JP4125042B2 - 非磁性トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法のごとき画像形成方法における静電荷潜像を顕像化するための非磁性トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電荷像担持体(感光体)上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像とし、必要に応じて紙などの転写材にトナー像を転写した後、熱・圧力等により転写材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。
【0003】
電気的潜像をトナーにより可視化する方法としては、カスケード現像法、加圧現像法、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤を用いる磁気ブラシ現像法、トナー担持体が潜像担持体と非接触でトナーをトナー担持体から潜像担持体へ飛翔させる非接触一成分現像法、トナー担持体を潜像担持体に圧接させ電界によってトナーを転移させる接触一成分現像法などが用いられている。
【0004】
また、プリンター装置はLED、LBPプリンターが最近の市場の主流になっており、技術の方向としてより高解像度即ち、従来240、300dpiであったものが400、600、800、1200dpiとなって来ている。それと同時にプリント速度の向上も切望されている。従って現像方式もこれに伴ってより高精細が要求されてきている。また、複写機においても高機能化が進んでおり、そのためデジタル化の方向に進みつつある。この方向は、静電潜像をレーザーで形成する方法が主であるため、やはり高解像度の方向に進んでおり、ここでもプリンターと同様に高解像・高精細の現像方式が要求されてきている。この要求を満たす一つの手段としてトナーの小粒径化が進んでおり、特開平1−112253号、同1−191156号、同2−214156号、同2−284158号、同3−181952号、同4−162048号各公報などでは特定の粒度分布を有する粒径の小さいトナーが提案されている。
【0005】
一方、現像工程で感光体上に形成されたトナー像は転写工程で転写材に転写されるが、感光体上に残った画像部の転写残トナー及び非画像部のカブリトナーはクリーニング工程でクリーニングされ、廃トナー容器に蓄えられる。このクリーニング工程については、従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等が用いられていた。装置面からみると、かかるクリーニング装置を具備するために装置が必然的に大きくなり装置のコンパクト化を目指す時のネックになっていた。さらには、エコロジーの観点より、省エネルギーと言う意味から、定着性に優れたトナーが、また、トナーの有効活用と言う意味で廃トナーの少ないシステムが望まれており、転写効率が高くカブリの少ないトナーが求められている。
【0006】
こういった画像形成プロセスにおいて用いられる現像剤は、結着樹脂と着色剤を主成分とするトナーから構成されており、他に、荷電制御剤、離型剤などトナーとして必要な特性を引き出すための添加剤を含有している。
【0007】
ここで、前述したように、近年の技術の方向としてより高解像度で高精細の現像方式が要求されてきており、こういった要求に応えるために、トナーの粒径を小さくする方向に進んでいるが、このようにトナー粒径が小さくなるほど、トナー粉体の安定な摩擦帯電は重要な技術となる。即ち、細かい個々のトナー粒子に均一な帯電量を持たせないと、画像安定性の低下がより顕著に現れ易い。これは、単純にトナーの粒径が小さくなるだけで、トナー個々の帯電量が不足し易くなり、転写工程でトナー粒子にかかるクーロン力に比して、トナー粒子の感光体への付着力(鏡像力やファンデルワールス力など)が大きくなり、結果として転写残トナーが増加することに加えて、トナーの小径化には流動性の悪化が伴うため個々のトナー粒子の帯電量が不均一となり易く、カブリや転写性の悪いトナー粒子が多くなるためである。このような観点から、帯電量が高くて均一なトナーを供給する技術の確立が強く求められている。
【0008】
上記のような問題を製造方法の改良により解決する試みがなされている。
【0009】
従来トナーは、結着樹脂、着色剤等を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置により粉砕し、分級機により分級して、所望の粒径を有するトナーとして製造(粉砕法)されてきたが、トナーの微小粒径化には材料の選択範囲に制限がある。例えば、樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に使用可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。この要求から樹脂着色剤分散体を脆くするため、この樹脂着色剤分散体を実際に高速で微粉砕する場合に、広い粒径範囲の粒子が形成され易く、特に比較的大きな割合の微粒子(過度に粉砕された粒子)が多く生成すると共に、さらに、このように高度に脆性の材料は、複写機等において現像用トナーとして使用する際、しばしば、さらに微粉砕乃至粉化を受ける。
【0010】
また、トナー中には帯電安定性の目的から公知の帯電制御剤が混合分散されているが、帯電制御剤は凝集し易いものが多く、トナーバインダー中に均一に分散させることが極めて困難である。この影響はトナー粒径を小さくするほど大きくなり、従って個々のトナー粒子への荷電制御剤の分散が不均一となるため、トナーの帯電分布が広くなり、カブリ、転写性などの問題を生じる。このため、樹脂とのなじみが良い有機染料、例えば、ニグロシン系染料やアゾ系染料などを帯電制御剤として用いることが考えられるが、これらは機械的衝撃、摩擦、温湿度条件の変化などにより分解または変質し易く、荷電制御性が低下する現象を起こし易い。結果として、現像特性、耐久性などのトナーに要求される種々の特性の変動或いは劣化を引き起こすというものである。
【0011】
またこれらの中で他成分との相溶性、安定性に優れる点から、極性高分子の荷電制御剤が近年注目されており、例えば、特開平3−56974号、同8−179564号、同11−184165号、同11−288129号、同11−327208号、特開2000−56518号各公報においてスルホン酸基、或いは類似の官能基を必須成分とするトナーとして開示されている。しかしながら、これらの荷電制御剤を用いた場合でも小粒径のトナーとした場合には、むしろ他の金属化合物系の帯電制御剤を加えた場合と比較しても帯電分布の広いトナーとなることが分かってきた。
【0012】
これは本発明者等の検討の結果、これらの荷電制御剤そのものの帯電においてはある程度十分な性能を有するものの高分子であるため抵抗が高く、チャージアップし易い傾向であり、トナー粒子中の分散不良やトナー粒度分布の影響を受け易いためであるということがわかってきた。
【0013】
このような問題点を克服するため、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。
【0014】
重合法によるトナー(重合トナー)は、帯電制御剤を重合性単量体中に溶解させるため分散が均一となり、また、粒度分布のシャープなトナーを得ることが比較的容易である点で優れている。
【0015】
しかし、帯電制御剤を重合性単量体中に溶解させてから重合を開始した場合、トナーの帯電量の立ち上がりが遅くなり、特に高湿下においてトナーの帯電性が悪く、図1に示すような所謂ゴーストと呼ばれる濃淡が画像上に出てしまう。これは、重合法においては、極性の高い帯電制御剤はトナー表面近傍に偏在するが、小粒径トナーを得ようとすると比表面積が増えるため、水分を含めた形で粒子が生成し易く、そのため高温高湿環境下においてトナーの帯電性能の劣化が起こると考えられる。
【0016】
このような問題を解決するため、シード重合などを用いてトナー外殻に帯電制御剤を含有する樹脂層を形成させ、トナー表面近傍の帯電制御剤濃度を均一に高める試みがなされている。例えば特開平11−305482号公報では、重合粒子の付加重合反応開始後に、荷電制御剤を付加重合性単量体または溶剤と共に重合反応系に添加するトナーの製造方法についての技術が開示されている。しかし、本発明者等が検討した結果、明細書中に記載の荷電制御剤の中で、トナーへの帯電付与能が十分なものは付加重合性単量体に対して難溶性であり、従って懸濁液の状態で添加することになるため、荷電制御剤を樹脂表面に均一に分布させることは困難であることが分かってきた。また、帯電制御剤を溶剤に溶解させて添加した場合には、後で溶剤を除去しなければならないため工程が煩雑となるばかりでなく、溶剤に樹脂粒子が膨潤することでトナー表面の組成が変化する恐れがある。結果として、得られたトナーは帯電分布の広いものとなり、画像上ゴーストやかぶり、転写飛び散りといった現象を抑えることができない。
【0017】
さらに、特開平1−193748号、同6−199957号各公報には、重合粒子製造中または重合終了後に、さらに荷電制御性官能基を有する単量体を添加して重合を行うことにより、粒子表面に均一に荷電制御性官能基が存在するトナーの製造方法についての開示がなされている。しかしながら、荷電制御性官能基を有する単量体は極性が高く共重合性が低いため、単量体を直接添加してシード重合を行うと、むしろ部分的に荷電制御性官能基濃度の極端に高い部位が生成する。そして、本発明者らが検討したところ、そのように荷電制御性官能基濃度が極端に高い部位を不均一に有するトナーは、帯電付与能が低いということが分かってきた。従って、得られるトナーの帯電量は満足できるほど十分ではなく、また帯電分布の広いものとなる。
【0018】
このような事例に対して、荷電制御性官能基を含有する樹脂を用いてトナー表面を被覆する試みもなされている。例えば、特開平6−332229号、特開2000−258953号各公報では、コア粒子が機械的衝撃力または熱により荷電制御樹脂で被覆されているトナーについての開示がある。しかしながら、機械的または熱的な力ではトナー表面に均一に付着させることが困難であり、また化学的な結合力で付着しているわけではないので、長時間の耐久時には表面からの剥離などが問題となる。
【0019】
また、特開平5−222109号公報にはスルホン酸残基を有する過硫酸カリウムを開始剤に用いてシード重合を行ったトナーの製造方法についての技術が開示されているが、このようにして得られたトナーでは求める十分な帯電量が得られにくい。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如き従来技術の問題点を解決したトナーの製造方法を提供することにある。
【0021】
即ち本発明の目的は、転写効率が高く、カブリの少ないトナーの製造方法を提供することにある。
【0022】
また、本発明の目的は、帯電安定性に優れ、高温高湿環境下での長期の使用においても画像濃度が高く、ゴーストの無いトナーの製造方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する樹脂組成物からなるコア粒子を水系媒体中に分散し、該水系媒体中に少なくとも重合性単量体及び含硫黄重合体を添加してシード重合により上記コア粒子表面にシェル部を被覆してトナー粒子を形成する工程を少なくとも有する非磁性トナーの製造方法であって、該含硫黄重合体が、少なくともスルホン酸基含有ビニル系単量体とメタクリル酸メチルをモノマー成分として含有する共重合体であることを特徴とする非磁性トナーの製造方法に関する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、結着樹脂及び着色剤を含む樹脂組成物からなるコア粒子を水系媒体中に分散し、ここに重合性単量体及び帯電制御性を有する含硫黄重合体を添加しシード重合を行って上記コア粒子表面にシェル部を被覆することにより、トナー粒子の表面近傍での荷電制御剤の濃度を均一に高くすることができ、高温高湿環境下での長期使用においても画像濃度が高く、ゴーストの無い非磁性トナーを製造することができることを見出し、本発明に至った。
【0025】
本発明においては、コア粒子は粉砕法により製造することも可能であるが、乳化重合法、凝集法、懸濁重合法、分散重合法などの重合法により製造する方が、製造工程上粒子が分散媒中に分散されている段階を有するために、再分散の工程を要しないという点で簡便であり、好ましい。その中でも、本発明にかかる含硫黄重合体が安定して分散することが容易な水系中で製造できる点、粒度分布のシャープな粒子を容易に得ることができる点、表面が均一な粒子を得ることができる点から、懸濁重合法を用いるのが好ましい。
【0026】
コア粒子を粉砕法で作る場合には、公知の方法を用いることができる。例えば、トナーとして必要な結着樹脂、着色剤、及び、離型剤、荷電制御剤等他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機中で十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融混練して、均一に分散させる。その後冷却固化、粉砕、分級、必要に応じて表面処理を行ってコア粒子を得る。粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いて行うことができる。また、シード重合を行う上で、被覆の均一性やぬれ性の確保という面からコア粒子は球形であることが好ましく、そのような樹脂粒子を得るためには、粉砕工程の後、さらに熱をかけて粉砕したり、または補助的に機械的衝撃を加えたりする処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)された粒子を熱水中に分散させる湯浴法、熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。このようにして得られたコア粒子を、必要に応じて高分子重合体、分散剤などを添加した水系媒体中に分散し、該媒体中にさらに重合性単量体及び含硫黄重合体を添加し、重合することにより非磁性トナーを製造することができる。
【0027】
本発明において、コア粒子を懸濁重合法により製造する場合には、結着樹脂となる重合性単量体中に着色剤を添加し、さらに必要に応じて、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤などその他の添加剤、及び、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解または分散させた重合性単量体組成物を得る。次いで、該組成物を分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁し、重合を行う(コア粒子の生成)。この時、高速攪拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のコア粒子サイズとする方が、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。造粒後は、通常の攪拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の攪拌を行えばよい。さらに、重合性単量体及び含硫黄重合体を該コア粒子液中に添加し、シード重合することにより、該コア粒子表面にシェル部を形成し、トナー粒子を製造する。
【0028】
上記懸濁重合法によるコア粒子の製造において、結着樹脂を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0029】
例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、或いは他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0030】
コア粒子の製造においては、重合性単量体組成物中に樹脂を添加して重合しても良い。例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の重合性単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレン或いはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をコア粒子の結着樹脂中に共存させると、ワックス成分を含有させた場合に、該ワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐ブロッキング性、現像性の良好なトナーを得ることができる。
【0031】
また、材料の分散性や定着性、或いは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体組成物中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。これら樹脂の添加量としては、重合性単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えて添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなる。
【0032】
さらに、上記重合性単量体を重合して得られる重合体の分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体組成物中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることができる。
【0033】
本発明に用いられる着色剤としては、従来のトナー用着色剤として用いられている染料、顔料など公知の全てを使用することができ、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエローなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。着色剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して、2〜25質量部程度であることが好ましい。
【0034】
本発明のトナーに関わるコア粒子の製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うのが好ましい。
【0035】
重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
【0036】
コア粒子の重合時に使用される重合開始剤としては、従来公知のアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤などがあり、アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が例示され、過酸化物系重合開始剤としてはtert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシアセテート、tert−ヘキシルパーオキシラウレート、tert−ヘキシルパーオキシピバレート、tert−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソブチレート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、α,α‘−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、ビス(tert−ブチルパーオキシ)イソフタレート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシッド、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサンなどのパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−tert−ヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−tert−ブチルパーオキシブタンなどのパーオキシケタール、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド、その他としてtert−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等が挙げられ、必要に応じてこれらの開始剤を2種以上用いることもできる。
【0037】
また、コア粒子を製造する際には、架橋剤を添加してもよい。架橋剤の好ましい添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量部である。
【0038】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0039】
本発明では、上記のようにして製造されたコア粒子を分散させた水系媒体中に、少なくとも重合性単量体及び含硫黄重合体を添加し、シード重合を行って、上記コア粒子表面をシェル部で被覆してトナー粒子を形成する。
【0040】
本発明に用いられる含硫黄重合体としては、好ましくはスルホン酸基を有する重合体が挙げられ、具体的には、
X(SO3 -n・mYk+
(X:前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Yk+:カウンターイオンを表し、kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)の如き構造を有する。カウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンなどであることが良く、より好ましくは水素イオンであることが望まれる。
【0041】
本発明に用いられる含硫黄重合体を製造するために用いられる含硫黄単量体としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル系単量体が好ましく用いられ、その中でも特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体が好ましく用いられる。係る含硫黄重合体は、これら含硫黄単量体のみからなる単重合体であっても、また、これら含硫黄単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。
【0042】
上記含硫黄単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することができる。
【0043】
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
【0044】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0045】
中でも、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体とスチレンや(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は、シード重合時のコア粒子に対する密着性に優れ、トナーの帯電性が良好なものとなり好ましい。
【0046】
また、特に、メタクリル酸メチルをコモノマーとして用いた共重合体の場合、含硫黄重合体中におけるスルホン酸基含有ビニル系単量体の分散が良好になり、帯電量の均一な、帯電特性に優れたトナーが得られるので好ましい。
【0047】
また、この場合、共重合体中のスルホン酸基含有ビニル系単量体の含有量が0.1〜10質量%であると、コア粒子の表面を均一に覆うことが可能となり好ましい。
【0048】
本発明に用いられる含硫黄重合体の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、分散重合、イオン重合等公知の重合方法が全て使用できるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
【0049】
かかる含硫黄重合体の分子量は重量平均分子量(Mw)が2000乃至100000が好ましい。重量平均分子量(Mw)が2000未満の場合には、トナーの流動性が悪くなり、転写性が悪化する。100000を超える場合には、単量体への溶解に時間がかかることに加え、トナー表面に均一に硫黄元素が存在することが難しくなる。
【0050】
含硫黄重合体のガラス転移点(Tg)は50℃乃至100℃が好ましい。ガラス転移点が50℃未満の場合には、トナーの流動性、保存性に劣り、さらに転写性も劣るようになる。ガラス転移点が100℃を超える場合には、トナー印字率の多い画像の時の定着性に劣る。
【0051】
含硫黄重合体の酸価(mgKOH/g)は3乃至80が好ましく、より好ましくは5乃至40であり、さらに好ましくは5乃至30である。酸価が3未満の場合には、本発明で言及するような十分な荷電制御作用が得られにくい。一方、酸価が50を超える場合には、吸湿性があがってしまい、高湿下において十分な帯電性を得ることが難しい。
【0052】
酸価は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
【0053】
尚、酸価とは、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を示す。
【0054】
(1)試薬
(a)溶剤:エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
【0055】
(b)フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
【0056】
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液:水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
【0057】
(2)操作:試料1〜20gを正しく量りとり、これに溶剤100ml及び指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後、これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いた時を中和の終点とする。
【0058】
(3)計算式:次の式によって酸価を算出する。
【0059】
A=B×f×5.611/S
A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
【0060】
尚、含硫黄重合体のトナーからの抽出は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
【0061】
コア粒子表面に被覆されるシェル部を構成する含硫黄重合体の量はコア粒子100質量部に対し、0.05〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部である。
【0062】
また、シード重合時、上記の含硫黄重合体と重合性単量体は別々に添加しても、溶解して同時に添加してもよいが、反応を均一に進める点から、予め重合性単量体に含硫黄重合体を溶解しておき、この溶解液をコア粒子液中に添加することが好ましい。含硫黄重合体を溶解する重合性単量体の量は、該重合体を溶解せしめる量であれば特に制限されるものではないが、取り扱いの容易性やシードの均一性という観点から、溶解液中の含硫黄重合体の含有量が1〜50質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましい。また、該溶解液の添加方法としては、一括して投入してもよいし、或いは、定量ポンプ等を利用し連続的もしくは断続的に添加してもよい。また含硫黄重合体の溶解液を水等の水系媒体に投入し、超音波乳化機等を用いて微分散処理を行い、得られた分散液をコア粒子を分散した水系媒体中に添加しても良い。
【0063】
また、コア粒子を懸濁重合法で製造する場合、上記含硫黄重合体の溶解液の添加時期については、シェル部を構成する単量体の浸透性や、分散されたコア粒子の安定性といった観点から、コア粒子中の結着樹脂を構成する重合性単量体の転化率が10〜95%の時が好ましく、20〜90%の時に添加することがより好ましい。
【0064】
結着樹脂の重合転化率が低い時に上記含硫黄重合体の溶解液を添加すると、反応が進んでいない軟らかい部分と固い部分が共存することになるため、凝集が起こり易くなり好ましくない。一方、結着樹脂の重合転化率が95%以上の場合、含硫黄重合体を溶解している重合性単量体がコア粒子へしみ込みにくくなるため、微粉の増大を招いたり、帯電の均一性が損なわれたりして好ましくない。
【0065】
尚、重合転化率の測定はガスクロマトグラフィーにより次の様にして測定することができる。
【0066】
具体的な測定方法としては、サンプル瓶にトナー懸濁液約500mgを精秤し、これに精秤した約15gのアセトンを加えた後よく混合し、超音波洗浄機にて超音波を30分間照射する。その後メンブランフィルター(例えばアドバンテック東洋社製、ディスポーザブルメンブランフィルター「25JP020AN」)を用いて濾過を行い、濾液2μlをガスクロマトグラフィーで分析する。そして、予めスチレン等のモノマーを用いて作成した検量線により、重合転化率を算出する。具体的には、下記の条件により分析を行う。
【0067】
GC:HP社「6890GC」
カラム:HP社「INNOWax」(200μm×0.40μm×25m)
キャリアーガス:He(コンスタントプレッシャーモード:20psi)
オーブン:50℃で10分ホールド、10℃/分で200℃まで昇温、200℃で5分ホールド。
INJ:200℃、パルスドスプリットレスモード(20→40psi、until0.5分
スプリット比:5.0:1.0
DET:250℃(FID)
【0068】
シード重合時に含硫黄重合体を溶解せしめる重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、及びアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類、その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0069】
これらの単量体は単独もしくは混合して使用しても良い。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、または他の単量体と混合して使用することがコア粒子への吸着性を高め、耐久性を高めるので好ましい。
【0070】
本発明において、シード重合時に用いられる重合開始剤は、水溶性開始剤、油溶性開始剤等公知のものであればいずれも使用可能であり、単独もしくは2種以上を併用することもできる。
【0071】
これらの重合開始剤は、通常シェル部の形成に用いられる重合性単量体に対して、0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で使用される。前記重合開始剤の添加量が、10質量%を超えると、使用量の増加により不経済であるばかりでなく分子量が上がらずに、トナー劣化が生じてしまう。さらに、0.01質量%未満では、充分な重合度が得られない。
【0072】
本発明においては、シード重合時に、滴下された重合性単量体系の乳化安定のために、重合性単量体に対し0.001〜0.1質量%の界面活性剤を使用してもよい。これは、上記重合性単量体系の乳化、分散を促進するためのものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0073】
本発明のトナーは定着性向上のために、離型剤を有してもよい。その量は結着樹脂に対し1〜30質量%を含有することが好ましい。より好ましくは、3〜25質量%である。離型剤の含有量が1質量%未満では離型剤の添加効果が十分ではなく、さらに、オフセット抑制効果も不十分である。一方、30質量%を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、離型剤、着色剤等のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながる。また、離型剤成分の浸み出しも起るようになり、高温高湿下での耐久性が劣るものとなる。さらに、多量のワックスを内包するために、トナー形状がいびつになり易くなる。
【0074】
一般に、記録媒体上に転写されたトナー像はその後、熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着が一般に良く用いられる。先述したように、重量平均粒径が10μm以下のトナーを用いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かいトナー粒子は紙等の記録媒体を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラからの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生し易い。しかしながら、本発明に係わるトナーにおいて、適正量の離型剤を含有せしめることにより、高画質と定着性を両立させることが可能となる。
【0075】
本発明に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、該誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0076】
これらの離型剤成分の内でも、示差熱分析による吸熱ピークが40〜110℃のもの、即ち、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において昇温時に40〜110℃の領域に最大吸熱ピークを有するものが好ましく、さらには45〜90℃の領域に有するものがより好ましい。上記温度領域に最大吸熱ピークを有することにより、低温定着に大きく貢献しつつ、離型性をも効果的に発現する。最大吸熱ピークが40℃未満であると離型剤成分の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が悪化する。また、離型剤の浸み出しが生じ易くなり、トナーの帯電量が低下すると共に、高温高湿下での耐久性が低下する。一方、該最大吸熱ピークが110℃を超えると定着温度が高くなり低温オフセットが発生し易くなり好ましくない。さらに、水系媒体中で造粒/重合を行い重合方法により直接トナーを得る場合、該最大吸熱ピーク温度が高いと、主に造粒中に離型剤成分が析出する等の問題を生じ、離型剤の分散性が悪化し好ましくない。
【0077】
離型剤の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製「DSC−7」を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、試料を一回200℃まで昇温させ熱履歴を除いた後、急冷し、再度、昇温速度10℃/minにて温度30〜200℃の範囲で昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。後述の実施例においても同様に測定した。
【0078】
本発明の製造方法より得られるトナーは、トナーのTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した分子量分布において、分子量5000〜50000の範囲にメインピークのピークトップがあることが好ましく、より好ましくは8000〜40000の範囲である。ピークトップが5000未満であると、トナーの耐保存安定性に問題が生じたり、多数枚のプリントアウトを行った際にトナーの劣化が著しくなったりする。逆に、ピークトップが50000を超える場合には、低温定着性に問題が生じる。
【0079】
尚、GPCによるTHFに可溶な樹脂成分の分子量の測定は、以下の様にして行えばよい。
【0080】
トナーをTHFに室温で24時間静置して溶解した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、THFに可溶な成分の濃度が0.4〜0.6質量%になるようにTHFの量を調整する。
【0081】
装置:高速GPC「HLC8120 GPC」(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:THF
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
【0082】
また、試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(東ソー社製TSK スタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500)により作成した分子量較正曲線を使用する。
【0083】
トナーの分子量は、用いる開始剤、架橋剤の種類、量等の組み合せにより、任意に変えることが可能である。また、連鎖移動剤等を使用しても調整可能である。
【0084】
本発明により得られるトナーは、含硫黄重合体以外に、必要に応じて他の荷電制御剤を配合しても良い。該荷電制御剤としては公知のものが利用できるが、本発明の如き、直接重合法を用いてトナーを製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルホン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有するグアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0085】
これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0086】
本発明に用いられる水系媒体には、必要に応じて分散安定剤として公知の界面活性剤や有機分散剤・無機分散剤を添加することができる。中でも無機分散剤は、有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
【0087】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させて用いることができる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。但し、重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩することが望ましい。無機分散剤は、重合終了後、酸或いはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
【0088】
また、これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2〜20質量部を単独で使用することが望ましいが、超微粒子を発生し難いもののトナーの微粒化はやや苦手であるので、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0089】
界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0090】
コア粒子及びシェル部の重合工程において、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。また、残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることが可能である。
【0091】
シェル部の重合により得られたトナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要により無機微粉体を混合し表面に付着させることで、本発明のトナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも可能である。
【0092】
本発明によるトナーは、シェル部の均一被覆の観点から、重量平均粒径が3〜10μmであることが好ましい。重量平均粒径が3μm未満のトナーにおいては、シェル部が均一にコア粒子表面を覆うことは可能であるが、層厚として不十分となり易いためトナー粒子個々の帯電量が不均一となり、結果としてゴースト、カブリ、転写性が悪化傾向となり好ましくない。また、トナーの重量平均粒径が10μmを超える場合には、一部コア粒子表面に樹脂が偏析し易くなり、文字やライン画像に飛び散りが生じ易く、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと10μm以上のトナーは1ドットの再現が悪化する傾向にある。
【0093】
ここで、トナーの平均粒径及び粒度分布は「コールターカウンターTA−II型」或いは「コールターマルチサイザー」(コールター社製)等種々の方法で測定可能であるが、本発明においては「コールターマルチサイザー」(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び「PC9801パーソナルコンピューター」(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。例えば、「ISOTON R−II」(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0094】
測定法としては、上記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)、個数分布から求めた個数基準の長さ平均粒径、即ち個数平均粒径(D1)を求める。後述の実施例においても同様に測定した。
【0095】
本発明によるトナーには、流動化剤として個数平均1次粒径4〜80nmの無機微粉体が添加されることも好ましい形態である。無機微粉体は、トナーの流動性改良及びトナー粒子の帯電均一化のために添加されるが、該無機微粉体に疎水化処理などの処理を施すことによってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい形態である。
【0096】
上記無機微粉体の個数平均1次粒径が80nmよりも大きい場合、或いは80nm以下の無機微粉体が添加されていない場合には、転写残トナーが帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、安定して良好な帯電特性を得ることが困難である。また、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題を避けられない。無機微粉体の個数平均1次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉体の凝集性が強まり、1次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、凝集体の現像、像担持体或いは磁性トナー担持体等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには無機微粉体の個数平均1次粒径は6〜35nmであることがより好ましい。
【0097】
本発明において、上記無機微粉体の個数平均1次粒径の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、さらに走査型電子顕微鏡に付属させたXMA(X線分光分析)等の元素分析手段によって無機微粉体の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉体の1次粒子を100個以上測定し、個数基準の平均1次粒径、個数平均1次粒径を求めることで測定できる。
【0098】
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが使用でき、単独で用いても、複数種組み合わせて用いても良い。シリカとしては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法またはヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0099】
個数平均1次粒径が4〜80nmの無機微粉体の添加量は、トナー粒子に対して0.1〜3.0質量%であることが好ましく、添加量が0.1質量%未満ではその効果が十分ではなく、3.0質量%以上では定着性が悪くなる。
【0100】
尚、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
【0101】
また本発明において無機微粉体は、疎水化処理された物であることが高温高湿環境下での特性から好ましい。トナーに添加された無機微粉体が吸湿すると、トナー粒子の帯電量が著しく低下し、トナー飛散が起こり易くなる。
【0102】
疎水化処理に用いる処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物等の処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
【0103】
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉体をシラン化合物で疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する上でよい。
【0104】
そのような無機微粉体の処理方法としては、例えば、第一段反応としてシラン化合物でシリル化反応を行ってシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0105】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉体に安定性が無く、熱及び機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
【0106】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が特に好ましい。
【0107】
無機微粉体をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、シラン化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。或いは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解或いは分散させた後、無機微粉体を加えて混合し、溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉体の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0108】
シリコーンオイルの処理量は、無機微粉体100質量部に対し1〜40質量部、好ましくは3〜35質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる傾向がある。
【0109】
上記無機微粉体は、トナーに良好な流動性を付与させるためにシリカ、アルミナ、酸化チタンが好ましく、その中でも特にシリカであることが好ましい。さらに、窒素吸着によるBET法で測定したシリカの比表面積が20〜350m2/g範囲内のものが好ましく、より好ましくは25〜300m2/gのものがさらに良い。
【0110】
比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出する。
【0111】
また、本発明により得られるトナーには、クリーニング性向上等の目的で、一次粒径が30nm以上、より好ましくは50nm以上の無機または有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態の一つである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
【0112】
本発明により得られるトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内でさらに他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、或いは酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、或いは、例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤、ケーキング防止剤、また、逆極性の有機微粒子、及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
【0113】
次に、本発明の製造法により得られた非磁性トナーを好適に用いることのできる画像形成装置の一例を図に沿って具体的に説明する。
【0114】
画像形成装置として図2に示すような600dpiのレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−8Mark IV)を用意した。この装置は、プロセススピードが80mm/sとなるように改造されている。図2に示すように、この装置は直流及び交流成分を印加した帯電ローラー11を用い感光体16を一様に帯電する。この時、直流成分は定電圧に制御し、交流成分は定電流に制御する。尚、帯電ローラー11の導電層は体積抵抗率が102Ω・cm、抵抗層は107Ω・cmのものを用い、当接圧が230N/mとなるように設定した。帯電に次いで、レーザー光20で画像部分を露光することにより静電潜像を形成し、一成分非磁性トナーにより可視画像としてトナー画像を形成した後、電圧を印加した転写ローラー(体積抵抗率が5×109Ω・cm)17によりトナー画像を転写材18に転写する。トナー画像をのせた転写材18は定着器23により転写材18上に定着される。尚、感光体16と転写ローラー17との当接圧力は線圧130N/mとなるように設定した。また、一部感光体16上に残されたトナーはクリーニング部材19としたウレタンゴムからなるブレードによりクリーニングされる。
【0115】
現像容器12は図2に示すように、トナー供給体としてトナー担持体14が感光体16に当接されている。トナー担持体14の表面の移動方向及び回転周速は、感光体16表面との接触部分において同方向である。
【0116】
トナー担持体14にトナーを塗布する手段として、現像部分に塗布ローラー15が設けられ、該トナー担持体14に当接している。接触部分において、塗布ローラー15表面の移動方向が、トナー担持体14の移動方向と反対方向に移動するように回転させることによりトナーをトナー担持体14上に塗布する。さらに、該トナー担持体14上トナーのコート層制御のために、樹脂コートしたステンレス製ブレード13が取り付けられている。現像領域では、感光体16とトナー担持体14との間に直流の現像バイアスが印加され、トナー担持体14上のトナーは静電潜像に応じて感光体16上に飛翔し可視像となる。
【0117】
次に、フルカラー画像を形成するための画像形成方法の一例を図に基づいて説明する。
【0118】
図3は、複数画像形成部にて各色のトナー画像をそれぞれ形成し、これを同一転写材に順次重ねて転写するようにした画像形成装置である。ここでは、第1〜第4の画像形成部43a〜43dが並設されており、各画像形成部はそれぞれ専用の静電潜像保持体、所謂感光体34a〜34dを具備している。感光体34a〜34dはその外周側に潜像形成手段37a〜37d、現像手段33a〜33d、転写用放電部38a〜38d、ならびにクリーニング部33a〜33dが配置されている。このような構成にて、まず、第1画像形成部43aの感光体34a上に潜像形成手段37aによって原稿画像における、例えばイエロー成分色の潜像が形成される。該潜像は現像手段33aのイエロートナーを有する現像剤で可視画像とされ、転写用放電部38aにて、転写材としての記録材Sに転写される。上記のようにイエロー画像が転写材Sに転写されている間に、第2画像形成部43bではマゼンタ成分色の潜像が感光体34b上に形成され、続いて現像手段32bのマゼンタトナーを有する現像剤で可視画像とされる。この可視画像(マゼンタトナー像)は、上記の第1画像形成部43aでの転写が終了した転写材Sが転写用放電部38bに搬入されたときに、該転写材Sの所定位置に重ねて転写される。以下、上記と同様な方法により、第3、第4の画像形成部43c、43dによってシアン色、ブラック色の画像形成が行われ、上記同一の転写材Sに、シアン色、ブラック色を重ねて転写するのである。このような画像形成プロセスが終了したならば、転写材Sは定着器36に搬送され、転写材S上の画像を定着する。これによって転写材S上には多色画像が得られるのである。転写が終了した各感光体34a〜34dはクリーニング部33a〜33dにより残留トナーを除去され、引き続き行われる次の潜像形成のために供せられる。尚、上記画像形成装置では、転写材として記録材Sの搬送のために、搬送ベルト39が用いられており、図3において、転写材Sは右側から左側へ搬送され、その搬送過程で、各画像形成部43a〜43dにおける各転写用放電部38a〜38dを通過し、転写を受ける。この画像形成方法において、転写材を搬送する搬送手段として加工の容易性及び耐久性の観点からテトロン繊維のメッシュを用いた搬送ベルト及びポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂の如き薄い誘電体シートを用いた搬送ベルトが利用される。転写材Sが第4画像形成部43dを通過すると、AC電圧が除電器35に加えられ、転写材Sは除電され、ベルト39から分離され、その後、定着器36に入り、画像定着され、排出口40から排出される。
【0119】
尚、この画像形成方法では、その画像形成部にそれぞれ独立した静電潜像保持体を具備しており、転写材はベルト式の搬送手段で、順次、各静電潜像保持体の転写部へ送られるように構成してもよい。また、この画像形成方法では、その画像形成部に共通する静電潜像保持体を具備してなり、転写材は、ドラム式の搬送手段で、静電潜像保持体の転写部へ繰り返し送られて、各色の転写を受けるように構成してもよい。
【0120】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0121】
(含硫黄重合体の製造例1)
還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、
Figure 0004125042
を添加して攪拌しながら還流温度まで加熱した。重合開始剤であるtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.28部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、さらに5時間攪拌して重合を開始した。
【0122】
重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。得られた極性重合体はTg約70℃であった。得られた極性重合体を極性重合体1とする。得られた含硫黄重合体の物性を表1に示す。
【0123】
(含硫黄重合体の製造例2)
極性重合体の製造例1において、使用するアクリル酸ブチルの量を9部に変更し、さらにメタクリル酸メチル3部を添加する以外は含硫黄重合体1と同様にし、含硫黄重合体2を得た。得られた含硫黄重合体の組成、物性について表1に記す。
【0124】
(含硫黄重合体の製造例3)
極性重合体の製造例1において、使用するAMPS3部をスチレンスルホン酸1部にする以外は含硫黄重合体1と同様にし、含硫黄重合体3を得た。得られた含硫黄重合体の物性を表1に示す。
【0125】
【表1】
Figure 0004125042
【0126】
(非磁性トナー1の製造)
イオン交換水709部に0.1M−NaPO4水溶液451部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
スチレン 78部
n−ブチルアクリレート 22部
ジビニルベンゼン 0.5部
飽和ポリエステル樹脂 2部
カーボンブラック 10部
【0127】
上記処方をアトライター(三井三池化工機社)を用いて均一に分散混合した。次いで、この混合物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(DSCにおける吸熱ピークの極大値72℃)8部を添加混合溶解し、これに重合開始剤tert−ブチル−オキシ2−エチルヘキサノエート4質量部を溶解して重合性単量体組成物とした。
【0128】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業社)にて10,000rpmで15分間攪拌し、造粒した。その後パドル攪拌翼で攪拌しつつ、80℃で1.5時間反応させた。この時の重合転化率は70%であった。
【0129】
一方、下記混合物を均一に溶解せしめ、上記80℃の懸濁液中に滴下し、さらに4.5時間重合を行った。
スチレン 10部
含硫黄重合体1 3部
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.3部
【0130】
反応終了後、80℃でさらに2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.1μmの黒色粒子1を得た。
【0131】
この黒色粒子100部と、一次粒径12nmのシリカにヘキサメチルジシラザンで処理をした後シリコーンオイルで処理し、処理後のBET値が120m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機社)を用い混合し、非磁性トナー1を調整した。
【0132】
(非磁性トナー2の製造)
含硫黄重合体1の代わりに含硫黄重合体2を用いたこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0133】
(非磁性トナー3の製造)
含硫黄重合体1の代わりに含硫黄重合体3を用いたこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0134】
(非磁性トナー4の製造)
造粒後、80℃で3時間反応させ、重合転化率が93%の時点で含硫黄重合体1を添加したこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0135】
(非磁性トナー5の製造)
造粒後、80℃で5時間反応させ、重合転化率が約100%の時点で含硫黄重合体1を添加したこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0136】
(非磁性トナー6の製造)
イオン交換水709部に0.1M−NaPO4水溶液22.6部を投入し60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液33.9部を添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得たこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0137】
(非磁性トナー7の製造)
スチレン/n−ブチルアクリレート共重合体(質量比78/22) 100部
飽和ポリエステル樹脂 2部
含硫黄重合体1 10部
カーボンブラック 10部
非磁性トナー1の製造例で用いたエステルワックス 8部
【0138】
上記材料をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕後、得られた微粉砕物を風力分級して重量平均粒径7.6μmの樹脂粒子(コア粒子)を得た。
【0139】
フラスコにイオン交換水709部、0.1M−NaPO4水溶液451部を投入し、60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7部を添加してCa3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0140】
上記水系媒体中に上記コア粒子を固形分が約30%となるように投入し、60℃、N2雰囲気下において高速攪拌機で攪拌して該コア粒子を一次分散させた。このコア粒子分散液の一部をサンプリングし、重量平均粒径が7.6μmとなったことを確かめた。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ80℃に昇温した。
【0141】
一方、下記混合物を均一に溶解せしめ、上記80℃の分散液中に滴下し、4.5時間重合を行った。
スチレン 10部
含硫黄重合体1 3部
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.3部
反応終了後、80℃でさらに2時間蒸留を行い、その後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて分散剤を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均粒径7.7μmのトナーを得た。
【0142】
このトナー100部に対して非磁性トナーの製造例1で使用したシリカ1.0部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、非磁性トナー6を調整した。
【0143】
(非磁性トナー8の製造)
含硫黄重合体1の代わりにAMPSを用いたこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0144】
(非磁性トナー9の製造)
含硫黄重合体1の代わりにT−77(アゾ系鉄錯体化合物、保土ヶ谷化学工業社製)を用いたこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0145】
(非磁性トナー10の製造)
含硫黄重合体1の代わりにn−ブチルアクリレートを用い、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の代わりに過硫酸カリウム0.5部を用いたこと以外は非磁性トナー1の製造例と同一とした。
【0146】
参考実施例1)
画像形成装置として、キヤノン社製、「LBP−8Mark IV」を改造し、概ね図2に示される構造とした。
【0147】
静電荷像坦持体の電位は、暗部電位Vd=−580V、明部電位VL=−150Vとした。また、トナー担持体として、カーボンブラックを分散して抵抗を調節したシリコーンゴムからなる中抵抗ゴムローラ(直径16mm、硬度ASKERC45°、抵抗105Ω・cm)を用いて感光体に当接させた。この時の現像当接幅は約3mmとなるようにした。該トナー担持体の周速は感光体周速(80mm/sec)に対して順方向に150%のスピード(120mm/sec)とした。トナー塗布部材として発泡ウレタンゴムからなる塗布ローラーを設け、該トナー担持体に当接させた。塗布ローラーには、約−550Vの電圧を印加した。さらに、トナー規制部材として樹脂コートしたステンレス製ブレードを39.2N/m(40g/cm)の線圧で当接させた。また、現像時の印加電圧を直流成分(−450V)のみとした。
【0148】
帯電時の印加電圧を直流成分(−1.2kV)、転写時の印加電圧を直流成分(−1.5kV)とした。
【0149】
最初に、非磁性トナー1をカートリッジに100g充填し、高温高湿下(30℃、80%RH)において、印字率2%の横線のみからなる画像パターンで1000枚の画出し試験を行った。尚、転写材としては90g/m2の紙を使用した。
【0150】
その結果、非磁性トナー1は初期、及び、1000枚の画出し後において高い転写性を示し、非画像部へのカブリのない良好な画像が得られた。また、ゴーストは発生していなかった。
【0151】
本発明の参考実施例、実施例、ならびに、比較例中に記載の評価項目とその判断基準について述べる。
【0152】
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定を行った。
【0153】
<転写効率>
転写効率は、ベタ黒画像転写後の感光体上の転写残トナーをマイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、紙上に貼ったもののマクベス濃度の値をC、転写後定着前のトナーの載った紙上にマイラーテープを貼ったもののマクベス濃度をD、未使用の紙上に貼ったマイラーテープのマクベス濃度をEとした時、近似的に以下の式で計算した。
【0154】
転写効率(%)={(D−C)/(D−E)}×100
上記の計算結果から得られた転写効率を以下の基準で判断した。
A:転写効率が96%以上。
B:転写効率が92%以上、96%未満。
C:転写効率が89%以上、92%未満。
D:転写効率が89%未満。
【0155】
<カブリ>
カブリの測定は、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用い、カブリは下記の式より算出した。
【0156】
カブリ(反射率)(%)=標準紙上の反射率(%)−サンプル非画像部の反射率(%)
尚、カブリの判断基準は以下の通り。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上乃至2.5%未満)
C:普通(2.5%以上乃至4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
【0157】
<ゴースト>
ゴーストの判断基準は、図1に示す画像を出力し、以下の基準により目視で判断したものである。
A:ゴーストは発生していない。
B:軽微なゴーストが発生しているものの、良好な画像。
C:ゴーストは発生しているものの、実用的には問題の無い画質。
D:ゴーストが悪く、実用上好ましくない画像。
【0158】
(実施例2、参考実施例3〜7)
トナーとして、非磁性トナー2〜7を使用し、参考実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、非磁性トナー7については、耐久試験後は転写性の悪化が見られたが、全体としていずれも大きな問題の無い結果が得られた。結果を表2に示す。
【0159】
(比較例1〜3)
トナーとして、非磁性トナー8〜10を使用し、参考実施例1と同様の条件で画出し試験及び耐久性評価を行った。その結果、非磁性トナー8、9については、耐久後はカブリの悪化が顕著であり、またゴーストも発生した。
【0160】
また、非磁性トナー10は転写性が悪かった。結果を表2に示す。
【0161】
【表2】
Figure 0004125042
【0162】
【発明の効果】
本発明の非磁性トナーの製造方法により、転写効率が高く、カブリの少ないトナーを製造することができる。
【0163】
また、帯電安定性に優れ、高温高湿環境下での長期の使用においても画像濃度が高く、ゴーストの無いトナーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像上に発生するゴーストの概念図である。
【図2】本発明の製造方法により得られるトナーを用いる画像形成装置の一例の構造を示す図である。
【図3】複数の画像形成部を備えた画像形成装置の一例の構造を示す図である。
【段落番号】
11 帯電ローラー
12 現像容器
13 ブレード
14 トナー担持体
15 塗布ローラー
16 感光体
17 転写ローラー
18 転写材
19 クリーニング部材
20 レーザー光
23 定着器
33a〜33d クリーニング部
34a〜34d 感光体
35 除電器
36 定着器
37a〜37d 潜像形成手段
38a〜38d 転写用放電部
39 搬送ベルト
40 排出口
43a〜43d 画像形成部

Claims (6)

  1. 結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する樹脂組成物からなるコア粒子を水系媒体中に分散し、該水系媒体中に少なくとも重合性単量体及び含硫黄重合体を添加してシード重合により上記コア粒子表面にシェル部を被覆してトナー粒子を形成する工程を少なくとも有する非磁性トナーの製造方法であって、該含硫黄重合体が、少なくともスルホン酸基含有ビニル系単量体とメタクリル酸メチルをモノマー成分として含有する共重合体であることを特徴とする非磁性トナーの製造方法。
  2. 上記含硫黄重合体が、少なくともスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体をモノマー成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の非磁性トナーの製造方法。
  3. 上記コア粒子が、結着樹脂を構成する重合性単量体と着色剤とを少なくとも含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中において懸濁重合することにより製造されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非磁性トナーの製造方法。
  4. 上記コア粒子の懸濁重合において、結着樹脂を構成する重合性単量体の重合転化率が10〜95%の時点で、上記重合性単量体及び含硫黄重合体を添加してシード重合を開始することを特徴とする請求項に記載の非磁性トナーの製造方法。
  5. 上記コア粒子の懸濁重合において、結着樹脂を構成する重合性単量体の重合転化率が20〜90%の時点で、上記重合性単量体及び含硫黄重合体を添加してシード重合を開始することを特徴とする請求項に記載の非磁性トナーの製造方法。
  6. 非磁性トナーの重量平均粒径が3〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の非磁性トナーの製造方法。
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