JP6217199B2 - フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物、接着シート、接着剤パターン、接着剤層付半導体ウェハ及び半導体装置 - Google Patents
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Description
なお、本発明において「アンダーフィル材」とは、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続部を覆うことによって接続部を保護する材料を意味する。
本発明は、(A)アルカリ可溶性フェノール樹脂、及び(B)光によって酸を発生する化合物を含有し、半導体チップ同士、又は半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とを接着し、且つ電気的に接続するためのアンダーフィル材として用いられる、フィルム状ポジ型感光性接着剤組成物に関する。上記構成を採ることにより、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現することによる良好な段差埋め込み性を発現することが出来る。すなわち、界面の空隙(ボイド)を低減することにつながり、さらには本発明の半導体装置の信頼性向上に寄与する。本発明者らは、上記流動性に優れるのは、露光、現像などのパターニングプロセスにおいて、ネガ型の感光性材料に広く用いられている光架橋反応などの高分子量化反応を利用しないことによるものと考えている。
まず、フィルム状ポジ型感光性樹脂組成物が含有する各成分について説明する。
(A)成分はアルカリ可溶性(アルカリ水溶液に可溶)のフェノール樹脂である。ここで、本発明の(A)成分がアルカリ水溶液に可溶であることの1つの基準を以下に説明する。(A)成分単独と任意の溶剤又は(A)成分と、以下に順を追って説明する(B)成分から得られた樹脂溶液を、シリコンウェハ等の基板上にスピン塗布して膜厚5μm程度の樹脂膜を形成する。
これをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに、20〜25℃において浸漬する。この結果、樹脂膜が均一な溶液として溶解し得るとき、用いた(A)成分はアルカリ水溶液に可溶であると判断する。
[一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、aは0〜3の整数を示し、bは1〜3の整数を示す。]
(A)アルカリ可溶性樹脂は一般式(1)で表される構造単位を与えるモノマ等を重合させることで得られる。
[一般式(6)中、R10は水素原子又はメチル基を示し、R11は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、cは0〜3の整数を示す。]
[一般式(7)中、R12は水素原子又はメチル基を示し、R13は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。]
(B)成分である光により(光を受けることにより)酸を生成する化合物は、感光性樹脂組成物において感光剤として機能する。(B)成分は、光照射を受けて酸を生成させ、光照射を受けた部分のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有する。ここで、(B)成分の酸発生を誘起する光照射に用いられる活性光線としては、紫外線、可視光線、放射線などが挙げられる。(B)成分としては、一般に光酸発生剤と称される化合物を用いることができる。(B)成分の具体例としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。(B)成分は、これらの化合物のうちの1種のみからなるものであってもよく、また2種以上を含んで構成されるものであってもよい。これらの中で、感度が高いことから、o−キノンジアジド化合物が好ましい。
本実施形態のフィルム状ポジ型感光性接着剤組成物は、(C)成分として熱によりそれ自身あるいは樹脂と架橋する化合物を含んでもよい。パターン樹脂膜を加熱して硬化する際に、(A)成分と反応して橋架け構造を形成し得る構造を有する化合物である。これにより、膜の脆さ及び膜の溶融を防ぐことができる。(C)成分としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
[一般式(8)中、Xは単結合又は2価の有機基を示し、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、s及びtはそれぞれ独立に1〜3の整数を示し、u及びvはそれぞれ独立に0〜3の整数を示す。]
上記一般式(8)で表わされる化合物としては、例えば、1,1−ビス{3,5−ビス(メトキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}メタン(本州化学工業株式会社製、商品名「TMOM−pp−BPF」)を用いることができる。
上記ヒドロキシメチルアミノ基の全部をアルキルエーテル化したアルコキシメチルアミノ基を有する化合物の中でも、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
[一般式(9)中、R31〜R36は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基を示す。]
本実施形態のフィルム状ポジ型感光性接着剤組成物は、(D)成分としてアクリル樹脂を含んでいてもよい。これによって良好な感光特性を維持しつつ、耐熱衝撃性を向上することができる。
前記アクリル樹脂としては、下記一般式(10)又は(11)で表される構造単位を有することが好ましい。
[一般式(10)及び(11)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R1は炭素数4〜20のアルキル基を表す。]
また、上記一般式(10)中、感度、解像度及び耐熱衝撃を向上できる観点から、R1が炭素数4〜16のアルキル基が好ましく、炭素数4のアルキル基(n−ブチル基)がより好ましい。一般式(10)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(V)で表される化合物などが挙げられる。
CH2=C(R)−COOR1 (V)
また、一般式(11)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。
(D)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(10)で表される構造単位の組成比は、(D)成分の総量に対して、50〜95モル%であることが好ましく、60〜90モル%であることがより好ましく、70〜85モル%であることが特に好ましい。上記一般式(10)で表される構造単位の組成比が50〜95モル%であることにより、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の耐熱衝撃性をより向上することができる。
また、(D)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(11)で表される構造単位の組成比は、(D)成分の総量に対して、5〜35モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが特に好ましい。上記一般式(11)で表される構造単位の組成比が5〜35モル%であることこれにより、ポジ型感光性樹脂組成物の現像性をより向上することができる。
また、(D)アクリル樹脂としては、(A)成分との相溶性、レジストパターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、前記一般式(10)及び(11)で表される構造単位に加え、更に下記一般式(12)で表される構造単位を有することがより好ましい。
(D)アクリル樹脂が下記一般式(12)で表される構造単位を有することにより、(D)アクリル樹脂と(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂との相互作用が良好になり、相溶性がより向上する。これによって機械特性及び耐熱衝撃性をより向上でき、また感光性樹脂組成物の白濁を十分に抑えられることから、位置合わせがしやすくなる。
[一般式(12)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R2は1、2又は3級アミノ基を有する1価の有機基を表す。]
一般式(12)で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも特に、レジストパターンの基板への密着性、機械特性及び耐熱衝撃性をより向上できる観点から、一般式(12)中、R2が下記一般式(13)で表される1価の有機基であることが特に好ましい。
[一般式(13)中、Xは炭素数1〜5のアルキレン基を表し、R3〜R7はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは0〜10の整数である]
一般式(12)中、R2が上記一般式(13)で表される1価の有機基で表される構造単位を与える重合性単量体としては、例えば、ピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1−メチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル(メタ)アクリレート、(ピペリジン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(ピペリジン−4−イル)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−711MMとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルメタクリレートはFA−712HMとして(いずれも日立化成株式会社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
(D)成分であるアクリル樹脂において、上記一般式(12)で表される構造単位を有する場合の組成比は、(D)成分の総量に対して、0.3〜10モル%であることが好ましく、0.4〜6モル%であることがより好ましく、0.5〜5モル%であることが特に好ましい。
[一般式(14)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を示す。]
R4で示される炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基(ヒドロキシラウリル基という場合もある。)、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基及びヒドロキシエイコシル基が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
このような(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとしては、例えば、下記一般式(15)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R3)−COOR4 …(15)
[一般式(15)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4は炭素数2〜20のヒドロキシアルキル基を示す。]
なお、本発明の効果をより高度に発現できる観点から、一般式(14)で表わされる構造単位を有するアクリル樹脂はポリマとして添加することが望ましい。
そのような重合性単量体としては、例えば、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸4−メチルベンジルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテルなどのビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピルなどのマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらの重合性単量体は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
(D)成分の重量平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、3000〜60000であることがより好ましく、5000〜50000であることが特に好ましく、10000〜40000であることが最も好ましい。重量平均分子量が2000未満では硬化膜の耐熱衝撃性が低下する傾向があり、100000を超えると(A)成分との相溶性及び現像性が低下する傾向がある。
(D)成分の配合量は、密着性、機械特性及び耐熱衝撃性、及び感光特性の観点から、(A)成分の総量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。
本実施形態のフィルム状感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分以外に、エラストマー、加熱により酸を生成する化合物、溶解促進剤、溶解阻害剤、カップリング剤、及び、界面活性剤又はレベリング剤等の成分を含有してもよい。
エラストマーとしては、従来公知のものを用いることができるが、エラストマーを構成する重合体のガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましい。
加熱により酸を生成する化合物を用いることにより、パターン樹脂膜を加熱する際に酸を発生させることが可能となり、(A)成分と(C)成分との反応、すなわち熱架橋反応が促進され、パターン硬化膜の耐熱性が向上する。また、加熱により酸を生成する化合物は光照射によっても酸を発生するため、露光部のアルカリ水溶液への溶解性が増大する。よって、未露光部と露光部とのアルカリ水溶液に対する溶解性の差がさらに大きくなり解像度がより向上する。
溶解促進剤を上述のポジ型感光性樹脂組成物に配合することによって、アルカリ水溶液で現像する際の露光部の溶解速度を増加させ、感度及び解像性を向上させることができる。溶解促進剤としては従来公知のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸、スルホンアミド基を有する化合物が挙げられる。
溶解阻害剤を(A)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、残膜厚、現像時間及びコントラストをコントロールするために用いられる。その具体例としては、例えば、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムクロリド及びジフェニルヨードニウムヨージドが挙げられる。溶解阻害剤を用いる場合の含有量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜15質量部がより好ましく、0.05〜10質量部がさらに好ましい。
カップリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、形成されるパターン硬化膜の基板との接着性をより高めることができる。カップリング剤としては、例えば、有機シラン化合物、アルミキレート化合物が挙げられる。また、有機シラン化合物としては、例えば、尿素プロピルトリエトキシシランが挙げられる。
界面活性剤又はレベリング剤を感光性樹脂組成物に配合することによって、塗布性をより向上することができる。具体的には、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有することで、ストリエーション(膜厚のムラ)をより防いだり、現像性をより向上させたりすることができる。このような界面活性剤又はレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテルが挙げられる。市販品としては、例えば、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社製、商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403及びKBM803(信越化学工業社製、商品名)が挙げられる。
上述の各成分を含む組成物をフィルム状に成形することによって、フィルム状接着剤を得ることができる。図1は、本発明のフィルム状接着剤の一実施形態を示す端面図である。図1に示すフィルム状接着剤1は、上述の各成分を含む組成物をフィルム状に成形したものである。
図4は、本発明の接着剤層付半導体ウェハの一実施形態を示す上面図であり、図5は図4のIV−IV線に沿った端面図である。図4及び図5に示す接着剤層付半導体ウェハ20は、半導体ウェハ8と、これの一方面上に設けられたフィルム状接着剤(接着剤層)1と、を備える。
図6は、本発明の半導体装置の一実施形態を示す端面図である。図6に示す半導体装置230は、接続電極部(第1の接続部:図示せず)を有する支持部材(第1の被着体)13と、接続用端子(第2の接続部:図示せず)を有する半導体チップ(第2の被着体)14と、絶縁材からなる接着剤層1と、導電材からなる導電層9とを備えている。支持部材13は、半導体チップ14と対向する回路面18を有しており、半導体チップ14と所定の間隔をおいて配置されている。接着剤層1は、支持部材13、及び半導体チップ14の間において、それぞれと接して形成されており、所定のパターンを有している。導電層9は、支持部材13、及び半導体チップ14の間における、接着剤層1が配置されていない部分に形成されている。半導体チップ14の接続用端子は、導電層9を介して支持部材13の接続電極部と電気的に接続されている。
(第1工程)
図7に示す接続用電極部を有する半導体ウェハ12から構成される半導体ウェハの回路面上に、接着剤層1を積層する(図8)。積層方法としては、予めフィルム状に成形されたフィルム状接着剤を準備し、これを半導体ウェハに貼り付ける方法が簡便である。
半導体ウェハ12上に設けられた接着剤層1に対して、所定の位置に開口が形成されているマスク4を介して活性光線(典型的には紫外線)を照射する(図9)。これにより接着剤層1が所定のパターンで露光される。
得られたレジストパターンの開口11に導電材を充填して導電層9を形成する(図11)。導電材の充填方法は、グラビア印刷、ロールによる押し込み、減圧充填等の各種方法が採用できる。ここで使用する導電材は、半田、金、銀、ニッケル、銅、白金、パラジウム等の金属又は酸化ルテニウム等の金属酸化物からなる電極材料、あるいは、上記金属のバンプの他、例えば、導電性粒子と樹脂成分とを少なくとも含有してなるものが挙げられる。導電性粒子としては、例えば、金、銀、ニッケル、銅、白金、パラジウム等の金属、酸化ルテニウム等の金属酸化物及び有機金属化合物等の導電性粒子が用いられる。また、樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂、その硬化剤等の上述した硬化性樹脂組成物が用いられる。
半導体ウェハ12と接着剤層1及び導電層9との積層体をダイシングにより半導体チップ14ごとに切り分ける(図12)。
接続用電極部を有する支持部材13を個片化された半導体チップ14と接着剤層1との積層体の接着剤層1側に直接接着すると共に、支持部材13の接続電極部と半導体チップ14の接続用端子とを導電層9を介して電気的に接続する。なお、半導体チップ14における接着剤層1と反対側の回路面上に、パターン化された接着剤層(バッファーコート膜)が形成されていてもよい。
この時、接着剤層1は白濁が少ない方が好ましい。白濁が少ないと位置合わせがしやすくなる。
また、上記製造方法は、第1工程において、接続用電極部に既に導電層9が形成されている半導体ウェハを使用することもできる。この場合は、第2工程において開口11を導電層9が露出するように行い、第3工程を省略して第4工程へ進むことができる。
[(A)成分]
A1〜4はアルカリ可溶性フェノール樹脂であり、A’5は比較例として用いたアルカリ可溶性アクリル樹脂である。
A1:p−tert−ブトキシスチレンとスチレンとを、モル比85:15の割合で合計100質量部用意し、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部に溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、アゾビスイソブチロニトリル4質量部を用いて10時間、約160rpmの攪拌回転数で攪拌し、重合を行なった。その後、反応溶液に硫酸を加えて反応温度を90℃に保持して10時間反応させ、p−tert−ブトキシスチレンを脱保護してヒドロキシスチレンに変換した。得られた共重合体に酢酸エチルを加え、水洗を5回繰り返し、酢酸エチル相を分取し、溶剤を除去して、p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体A1を得た。この共重合体A1のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は10000であった。また、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとスチレンとの共重合モル比は85:15であった。なお、この共重合体A1は上記一般式(1)で表される構造単位及び上記一般式(6)で表される構造単位を有する。
A2:p−tert−ブトキシスチレンのみ100質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部に溶解させた以外は、合成例1と同様にして、p−ヒドロキシスチレン単独重合体A2を得た。この単独重合体A2の重量平均分子量は10000であった。なお、このA2は上記一般式(1)で表される構造単位を有する。
A3:p−ヒドロキシスチレン/メタクリル酸メチル=50/50(モル比)の共重合体(重量平均分子量=10000、丸善石油化学株式会社製、商品名「マルカリンカーCMM」)。なお、このA3は上記一般式(1)で表される構造単位及び上記一般式(7)で表される構造単位を有する。
A4:クレゾールノボラック樹脂(クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、m−クレゾール/p−クレゾール(モル比)=60/40、重量平均分子量=12000、旭有機材工業社製、商品名「EP4020G」)。
A’5:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン(重量比)の共重合体=25/25/50(重量平均分子量=40000)。
なお、重量平均分子量は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、標準ポリスチレン換算により求めた。
具体的には、以下の装置及び条件にて重量平均分子量を測定した。測定装置:検出器 株式会社日立製作所製L4000UVポンプ:株式会社日立製作所製L6000株式会社島津製作所製C−R4A Chromatopac測定条件:カラム Gelpack GL−S300MDT−5×2本溶離液:THFLiBr(0.03mol/l)、H3PO4(0.06mol/l)流速:1.0ml/分、検出器:UV270nm、試料0.5mgに対して溶媒[THF/DMF=1/1(容積比)]1mlの溶液を用いて測定した。
B1及びB2は光により酸を生成する化合物であり、B’3は比較例として用いた光によりラジカルを生成する化合物である。
B1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル]エタンの1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約90%、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、商品名「TPPA528」)
B2:トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタンの1−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸エステル(エステル化率約95%)
B’3:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製、商品名「I−819」)
C1:ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン(株式会社三和ケミカル製、商品名「ニカラックMW−30HM」、下記式(C1)で表される化合物)
C2:1,1−ビス{3,5−ビス(メトキシメチル)−4−ヒドロキシフェニル}メタン(本州化学工業株式会社製、商品名「TMOM−pp−BPF」、下記式(C2)で表される化合物)
C3:ポリエチレングリコール#400ジグリシジルエーテル(共栄社化学株式会社製、商品名「エポライト400E」)
D1及び2はアクリル樹脂である。
D1:攪拌機、窒素導入管及び温度計を備えた100mlの三口フラスコに、乳酸エチル55gを秤取し、別途に秤取した重合性単量体(アクリル酸n−ブチル(BA)34.7g、アクリル酸ラウリル(LA)2.2g、アクリル酸(AA)3.9g、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)2.6g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)1.7g、並びにアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.29gを加えた。室温にて約160rpmの攪拌回転数で攪拌しながら、窒素ガスを400ml/分の流量で30分間流し、溶存酸素を除去した。その後、窒素ガスの流入を止め、フラスコを密閉し、恒温水槽にて約25分で65℃まで昇温した。同温度を10時間保持して重合反応を行い、アクリル樹脂D1を得た。この際の重合率は99%であった。また、このD1の重量平均分子量は、約22000であった。
D2:アクリル酸n−ブチル(BA)32.8g、アクリル酸ラウリル(LA)4.2g、アクリル酸(AA)3.8g、アクリル酸ヒドロキシブチル(HBA)2.5g及び1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イルメタクリレート(商品名:FA−711MM、日立化成株式会社製)1.7gを用いた以外は、D1の合成方法と同様にして合成した。このD2の重量平均分子量は、約22000であった。
なお、(D)成分の重量平均分子量は、(A)成分の重量平均分子量の測定と同様の方法により求めた。
E成分は、光によって架橋する成分である。
E’1:イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート(商品名:M313、東亞合成株式会社製、放射線重合性基当量:約160g/eq、5%質量減少温度:>400℃)。
表1及び2に示した配合量(単位:質量部)の(A)〜(E)成分、溶剤として乳酸エチル120質量部及びカップリング剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液2質量部を配合し、これを3μm孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、実施例1〜8及び比較例2〜4の感光性樹脂組成物を調製した。
得られた感光性樹脂組成物を、乾燥後の膜厚が45μmとなるように、それぞれ基材(剥離剤処理PETフィルム)上に塗布し、オーブン中にて120℃で10分間加熱し、基材上にフィルム状感光性樹脂組成物からなる接着剤層を形成した。このようにして、基材、及び基材上に形成された接着剤層を有する接着シートを得た。
(比較例1)
表2に示した配合量の(A)〜(E)成分、溶剤として乳酸エチル120質量部及びカップリング剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液2質量部を配合し、これを3μm孔のテフロン(登録商標)フィルターを用いて加圧ろ過して、スピンコート用の感光性樹脂組成物を調製した。
実施例1〜8及び比較例1〜4の感光性樹脂組成物について、以下に示す評価を行った。その結果を表1及び2に示す。
膜厚、残膜率、感度、解像度の評価サンプルは下記の方法で作製した。
実施例1〜8及び比較例2〜4:支持台上にシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの裏面(支持台と反対側の面)と接するように、ロール加圧(温度120℃、線圧39N/cm(4kgf/cm)、送り速度0.5m/分)によって積層した。基材(PETフィルム)を剥離除去し接着剤層を露出した。
比較例1:得られた感光性樹脂組成物をシリコンウエハ上に回転数500rpmで40秒スピンコートし、得られた塗膜を120℃で4分間加熱した。同様の条件で何度か塗膜を形成したところ、膜厚は30〜50μmの範囲で変化し、均一な膜厚を得ることができなかった。このため、膜厚以外の評価を行っていない。
得られた積層体を、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像、水洗、乾燥を行った。残膜率は下式により算出した。実施例1〜8及び比較例4に関しては未露光部を評価した。
残膜率(%)=(現像後の塗膜の膜厚/現像前の塗膜の膜厚)×100
得られた積層体を、接着剤層側からガラスマスクを介して、マスク露光機(ミカサ株式会社製、マスクアライナーMA-20)を用いて露光した。実施例1〜8及び比較例1、4に関しては、ポジ型用の直径φ60μmのドットパターンを、比較例2、3に関しては、ネガ型用の直径φ60μmのドットパターンのガラスマスクを用いた。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像した。その後、水でリンスした。
感度の評価は、露光量が1500mJ/cm2未満で60μmのドットパターンが形成できるものをA、露光量が1500mJ/cm2以上、2500mJ/cm2以下で60μmのドットパターンが形成できるものをBとした。
その後、レジストパターンを縦型拡散炉(光洋サーモシステム株式会社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で2時間加熱処理(硬化)し、直径φ60μmのドットパターンを観察した。現像後及び硬化後の60μmのドットパターンが、それぞれ開口しているものを○、開口していないものを×とした。なお、感度及び解像度は、小さい程良好である。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた感光性樹脂組成物を目視で観察し、樹脂が透明であればA、若干白濁していればB、酷く白濁していればCとした。樹脂の白濁がA又はBであれば、その樹脂を用いて形成したパターン硬化膜を有する半導体装置を製造する際の、基板上に記された位置合わせのための目印が認識できた。
実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた感光性樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で4分間加熱し、膜厚約12〜14μmの塗膜を形成した。その後、この塗膜をプロキシミティ露光機(キヤノン株式会社製、商品名「PLA−600FA」)を用いて、マスクを介して全波長で、最小露光量の2倍の露光量で露光を行った。露光後、TMAHの2.38%水溶液を用いて現像を行い、10mm幅のレジストパターンを得た。その後、レジストパターンを縦型拡散炉(光洋サーモシステム株式会社製、商品名「μ−TF」)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で2時間加熱処理(硬化)し、膜厚約10μmの硬化膜を得た。この硬化膜をシリコン基板から剥離し、剥離した硬化膜の破断伸び(EL)を、株式会社島津製作所製オートグラフAGS−H100Nによって測定した。試料の幅は10mm、膜厚は約10μmであり、チャック間は20mmとした。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とした。硬化後破断伸びは大きいことが好ましい。破断伸び10%以上のものを○、10%未満のものを×とした。
実施例1〜8及び比較例1〜4:支持台上に接続端子(はんだバンプ)付きシリコンチップ(チップサイズ:縦7.3mm×横7.3mm×高さ755μm、バンプ高さ:銅ピラー+はんだ 約45μm、バンプ数328)を載せ、その上に、上記接着シートを、接着剤層がシリコンウェハの端子側と接するように、真空ラミネーター(温度80℃、圧力0.5MPa、時間30秒)によってラミネートした。
得られた積層体を、接着剤層側からガラスマスクを介して、マスク露光機(ミカサ製、マスクアライナMA-20)を用いて露光した。実施例1〜8、及び比較例1,4に関しては、ポジ型用の直径φ60μmのドットパターンを、比較例2、3に関しては、ネガ型用の直径φ60μmのドットパターンのガラスマスクを用いて、シリコンチップの接続端子部分が開口するように露光した。露光量は直径φ60μmのドットパターンが開口する最少の露光量とした。露光後、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の2.38%水溶液を用いて現像し、その後、水でリンスして、シリコンチップの接続端子部分が直径φ60μmで開口された、接着剤層付きシリコンチップを得た。
上記作製した接着剤層が形成された接続端子付きシリコンチップをフリップチップ実装装置FCB3(パナソニック社製、商品名)で、ガラスエポキシ基板(ガラスエポキシ基材:0.4mm厚、銅配線:9μm厚、ソルダーレジスト付き、日立化成株式会社製)上に実装した(実装条件:フィルム状接着剤の圧着温度250℃、圧着時間T:10秒間、0.5MPa)。これにより、図6と同様の半導体装置を得た。
上記のようにガラスエポキシ基板と金バンプ付き半導体チップとをデイジーチェーン接続した後、マルチメータ(ADVANTEST社製)により接続抵抗値を測定し、実装後の初期導通の可否(導通性)を評価した。接続抵抗値が5〜20Ωの場合を「A」とし、それ以外の接続抵抗値の場合を「B」とし、一部分でも完全な接続不良が生じていることにより接続抵抗値が表示されなかった場合を「C」として評価した。
上記実装試験後、シリコンチップを上から見て、感光性WLUFが実装前よりはみ出している場合は流動性○、はみ出していない場合は流動性×とした。
また、光開始剤にラジカル発生剤I−819を用いた比較例2では、パターンを形成することができなかった。また、光開始剤にラジカル発生剤I−819及び光架橋剤M313を用いた比較例3では、フリップチップ実装中の流動性が低く、初期の導通が取れなかった。さらに、(A)成分にアルカリ可溶性のアクリル樹脂を用いた比較例4では、光酸発生剤TPPA528との相互作用が弱く、パターンを形成することができなかった。
Claims (8)
- 前記(B)光によって酸を発生する化合物がo−キノンジアジド化合物である、請求項1に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
- (C)熱によりそれ自身あるいは樹脂と架橋する化合物を更に含有する、請求項1又は2に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物より選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項3に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物。
- 基材と、該基材上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物と、を備える、接着シート。
- 被着体上に積層された請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物からなる接着剤層を露光し、露光後の前記接着剤層をアルカリ現像液で現像処理することによって得られる、接着剤パターン。
- 半導体ウェハと、該半導体ウェハ上に積層された請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物からなる接着剤層とを備える接着剤層付半導体ウェハ。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム状ポジ型感光性樹脂組成物を用いて、半導体チップ同士が接着された構造、及び/又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材とが接着された構造を有する、半導体装置。
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