JP6012422B2 - トナー - Google Patents

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本発明は、電子写真、静電印刷等の画像形成方法において静電荷像を現像するためのトナー、またはトナージェット方式の画像形成方法においてトナー像を形成するためのトナーに関する。
トナーの摩擦帯電特性を改良するための検討が盛んに行われている。特に、環境への配慮や、より安定した帯電性の要求、製造コスト等の理由から、近年になって荷電制御機能を有する樹脂(荷電制御樹脂)をトナー原材料として用いるという提案が行なわれている。例えば、ビニル安息香酸の中和塩をモノマー単位として含有する樹脂を、荷電制御樹脂として用いたトナーが提案されている(特許文献1)。この方法によれば、帯電の立ち上がりが早く、帯電分布がシャープであり、環境安定性、経時安定性が優れたトナーが得られるとされている。また、ビニル安息香酸モノマーもしくはビニル安息香酸を有する重合体を含有する組成液を用い、懸濁重合法により製造したトナーが提案されている。(特許文献2)この方法によれば、帯電の立ち上がりが早く、帯電性が良好なトナーが得られるとされている。また、スルホン酸基を含有する樹脂を荷電制御樹脂として用いたトナーが提案されている(特許文献3)。この方法によれば、環境変化による帯電量の変化も小さく、帯電特性が安定したトナーが得られるとされている。
特開昭63−88565号公報 特開平11−72955号公報 特許第2807795号公報
しかしながら、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、接触一成分現像システムなどでプロセススピードを速めた場合において、十分な帯電量まで帯電量が立ち上がる速さが不十分であることが明らかとなった。そのため、プリント初期に、かぶり、画像濃度の一様性が悪い、あるいは、連続して使用した際に画像濃度の安定性が悪化する。また、高温高湿下における長期保存前後での帯電量の安定性に改善の余地が見られることが明らかとなった。そのため、高温高湿下において長期放置された後の使用時において、かぶり、画像濃度の一様性が悪く、さらには、放置前後において画像濃度の安定性が悪化する。そのため、トナーには、短い時間で充分な帯電量まで立ち上がる帯電の迅速さが求められ、また、高温高湿下における長期放置前後で、特に帯電量の変化が小さいことがもとめられており、これを達成し得るトナーが求められている。
本発明は、帯電の立ち上がりが速く十分な帯電量に速やかに到達する、すぐれた帯電立ち上がり性を有し、かつ、高温高湿環境下における長期放置前後での帯電量の変化が小さいトナーを提供するものである。
また、本発明は、帯電量および帯電の立ち上がりが温湿度環境の変化に影響されにくく、高温高湿環境下における長期放置前後での帯電量が安定したトナーを提供することにある。
本発明は、結着樹脂及び着色剤、並びに極性樹脂又は荷電制御剤を含有するトナー粒子
を有するトナーであって、該トナーが、下記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体を含有することを特徴とするトナーに関する。
Figure 0006012422
(式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは1以上3以下の整数を表す。)
本発明によれば、帯電量や帯電量の立ち上がりが温湿度環境の変化に影響されにくく、高温高湿環境下における長期放置前後での帯電量が安定したトナーを得ることが可能となる。本発明のトナーを画像形成に用いた場合、高温高湿環境下で長期放置された後の使用においても、かぶりを防止し、画像濃度の一様性に優れ、さらには、高温高湿環境下の長期放置前後において画像濃度の安定性に優れる。
トナーを含有する現像剤の摩擦帯電量の測定に用いる装置の構成を示す図。
本発明者らは、摩擦帯電性能を有するトナー粒子中に、下記式(1)の安息香酸構造で表わされる構造を側鎖に有する重合体を含有させることにより、その飽和帯電量や摩擦頻度に対する帯電量の立ち上がり性能が温湿度環境に依存しにくく、高温高湿下における長期保存前後での帯電量が安定することを見出し、本発明に至った。
Figure 0006012422
(式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは、1以上3以下の整数を表す。)
尚、式(1)において、アルキル基、アルコキシル基は、トナーの結着樹脂との親和性を阻害するものでなければ、置換基を有していてもよい。
一般にトナー表面に発生する摩擦帯電電荷は、トナー表面の絶対水分量に影響されやす
い。水分子が電荷の授受に大きく関与しており、高湿下でトナー表面での水分子の脱着頻度が高まると電荷の漏洩速度が高まり、飽和帯電量の低下や、帯電量立ち上がり速度の低下が起こるためと考えられる。
しかし、本発明のように、結着樹脂及び着色剤、並びに極性樹脂又は荷電制御剤等の荷電付与成分を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、前述の構造を有する成分がトナー粒子中に存在することにより高温高湿環境下でもトナー表面で摩擦帯電により生じた電荷を安定して保持することができるようになり、外部の温度や湿度の影響を受けにくくなる。
その理由は明らかではないが、本発明者らは以下の様に考えている。前述の構造を有する成分に存在する酸素原子やアリール基などの共役系の広がりは、結着樹脂や帯電部材との電荷の授受速度を向上させ、帯電の立ち上がり性能を高めているものと考えられる。一方、余剰の帯電(過帯電)が生じた場合は速やかに電荷を放出し、局部的な過帯電を防止する効果も期待される。
式(1)で表わされる部分構造は、電子伝導に有利なアルキルエーテルを介して、芳香環と安息香酸構造とが結合する構造を有している。この安息香酸誘導体からのびる大きな共役系構造が、外部の温湿度の影響を最小限に抑えつつ、摩擦帯電により生じた電荷を分子内部に保持する役割を果たし、トナーに安定した帯電性を付与すると考えられる。
本発明のトナーは、式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体の他に、結着樹脂及び着色剤、並びに、極性樹脂又は荷電制御剤等の荷電付与成分を含有する。ここで、荷電付与成分は、トナーとしての摩擦帯電量を高める成分であれば特段限定されることは無く、極性樹脂や、正帯電性または負帯電性を有する公知の荷電制御剤として知られている化合物を用いることができる。また、該荷電付与成分については、結着樹脂及び極性樹脂を含有する場合、結着樹脂及び荷電制御剤を含有する場合、並びに、結着樹脂そのものが極性樹脂である場合等が含まれる。
本発明のトナーは、さまざまな製造方法により製造可能である。例えば、下記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物を含む重合性単量体及び着色剤、並びに、極性樹脂又は荷電制御剤、その他必要に応じて離型剤等を含有する重合性単量体組成物を調製し、水系媒体中で造粒し、重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合することによりトナー粒子を得る、懸濁重合法により製造することができる。
懸濁重合法によりトナー粒子を製造する場合、水系媒体中で造粒する工程(造粒工程)において、極性樹脂等の荷電付与成分をトナー表面近傍に効率的に局在化させることが可能である。また、懸濁重合法によりトナー粒子を製造する場合、重合性単量体の一部として下記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物を用いてラジカル重合反応することにより、前記式(1)で表わされる部分構造を側鎖に有する重合体を結着樹脂に取り込むことができる。その際、前記式(1)で表わされる部分構造を有する重合体は、その構造から他のトナー組成物(例えば、前記式(1)で表わされる部分構造を有する重合体を含有していない結着樹脂や離型剤など)と比べると親水性であることが予想され、トナー粒子表面近傍に局在化されるものと考えられる。その場合、極性樹脂等の荷電付与成分と前記式(1)で表わされる部分構造を側鎖に有する重合体とがトナー表面近傍に効率的に局在化することにより、トナー表面近傍に存在する極性樹脂等の荷電付与成分で蓄えられた過電荷が、トナー中に速やかに散逸し、トナーが過剰に帯電することを抑制するものと考えている。この作用により、トナー一粒子ごとの帯電分布が均一になり易く、帯電立ち上がりが特に良好となるものと考えられる。
Figure 0006012422
(式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、R10は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、R11は、水素原子、又は、メチル基を表し、mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは、1以上3以下の整数を表す。)
尚、懸濁重合法によってトナーを製造する場合、上記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物を用いる代わりに、予め合成した前記式(1)で表わされる部分構造を側鎖に有する重合体を重合性単量体に溶解して用いることもでき、この場合であっても同様の効果が得られる。
また、本発明のトナーは、結着樹脂及び着色剤、並びに極性樹脂又は荷電制御剤を含有する樹脂組成物からなるコア粒子を分散した水系媒体中において、コア粒子に対し重合性単量体を含む重合性単量体組成物を添加して含浸させた後、重合してトナー粒子を得るシード重合法により製造することもできる。シード重合法におけるコア粒子としては、混練粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法または乳化凝集法などで製造することができる。シード重合法によりトナー粒子を製造する場合、上記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物を上記重合性単量体の一部として用い、コア粒子に混合してラジカル重合することにより結着樹脂に取り込むことができる。また、シード重合法を用いることにより上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖に有する重合体を、トナー粒子表面近傍に局在化させさせることが可能である。それにより、トナー表面近傍に存在する極性樹脂等の荷電付与成分で蓄えられた過電荷が、トナー中に速やかに散逸し、トナーが過剰に帯電することが抑制されるものと考えている。この作用により、各トナー粒子における帯電分布が均一になり易く、帯電立ち上がりが更に良好となるものと考えられる。
上記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物の具体例を表1に示す。ここに示す例は、あくまで一例であり、これらに限定されるものではない。
Figure 0006012422
上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体の基本的な樹脂構造としては、上記式(1)で表わされる部分構造(以下、単に構造Aともいう)と連結できる構造であれば特に制限はない。例えば、基本的な樹脂構造が、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリウレタン系重合体、又はポリエーテル系重合体などが挙げられる。また、これらが2種以上組み合わさったハイブリッド型の重合体も挙げられる。ここに挙げた中でも、製造容易性、コストメリット、結着樹脂との親和性を考慮すると、ビニル系重合体、又はポリエステル系重合体であることが好ましい。尚、重合体中、上記式(1)で表わされる部分構造は、結合部を1つしか有さないため、側鎖として結合する。但し、主鎖に結合する側鎖であっても良く、また、主鎖に結合した他の構造を
有する側鎖に結合し、側鎖の側鎖となっていても良い。
懸濁重合法により製造したトナー粒子や、シード重合法により製造したトナー粒子である場合、上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体は、トナー粒子製造時に、重合性単量体成分として上記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物を添加することで製造することができる。その際には重合性単量体成分に上記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物と共にビニル系単量体を更に加えることで共重合体とすることもできる。
その際のビニル系単量体としては、特に制限されない。具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル酸;アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルの如きアクリル酸エステル類;前記アクリル酸エステル類のアクリルをメタクリルに変えたメタクリル酸エステル類;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸アミノエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロールの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。なお、ビニル系単量体は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いても良い。また、公知の架橋剤を添加してもよい。
上記した重合性単量体成分を重合させる際に用いることのできる重合開始剤としては、過酸化物系重合開始剤、アゾ系重合開始剤など様々なものが挙げられる。過酸化物系重合開始剤としては、有機系としては、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイドが挙げられる。無機系としては、過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられる。具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネートなどのパーオキシエステル;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;1,1−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド;その他としてt−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等が挙げられる。また、アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が例示される。
なお、必要に応じてこれら重合開始剤を2種以上同時に用いることもできる。この際、使用される重合開始剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対し0.100質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
本発明において、上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出した重量平均分子量が1000以上1000000以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては、重量平均
分子量が2000以上200000以下である。上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体の分子量が上記の範囲内にある場合には、スリーブやキャリアといった部材に対する汚染が良好に抑制される。
また、帯電特性や定着性の観点から、上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体は、分子量分布が狭いことが好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0以上6.0以下であることが好ましい。
なお、上記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体の分子量の制御は、トナー作製時における、該成分やビニル系単量体の仕込み量、重合開始剤種や重合開始剤の仕込み量、反応温度や反応時間などにより調整が可能である。
一方、本発明において、下記式(3)で表わされる部分構造の含有量は、トナー1g当たり、0.100μmol以上200μmol以下が好ましく、1.00μmol以上125μmol以下であることがより好ましい。式(3)で表わされる部分構造の含有量が、上記の範囲内である場合には、電荷の保持とリークとのバランスがより好適に保たれ、更に帯電性能が良好となる。式(3)で表わされる部分構造の含有量の制御はトナー作製時の該成分の仕込み量により調整が可能である。
なお、後述のトナー中の式(3)で表わされる部分構造の含有量は、トナー作製時の上記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物の仕込み量により算出する。
Figure 0006012422
(式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは、1以上3以下の整数を表す。)
本発明のトナーは、上述した通り、上記荷電付与成分を含有する。荷電付与成分としては、上述のように、トナーとしての摩擦帯電量を高める成分であれば特段限定されることは無く、極性樹脂や、正帯電性または負帯電性を有する公知の荷電制御剤として知られている化合物を用いることができる。
上記極性樹脂とは、広くは摩擦帯電を起こしやすい、すなわち電荷の授受が比較的容易な樹脂であり、トナーに用いられる公知の極性樹脂が挙げられる。樹脂中にエーテル結合や、エステル結合、アミド結合などを有するものや、カルボキシル基や、スルホン酸基、水酸基などの極性基を有するものを挙げることができる。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂や、スチレン−アクリル樹脂であって、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基を有する樹脂、さらには、それらを結合させたハイブリッド樹脂を挙げることができる。また、ビニル系樹脂やハイブリッド樹脂中のビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂及び極性樹脂を含有する態様の場合、上記極性樹脂
の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.50質量部以上、より好ましくは1.00質量部以上である。尚、上述したように、本発明において結着樹脂そのものが極性樹脂である態様の場合、トナーを構成する結着樹脂に極性樹脂を用いる。
極性樹脂において、特に酸価を有する樹脂は、帯電もしやすく、帯電量も高くなりやすく、トナー材料としては有効である。酸価を有する樹脂としては、カルボキシル基、スルホン酸基を有するスチレンアクリル系樹脂やポリエステル樹脂が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂を構成する単量体の中で極性が高いものとしは、公知のものが使用可能であるが、具体的には以下のものを挙げることができる。アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有する単量体。2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有する単量体。マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル。パラスチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸を有する単量体。
また、上記極性を有する単量体と共重合可能な単量体としては、具体的には以下のようなものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル酸;アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルの如きアクリル酸エステル類;前記アクリル酸エステル類のアクリルをメタクリルに変えたメタクリル酸エステル類;メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸アミノエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロールの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体。なお、これらの単量体は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いても良い。
スチレンアクリル系樹脂の作製において使用可能な重合開始剤は、特に限定されるものではなく、公知の過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤を用いることができ、前述の重合開始剤と同様のものが挙げられる。
酸価を有するポリエステル樹脂としては、末端にカルボキシル基を有する樹脂であっても良く、3官能以上の多価カルボン酸を単量体として用いた場合に得られるような分子鎖の途中にカルボキシル基を有する樹脂であっても良い。
該ポリエステル樹脂を得るためのアルコール成分及び酸成分としては、以下のものが例示される。
前記ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては下記の物が挙げられる。具体的には、二価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAが挙げられる。
三価以上のアルコール成分としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
また、多価カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上12以下のアルキル基で置換されたコハク酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物が挙げられる。
それらの中でも特に、ビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルカルボン酸成分を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が好ましく用いることができる。
さらに、ポリエステル構造部分とスチレンアクリル構造部分とを有するハイブリッド樹脂であっても良い。
ハイブリッド樹脂としては、ポリエステル構造を有しビニルモノマーで変性された構造が例示され、例えば、過酸化物系の重合開始剤を用いることによりポリエステル樹脂をビニル変性したり、不飽和基を有するポリエステル樹脂とビニル系モノマーを重合したりする方法等が挙げられる。
上記極性樹脂が酸価を有する場合には、2.0mgKOH/g以上60.0mgKOH/g以下であることが好ましく、4.0mgKOH/g以上50.0mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価が上記の範囲内であれば、トナーの有する帯電量が環境変動の影響を受けにくく、より好適なものとなる。
上記酸価の調整は、スチレンアクリル樹脂の場合には、酸価を与えるような単量体の仕
込み量を制御することにより可能である。また、ポリエステル樹脂の場合には、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との量比を調整して酸基、水酸基の量を制御することによって調整可能である。
また、トナー粒子の表面酸価が、0.010mgKOH/g以上1.000mgKOH/g以下であることが好ましい。これはトナーの帯電性がトナー表面の酸価に依存しているからと考えられるからである。尚、トナー粒子の表面酸価は、トナーを水系媒体中に分散させたときに測定される酸価であり、測定方法については後述する。なお、トナーの表面酸価を制御するためには、トナー粒子中に導入する樹脂の酸価を制御すればよい。水系媒体中での造粒を経て製造されるトナー粒子の場合には、水系媒体中にて粒子表面に移行しやすい、比較的親水性の高い樹脂の酸価を調整すればよい。
一方、荷電付与成分として用いられる荷電制御剤としては、正帯電性、負帯電性を有する公知の荷電制御剤を用いることができる。例えば、有機金属錯体やキレート化合物、四級アンモニウム塩、ニグロシン染料、アジン染料、トリフェニルメタン系染顔料などである。有機金属錯体又はキレート化合物としては、モノアゾ染料の金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ダイカルボン酸金属化合物、芳香族オキシカルボン酸の金属化合物、及びベンジル酸の金属化合物などがあげられる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂及び荷電制御剤を含有する態様の場合、荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.04質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
上記荷電制御剤として、高分子タイプの荷電制御剤を用いる構成が好適である。
高分子タイプの荷電制御剤として、下記式(4)で表わされる部分構造(以下、単に構造Bともいう)を有する重合体が好適に例示できる。本発明において、該式(4)で表わされる部分構造を有する重合体を含有させた場合、飽和帯電量の増加と、帯電立ち上り性能の更なる向上に有効である。
Figure 0006012422
(式中、Rは、水素原子、又は、炭素数1以上12以下のアルキル基を表し、Bは、置換基を有していてもよい炭素数1又は2のアルキレン構造、又は、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、該アルキレン構造における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基であり、該芳香族環における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基である。)
尚、上記式(4)におけるRは、水素原子、又は、炭素数1以上4以下のアルキル基であることがより好ましい。
本発明のトナーとして、トナー中に上記式(4)で表わされる部分構造を有する重合体がトナー中に存在することにより、トナーの帯電特性が改善される理由は明らかではないが、本発明者らは以下の様に考えている。式(4)の構造B中のスルホン酸基による電荷発生機構とアミド基による電荷蓄積機能により、飽和帯電量の増加と共に帯電速度が高ま
り、トナーの帯電の立ち上がりが良好となる。一方、上記構造Aに含まれる安息香酸構造により、構造Bにて蓄えられた過剰な電荷が、トナー中に散逸し、トナーが過剰に帯電することを抑制するものと考えている。この作用により、トナー一粒子ごとに帯電する機会にバラツキがあったとしても、トナー全体の帯電量分布が均一になり易く、帯電立ち上がりが更に良好となるものと考えられる。
上記式(4)で表わされる部分構造を有する重合体としては、下記式(5)で表わされるユニットを有するビニル系樹脂があげられる。
Figure 0006012422
(式中、Rは、水素原子、又は、炭素数1以上12以下のアルキル基を表し、Rは、水素原子、又は、メチル基を表す、Bは、置換基を有していてもよい炭素数1又は2のアルキレン構造、又は、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、該アルキレン構造における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基であり、該芳香族環における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基である。)
上記式(5)で表わされるユニットを有するビニル系樹脂の製造方法は特に限定されない。式(5)で表わされるユニットを有するビニル系樹脂は、下記式(6)で表わされるビニル単量体を用いて重合することにより製造することができる。
Figure 0006012422
(式中、Bは、置換基を有していてもよい炭素数1又は2のアルキレン構造、又は、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、R13は、水素原子、又は、炭素数1以上12以下のアルキル基を表し、R14は、水素原子、又は、メチル基を表し、該アルキレン構造における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基であり、芳香族環における置
換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基である。)
式(6)で表わされるビニル単量体の具体例としては、以下のものを挙げることができる。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドベンゼンスルホン酸、2−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸、3−アクリルアミドベンゼンスルホン酸、3−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸、4−アクリルアミドベンゼンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−5−メチルベンゼンスルホン酸、2−メタクリルアミド−5−メチルベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸、2−メタクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸、及びそれらの炭素数1以上12以下のアルキルエステルが例示される。スルホン酸構造、メチルエステル又はエチルエステルであることが好ましく、より好ましくは、スルホン酸構造又はスルホン酸メチルエステル構造である。
上記構造Bを有する重合体と共重合させることができるビニル系単量体としては、特に制限されない。具体的には、前述の式(2)で表わされるビニル基を有する化合物と混合して、共重合させることができるビニル系単量体として記載のビニル系単量体と同様のものを用いることが可能である。
一方、構造Bを有する重合体がポリエステル樹脂である場合には、種々の公知の製造方法が利用可能である。例えば、
i)ポリエステル構造に含まれるカルボキシル基や水酸基の反応残基を利用して、有機反応により、式(4)の構造Bに変換する方法;
ii)式(4)の構造Bを置換基として有する多価アルコールまたは多価カルボン酸を用いてポリエステルを作製する方法;
iii)多価アルコールまたは多価カルボン酸に、式(4)の構造Bを置換基として導入させやすい官能基をあらかじめ導入しておく方法;
等が挙げられる。
また、ハイブリッド樹脂である場合には、
iv)式(4)の構造Bを置換基として含有するポリエステル樹脂をビニル単量体によりハイブリッド化する方法;
v)ビニル単量体としてアクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するものを用いて重合した後に、そのカルボキシル基を有機反応により、式(4)の構造Bに変換する方法;
vi)式(4)の構造Bを有するビニル単量体を用いてポリエステル樹脂をハイブリッド化する方法;
等が挙げられる。
ポリエステル樹脂をビニル単量体によってハイブリッド化する方法としては公知の方法が利用可能であり、iv)の方法として有効である。具体的には過酸化物系の開始剤によりポリエステルのビニル変性を行う方法、不飽和基を有するポリエステル樹脂をグラフト変性してハイブリッド樹脂を作製する方法等が挙げられる。
一方、v)の具体的方法としては、式(4)の構造Bを導入する場合、樹脂中に存在するカルボキシル基を式(4)の重合体との結合部にアミノ基を導入した化合物を用いてアミド化する方法等を挙げることができる。
また、vi)の具体的方法としては、使用可能なビニル単量体としては、前述の式(6)で表わされるビニル単量体を用いることができる。
式(4)の構造Bを有する重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により算出した重量平均分子量(Mw)は1000以上1000000以下であることが好ましい。より好ましい範囲としては、重量平均分子量(Mw)が2000以上200000以下である。式(4)の構造Bを有する重合体の分子量が上記の範囲内にある場合には、スリーブやキャリアといった部材に対する汚染が良好に抑制される。
また、帯電特性や定着性の観点から、式(4)の構造Bを有する重合体の分子量分布は狭いことが好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0以上6.0以下であることが好ましい。
本発明において、構造Bを有する重合体の重量平均分子量の調整方法としては公知の方法が使用可能である。構造Bを有する重合体がビニル系樹脂である場合、式(6)で表わされるビニル単量体とその他のビニル系単量体との量比、重合開始剤量の仕込み量、重合温度等により任意に調整可能である。構造Bを有する重合体がポリエステル系樹脂である場合、酸成分とアルコール成分の仕込み比や重合時間により任意に調整可能である。またハイブリッド樹脂においてはポリエステル成分の分子量調整に加えてビニル変性ユニットの分子量の調整も可能となる。具体的には、ビニル変性の反応工程においてラジカル開始剤量や重合温度等により任意に調整可能である。本発明でポリエステル樹脂のハイブリッド化に用いることのできるビニル系単量体としては、前述の式(2)で表わされるビニル基を有する化合物と混合して、共重合させることができるビニル系単量体として記載のもの同様に用いることが可能である。
また、本発明のトナーにおいて、構造Bを有する重合体を含有する場合には、式(1)で表わされる部分構造(構造A)のトナー1g当たりの含有量a(μmol)と式(4)で表わされる部分構造(構造B)のトナー1g当たりの含有量b(μmol)との比[a/b]が、0.100≦a/b≦50.0であって、含有量bが0.100μmol以上であることが好ましい。
その理由は明らかではないが、本発明者らは以下の様に考えている。トナー中の含有量bが0.100μmol/g以上であれば、トナー中に十分な電荷の発生並びに電荷を蓄積する部分がより多く存在することになる。その結果、トナーに所望の帯電量を速やかに与えることができるようになる。また、トナー粒子中の構造Aの含有量aと構造Bの含有量bのモル比[a/b]が0.100以上50.0以下であれば、帯電の均一化がより速やかに起こるようになる。メカニズムは明確ではないが、モル比[a/b]が0.100以上であることで、トナー粒子として、より効果的にチャージアップの発生を抑制できるようになるためと考えている。また、モル比[a/b]が50.0以下であることで、式(1)の構造Aのもつ吸湿性の影響を抑えることができるために、より効果的にトナーに所望の帯電量を与えることができるようになるためと考えている。
トナー中の構造Aの含有量aと構造Bの含有量bを調整するためには、それぞれの成分の添加量を調整すればよい。
本発明のトナーにおける結着樹脂としては特に制限はない。懸濁重合法を用いたトナー粒子の製造では、重合性単量体が重合することで結着樹脂を構成させることができる。その場合、重合性単量体としては、特に制限されず、前述のビニル系単量体が好適に用いられる。また、その際には、単量体組成物中に重合性単量体に加え、更にビニル系樹脂やポリエステル樹脂を添加することで結着樹脂を構成する材料とすることができる。本発明のトナーにおける結着樹脂として用いることができるビニル系樹脂は、例えば以下のような
ものを例示することができる。スチレン樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−メタクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂。
ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと、カルボン酸、カルボン酸無水物、又はカルボン酸エステルとを原料モノマーとして通常製造されるポリエステル樹脂を使用することができる。具体的には、前述したポリエステル樹脂と同様の多価アルコール成分、多価カルボン酸成分が利用可能である。それらの中でも、特に、以下に挙げる成分を縮重合したポリエステル樹脂が好ましい。ジオール成分としてはビスフェノール誘導体。酸成分としては、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸の如き低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分。
ビニル系樹脂やポリエステル樹脂の他には、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、また、それらの樹脂を任意に結合させたハイブリッド樹脂を用いることもできる。
この中でも以下のものがトナー特性の上で望ましく用いられる。スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−メタクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂又はスチレン−メタクリル樹脂とポリエステル樹脂とを結合させたハイブリッド樹脂。
本発明のトナーに用いることができる着色剤としては、従来から知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を挙げることができる。
マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。これらの顔料は、単独で使用しても良く、染料と顔料を併用しても良い。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1から5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、55、74、83、93、94、95、97、98、109、110、154、155、166、180,185が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー、マゼンタ,及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
これら着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.00質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
本発明のトナーは、磁性トナーとして用いることも可能であり、その場合には、以下に挙げられる磁性体が用いられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、または他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niの如き金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Ca、Mn、Se、Tiのような金属との合金、およびこれらの混合物。より具体的には、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄銅(CuF
24)、酸化鉄ネオジウム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種類以上を組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの磁性体は、平均粒径が0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.3μm以下であることがより好ましい。795.8kA/m(10Kエルステッド)印加での磁気特性は、抗磁力(Hc)が1.6kA/m以上12kA/m以下(20エルステッド以上150エルステッド以下)であることが好ましく、飽和磁化(σs)が5Am2/kg以上200Am2/kg以下であることが好ましく、より好ましくは50Am2/kg以上100Am2/kg以下である。残留磁化(σr)は、2Am2
/kg以上20Am2/kg以下のものが好ましい。
磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。
本発明のトナーは、離型剤を含有しても良い。離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤の分子量分布としては、メインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。これによって、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。離型剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して総量で2.5質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子を製造する手段としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、上述した通り、シード重合法、及び懸濁重合法を用いることが好ましい。
懸濁重合法、及びシード重合法によるトナー粒子の製造方法において、用いることのできる分散媒体としては、結着樹脂、有機媒体、重合性単量体及び式(2)で表わされるビニル基を有する化合物などの分散媒体に対する溶解性から決められるものであるが、水系のものが好ましい。水系の分散媒体として使用できるものは、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、変性エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、等のアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類が挙げられ、その他にも水溶性のものとして、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;エチルエーテル、エチレングリコール等のエーテル類;メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類等から選ばれるが、水またはアルコール類であることが特に好ましい。またこれらの溶媒を2種類以上混合して用いることもできる。分散媒体に対する液状混合物又は重合成単量体組成物の濃度は、分散媒体に対して1質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上65質量%以下である。
水系の分散媒体を使用する場合に用いることのできる分散安定化剤としては、公知のものが使用可能である。具体例には、無機化合物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン等を水相に分散させて使用できる。分散安定化剤の濃度は液状混合物又は重合性単量体組成物100質量部に対して0.2質量部以上20.0質量部以下が好ましい。
本発明のトナーは、上記トナー粒子に、外添剤として流動性向上剤が添加されて構成されても良い。流動性向上剤としては、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末の如きシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が挙げられる。流動性向上剤は、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積が30m/g以上のものが好ましく、より好ましくは50m/g以上のものである。流動性向上剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上4.0質量部以下である。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、3.0μm以上15.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは4.0μm以上12.0μm以下である。
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることも可能である。磁性キャリアとしては、表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライトを微粒子化したものが使用できる。
現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法においては、磁性キャリアコアの表面を樹脂で被覆した被覆キャリアを用いることが好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解若しくは懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア表面に付着させる方法、磁性キャリアコアと被覆材とを粉体で混合する方法が用いられる。
磁性キャリアコアの被覆材としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、及びアミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは単独或いは複数で用いられる。上記被覆材料の処理量は、磁性キャリアコア粒子に対し0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下である。磁性キャリアは、体積基準の50%粒径(D50)が、10μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上70μm以下であることがより好ましい。二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、現像剤中のトナー濃度として2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
以下に各物性値の測定方法について記載する。
<樹脂の分子量測定>
本発明で用いられる樹脂の分子量及び分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出される。酸基を有する樹脂の分子量を測定する場合は、カラム溶出速度が酸基の量にも依存してしまうため、予め酸基をキャッピングした試料を用意する。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
GPCによる分子量の測定は、以下の様にして行う。上記樹脂をTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル溶液調製は、樹脂の濃度が0.8質量%になるようにTHFの量を調整する。なお、樹脂がTHFに溶解しにくい場合には、DMFなどの塩基性溶媒を用いることも可能である。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、以下に列挙する標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。具体的には、東ソ−社製の商品名「TSKスタンダード
ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」である。
<樹脂の酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN(京都電子工業株式会社製)
滴定解析ソフト:Tview(京都電子工業株式会社製)
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
<滴定パラメーター>
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
<制御パラメーラー>
終点判断電位:30dE
終点判断微分値:50dE/dmL
終点検出範囲の設定:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.611]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(g)である。)
<樹脂の水酸基価の測定方法>
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。本発明における水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
特級無水酢酸25.0gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
1.0モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子株式会社製 電位差滴定測定装置AT−510)を用いて求めることができる。
1.00mol/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記1.00mol/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
下記に水酸基価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT−510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT−WIN(京都電子工業株式会社製)
滴定解析ソフト:Tview(京都電子工業株式会社製)
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
<滴定パラメーター>
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:80mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
<制御パラメーラー>
終点判断電位:30dE
終点判断微分値:50dE/dmL
終点検出範囲の設定:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.5mL
本試験;
粉砕した測定サンプル2.00gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.00mLを、ホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1.00mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5.00mLで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
得られたサンプルを250mLのトールビーカーに移し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液100mLを加え、1時間かけて溶解する。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター、S:試料(g)、D:樹脂の酸価(mgKOH/g)である。
<トナー粒子の表面酸価の測定方法>
ガラス製の300mL平底ビーカーにイオン交換水120mLとメタノール30mLを入れ混合する。この中に分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1%水溶液を7.5mL加え分散剤溶液を作製する。
前記ビーカー内の分散剤溶液をスターラーにて攪拌させながらトナー粒子10.00gを少量ずつ前記分散剤溶液に添加し分散させる。さらに超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)にて60秒間超音波分散処理を行う。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が1
0℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。なお、トナー粒子の表面酸価が低く、前記分散液に分散しにくい場合は、適宜分散液中のメタノール濃度を上げることが有効である。
上記トナー分散液を1mol/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて中和滴定を行う。
前述の樹脂酸価の測定方法における本試験で用いたサンプル溶液を、前記トナー粒子分散液に変更する以外は樹脂酸価の測定と同様の方法で滴定を行い、トナー粒子の表面酸価を算出する。
<重合体中の構造Bの含有量測定>
樹脂中の式(4)で表わされる部分構造(構造B)の含有量(μmol)の算出は、重合体中に含まれる硫黄元素量(ppm)を測定し、その硫黄元素量から算出することができる。具体的には、重合体を自動試料燃焼装置(装置名:イオンクロマトグラフ用前処理装置AQF−100型(装置仕様:オートボートコントローラー ABC型、AQF−100、GA−100の一体型 株式会社ダイアインスツルメンツ製)に導入し、重合体を燃焼ガス化し、そのガスを吸収液(H22、30ppmの水溶液)に吸収させる。次に、イオンクロマトグラフィー(装置名:イオンクロマトグラフ ICS2000、カラム:IONPAC AS17、日本ダイオネクス株式会社製)により、吸収液中に含まれるSO4量を測定することで重合体中に含まれる硫黄元素量(ppm)を算出する。得られた
重合体中の硫黄元素量(ppm)より、重合体中の式(4)で表わされる部分構造(構造B)の含有量(μmol)を算出する。尚、構造Bの構造特定は、後述するNMRを用いた解析により行うことができる。
<構造Bのトナー中の含有量の測定>
構造Bのトナー1g当たりの含有量(μmol)は、トナー中に含まれる硫黄元素量(ppm)を測定し、その硫黄元素量から算出することができる。測定は上述の硫黄元素量の測定と同様に行うことができる。
<トナー中の構造Aと構造Bのモル比[a/b]の算出>
トナー中の構造Aと構造Bのモル比[a/b]は、トナー作製時の仕込み量より算出した構造Aの含有量(μmol/g)と、トナー中に含まれる重合体の硫黄元素量から算出した構造Bの含有量(μmol/g)とのモル比[a/b]より求めることができる。
<重合体並びに重合性単量体の構造分析>
構造A及び構造Bを有する重合体及び重合性単量体の構造は、核磁気共鳴装置(H−NMR、13C−NMR)並びにFT−IRスペクトルを用いて決定することができる。以下に本発明に用いる装置について記す。
(i)H−NMR、13C−NMR
日本電子製FT−NMR JNM−EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
(ii)FT−IRスペクトル
Nicolet社製 AVATAR360FT−IR
<トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャン
ネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解水溶液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。また、本実施例において、「部」は「質量部」を意味する。
以下に式(2)で表わされるビニル基を有する化合物の合成例を示す。
<化合物A−1の合成例>
p−ヒドロキシ安息香酸 100.0gをメタノール710mLに溶解させた。この溶解液に炭酸カリウム147.8gを加えて67℃に加熱した。4−(クロロメチル)スチレン113.8gをp−ヒドロキシ安息香酸が入った溶解液に滴下し、67℃にて12時間反応させた。得られた反応液を冷却してから、濾過し、濾液中のメタノールを減圧留去して析出物を得た。析出物をpH=2の水に分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗してから、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去することにより析出物を得た。この析出物をメタノールに溶解させ水に滴下し、再沈殿、ろ過回収することで析出物を得た。この再沈殿操作を2回行い、得られた析出物を80℃にて48時間乾燥させることで、下記構造を有する化合物A−1を63.5g得た。
Figure 0006012422
<化合物A−2の合成例>
3−ヒドロキシ安息香酸281.9gをメタノール2Lに溶解させ、炭酸カリウム414.4gを加えて60℃に加熱した。この溶解液に4−(クロロメチル)スチレン353.4gを加えて、還流下、3時間反応させた。得られた反応液を冷却し、メタノールを減圧留去し、残渣を得た。得られた残渣をpH=3の水に分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、有機層を飽和食塩水に水洗してから、減圧下、酢酸エチルを留去後、酢酸エチル中で再結晶を行った。得られた析出物を60℃にて24時間乾燥させることで、下記構造を有する化合物A−2を261.1g得た。
Figure 0006012422
<化合物A−3の合成例>
3−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸168.2gをメタノール1000mLに溶解させた。この溶解液に炭酸カリウム207.3gを加えて60℃に加熱した。4−(クロロメチル)スチレン176.7gを3−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸が入った溶解液に滴下し、還流下、4時間反応させた。得られた反応液を冷却し、メタノールを減圧留去し、残渣を得た。得られた残渣をpH=3の水に分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、有機層を飽和食塩水に水洗してから、減圧下、酢酸エチルを留去後、酢酸エチル中で再結晶を行った。得られた析出物を60℃にて24時間乾燥させることで、下記構造を有する化合物A−3を115.0g得た。
Figure 0006012422
<化合物A−4の合成例>
3−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸を3−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸152.1gに変更すること以外は、化合物A−3と同じ方法で、下記構造を有する化合物A−
4を得た。
Figure 0006012422
<化合物A−5の合成例>
4−(クロロメチル)スチレンを3−(クロロメチル)メチルスチレンと4−(クロロメチル)スチレンの混合物(AGCセイケミカル社製、商品名「CMS−P」に変更すること以外は、化合物A−1の合成と同じ方法で、下記構造を有する化合物A−5を得た。
Figure 0006012422
以下に極性樹脂の合成例を示す。
<ポリエステル樹脂PES−1の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 67.8部
・テレフタル酸 22.2部
・無水トリメリット酸 10.0部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−1を得た。
<ポリエステル樹脂PES−2の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 68.0部
・テレフタル酸 28.0部
・無水トリメリット酸 4.00部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−2を得た。
<ポリエステル樹脂PES−3の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 67.0部
・テレフタル酸 18.0部
・無水トリメリット酸 15.0部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−3を得た。
<ポリエステル樹脂PES−4の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 66.0部
・テレフタル酸 9.00部
・テレフタル酸ジメチル 25.0部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−4を得た。
<ポリエステル樹脂PES−5の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 65.0部
・テレフタル酸 3.00部
・テレフタル酸ジメチル 32.0部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ、窒素雰囲気下で、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−5を得た。
<ポリエステル樹脂PES−6の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 64.5部
・テレフタル酸 1.50部
・無水トリメリット酸 34.0部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−6を得た。
<ポリエステル樹脂PES−7の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 66.0部
・テレフタル酸 21.0部
・無水トリメリット酸 13.0部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂PES−7を得た。
<スチレンアクリル樹脂SA−1の合成例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕
込み、窒素気流下で還流した。
・スチレン 78.0部
・n−ブチルアクリレート 20.0部
・メタクリル酸 2.00部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.00部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥しスチレンアクリル樹脂SA−1を得た。
<スチレンアクリル樹脂SA−2の合成例>
下記材料を用いる以外は樹脂SA−1の合成方法と同様の操作を行い、スチレンアクリル樹脂SA−2を得た。
・スチレン 75.0部
・n−ブチルアクリレート 19.0部
・アクリル酸 1.40部
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 4.60部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.00部
<ハイブリッド樹脂HB−1の合成例>
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物 69.0部
・テレフタル酸 28.0部
・フマル酸 3.00部
・酸化ジブチル錫 0.005部
を4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂を得た。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。そこへ先に作製したポリエステル樹脂を70.0部投入し、溶解させた。
次に、
・スチレン 79.0部
・n−ブチルアクリレート 20.3部
・アクリル酸 0.700部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 1.50部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持し、その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥しハイブリッド樹脂HB−1を得た。
上記で得られた極性樹脂の物性を表2に示す。
Figure 0006012422
以下に構造Bを有する重合体の合成例を示す。
<構造Bを有する式(8)で示される単量体>
構造Bを有する単量体として式(8)で示される2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用いた。
Figure 0006012422
<構造Bを有する式(9)で示される単量体の合成例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器に、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸1500g、トリメチルオルトフォルメート2060g、p−ベンゾキノン1.50gを仕込み、80℃で5時間反応させた。反応混合物を冷却し、減圧濃縮を行った。析出した結晶をろ過後、水5Lに加え、分散洗浄後、ろ過し、水2.5Lで2回洗浄を行った。得られた結晶を30℃で順風乾燥させた後、ヘキサン4Lで分散洗浄し、ろ過した。得られた結晶を30℃で減圧乾燥させて、式(9)で示される2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸メチルを1063g得た。
Figure 0006012422
<構造Bを有する式(10)で示される単量体の合成例>
撹拌機、温度計、窒素導入管を付した反応容器に、2−アミノ−5−メトキシベンゼンスルホン酸788g、トリエチルアミン642g、テトラヒドロフラン4Lを仕込み、5℃以下でメタクリル酸クロライド352gを15分かけて滴下した。5℃以下に保持したまま6時間撹拌させた。5℃以下に保持しながら反応混合物に濃塩酸800mL、水12.8Lを注加して分液し、有機層を2%塩酸6.4Lで洗浄してから、水6.4Lで3回洗浄した。得られた溶液を減圧濃縮し、結晶を得た。得られた結晶を撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器に仕込み、トリメチルオルトフォルメート1680g、p−ベンゾキノン1.50gを仕込み、80℃で10時間反応させた。反応混合物を冷却し、減圧濃縮を行った。析出した結晶をろ過後、水5Lに加え、分散洗浄後、ろ過し、水2.5Lで2回洗浄を行った。得られた結晶を30℃で順風乾燥させた後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル5kg、移動相ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて精製し、式(10)で示される2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチルを383g得た。
Figure 0006012422
<重合体B−1の合成例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 6.00部
・スチレン 78.0部
・2−エチルヘキシルアクリレート 16.0部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.00部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し重合体B−1を得た。得られた重合体B−1は硫黄元素量測定により、263μmol/gのスルホン酸に由来したユニット(構造B)を含有していることが確認された。
<重合体B−2の合成例>
下記材料を用いる以外は重合体B−1と同様に重合体B−2の合成を行い、重合体B−2を得た。
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸メチル 12.0部
・スチレン 72.0部
・2−エチルヘキシルアクリレート 16.0部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.00部
得られた重合体B−2は硫黄元素量測定により、521μmol/gのスルホン酸に由来したユニット(構造B)を含有していることが確認された。
<重合体B−3の合成例>
下記材料を用いる以外は重合体B−1と同様に重合体B−3の合成を行い、重合体B−3を得た。
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 16.0部
・スチレン 74.0部
・n−ブチルアクリレート 10.0部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.00部
得られた重合体B−3は硫黄元素量測定により、539μmol/gのスルホン酸に由来したユニット(構造B)を含有していることが確認された。
上記で得られた構造Bを有する重合体の物性を表3に示す。
Figure 0006012422
〔実施例1〕
顔料分散ペーストの作製:
・スチレン 80.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 14.0部
上記材料を容器中でよくプレミックスしてから、それを20℃以下に保ったままビーズミルで5時間分散し、顔料分散ペーストを作製した。
トナー粒子の作製:
イオン交換水1150部に0.1モル/リットル−NaPO水溶液390部を投入し、60℃に加温してから、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、11,
000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液を58部添加し、Ca(POを含む分散液を得た。
・上記顔料分散ペースト 38.0部
・スチレン 34.0部
・n−ブチルアクリレート 15.0部
・パラフィンワックス(HNP−7:日本精蝋製) 8.00部
・ポリエステル樹脂PES−1 5.00部
・化合物A−1 0.400部
・重合体B−1 0.600部
上記の材料を容器に入れ、60℃に加温し、溶融、分散して単量体混合物とした。さらに、60℃に保持しながら、重合開始剤として、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.00部加えて溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
上記分散媒体に、上記重合性単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気とし、クレアミックスを用いて10000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で5時間反応させてから、80℃で5時間撹拌し、重合を終了させた。室温まで冷却させてから、塩酸を加えてCa(POを溶解し、濾過、水洗、乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに分級により、2μm以上、10μm未満の粒子を選別し、トナー粒子1を得た。
上記トナー粒子100部に対して、BET200m/gの疎水性シリカ微粉体1.00部をヘンシェルミキサーにより外添してトナー1を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、以下のようにトナーの評価を行った。評価結果を表5に示す。
<トナー帯電量の評価>
下記のように二成分現像剤を作製した。
帯電量の評価を行うために以下のようにサンプル調製を行った。磁性キャリア F813−300(パウダーテック社製)276gと評価トナー24.0gを蓋付きのプラスチックボトルに投入し、振とう器(YS−LD:(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで1分間振とうを行い、二成分現像剤とした。
得られたトナー並びに二成分現像剤について、以下の通りに評価を行った。
<トナーの帯電立ち上がり性の評価>
二成分現像剤270gを分取し、高温高湿環境(30℃/80%RH)で3昼夜放置した。これをカラーレーザー複写機imageRUNNER ADVANCE C7065(キヤノン社製)の現像器に仕込み、外部モーターを具備した回転機にて、1分間の回転を行った時(Q1min)、さらに1分間回転(すなわち、合計で2分間の回転)を行った時(Q2min)とさらに3分間回転(すなわち、合計で5分間の回転)を行った時(Q5min)の現像スリーブ上の二成分現像剤をそれぞれ採取し、図1の装置で帯電量を測定した。評価は(Q5min/Q1min)、(Q5min/Q2min)を計算し、以下の基準にて判定を行った。
Aランク:1.20未満
Bランク:1.20以上1.40未満
Cランク:1.40以上1.60未満
Dランク:1.60以上1.80未満
Eランク:1.80以上
(帯電量の測定方法)
図1に示す底に500メッシュ(目開き25μm)のスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとする二成分現像剤を0.500g入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の質量を秤りWl(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で2分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下記式の如く計算される。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
<画像出力試験>
キヤノン製プリンターLBP7200Cを用いて、各環境下にて画像評価を行った。なお、LBP7200Cは、中間転写ユニット部にクリーニング部材を有さず、感光体ユニット部のクリーニング部材で一次及び二次転写残トナーを回収するシステムである。トナー1を70g充填したものを上記プリンターのシアンステーションに装着し、その他にはダミーカートリッジを装着し、画像出力試験を実施した。画像出力紙として、A4サイズの高白色用紙GF−C081(キヤノンマーケティングジャパン株式会社製)を使用した。
画像評価は、32.5℃/90%Rh(高温高湿環境、以下HH環境と略すことがある)の環境下で行った。HH環境下において、印字率が1%の画像を出力する動作を繰り返し、出力枚数が200枚に到達する毎に各環境下で1週間放置した。その後、上記の様にして200枚出力する工程を繰り返し、最終的には4600枚の画像出力を行い、以下の方法で評価を行った。
(1)かぶりの評価
上記の画像出力試験において、1週間放置後、毎回、白地部分を有する画像を1枚ずつ出力した。その後、すべての白地部分を有する画像について、白地部分を有する画像の白地部分の白色度(反射率Ds(%))と転写紙の白色度(平均反射率Dr(%))の差から、かぶり濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出した。なお、白色度は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。フィルターは、アンバーライトフィルターを用いた。かぶりは、評価毎において、最悪であったものについて、以下のランク付けを行った。A、B及びCは使用上問題とならないレベルであるが、Dは使用上問題となるレベルである。
A:かぶり濃度が0.3%未満である。
B:かぶり濃度が0.3%以上0.8%未満である。
C:かぶり濃度が0.8%以上1.3%未満である。
D:かぶり濃度が1.3%以上である。
(2)画像濃度安定性
画像濃度は、カラー反射濃度計(X−RITE 404Amanufactured by X−Rite Co.)で測定した。上記の画像出力試験において、1週間放置前後に、毎回、ベタ画像を1枚ずつ出力し、各画像の濃度を測定した。得られた画像濃度の内、濃度が最大のものと最小のものとの差を求め以下の評価基準に基づいて示した。
A:画像濃度差が0.1以下である。
B:画像濃度差が0.1より大きく、0.3以下である。
C:画像濃度差が0.3より大きく、0.5以下である。
D:画像濃度差が0.5より大きい。
(3)細線再現性(画質)
画質の観点から、細線再現性の評価を行った。上記画像出力において、4600枚の画像出力後、線幅3ピクセルの格子模様がA4用紙全面に印刷された画像(印字面積比率4%)を印刷し、細線再現性を評価した。3ピクセルの線幅は理論上127μmである。画像の線幅をマイクロスコープVK−8500(キーエンス製)で測定する。無作為に5点選んで線幅を測定し、最小値と最大値を除いた3点の平均値をd(μm)としたとき、細線再現性指数として下記のLを定義する。
L(μm)=|127−d|
Lは理論上の線幅127μmと、出力された画像上の線幅dとの差を定義したものである。dは127より大きくなる場合と、小さくなる場合とがあるため、差の絶対値として定義している。Lが小さいほど優れた細線再現性を示す。
(評価基準)
A:Lが0μm以上5μm未満。優れた細線再現性。
B:Lが5μm以上15μm未満。軽微な細線の幅の変動が見られるが、良好な細線再現性。
C:Lが15μm以上30μm未満。細線の細りや飛び散りが目立つが、実用上問題ない細線再現性。
D:Lが30μm以上。所々で細線の断裂、あるいは太りが見られ、細線再現性に劣る。
〔実施例2〜27〕
実施例1において、表4に記載した処方とすること以外は実施例1と同様にトナーを作製し、トナー2〜27を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表5に示す。
〔実施例28〕
顔料分散ペーストの作製
・スチレン 80.0部
・カーボンブラック 14.0部
上記材料を容器中でよくプレミックスしてから、それを20℃以下に保ったままビーズミルで4時間分散し、顔料分散ペーストを得た。
トナー粒子の作製:
イオン交換水1200部に0.1モル/リットル−NaPO水溶液350部を投入し、60℃に加温した。その後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて11,000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液52部を添加し、Ca(POを含む分散媒体を得た。
・上記顔料分散ペースト 38.0部
・スチレン 30.0部
・n−ブチルアクリレート 17.0部
・エステルワックス 10.0部
(主成分C1939COOC2041、融点68.6℃)
・ポリエステル樹脂PES−1 5.00部
・化合物A−1 0.400部
・重合体B−1 0.600部
上記の材料を容器に入れ、これらを60℃に加温し、溶解・分散して単量体混合物とした。さらに60℃に保持しながら、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.00部を加えて溶解し、重合性単量体組成物を得た。
上記の分散媒体、上記重合性単量体組成物を用いる以外は、実施例1と同様にトナーを作製し、トナー28を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、実施例1と同様にして評価を行い(ただし、画像出力試験において、評価用のカートリッジをシアンステ
ーションに替えて、ブラックステーションに装着した。また、カブリ測定時のフィルターをアンバーからグリーンに変更した)、その結果を表5に示す。
〔実施例29〕
実施例1において、着色剤のC.I.ピグメントブルー15:3を用いずにキナクリドン(Pigment Violet 19)を14.0部用いること以外は実施例1と同様にトナーを作製し、トナー29を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、実施例1と同様にして評価を行い(ただし、画像出力試験において、評価用のカートリッジをマゼンタステーションに装着した。また、カブリ測定時のフィルターをアンバーからグリーンに変更した)、その結果を表5に示す。
〔実施例30〕
顔料分散ペーストの作製:
・スチレン 80.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 14.0部
上記材料を容器中でよくプレミックスしてから、それを20℃以下に保ったままビーズミルで5時間分散し、顔料分散ペーストを得た。
トナー粒子の作製:
イオン交換水1150部に0.1モル/リットル−NaPO水溶液390部を投入し、60℃に加温した。その後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、11000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液を58部添加し、Ca(POを含む分散液を得た。
・上記顔料分散ペースト 38.0部
・スチレン 34.0部
・n−ブチルアクリレート 15.0部
・パラフィンワックス(HNP−7:日本精蝋製) 8.00部
・ポリエステル樹脂PES−1 5.00部
これらを60℃に加温し、溶融、分散して単量体混合物とした。さらに、60℃に保持しながら、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5.00部加えて溶解し、重合性単量体組成物を得た。
上記分散媒体に、上記重合性単量体組成物を投入した。60℃で、窒素雰囲気とし、クレアミックスを用いて10000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で1時間反応させることでコア粒子を得た。
・スチレン 7.50部
・n−ブチルアクリレート 2.50部
・化合物A−1 0.400部
上記の材料を容器に入れ、60℃に加温し、溶融、分散して単量体混合物とした。さらに、60℃に保持しながら、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.500部加えて溶解し、シード重合用の重合性単量体組成物として調製した。
この重合性単量体組成物を上記の分散媒体に投入することでシード重合を行った。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で5時間反応させた。次に、80℃で5時間撹拌し、重合を終了させた。室温まで冷却した後、塩酸を加えてCa(POを溶解し、濾過、水洗、乾燥することによりトナー粒子を得た。さらに分級によって2μm以上、10
μm未満の粒子を選別し、トナー粒子30を得た。さらに、実施例1と同様にして、トナー粒子29に疎水性シリカ微粉体を外添することで、トナー30を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し、その結果を表5に示す。
〔実施例31〕
トナー粒子の作製:
・ハイブリッド樹脂HB−1 100.0部
・カーボンブラック 5.00部
・パラフィンワックス(HNP−7:日本精蝋製) 3.00部
上記トナー材料をヘンシェルミキサー(三井鉱山製)により十分予備混合を行い、二軸式押出機で溶融混練し、冷却後、ハンマーミルを用いて粒径を1〜2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を多分割分級装置で分級し、重量平均粒径が6.5μmのコア粒子を得た。
次にフラスコにイオン交換水709部、0.1M−NaPO水溶液451部を投入し、60℃に加温した後、1.0M−CaCl水溶液67.7部を添加してCa(POを含む水系媒体を得た。
次にイオン交換水1150部に0.1モル/リットル−NaPO水溶液390部を投入し、60℃に加温した。その後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて、11000rpmにて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl水溶液を58部添加し、Ca(POを含む分散液を得た。
上記水系媒体中に上記コア粒子を固形分が30%となるように投入し、60℃、N雰囲気下において高速撹拌機で撹拌してコア粒子を一次分散させた。このコア粒子分散液の一部をサンプリングし、重量平均粒径が6.5μmとなったことを確かめて、パドル撹拌翼で撹拌しつつ80℃に昇温した。
・スチレン 7.50部
・n−ブチルアクリレート 2.50部
・化合物A−1 0.400部
これらを60℃に加温し、溶融、分散して単量体混合物とした。さらに、60℃に保持しながら、重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.500部加えて溶解し、シード重合用の重合性単量体組成物として調製した。
この重合性単量体組成物を上記の分散媒体に投入することでシード重合を行った。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃で5時間反応させた。次に、80℃で5時間撹拌し、重合を終了させる。室温まで冷却した後、塩酸を加えてCa(POを溶解し、濾過、水洗、乾燥することによりトナー粒子を得た。さらにトナー粒子を分級して、2μm以上10μm未満を選択し、トナー粒子31を得た。さらに、実施例1と同様にして、トナー粒子30に疎水性シリカ微粉体を外添することで、トナー31を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し、その結果を表5に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、化合物A−1及び重合体B−1を用いないこと以外は実施例1と同様にトナーを作製し、比較例のトナー32を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し、その結果を表5に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、化合物A−1を用いないこと以外は実施例1と同様にトナーを作製し、比較例のトナー33を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し、その結果を表5に示す。
〔比較例3〕
実施例31において、化合物A−1を用いないこと以外は実施例31と同様にトナーを作製し、比較例のトナー34を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し(ただし、画像出力試験において、評価用のカートリッジをシアンステーションに替えて、ブラックステーションに装着した。また、カブリ測定時のフィルターをアンバーからグリーンに変更した)、その結果を表5に示す。
〔比較例4〕
実施例1において、ポリエステル樹脂PES−1及び重合体B−1を用いないこと以外は実施例1と同様にトナーを作製し、比較例のトナー35を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し、その結果を表5に示す。
〔比較例5〕
実施例1において、化合物A−1の代わりにビニル安息香酸0.400部を用いること以外は実施例1と同様にトナーを作製し、比較例のトナー36を得た。得られたトナーの物性を表4に示す。また、得られたトナーの評価を実施例1と同様にして実施し、その結果を表5に示す。
Figure 0006012422
Figure 0006012422
Figure 0006012422
以上より、本発明によれば、帯電量および帯電量の立ち上がりが温度や湿度の変化に影響されにくく、高温高湿下における長期保存前後での帯電量が安定したトナーを得ることができる。
1 吸引機、2 測定容器、3 スクリーン、4 フタ、5 真空計、6 風量調節弁、7 吸引口、8 コンデンサー、9 電位計

Claims (6)

  1. 結着樹脂及び着色剤、並びに極性樹脂又は荷電制御剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーが、下記式(1)で表わされる部分構造を側鎖として有する重合体を含有することを特徴とするトナー。
    Figure 0006012422

    (式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは1以上3以下の整数を表す。)
  2. 前記極性樹脂の酸価が2.0mgKOH/g以上60.0mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナー中に、下記式(3)で表わされる部分構造が、トナー1g当たり、0.100μmol以上200μmol以下で存在することを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
    Figure 0006012422

    (式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    mは、0以上3以下の整数を表し、mが2または3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは1以上3以下の整数を表す。)
  4. 前記トナーは、下記式(4)で表わされる部分構造を有する重合体を更に含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のトナー。
    Figure 0006012422

    (式中、Rは、水素原子、又は、炭素数1以上12以下のアルキル基を表し、
    は、置換基を有していてもよい炭素数1又は2のアルキレン構造、又は、置換基を有していてもよい芳香族環を表し、該アルキレン構造における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基であり、該芳香族環における置換基としては、水酸基、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上12以下のアルコキシル基である。)
  5. 合性単量体及び着色剤、並びに、極性樹脂又は荷電制御剤を含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、該重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合してトナー粒子を製造する工程を有するトナーの製造方法であって、
    該重合性単量体が、下記式(2)で表わされるビニル基を有する化合物を含有することを特徴とするトナーの製造方法
    Figure 0006012422

    (式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    10は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    11は、水素原子、又は、メチル基を表し、
    mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは、1以上3以下の整数を表す。)
  6. 系媒体中において、結着樹脂及び着色剤、並びに極性樹脂又は荷電制御剤を含有する樹脂組成物からなるコア粒子をシードにして、下記式(2)で表わされる化合物を含む重合性単量体をシード重合してトナー粒子を製造する工程を有するトナーの製造方法
    Figure 0006012422

    (式中、Rは、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    10は、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1以上18以下のアルキル基、又は、炭素数1以上18以下のアルコキシル基を表し、
    11は、水素原子、又は、メチル基を表し、
    mは、0以上3以下の整数を表し、mが2又は3の場合、Rはそれぞれ独立して選択でき、nは、1以上3以下の整数を表す。)
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