JP4129935B2 - テープ状物の穿孔装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はテープ状物の穿孔装置に関し、詳しくは、半導体装置におけるTAB(Tape Automated Bonding)やTCP(Tape Carrier Package)用のテープ、PGA(ピングリッドアレイ),BGA(ボールグリッドアレイ),CSP(チップサイズパッケージ)等のフレキシブル基板等に用いるテープ状物を、ロール原反から繰り出しながら所定の穿孔パターンで穿孔する穿孔装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種穿孔装置として、例えば特公平7−47279号公報や特公平7−47280号公報等に記載されたものが知られている。
これら先行技術は、基本的には機台の一方側に設けられたロール状のテープ状物を繰出し機構(繰出しロール)でX軸方向に送り出しながら、他方側に設けた巻取り機構(巻取りロール)で巻き取りつつ、繰出し機構と巻取り機構の間に設けたパンチユニットによって、テープ状物の穿孔対象部位(穿孔エリア)に所定の穿孔パターンで穿孔するよう形成したものである。
このような穿孔装置によれば、ロール状に巻回されたテープ状物を繰り出しながら穿孔することから、前もってテープ状物を板状に裁断しそれをワークホルダー等にセットする前作業が不要となり、生産性を大幅に向上し得るという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の穿孔装置によれば、繰出し機構と巻取り機構とを同期させて駆動させているものの、テープ状物に若干の緩みがあることや繰出し機構・巻取り機構間のテープ状物の自重等が影響して、繰出し機構・巻取り機構間のテープ状物、すなわちテープ状物の穿孔対象部位に「たるみ」が生じる虞れがある。
パンチユニットの両側にクランプを設けてテープ状物の穿孔対象部位を固定することも考えられるが、この場合、前記「たるみ」の解消には不十分である。また、テープ状物の穿孔対象部位にテンションをかけることも考えられるが、例えば半導体装置におけるBGA,CSP等のフレキシブル基板用であるテープ状物は、極薄テープ状物からそのフレキシブル基板を多数個取りし、且つ各フレキシブル基板のエリア内に多数の微細孔を穿孔するものでであるため、テンションがかかりすぎると前記微細孔が拡がる虞れもある。
【0004】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、繰出し機構と巻取り機構の間のテープ状物の「たるみ」を解消して、テープ状物の穿孔対象部位(穿孔エリア)を直線状に保持し、所定の穿孔パターンで正確に穿孔することができる穿孔装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、テープ状物をロール原反からX軸方向へ繰り出す繰出し機構及びそれを巻き取る巻取り機構の間に、所要横断面形状のパンチとそれに対応するダイとを備えた複数のパンチユニットからなるX軸方向及びY軸方向へ制御動可能な穿孔部を設けると共に、前記穿孔部を挟むようテープ状物の固定手段を配設した穿孔装置であって、上記固定手段は、前記テープ状物を真空吸着するバキューム機構と、固定クランプ及び可動クランプによって前記テープ状物における穿孔エリア外の部分をクランプするクランプ機構とを備え、前記可動クランプはX軸方向へ移動可能で、且つ双方のクランプでテープ状物をクランプした状態において固定クランプと反対方向へ微動し、該微動位置にて固定されるよう形成したことを要旨とする。
【0006】
このように形成した場合、繰出し機構で繰り出し、巻取り機構で巻き取りながら穿孔エリア(穿孔対象部位)が穿孔部と相対するようにテープ状物を定量送りする。その度に、テープ状物における穿孔エリア外の部分を固定クランプと可動クランプでクランプし、且つ可動クランプを固定クランプと反対方向へ移動させて、前記穿孔エリアにおける「たるみ」を解消する。この際の可動クランプの移動は微量であって、且つ微動位置にて固定されるので、テープ状物に必要以上の負荷がかからず、穿孔エリアに穿孔した多数の微細孔や、テープ状物を定量送りするための係合孔等が拡がったり、基板エリアが伸びて穿孔パターンの精度が低下するような虞れがない。
同時に、バキューム機構でテープ状物を真空吸着してテープ状物を固定するので、テープ状物の蛇行,たわみ等を解消できると共に、バキューム機構を併用する分だけ固定クランプ、可動クランプによるクランプ力を低減することが出来る。
【0007】
また、可動クランプを固定クランプと反対方向へ微動させ、該微動位置にて固定するための手段としては、例えば、シリンダ、モータ、カム、ボールネジ機構等を用い、これらを単独で或いは適宜組み合わせる等して、可動クランプを前記のように作動させるよう構成することが出来る。更に、可動クランプが、テープ状物をクランプする上下一対のクランプ部と、それら上下クランプ部をX軸方向へ摺動自在に支持する支持機構と、上下クランプ部を固定クランプと反対方向へ摺動させる付勢部材と、上下クランプ部を摺動不能に固定するロック機構と、上下クランプ部を前記付勢部材の付勢力に抗して固定クランプ方向へ摺動させる復動機構を備え、復動機構により初期位置に配置した上下クランプ部でテープ状物をクランプした状態で、復動機構の作動を解除して付勢部材の弾発力により上下クランプ部を固定クランプと反対方向へ微動させ、ロック機構により該微動位置にて上下クランプ部を固定するよう形成する。
【0008】
このように形成することで、シリンダ,モータ,カム,ボールネジ等を用いこれらを適宜組み合わせる等して可動クランプを固定クランプと反対方向へ微動させ該微動位置にて固定するよう形成した場合に比べ、比較的簡単な構成で前述した作用効果を得ることが出来る。
【0009】
また、上記テープ状物が、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)等に用いるフレキシブル基板を後工程で打抜いて多数個取りするものであり、且つ上記穿孔部が、前記テープ状物から多数個取りされるそのフレキシブル基板エリア内に多数の微細孔を穿孔するものである場合に、殊に顕著な効果が得られるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る穿孔装置の実施の形態の一例を図1〜図11を参照して説明する。図中、1はテープ状物100の供給部、2は穿孔部、3は繰出し機構、4は巻取り機構、5は固定クランプ、6は可動クランプ、10はバキューム機構を示し、繰出し機構3、巻取り機構4、バキューム機構10によりテープ状物の固定手段を形成している。
【0011】
テープ状物100は、半導体装置におけるTAB(Tape Automated Bonding)やTCP(Tape Carrier Package)用のタブテープ、PGA(ピングリッドアレイ),BGA(ボールグリッドアレイ),CSP(チップサイズパッケージ)等のフレキシブル基板用などであって、本例では、チップサイズパッケージ(CSP)用のフレキシブル基板を後工程で打抜いて多数個取りするもであり、補強テープ110が裏張りされた状態で、ロール原反100aに巻回されている。
またテープ状物100は、穿孔エリア外になる左右両側縁部分に、テープ状物100の長さ方向へ適宜間隔をおいて等間隔ごとに係合孔101を開口しており、該係合孔101を、繰出し機構3及び巻取り機構4のスプロケットホイール12,15に係合して、定量宛送られるようになっている。
【0012】
供給部1は穿孔材料である前記テープ状物100を保持し繰り出し供給し且つ巻き取るものであり、繰出し機構3と巻取り機構4から構成されている。
繰出し機構3は、ロール原反100aからテープ状物100をX軸方向へ繰り出す繰出しロール11と、テープ状物100の左右両側縁部分にその長さ方向に適宜間隔をおいて穿孔されている係合孔101に係合してテープ状物100をX軸方向に定量宛送るスプロケットホイール12と、テープ状物100に裏張りされた補強テープ110用の方向変換ロール13とを備え、テープ状物100から補強テープ110を剥離しつつ双方を定量づつX軸方法へ繰り出すよう構成されている。
巻取り機構4は、前記テープ状物100に補強テープ110を裏張りして巻き取る巻取りロール14と、上記係合孔101に係合してテープ状物100をX軸方向に定量宛送るスプロケットホイール15と、補強用テープ110の方向変換ロール16とを備え、テープ状物100に再び補強テープ110を裏張りしつつ双方を定量づつ巻き取るよう構成されている。
繰出しロール11、巻取りロール14には共にサーボモータからなる駆動源が直結されている。スプロケットホイール12、15にも、繰出しロール11、巻取りロール14と同調するように、サーボモータからなる駆動源が直結されている。
【0013】
繰出し機構3と巻取り機構4の間には、複数のパンチユニット20,20…からなる穿孔部2が配設されている。
パンチユニット20は図1,図2に示すように、中央の空間部をテープ状物100の搬入空間21とする側面視横向きコ型状を呈し、上半部に形状,大きさを異にするパンチ22を交換可能に備え、下半部にそのパンチ22と対応してダイ23を備えてなる。そうして、複数のパンチユニット20をX軸方向に対し並列させて取付台24に設置し、その取付台24を機台25に対しX軸方向及びY軸方向へ制御動可能に設置している。
符号26が取付台24(穿孔部2)をX軸方向へ制御動させるボールネジ機構、27が取付台24(穿孔部2)をY軸方向へ制御動させるボールネジ機構である。
【0014】
パンチユニット20には、芯出しカメラを装着したカメラユニット28が並設されている。そうして、繰出し機構3で所定量づつ繰り出されたテープ状物100の穿孔エリアに前記複数のパンチユニット20からなる穿孔部2で穿孔加工する実働時に、制御部7に記憶されているプログラムデータに基づいて、カメラユニット28と共に穿孔部2を機械的原点位置から所定量移動させて、前記芯出しカメラで各穿孔部位を芯出しした後、固定的な距離をおく所定のパンチ22が穿孔部位真上に位置するように、穿孔部2をX軸方向、Y軸方向に送り動した後、各パンチ22を単独打動させて、プログラム通りの穿孔パターンを穿孔加工するよう構成されている。
【0015】
固定クランプ5は、テープ状物100の送り方向において穿孔部2よりも下流側に配設されており、機台25上に設けた台座30上にベース31を設けると共に、該ベース31上にクランプシリンダ40を形成してなる。
【0016】
ベース31の上面には、テープ状物100の搬送空間32の下半部を形成する溝33が凹設され、該溝33の左右両側には、後述するクランパ43を上方へ付勢するスプリング34,34が凹部35,35内に装填されると共に、それら凹部35,35の内側には、テープ状物100における穿孔エリア外の部分、すなわちテープ状物100における左右両側縁部分(係合孔101の形成エリア)が載承される下側爪(下側クランプ部)36,36が突出状に形成されている。
【0017】
クランプシリンダ40は、ベース31上に固定した上側ベース41の下面に、前記溝33と相対向して前記搬送空間32を形成する溝42を凹設し、該溝42内に、クランパ43を上下動自在に装填すると共に、溝42の左右両側には、クランパ43を上下動可能に支持するリニアガイド44,44を凹部45,45内に収容し、それら凹部45,45の内側に、クランパ43を上下動させる押子46,46を溝42に向けて出没自在に装着し、さらにそれら押子46を出没させるエアー供給路47を上側ベース41内に形成してなる。エアー供給路47にはエアー供給管48が接続されている。
クランパ43の左右両側には、上記下側爪36,36に対応する上側爪(上側クランプ部)49,49が下向き突出状に形成されている。
【0018】
そうして、エアー供給管48を介してエアー供給路47にエアが供給されると、押子46,46が溝42に向けて下降するに伴いスプリング34,34の付勢力に抗してクランパ43が下動し、上側爪49,49が下側爪36,36に当接して、テープ状物100の穿孔エリア外の部分がクランプされる。一方、エアーの供給を停止すると、スプリング34,34の付勢力によってクランパ43が上動し、上側爪49,49が下側爪36,36から離間して、前記クランプ状態が解除されるようになる。
【0019】
可動クランプ6は、テープ状物100の送り方向において穿孔部2よりも上流側に配設されており、機台25上に設けた台座50上にベース51を固定し、該ベース51上にテーブル52をX軸方向へ摺動可能に設置すると共に、該テーブル52上にクランプシリンダ53を形成し、さらに上記テーブル52をX軸方向へ摺動自在に支持する支持機構54、可動クランプ6における上下クランプ部(後述する上側爪83,83と下側爪75,75)を固定クランプ5と反対方向へ摺動させる付勢部材55、可動クランプ6における上下クランプ部を摺動不能に固定するロック機構56、可動クランプ6における上下クランプ部を付勢部材55の付勢力に抗して固定クランプ5方向へ摺動させる復動機構57などを備えてなる。
【0020】
ベース51の上面には、テーブル52をX軸方向へ摺動自在に支持するガイドレール58,59を左右両側に設けて上記支持機構54を形成すると共に、両ガイドレール58,59の間には、テーブル52の下面中央の膨出部60が遊びをもって収容される凹部61を設けてある。
【0021】
膨出部60におけるX軸方向の両端に位置する側面60a,60bのうち、固定クランプ5側の側面60aには、凹部61の内面に先端を当接するスプリングを装着し、該スプリングが上記付勢部材55として機能する。
【0022】
また固定クランプ5と反対側の側面60bには、押子62を、凹部61の内面に当接する状態で出没自在に内蔵し、その押子62を出没させるエアー供給路63をテーブル52内に形成し、エアー供給路63にはエアー供給管64を接続して、上記復動機構57を形成する。
【0023】
凹部61の内底面には、上記膨出部60の下面に接離する押子65を出没自在に内蔵し、その押子65を出没させるエアー供給路66を台座50内に形成し、エアー供給路66にはエアー供給管67を接続して、上記ロック機構56を形成する。
【0024】
テーブル52の上面部分は固定クランプ5におけるベース31と同様に形成され、またクランプシリンダ53はクランプシリンダ40と同様に形成されている。以下、簡単に説明すれば、テープ状物100の搬送空間70の下半部を形成する溝71の左右両側には、クランパ72を上方へ付勢するスプリング73が凹部74内に装填され、それら両凹部74,74の内側には、下側爪(下側クランプ部)75,75が突出状に形成されている。
【0025】
クランプシリンダ53は、テーブル52上に固定した上側ベース76の下面に、前記溝33と相対向して溝77を凹設し、該溝77内に、クランパ72を上下動自在に装填すると共に、溝77の左右両側には、クランパ72を上下動可能に支持するリニアガイド78を凹部79内に収容し、それら凹部79の内側に、クランパ72を上下動させる押子80,80を溝77に向けて出没自在に装着し、さらにそれら押子80を出没させるエアー供給路81を上側ベース76内に形成してなる。エアー供給路81にはエアー供給管82が接続されている。
クランパ72の左右両側には、上記下側爪75,75に対応する上側爪(上側クランプ部)83,83が下向き突出状に形成されている。
【0026】
そうして、エアー供給管82を介してエアー供給路81にエアーが供給されると、押子80,80が溝77に向けて下降するに伴いスプリング73,73の付勢力に抗してクランパ72が下動し、上側爪83,83が下側爪75,75に当接して、テープ状物100の穿孔エリア外の部分がクランプされる。一方、エアーの供給を停止すると、スプリング73,73の付勢力によってクランパ72が上動し、上側爪83,83が下側爪75,75から離間して、前記クランプ状態が解除されるようになる。
【0027】
上記したエアー供給管48,64,67,82は不図示のコンプレッサーや電磁開閉弁等からなるエアー供給手段に連絡し、該エアー供給手段の作動を制御部7により制御して、エアー供給管48,64,67,82に適時にエアーを供給しクランパ43,72、押子62,65が適時に作動するよう構成する。
すなわち、まず復動機構57の押子62が突出して付勢部材55の付勢力に反してテーブル52を固定クランプ5方向へ押し、テーブル52と上側ベース76(上側爪83,83と下側爪75,75)を初期位置に配置する。テープ状物100が所定量繰り出された後、クランパ43,72を作動させて、前記初期位置にある可動クランプ6の上下爪83,75と、固定位置にある固定クランプ5の上下爪49,36により、テープ状物100の穿孔エリア外(係合孔101の形成エリア)部分をクランプする。その後、押子62を没入させて付勢部材55の弾発力によりテーブル52と上側ベース76を固定クランプ5と反対方向へ微動させ、次いで押子65を突出させて該微動位置にてテーブル52と上側ベース76を固定するよう構成する。
【0028】
バキューム機構10は、穿孔部2と固定クランプ5,可動クランプ6の間に配設されており、機台25上に設けた台座95上に、その上面がテープ状物100下面に摺接するよう内部中空状のケース96を設置し、該ケース96の側面に開口した接続口97にエアー吸引管98を接続してなる。ケース96の上面には、テープ状物100の幅寸法に相当する領域内において多数の吸引口99が開設されており、エアー吸引管98は不図示のコンプレッサーや電磁開閉弁等からなるエアー吸引手段に連絡し、該エアー吸引手段の作動を制御部7により適時に制御して、各吸引口99による真空吸着を行い、テープ状物100を吸着固定するよう構成する。
【0029】
尚、図1中に示す符号8は穿孔パターンの検査部、9は穿孔ホールのバリ検査部で、これら検査部は、テープ状物100の送り方向において穿孔部2より下流側に配設されている。
【0030】
穿孔パターンの検査部8は図11に示すように、機台25に立ち上げた機板85に、テープ状物100の上方に位置するよう支持板86を固定し、この支持板86に対し、ボールネジ機構87、88により取付台89をX軸方向及びY軸方向へ制御動可能に設置し、この取付台89に穿孔パターン検査用カメラ90を下向きに設置してなる。カメラ90は例えばライセンサーカメラを用い、テープ状物100の穿孔エリアにおける基板エリアごとの穿孔パターンを撮像するもので、その撮像画像を画像解析して二値化し白黒反転座標でもって基板エリアごとの穿孔パターンをパターン認識する画像処理部に連係されている。
【0031】
穿孔ホールのバリ検査部9は図10に示すように、機台25上に、テープ状物100の下方に位置するよう取付台91を配し、この取付台91を、ボールネジ機構92、93によりX軸方向及びY軸方向へ制御動可能に設置し、この取付台91に穿孔ホールのバリ検査用カメラ94を下向きに設置してなる。カメラ94は例えばライセンサーカメラを用い、テープ状物100の穿孔エリアにおける基板エリアごとの穿孔ホールのバリの有無を撮像するもので、その撮像画像を画像解析して二値化し白黒反転座標でもって穿孔ホールのバリの有無をパターン認識する画像処理部に連係されている。
【0032】
以上のように構成した本例の穿孔装置の作動を説明すれば、まず復動機構57の押子62の作動で可動クランプ6を初期位置に配置させ、この状態で繰出し機構3と巻取り機構4を作動させて、ロール状に巻回された原反100aからテープ状物100をX軸方向へ定量繰り出す。
次いで、固定クランプ5と可動クランプ6のクランパ43,72でテープ状物100の穿孔エリア外の部分をクランプした後、押子62を没入させて可動クランプ6をX軸方向へおいて固定クランプ5と反対方向へ微動させ、テープ状物100の穿孔エリアにおける「たるみ」を解消する。さらにロック機構56の押子65を作動させて可動クランプ6を前記微動位置にて固定し、テープ状物100の穿孔エリアに必要以上の負荷がかかる虞れを無くす。
さらに、バキューム機構10,10でテープ状物100を吸着固定してテープ状物100の蛇行を解消する。
この状態で穿孔部2を作動させて所定の穿孔パターンで穿孔を行った後、固定クランプ5と可動クランプ6によるクランプを解除すると共に、バキューム機構10,10による真空吸着を解除し、次いでテープ状物100をX軸方向へ定量繰り出し、穿孔がなされた部分は穿孔パターンの検査部8、穿孔ホールのバリ検査部9にて所定の検査を行うと共に、復動機構57の作動で可動クランプ6を初期位置に配置させ、次の穿孔作業に備える。
このようにしてテープ状物100を定量づつ繰り出し且つ巻き取りながら、ロール状に巻回されたテープ状物100に所定の穿孔を施す。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係る穿孔装置は以上説明したように、ロール状に巻回されたテープ状物を繰り出しながら穿孔するに際し、テープ状物の「たるみ」を可動クランプの微動により解消し、且つその可動クランプは微動位置にて固定することでテープ状物に必要以上の負荷がかかる虞れを無くすと共に、テープ状物の蛇行をバキューム機構による真空吸着で解消し、且つバキューム機構を併用することで固定クランプ,可動クランプによるクランプ力を低減してテープ状物に係る長さ方向の負荷を低減することが出来る。よって、穿孔した多数の微細孔や、テープ状物を定量送りするための係合孔等が拡がったり、基板エリアが伸びて穿孔パターンの精度が低下するような虞れがないから、所定の位置に正確に穿孔することができる。
【0034】
復動機構により初期位置に配置した上下クランプ部でテープ状物をクランプした後、復動機構の作動を解除して付勢部材の弾発力により上下クランプ部を固定クランプと反対方向へ微動させ、ロック機構により該微動位置にて上下クランプ部を固定するよう形成した場合は、比較的簡単な構成で上記効果を得ることが出来る。
【0035】
本発明の穿孔装置は、テープ状物がBGA、CSP等に用いるフレキシブル基板を後工程で打抜いて多数個取りするものであり、且つ穿孔部が前記テープ状物から多数個取りされるそのフレキシブル基板エリア内に多数の微細孔を穿孔するものである場合に、殊に顕著な効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る穿孔装置の実施の形態の一例を示す簡略正面図。
【図2】穿孔部の拡大斜視図。
【図3】バキューム機構の拡大斜視図。
【図4】固定クランプの拡大斜視図。
【図5】可動クランプの拡大斜視図。
【図6】固定クランプの縦断側面図。
【図7】図6の(I)−(I)線に沿う断面図。
【図8】可動クランプの縦断側面図。
【図9】図8の(II)−(II)線に沿う断面図。
【図10】穿孔ホールのバリ検査部の拡大斜視図。
【図11】穿孔パターンの検査部の拡大斜視図。
【符号の説明】
100:テープ状物
2:穿孔部
3:繰出し機構
4:巻取り機構
5:固定クランプ
6:可動クランプ
10:バキューム機構
20:パンチユニット
36,75:下側爪(下側クランプ部)
49,83:上側爪(上側クランプ部)
54:支持機構
55:付勢部材
56:ロック機構
57:復動機構
Claims (2)
- テープ状物をロール原反からX軸方向へ繰り出す繰出し機構及びそれを巻き取る巻取り機構の間に、所要横断面形状のパンチとそれに対応するダイとを備えた複数のパンチユニットからなるX軸方向及びY軸方向へ制御動可能な穿孔部を設けると共に、前記穿孔部を挟むようテープ状物の固定手段を配設した穿孔装置であって、
前記固定手段は、前記テープ状物を真空吸着するバキューム機構と、固定クランプ及び可動クランプによって前記テープ状物における穿孔エリア外の部分をクランプするクランプ機構とを備え、
前記可動クランプは、前記テープ状物をクランプする上下一対のクランプ部と、それら上下クランプ部をX軸方向へ摺動自在に支持する支持機構と、前記上下クランプ部を前記固定クランプと反対方向へ摺動させる付勢部材と、前記上下クランプ部を摺動不能に固定するロック機構と、前記上下クランプ部を前記付勢部材の付勢力に抗して前記固定クランプ方向へ摺動させる復動機構を備え、該復動機構により初期位置に配置した前記上下クランプ部で前記テープ状物をクランプした状態において、前記復動機構の作動を解除して前記付勢部材の弾発力により前記上下クランプ部を前記固定クランプと反対方向へ微動させ、前記ロック機構により該微動位置にて前記上下クランプ部を固定するよう形成したことを特徴とするテープ状物の穿孔装置。 - 前記テープ状物が、BGAやCSP等に用いるフレキシブル基板を後工程で打抜いて多数個取りするものであり、且つ前記穿孔部が、前記テープ状物から多数個取りされるそのフレキシブル基板エリア内に多数の微細孔を穿孔するものであることを特徴とする請求項1記載のテープ状物の穿孔装置。
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