JP4131029B2 - 熱電変換モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペルチェ効果あるいはゼーベック効果を利用した熱電変換モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換モジュールは、一般に図15に示すように、2枚の電気絶縁性の基板11の間に、電極12を介して交互に電気的に直列に接続されたP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を挟持した構造に形成されている。そしてこの熱電変換モジュールに直流電流を印加すると、一方の基板11の側で発熱現象が、他方の基板11の側で吸熱現象が生じる。また2枚の基板11の間に温度差を与えると、熱電変換モジュールに起電力が発生する。このようなペルチェ効果あるいはゼーベック効果を利用して、熱電変換モジュールは熱電冷却や熱電発電などの種々の分野に用いられている。
【0003】
このような従来の熱電変換モジュールでは熱は基板11の面とP型及びN型の熱電変換素子2,3を設けた面と垂直な方向に移動するため、吸熱ブロック13や放熱フィン14付の放熱ブロック15を一体に設けて使用する場合、図15のように基板11の面と垂直な方向に吸熱ブロック13や放熱フィン14付の放熱ブロック15を設けるための大きなスペースが必要になり、製品の薄型化や小型化が困難になるものであった。
【0004】
一方、特開平7−153998号公報には、図16に示すように、電気絶縁性の基板16の表面にほぼ2直角に開いた扇形状のP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を設け、熱の移動方向を基板16の中央部と外周部の方向になるようにした熱電変換モジュールが提供されている。このものでは熱の移動方向が基板16の表面に沿った方向になるため、薄型化や小型化が可能である。
【0005】
しかしながらこのものでは、基板16の表面に一対のP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3が設けられているだけであるので、大きな吸放熱量や、大きな起電力を得ることは困難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基板の表面に沿った方向で熱の移動行なわせることができて薄型化や小型化を図ることができ、しかも大きな吸放熱量や、大きな起電力を得ることができる熱電変換モジュールを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る熱電変換モジュールは、電気絶縁性の基板1の表面に、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を中央部から外周部に向かって放射状に交互に複数本ずつ配置し、隣合うP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3の中央部側の端部同士と外周部側の端部同士を交互に接合してP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を交互に電気的に直列に接続し、P型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5と外周部側の接合部6の間の位置において、基板の全周に亘るように環状に基板1に断熱材7を設け、基板1の中央部を吸熱部と放熱部のいずれか一方、基板1の外周部を吸熱部と放熱部のいずれか他方として成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項2の発明は、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3の端部同士を電極4で接合して成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項3の発明は、空隙7a内の空気層で断熱材7を形成して成ることを特徴とするものである。
また請求項4の発明は、基板1の中央部と外周部の少なくとも一方に熱良導体8を設けて成ることを特徴とするものである。
また請求項5の発明は、基板1の中央部に熱良導体8を設けると共に熱良導体8をP型及びN型の熱電変換素子2,3を設けた側の基板1の表面より突出させ、P型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5を電気絶縁層9を介して熱良導体8の突出する側面に接触させて成ることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項6の発明は、基板1の中央部に熱良導体8を設け、この熱良導体8に貫通孔10を設けて成ることを特徴とするものである。
また請求項7の発明は、基板1の両面にそれぞれP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を配置して成ることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は熱電変換モジュールの一例を示すものであり、セラミックス等の電気絶縁性を有する基板1の片側の表面に複数本のP型熱電変換素子2と複数本のN型熱電変換素子3がそれぞれ設けてある。図の例では基板1は円板状に形成してあるが、基板1の形状や厚みは特に制限されるものではなく、放熱や吸熱に適した形状であればよい。
【0012】
ここで各P型熱電変換素子2やN型熱電変換素子3は、基板1の中央部の近傍から外周部の近傍へと放射状に延びるように細長い形状に形成してあり、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3は基板1の周方向に交互に配列してある。そして隣合うP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3は、基板1の中央部側の端部同士と、基板1の外周部側の端部同士を交互にPN接合してあり、基板1に配列したP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を交互に電気的に直列に接続するようにしてある。図1の実施の形態では、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3のL字形に屈曲させた中央部側の端部同士を直接接合した接合部5でPN接合すると共に、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3のL字形に屈曲させた外周部側の端部同士を直接接合した接合部6でPN接合するようにしてある。基板1の表面へのP型熱電変換素子2やN型熱電変換素子3の形成方法や、PN接合方法は、例えば印刷法で行なうことができ、印刷の後に熱処理して焼き付けることによって基板1とP型やN型の熱電変換素子2,3との間及びP型やN型の熱電変換素子2,3の端部間の接合を行なうことができる。勿論、この方法に限定されるものではなく、半田接合によってこれらの接合を行なうこともできる。またこの電気的に直列に接続されるP型とN型の熱電変換素子2,3の群の両端に位置するP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3にはそれぞれリード線19を接続して基板1から導出してある。
【0013】
上記のように形成される電熱変換モジュールにあって、リード線19からP型とN型の熱電変換素子2,3の群に直流電流を通電すると、電流は図1(a)の矢印のように基板1の表面と平行方向に流れ、例えば基板1の中央部側の各接合部5で吸熱が、外周部側の各接合部6で発熱がそれぞれ起こり、基板1の中央部が吸熱部、基板1の外周部が放熱部となって、熱は基板1の中央部から外周部へと基板1の表面に沿って移動する。P型とN型の熱電変換素子2,3の群に通電する直流電流の向きを逆にすると、基板1の外周部側の各接合部6で吸熱が、中央部側の各接合部5で発熱がそれぞれ起こり、基板1の外周部が吸熱部、基板1の中央部が放熱部となって、熱は基板1の外周部から中央部へと基板1の表面に沿って移動する。
【0014】
このように、熱を基板1の中央部と外周部の間で基板1の表面と平行に移動させることができるので、フィン等の熱交換器も基板1の面と平行に突出するように取り付けることになるものであり、従来の熱電変換モジュールのように基板1の表面と垂直な方向に熱交換器等を取り付ける大きなスペースを確保する必要がなくなり、熱電変換モジュールを組み込む製品の薄型化や小型化を図ることできるものである。また、P型熱電変換素子2やN型熱電変換素子3はそれぞれ基板1に放射状に多数本設けてあるために、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3の多数の接合部5,6で吸熱・放熱を行なわせることができ、大きな吸放熱量を得ることができるものである。
【0015】
図3は請求項2の発明を説明する熱電変換モジュールの一例を示すものであり、隣合うP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3の、基板1の中央部側の端部同士と、基板1の外周部側の端部同士を交互に電極4でPN接合してあり、P型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を電極4を介して交互に電気的に直列に接続するようにしてある。電極4は銅やアルミニウムなどの金属で形成することができる。このように電極4でP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3の中央部側と外周部側の接合部5,6が形成されるものであり、その他の構成は図1と同じである。
【0016】
このように形成される電熱変換モジュールにあって、リード線19からP型とN型の熱電変換素子2,3の群に直流電流を通電すると、中央部側の接合部5を構成する各電極4と外周部側の接合部6を構成する各電極4の一方で吸熱が、他方で発熱が起こり、基板1の中央部と外周部の一方が吸熱部、他方が放熱部となって、熱は基板1の中央部と外周部の間で基板1の表面と平行に移動する。ここで、吸熱や発熱はP型とN型の熱電変換素子2,3の接合部5,6で起こるものであり、図1の例のようにP型とN型の熱電変換素子2,3を直接接合する場合には、P型とN型の熱電変換素子2,3の接合面で吸熱や発熱が起こるが、図3の例のように電極4でP型とN型の熱電変換素子2,3を接合した場合には、電極4で吸熱や発熱が起こるために、電極4の面積によって吸熱面積や放熱面積を大きくすることができ、基板1の吸熱部と放熱部の間での熱伝達の効率を高めて、成績係数(COP)を向上させることができるものである。
【0017】
図4は請求項2の発明を説明する熱電変換モジュールの他の例を示すものである。図3の例では、電極4の両端部をP型とN型の熱電変換素子2,3の端部に埋入させるようにして、電極4でP型とN型の熱電変換素子2,3の端部同士を接合するようにしたが、図4の例では、P型とN型の熱電変換素子2,3の端部の端面を電極4の端部の側面に接触させて、電極4間にP型とN型の熱電変換素子2,3を挟み込むようにして(図4(b))、P型とN型の熱電変換素子2,3の端部同士を接合するようにしてある。
【0018】
図5は本発明の実施の形態を示すものであり、P型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5と外周部側の接合部6の間の区域において、基板1に断熱材7を設けるようにしてある。断熱材7は基板1の全周に亘るように環状に設けてあり、この断熱材7は基板1内に埋設するようにして形成してもよいが、図5の実施の形態では、P型及びN型の熱電変換素子2,3を形成した側と反対側の面において基板1に設けるようにしてある。断熱材7としては基板1の熱電導率よりも小さい熱伝導率のものを基板1に付設するようにして形成することもできるが、熱伝導率が低くコストメリットが大きいという面から、基板1に空隙7aを設けてこの空隙7a内の空気層で断熱材7を形成するのが最も好ましい(請求項3)。その他の構成は図4の例と同じであるが、図1乃至図3のものに適用することもできる。
【0019】
このようにP型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5と外周部側の接合部6の間に断熱材7を設けることによって、基板1の中央部と外周部の一方の吸熱部と他方の発熱部の間において、発熱部から吸熱部へと基板1内を熱が逆流することを断熱材7で抑制することができ、成績係数(COP)を向上させることができるものである。
【0020】
図6及び図7は請求項4の発明の実施の形態を示すものであり、基板1の中央部と外周部の少なくとも一方に熱良導体8を設けるようにしてある。図6及び図7の実施の形態では、P型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5と外周部側の接合部6の間の区域において基板1に断熱材7を設け、この断熱材7の外側と内側の区域においてそれぞれ、基板1に熱良導体8を設けるようにしてある。熱良導体8としては銅やアルミニウムなどの基板1より熱伝導率の高い金属を用いることができるものであり、熱良導体8は基板1内に埋設するようにしてもよいが、P型及びN型の熱電変換素子2,3を設けた側と反対側の面において基板1に凹部を設けてこの凹部に熱良導体8をはめ込むようにしてもよい。このように熱良導体8を基板1の表面に露出させることが、吸熱や発熱の際の熱の出入りの効率が高いために好ましいが、熱良導体8とP型及びN型の熱電変換素子2,3の間の電気絶縁性は、基板1によって確保するようにしてある。その他の構成は図1の例と同じであるが、図3乃至図5のものにも適用することができる。
【0021】
このように基板1の中央部や外周部に熱良導体8を設けることによって、基板1の中央部と外周部の一方の吸熱部における吸熱や、他方の発熱部における発熱を熱良導体8によって効率高く行なうことができ、成績係数(COP)を向上させることができるものである。
図8及び図9は請求項5の発明の実施の形態を示すものであり、基板1の中央部と外周部に熱良導体8を設け、基板1の中央部の熱良導体8をP型及びN型の熱電変換素子2,3を設けた側の基板1の表面から突出させてある。この熱良導体8の突出部20は基板1の中央部の開口から突出させてあり、突出部2の外周面にはセラミックスや樹脂、ゴム等で形成される電気絶縁層9が全周に亘って設けてある。そしてP型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5を電気絶縁層9に当接させるようにしてあり、この接合部5を電気絶縁層9を介して熱良導体8の突出部20に間接的に接触させるようにしてある。その他の構成は図6、図7の実施の形態と同じであり、基板1の中央部と外周部の熱良導体8の間の箇所において、基板1に断熱材7が設けてある。
【0022】
このようにP型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5を電気絶縁層9を介して熱良導体8の突出部20に接触させることによって、この接合部5と熱良導体8の間の熱伝導を効率良く行なわせることができ、成績係数(COP)を一層向上させることができるものである。
図10及び図11は請求項6の発明の実施の形態を示すものであり、基板1の中央部の熱良導体8に設けた突出部20に基板1の両面において開口する貫通孔10を設けるようにしてある。その他の構成は図8、図9の実施の形態と同じである。
【0023】
このように基板1の中央部において熱良導体8に貫通孔10を設けることによって、この貫通孔10に例えばチューブなど管状の伝熱体21を差し込んで装着することができ、伝熱体21を通して熱良導体8への熱の出入りを外部に対して行なうことができるものであり、基板1の表面に沿った方向以外の、例えば、基板1の表面に対して垂直な方向で熱を移動させるようにして、各種の機器に対応させることができるものである。また、図12に示すように、複数の熱電変換モジュールの各貫通孔10に伝熱体21を差し込むことによって、複数の熱電変換モジュールを積み重ねて一体化し、熱電変換モジュールブロックを形成することができるものであり、この複数の熱電変換モジュールによって大きな吸放熱量を得ることができるものである。尚、図1〜図5に示す熱電変換モジュールにあっても、基板1の中央部に同様に貫通孔を設けることによって、複数の熱電変換モジュールを積み重ねて一体化して熱電変換モジュールブロックを形成することができるものである。
【0024】
図13及び図14は請求項7の発明の実施の形態を示すものであり、基板1の両面にそれぞれP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3を放射状の配列で設けることによって、熱電変換モジュールを形成するようにしてある。図13(a)に示す基板1の表面(上面)側のP型及びN型の熱電変換素子2,3や、図13(b)に示す基板1の裏面(下面)側のP型及びN型の熱電変換素子2,3は、それぞれ図1の例と同様にして、隣合うP型熱電変換素子2とN型熱電変換素子3の中央部側の端部同士と外周部側の端部同士を交互にPN接合して、交互に電気的に直列に接続するようにしてある。そして基板1の表面側の直列に接続されたP型とN型の熱電変換素子2,3の群の一端のP型熱電半導体素子2と、基板1の裏面側の直列に接続されたP型とN型の熱電変換素子2,3の群の一端のN型熱電半導体素子3とが、基板1の外周端部にコ字形に基板1の表面から裏面に渡るように設けられた電極22で電気的に接続してあり、基板1の表面と裏面とに亘ってP型熱電半導体素子2とN型熱電半導体素子3を交互に電気的に直列に接続するようにしてある。もちろん、基板1の表面と裏面との接続は上記の形式に限定されるものではなく、電気的に直列に接続されていればよい。また基板1の表面側の直列に接続されたP型とN型の熱電変換素子2,3の群の他端のN型熱電半導体素子3と、基板1の裏面側の直列に接続されたP型とN型の熱電変換素子2,3の群の他端のP型熱電半導体素子2にそれぞれリード線19を接続して基板1から導出してある。
【0025】
また上記の図13及び図14の実施の形態では、P型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5と外周部側の接合部6の間の区域において、基板1内に断熱材7を設け、この断熱材7の外側と内側の区域においてそれぞれ、基板1内に熱良導体8を設けるようにしてある。そして基板1の中央部の熱良導体8を基板1の表裏両面から突出させてあり、この熱良導体8の突出部20の外周面に電気絶縁層9を介してP型及びN型の熱電変換素子2,3の基板1の中央部側の接合部5を間接的に接触させるようにしてある。
【0026】
上記のように形成される熱電変換モジュールにあって、リード線19から基板1の表裏両面のP型とN型の熱電変換素子2,3の群に直流電流を通電すると、電流は図13(a)(b)の矢印のように基板1の表面と平行方向に流れ、P型とN型の熱電変換素子2,3の群の基板1の中央部側の接合部5と外周部側の接合部6の一方で吸熱が、他方で発熱が起こり、基板1の中央部と外周部の一方が吸熱部、他方が放熱部となって、熱は基板1の中央部と外周部の間で基板1の表面と平行に移動する。ここで、この吸熱と発熱は基板1の両面で起こるので、吸放熱量を2倍にすることができ、より高性能な熱電変換モジュールとすることができるものである。
【0027】
上記の各実施の形態では、P型とN型の熱電変換素子2,3の群に直流電流を通電することによって、基板1の中央部と外周部の一方の吸熱部と他方の発熱部で吸熱と発熱を生じさせるペルチェ効果を利用した熱電冷却・加熱について説明したが、基板1の中央部と外周部の一方の吸熱部と他方の発熱部に温度差を与えることによって、ゼーベック効果を利用した熱電発電に利用することができるのはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】
上記のように本発明は、電気絶縁性の基板の表面に、P型熱電変換素子とN型熱電変換素子を中央部から外周部に向かって放射状に交互に複数本ずつ配置し、隣合うP型熱電変換素子とN型熱電変換素子の中央部側の端部同士と外周部側の端部同士を交互に接合してP型熱電変換素子とN型熱電変換素子を交互に電気的に直列に接続し、基板の中央部を吸熱部と放熱部のいずれか一方、基板の外周部を吸熱部と放熱部のいずれか他方とするようにしたので、基板の中央部と外周部の一方が吸熱部、他方が放熱部となって、熱は基板の中央部と外周部の間で基板の表面と平行に移動するものであり、従来の熱電変換モジュールのように基板の表面と垂直な方向に熱交換器等を取り付ける大きなスペースを確保する必要がなくなり、熱電変換モジュールを組み込む製品の薄型化や小型化を図ることできるものである。また、P型熱電変換素子やN型熱電変換素子はそれぞれ基板に放射状に多数本設けてあって、通電によってP型熱電変換素子とN型熱電変換素子の多数の接合部で吸熱・放熱を行なわせることができ、またP型熱電変換素子とN型熱電変換素子の多数の接合部で温度差を与えることによって発電することができ、大きな吸放熱量や、大きな起電力を得ることができるものである。
また、P型及びN型の熱電変換素子の基板の中央部側の接合部と外周部側の接合部の間の位置において、基板の全周に亘るように環状に断熱材を設けるようにしたので、基板の中央部と外周部の一方の吸熱部と他方の発熱部の間において、発熱部から吸熱部へと基板内を熱が逆流することを断熱材で抑制することができ、成績係数(COP)を向上させることができるものである。
【0029】
また請求項2の発明は、P型熱電変換素子とN型熱電変換素子の端部同士を電極で接合するようにしたので、吸熱や発熱はP型とN型の熱電変換素子の接合部を構成する電極に生じるものであり、電極の面積によって吸熱面積や放熱面積を大きくすることができ、基板の吸熱部と放熱部の間での熱伝達の効率を高めて、成績係数(COP)を向上させることができるものである。
【0031】
また請求項3の発明は、空隙によって断熱材を形成するようにしたので、断熱材として特別な部材が不要になり、コストメリットが大きいものである。
また請求項4の発明は、基板の中央部と外周部の少なくとも一方に熱良導体を設けるようにしたので、基板の中央部と外周部の一方の吸熱部における吸熱や、他方の発熱部における発熱を熱良導体によって効率高く行なうことができ、成績係数(COP)を向上させることができるものである。
【0032】
また請求項5の発明は、基板の中央部に熱良導体を設けると共に熱良導体をP型及びN型の熱電変換素子を設けた側の基板の表面より突出させ、P型及びN型の熱電変換素子の基板の中央部側の接合部を電気絶縁層を介して熱良導体の突出する側面に接触させるようにしたので、基板の中央部側の接合部と熱良導体の間の熱伝導を効率良く行なわせることができ、成績係数(COP)を一層向上させることができるものである。
【0033】
また請求項6の発明は、基板の中央部に熱良導体を設けると共に熱良導体をP型及びN型の熱電変換素子を設けた基板の表面より突出させ、この熱良導体に貫通孔を設けるようにしたので、貫通孔に例えば伝熱体などを差し込んで装着することができ、伝熱体を通して熱良導体への熱の出入りを外部に対して行なうことによって、基板の表面に沿った方向以外の方向で熱を移動させるようにして、各種の機器に対応させることができるものである。また、複数の熱電変換モジュールの各貫通孔に伝熱体などを差し込むことによって、複数の熱電変換モジュールを積み重ねて一体化することができるものであり、この複数の熱電変換モジュールによって大きな吸放熱量を得ることができるものである。
【0034】
また請求項7の発明は、基板の両面にそれぞれP型熱電変換素子とN型熱電変換素子を配置するようにしたので、吸熱と発熱は基板の両面においてP型熱電変換素子とN型熱電変換素子の接合部で起こるものであり、吸放熱量を2倍にすることができ、より高性能な熱電変換モジュールとすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱電変換モジュールの一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線切断端面図、(c)は(a)のB−B線切断端面図、(d)は(a)のC−C線切断端面図である。
【図2】 熱電変換モジュールの一例の斜視図である。
【図3】 請求項2の発明を説明する熱電変換モジュールの一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線切断端面図、(c)は(a)のB−B線切断端面図、(d)は(a)のC−C線切断端面図である。
【図4】 請求項2の発明を説明する熱電変換モジュールの他例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線切断端面図、(c)は(a)のB−B線切断端面図、(d)は(a)のC−C線切断端面図である。
【図5】 本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線切断端面図、(c)は(a)のB−B線切断端面図、(d)は(a)のC−C線切断端面図である。
【図6】 請求項4の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図7】 請求項4の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は図6(a)のA−A線切断端面図、(b)は図6(a)のB−B線切断端面図、(c)は図6(a)のC−C線切断端面図である。
【図8】 請求項5の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図9】 請求項5の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は図8(a)のA−A線切断端面図、(b)は図8(a)のB−B線切断端面図、(c)は図8(a)のC−C線切断端面図である。
【図10】 請求項6の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図11】 請求項6の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は図10(a)のA−A線切断端面図、(b)は図10(a)のB−B線切断端面図、(c)は図10(a)のC−C線切断端面図である。
【図12】 熱電変換モジュールブロックを示す断面図である。
【図13】 請求項7の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【図14】 請求項7の発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は図13(a)のA−A線切断端面図、(b)は図13(a)のB−B線切断端面図、(c)は図13(a)のC−C線切断端面図、(d)は図13(a)のD−D線切断端面図である。
【図15】 従来の一例の正面図である。
【図16】 従来の他例の平面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 P型熱電変換素子
3 N型熱電変換素子
4 電極
5 接合部
6 接合部
7 断熱材
7a 空隙
8 熱良導体
9 電気絶縁層
10 貫通孔
Claims (7)
- 電気絶縁性の基板の表面に、P型熱電変換素子とN型熱電変換素子を中央部から外周部に向かって放射状に交互に複数本ずつ配置し、隣合うP型熱電変換素子とN型熱電変換素子の中央部側の端部同士と外周部側の端部同士を交互に接合してP型熱電変換素子とN型熱電変換素子を交互に電気的に直列に接続し、P型及びN型の熱電変換素子の基板の中央部側の接合部と外周部側の接合部の間の位置において、基板の全周に亘るように環状に断熱材を設け、基板の中央部を吸熱部と放熱部のいずれか一方、基板の外周部を吸熱部と放熱部のいずれか他方として成ることを特徴とする熱電変換モジュール。
- P型熱電変換素子とN型熱電変換素子の端部同士を電極で接合して成ることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換モジュール。
- 空隙内の空気層で断熱材を形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電変換モジュール。
- 基板の中央部と外周部の少なくとも一方に熱良導体を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
- 基板の中央部に熱良導体を設けると共に熱良導体をP型及びN型の熱電変換素子を設けた側の基板の表面より突出させ、P型及びN型の熱電変換素子の基板の中央部側の接合部を電気絶縁層を介して熱良導体の突出する側面に接触させて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
- 基板の中央部に熱良導体を設けると共に熱良導体をP型及びN型の熱電変換素子を設けた側の基板の表面より突出させ、この熱良導体に貫通孔を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
- 基板の両面にそれぞれP型熱電変換素子とN型熱電変換素子を配置して成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
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