JP5455618B2 - 帯電制御樹脂およびトナー - Google Patents
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Description
特に近年、プリンターや複写機の高速化、高安定化の要求から、より迅速な帯電制御(いわゆる帯電の立ち上がり特性)や、温湿度などの環境変化に対する安定性(環境変化に左右されにくい帯電特性)が求められるようになった。しかも、その特性を長期間にわたって保持せねばならないため、トナーに必要以上のシェアを加えることができず、前述のような所望の帯電特性を得ることがより困難となっている。
トナーの帯電性を制御するためには、結着樹脂自体の摩擦帯電特性を利用することもできる。しかしながら、一般的にトナーに用いられる結着樹脂の摩擦帯電特性は低いものが多く、その組成による帯電性の制御は容易ではない。そこで、一般的には帯電性を付与する帯電制御剤なるものを添加することが行われている。
従来、負帯電性帯電制御剤として、例えば、モノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の金属化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン、スルホン化した銅フタロシアニン顔料、塩素化パラフィンが用いられる。これらの染顔料を含む帯電制御剤は構造が複雑で性質が一定せず、安定性に乏しいものが多く、特に温度や湿度等の環境により帯電性が変化するものが殆どである。また、トナー作製時の熱混練により変質するものもある。
更に、これらのトナーに添加される帯電制御剤は、摩擦帯電能を付与するため、ある程度トナー表面に存在していなければならない。そのため、トナー同士の摩擦、キャリアとの衝突、搬送スリーブ又はローラー、規制ブレード、感光体ドラムとの摩擦などにより、トナー表面からこれらの添加剤が脱落し、キャリアの汚染や、現像部材、感光体ドラムなどの汚染が生じることがある。その結果、耐久出力枚数が増すに従って、帯電性が悪くなる。また、同時に該帯電制御剤の汚染による各部材の機能低下も進行し、画像濃度の変化や、画質の低下といった問題を引き起こす。
以上に述べたように、長期間安定してトナーに十分な帯電性を付与し得る帯電制御剤は非常に限られていることが分かる。また、フルカラートナーに適用するためには、トナーに添加されるものは無色であることが好ましく、実用化可能なものはごく僅かである。
以上のような背景からトナーの帯電特性を改良するための検討が盛んに行われている。特に、環境への配慮や、より安定した帯電性の要求、製造コストの理由から、近年になって帯電制御機能を有する樹脂をトナー原材料として用いるという提案も行なわれている(例えば、特許文献1参照)。ここではトナーを低抵抗化するためにアリールアルキルスルホン酸塩のような帯電防止剤を含有させ、帯電量の均一化をはかると記載されている。このように帯電防止剤をトナーに用いトナーの抵抗値を調整することによって帯電量の制御を行うという提案がいくつかなされている(例えば、特許文献2参照)。ここではポリエーテルポリオール樹脂に帯電防止剤を混合し帯電制御を試みている。さらに、カーボンブラックなどの低抵抗の顔料を含有するトナーにおいては、帯電量の底上げと帯電量分布のシャープ化を達成するために、ポリエーテル構造を有する化合物とリチウムイオンを含む化合物とを混合することが有効であることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、これらの帯電防止剤は自身の抵抗調整機能を発現するために親水性の化学構造を有している場合が多く、これら親水性の官能基により、周囲の湿度による帯電量の散逸が起こりやすく、帯電の安定性に劣る場合が多かった。
<1> 少なくとも下記式(1)で示される繰り返し構造単位Aと、下記式(2)で示される繰り返し構造単位Bとを含有する帯電制御樹脂であって、
前記繰り返し構造単位Aと前記繰り返し構造単位Bとが直接結合している部位を少なくとも有し、前記帯電制御樹脂の重量平均分子量Mwが3000以上10万以下であり、前記帯電制御樹脂に含まれる前記繰り返し構造単位Aの含有量が0.300mmol/g以上1.000mmol/g以下であることを特徴とする帯電制御樹脂。
本発明者らは、帯電制御樹脂に含まれる上記式(1)で示される繰り返し構造単位A(以下、ユニットAともいう)と、上記式(2)で示される繰り返し構造単位B(以下、ユニットBともいう)との共存により、環境特性にともなう帯電性向上を発揮することを見出し、本発明に至った。
本発明の効果のメカニズムは明らかではないが、以下のように考えている。
すなわち、ユニットAの構造に含まれるスルホン酸基またはスルホン酸エステル基は、樹脂の接触あるいは摩擦により電荷を発生する発電機構を有すると考えられる。また、アミド結合またはエステル結合は、非共有電子対を有することから、分子内で起こりうる水素結合などによって電荷が蓄積される電荷保持機構を有するものと考えられる。
さらにユニットBに含まれるポリエーテル鎖は、ユニットAにて蓄えられた電荷を一定の速度で樹脂中に散逸し、帯電の安定化および均一化を担っているものと考えられる。
これらの作用により樹脂の帯電量をより適切に制御できると考えられる。また、ユニットAおよびユニットB中には、水酸基のような親水性の官能基が存在せず、周囲の湿度変化の影響を受けにくい帯電制御が可能になっているものと考えている。
ここで、R1は、アミド結合またはエステル結合であり、アミド結合は、具体的には、−C(=O)−NH−であり、エステル結合は、具体的には、−COO−をいう。
R2は、置換もしくは無置換の二価の脂肪族基、または、置換もしくは無置換基の二価の芳香族基である。
R2が二価の脂肪族基としては、具体的には、−CH2−、−(CH2)2−、−C(CH3)2−CH2−、−(CH2)4−を挙げることができるが、この中でも−(CH2)2−が好ましい。また、二価の芳香族基としては、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられるが、この中でもフェニレン基が好ましい。また、それらは、置換基、例えば、メトキシ基やアルコキシ基、アルキル基やアリール基を有していてもよいが、この中でもメトキシ基が好ましい。
R2が二価の芳香族基の場合には、より帯電性能を向上させることが可能である。これは、芳香族基の共役系がスルホン酸部分の電子状態に好適に作用するためと考えられる。また、R2が芳香族基である場合、スルホン酸基(-SO3R3)の位置は、R1に結合
する炭素原子からみて、オルト位、あるいはメタ位に位置することが、帯電の立ち上り性能には好ましく、さらには、オルト位に位置することがより好ましい。
また、スルホン酸の部位に結合する置換基R3は、水素原子、アルカリ金属、炭素数1から4のアルキル基、または一価の芳香族基である。アルカリ金属としては、具体的には、Li、Na、K等を挙げることができるが、この中でもNaが好ましい。炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基等が挙げられる。一価の芳香族基としては、フェニル基が挙げられる。この中でもメチル基が好ましい。
ユニットB中のR4は、具体的には二価の脂肪族基、アレーンジイル基、上記式(3)又は上記式(4)である。二価の脂肪族基としては、具体的には、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−CH2−、−CH(CH3)−CH2−、−(CH2)3−を挙げることができるが、この中でも−(CH2)2−が好ましい。アレーンジイル基としては、フェニレン基、ナフタレンジイル基が挙げられるが、この中でもフェニレン基が好ましい。特に、R4がアレーンジイル基の場合には、電荷散逸の速度が高まり、より高速な帯電制御に有効となりうる。
上記式(4)中、R5は、炭素数1から4のアルキレン基を示し、−C(CH3)2−であることが好ましい。
ユニットAおよびユニットBともに、これら構造を有する縮合重合性単量体を用いて製造するのが好ましく、製造時の単量体の仕込量によってユニットA、Bの含有率を制御することができる。ユニットA、Bの定量方法については、後述するように、FT−IRスペクトル、1H−NMR、13C−NMR、元素分析、酸価や水酸基価の定量等の公知の分析手法が用いられる。
帯電制御樹脂の分子量を制御する手段としては、重合触媒量や反応時間により、所望の分子量に調整することが可能である。分子量の測定方法は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)、光散乱法等を用いることができる。
それらのユニットを前記ポリエーテル構造に導入するにあたっては、特に限定されないが、公知の方法が利用できる。具体的には、ポリエーテルを作製した後に末端の水酸基を利用してポリエステルの残基であるカルボキシル基と脱水縮合反応する方法、あるいはポリエーテルを構成するユニットの一部としてあらかじめ反応性の置換基を導入しておき、後から他のユニットを有する樹脂と反応させる方法等を挙げることができる。反応性の官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基、酸ハロゲン基等を挙げることができる。
また、ポリエーテルにビニル系重合体をグラフト化するためには、上記と同様、ビニル系重合体中に反応性の官能基を導入しておき、後からポリエーテルと縮合させる方法等が用いられる。その他には、ポリエーテルの原料中にラジカル重合性のビニル基を入れておき、他のラジカル重合性単量体とともに重合反応を行い、グラフト化を行う方法等も用いることができる。さらに、ポリエーテルにポリエステル/ビニル重合体のハイブリッド樹脂をグラフトする場合に、同様の公知の方法を用いることが可能である。
三価以上のアルコール成分としては、具体的には、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタン
トリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンを挙げることができる。
多価カルボン酸成分としては、具体的には、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上12以下のアルキル基で置換されたこはく酸若しくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物を挙げることができる。この中でも、ビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が好ましい。カルボン酸成分の具体例としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
本発明のトナーについて、詳細に述べる。
本発明のトナーは、上記帯電制御樹脂、結着樹脂、着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーである。本発明の帯電制御樹脂を用いることにより、従来は得られなかった帯電特性、すなわち、周囲の環境変化にともなう帯電量変化が少なく、速い帯電量の立ち上りとシャープな帯電量分布を実現することができる。
以下に本発明のトナーの詳細について説明する。
本発明のトナーに用いることができる結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものが使用可能であり、例えば、スチレン−アクリル樹脂のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、あるいはそれらを結合させたハイブリッド樹脂が使用可能である。特に、本発明のトナー用樹脂との相溶性を高めるためには、ポリエステル樹脂またはハイブリッド樹脂を用いることが好ましい。
しくは、0.1μm以上0.3μm以下である。
上記磁性材料は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましい。より好ましくは、20質量部以上150質量部以下である。
また、10Kエルステッド印加での磁気特性として、抗磁力(Hc)が20エルステッ
ド以上150エルステッド以下であることが好ましい。飽和磁化(σr)は、5emu/g以上200emu/g以下であることが好ましく、より好ましくは、50emu/g以上100emu/g以下である。さらに、残留磁化(σr)は、2emu/g以上20emu/g以下のものが好ましい。
マゼンタ用染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、8、24、27、49、82、84、109、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、14、27、C.I.ディスパースバイオレット1の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、9、13、15、18、23、27、32、35、37、39、C.I.ベーシックバイオレット1、7、14、21、26、28の如き塩基性染料を挙げることができる。
シアン用着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1から5個置換した銅フタロシアニン顔料を挙げることができる。
イエロー用着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、180、C.I.バットイエロー1、3、20を挙げることができる。
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが用いられる。
尚、着色剤の使用量は、着色剤の種類によって異なるが、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは、総量で0.1質量部以上60質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上50質量部以下である。トナーの定着時に定着器へのオフセット性を改良するため、定着器にオイルを塗布したり、あらかじめトナー中にワックスなどの離型剤を導入しておくのが一般的である。本発明のトナーにおいても、トナー中に離型剤を含有させても構わない。
本発明に用いられる離型剤は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された分子量分布において、メインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。当該範囲を満たすことで、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。
また、離型剤の添加量としては、結着樹脂に対する含有量が総量で、好ましくは、2.5質量部以上15.0質量部以下であり、より好ましくは、3.0質量部以上10.0質量部以下である。
混練粉砕法においては、結着樹脂、着色剤(又は磁性体)、及び本発明の帯電制御樹脂、必要に応じてその他の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルのような混合機により充分混合する。得られた混合物をニーダー、エクストルーダーのような熱混練機により溶融混練し、混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することによりトナー粒子を得る。
懸濁重合法においては、上記帯電制御樹脂を重合性単量体中に他の必要成分とともに溶解または微分散させ、水系媒体中で懸濁造粒した後、液滴に含まれる単量体を重合させ、トナー粒子を得る。
溶解懸濁法においては、上記帯電制御樹脂を他の必要成分とともに有機溶媒中に溶解または分散させ、水系媒体中で懸濁造粒した後、液滴に含まれる有機溶媒を除去することによりトナー粒子を得る。
乳化凝集法においては、上記帯電制御樹脂を転相乳化などの方法により、水系媒体中に微分散させ、他の必要成分の微粒子と混合し、水系媒体中でそれらのゼータ電位の制御によりトナー粒径に凝集させトナー粒子を得る。
本発明において、トナーの重量平均粒径(D4)は、好ましくは、3.0μm以上15.0μm以下であり、より好ましくは、4.0μm以上12.0μm以下である。トナーの重量平均粒径(D4)が、3.0μm未満の場合には、電子写真現像システムに適用したときに帯電安定化が低下する傾向にあり、多数枚の連続現像動作(耐久動作)において、カブリやトナー飛散が発生しやすくなる。一方、トナーの重量平均粒径(D4)が15.0μmを超える場合には、ハーフトーン部の再現性が低下する傾向にあり、得られた画像はガサついた画像になりやすい。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合は、トナーは磁性キャリアと混合して使用される。磁性キャリアとしては、例えば、表面が酸化された又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、又はフェライトを微粒子化したものが用いられる。
イアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂などの被覆材を溶剤中に溶解、若しくは懸濁させて調製した塗布液を、磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法、従来公知の方法が適用できる。
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは単独或いは複数を組み合わせて用いることができる。上記被覆材料の処理量は、キャリア粒子に対し、好ましくは、0.1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは、0.5質量%以上20質量%以下である。
本発明のトナーは、本発明の帯電制御樹脂に加えて、有機金属化合物を併用しても良い。例えば、下記に示す芳香族オキシカルボン酸誘導体の金属化合物が挙げられる。
、Al3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+が挙げられる。M4は4価の金属原子であり、Zr4+、Hf4+、Mn4+、Co4+が挙げられる。これらの金属原子の中で好ましいのはAl3+、Fe3+、Cr3+、Zr4+、Hf4+、Zn2+である。
、ポリブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、また、それらの樹脂を任意に結合させたハイブリッド樹脂が挙げられる。中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂も含む)、スチレン−アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂も含む)、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂とポリエステル樹脂を結合させたハイブリッド樹脂等がトナー特性上、好ましく用いられる。
三価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
,β−不飽和酸無水物、α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
<トナー及び樹脂の分子量>
本発明のトナー及び帯電制御樹脂の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算で算出される。本発明の帯電制御樹脂の中でも、スルホン酸基を含有するものにおいては、カラム溶出速度がスルホン酸基の量にも依存してしまうため、正確な分子量及び分子量分布を測定したことにはならない。そのため、予めスルホン酸基をキャッピングした資料を用意する必要がある。キャッピングにはメチルエステル化が好ましく、市販のメチルエステル化剤が使用できる。具体的には、トリメチルシリルジアゾメタンで処理する方法が用いられる。
尚、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量の測定は、以下の様にして行うことができる。
当該帯電制御樹脂をTHF(テトラヒドロフラン)に加え、室温で24時間静置した溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液とし、以下の条件で測定する。
尚、サンプル調製は、樹脂の濃度が0.8質量%になるようにTHFの量を調整する。樹脂がTHFに溶解しない、または、溶解しにくい場合には、DMFなどの塩基性溶媒を用いることもできる。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)あるいは、樹脂が溶解しにくい場合はDMFなどを使用する。
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタ
ンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
作製した樹脂の構造決定は、以下の装置を用いて行った。
〔FT−IRスペクトル〕
Nicolet社製 AVATAR360FT−IR
〔1H−NMR、13C−NMR〕
日本電子製FT-NMR JNM−EX400(使用溶媒 重クロロホルム)
〔元素分析〕
カルロエルバ社製元素分析装置EA−1108(C量、O量、S量及びN量を算出)
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3(登録商標)」(ベックマン・コールター社製)を用いる。
測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター
Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なうことができる。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
上記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
上記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに、上記電解水溶液200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに、前記電解水溶液30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2ml添加する。
(4)上記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した上記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の上記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、「重量平均粒径(D4)」とは、上記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」である。また、「個数平均粒径(D1)」とは、上記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」である。
下記の方法により帯電制御樹脂a〜jの合成を行った。
〔帯電制御樹脂aの合成〕
(ポリエーテルAの作製)
冷却管、撹拌機、分水管、温度計およびアルゴン導入管の付いた反応槽中に、ハイドロキノン0.2mol、4,4’-ジクロロジフェニルエーテル0.16mol、2,5-ジクロロ安息香酸0.04mol、炭酸カリウム0.23mol、N−メチルピロリドン(N
MP)120g、トルエン60gを入れアルゴン気流下に混合撹拌した。その後、反応槽を150℃で90分、160℃で90分、170℃で90分、さらに、180℃で18時間保温した。
反応後放冷し、イオン交換水2Lを反応槽に投入した。さらに、水洗ろ過を繰り返し、ろ液が中性になるまで洗浄し、60℃で減圧乾燥を行いポリエーテルAを得た。このポリエーテルAの重量平均分子量Mwは6800であった。
上記で作製したポリエーテル30.0gを反応容器に入れ、ジメチルホルムアミド(DMF)120gに溶解させた。それに、2-アミノベンゼンスルホン酸3.0gを投入し
、亜リン酸トリフェニル45.0gを加え、120℃で3時間加熱し反応液(1)を得た。
次に、冷却管、撹拌機、温度計およびアルゴン導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物66.1g、ジメチルテレフタル酸33.9gを仕込んだ。続いて、縮合触媒としてシュウ酸チタニルカリウム0.2gを入れ、230℃で窒素気流下に生成するメタノールを留去しながら10時間反応させた。次いで、5mmHg以上20mmHg以下の減圧下で反応させ、水酸基価が50以上になったところで取り出し、ポリエステル樹脂(P1)を得た。このポリエステル樹脂(P1)の分子量は数平均分子量Mn1600、重量平均分子量Mw3300であった。
上記ポリエステル樹脂(P1)20gを上記で得られた反応液(1)へ投入し、亜リン酸トリフェニル60gを加え、さらに120℃で6時間加熱した。
反応終了後、エタノール1Lに再沈殿して回収した。これらを1N塩酸200gを用いて2回洗浄を行った後、水200gで2回洗浄を行い、減圧乾燥させ、ポリエーテル/ポ
リエステルのハイブリッド樹脂を得た。
冷却管、撹拌機、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、トリメチルオルトホルメート400gを仕込み80℃に加熱した。これに、上記で得られたハイブリッドポリマー100gを5分間で添加し、その後15時間攪拌した。次に、反応混合物をヘキサン10Lに攪拌しながら滴下した。しばらく放置し、樹脂を析出、沈殿させた。デカンテーションにて上澄みを除き、残渣にクロロホルム500gを加えて溶かした。これをヘキサン8Lに攪拌下で滴下し、析出、沈殿させ、デカンテーションにて上澄みを除き、残渣を減圧乾燥した。これをメタノール300gで洗浄し、さらに水300gで洗浄した。これを減圧乾燥し、帯電制御樹脂aを得た。
上記で得られた帯電制御樹脂aは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.581mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは15200であった。
〔帯電制御樹脂bの合成〕
帯電制御樹脂aの合成において、ハイドロキノンを、ジエチレングリコールに置き換えた以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂bを得た。
得られた樹脂bは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.596mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは13300であった。
〔帯電制御樹脂cの合成〕
帯電制御樹脂aの合成において、2-アミノベンゼンスルホン酸3.0gを2-アミノエタンスルホン酸2.3gに置き換え、さらにスルホン酸基のエステル化を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂cを得た。
得られた帯電制御樹脂cは、IR測定を行った結果、アミド基結合に由来するピーク1658cm―1が確認され、1H−NMRの結果より、ユニットAが0.612mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは14000であった。
〔帯電制御樹脂dの合成〕
帯電制御樹脂aの合成において、2-アミノベンゼンスルホン酸3.0gを1.50g
に置き換えた以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂dを得た。
得られた帯電制御樹脂dは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークから該ユニットAが0.315mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは12000であった。
〔帯電制御樹脂eの合成〕
帯電制御樹脂aの合成において、2-アミノベンゼンスルホン酸3.0gを4.50g
に置き換えた以外は、実施1と同様にして、帯電制御樹脂eを得た。
得られた帯電制御樹脂eは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.870mmol/g含有していることが確認された。また、重
量平均分子量Mwは14600であった。
〔帯電制御樹脂fの合成〕
帯電制御樹脂aの合成と同様に、ポリエーテルAを作製した。
作製したポリエーテルA30.0gを反応容器に入れ、DMF120gに溶解させ、それに2−アミノベンゼンスルホン酸3.0gを投入し、亜リン酸トリフェニル45.0gを加え、120℃で6時間加熱した。反応終了後、エタノール1Lに再沈殿して回収した。これらを、1N塩酸200gを用いて2回洗浄を行った後、水200gで2回洗浄を行い、減圧乾燥させ、スルホン酸が導入されたポリエーテル樹脂を得た。
上記で得られたポリエーテル樹脂に、実施例1と同様にして、スルホン酸基のエステル化を行い、帯電制御樹脂fを得た。
得られた帯電制御樹脂fは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.620mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは8700であった。
〔帯電制御樹脂gの合成〕
帯電制御樹脂aの合成において、2-アミノベンゼンスルホン酸3.0gを4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸3.0gに置き換えた以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂gを得た。
得られた帯電制御樹脂gは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.588mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは16100であった。
〔帯電制御樹脂hの合成〕
帯電制御樹脂aの合成のポリエステルの作製において、反応容器に投入する材料としてトリメリット酸10.0g追加することを除いた以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂hを得た。
得られた帯電制御樹脂hは、1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.559mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは85000であった。
〔帯電制御樹脂iの合成〕
帯電制御樹脂aの合成のポリエーテルの作製例において、反応時間を8時間と短くすること以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂iを得た。
得られた帯電制御樹脂iは1H−NMRの結果より、スルホン酸メチルに由来するピークからユニットAが0.611mmol/g含有していることが確認された。また、重量平均分子量Mwは3500であった。
〔帯電制御樹脂jの合成〕
帯電制御樹脂aの合成において、ポリエーテルAへのスルホン酸基の導入、およびスルホン酸基のエステル化を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、帯電制御樹脂jを得た。
すなわち、帯電制御樹脂jは、ユニットA、Bが含有されていない樹脂である。
得られた帯電制御樹脂jは、IRを測定を行った結果、カルボン酸に由来する1695cm−1のピークが大きく観察された。また、重量平均分子量Mwは14800であった。
本比較例における帯電制御樹脂は、下記のとおり作製した。
冷却管、撹拌機、分水管、温度計および窒素導入管の付いた反応槽中に、還流温度まで加熱したキシレン200部を仕込んだ。
・スチレン 82部
・無水マレイン酸 18部
・ジ−tert−ブチルパーオキサイド 2部
上記混合物を反応槽中に4時間かけて滴下した。更にキシレン還流下(138〜144℃)でさらに5時間かけて重合を完了させた。そこへ、
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量Mwは1万) 40部
・テトラブチルチタネート 0.1部
を添加しキシレン還流下で5時間加熱した。冷却後、得られた反応液をエタノール1000部へ再沈殿し樹脂固形分を回収した。得られた固形分を再びアセトン150部に溶解させたのちにメタノール2000部へと再沈殿、濾過を行い、これを2回繰り返し未反応物質を取り除いた。得られた物質は減圧乾燥させ、粉体状のポリエーテルポリオール樹脂を得た。
得られたポリエーテルポリオール樹脂100部を再びアセトン150部に溶解させた溶液にT−77(アゾ鉄錯体:保土谷化学工業製)75部を添加し混合した。得られた混合溶液を撹拌したイオン交換水3000部へと滴下し再沈殿させ、固形分を濾別した。得られた固形分を減圧乾燥させ、粉体状の帯電制御樹脂kを得た。
本比較例における帯電制御樹脂は、下記のとおり作製した。
比較例2と同様にポリエーテルポリオール樹脂を作製した。得られたポリエーテルポリオール樹脂100部を再びアセトン150部に溶解させた溶液に
・ T−77(アゾ鉄錯体:保土谷化学工業製) 75部
・ トリフルオロメタンスルホン酸リチウム 5部
を添加し混合した。得られた混合溶液を撹拌したイオン交換水3000部へと滴下し再沈殿させ、固形分を濾別した。得られた固形分を減圧乾燥させ、粉体状の帯電制御樹脂lを得た。
実施例1〜12および比較例1における帯電制御樹脂a〜jの構成を、表1に示す。
続いて、以下に示す方法によりトナー(1)〜(15)を製造した。
<結着樹脂の製造>
(ポリエステル樹脂の作製)
ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.2モル付加物 1206部
ビスフェノールA・エチレンオキサイド2.2モル付加物 475部
テレフタル酸 249部
無水トリメリット酸 192部
フマル酸 290部
酸化ジブチル錫 0.1部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内に置いた。窒素雰囲気下で、220℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂P2を得た。得られたポリエステル樹脂(P2)の分子量は、重量平均分子量Mw=26200、数平均分子量Mn=3600であった。
ビニル系モノマー組成物として、
スチレン 208部
2−エチルヘキシルアクリレート 39部
フマル酸 19部
α−メチルスチレンの2量体 7部
ジクミルパーオキサイド 14部
を滴下ロートに入れる。また、
ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.2モル付加物 2412部
ビスフェノールA・エチレンオキサイド2.2モル付加物 949部
テレフタル酸 498部
無水トリメリット酸 384部
フマル酸 580部
酸化ジブチル錫 0.2部
をガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートより上記ビニル系モノマー組成物を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させハイブリッド樹脂PHを得た。得られた樹脂の分子量は、重量平均分子量Mw=116200、数平均分子量Mn=8900であった。
ここで、トナー(13)は、本発明における帯電制御樹脂のユニットA、Bが含有されていないトナーであり、トナー(14)は、帯電制御樹脂としてポリエーテルポリオール樹脂とT77(保土谷化学工業製)とを含む樹脂である。また、トナー(15)は、帯電制御樹脂としてポリエーテルポリオール樹脂とT77(保土谷化学工業製)とパーフルオロメタンスルホン酸リチウムとを含む樹脂である。
上記で得られた帯電制御樹脂a〜lをDMFに溶解し、厚さ0.5mmのアルミシート上にバーコーターにより塗布した。その際、乾燥膜の膜厚が5μmとなるように溶液の濃度およびバーコーターのワイヤー径を調整した。作製したシートは5cmの正方形にカッ
トした。
帯電の立ち上り、帯電の安定性、帯電の散逸性を評価するために静電気帯電試験装置(EPA8100:川口電機製作所製)を用いた。本装置のターンテーブル部にはコロナ帯電器および電位測定器が具備されており、コロナ帯電器による帯電電位の推移、およびその後の電位の変化(散逸挙動)をオシロスコープにより観察した。なお、ターンテーブルの回転速度、コロナ帯電器の条件は下記のように設定し、測定手順(1)及び(2)に従ってシートサンプルの表面電位を測定した。
・ターンテーブルの回転速度 40rpm
・中心から測定中心までの距離 85mm
・コロナ帯電器の設定 グリッドバイアス −1000V
コロナ電流値 -30μA
・ 測定手順(1):コロナ帯電器ONでの帯電電位立ち上り測定120秒間
・ 測定手順(2):コロナ帯電器OFFでの電位の立ち下がり推移の測定120秒間
評価基準は下記のように設定した。
帯電電位の1秒間あたりの増加量が帯電量の1%になった時点を帯電の飽和と定義し、コロナ帯電器をONにした時点から帯電の立ち上がりを帯電が飽和するまでの時間(秒)により下記表4のようにランク付けを行った。
帯電の飽和値から30秒間の帯電量変化率(%)を測定し下記のようにランク付けを行った。
測定手順(2)の帯電器OFF時刻から起算して、帯電電位が半減するまでの時間(秒)を測定し、下記表4のようにランク付けを行った。
上記で製造した帯電制御樹脂を、冷凍粉砕機(JFC−300:日本分析工業社製)を用いて粉砕した。
セルは標準のものを用い、セル中に粉砕した樹脂2.0gを仕込み本体にセットした。セル部分を、液体窒素を満たしたデュワー瓶中に浸し5分間冷却を行った後、3分間振とうを行った。その後、セル部が室温になるまで放置した後に樹脂粉体を取り出した。得られた粉体1.0gとフェライトキャリアF813−300(パウダーテック社製)19.0gとをあらかじめ常温常湿環境(23℃/60%)、低温低湿環境(15℃/15%)、及び高温高湿環境(30℃/80%)の各環境で3昼夜放置しておく。それらを50ccのポリ瓶中に仕込み、振とう器YS−LD(ヤヨイ社製)を用い、240rpmで2分間混合撹拌を行い、図1の装置を用いて測定した。評価は低温低湿時の帯電量および高温
高湿時の帯電量を測定し、下記式により帯電の安定性を評価し、下記基準によって判断した。
樹脂の環境安定性(%)=((低温低湿時の帯電量の絶対値)−(高温高湿時の帯電量の絶対値))/(低温低湿時の帯電量の絶対値)×100%
Aランク:0%以上20%未満
Bランク:20%以上40%未満
Cランク:40%以上60%未満
Dランク:60%以上
底に500メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとする樹脂を0.5g入れ、金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の質量を秤り、Wl(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁
体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行い、樹脂を吸引除去する。
このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の質量を秤り、W2(g)とする。この樹脂の摩擦帯電量(mC/kg)は下記式を用いて計算した。
摩擦帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
帯電制御樹脂の環境安定性評価において作製したサンプルのうち、常温常湿環境に放置したサンプルを用いて樹脂の帯電量分布を測定した。測定にはイースパートアナライザーEST−3(ホソカワミクロン製)を用いた。磁極を具備した円盤状の冶具にサンプルを付着させ窒素ブローにより帯電した樹脂粉体を装置中に導入し帯電量分布の測定を行った。得られたq/d分布を元に下記の基準でランク付けを行った。
Aランク:標準偏差が1.20未満
Bランク:標準偏差が1.20以上1.30未満
Cランク:標準偏差が1.30以上1.50未満
Dランク:標準偏差が1.50以上
次にトナー(1)から(15)につき以下の通り評価を行った。その結果を表5に示す。
作製したトナー3.5gと、前述のキャリア(F813−300)46.5gとを分取し、常温常湿環境(23℃/60%)、低温低湿環境(15℃/15%)、及び高温高湿環境(30℃/80%)の各環境で3昼夜放置した。その後、50ccのポリ容器に入れ、1分間かけて200回振とうさせ、2成分現像剤を得た。帯電制御樹脂の帯電特性評価と同様に、図1の装置を用いてトナーの帯電量を測定した。評価は、低温低湿時の帯電量および高温高湿時の帯電量を測定し、下記式により帯電の安定性を評価し、下記基準によって判断した。
トナー帯電量の環境依存性(%)=((低温低湿時の帯電量の絶対値)−(高温高湿時の帯電量の絶対値))/(低温低湿時の帯電量の絶対値)×100%
Aランク: 0%以上20%未満
Bランク:20%以上40%未満
Cランク:40%以上
それぞれのトナー50gを高温高湿下(30℃/80%)で7日間放置した後、常温常湿下でさらに3日間放置した。それらをカラーレーザービームプリンタLBP−5400(キヤノン製)のカートリッジに仕込み、予備回転なしにベタ白のA4画像を50枚出力する。その時得られた画像について下記基準により白地部のかぶり評価を行った。そのときの評価基準を下記に示す。
画像のベタ白部の反射率を測定した。さらに未使用の紙の反射率を測定し、紙の値から引いてかぶり濃度とした。反射率はTC−6DS(東京電色製)により測定した。
Aランク:10枚以内でかぶり濃度が1.0%未満
Bランク:11以上以下20枚でかぶり濃度が1.0%未満
Cランク:21以上以下30枚でかぶり濃度が1.0%未満
Dランク:31枚においてかぶり濃度が1.0%以上
以上の評価の結果を表4に示す。
帯電制御樹脂iを用いた実施例12と、帯電制御樹脂jを用いた比較例1を比べると、帯電の制御特性に有意差がみられた。これは、帯電制御樹脂jには、ユニットA、Bが含有されておらず、帯電の発生、蓄積および散逸の制御をなしえないためであると考えられる。
比較例2は、帯電制御剤としてT−77(保土谷化学社製)とポリエーテルポリオール樹脂を含んでおり、帯電立ち上がり、安定性、散逸性および環境安定性に劣っていた。そのため、トナーに適用した場合においても環境の追随性に劣り、画像特性に不良が生じていた。比較例3は、比較例2と同様なポリエーテルポリオール樹脂にT−77とイオンソースである化合物を含んでいる。樹脂単体での帯電の立ち上がりと帯電量分布は良好であったが、環境の安定性と追随性に劣り、画像特性に不良が生じた。
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