JP4125849B2 - 酸素センサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、内燃機関や各種燃焼機関等におけるジルコニアラムダセンサ、空燃比制御センサ等を構成するための酸素センサ素子に関する。
【0002】
【従来技術】
酸素センサ素子として、従来より、有底筒状に焼成された固体電解質体を備えるものが多く使用されている。一方、この酸素センサ素子と比較して、ヒータの発熱効率を向上させることができ、酸素センサを早期に活性化させることができる厚膜型酸素センサ素子が約20年前に提案されている。この厚膜型酸素センサ素子としては、例えば、ヒータが内設されるとともに、絶縁性セラミックであるアルミナからなる基体に、ジルコニアからなる固体電解質層を積層し、一体化したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記厚膜酸素センサ素子にあっては、基体となるアルミナを主成分とする未焼成基体に、固体電解質層となるジルコニアを主成分とする未焼成固体電解質層を積層し、その積層体を一体に焼成する必要がある。しかし、アルミナとジルコニアは熱膨張率が大きく異なるうえ、ジルコニアについては温度雰囲気に依存して体積変化を伴う相転移を起こし易い。
【0004】
このように積層体を一体に焼成する場合、その焼成工程における昇降温に伴って、両者の熱膨張率の差に起因する熱応力が働き、更にはジルコニアが相転移を起こして、その結果、固体電解質層に発生するクラックを十分に抑えられず、且つ、固体電解質層と基体とを強固に接合できないおそれがある。また、このようなクラックの発生は、酸素センサ素子が使用される約−20℃〜1100℃の冷熱サイクル(以下、単に「冷熱サイクル」という)の環境における昇降温に伴って発生し易い。これに対して、特開昭61−51557号公報、特開昭61−172054号公報、及び特開平6−30073号公報には、上記クラックの発生を抑え、或いは基体と固体電解質層とを強固に密接させる方法が開示されているが、未だ十分ではない。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、固体電解質層におけるクラックの発生を十分に抑えられ、各層が強固に接合された酸素センサ素子を提供することを目的とする。
【0006】
【発明が解決しようとする手段】
一体に焼成されてなる絶縁性セラミックを主成分とする基体とジルコニアを含有する固体電解質層を備える酸素センサ素子において、固体電解質層におけるクラックの発生を抑え、且つ両者を強固に接合させるためには、固体電解質層となる未焼成固体電解質層に、基体の主成分である絶縁性セラミックを含有させることが有効である。この理由は、固体電解質層と基体との間に働く両者の熱膨張率差に起因する熱応力を緩和できるからである。しかし、固体電解質層(未焼成固体電解質層)に含有されるジルコニアに対するアルミナの量比が高くなるに従い、固体電解質層の酸素イオン伝導性は低下するため、実用上は、アルミナの含有量を数質量%以下、特に5質量%以下に抑える必要があるとされてきた。ところが、数十質量%以上のアルミナを含有させても、固体電解質として十分に機能することが本発明者らの検討により見出された。このことは、固体電解質の特性を利用する厚膜型酸素センサ素子において極めて有益な知見である。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
【0007】
本発明の酸素センサ素子は、絶縁性セラミックからなる基体に対して、固体電解質層が一体に設けられた酸素センサ素子であって、
上記基体の内部にヒータが配設され、上記固体電解質層の上記基体と接する側の面に基準電極が、他面に測定電極が形成され、該固体電解質層は、ジルコニアと上記絶縁性セラミックとを含有し、該ジルコニアと該絶縁性セラミックの合計量を100質量%とした場合に、該絶縁性セラミックの含有量は10〜80質量%の範囲内であり、
上記基体と、上記固体電解質層及び上記基準電極との間に、上記ジルコニア及び上記絶縁性セラミックを含有する中間層を備え、該ジルコニア及び該絶縁性セラミックの合計を100質量%とした場合に、該中間層の該絶縁性セラミックの含有割合は、該固体電解質層に比べて10質量%以上多く、
上記固体電解質層の層厚は0.5〜2mmであり、上記中間層の厚さは5〜200μmであることを特徴とする。
【0008】
上記「基体」は、高温において安定であり、絶縁性を有するものがよく、これを構成する絶縁性セラミックとしては特に限定されないが、アルミナ、ムライト、スピネル等を挙げることができる。上記「固体電解質層」は、酸素イオン伝導性を有する。本発明では、この固体電解質層が上記「ジルコニア」と、基体を構成する材料である上記「絶縁性セラミック」を含有していることが重要である。とりわけ、その「ジルコニア」と「絶縁性セラミック」の合計量を100質量%とした場合に、絶縁性セラミックの含有量が10〜80質量%の範囲内であることが重要である。そして、固体電解質層中に、この層が積層されることとなる基体の主成分と同材料である絶縁性セラミックが上記範囲内で含有されることにより、固体電解質層と基体との間に働く両者の熱膨張率差に起因する熱応力を有効に緩和でき、固体電解質層におけるクラックの発生を十分に抑制でき、且つ両者を強固に接合させることができる。
【0009】
更には、絶縁性セラミックの含有量を上記範囲内とすることにより、固体電解質層中のジルコニアの粒成長を抑制する効果が得られ、その結果、焼成工程や冷熱サイクルでの昇降温に伴うジルコニアの相転移を抑制することができ、また、相転移が一部で生じたとしても応力が分散され易くなるのでクラックの発生を抑制することができる。
【0010】
固体電解質層に含有される絶縁性セラミックは、上述のように「10〜80質量%」である。絶縁性セラミックの含有量が10質量%未満であると、固体電解質層におけるクラックの発生が十分に抑えられず、基体と固体電解質層とが特に端部において剥離を生ずることがある。一方、この含有量が80質量%を超えると、固体電解質層の抵抗値が高くなり、酸素イオン伝導性が損なわれる。この絶縁性セラミックの含有量は、20〜75質量%であることが好ましく、第2発明のように、30〜70質量%であることがより好ましい。
【0011】
尚、固体電解質層中における絶縁性セラミック及びジルコニアの含有量は、通常使用される化学分析によって求めることができる他、電子顕微鏡写真の画像解析によっても求めることが可能である。例えば、上述と同様にして撮影したBEI像のSEM写真を用い、これをスキャナー等により電子情報として取り込み、この電子情報を画像解析装置(例えば、ニレコ社製、型式「ルーゼックスFS」等)により、特定の組成の粒子間の面積率として算出し、この面積率より理論体積率を近似的に算出し、この理論体積率を含有率として置き換えることが可能である。
【0012】
また、固体電解質層に含有されるジルコニアは、安定化ジルコニア及び部分安定化ジルコニアとして含有されることが好ましく、特に、部分安定化ジルコニアを多く含有することが好ましい。これにより、焼成工程や冷熱サイクルでの昇降温に伴うジルコニアの相転移が比較的起こり難くなり、また、固体電解質層の機械的強度、靱性及び耐熱衝撃性等を優れたものとすることができる。なお、この固体電解質層中のジルコニアを100モル%とした場合に、安定化剤は2〜9モル%含有されることが好ましく、4〜9モル%含有されることがより好ましい。この安定化剤としては、イットリア、マグネシア及びカルシア等を使用することができる。
【0016】
また、本発明の酸素センサ素子の製造方法については、絶縁性セラミックからなる未焼成基体に対して、ジルコニア原料粉末と該絶縁性セラミック原料粉末とを含有する混合粉末、及び少なくともバインダを含み、且つジルコニアと絶縁性セラミックの合計量を100質量%とした場合に、該絶縁性セラミックの含有量が10〜80質量%の範囲内となる未焼成固体電解質層を積層し、一体に焼成することができる。
【0017】
上記「一体に焼成する」とは、絶縁性セラミックからなる未焼成基体に対して、上記未焼成固体電解質層を少なくとも積層した後に、これらを一つの積層体として焼成することを意味する。また、絶縁性セラミックとしては特に限定されることなく、アルミナ、ムライト、スピネル等を挙げることができるが、高温下での安定性、機械的強度、耐熱性及び絶縁性等を考慮して、アルミナが最も好ましい。
【0018】
上記「焼成」は、1350〜1600℃(より好ましくは、1400〜1550℃)で行うことが好ましい。この焼成温度が1350℃未満では、上記積層体を十分に焼結することができず、緻密な焼結体を得にくい。一方、焼成温度が1650℃を超える場合には、ジルコニアの粒子が異常粒成長を起こすおそれがある。尚、上記焼成温度の条件における焼成時間に関しては、0.5〜6時間(より好ましくは1〜2時間)保持させることが好ましい。また、上記積層体を前記焼成温度範囲内にて保持するにあたり、上記温度範囲内の任意の温度を一定に維持させながら所定時間保持させてもよいし、上記温度範囲内において所定の加熱パターンに従って温度を変動させつつ所定時間保持させてもよい。
【0019】
更に、ジルコニア原料粉末は、共沈法により得られるとともに、ジルコニア及び安定化剤を含有することが好ましい。共沈法によると、安定化剤及びジルコニアが特に均一に混合され、且つ小さな粒度を有する平均粒径1.0μm以下のジルコニア原料粉末を容易に得ることができる。尚、安定化剤としては、上述したようにイットリア、マグネシア、及びカルシア等が挙げられる。
【0022】
固体電解質層の表面に形成される「測定電極」と「基準電極」は、例えば、白金を含有するペースト等を電極パターンとして印刷し、焼成することにより形成することができる。なお、この白金を含有するペーストには、アルミナ、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア等を添加することもできる。そして、この基準電極及び測定電極が固体電解質層の表裏面に設けられ、測定電極に被測定ガスが接触し、且つ、基準電極に参照ガスが接触することによってこの電極間の酸素濃度差に応じた酸素濃淡電池起電力が生じる。
【0023】
また、基体の内部に配設される「ヒータ」は、固体電解質層を加熱するものであって、通常、発熱部及びヒータリード部から構成される。このヒータリード部は、発熱部に電圧を印加するためのリード線と発熱部とを繋ぐ部分である。ところで、ヒータを備える酸素センサ素子は、このヒータの発熱特性はヒータを構成する材料の抵抗値を焼成温度により調節されるものである。このため、ヒータは用途及び目的に応じて発熱特性を制御できることが好ましく、幅広い温度範囲において焼成できることが望ましい。そこで、本発明では、上述したようにセラミック積層体を形成するための焼成可能な温度範囲が1350〜1600℃と幅広いものであり、このことはヒータを上記未焼成基体及び上記未焼成固体電解質層と一体に焼成する場合に、ヒータの抵抗値を所定値の上下50%の間で幅広く制御することを可能とし得る。
【0024】
更に、上記基体と、上記固体電解質層及び上記基準電極との間に、ジルコニア及び上記絶縁性セラミックを含有する中間層を備え、該ジルコニア及び該絶縁性セラミックの合計を100質量%とした場合に、該中間層の該絶縁性セラミックの含有割合は、該固体電解質層に比べて10質量%以上(より好ましくは15質量%以上)多い。この中間層は、基体と固体電解質層との間の熱膨張率を有し、焼成工程や冷熱サイクルでの昇降温に伴うクラックの発生がより確実に抑えられる。更に、その絶縁セラミックの含有量が、同材料からなる基体と同材料を10〜80質量%含有する固体電解質層との間にあるため、この中間層を介して基体と固体電解質層とをより強固に接合させることができる。
【0025】
中間層は、特に固体電解質層の絶縁セラミックの含有量が少ない場合は2層以上とすることができる。その場合、アルミナ基体側から固体電解質層側へと順次絶縁セラミックの含有量の少ない中間層とすることにより、更に効果的にクラックの発生を抑えることができる。また、これら絶縁性セラミックの異なる2層以上の中間層を介して基体と固体電解質層とを更に強固に接合させることができる。この中間層は、基体の全表面に形成してもよいし、基準ガス導入方式の酸素センサ素子とする場合は、少なくとも固体電解質層側の中間層、或いは2層以上の全中間層を基準ガス導入路形成層とすることができる。
【0026】
中間層の厚さ(2層以上である場合は全厚さとする)は5〜200μmであり、特に10〜100μm、更には20〜50μmとすることが好ましい。中間層の厚さが5μm未満であると、固体電解質層におけるクラックの発生を抑え、基体と固体電解質層とを強固に接合する作用が不十分となるため好ましくない。一方、この厚さが200μmを超えると、酸素センサ素子とした場合に、絶縁性セラミックからなる基体に内設されたヒータからの伝熱が遅れ、固体電解質層を効率良く昇温させ、速やかに活性化させることができないことがある。また、中間層が厚すぎると、却って熱歪みによる固体電解質層におけるクラックが発生し易くなる。
【0027】
本発明の酸素センサ素子において、基体及び固体電解質層、或いは中間層に含まれることなる絶縁性セラミックとしては、アルミナであることが好ましい。この理由は、アルミナが、高温において安定であり、機械的強度、耐熱性及び絶縁性に優れ、固体電解質層との接合強度の点からみても優れているためである。
【0028】
更に、固体電解質層の基体とは反対側の面に、相対密度が60〜99.5%(より好ましくは80〜99.5%)であるセラミック層を積層することが、固体電解質層におけるクラックの抑制に効果的である。相対密度が60%未満であると、被毒防止層を設けた場合であっても、測定電極がPb、Si及びP等により被毒することを十分に抑制ないし防止することができないことがある。一方、この相対密度が99.5%を超えると、被測定ガスに含まれる酸素が測定電極に速やかに、且つ十分に到達せず、酸素センサ素子の応答性が低下する傾向にある。
【0029】
このセラミック層の厚さは10〜200μm、特に20〜100μm、更には25〜70μmとすることが好ましい。セラミック層の厚さが10μm未満であると、測定電極などを保護し、酸素センサ素子全体を強化する作用が低下するため好ましくない。
被毒防止層は、スピネル等からなる。尚、この被毒防止層を設ける場合は、この部位のセラミック層はスラリーを塗布した塗膜より形成される相対的に薄い層とし、その他の部分には、特に、被毒防止層と同程度の厚さのシートより形成される相対的に厚い層とすることができる。このようにすれば基体と被毒防止層との間の段差がなくなり、段差による応力集中が緩和されるため好ましい。
【0031】
基準ガス導入方式の酸素センサ素子の場合、固体電解質層の層厚は、0.5〜2mm(より好ましくは0.7〜1.5mm、更に好ましくは0.9〜1.3mm)である。この層厚が0.5mm未満であると機械的強度が十分でなくなるため好ましくない。一方、2mmを超えると素子そのものの熱容量が大きくなり、低温におけるセンサ感度が十分でなくなるため好ましくない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、酸素センサ素子の製造に関する実験例により本発明を更に詳しく説明する。
実験例1
この実験例は、基準酸素自己生成方式の酸素センサ素子に関する。以下、酸素センサ素子を分解して模式的に表す図1を参照して説明する。
(1)焼成後、基体となるアルミナグリーンシートの作製
絶縁性セラミックであるアルミナ粉末に、所要量のブチラール樹脂及びジブチルフタレート等を配合し、ペーストを調製した後、ドクターブレード法により、厚さ0.4mmの未焼成基体であるアルミナグリーンシートa(焼成後、基体1aとなる。)及びb(焼成後、基体1bとなる。)を作製した。尚、この基体1aと基体1bによってアルミナ基体1が形成される。
【0033】
(2)ヒータパターンの形成
アルミナグリーンシートaの表面に、アルミナを配合した白金ペーストを塗布し、厚さ約20μmのヒータパターン(焼成後、発熱部3並びにリード部3a及び3bとなる。)を形成し、乾燥させた後、白金からなるリード線を配設した。次いで、この面にアルミナグリーンシートbの一面を圧着した。
【0034】
(3)焼成後、第1中間層及び第2中間層となる塗膜の作製
アルミナ粉末80質量部(以下、単に「部」という)、安定化剤として5.5モル%のイットリアを含有するジルコニア原料粉末20部とからなる混合粉末に、所要量のブチラール樹脂及びジブチルフタレートを配合し、ペーストを調製後、アルミナグリーンシートbの他面に塗布し、厚さ約20μmの第1塗膜(焼成後、第1中間層2aとなる。)を形成した。その後、この第1塗膜の表面に、ジルコニア原料粉末を50部とした他は同様にして厚さ約20μmの第2塗膜(焼成後、第2中間層2bとなる。)を形成した。
【0035】
(4)基準電極パターンの形成及び基準電極リード線の配設
第2塗膜の表面に、白金ペーストを用いて基準電極パターン(焼成後、基準電極4及び基準電極リード部4aとなる。)を印刷し、乾燥させ、厚さ20μmの塗膜を形成した後、センサ出力取り出し用の基準電極リード線となる白金線を配設した。
【0036】
(5)焼成後、固体電解質層となる未焼成固体電解質層の作製
安定化剤として5.5モル%のイットリアを含有するジルコニア原料粉末90部とアルミナ粉末10部とからなる混合粉末に、所要量のブチルカルビトール、ジブチルフタレート、分散剤、及びバインダを配合し、ジルコニアペーストを調製した。このジルコニアペーストを、基準電極パターン上に塗布し、乾燥させ、厚さ15μmの未焼成固体電解質層を形成した。その後、同様にして更に2回塗布し、合計厚さが45μmの未焼成固体電解質層(焼成後、固体電解質層6となる。)を形成した。
【0037】
(6)測定電極パターンの形成及び測定電極リード線の配設
未焼成固体電解質層の表面に白金ペーストを用いて測定電極パターン(焼成後、測定電極5及び測定電極リード部5aとなる。)を印刷し、乾燥させ、厚さ20μmの塗膜を形成した後、センサ出力取り出し用の測定電極リード線となる白金線を配設した。
【0038】
(7)焼成後、アルミナセラミックス層となるアルミナ塗膜の形成
測定電極パターン及び未焼成固体電解質層の表面に、(1)において調製したアルミナペーストを塗布し、乾燥させ、約20μmの厚さの塗膜を形成した。その後、同様にして更に2回塗布し、合計厚さが約60μmのアルミナ塗膜(焼成後、アルミナセラミックス層7となる。)を形成した。
【0039】
(8)脱脂及び焼成
(1)〜(7)の工程によって形成された積層体を、大気雰囲気下、420℃で2時間保持し、脱脂した。その後、大気雰囲気下、1520℃で1時間保持し、焼成した。このようにして得られた酸素センサ素子の特に端面等を目視によって観察したところ、クラックはまったくみられず、層間の剥離もまったくなく、素子全体の反り等の問題もなかった。
【0040】
また、(1)において調製したアルミナペーストをアルミナシートの表面に塗布し、30mm(長さ)×10mm(幅)×1mm(厚さ)の塗膜とした後、上記(8)と同様にして脱脂し、焼成した。得られた試片の密度をアルキメデス法によって測定したところ3.63g/cm3であり、理論密度に対する相対密度は91.4%であった。酸素センサ素子に形成されたアルミナセラミックス層の相対密度もこの程度であると推察される。
【0041】
実験例2
この実験例は、固体電解質層のアルミナ含有量と固体電解質層の内部抵抗との相関を検討したものである。
5.5モル%のイットリアを含有するジルコニア原料粉末及びアルミナ粉末を表1の割合となるように混合し、更に、所要量のブチルカルビトール、ジブチルフタレート、分散剤、及びバインダを配合し、ジルコニアペーストを調製した。このペーストを用いて実験例1と同様に酸素センサ素子1〜14を作製した。この酸素センサ素子を保護管に組み付け、ヒータに通電はせずに、都市ガスを用いた燃焼ガスによってセンサ出力より内部抵抗を測定した。バーナポートの燃焼ガスの温度は600℃とした。この結果を表1に併記する。
【0042】
【表1】
【0043】
表1より、素子の内部抵抗は、固体電解質層にアルミナが含有されていない場合は0.2kΩであった。含有量が30%では0.4kΩ、50%では0.6kΩ、60%では0.6kΩ、70%では0.7kΩ、及び80%では25〜40kΩであった。この結果から、固体電解質層のアルミナ含有量の上限値を80%とした。
【0044】
実験例3
オートクレーブ耐久性試験
実験例2の(1)〜(5)までに得られる未焼成のセラミック積層体1〜14をオートクレーブを用いて、温度200℃、湿度100%、圧力15atmの条件下で、6時間保持した。その後、生じたクラックを水溶性の赤色インクにより着色し、この着色度合いにより、各試験片の耐久性を評価した。この結果を表1に示す。但し、○はクラックが生じなかったことを示し、×はクラックが生じたことを示す。
この結果より、本発明の範囲内のアルミナ含有割合で有ればクラックを生じないことが分かる。
【0045】
尚、本発明においては、上記の具体的な実験例に記載されたものに限られず、目的、用途等に応じて本発明の範囲内で種々変更した実験例とすることができる。即ち、アルミナ基体及び固体電解質層には、それらの所要特性が損なわれない範囲でアルミナ、ジルコニア及びイットリア以外の他のセラミックスが含有されていてもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、固体電解質でのクラックの発生が抑えられ、強固に密接されており、且つ固体電解質層が相当量のアルミナを含有しているにもかかわらず、十分な酸素イオン導伝性が維持されており、応答性等に優れた酸素センサ素子とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸素センサ素子の一例を分解して模式的に表す斜視図である。
【図2】本発明の酸素センサ素子の他例を分解して模式的に表す斜視図である。
【符号の説明】
1;アルミナ基体、1a、1b;基体、2a;第1中間層、2b;第2中間層、3;発熱部、3a、3b;リード部、4;基準電極、4a;基準電極リード部、5;測定電極、5a;測定電極リード部、6;固体電解質層、7;アルミナセラミックス層、8;被毒防止層。
Claims (5)
- 絶縁性セラミックからなる基体に対して、固体電解質層が一体に設けられた酸素センサ素子であって、
上記基体の内部にヒータが配設され、上記固体電解質層の上記基体と接する側の面に基準電極が、他面に測定電極が形成され、該固体電解質層は、ジルコニアと上記絶縁性セラミックとを含有し、該ジルコニアと該絶縁性セラミックの合計量を100質量%とした場合に、該絶縁性セラミックの含有量は10〜80質量%の範囲内であり、
上記基体と、上記固体電解質層及び上記基準電極との間に、上記ジルコニア及び上記絶縁性セラミックを含有する中間層を備え、該ジルコニア及び該絶縁性セラミックの合計を100質量%とした場合に、該中間層の該絶縁性セラミックの含有割合は、該固体電解質層に比べて10質量%以上多く、
上記固体電解質層の層厚は0.5〜2mmであり、上記中間層の厚さは5〜200μmであることを特徴とする酸素センサ素子。 - 上記固体電解質層に含有される絶縁性セラミックの含有量は、30〜70質量%である請求項1記載の酸素センサ素子。
- 上記絶縁性セラミックは、アルミナである請求項1又は2に記載の酸素センサ素子。
- 上記測定電極及び上記固体電解質層の表面に、相対密度が60〜99.5%であるセラミック層が接合された請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の酸素センサ素子。
- 上記固体電解質層の上面の上記測定電極に対応する部位に被毒防止層が設けられた請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の酸素センサ素子。
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