JP5541676B2 - 帯電制御樹脂およびトナー - Google Patents
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Description
特に近年、プリンターや複写機の高速化、高安定化の要求から、より迅速な帯電制御(いわゆる帯電の立ち上がり特性)や、温湿度の環境変化に対する安定性(即ち、環境変化に左右されにくい帯電特性)が求められるようになった。しかも、その特性を長期間にわたって保持せねばならないため、トナーに必要以上のシェアを加えることができず、前述のような所望の帯電特性を得ることがより困難となっている。
トナーの帯電性を制御するためには、結着樹脂自体の摩擦帯電特性を利用することもできる。しかしながら、一般的にトナーに用いられる結着樹脂の摩擦帯電特性は低いものが多く、その組成による帯電性の制御は容易ではない。そこで、一般的には帯電性を付与する帯電制御剤なるものを添加することが行われている。
従来、負帯電性帯電制御剤として、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、塩素化パラフィンが用いられる。これらの染顔料を含む帯電制御剤は構造が複雑で性質が一定せず、安定性に乏しいものが多く、特に温度や湿度の環境により帯電性が変化するものが殆どである。また、トナー作製時の熱混練により変質するものもある。
更に、これらのトナーに添加される帯電制御剤は、摩擦帯電能を付与するため、ある程度トナー表面に存在していなければならない。そのため、トナー同士の摩擦、キャリアとの衝突、搬送スリーブ又はローラー、規制ブレード、感光体ドラムとの摩擦により、トナー表面からこれらの添加剤が脱落し、キャリアの汚染や、現像部材、感光体ドラムの汚染が生じることがある。その結果、耐久出力枚数が増すに従って、帯電性が悪くなる。また、同時に該帯電制御剤の汚染による各部材の機能低下も進行し、画像濃度の変化や、画質の低下といった問題を引き起こす。
以上のような背景からトナーの帯電特性を改良するための検討が盛んに行われている。特に、環境への配慮や、より安定した帯電性の要求、製造コストの理由から、近年になって帯電制御機能を有する樹脂をトナー原材料として用いるという提案も行なわれている(例えば、特許文献1参照)。ここではトナーを低抵抗化するためにアリールアルキルスルホン酸塩のような帯電防止剤を含有させ、帯電量の均一化をはかると記載されている。このように帯電防止剤をトナーに用いトナーの抵抗値を調整することによって帯電量の制御を行うという提案がいくつかなされている(例えば、特許文献2参照)。ここではポリエーテルポリオール樹脂に帯電防止剤を混合し帯電制御を試みている。さらに、カーボンブラックなどの低抵抗の顔料を含有するトナーにおいては、帯電量の底上げと帯電量分布のシャープ化を達成するために、ポリエーテル構造を有する化合物とリチウムイオンを含む化
合物とを混合することが有効であることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、これらの帯電防止剤は自身の抵抗調整機能を発現するために親水性の化学構造を有している場合が多く、これら親水性の官能基により、周囲の湿度による帯電量の散逸が起こりやすく、帯電の安定性に劣る場合が多かった。
<1> 下記式(1)で示される繰り返し構造単位Aと、下記式(2)で示される繰り返し構造単位Bと、を含有する帯電制御樹脂であって、前記帯電制御樹脂に含まれる前記繰り返し構造単位Aの含有量が、0.040mmol/g以上0.500mmol/g以下であり、前記帯電制御樹脂に含まれる前記繰り返し構造単位Bの含有量が、0.300mmol/g以上1.000mmol/g以下であることを特徴とする帯電制御樹脂。
[前記式(2)において、R4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、置換基を有してもよい2価の脂肪族基または置換基を有してもよい2価の芳香族基であり、R6は、水素原子、アルキル基またはアルカリ金属原子である。]
すなわち、ユニットBの構造に含まれるスルホン酸基またはスルホン酸エステル基は樹脂の接触あるいは摩擦により電荷を発生する発電機構を有すると考えられる。また、アミド結合は非共有電子対を有することから、分子内で起こりうる水素結合などによって電荷が蓄積される電荷保持機構を有するものと考えられる。さらにユニットAに含まれるポリエーテル鎖は、ユニットBにて蓄えられた電荷を一定の速度で樹脂中に散逸し、帯電の安定化および均一化を担っているものと考えられる。これらの作用により樹脂の帯電量をより適切に制御できると考えられる。また、ユニットBおよびユニットA中には水酸基のような親水性の官能基が存在せず、周囲の湿度変化の影響を受けにくい帯電制御が可能になっているものと考えている。
また、ユニットAにおいて、R1は、水素原子またはメチル基である。R2は、アルキル基であり、好ましくは炭素数1以上10以下のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。R3は水素原子またはメチル基である。
また、上記式(3)は、上記式(2)で示される繰り返し構造単位BのR5が、二価の芳香族基の事例である。このようにR5が二価の芳香族基であることにより、帯電性能をより向上させることが可能であり好ましい。これは、芳香族基の共役系がスルホン酸部分の電子状態に好適に作用するためと考えられる。上記R5は置換基を有していてもよいフェニレン基及びナフタレンジイル基が挙げられる。
一方、上記式(3)において、R9から12は独立して水素原子、水酸基、炭素数1から4のアルキル基及びアルコキシ基からなる群より選ばれる置換基であり、隣接する置換基が5または6員環の芳香族環を形成していてもよい。
上記式(3)において、スルホン酸基(−SO3R8)の位置は窒素原子に結合する炭素原子からみてオルト位、あるいはメタ位に位置することが帯電の立ち上り性能には好ましく、さらにはオルト位に位置することが最も好ましい。
の散逸が不十分で帯電量分布がシャープになりにくい。また、0.500mmol/gを
越える場合は樹脂の導電性が高く、所望の帯電量が得られない場合が多い。当該含有量は、0.060mmol/g以上0.300mmol/g以下であることが好ましい。
一方、繰り返し構造単位Bの含有量は0.300mmol/g以上1.000mmol/g以下である。0.300mmol/g未満では所望の帯電量が得られない場合や帯電の立
ち上りが遅くなる場合が多い。また、1.000mmol/gを越える場合は帯電が高く
、帯電を安定化させることが困難となる場合がある。当該含有量は、0.400mmol/g以上0.700mmol/g以下であることが好ましい。
尚、繰り返し構造単位A、繰り返し構造単位Bの定量方法については後述する。
本発明の帯電制御樹脂をビニル系単量体の共重合により製造する場合、ビニル系単量体としてユニットAやユニットBの構造を有するものを使用することが好ましい。ただし、ユニットAやBの構造を有する単量体と他の単量体とのラジカル反応速度が大きく異なる場合には反応時にそれぞれの単量体の濃度を調整することによって均一な組成となるように工夫することが好ましい。ユニットAとBの含有量はこれら単量体の仕込量により調整が可能である。
ユニットAの構造を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、公知のものが使用可能である。具体例として、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートであり、エチレングリコールの繰り返し単位数nが4以上のものが挙げられる。
一方、ユニットBの構造を有するビニル単量体としては、特に限定されないが、公知のものが使用可能である。具体的には以下のものを挙げることができる。ビニルスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドメチルスルホン酸、2−アクリルアミドエチルスルホン酸、2−アクリルアミドベンゼンスルホン酸、4−アクリルアミドベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸、およびそれらのメチルエステル、エチルエステル、イソプロビルエステル、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩。
なお、スルホン酸基のエステル化については、スルホン酸含有の樹脂を作製後に行うことも可能である。樹脂中のスルホン酸をエステル化する方法としては公知の方法が利用できる。具体的には、スルホン酸のクロル化の後にアルコールと反応させる方法、ジメチル硫酸、トリメチルシリルジアゾメタン、リン酸トリメチル等のメチルエステル化剤を使用する方法、オルトギ酸エステルを使用する方法が挙げられる。中でも本発明において、エス
テル化の方法として最も優れているのはオルトギ酸エステルを使用する方法である。この方法によると、所望のアルキル基を有するオルトギ酸エステルとスルホン酸含有樹脂とを比較的温和な条件で反応させることにより、容易にスルホン酸のエステル化を行うことができる。反応温度、反応時間、オルトギ酸エステルの量、溶媒の量により容易にエステル化の割合をコントロールすることが可能である。オルトギ酸エステルの具体例として、トリメチルオルトホルメート、トリエチルオルトホルメート、トリ−n−プロピルオルトホルメート、トリ−iso−プロピルオルトホルメート、トリ−n−ブチルオルトホルメート、トリ−sec−ブチルオルトホルメート、トリ−tert−ブチルオルトホルメート、及びこれらの混合物が挙げられる。
カルボキシル基を有する単量体としては公知のものが利用可能である。具体的には以下のものを挙げることができる。アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物。
また、ポリエステルの構造を有する樹脂の作製後にユニットAやBの構造を有する化合物を付加させる方法としては公知の手法を用いることができる。具体的には、ポリエステル作製後のカルボン酸残基を用い、ポリエーテル末端の水酸基や、NH2−R5−SO3R6中のアミノ基との脱水縮合反応によりユニットAおよびユニットBの特徴部分を導入する方法が挙げられる。
ポリエステルのカルボン酸残基の量は、該ポリエステルの単量体の構成により制御可能である。すなわち、単量体として3価以上のカルボン酸やカルボキシル基を含むジオール成分を用いることである。3価のカルボン酸としては、特に限定されないが、トリメリット酸が挙げられる。
ビニル系重合体を構成する単量体としては公知のラジカル重合性単量体を用いることが可能である。具体的には、以下のものを挙げることができる。スチレン、α−メチルスチレンの如きスチレン及びその誘導体;酢酸ビニルの如きビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテルの如きビニルエーテル類;マレイン酸の如き不飽和二塩基酸またはその無水物。
三価以上のアルコール成分としては、例えば以下のものを挙げることができる。ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオー
ル、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
また多価カルボン酸成分としては、例えば以下のものを挙げることができる。フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上以下12のアルキル基で置換されたこはく酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
本発明でポリエステル樹脂のハイブリッド化に用いることのできるビニル単量体としては公知のものが使用可能であり、前述したビニル系単量体を例示することができる。
本発明のトナーは前述の帯電制御樹脂、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーである。本発明の帯電制御樹脂を用いることにより従来は得られなかった帯電特性、すなわち周囲の環境変化にともなう帯電量変化が少なく、画像出力の安定性に優れ、速い帯電量の立ち上りとシャープな帯電量分布を実現することができる。
以下に本発明のトナーの詳細について説明する。
本発明のトナーに使用可能な帯電制御樹脂の添加量としては結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.5質量部以上20質量部以下である。
本発明のトナーにおいて使用される結着樹脂としては、特に制限はなく、結着樹脂としては公知のものが使用可能である。例えば、スチレン樹脂、アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂も含む)、スチレン−アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂も含む)、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、また、それらの樹脂を任意に結合させたハイブリッド樹脂が挙げられる。中でも、スチレン樹脂、アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂も含む)、スチレン−アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂も含む)、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂とポリエステル樹脂を結合させたハイブリッド樹脂がトナー特性の上で好ましく用いられる。
上記ポリエステル樹脂としては、多価アルコールとカルボン酸、若しくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステルを原料モノマーとして通常製造されるポリエステル樹脂を使用することができる。具体的には、帯電制御樹脂の説明において記載したアルコール成分及び酸成分を使用することができる。
それらの中でも、特に、ビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が好ましい。一方、ハイブリッド樹脂としては、具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって結合し形成されるものである。好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)が挙げられる。上記ビニル系(共)重合体やビニル系(共)重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、帯電制御樹脂の説明において記載したものを挙げることができる。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に用いられるビニル系重合体やビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤は、例えば以下のものを例示することができる。ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートの如きアルキル鎖で結ばれたジ(メタ)アクリレート化合物類;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレートの如きエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジ(メタ)アクリレート化合物類;ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレートの如き芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジ(メタ)アクリレート化合物類。多官能の架橋剤としては以下のものを例示することができる。ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート。
本発明のトナーは、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれの形態も取り得る。磁性トナーとして用いる場合には、以下に挙げられる磁性材料が好ましく用いられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、または他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niの如き金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Ca、Mn、Se、Tiのような金属との合金、およびこれらの混合物。四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ−Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2
O4)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄ネオジウム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウ
ム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)。上述した磁性材料を単独で或いは2種類以上を組合せて使用する。本発明の目的に特に好適な磁性材料は四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
これらの磁性材料は平均粒径が0.1μm以上2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上0.3μmである。また、10Kエルステッド印加での磁気特性として、抗磁力(Hc)が20エルステッド以上150エルステッド以下であることが好ましい。また、飽和磁化(σr)は5emu/g以上200emu/g以下であることが好ましく、より好ましくは50emu/g以上100emu/g以下である。さらに残留磁化(σr)は、2emu/g以上20emu/g以下のものが好ましい。
上記磁性材料の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。かかる顔料を単独で使用しても、染料と顔料を併用しても良い。マゼンタ用染料としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、8、24、27、49、82、84、109、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、14、27、C.I.ディスパースバイオレット1の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、9、13、15、18、23、27、32、35、37、39、C.I.ベーシックバイオレット1、7、14、21、26、28の塩基性染料が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1から5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。 イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、55、74、83、93、94、95、97、98
、109、110、154、155、166が挙げられる。
黒色着色剤としては、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、及び上記に示すイエロー、マゼンタ及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
尚、着色剤の使用量は、着色剤の種類によって異なるが、結着樹脂100質量部に対して総量で0.1質量部以上60質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上50質量部以下である。
本発明に用いられる離型剤は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された分子量分布に於いて、メインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。当該範囲を満たすことで、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。
また、離型剤の添加量としては、結着樹脂に対する含有量が総量で2.5質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、さらには3.0質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましい。
混練粉砕法においては、結着樹脂、着色剤(又は磁性体)、及び本発明の帯電制御樹脂、必要に応じて、その他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により充分混合する。得られた混合物をニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機により溶融混練し、混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することによりトナー粒子を得る。
懸濁重合法においては、本発明の帯電制御樹脂を重合性単量体中に他の必要成分とともに溶解または微分散させ、水系媒体中で懸濁造粒した後、液滴に含まれる単量体を重合させ、トナー粒子を得る。
溶解懸濁法においては、本発明の帯電制御樹脂を他の必要成分とともに有機溶媒中に溶解または分散させ、水系媒体中で懸濁造粒した後、液滴に含まれる有機溶媒を除去することによりトナー粒子を得る。
乳化凝集法では本発明の帯電制御樹脂を転相乳化などの方法により水系媒体中に微分散させ、他の必要成分の微粒子と混合し、水系媒体中でそれらのゼータ電位の制御によりトナー粒径に凝集させトナー粒子を得る。
また、上記各方法で製造されたトナー粒子はさらに、流動性向上剤などの外添剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサーの如き混合機械により充分混合し、トナー粒子表面に流動性向上剤等を有するトナーを得る。流動性向上剤としては、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリ
カ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末の如きシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が挙げられる。当該流動性向上剤のBET法で測定した窒素吸着による比表面積は、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは50m2/g以上である。当該流動性向上剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上4.0質量部以下である。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば、表面が酸化された又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、又はフェライトを微粒子化したものが使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解若しくは懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリア粒子表面への被覆材料としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは単独或いは複数を組み合わせて用いることができる。上記被覆材料の処理量は、磁性キャリア粒子に対し0.1質量%以上30質量%以下(好ましくは0.5質量%以上20質量%以下)が好ましい。
当該磁性キャリアの平均粒径は10μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上70μm以下であることがより好ましい。
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は、現像剤中のトナー濃度として2質量%以上以下15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下する傾向にあり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい傾向にある。
<トナー及び樹脂の分子量>
本発明の帯電制御樹脂の分子量及び分子量分布、並びにトナーの分子量及び分子量分布はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出されるものである。特に、本発明の帯電制御樹脂において、スルホン酸基を含有するものについては、カラム溶出速度がスルホン酸基の量にも依存してしまうため、正確な分子量及び分子量分布を測定したことにはならない。そのため、予めスルホン酸基をキャッピングした試料を用意する必要がある。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が挙げられる。
尚、GPCによる分子量及び分子量分布の測定は、以下の様にして行えばよい。
試料をTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。尚、サンプル調製は、樹脂の濃度が0.8質量%になるようにTHFの量を調整する。なお、樹脂がTHFに溶解しないまたは溶解しにくい場合にはDMFなどの塩基性溶媒をもちいることも可能である。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)あるいは、樹脂が溶解しにくい場合はDMF
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
作製した樹脂の構造決定は以下の装置を用いて行った。
〔FT−IRスペクトル〕
Nicolet社製 AVATAR360FT−IR
〔1H−NMR、13C−NMR〕
日本電子製FT-NMR JNM−EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
〔元素分析〕
カルロエルバ社製元素分析装置EA−1108(C量、O量、S量及びN量を算出)
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なう。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
以下に示す方法により帯電制御樹脂(1)から(10)の合成を行った。
〔帯電制御樹脂の合成例1〕
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 17.1部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 15.0部
・スチレン 53.0部
・2−エチルヘキシルアクリレート 14.9部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂aを得た。1H−NMR等の結果より、得られた帯電制御樹脂aは、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.619mmol/gであり、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.122mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 17.1部
・NKエステル M−90G(n=9:新中村化学工業社製) 6.7部
・スチレン 59.4部
・2−エチルヘキシルアクリレート 16.8部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂bを得た。
得られた帯電制御樹脂bは、1H−NMR等の結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.587mmol/gであり、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.129mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 17.1部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 50.0部
・スチレン 25.7部
・2−エチルヘキシルアクリレート 7.2部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂cを得た。
得られた帯電制御樹脂cは、1H−NMR等の結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.572mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.431mmol/g含有していることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 17.1部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 5.0部
・スチレン 60.8部
・2−エチルヘキシルアクリレート 17.1部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂dを得た。
得られた帯電制御樹脂dは1H−NMR等の結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.610mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.048mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 25.0部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 15.0部
・スチレン 46.8部
・2−エチルヘキシルアクリレート 13.2部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂eを得た。
得られた帯電制御樹脂eは1H−NMR等の結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.888mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.112mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 9.2部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 15.0部
・スチレン 59.1部
・2−エチルヘキシルアクリレート 16.7部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂fを得た。
得られた帯電制御樹脂fは1H−NMR等の結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.306mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.140mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸 16.3部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 15.0部
・スチレン 53.6部
・2−エチルヘキシルアクリレート 15.1部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂gを得た。
得られた帯電制御樹脂gは1H−NMR等の結果より、スルホン酸に由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.599mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.135mmol/gであることが確認された。
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物66.1部、ジメチルテレフタル酸33.9部を投入した。縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成す
るメタノールを留去しながら10時間反応させた。次いで5から20mmHgの減圧下で反応させ、水酸基価が50mgKOH/g以上になったところで取り出し、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂はTHF不溶解分を含有しておらず、酸価0mgKOH/g、水酸基価54mgKOH/g、Tgは54℃、Mnは1780、Mwは3950であった。
得られたポリエステル樹脂を20部、メトキシブチルアセテート80部に溶解した溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート3.0部、ラウリン酸ジブチルスズ0.03部、メトキシブチルアセテート10部の混合物を滴下した。反応の進行はIR(赤外線吸収スペクトル)によりモニターしつつ、2200cm−1のイソシアネート基によるピークが消失するまで反応させた。反応溶液をヘキサンに滴下し再沈澱精製を行った。ろ過後、減圧乾燥し、末端に不飽和結合を有するポリエステル樹脂P1を得た。
つづいて冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、キシレン100部、ポリエステル樹脂P1を40部仕込み、窒素気流下50℃で攪拌した。次に、
・2−アクリルアミド−5−メトキシベンゼンスルホン酸メチル 17.1部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製)15.0部
・スチレン 21.7部
・2−エチルヘキシルアクリレート 6.2部
・t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(パーブチルI:日本油脂社製)1.8部
を混合し、前記反応容器に滴下し、120から125℃に昇温した。還流条件下で4時間攪拌し室温まで冷却した。その後、ヘキサン600部に滴下し再沈澱、ろ過による精製を行った。さらにヘキサン200部で2回ろ過洗浄し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂hを得た。得られた帯電制御樹脂hは1H−NMR等の結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから上記ユニットBの含有量が0.570mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.130mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にメタノール67部、トルエン50部、メチルエチルケトン83部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 8.0部
・NKエステル M−230G(n=23:新中村化学工業社製) 15.0部
・スチレン 60.1部
・2−エチルヘキシルアクリレート 16.9部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂iを得た。1H−NMR等の結果より、得られた帯電制御樹脂iは、上記ユニットBの含有量が0.371mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.134mmol/gであることが確認された。
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にメタノール67部、トルエン50部、メチルエチルケトン83部を仕込み、窒素気流下で還流した。
次に、
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸 8.0部
・NKエステル M−20G(n=2:新中村化学工業社製) 2.5部
・スチレン 69.8部
・2−エチルヘキシルアクリレート 19.7部
・ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート) 5.0部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し帯電制御樹脂jを得た。1H−NMR等の結果より、得られた帯電制御樹脂jは、上記ユニットBの含有量が0.401mmol/g、メトキシ基のピーク強度から上記ユニットAの含有量が0.120mmol/gであることが確認された。
冷却管、撹拌機、分水管、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、還流温度まで加熱したキシレン200部を仕込んだ。
・スチレン 82部
・無水マレイン酸 18部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 2部
上記混合物を反応槽中に4時間かけて滴下した。更にキシレン還流下(138〜144℃)でさらに5時間かけて重合を完了させた。そこへ、
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mwは1万) 40部
・テトラブチルチタネート 0.1部
を添加しキシレン還流下で5時間加熱した。冷却後、得られた反応液をエタノール1000部へ再沈殿し樹脂固形分を回収した。得られた固形分を再びアセトン150部に溶解させたのちにメタノール2000部へと再沈殿、濾過を行い、これを2回繰り返し、未反応物質を取り除いた。得られた物質は減圧乾燥させ、粉体状のポリエーテルポリオール樹脂を得た。得られたポリエーテルポリオール樹脂100部を再びアセトン150部に溶解させた溶液にT−77(アゾ鉄錯体:保土谷化学工業製)75部を添加し混合した。得られた混合溶液を撹拌したイオン交換水3000部へと滴下し再沈殿させ、固形分を濾別した。得られた固形分を減圧乾燥させ、粉体状の帯電制御樹脂kを得た。
帯電制御樹脂の合成例11と同様にポリエーテルポリオール樹脂を作製した。得られたポリエーテルポリオール樹脂100部を再びアセトン150部に溶解させた溶液に
・ T−77(アゾ鉄錯体:保土谷化学工業製) 75部
・ トリフルオロメタンスルホン酸リチウム 5部
を添加し混合した。得られた混合溶液を撹拌したイオン交換水3000部へと滴下し再沈殿させ、固形分を濾別した。得られた固形分を減圧乾燥させ、粉体状の帯電制御樹脂lを得た。
〔トナーの製造例1から15〕
<結着樹脂の製造例>
(ポリエステルの作製例)
・ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.2モル付加物 1206部
・ビスフェノールA・エチレンオキサイド2.2モル付加物 475部
・テレフタル酸 249部
・無水トリメリット酸 192部
・フマル酸 290部
・酸化ジブチル錫 0.1部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。窒素雰囲気下で、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂P2を得た。得られた樹脂の分子量はMw=26200、Mn=3600であった。
ビニル系モノマー組成物として、
・スチレン 208部
・2−エチルヘキシルアクリレート 39部
・フマル酸 19部
・α−メチルスチレンの2量体 7部
・ジクミルパーオキサイド 14部
を滴下ロートに入れる。また、
・ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.2モル付加物 2412部
・ビスフェノールA・エチレンオキサイド2.2モル付加物 949部
・テレフタル酸 498部
・無水トリメリット酸 384部
・フマル酸 580部
・酸化ジブチル錫 0.2部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートより上記ビニル系モノマー組成物を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させハイブリッド樹脂PHを得た。得られた樹脂の分子量はMw=116200、Mn=8900であった。
上記トナー粒子100部に対して、BET200m2/gの疎水性シリカ微粉体1.0部をヘンシェルミキサーにより外添してトナー(1)から(15)を得た。トナーの重量平均粒径(D4)および分子量を測定した結果を表3に示す。
以上のように製造した帯電制御樹脂aからlおよびトナー(1)から(15)について、以下の評価方法、評価基準により評価を行った。結果を表5に示す。
<帯電制御樹脂の評価>
得られた帯電制御樹脂aからlをDMFに溶解し、厚さ0.5mmのアルミシート上にバーコーターにより塗布した。その際、乾燥膜の膜厚が5μmとなるように溶液の濃度およびバーコーターのワイヤー径を調整した。作製したシートは5cmの正方形にカットした。
帯電の立ち上り、帯電の安定性、帯電の散逸性を評価するために静電気帯電試験装置(EPA8100:川口電機製作所製)を用いた。本装置のターンテーブル部にはコロナ帯電器および電位測定器が具備されており、コロナ帯電器による帯電電位の推移、およびその後の電位の変化(散逸挙動)をオシロスコープにより観察した。なお、ターンテーブルの回転速度、コロナ帯電器の条件は下記のように設定し、測定手順(1)及び(2)に従ってシートサンプルの表面電位を測定した。
・ターンテーブルの回転速度 40rpm
・中心から測定中心までの距離 85mm
・コロナ帯電器の設定 グリッドバイアス −1000V
コロナ電流値 −30μA
・ 測定手順(1):コロナ帯電器ONでの帯電電位立ち上り測定120秒間
・ 測定手順(2):コロナ帯電器OFFでの電位の立ち下がり推移の測定120秒間
評価基準は下記のように設定した。
(帯電の立ち上がり評価)
帯電電位の1秒間あたりの増加量が帯電量の1%になった時点を帯電の飽和と定義し、コロナ帯電器をONにした時点から帯電の立ち上がりを帯電が飽和するまでの時間(秒)により下記表4のようにランク付けを行った。
(帯電の安定性評価)
帯電の飽和値から30秒間の帯電量変化率(%)を測定し下記のようにランク付けを行った。
(帯電の散逸性評価)
測定手順(2)の帯電器OFF時刻から起算して、帯電電位が半減するまでの時間(秒)を測定し、下記のようにランク付けを行った。
作製した帯電制御樹脂を、冷凍粉砕機(JFC−300:日本分析工業社製)を用いて粉砕した。セルは標準のものを用い、セル中に粉砕した樹脂2.0gを仕込み本体にセットした。セル部分を、液体窒素を満たしたデュワー瓶中に浸し5分間冷却を行った後、3分間振とうを行った。その後、セル部が室温になるまで放置した後に樹脂粉体を取り出した。得られた粉体1.0gとフェライトキャリアF813−300(パウダーテック社製)19.0gとをあらかじめ常温常湿環境(23℃/60%)、低温低湿環境(15℃/15%)、及び高温高湿環境(30℃/80%)の各環境で3昼夜放置しておく。それらを50ccのポリ瓶中に仕込み、振とう器YS−LD(ヤヨイ社製)を用い、240rpmで2分間混合撹拌を行い、図1の装置を用いて測定した。評価は低温低湿時の帯電量および高温高湿時の帯電量を測定し、下記式により帯電の安定性を評価し、下記基準によって判断した。
樹脂の環境安定性(%)=((低温低湿時の帯電量の絶対値)−(高温高湿時の帯電量の絶対値))/(低温低湿時の帯電量の絶対値)×100%
Aランク: 0%以上20%未満
Bランク:20%以上40%未満
Cランク:40%以上60%未満
Dランク:60%以上
(帯電量の測定方法)
底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとする樹脂を0.5g入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の質量を秤りWl(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)に
おいて、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行い、トナーを吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を秤りW2(g)とする。この樹脂の摩擦帯電量(mC/kg)は下記式の如く計算される。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
帯電制御樹脂の環境安定性評価において作製したサンプルのうち、常温常湿環境に放置したサンプルを用いて樹脂の帯電量分布を測定した。測定にはイースパートアナライザーEST−3(ホソカワミクロン製)を用いた。磁極を具備した円盤状の冶具にサンプルを付着させ窒素ブローにより帯電した樹脂粉体を装置中に導入し帯電量分布の測定を行った。得られたq/d分布を元に下記の基準でランク付けを行った。
Aランク:標準偏差が1.20未満
Bランク:標準偏差が1.20以上1.30未満
Cランク:標準偏差が1.30以上1.50未満
Dランク:標準偏差が1.50以上
作製したトナー3.5gと、前述のキャリア(F813−300)46.5gとを分取し、常温常湿環境(23℃/60%)、低温低湿環境(15℃/15%)、及び高温高湿環境(30℃/80%)の各環境で3昼夜放置する。その後50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、2成分現像剤を得た。帯電制御樹脂の帯電特性評価と同様に図1の装置を用いてトナーの帯電量を測定した。評価は低温低湿時の帯電量および高温高湿時の帯電量を測定し、下記式により帯電の安定性を評価し、下記基準によって判断した。
トナー帯電量の環境依存性(%)=((低温低湿時の帯電量の絶対値)−(高温高湿時の帯電量の絶対値))/(低温低湿時の帯電量の絶対値)×100%
Aランク: 0%以上20%未満
Bランク:20%以上40%未満
Cランク:40%以上
それぞれのトナー50gを高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下でさらに3日間放置した。それらをカラーレーザービームプリンタLBP−5400(キヤノン製)のカートリッジに仕込み、予備回転なしにベタ白のA4画像を50枚出力する。その時得られた画像について下記基準により白地部のかぶり評価を行った。そのときの評価基準を下記に示す。
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてかぶり濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)により測定した。
Aランク:10枚以内でかぶり濃度が1.0%未満
Bランク:11以上以下20枚でかぶり濃度が1.0%未満
Cランク:21以上以下30枚でかぶり濃度が1.0%未満
Dランク:31枚においてかぶり濃度が1.0%以上
その結果、本発明の帯電制御樹脂に関わる実施例1から12では、帯電の制御性に優れることがわかった。帯電制御樹脂aを用いた実施例1と帯電制御樹脂jを用いた比較例1を比べると、帯電の制御特性に有意差がみられた。これは、帯電制御樹脂jに含まれるユニ
ットA中のポリエーテル鎖の繰り返し単位が小さいために充分な電荷散逸効果が得られずに帯電の安定性に差が生じたと考えられる。比較例2は帯電制御剤としてT−77(オリエント化学社製)とポリエーテルポリオール樹脂を含んでおり、帯電立ち上がり、安定性、散逸性および環境安定性に劣っていた。そのためトナーに適用した場合においても環境の追随性に劣り、画像特性に不良が生じた。比較例3は比較例2と同様なポリエーテルポリオール樹脂にT−77とイオンソースである化合物を含んでいる。樹脂単体での帯電の立ち上がりと帯電量分布は良好であったが、環境の安定性と追随性に劣り、画像特性に不良が生じた。
6 風量調節弁、7 吸引口、8 コンデンサー、9 電位計
Claims (2)
- 下記式(1)で示される繰り返し構造単位Aと、
下記式(2)で示される繰り返し構造単位Bと、
を含有する帯電制御樹脂であって、
前記帯電制御樹脂に含まれる前記繰り返し構造単位Aの含有量が、0.040mmol/g以上0.500mmol/g以下であり、
前記帯電制御樹脂に含まれる前記繰り返し構造単位Bの含有量が、0.300mmol/g以上1.000mmol/g以下である
ことを特徴とする帯電制御樹脂。
[前記式(1)において、nは、4以上40以下の整数であり、R1は、水素原子またはメチル基であり、R2は、アルキル基であり、R3は、水素原子またはメチル基である。]
[前記式(2)において、R4は、水素原子またはメチル基であり、R5は、置換基を有してもよい2価の脂肪族基または置換基を有してもよい2価の芳香族基であり、R6は、水素原子、アルキル基またはアルカリ金属原子である。] - 結着樹脂、着色剤および帯電制御樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記帯電制御樹脂が、請求項1に記載の帯電制御樹脂であることを特徴とするトナー。
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