデンカ
ルボン酸を形成する反応を利用している。
【0005】しかし、このキノンジアジド型の物は感光
性が低く露光時間が長くなり作業効率が悪い。また、キ
ノンジアジド基は水系中では安定性が悪く、電着塗装法
のように浴中に入れられた組成物の長期安定性が要求さ
れる用途には問題がある。
【0006】又、現像の原理は露光部と未露光部に生じ
る溶解度の差を利用しているが、電着フォトレジストで
は被膜形成成分自身が本質的に現像液である塩基性の化
合物の水溶液に溶解或いは分散するため現像条件が微妙
であり、良好な再現性を得るためには厳密な現像条件の
制御が必要である。又未露光部のレジスト膜が一部溶解
ないしは膨潤する事は避けられず、形成されたパターン
のエッチング液に対する耐性が低下したり、形成される
パターンの精度が低下しやすい等の欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した如き従来のキノンジアジド化合物を感光剤としたポ
ジ型電着フォトレジストの欠点を解決した、新規な原理
に基づく水性感光性組成物、及びそれを用いたレジスト
パターンの製造法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポジ型感
光性電着組成物がもつ前述の如き欠点を克服する方法に
ついて鋭意研究した結果、今回、カルボキシル基を含む
重合体、多ビニルエーテル化合物、及び活性エネルギー
線照射により分解して酸を発生する化合物からなる電着
組成物は、それから形成された電着塗膜を加熱すると、
カルボキシル基とビニルエーテル基との付加反応により
架橋して、溶剤やアルカリ水溶液に対して不溶性とな
り、さらに活性エネルギー線を照射し且つ照射後加熱す
ると、発生した酸の触媒作用で架橋構造が切断されて照
射部分が溶剤やアルカリ水溶液に対して再び可溶性にな
るという全く新規なメカニズムで機能する感光性電着組
成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】かくして、本発明は、A)カルボキシル基
を重合体1kgあたり0.5〜10当量含有する重合体を
100重量部、B)一分子中に少なくとも2個以上のビ
ニルエーテル基を含有する化合物を5〜150重量部、
及びC)活性エネルギー線照射により酸を発生する化合
物をA)とB)との合計量100重量部に対して0.1
〜40重量部を必須成分として含む組成物を塩基性化合
物で中和し、水中に溶解又は分散したことを特徴とする
水性感光性組成物、及びそれを用いたパターンの製造方
法を提供するものである。
【0010】即ち、本発明の組成物によれば、未露光部
分は架橋構造を取ることにより現像に用いられる現像液
に対して完全に不溶化され、現像時に未露光部の溶解や
膨潤が全く生じないために上述した従来のポジ型電着レ
ジストにみられるような問題点を生ずることがない。
【0011】また、本発明の組成物は、キノンジアジド
を感光剤とするレジストのように吸光係数の高い官能基
を多量に使用する必要がないので活性エネルギー線に対
する透明性を高くすることができ、また、照射部に発生
した酸は加熱時に触媒として作用し、架橋構造を連鎖的
に切断するために感度を高くすることが出来る。
【0012】さらに、本発明の組成物により形成される
パターンは、コントラストが極めて大きく、従って微細
パターン用のレジストとして非常に有用である。
【0013】又、キノンジアジド基のような水系で不安
定な基を含まないので水系での安定性は極めて高く、電
着塗装法で長期間信頼性の高い被膜を形成できる。
【0014】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。
【0015】A)カルボキシル基を含有する重合体 本重合体A)は、一分子中に少なくとも1つのカルボキ
シル基を含む皮膜形成性の重合体であり、例えば、カル
ボキシル基を含有する重合性不飽和単量体の単独重合
体、該カルボキシル基含有単量体と他の共重合可能な単
量体との共重合体、分子鎖中又は分子末端にカルボキシ
ル基を有するポリエステル系、ポリウレタン系、ポリア
ミド系などの樹脂等が挙げられる。
【0016】上記カルボキシル基を含有する重合性不飽
和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられ、また、これ
らカルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体
としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メ
タ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸の炭素数
1〜12のアルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)
アクリル酸の炭素数2〜6のヒドロキシアルキルエステ
ル;スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチル
スチレン等のビニル芳香族化合物;酢酸ビニル、(メ
タ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニ
ルピロリドン等が挙げられ、これら単量体は、それぞれ
単独で用いてもよく、又は、2種以上組合せて使用する
ことができる。
【0017】殊に、該他の単量体として、スチレン、炭
素数1〜6のアルキル置換されたスチレン、(例えばp
−tert−ブチルスチレン)などのビニル芳香族化合物を
使用することが、形成される画像パターンの精度、耐エ
ッチング性等の点で好適である。
【0018】カルボキシル基含有重合体A)は、一般に
約3,000〜約100,000、特に約5,000〜
約30,000の範囲内の数平均分子量を有しているこ
とが好ましく、また、カルボキシル基の含有量は、重合
体1kgあたり一般に0.5〜10当量、特に0.7〜5
当量の範囲内にあることが望ましい。
【0019】カルボキシル基の含有量が0.5当量/kg
より少ないと、活性光線照射前の加熱時に膜の架橋度が
十分でなく現像性が低下し、また、組成物の水溶解性又
は水分散性が不足し、組成物の液安定性が不十分にな
る。他方、10当量/kg 以上では電着塗装時の作業性が
低下するので好ましくない。
【0020】また、重合体A)は、そのガラス転移温度
(Tg)が0℃以上、特に5〜70℃の範囲内にあるこ
とが好適である。Tgが0℃未満であると、電着塗膜が
粘着性を示し、ゴミやホコリなどがつきやすくなり、取
り扱い難くなる傾向がある。
【0021】B)一分子中に2個以上のビニルエーテル
基を含む化合物 本化合物B)は、一分子中に式−R−O−CH=CH
2[ここで、Rはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基
などの炭素数1〜6のアルキレン基を表す]で示される
ビニルエーテル基を少なくとも2個、好ましくは2〜4
個含有する低分子量又は高分子量の化合物であり、例え
ば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールS、フェノール樹脂などのポリフェノール化合物
や、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエ
リスリトールなどのポリオール類とクロロエチルビニル
エーテルなどのハロゲン化アルキルビニルエーテルとの
縮合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物
と、ヒドロキシエチルビニルエーテルのようなヒドロキ
シアルキルビニルエーテルとの反応物等が挙げられる。
【0022】特に、上記ポリフェノール化合物とハロゲ
ン化アルキルビニルエーテルの縮合物及び芳香環をもつ
ポリイソシアネート化合物とヒドロキシアルキルビニル
エーテルとの反応物が、エッチング耐性、形成されるパ
ターンの精度等の観点から好適である。
【0023】化合物B)は、常温で液状又は、その融点
又は軟化点が150℃以下、特に、130℃以下のもの
が活性光線照射前の加熱時に、重合体A)中にmigratio
n しやすく、重合体A)のカルボキシル基と化合物B)
のビニルエーテル基との付加反応が起りやすく好まし
い。
【0024】C)活性エネルギー線照射により酸を発生
する化合物 本化合物C)は、後述する活性エネルギー線の照射によ
り分解して、前記重合体A)と化合物B)との間で形成
される架橋構造を切断するのに十分な強度の酸を発生す
る化合物であり、例えば、下記式で示されるものが包含
される。
【0025】Ar2+ ・X- (I) (式中、Arはアリール基、例えばフェニル基を表し、
- はPF6 -、SbF6 -又はAsF6 -を表す。)
【0026】Ar3+ ・X- (II) (式中、Ar及びX- は上記と同じ意味を有する。)
【0027】
【化1】 (式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1
〜12のアルコキシ基を表し、nは0〜3を表し、X-
は上記と同じ意味を有する。)
【0028】
【化2】 (式中、X- は上記と同じ意味を有する。)
【0029】
【化3】 (式中、X- は上記と同じ意味を有する。)
【0030】
【化4】 (式中、X- は上記と同じ意味を有する。)
【0031】
【化5】 (式中、X- は上記と同じ意味を有する。)
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】 (式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に炭素数1〜12
のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表
す。)
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】 (式中、R1 及びR2 は上記と同じ意味を有する。)
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】水性感光性組成物 本発明の水性感光性組成物は、以上に述べたカルボキシ
ル基含有重合体A)、ビニルエーテル基含有化合物
B)、及び光酸発生化合物C)の3成分を必須成分とし
て含有し、該重合体A)のカルボキシル基を塩基性化合
物で中和し、水に溶解又は分散したものであり、これら
成分の配合割合は、該組成物の用途に応じて広い範囲に
わたって変えることができるが、ビニルエーテル基含有
化合物B)の含有量は、カルボキシル基含有重合体A)
100重量部に対して、一般に5〜150重量部、特に
10〜100重量部の範囲内で使用することが好まし
く、また光酸発生化合物C)は、カルボキシル基含有重
合体A)とビニルエーテル基含有化合物B)との合計量
100重量部に対して一般に0.1〜40重量部、特に
0.2〜20重量部の範囲内で用いるのが適当である。
【0040】本発明の水性感光性組成物には必要に応じ
て増感色素を配合してもよく、使用し得る増感色素とし
ては、例えばフェノチアジン系、アントラセン系、コロ
ネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ピレン
系、メロシアニン系、ケトクマリン系等の色素が挙げら
れる。
【0041】これら増感色素の配合量は、カルボキシル
基含有重合体A)100重量部に対して0.1〜10重
量部、好ましくは0.3〜5重量部の範囲内が適当であ
る。
【0042】また、形成されるレジスト膜に適当な可撓
性、非粘着性等を付与するために、本発明の組成物に
は、フタル酸エステル等の可塑剤、ポリエステル樹脂、
アクリル樹脂等を添加してもよい。添加量は通常当該重
合体A)、ビニルエーテル基含有化合物B)、酸発生化
合物C)の合計量100重量部に対して50重量部以下
であることが好ましい。
【0043】さらに、本発明の組成物には必要に応じ
て、流動調節剤、染料、顔料等の着色剤等を添加しても
よい。
【0044】本発明の水性感光性組成物は、以上に述べ
た各成分をそのまま、又は必要に応じて溶解中で混合
し、次いで塩基性化合物で中和し、水に溶解又は分散し
て調製することができる。
【0045】その際に使用し得る溶剤としては組成物の
成分を溶解でき、常温で水に10重量%以上溶解する物
が好ましく、例えばアセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類;メタノール、エタノール、ノルマルプロパノ
ール、イソプロパノール、セカンダリーブタノール、タ
ーシャリーブタノール等のアルコール類;エチレングリ
コール、プロピレングリコール、又はそれらのジエーテ
ルのメタノール、エタノール、ブタノール、等のモノエ
ーテル又はメタノール、エタノール、プロパノールのジ
エーテル等のグリコールエーテル類;ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等の環状エーテル類を挙げることができ
る。これらの溶剤は単独でも又は2種類以上混合して用
いても良い。
【0046】これらの溶剤は通常、カルボキシル基含有
重合体A)、ビニルエーテル基含有化合物B)、及び光
酸発生化合物C)の合計量100重量部に対して20重
量部以下であることが好ましい。
【0047】更に、後述する電着塗装時の印加電圧、造
膜性の調整のために補助的に水に対する溶解度が10重
量%以下の溶剤を使用してもよい。
【0048】これらの溶剤としてはメチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン、イソフォロン等のケトン類;
ノルマルブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ベ
ンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール或いはそれらのジエーテルの
ヘキサノール、オクタノール、フェノール等のモノエー
テル又はブタノール、ヘキサノール、オクタノール、フ
ェノール等のジエーテル類;トルエン、キシレン、アル
キルベンゼン等の芳香族炭化水素類;沸点80℃以上の
脂肪族炭化水素類などを挙げる事が出来る。これらの溶
剤は単独でも又は2種類以上混合して用いても良い。
【0049】これらの溶剤は通常、カルボキシル基含有
重合体A)、ビニルエーテル基含有化合物B)、及び光
酸発生化合物C)の合計量100重量部に対して20重
量部以下であることが好ましい。
【0050】中和に用いる塩基性化合物としてはトリエ
チルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン等のアミン類;苛性ソーダ、苛
性カリ等の無機アルカリ類等を挙げる事が出来る。これ
らの塩基性化合物は単独でも又は2種類以上を混合して
用いても良い。通常これらの塩基性化合物はカルボキシ
ル基に対して0.1〜1.0当量の範囲で使用される事
が好ましい。
【0051】水中に溶解或いは分散する方法は当該重合
体A)、ビニルエーテル基含有化合物B)、酸発生化合
物C)、中和剤、また、必要ならば前述した溶剤などの
成分を混合した混合物を撹拌しつつ徐々に水を加える。
当該混合物を撹拌されている水中に徐々に加える等の公
知の方法によれば良い。かくして得られた組成物の固形
分濃度は特に制限はないが通常0.5〜50重量%であ
ることが好ましい。
【0052】パターンの形成 本発明の水性感光性組成物を使用するパターンの形成
は、以下に述べるようにして行なうことができる。
【0053】まず、導電性表面を有する基板、例えば、
プリント配線用銅箔積層板等の基板上に当該組成物を電
着法で乾燥膜厚0.5〜15μm 程度になるように塗布
する。電着法による塗布は本発明による組成物を電着浴
に入れ被塗布物を陽極とし、対極との間に直流電源を繋
ぎ通電する。通電は一定電圧を印加する定電圧法でも、
一定電流密度を印加する定電流法でも又はそれらを組み
合わせた様式の通電方式であっても良い。又通電初期に
徐々に電圧、ないしは電流密度を上昇させて所定値にい
たらしめる方法を組み合わせても良い。
【0054】定電圧法の場合は通常5−250V の電圧
を10秒から5分印加する事により、定電流法の場合は
通常5−100mA/dm2で5秒から5分印加する事により
所定の膜厚を得る事が出来る。
【0055】電着塗装による塗布膜厚は厳密に制限され
るものではなく、形成されるパターンの使用目的等に応
じて変えることができるが、通常、乾燥膜厚で約0.5
〜約15μm の範囲内が適当である。
【0056】該組成物が塗布された基板を、カルボキシ
ル基含有重合体A)とビニルエーテル基含有化合物B)
との間で架橋反応が実質的に起る温度及び時間条件下、
例えば、約60〜約150℃の温度で約1〜約30分間
加熱して、塗膜を架橋硬化させる。
【0057】次いで、基板上の硬化塗膜に対して、ポジ
型フォトマスク、縮小投影露光機、直接描画機等を用い
て活性エネルギー線を画像選択的に照射する。ここで使
用しうる活性エネルギー線は、感光性組成物に配合され
ている光酸発生化合物C)の種類等に依存して選択され
るが、例えば、電子線、波長200〜600nmの単色光
線又はそれらの混合光線等が挙げられる。
【0058】活性エネルギー線が照射された基板は、次
いで、該照射により発生した酸の存在下で前記硬化塗膜
の架橋構造の切断が生ずるような温度及び時間条件下、
例えば約60〜約150℃の温度で約1〜約30分間加
熱し、照射部分の塗膜の架橋構造を実質的に切断する。
【0059】このように加熱−照射−加熱処理された基
板を現像液で処理することにより、基板上にパターンを
形成することができる。現像液としては、カルボキシル
基含有重合体A)を溶解する能力のある液体、例えば、
水溶性有機塩基、例えばアルカノールアミン、テトラエ
チルアンモニウムハイドロキサイドなどのヒドロキシア
ンモニウム塩類;無機アルカリ、例えば苛性ソーダ、炭
酸ソーダ、メタ珪酸ソーダ等の水溶液を用いることがで
きる。
【0060】これらの現像液に用いられる物質は単独で
も、2種類以上を混合して用いても良い。現像液の濃度
は、通常0.05〜10重量%の範囲内である事が好ま
しい。
【0061】現像は現像液に該基板を浸漬したり、現像
液を基板に吹き付けるなどのそれ自体既知の方法により
行うことが出来る。パターン形成後必要に応じて基板を
水洗及び/又は加熱乾燥することができる。
【0062】更に、画像パターンがエッチング可能な基
板上に形成されている場合は露出している基板部分を適
当なエッチング剤でエッチングし必要ならば次いで基板
上に残存する被膜を熱アルカリや溶剤などの剥離剤を用
いて剥離することにより、レリーフ画像を製造すること
ができる。
【0063】このようにして形成されるパターンは、非
常に細密なパターンであり、コントラストも優れてお
り、特に、レジスト膜の未露光部分が架橋構造をとるた
め、従来のポジ型電着フォトレジストにくらべて未露光
部が現像液や、エッチング液に対する耐性に優れ、形成
されるパターンの精度が優れており、そのため、微細パ
ターンのプリント回路板の製造や、金属微細加工等の分
野において広範な応用が期待される。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、「部」及び「%」は重量基準である。
【0065】製造例1 カルボキシル基含有重合体A−1の合成 アクリル酸 216部 スチレン 500部 n−ブチルメタアクリレート 284部 アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 50部 よりなる混合物を80℃に加熱し撹拌しているメトキシ
プロパノール600部中に2時間を要して滴下した後そ
の温度に更に2時間保って重合体A−1を得た。固形分
約62.5%、カルボキシル基3モル/kg 、芳香族環含
有量34.6重量部/100重量部重合体
【0066】製造例2 カルボキシル基含有重合体A−2の合成 メタアクリル酸 288部 スチレン 300部 n−ブチルアクリレート 255部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 157部 t−ブチルパーオキシベンゾエート 100部 よりなる混合物を110℃に加熱し、撹拌している2−
ブトキシエタノール1,000部中に2時間を要して滴
下した後その温度に更に2時間保って重合体A−2を得
た。固形分約50%、カルボキシル基4モル/kg 、芳香
族環含有量20.7重量部/100重量部重合体
【0067】製造例3 カルボキシル基含有重合体A−3の合成 アクリル酸 72部 スチレン 650部 エチルアクリレート 100部 n−ブチルアクリレート 178部 AIBN 75部 よりなる混合物を製造例1と全く同様にして重合して、
重合体A−3を得た。固形分約62.5%、カルボキシ
ル基含有量1モル/kg 、芳香族環含有量45重量部/1
00重量部重合体
【0068】製造例4 ビニルエーテル化合物B−1の合成 ビスフェノールA45.6g 、2−クロロエチルビニル
エーテル80ml、トルエン100mlを250mlのフラス
コに入れ窒素置換後20g の水酸化ナトリウムを投入
し、80℃で30分加熱した。その後4.56g のテト
ラブチルアンモニウムブロマイドを20mlの2−クロロ
エチルビニルエーテルに溶解した溶液を投入し95℃5
時間加熱反応させた。反応部を3回脱イオン水で洗浄し
た後、油層を分離した。油層を蒸留して未反応2−クロ
ロエチルビニルエーテル及びトルエンを除去してビニル
エーテル化合物B−1を得た。一分子中にビニルエーテ
ル基を2個含んでいた。
【0069】製造例5 ビニルエーテル化合物B−2の合成 o−クレゾール1,490部、30%フォルマリン1,
145部、脱イオン水130部、蓚酸6.5部をフラス
コに入れ60分加熱還流させた。次いで15%塩酸を1
3.5部を加え40分加熱還流させた。次いで400部
の約15℃の脱イオン水を加え内容物を約75℃に保ち
樹脂を沈澱させた。次いで35%水酸化ナトリウム溶液
を加え中和後水層を除去し、更に400部の脱イオン水
を加え75℃で樹脂を洗浄した後水層を除去、更に同様
な洗浄操作を2度繰り返した後減圧下に約120℃で乾
燥してノボラックフェノール樹脂を得た。分子量約60
0であった。ビスフェノールA45.6部の代わりに当
該樹脂を15部を使用する以外は製造例4と全く同様の
方法でビニルエーテル化合物B−2を得た。一分子中に
ビニルエーテル基約3.5個を含んでいた。
【0070】製造例6 ビニルエーテル化合物B−3の合成 トリメチロールプロパン1モルとトリレンジイソシアネ
ート3モルとを反応させたポリイソシアネートの75%
エチレングリコールジメチルエーテル溶液875部と2
−ヒドロキシエチルビニルエーテル264部とをジブチ
ル錫ジアセテート1部の存在下に35℃で3時間反応し
てビニルエーテル化合物B−3を得た。一分子中にビニ
ルエーテル基を3個含んでいた。固形分約81%。
【0071】実施例1 重合体A−1(固形分62.5%) 160部 ビニルエーテル化合物B−1 70部 光酸発生剤C−1 注1) 10部 トリエチルアミン 15部 の混合物をジエチレングリコールジメチルエーテル25
0部に溶解した溶液を撹拌している脱イオン水695部
に徐々に加えて固形分約10%の水分散液を得た。当該
水分散液よりなる電着浴にポリイミドフィルムに厚さ1
8μm の銅箔を積層した基板を入れ陽極として対極との
間に電流密度40mA/cm2の直流を1分間印加した後浴よ
り引き出し水洗し次いで100℃で10分間乾燥した。
膜厚は3.4μm であった。この基板に波長356nmの
紫外光を照射量を段階的に変化させて照射後120℃で
20分加熱した後、2.38%のテトラメチルアンモニ
ウムヒドロオキサイド水溶液を用いて現像した。紫外線
照射量に対する現像後の膜の残存率曲線から求めたγ値
(注2)は10.0と、コントラストが極めて高く、未
露光部分の膜の減少、膨潤は全く見られなかった。同様
にして作成した基板上にパターンマスクを用いて365
nmの紫外光線を露光量8mj/cm2で照射した後、上記した
のと全く同様に処理してライン/スペース=2/2μm
の画像を形成した。画像パターンの断面形状を基板表面
と画像パターン壁面とのなす角度で評価した。角度は8
7度であり極めて優れたパターン形状であった。画像形
成最低露光量は6mj/cm2であった。 注1)、光酸発生剤C−1:下記式のものを用いた。
【化13】 注2)γ値:コントラストを表す指標であり、値が大き
いほどコントラストは高い。測定は、「フォトポリマー
懇話会編、フォトポリマーハンドブック、101〜10
3頁、(1989)、工業調査会」記載の方法によっ
た。
【0072】実施例2 重合体A−2(固形分50%) 200部 ビニルエーテル化合物B−2 25部 光酸発生剤C−2 注3) 8部 増感色素1 注4) 1部 トリエチルアミン 10部 の混合物を2−ブトキシエタノール200部、ベンジル
アルコール40部に溶解し実施例1と同様にして404
部の脱イオン水に加え、固形分約15%の水分散液を得
た。次いでインジューム錫酸化物をガラス板に蒸着した
透明電極を基板として用い、電流密度を20mA/cm2とす
る以外は実施例1と全く同様に電着塗装した後50℃で
10分間乾燥した。膜厚は1.1μm であった。この基
板を488nmの可視光線を用い、露光後の加熱条件を1
00℃10分間とする以外は実施例1と全く同様にし
て、γ値を求めた。γ値は10.9とコントラストは極
めて高く、又未露光部の減少、膨潤は全く認められなか
った。次いで電着条件、乾燥条件を上記と同様にし、照
射光線として488nmの可視光を用い、ライン/スペー
ス=1/1μm のフォトマスクを介し、露光量を3mj/c
m2で露光し、露光後の加熱条件を100℃10分とする
以外は実施例1と全く同様にして画像パターンの形状を
評価した。角度は89度であり極めて優れたパターン形
状であった。画像形成最低露光量は2mj/cm2であった。 注3)、光酸発生剤C−2:下記式のものを用いた。
【化14】 注4)、増感色素1:下記式のものを用いた。
【化15】
【0073】実施例3 重合体A−3(固形分62.5%) 160部 ビニルエーテル化合物B−3(固形分81%) 20部 光酸発生剤C−3 注5) 5部 トリエチルアミン 8部 の混合物をジメトキシジエチレングリコール100部、
ベンジルアルコール30部に溶解し実施例1と同様にし
て485部の脱イオン水中に分散して固形分約15%の
水分散液を得た。次いで当該水分散液よりなる電着浴に
厚さ300μm の銅箔を入れ陽極とし、対極との間に4
0V の直流を1分間印加した後基板を取り出し水洗後1
10℃で10分間乾燥した。膜厚は1.3μm であっ
た。この基板を実施例1と全く同様にしてγ値を求め
た。γ値は11.2と極めて高かった。次いで厚さ1.
6mmのガラス強化エポキシ樹脂板に内壁を銅メッキした
直径0.3〜0.6mmのスルーホールを有する両面銅張
り基板(銅厚45μm)に電圧印加時間を2.5分間とす
る以外は上記と全く同様にして被膜を基板上に形成し
た。膜厚は5.3μm であった。作成した基板上にスル
ーホール部に光を通さず、非スルーホール部以外の部分
にライン/スペース=50/50μm のパターンを有す
るフォトマスクを介して超高圧水銀灯で365nmでモニ
タした光量で12mj/cm2露光後100℃で15分加熱し
た。次いで3%炭酸ソーダ水溶液で現像を行った後、塩
化銅を用いて露出した銅をエッチングし、次いで3%苛
性ソーダ水溶液で基板上の被膜を除去することによりレ
リーフ像を得た。スルーホール部の銅メッキは完全に保
護されており、優れた形状のレリーフパターンが基板上
に形成された。 注5)、光酸発生剤C−3:下記式のものを用いた。
【化16】
【0074】実施例4 貯蔵安定性 実施例1−3の分散液を容器に入れ密閉し40℃で3ケ
月放置した。放置後の分散液には、沈降、分離は認めら
れず良好であった。貯蔵後の分散液を使用してそれぞれ
の実施例の試験を再び行った。特性には殆ど変化は無
く、良好な結果が得られた。
【0075】比較例1 カルボキシル基含有重合体1 アクリル酸 288部 スチレン 300部 n−ブチルアクリレート 300部 2−ヒドロキシエチルアクリレート 112部 t−ブチルパーオキシベンゾエート 100部 よりなる混合物を110℃に加熱し、撹拌している2−
ブトキシエタノール1,000部中に2時間要して滴下
した後その温度に更に2時間保って重合体1を得た。固
形分約50%、カルボキシル基4モル/kg 、芳香族環含
有量20.7重量部/100重量部重合体 重合体1(固形分50%) 200部 感光剤1 注6) 30部 ベンジルアルコール 15部 メトキシプロパノール 75部 トリエチルアミン 12部 を混合溶解し、撹拌されている脱イオン水535部中に
徐々に添加して、固形分約15%の水分散液を得た。電
流密度を50mA/cm2とする以外は実施例1と同様にして
γ値を測定した。(膜厚2.5μm)γ値は2.5であっ
た。未露光部は露光部が完全に溶解した時点で約25%
溶解した。現像液を0.5%炭酸ソーダ水溶液に変えて
現像した。γ値は3.4未露光部は露光部が完全に溶解
した時点で約2%溶解した。露光量を80mj/cm2とし、
現像液に0.5%炭酸ソーダ水溶液を使用する以外は実
施例1と全く同様にして基板上にパターンを形成し、そ
の断面を観察した。基板とパターンのなす角度は79度
であった。本例では露光量60mj/cm2以下では画像を形
成できなかった。 注6)、感光剤1:下記式のものを用いた。
【化17】
【0076】比較例2 重合体2 o−ヒドロキシ安息香酸600部、o−クレゾール90
0部、30%フォルマリン1,145部、脱イオン水1
30部、蓚酸6.5部をフラスコに入れ60分加熱還流
させた。次いで15%塩酸を13.5部を加え40分加
熱還流させた。次いで400部の約15℃の脱イオン水
を加え内容物を約50℃に保ち樹脂を沈澱させた。更に
400部の脱イオン水を加え50℃で樹脂を洗浄した後
水層を除去、更に同様な洗浄操作を3度繰り返した後減
圧下に約120℃で乾燥してノボラックフェノール樹脂
を得た。分子量約650であった。 カルボキシル基2.8モル/kg 重合体 重合体2 100部 感光剤1 30部 ベンジルアルコール 100部 エチレングリコールモノエチルエーテル 100部 トリエチルアミン 15部 を混合溶解し、撹拌されている522部の脱イオン水中
に徐々に添加して固形分約15%の水分散液を得た。電
流密度を50mA/cm2とする以外は実施例1と同様にして
γ値を測定した。(膜厚1.8μm)γ値は4.2であっ
た。未露光部は露光部が完全に溶解した時点で約6%溶
解した。同様にして作成した基板を用い、露光量を80
mj/cm2とする以外は実施例1と全く同様にして基板上に
パターンを形成し、その断面を観察した。基板とパター
ンのなす角度は82度であった。本例では露光量70mj
/cm2以下では画像を形成できなかった。
【0077】比較例3 貯蔵安定性 比較例1−2の分散液を容器に入れ密閉して40℃で1
カ月貯蔵した後状態を観察した。いずれも多量の沈降
物、及び液の分離が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/039 501 H05K 3/00 F 6921−4E

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A)カルボキシル基を重合体1kgあたり
    0.5〜10当量含有する重合体を100重量部、B)
    一分子中に少なくとも2個以上のビニルエーテル基を含
    有する化合物を5〜150重量部、及びC)活性エネル
    ギー線照射により酸を発生する化合物をA)とB)との
    合計量100重量部に対して0.1〜40重量部を必須
    成分として含む組成物を塩基性化合物で中和し、水中に
    溶解又は分散したことを特徴とする水性感光性組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の水性感光性組性物を導電
    性表面を有する基板に電着法により塗布する工程、当該
    基板を加熱する工程、活性エネルギー線を選択的に照射
    する工程、照射後に基板を加熱する工程、塩基性現像液
    で現像する工程を順次行うことを特徴とするパターンの
    製造方法。
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